常闇。
光さえない届かない暗く黒い闇の中。
その催しものは静かに幕が開こうとしていた。
「ここは……」
紫色のドレスの少女がようやく目を覚ました。
そして、眼をこすり……………
「まだこんな時間か……寝よう」
再び、眠りについた。
でも見てください。この幸せそうな少女の寝顔を……
あなたはこんな顔で寝れますか?
◆◆◆
『ああ……寝ないでください……というか起きろ!!
……ですが、これはこれで中々面白いとは思うので構いませんがねぇ……』
誰も聞き覚えがない男の声が響く。
数人がまだ寝ているが、男はそれでも話を続ける。
『今から、貴方達には……
殺し合いしてもらう!!!』
「うるせえ!! 殺し合いなんてやってられっかよ!!」
『やるでしょう!! そういうことになってるんですから!』
無茶苦茶言う主催者に噛みつく参加者がいたが主催者は動じない。
だって、主催者だから仕方ない。だが、まだ数人は起きる気配すらない。
『それでは今から
ルール説明をさせてもらいますが……
聞けよ、一回しか言わないから! 絶対聞けよ!! 聞かねぇとその首輪爆破すんぞ!!
あっ……寝てる方は別にいいですよ、起きなくても……もういいですから』
その言葉でも数人は起きる気を起こさないので主催者はもう諦めた。
『ルールは簡単。
最後の一人になるまで殺し合いをしてもらう……簡単でしょ?』
「……それで最後の一人になったらどうなるのよ?」
『そうですね……何でも願いを叶えさせて挙げましょう。
例えば【百万の富】でも【永遠の名誉】でも……あるいは【死者の蘇生】でも……
まあ、どれも【最後の一人】なったらの話ですがね……』
主催者のその一言に何人かがざわめく。
それでも何人かは起きないが、主催者は弁を振るう。
『それともう何点かですが……
もう気付いてる方も多いでしょうが……貴方方には首輪を付けさせてもらいました。
その首輪に衝撃とかなんか与えると爆発するので気を付けてください』
「……つまり、首輪の解除はそう簡単には出来ないってことか?」
『さぁ……そこは私から何とも言えませんね。
……やれるもんなら、やってみろよ……失敗するとこうなるからな』
ポン!!
乾いた爆発音が響いたが、何人かはまだ寝ている。
その傍らでは身体が木端微塵になった『人間』だったものが転がっている。
『分かりましたか?』
「……いや、さっぱり……?」
『ああ、もうこいつらめんどくせー、もう始めていいですか■■■さんたち?
ええと……それと今のは禁止エリアとか入ったら爆破するから、忘れんなよ!
あと放送とか途中でやるけど……ああ、なんか怠くなってきた。
あと今からデイバック配ったら……殺し合いはじまっからな!!』
主催者はもう半ば自棄になっていた。
支給品が入ったデイバックが参加者たちに配られると……。
参加者は次々と会場に転移していった。
◆◆◆
『これで良かったのか……』
『上出来です……ですが、途中から投げやりになったのは感心できませんがねぇ』
『だって、あいつら話聞かねえんだもの……』
『いやいや、二人とも少し落ち着けよ……
我々はどっしり構えてなければならない……それが道理だ』
誰も居なくなったOP会場で主催者らしき奴らが駄弁る。
彼らは主催者かもしれない。そうでないかもしれない。
『……というか、見せしめで死んだ奴の遺体は?』
『ああ。なんか知らんが生き返って、会場に行ったよ』
『……………は?』
『だから、
な ん か 知 ら ん が 生 き 返 っ て 、 会 場 に 行 っ た よ 』
『まぁ、殺し合いではたまにあることですね!』
『ハハハハハハハハハ……ねーよ』
主催者たちは何を考えているかはそれは誰も分からない。
【見せしめは会場に向かったそうです】
最終更新:2011年11月22日 15:25