第一話 二人の天才
「まったく……ふざけている」
A―3の草原。
赤と青のナース服のような服を着た女性がその怒りを表情に出した。
彼女の名は八意永琳。このよく分からない
殺し合いの参加者の一人だ。
主催者の適当な説明で分かったのはただ一点。
これから殺し合いをしろということ、だ。
「食料と地図と名簿……知り合いは……八雲紫に八坂神奈子か……
輝夜とウドンゲやら霊夢とか魔理沙はいないみたいね……あと、なにこれ?」
彼女の武器は入っていなかった。
入っていたのはテニスのラケットだった。
それをしっかりと、何度か振るう。素振りは基本である。
「打撃武器程度にはなりそうね」
ラケットは人を傷つけるためにあるんじゃない!!
……と、どっかから聞こえてきそうだった。
そんな時である。
彼女の目の前にある少年が現れた。
黄色い中華風の服を着た肥満体型の少年だ。
その少年を見て、永琳は警戒を怠らない。
「おおっと、お姉さん、そのラケットを収めてくれ。こっちは丸腰だ」
「……信用できないわ、貴方、名前は?」
「俺かい? 俺の名は龍昇ケンだ。その名簿にもそう書いてある」
どこか自信満々に話す少年――龍昇ケン。
その自信満々のケンに永琳は質問を投げかける。
「そう……貴方は殺し合いに乗っている?」
「ハハハ、乗るわけないだろ、何故ならば……」
「何故ならば……?」
「そう、俺は三年間の厳しい修行の末に……天才になったからだぁぁぁぁぁ!!」
「な、なんですってー!?」
たった三年で天才になった発言を聞き、永琳は驚きを隠せない。
天才である彼女に面と向かって三年程度の修行で天才になったとは片腹が痛くなった。
「だからこそ言おう……俺はこの戦いの結果は分かった」
「へぇ…それでどうなるのよ?」
「天才の俺のやり方について行けずどんどんと仲間が倒れていく……お姉さんもその一人だ」
「私も!? なんでよ!?」
「お姉さんもそこで倒れるでしょ! 俺のやり方に着いていけないんだから!!」
「そ、そうなの……?」
「そして、ただ一人生還した俺はこう答えるのさ……
『俺の生還の秘訣だって? 全ては満漢全席のおかげかな!』」
(どうしよう……この子、頭おかしいんじゃないの?
というか、なんかいつの間にか仲間になりますよ的になってるのよ……)
ケンが話す未来完了形の話に永琳は頭を抱えたくなった。
が、無用な殺生はしないことを決めていた。
理由としては非常に面倒くさくなったからだ。
「貴方、知り合いはいるの?」
「ああ、勝治とリュウセイの親父さんがいる」
「その人たち、信頼は出来るの?」
「勝治は俺の親友だよ、リュウセイの親父さんは……どうだろう、世界征服とか狙ってるしなぁ」
永琳は再び頭を抱えたくなった。
自称天才の次には世界征服を狙っているという知り合い。
しかも、ケンの口ぶりからすると恐らく、ケンの友達の父親だろう。
「ああ、もうわかったから……」
「んっ、どこに行くんだ?」
「……適当に考えておいて」
「そうか! うーん……どこに行くんだろう?」
ケンが適当に考えている間に永琳はその場から去った。
これ以上話していても無駄と判断したからである。
(さて、これからどうしようか……
まずは首輪をどうにかしよう……木端微塵になるのは痛そうだからね)
移動中に永琳は考える。
永遠を生きる蓬莱人には死など無い。
しかし、痛みは残る。故に彼女は木端微塵になるのは御免なのだ。
だが、彼女は知らない。
その能力さえ制限が掛っているかもしれないのだ。
それを彼女は知らない。
【A―3・深夜】
【龍昇ケン@人造昆虫カブトボーグ V×V】
【状態】ボーグ脳的に健康
【服装】決戦用の服
【装備】なし
【道具】支給品一式、ランダムアイテム(0~3)
【思考】
基本:主催者を倒し、脱出する。その後、リュウセイと決着を着ける。
0:お姉さん(永琳)がどこに行ったか適当に考える。
1:自分のボーグマシン(キー・オブ・ザ・グッド・テイスト)を探す。
2:ビッグバンは警戒する。
【備考】
※参戦時期は第50話のリュウセイ戦の直前です。
【八意永琳@東方Project】
【状態】精神的疲労(小)
【服装】いつもの服
【装備】不二のラケット@テニスの王子様
【道具】支給品一式、ランダムアイテム(0~2)
【思考】
基本:脱出優先。
1:首輪の解除を優先する。
2:ビッグバン(天野河大輝)を警戒する。
3:八雲紫と八坂神奈子については……保留。
4:ケンは放っておく
5:まともな人は……いないな。
【備考】
※参戦時期は少なくても風神録よりも後です。
※再生能力に制限が掛っているかもしれません。
支給品紹介
【不二のラケット@テニスの王子様】
青学の天才・不二周助のラケット。
何の変哲もないテニスラケットである。
最終更新:2014年08月23日 19:24