少女。
というには少々ごつい体つきをしているこの女性は、
「大岩忍」と言った。
18歳の高校生にして、柔道部の主将を務める。
その実力は確かなもので、
とある世界にて開催された、【
需要なし、むしろ-の自己満足ロワ3rd】では、
一人を殺し、一人と相殺した。
その裏には、揺らいだ感情があった。
殺し合いをしたくない。から、殺し合いに乗り、ゲームに脱出をしたい。
という
恐怖の思考改革。
何が彼女をそこまで変えてしまったのか生憎のところ分からないが、確かに変わってしまった。
ゴリラから鬼へ。
変革期を迎えて、先ほどの二人を攻撃の矛先へとした。
その餌食に遭った二人のうちの一人。
という言い方にはいかにもと言う感じに被害者思考が表れて語弊を含まれてしまうが、
実際には、ルール通りに動いただけなのだから文句は言えない。
ともあれ、その内の一人、◆xzYb/YHTdIとここに対峙する。
♂♀
「……………あのさぁ、空気読もうぜ」
「そりゃ私のセリフだ、あ~んと、名前なんだっけ?」
「知るか、◆xzYb/YHTdI。xzでいいんじゃない?大岩忍さん」
「ま、今さらなんで私の名前を知っているかなんてどうでもいいことだよね」
「その通りだ」
ところは、住宅街。
大岩は武器の一つも持たないで、ただ呆然と歩いていたら、角でぶつかったという
◆xzYb/YHTdIはポケットに手を入れながら、ただ呆然と歩いていたら、角でぶつかったという。
まるで少女漫画、腐りきったありきたりな、むしろダサいような出遭い方を二人はしてしまった。
「なんで《俺》が《俺》を殺したお前と恋愛フラグを立てなきゃいかんのですか」
「私が聞きたいね、なんで私を殺したお前と私はフラグを建築しなきゃいけないの」
なんだか目に見えて不協和音を感じさせるこの二人。
仕方のない、と一言で済ませるには余りにも大きすぎる負の感情を隠すことなく互いに放出していた。
「思わず《俺》、『大丈夫ですか、ごめんなさい』なんて媚売っちまったじゃねえかよ」
「私も同じなんですけど、『いえいえ、どうもすいませんでした』なんて猫かぶっちったじゃん、どうしてくれるのよ」
「つーかさぁ」
と、◆xzYb/YHTdI一回間を無駄に溜めて。
「なんで、殺されたお前と早々に、もっというと一番最初に会わなきゃいけないんですか!」
「だ~か~ら、それは私のセリフだって言ってんでしょ!?」
「むぅ………………」
「はぁ………………」
ここで漫画ならば、徐々に可笑しくなっていくのか、
あはは、やら、ふふっ、なんて笑い声が響いてくるものだが、
この場に笑みはない。
互いに怪訝な顔を浮かべるばかりで、黄色、もしくは桃色の雰囲気など、
まるでなく、綺麗に、どこまでもクリーンな状態を保っていた。
そしてようやく、本題に入る。
とても殺し合った仲とは思えないほどスローペースだった。
「――――――で。心お優しいxzさんはまたゲームに乗る気は無いのかい」
皮肉をたっぷりと込めて、大岩はそう尋ねる。
しかしながら大岩は、分かっている。◆xzYb/YHTdIが、どう答えるか、を。
あの悪夢の様な、地獄を体験して最後まで壊れなかった信念だ。
ここでも、そう簡単に変わらないだろう。
そう思っていた、そしてその後の対応も考えている。
まず、こうも近くにいるのだ。柔道の技は掛けるに容易い。
最初に一本投げでもして、このコンクリートに思い切り叩きつける。
そうしたあと、気絶、悪くても骨の一本にひびを入るから、得物を漁ってこいつを殺す。
完璧だ。そう自負しながら◆xzYb/YHTdIの返答をゆっくりと待つ。
ポケットに手を突っ込んだままの状態だ。に弐をするにも時間はかかるし、
いくら徒手空拳で攻撃をされても防御できる。元々柔道とはそういうものなのだから。
はぁ、と大岩は心の中で溜息を吐く。
どうせ変わらない結果なんだから早く答えなさいよ、そんな悪態を心の中でつきながら。
そうしている内に、ようやく◆xzYb/YHTdIは口を動かす。
しかし、そこで待っていたのは大岩の予想をどういう意味だとしても裏切る結果だった。
「ううん、心お優しいxzさんはゲームに乗ることにするよ」
◆xzYb/YHTdIはゲームに乗ると言った。
大岩にとってそれはあんまりにも予想外だった。
だって、最後の時だって仲間が死んだってのに私に立ち向かってきた。
そんなどこまでも、どこまでも前向き(プラス)なこいつが、そんな後ろ向き(マイナス)な事を言うだなんて。
あんまりにもあんまりな答えだった。
「勘違いすんなよ、大岩。別に《俺》は何も絶望に溺れて殺し合いに乗る訳じゃないよ」
「じゃあどうしてだい、だって…………」
「あぁ、確かに《俺》いや俺かな? 需要なし3rdという創作内では正義に目覚める好青年だったよ。
だけど、《俺》は違うんだな。《俺》はいい加減Vx氏とも決着をつけなきゃいけない」
「Vx氏? 主催の名前はそんなんじゃ無かった気がするけど」
「表向きはね。だけどそれが違う、これはDOLシリーズだよ」
「…………xz、アンタ頭大丈夫か」
大岩は◆xzYb/YHTdIにその哀憐を含む眼差しを深く深く突き刺すが
その効力はあまりに無力で、◆xzYb/YHTdIは気にせず話を進めていく。
「頭は大丈夫だ。まぁ聞けって」
「あぁまぁいいよ。でもさ、Vxってこれだろ? 名簿にある◆VxAX.uhVsMって奴だろ? じゃあ参加者じゃないのか?」
「そうだね、参加者の一人、◆VxAX.uhVsMもVx氏だ」
「あ~、分かった。今回は見逃してやるから病院行け」
「行ってどうすんだ、アホだな。で、そう。Vx氏、正式には◆VxAX.uhVsMは参加者だ、そしてそれと同時に主催なんだよ」
「…………もう私は突っ込まない」
「賢明な判断だね。でもさ、DOL4thにしろ、マイナー参加者にしろ、Vx氏が二人いてもおかしくはないよ」
もうコリゴリだ。と言わんばかりに。
残念な奴だ、何で私はこんなやつに殺されたんだ、そんな風に首を横に振る。
「……………はぁ、アンタって電波だったんだな」
「電波言うな、電波って言っていいのは8n氏だけだ」
「誰ですか、それは」
「口調が代わっているけど大丈夫か」
大して心配してなさそうに◆xzYb/YHTdIは言って、
一回息をつく。
そこで改めて考えをまとめ直して、大岩に告げる。
「で、まぁ《俺》はそういうのって知っているから」
「そうなのか」
「お、諦めたね。え、どうしたんだい。そんな指をポキポキと鳴らしちゃって。
おいおいおい、ヤメヨウゼ、ヘイワテキニイコウデハナイカ」
一方は冷や汗をゆっくりと流し出し。
一方は指を豪快に鳴らし、眉間に皺を寄せ女の子有るまじき顔を醸し出す。
まぁ直ぐに収まっていたようだが。
「さっき殺し合いに乗るつった奴のセリフか!」
「さてさて、良いツッコミが入ったところで、話を進めるね」
「――――ッチ、調子が狂う」
「ふっ、なんだい? 白川くんがいなきゃ何もできないのかい?」
「ニヤニヤしながらそう言う風に言うな!」
「顔真っ赤―」
「アンタが私を怒らすからだ!」
「怒ると赤くなるって…………。本当にゴリラみたいだね!」
「よーし分かったよ、アンタそこに座れ、蹴ってやる」
「ごめんなさい」
「―――――――はぁ」
いつの間にか溜息の似合うようになってきた
ゴリラまがいの女、大岩忍である。
「で、まぁそれはさておいて、Vx氏は主催。まぁ十分あり得る話だと思うよ」
「そういうことにするわ、もう…………」
「うん。それでね、Vx氏はこういうことを何度も(創作内で)やってるんだよ」
「何でそれをアンタが知っているのよ」
「そりゃ、僕は神だからね」
「……………」
「無言で頭叩くな! 痛いだろうが!」
「冗談でも面白くない」
「面白い冗談なんて言えるか、こんな状況で」
「それもそうだけどさ」
今度は両名が同時に溜息を吐く。
二人揃って随分と疲れが溜まっているようで。
「で、その中で、対主催に走ったり、マーダーに走ったり、主催になるんだ!とか血迷ったり」
「キャラがまとまってないわね」
「そんなものだよ」
「まぁ、いいわ。で結局何が言いたいのよ」
「話をまともに聞かないお前が言うな」
「責任転嫁しないでよ」
「じゃ、また話が逸れない内に話すけどさ、いい加減Vx氏を黙らせようかな、なんて思ってるんだ」
「その心は」
「見てる分には別にいいけど、参加させられると」
またしても、一拍置いて話す。
この◆xzYb/YHTdIはなにやら演技臭いのがお好きな様です。
「うざい」
「とても率直な意見ね。同感だわ」
「でしょ?」
「でもさ、そこからどう殺し合いにつながっていくのよ」
「…………僕は初めに言ったけど、何も狂っている訳ではない。怖がっている訳でもない」
「質問聞いてた?」
「でもさ、いざ人を殺すというとさ、《俺》がどうなるかなんて、《俺》はわからない」
「ヘタレるかもしれないってこと?」
「否定はしないし、その通りだとも思うけどもう一つ追加しておくとね」
「しておくと?」
「Vx氏を徹底的に虐め通すのに抵抗をなくすために、かな?」
◆xzYb/YHTdIは黒い、そして楽しそうな表情を浮かべ、
それに大岩は軽く引いていた。
が、これだけは聞きたかったようで。
「けど、それは参加者を殺すのに値するもの?」
大岩は問う。
その、大岩の問いに、◆xzYb/YHTdIは首を振り、
こう言う。
「いいや、足りないと思う。全くもってね。――-結局、《俺》はそういう人種ってことだよ」
「なるほどね、操り人形にして囚われていたってことね。初めて遭ったときのアンタは」
「そーいうこと」
と、ここで初めて◆xzYb/YHTdIはククッと明るみを含む声を漏らす。
それに応じる様に、大岩もフッっと静かに笑みを零す。
そして。
「で、最終的に私に何をさせたいのよ」
結局はここだった。
大岩にとっての疑問はここだった。
ここまで、ただ話しているだけ(一回ぶったけど)で、進んでいたのに理由がないわけがない。
何せ、殺し合った仲。仲というにも不十分な間柄。
それなのに、何も起きなかった理由。それが知りたかった。
どういう結果が返ってきても、今度は驚かない。
そう思いながら。
しかし――――――――。
「いや、組まないかって思ってさ」
「はぁ!?」
結果は驚くこととなってしまった。
誰が、自分を殺した相手を仲間に引き入れようとするものか。
しかし、この男に常識と言う者は通じなかったらしい。
事実この男、◆xzYb/YHTdIはそうしたのだから。
「考えるまでもないでしょ。単純に頭数があった方がいいし、それに」
「それに…………」
「お前は別に人を殺すのに抵抗ないでしょ。現に《俺》を殺した訳だし」
「…………」
「お前は既に狂っている。なのに話は通じる。これを仲間にしない方がおかしいだろ」
「けどさ、襲ってきたらどうしたのさ」
「ん? あぁ………」
と。
さも当然というかのように、ポケットからスタンガンを取り出して、
大岩に見せびらかす。
大岩は、その光景を、ただ、眺めるだけだった。
「18歳、女、柔道部主将、大岩忍。その強さは折り紙つきと来た。ここまで知っていて何も用意しないで話しているわけないだろ」
「…………そうか、アンタは私のストーカーだったりするのか」
「おいおい、だから《俺》は神だって」
今度は、ぶたない。
それほどまでの、効力があった。
教えていないはずの情報を握られているのだから。
今さらながら、純粋に恐怖する。
「おいおい、冗談だよ?」
「………知ってるよ」
「そう」
沈黙。
基本お喋りな◆xzYb/YHTdIも喋らない。
それはわざとでもあるけど。
されど時は再び動き出す。
「けどさ、これはあくまで利己的な理由でしかないから、条件を付け加えてあげる」
「――――何だい?」
「そうだなぁ、………」
としばらく思考の沼に浸かりつつ、
最終的に繰り出した条件は、
「この殺し合いが終わったら結婚しよぜ!」
「…………………」
「…………………」
片一方はただ赤面。
片一方もまた赤面。
◆xzYb/YHTdIとしては、冗談で言ったつもりではあるが。
「えーと………死亡フラグだぁ!的なツッコミ―――――」
「ええ、いいわよ。結婚しましょう、できるもんならね。フフッ。大丈夫、アタシは嘘をつかないわよ?」
「えーと? えーと、えーと、大岩さん?」
「あら、どうしたの? あなたが言いだしたことよ。責任持ちなさい」
「……………」
「私は、アンタと一緒に殺し合いに乗っていればいいのね。はいはいはい。そこまで言うんだから、まぁ信用はしてあげるわ」
「……………」
「よろしくね」
「……………」
「ギ、ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
失敗したぁ!と◆xzYb/YHTdIの無駄に大きな声が、
閑静な住宅街に木霊して、反響した。
だが。
全てはもう遅い。
【一日目/深夜/G-6 住宅街】
【◆xzYb/YHTdI@非リレー書き手】
[状態]健康、精神疲労(中)
[装備]スタンガン@現実
[道具]KS×1、RS(0~2)
[思考]
基本:主催とVx氏を虐め倒して殺す
1:とりあえず撤回しないと!
2:参加者はできる限り殺す
3:大岩と行動
【大岩忍@他の書き手様のオリキャラ】
[状態]健康
[装備]
[道具]KS×1、RS(1~3)
[思考]
基本:生きて帰る
1:xzと行動
2:参加者を見つけ次第殺す
最終更新:2011年08月30日 00:21