【体育館付近】
○
茶畑のヤローが死んだ。
ただ俺はそれが悔しいわけではない。
なんかどうにもあいつのことは好きになれなかった。
それだけはよくわかんねーけど覚えてる。
けれどヤローの死は俺にとって火を付けた。
コーチョーは絶対許さない……と。
俺はそう決意したんだ。
○
ところで、一つ。
俺たちはなにも黙ってコーチョーの話を聞いていた訳ではない。
「ったく、ケーサツってのは本当こういうときに役にたたねぇな」
試みたのがケーサツに電話。
当然じゃね?
だってよ、いきなりコーチョーが頭とち狂って訳分かんねえこと言い出したんだぞ?
電話すんに決まってんじゃん。
「けれど生憎の≪おかけになった電話番号は現在使われておりません≫だって、笑っちまうぜ」
110番はどこいった。
間違えるわけねえしな、あんな電話番号。
二回やってみたが結果は変わらず。
流石にそれ以上はコーチョーに疑われたので止めておいた。
憂鬱ってレベルじゃねーぜ。ったくよ………。
まあ、よお。
「………まずはやっぱ仲間との合流だよな」
俺は今。
怖くないかと言われたら勿論のことウソになるし。
本来であれば俺は今すぐにでも実家に帰ってニートとして暮らしたい。
けれどそれは駄目なんだ。
守りたい人もいるしな。
簡単には、挫けちゃいけねぇよなあ!
「うっし、いっちょやったりまか」
そうして俺。
白神康平は、片思いの相手。
灰田詩織を救いたいがために、自己満足の旅へと歩みだした。
だが。
そんなときに一つ異変を身に感じた。
風を切る音。
それが微かに鼓膜に響く。
何かと思い、振り返るとそこには。
「―――――ぁあ?」
特に仲が良かったわけではないけれど、
それでも一年間一緒には過ごしていた、仲間の姿が。
そして、気付いた時には
振り向いた俺の顔の眉間に、一本の矢が顔と垂直になるように刺さっていた。
「ヤ、お久しぶりだね。白神委員長」
「テメェは………っ!」
「私かい? 私はご察しの通り金居哲一だ」
「―――――ところで一つ。白神委員長」
「死んだくれはしないかい?」
最期に、そんな声が聞こえた。
【白神康平:死亡】
○
私、金居哲一は非常に困った状況下にあった。
昨日までは平凡に一高校生としてその職務を果たしていた訳なのだが、
何やら唐突に
殺し合いをしろとのこと。
勿論のこと、私は乗る理由なんか無いし、寧ろ乗らない方が普通だともいえる。
けれど私は乗ることに決めた。
理由は簡単だ。
生きていきたいからだ。
それ以外何があろう。
怖いのだ、私だって。
それにこんな自分が嫌になるが、どうにもクラスメイトを信用していない。
一年間共にしたというのにもかかわらず、それは事実。
そんな私の心内環境を察してか、はたまた空気の読めない馬鹿なのか。
私に配布させられたのは、狩猟用の厳ついクロスボウ。
御蔭さまで私は吹っ切れることになった。
―――これがあれば、なんて今でこそ馬鹿げたと思えるほど幼稚な考えを以て白神委員長を殺す。
あぁ、血が。
血が私の足もとまでの伸びてくる。
止めてくれよ。
まるで私を責める様にそんなのこちらに向かわせるなよ。
「―――――――くそっ」
私はダッシュでその場を去った。
軽快な足音が私の耳に届く。彼の耳にはもう届かない。
あぁ。やはり前々から感じてはいたが、やはりその通りだったらしい。
「私は生憎ながら
ヒーローとしては向いてないな――――悪役にもなれないし」
私は。
そんな私は。
一体人を殺してまで何で生きたいのだろうか。
人を殺して、そんな気持ちを噛みしめる。
人を殺してなお、私はそんなことで迷っていた。
太陽が、嫌味なまでに眩しい一日だ。
最終更新:2011年11月24日 18:55