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失われた者たちのバトル・ロワイアル

少女は殺しととても近い存在だった。
………とはいえ、実際の人間を殺したことは一度も無いのだが。
彼女は人であり、ヒトでない。
孤独なゲームマスターが生み出した、世界のイレギュラー。

所詮彼女は、『キャラクター』に過ぎなかった。絶対に辿り着けない目的に足掻きながら、彼女もまた孤独に戦い続ける。
学園に暗躍する最高機密の『執行部』から、『秘宝』を手にする為に。


『彼女』の名前は、朱鷺戸沙耶。


永遠に繰り返される一学期とは違う方向に、彼女のストーリーは展開されていく。そして、沙耶は一つの『終わり』―――『朱鷺戸沙耶』に終止符を打つ。
幾たびの死を越えて、大好きな人と乗り越えた予定調和の運命。
『リトルバスターズ』の為の世界から去るために。
沙耶は自らのこめかみに向け、引き金を引いた―――――。


「……どうなってるのかしらね」

金色の髪に、特徴的な髪飾り。
可愛らしい顔立ちをしているが、その立ち振る舞いは冷静だ。
朱鷺戸沙耶が困惑しているのは、『殺し合い』という事実ではない。
ひとえに、何故自分が再び実体を得ているのか、それだけだ。

間違いない。
いや、間違いようも無い。

朱鷺戸沙耶は、確かに『世界を去った』。
名残惜しさは有ったが、それが沙耶としてのけじめだったのだ。
なのに、再び『誰か』は、沙耶を『キャラクター』として利用しようとしている。
それだけではない。
有り得ない名前が、参加者名簿に書かれていたのだ。

『直枝理樹』――――、沙耶が去った世界の住人にして、沙耶の恋人。

彼女と同じく、直枝理樹もまた、誰かに招かれたというのか。
そんなことがもし有り得るのなら。
有り得るのなら―――――――――――――、


そんなことが出来る男を、沙耶は一人だけ知っている。
時風瞬。
闇の執行部の部長にして、沙耶を世界に招いた張本人。

尤も、彼があの世界を徒に繰り返す理由など、彼女は知る由も無いが。
この『殺し合い』の世界の創世者は、時風だと彼女は確信していた。

「―――――――――――――何のつもりなの、時風瞬?」

問いに答える者は勿論誰も居ない。


その時だった。
スパイという『設定』の少女の第六感が、確かな殺気を捉えたのは。

「「動くなっ!!」」

沙耶と『襲撃者』のそれぞれの武器が、互いの方を向いていた。


少年―――と云うには老け顔の少年は、殺しを二度経験していた。
『プログラム』―――大東亜共和国の、少年達の殺し合い。
川田章吾は、一度『プログラム』を制している。

守りたい人も守れない苦い勝利だったが、彼は確かに優勝した。
そして、殺し合いの賽の目は再び、彼を選ぶことになる。

只でさえ低い確率の網の目に二度も選ばれた彼は、今度こそプログラムの打倒に向け――――二つの『希望』と、殺し合いを打倒した。
しかし。とある少年から貰った傷からの出血が原因で、彼は死に至る。
それでも、賽の目は再び川田章吾を選び出した。
三度目の殺し合いに呼ばれた時、彼は大して驚きもしなかった。
三度目には、驚きを通り越して呆れる。

そして、川田の三度目の『バトルロワイアル』が幕を開けた。


「……七原ッ……!!」

川田章吾は、驚きに満ちた表情でそう呟いた。
いや、正しくは『絶望に満ちた』というのが正しいのかもしれなかったが。

七原秋也。
川田が前回の『プログラム』で出会った希望の存在の、片方。
もう片方の少女『中川典子』の名は、名簿には記入されていない。
何故、七原秋也だけなのか。
彼らは『プログラム』からの脱走者として、政府に追われる身となっているのだ。つまり、今の典子は独りで居るということになる。

危険すぎる。ある意味では、『プログラム』の中よりも。

奥歯を噛み締め、七原の名前を見つめる。
何故か生き返っているのは、川田を含めて三人。
桐山和雄と滝口優一郎。
前者は明らかな危険因子だが、後者はそうでもない。
桐山は今回も優勝候補筆頭だろう。

「七原を……生きて帰す」

自然に口を突いてでたそんな言葉が、彼から一切の迷いを捨て去った。
修羅の道を進む。
殺し合いを勝ち上がり、七原を典子の元へ帰すために。

そして、彼は支給されたIMIマイクロウージーを握った――――。


たまたま、本当にたまたま、見つけた少女に川田は迷わず銃口を向ける。
しかし、彼の失敗は。
弱者と侮った少女が、幾度の戦いを越えたスパイだと知らなかったことだ。


沙耶はポケットに差し込んでいたベネリM4スーパー90を迷わず襲撃者・川田章吾に突きつけた。その動作には一切の隙が無い、まさに完璧。
しかし、技術で劣ろうが川田も二度の殺し合いを経験しているのだ。

先に撃った方が勝つ
       負ける 。

どちらとも取れる状況に、二人は硬直した。
引き金一つで相手の命は飛ぶが、果たして自分は無事で済むのか?

「―――目的は」

簡潔な問い掛けだが、沙耶の問うべきことが纏められている。
即ち、殺し合いに乗る目的を。

「……『友達』を守るためだ」
「お生憎様ね、私も当分は『恋人』の為に戦おうとしていたのよ」

直枝理樹と七原秋也。
守るべき相手は違うが、互いに曲げられない信念がある。
そして、この状況を打破するにはたった一つしかない。
それを、沙耶と川田、双方が納得できるように仕上げること。
それが、最善の答え。

「どうかしら?―――あたしと、誰も殺さずに守りきってみる気は?」

誰も殺さずに守りきる。
単純だが最善。最善だが夢物語。夢物語だが―――――?

「話にならねえな」
「貴方の守りたい人が死んだら、あたしの守りたい人が死んだら、殺し合いよ」

そうだ。沙耶は、殺し合いの最高の褒美を暗喩しているのだ。
願望の成就。
たとえ死人でも蘇らせる、最強の魔法によりもたらされる奇跡。
それさえあれば、相手に死なれようと勝ち抜きさえすれば問題は無い。
相手が死ななければ、そのまま反逆してしまえばいい。

デメリットは何も無い。

「……いいぜ、乗った。だが俺は、何時でもあんたを切り捨てるぞ」

上等よ、と沙耶は応対する。
ここに、歪な共闘関係が成立した。


「(理樹くんは、あたしが必ず守ってみせる)」
「(七原は、絶対に元の世界に帰してやる)」


【深夜/B-4】
【朱鷺戸沙耶@リトルバスターズ!】
[状態]健康
[所持品]ベネリM4スーパー90@現実
[思考・行動]
0:理樹くんを守る。
1:川田くんと共闘する。
2:襲われたなら殺人は躊躇わない。
※沙耶ルート後からの参加です

【川田章吾@バトル・ロワイアル】
[状態]健康
[所持品]IMIマイクロウージー@現実
[思考・行動]
0:七原を元の世界に帰す。
1:朱鷺戸と共闘するが、邪魔になったなら殺す。
2:桐山に注意。
※死亡後からの参加です

益荒男の武闘会 投下順 得たかったモノは―――?
GAME START 朱鷺戸沙耶 [[]]
GAME START 川田章吾 [[]]

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最終更新:2011年10月18日 23:58
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