「自己犠牲は正義ではない。」

案山子はTシャツを着ていたが、トナカイは帽子をかぶっている。
案山子は立ったままだったが、トナカイは二足歩行できている。
案山子は顔が無かったが、トナカイは鼻が青い。
案山子は未来を見れたが、トナカイは見えるのだろうか?
喋る案山子は死んだけど、喋るトナカイは今ここにいる。

いったいここで何が起きて、誰が得をするのか?
これは無意味な殺し合いだ。
いや、そもそも殺し合いなどに意味などある訳が無い。




殺人は人を殺すと書くが、もしもトナカイを殺した場合はどうなるのだろうか?



「鹿撃ちじゃねぇか!!!!」



そんな日比野の陽気な声がどこからか聞こえてくるような気がして仕方がなかった。
日比野はあの会場にいた。だが生き残るには彼も殺さないといけない。
人を殺すことだけは絶対に嫌だ。




「これって変な夢なの?」
「俺も知らない。」

目の前にいた、小さなトナカイは確かに喋っているが不思議と違和感は無い。
恐らくあの島で、喋る案山子を見たせいで慣れが起きたのだろう。
違和感が無いがトナカイと同じ空間にいるはずなのに、まるで別空間にいるような錯覚に陥っている。
少なくとも、言語を話すトナカイはあの島はいない。

「もしかして未来が見える?」
「見えるわけねぇだろ!!」

唐突に言ったことだが、きちんと反応している。
やはり夢なのか?
他人は信用できないかもしれないが、この場にいるトナカイなら信用できるかもしれない。



――――いや・・でも信用すべきなのか?



幻想の中でだけで生きている、幻影でもしかすればこのトナカイは猟奇殺人犯かもしれない。
トナカイの正体を考える。
でも何も思いつくわけが無く、すべて矛盾している。


難しい事を考える時は仮説を立てる。システムエンジニア時代によくやったことだ。
仮説1、今見ているのは全て夢で、現実ではない
仮説2、集団催眠に陥っている。
仮説3、実はトナカイではない
仮説4、これは現実。



こんな、夢はリアルなものなのか?
集団催眠ならいつから陥っていた?
トナカイではないなら、この生物は何のなのか?
まず、これは何のために?
いったいどこまでが許されるのか?


「あーわからない。君を信用するよ。僕は伊藤。君は?」
「俺は、トニートニー・チョッパー。麦わら海賊団の船医だ。」

思わず笑いそうになった。出てきた言葉が、出来損ないの嘘以下の下らない単語だった。
トナカイの名前はすごいし、麦わら海賊団なんてあるわけないし、船医がトナカイなワケが無い。
結局夢なんだ。それでおしまい。無事解決なさいました。



ズガン


耳が張り裂けそうな音が鳴り響いた。考えもさえぎられ驚きのあまり悲鳴が出そうになった。
トナカイが慌てふためいて、走り回っている。
普通ならこんなことは現実ではありえない。

これは夢で、これも夢だ。これは夢だ。これは夢なんだ。これも夢でこれもそれもあれも全部夢。
これは夢で、これも夢だ。これは夢だ。これは夢なんだ。これも夢でこれもそれもあれも全部夢。
これは夢で、これも夢だ。これは夢だ。これは夢なんだ。これも夢でこれもそれもあれも全部夢。
これは夢で、これも夢だ。これは夢だ。これは夢なんだ。これも夢でこれもそれもあれも全部夢。



確かに向かいから来た男の顔には見覚えが確かにあった。
桜と言う処刑人は頭から血が出ている。

「伊藤か・・・。」

血の通わない冷徹な声に俺は思わず失禁しそうになる。とてつもなく怖い。
彼の怖さは知っている。うるさいと判断すれば子供でも女でもすぐに拳銃で撃ち殺す。
彼はあの島で、殺人が許されていた存在。外の世界では歯止めが利かない。
(待て…うるさい・・・まさか!!)

「うるさい。黙れ。」
「チョッパー。静かにするんだ!!撃たれる!!」

ここで、トナカイが撃たれようと鹿撃ちの一部でしかない。
ただ喋るというだけで、僕はトナカイを庇っていた。
桜の銃から放たれた銃弾は脇腹にめり込む。


自分は今、トナカイのために怪我をしたのだ。



「あああっああああ!!!」

自分に対する馬鹿馬鹿しさと単なる絶望や遅れて伝わる痛みから悲鳴を上げていた。
もちろん桜は、苦しむ姿を見ても躊躇うわけがない。

「邪魔だ。」
「もうやめろ!!やめてくれ!!」


「理由になっていない。」

また彼は、苦しむ僕の姿を尻目に言語を話すトナカイに銃口を向けている。
引き金を引いたら、このトナカイは死ぬ。次は邪魔をした僕だろう。
桜はもう歯止めは利かない。誰も止められない。

「ヘビーポイント!!!ヘビーコング!!!!!」

いきなり発狂したのか?
わけの分からない言葉を叫んだトナカイに驚くことしか出来ない。
そう思っていた。目がやられていたせいか、傷からの出血のせいか全てがスローモーションに見えた。
さっきまで小柄なトナカイだったはずなのに、大柄のゴリラになっている。


自分でも何を言っているのか分からない。
チョッパーが振り下ろした腕で地面が割れ、衝撃で桜が丘から転落していくのが確認できた。






もう何が起きているのか分からなかった。もう何でもよかった。
だってもう、死ぬのだから。






「全部が嘘みたいだ。」




【伊藤@オーデュボンの祈り 死亡】





「おい!しっかりしろ!!おい!!!」

であったばかりの男は目を閉じたまま開かない。脈も無く息もしていない。
出血で、近くの草むらが赤黒くなっているほどだ。
医者であるチョッパーはすぐに死んでいたと判断できる。
助けてやりたかったが、手遅れであるし設備も整ってはいない。

「起きろよ・・・。なあ、起きてくれよ!」

この男はチョッパーを庇って死んだ。
何故銃撃されなければいけなかった?何故この男が死ななくてはならない?
ランブルボールがあればもっと早く撃退出来た筈だ。
悲しみにくれながらも、ヒトヒトの実の能力者であるチョッパーはその場から走って逃げた。

【一日目・朝/B-2 ロープウェイ乗り場】
【トニートニー・チョッパー@ワンピース】
[状態]:ヘビーポイント
[装備]:なし
[所持品]:基本支給品 
[思考・行動]
基本:怪我人を助ける。
1:伊藤を殺した参加者(桜)を許せない。
2:主催者が許せない。
3:サニー号の仲間とは会いたくない。







頭からの出血と打撲が、疲労に追い討ちをかけている。
先ほどの戦闘で左右12本ずつある肋骨のほとんどはやられただろう。
呼吸も辛くなってきて息が上がり、頭痛から思考が進まない。


拳銃を一丁落としてしまったことに起き上がってから気がついた。
戦闘を避けたいがもう一度戻るしかなかった。
あの狸とはいえ侮れない。
伊藤を撃ってしまったことには罪悪感は無い。
撃ってなくとも恐らく他の参加者に殺されていただろう。
あの狸のような化け物がまだ他にもいると言うことだ。
もしかすれば、拳銃も役に立たないかもしれない。
武器に精通していない伊藤だったから殺せたが、あんな化け物に遭遇したら間違えなく死ぬ。




もう長くはなさそうだな――――


死を覚悟した処刑人は、トカレフのために丘を登る。

【一日目・朝/A-2 ロープウェイ乗り場】
【桜@オーデュボンの祈り】
[状態]:頭からの出血と打撲 肋骨の骨折 疲労(大)
[装備]:FN FiveseveN (18/20)
[所持品]:基本支給品 ランダム支給品×1
[思考・行動]
基本:会った人から殺す
1:もう、あの怪物(チョッパー)とは会いたくない
2:落としたトカレフを取りに戻る
3:恐らくもう長くないだろう・・・

つぅかチートキャラ多すぎる 投下順 「歩く死亡フラグ」
]]|時間系列順|[[
START 伊藤 ゲームオーバー
START トニートニー・チョッパー [[]]
処刑人 [[]]

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最終更新:2011年09月17日 22:38
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