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ウホッ!いい神父

「……困ったことになりましたね」

薄暗い船内の中の、限られた明るい場所の中に、自分はいた。
一体、ここはどこなのか。そして、自分は何故こんなところに連れてこられているのか。
それに、あの白石と名乗った男の事。あの男が、何か重要なことを知っていそうな気がするのだが……。
奴がどこにいるか分からない以上、この事を聞きだすこともできない。

(あの男の事は一旦置いておいて、荷物を改めてみましょうか)

あの男の言うことに偽りがなければ、このバッグの中には携帯電話・メモと筆記用具・懐中電灯……。
それと、「ランダム支給品」なる物が入っているはずだ。このランダム支給品と言う物が、一番想像がつきにくい。
あの男は「殺し合いをしてもらう」と言った……と言う事は、このランダム支給品は「武器」である可能性が高い。

(私は殺しあう気なんてさらさらありませんが、中には殺し合いに乗ってしまう人もいるかもしれません)

そんな人に対して、何も武器を持たせないと言うのはこちらからするとありがたいが、あの男にとっては都合が悪い。
だから、そんな人の為に、危険な武器を用意している可能性がある。
この中に入っている物は、果たして何か。

「……確認してみないといけませんね……」

少々不安も残るが、意を決してデイパックを逆さにして中身を机の上にブチ撒ける。
……机の上に転がる物は、携帯電話にメモとペン、懐中電灯に……青いツナギと袋ラーメン3つ。
この組み合わせ……何か意味がありそうだが、何もなさそうな気もする。
袋ラーメンは、至って普通のラーメンだし、ツナギも多少機械油のような臭いがするだけで変わった所はない。

(…………これは一体、どういうことなんでしょうか)

……正直に言えば、意味が分からないとしか言いようがない。
ツナギとラーメンの間には、何の接点も無いし、似たような所が存在するわけでも無い。

「……深く考えるのはここまでにしましょう」

この問題について、深く考えたところで答えは出ないだろう。こんなことより、考えるべき問題がある。
……自分を、どうやってこんなところまで連れてきたのか、と言うことだ。
自分が、こんな訳の分からない所に連れてこられる前は、確かにTさんと話していたはずなのに。
それに、自分の手の怪我も治っている。手でガラスを割った後に、素手でノコギリを受け止めたのだ。
結構な時間をかけて治療しなければ、治らないほどの怪我だったのだが、何故か治っている。

(……何だか、とてつもない物を感じますね……どうも、一筋縄じゃいかないようですね)








「参ったな……殺し合いとは」

薄暗い船の中で、数少ない明るい場所である操舵室。いい男、阿部高和はそこにいた。
確か自分はあのときハッテン場のトイレで、通りがかった学生と(検閲)していたはずだったのだが。
気がついたら妙な場所に集められて、別にいい男でも無い奴の話を聞かされてそ、意識が遠のいて。
再度気がついたらここで倒れていた……今、自分の背負っているバッグと共に。

(この中には……銃が1丁とその予備の弾、そしてライターと煙草が入っていた)

煙草はともかく、この銃は……。まず間違い無く、これで俺達に「殺しあえ」と言う事だろう……。
誰かも知らないような奴にいきなり殺しあえなんて言われて、はいそうですかと頷くような馬鹿はそういない。
あの男が言ったルールの中に「願いを叶える権利」なんてのもあるが、それも眉唾モノだ。
もしも誰かが生き残り、その人が、大事な人を生き返らせてくれ、なんて言った時にはどうするつもりだ?

(……俺は人殺しなんてする気はないが……もしかしたら……俺も命を狙われるかもな)

俺に襲い掛かってくる奴が男なら、とっつかまえてトイレに連れ込んでやろう。
女だったら……とりあえず、縛っておけばいいだろう。そうすれば他の奴に襲い掛かることもない。
とりあえず、自分は人を殺す気なんてない。わざわざ、自分から人の道を外れることもないだろう。

(となると……人を集める方がいいな。特に、いい男を……)

人を集めるにしても、いい男が多い方が自分としてもありがたい……が、普通の男や女を除者にする気はない。
顔がいいからと言って、性格までいい男とは限らない。
顔は良くても腹黒くて裏で何考えてるか分からないような輩は、こちらから願い下げだ。
そんな奴、(検閲)した所で気持ちよくもなんともない。

(とりあえず、この船から出るか……何かありそうもないしな)

そう思って、操舵室を出ようとしたその時。
……電話のコール音が、いきなり部屋に鳴り響いた。
一体どこから?と思ったが、すぐに電話の受話器が目に付いた。誰かが、ここに電話をかけているのだろうか?
でも、この電話は見た所内線電話のようだが……つまり、この船の何処かから誰かが電話をかけていることになる。

(受話器を取ってみるか?それとも、放置するか?)

もし、この電話の主が、自分と同様に殺し合いに反対する人間であったなら……またとないチャンスだ。
上手く行けば一緒に行動する約束も取り付けられるだろうし、いろいろメリットもあるだろう。
しかし、電話の主が危険人物であったらどうするか?
おそらくこの電話は内線電話だろうから、電話に出たら自分の居場所がバレてしまう。
そうなると、いろいろと面倒なことになってしまう。

(……いちかばちか、取ってみるか)

受話器を取り、ゆっくりと耳に当てる。
……聞こえてきたのは、思っていた物とは違う、優しそうな声だった。

『……良かった、通じてくれましたか』
「一体、あんた誰だ?名を名乗ってくれないか」
『申し遅れました。私は教会で育ったKと申します』
「K……?俺は、阿部高和だ」
『阿部高和さんですか……こうやって受話器を取っていると言う事は、今貴方は、操舵室にいるんですね?』
「ああ。合流するか?」
『そうしましょう。今から向かいますので、少々お待ち下さい』








その少し後、特にトラブルも無く、Kさんと合流することができた。
声だけでも薄々感じてはいたが、やはり実物を見ると分かる。このKさんとやら、かなりのいい男だ……。
しかし、どことなく手を出しづらい雰囲気が。服も、なんだか神父が着る様な服を着ているし。
もしかして、神父やそれに準ずる職業なのだろうか?だとすると、この手を出しづらい雰囲気も頷ける。

「……こうして無事に合流出来た事ですし、一旦持ち物を確認してみませんか?」
「ああ、俺は構わないよ」
「それでは私から。私の所持品は……このツナギと袋ラーメンですね」

そう言ってKさんが取り出したツナギは……間違い無く自分の持っている、予備のツナギだった。
しかし、アレは自分の家に置いてあるはずだ、なぜこんな所にあるのだろうか?
もしかして、自分の家から盗み出されたのだろうか。昨日の夜までは確かにあったのだが。

「そのツナギ、俺のなんだが……何で持ってる?」
「ああ、貴方の物でしたか。でしたらお返しした方がいいですね」
「あぁ、今はいいよ。後でも十分だ」

相手が見せたのだから、今度はこちらが見せる番だろう。
自分の持つ銃と予備の弾、それにタバコとライターも隠さずに出す。
ここで変に出すのを渋ったり、出すことを拒否したり、隠したりするのは良くない。疑いの種を出したくは無いのだ。

「銃……ですか」
「ああ……おもちゃなんかじゃない、本物の銃のようだ」
「こんな物を使う事なんて、なければよいのですが」


【一日目・深夜/H-5:ブライトウィン号・操舵室】
【教会育ちのKさん@オカルト・ネタ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、阿部さんのツナギ@ヤマジュン、即席ラーメン@MGS3
[思考・行動]
基本:殺し合いなどせず、このゲームから脱出する
1:銃なんて物騒な物、使う機会がなければよいのですが
2:これからどこへ向かいましょうか?

【阿部高和@ヤマジュン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、H&K USP(15/15)、予備マガジン×3、阿部倉司の煙草@SIREN2
      阿部倉司のライター@SIREN2
[思考・行動]
基本:殺し合いなんてする気は無い。いい男と(検閲)したい。
1:物騒なもんを手に入れちまったもんだ……
2:Kさんもいい男なんだがな

≪支給品紹介≫
【阿部さんのツナギ@ヤマジュン】
教会育ちのKさんに支給。
かの有名ないい男、阿部さん愛用の青いツナギ。

【即席ラーメン@MGS3】
教会育ちのKさんに支給。
入手できる食料の中で、数少ない腐らない食べ物。
回復量もカロリーメイトと並ぶほどの量で、スタミナ回復としてはかなり優秀。

【阿部倉司の煙草、ライター@SIREN2】
両方とも阿部高和に支給。
タバコ:銘柄は「オカピー・マイルド」。タール44mg・ニコチン4.4mgとかなりキツい煙草。
     しかも、これで「マイルド」なのだから……。ビニールケースに挟まっていた名刺は、抜き取られている。
ライター:阿部倉司愛用のヴィンテージオイルライター。炎を模したキャラクターの図案が入っている。
      表面に、焼き焦げたような汚れと犬の噛み跡らしきものがついている。


堅い体、脆い心 投下順 ブラック★コックシューター
GAME START 教会育ちのKさん 忍び寄る気づかぬ恐怖
GAME START 阿部高和

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最終更新:2012年08月19日 22:08
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