【Aパート世界】
ぱらららららららららららららららららっ、と軽い音が連続する。
また、仲間が死んだ。体中に穴を開けて、血塗れになって死んでしまった。
もう驚くことなんてない。何度見た光景かも分からないし、逆に俺が相手をぶっ殺したことだって何度もある。いちいちショックを受けていられるほど現実は甘くないんだ。
西暦2018年。世界はテロリスト達により支配された。
全世界を弾道ミサイルで滅茶苦茶に荒らし、新型病原体ウイルスを用いて世界の実権を握り、後は瞬く間に武力と恐怖で世界を支配した。僅か二週間で世界は変わったんだ。
刃向かえば殺される。刃向かわずとも、いずれは死を迎えることになるだろう。
俺の両親は、あいつらに射殺された。
断末魔を発する時間などなく、唐突に命を奪われた。
俺は絶対にあいつらを許さない。許すことなんて出来ない。全ての罪を償わせるなんて贅沢は言わないから、せめて『あいつ』の頭に鉛弾をぶち込めればそれでいい。
憎き首領の名は、天都目夜行といった。
銀の髪を靡かせ、見下すように、嘲るように世界を笑い飛ばした男。
間違いなく人類史上最低最悪の男だ。
あいつを殺すためなら、俺は悪にだってなる。
天津目の組織の名は『審判団』という。
審判なんて名ばかりの、都合の悪い人物を排除する独裁思想家達の集団――――。
『偉大な正義の名の元に、審判を執り行う』
奴等は人殺しを儀式として考えている節がある。どこの世界に機関銃片手に行う儀式があるんだかな。その点を含めて、奴等は許せない。
勿論独裁思想家共なんて癖の強い奴ばかり集まるに決まってる。
天津目夜行は、そんな奴等を顎で使えるくらいの『何か』を持っているんだろうな。
―――全く以て憎らしい。
俺達は『レジスタンス』だ。審判団を撃破し、いつか天津目夜行を殺害するために集められた集団。皆一様に、奴等に対する憎しみだけはある。それだけがカンフル剤だよ。
現在、俺達は日本国首都圏の制圧作戦に臨んでいる。さすがに今までとは比べものにならない難易度の作戦。犠牲者の数なんかもいつもよりずっと多い。
俺はCz75を携えて掃射する。仕留めたのは五、六人ってところだろうか。
厳しい戦いだ。Cz75ほどの獲物でなければ俺は今生きているかも怪しい。
野太い断末魔の後に広がる血の海。
俺はそれを踏み越えて、また新たな屍の山を築くために銃を構える。
心なんか無いさ。
俺が殺しを続けていくのに、心がまだ―――人間としての形をぎりぎり保てているのは愛する愛する彼女のおかげだ。桜野粉雪。ピンク色の髪にゴスロリの奇抜な子だ。
正直俺の天使。あいつが頼むなら俺は核だって打ち落としてやるよ。
――――おっと。
敵の姿が見えたぞ。さあ戦いだ。ノロケてられる時間は終わりだ。
掃射をしようとした俺の耳に、聞き慣れた声が届いた。
「ドラグノフが唸るぜ―――。よっ、雄二。調子はどうだい」
「ぼちぼちだよ、嗣之助」
野坂嗣之助。レジスタンスの中でも指折りの技術者で、ハッキングから狙撃までできるパーフェクトな俺の親友だ。今日もそのキレは相変わらずみたいだな。
嗣之助は頑張れよ、と手を振る。それに合わせて手を振り返し――――、
タァン
………ん?あれ、もしかして俺、撃たれたのか?
腹から真っ赤な血が溢れだし、俺の服の布地に染みていく。
うわ、こりゃ致命傷だな。内臓を見事にぶち抜かれてやがる。
仲間のレジスタンスが、ベレッタを俺に向けていた。
謀反か。ショックだね、信頼してる奴に裏切られるのはよ―――――――――。
「こな……ゆ………き……」
最期に愛する天使の名を呟いて、俺―――坂口雄二は死んだ。
■
―――もう一度だけチャンスをやろう
■
【Bパート世界】
西暦2018年、第二次魔術大戦勃発。
かつて西暦678年に起きた第一次大戦とは違い、今回の大戦は全世界を二分割した戦いとなった。ロシアとアメリカの不和が導火線となり、世界最悪の戦争が勃発。
が、厳密に言えば世の中は魔術のみで溢れている訳ではない。
極希な存在、『神継(カミツギ)』。生まれながらに圧倒的な力を宿した者たち。
魔術を砂を吹くように破り、雨を傘で防ぐように防ぐ。
魔導大戦はもうじきに終わる。
黒幕側の戦力は減り、彼らの首領は失踪した。
が。こんなことは
終わりの始まりに過ぎないのだと、誰も気付けなかった―――。
■
終わらせない。私たちのエゴで世界はリセットされるのだから。
■
【Cパート世界】
西暦2018年。世界には謎の新型ウイルスが蔓延していた。
すさまじい感染力と致死率。異常な早さの変異。世界滅亡はもはや不可避となった。
ウイルスには畏怖の念を込めて、とある名前が与えられた。
終焉ウイルス蔓延の原因は不明。一説には微生物の腐乱死体が集まり毒になり発生したと語られているが、未だ科学的に根拠はない。
しかし、最悪な事に。ウイルス蔓延の陰に、地球滅亡を回避するために非人道的な実験やクローンの生成に走る科学者たちが逆に世界を汚した。
絶望しかない世界で、ただカウントがゼロになるのを待つだけ。
■
終わりの始まり
■
【BRパート世界】
「――――時は満ちた」
暗闇の中に、銀の髪の男と
白い少女の姿があった。
男の名は――――天都目夜光。A世界の諸悪の根元であり、世界の悪を表した者。
女の名は――――『No.1』。B世界の戦争を起こした張本人にして神継。世界を崩す者。
暗闇には二人しかいない。だが、『参加者』たちの心理にこの光景が流れている。
これから始まる悪夢の序章に過ぎないのだが、きっと彼らにとっては恐怖だろう。
夜光が重々しく、だが確かにはっきりと"それ"を告げる―――――。
「これから、貴様達には
殺し合いをして貰う。賞品は、願いを一回成就させる力だ」
全てが暗転し、バトル・ロワイアルが始まった。
| GAME START |
投下順 |
空の蝉 |
| GAME START |
天都目夜光 |
[[]] |
| GAME START |
No.1 |
[[]] |
最終更新:2011年09月06日 20:33