「……ううっ……ここは……」
気がつくと、自分はまた見知らぬ場所にいた。
少しの間、寝起きと言うのもあってぼーっとしていたが、ハッと我に帰って首に手を当ててみる。
……あの首輪が自分の首に付いている。やっぱり、これはまぎれもない現実なのか。
そう思うと、絶望と恐怖で自然と涙が溢れてくる。大粒の涙が、頬を伝って地面に落ちて行く。
(死にたくない………!)
何故、自分がこんなことに巻き込まれているのだろう。何もしていない自分が、何故。
訳の分からない所に連れてこられて、殺しあえなんて言われて、訳の分からない所に放り出されて。
自分はまだ21だ。まだ、やりたいことが沢山残ってる。なのに、こんなところで死ぬのだろうか。
……いいや、自分はまだ死ぬわけにはいかない。だけど、人を殺して生き残る度胸もない。
「……武器、武器があれば……」
武器があれば、少しは役に立つかもしれない。
もし武器があれば、それだけで相手への威圧になる。危ない人も、追い払えるかもしれない。
だが、あまり強すぎても困る。もし追い払おうとした時に、間違って殺すなんて事になったら大変だ。
誰も傷つけたくない。例え悪人でも、傷付けたら悪人と同レベルになってしまう。
そんな思いの中、出てきた武器は。
「……何だろう……この黒い服」
出てきたのは、黒い服。ところどころに、変な物がくっついていて、なんだか変わった服だ。
しかも、形状から考えるにほぼ全身を覆うサイズの服だと言うことが分かった。
「……着てみるしか、無いのかな」
時間はかかったが、黒い服を着ることが出来た。最初に着ようとした時は、なぜか上手く着ることができなかった。
もしかしたら、下には何も着てはいけないのだろうか?と思って地肌に直接着てみたら、今度は着ることができた。
それにしても、見た目以上に体にフィットしている感覚だ。まるで、オーダーメイドしたみたいに。
(最近、体を採寸された覚えは無いけど……恥ずかしいから上から服着よう……)
黒い服の上から服を着直した後、携帯で「名簿」とか言う物を見てみた。だが、知り合いの名前は載っていなかった。
知り合いが巻き込まれてなくてよかった……と安堵する半面、気になる名前もあった――ネイキッド・スネーク。
自分もよくプレイしていたゲーム……「メタルギアソリッド3」の主人公であり、未来の話にも絡む重要人物。
そんな人が、こんなところに……?第一、スネークはゲームのキャラクターだ。現実には存在しない。
架空の人物を、現実の世界に呼ぶことなんて、いくらなんでも不可能なんじゃ……。
「ザ・ボスも呼ばれてる……」
122 名前: ◆6LQfwU/9.M [sage] 投稿日:2011/11/17(木) 23:47:56.17 ID:2PfJIKg7 [7/11]
でも、あくまで確認できるのは「名前」だけ。本当に本人なのかは、今の時点では分からない。
もしかしたら、同姓同名の別人かもしれない……こんな出来過ぎた偶然が、ありえるかどうかは別として。
とにかく、本人に会うしか、確かめる方法はない。スネークなら、こんな馬鹿げたゲームで人を殺めるはずがない。
(でも……怖くて、ここから動けそうにないよ……)
この黒い服が、自分の身を守ってくれるのだろうか?でも、身を守るには少々不安が残る。
この服と、自分が元々着ていた服を重ね着したことで、元よりかは体を守れるだろうが……。
もしも銃で撃たれたら、簡単に銃弾が服ごと自分の体を貫いて、簡単に自分の命を奪ってしまうだろう。
結局、この服の詳しい効果は一切分かっていないのだ。役にたつのか、役にたたないのかさえも。
せめて、これがどんな物かさえ分かってくれれば、少しは安心できるのだが……。
「……自分はどうすればいいんだ……」
いつまでもこんな所にいる訳にはいかない。
ルール説明の時も言われていた「禁止エリア」の問題もある。
禁止エリアの中に入ったら、首輪が爆発して死んでしまう。そんな事には、絶対なりたくない。
でも、禁止エリアができるのは2時間後、それまでにここを出ればいい……。
さっきよりかは気分も落ち着いたお陰で、今度は落ち着いて周りを観察することができた。
(ゲーセン……?)
……周りにはいろんなゲームが。そこまで詳しい訳ではないが、みんなピカピカの新品のようだ。
こんな状況でもなければ、遊んで行く所なのだが……。今は、そんな余裕なんて1つも無い。
いつ死ぬか分からないような状況で、のんびり遊んでいる人がいたら見てみたいものだ。
「……ミスった!!」
(ひえっ!?)
どこかから、誰かの怒号が聞こえてくる。近くに、誰かがいるんだろうか?流石に、空耳な訳ないだろうし。
とりあえず、ビクビクしながら声のした方に忍びよってみるが、やっぱり怖くて普通に歩いて向かえない。
仕方無く、四つん這いで這い寄る形になってしまった。
「ああ~もう……ノーダメクリア直前だったのに~」
……声の主は、かなり大柄で体格のいい男性だった。
そんな奴が、チマチマ格ゲーをやっているのだから、何だか笑えてきてしまう。
「……チッ、金が無くなりやがった」
(何か怖そうだなあ……声かけたくないなあ……)
「どっかに両替機ねえかな……ぶっ壊して小銭出してやる」
(すんごい物騒な事言ってるー!)
ますます、声をかけるのが怖くなってしまった。もしも自分がいるのが分かったら、ブン殴られそうで恐ろしい。
いや、ブン殴るだけで済んだら、まだマシかもしれない。
とにかく、相手がこっちに気づいていない内に、早くこの場を去ったほうが良さそうだ……。
そう思って、ゆっくり向こうに行こうと思っていた矢先。
「……おい、そこのガキ」
「ひええっ!?」
見つかってしまった……!!
このままではマズい。絶対にマズい。確実にマズい。
そう思ってはいるのだが、怖くて怖くて腰が抜けてしまった。足に力が入らず、立ち上がる事すら出来ない。
「あ、あわわわ、あわわ」
「何でそんなにビビってんだ?……まあ、気持ちは分からなくもねえがな」
「ひ、ひええ……」
「まあ落ち付けって。俺は、おめーにゃ何もしねえよ。その証拠にほら、何も持ってねえ」
そう言うと、大柄の男性は両手を上げて何も持っていない事を示す。
……確かに何も持ってはいないが、このガタイなら格闘でも十分に人を殺せそうだ……。
だが、自分に敵意が無いと言う事だけは分かった。
それでも、この圧倒的な体格の差は、やはり恐怖を感じさせる。
「お前、名前はなんて言うんだ?」
「は、はい?」
「名前だよ。あるだろ?名前」
「え……っと……宮村洋介、です」
「宮村……洋介ね。オッケー!じゃあ、俺も名乗るのが筋だな……俺は、名無しの権兵衛だ」
……ふざけているのだろうか?今の状況を考えると、あまり面白くないジョークだ。
それとも、本気で言っているのだろうか。だとしたら……かなり、クレイジーな人だ。
どちらにしても、あまりお近づきにはなりたくないのは変わりが無い。
「それ……本名ですか?」
「いいや、ただの仮名だぜ?本名は俺も覚えてねえんだよ。薬で記憶消えたんだよ」
「……僕の事、馬鹿にしてるんですか?」
「いやいや!マジだって。そのお陰で俺は名前や家族まで消えちまった」
どうにも信憑性に欠ける話だが、この話題を話す時だけ、どこかふざけたような表情から真面目な表情に変わっていた。
もしかしたら、本当の話かもしれない……が、こんな話をはいそうですかと信じられる気はしない。
真面目そうな顔をするだけなら、まんざら出来ない事でもないだろうし……。
「何でか説明してやるよ、信じてくれるかどうかは分かんねえがな」
◇
「……つー訳だ。信じてくれるか?」
「うーん……」
とある場所で行われていた、非人道的な人体実験。この人は、その実験台にされた内の1人らしい。
そして、たくさん打たれた薬の中で、一体どれが自分の記憶を失わせた物かは分からないが、とにかく記憶が消えた。
消えた名前の代わりに、「被験体01号」と呼ばれるようになった。何度か、名前を思い出そうとしたが、ことごとく失敗。
それからしばらくして、記憶と引き換えに超人的な力を得た……。話を纏めるとこんな感じだろうか。
……こんなSFじみたこと、本当に現実で起こっていいるのだろうか?
「超人的な力って、一体何なんですか?」
「ああ……皮膚をの硬さを任意で変えられるんだ。それが俺の力さ。あと怪力もある」
……これほどの証拠を出されては、信じざるをえない。と言うか、もう否定なんてできないラインに来ている。
でも、こんな大変な力の事を、こんな一般人に漏らしてしまっても大丈夫なのだろうか?
「秘密を知った」とかで、暗殺されたりするんじゃないだろうか……。
「ところで……俺と一緒に行かねえか?一人じゃ心細くてよ」
「え……ああ、僕は構いませんが」
「サンキュー。……喉乾いちまった。何か飲むか?あそこに自販機あるし、奢るぜ」
「え、いいんですか?」
「いいってことさ」
嬉しいと思う半面、1つ疑問が。さっき、「金が無くなった」と言っていたのに、どうやって買うつもりなのだろうか。
さっき言ったように、両替機を壊してお金を出すつもりなのだろうか……。
「よし、ちょっとあっち向いててくれ」
「どうしてですか?」
「いいから向いててくれ」
鬼気迫った顔で言われては、向こうを向かざるを得ない。逆らったら、自分がスクラップにされてしまいそうだ。
……何だか、後ろの方でもの凄い音がしている。まるで、何か堅い物を何度も殴っている様な。
振り向いて一体何をしようとしているのかも見てみたい。でも、振り向く勇気は自分には無い。
冷や汗を流しながら音が止まるのを待っていると、不意に肩を叩かれる。
「うわあっ」
「いちいちビビってんじゃねーよ。それより、ほれ。ブラックで良かったか?」
「あ……」
振り向いた自分の目に映っていた風景は……。
――グチャグチャに壊された自販機と、その辺りに散乱する缶ジュースやペットボトルだった。
【一日目・深夜/C-4:ゲームセンター】
【宮村洋介@
オリジナル】
[状態]:健康、驚き
[装備]:ガンツスーツ@GANTZ
[所持品]:支給品一式、不明支給品×1、缶コーヒー
[思考・行動]
基本:
殺し合いなんかしたくないし、死にたくもない。
1:……とんでもない人だ……
2:この服、役に立つのかな?
【被験体01号@オリジナル】
[状態]:健康、両腕硬化中
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、不明支給品×1、缶コーヒー
[思考・行動]
基本:殺しあう気なんてねえ。
1:何驚いてんだ……?
≪参加者紹介≫
【名前】 宮村洋介
【性別/年齢/職業】 男/21歳/学生
【特徴】 特になし。
【特殊能力】 無し
【能力説明】 能力が無いので、説明も無し。
【備考】 別段語る事もない、普通の学生。
【名前】 不明(被験体01号)
【性別/年齢/職業】 男/不明/無職
【特徴】 190cm以上の大柄なタイプ。顔は結構渋目。見た目から察するに、30代前半くらいと推測できる。
【特殊能力】 体の硬さを任意で変えることができる+怪力。
【能力説明】 体の部位であればどこでも硬さを変更できる。硬さは鋼鉄並みからゴム並みまで。
これを利用して、攻撃から身を守ったり、戦闘に役立てることもできる。
なお、これらの能力を補佐するために、怪力も備えられている。
【備考】 大量に打たれた薬のどれかのせいで、記憶が消失している。
その代わりに、「被験体01号」と言う名前を与えられた。
≪支給品紹介≫
【ガンツスーツ@GANTZ】
宮村洋介に支給。
着ると身体能力と防御力が飛躍的に上昇する。太ももの辺りにホルスターがある。
衝撃等から身を守ってくれたりする、が攻撃を受けすぎるとスーツが機能停止し、身体能力等が元に戻ってしまう。
最終更新:2012年04月08日 22:37