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【プール付近】
○
ぁあ、だるい。
わたしは思う、空を見上げながら。
ぼんやりと、呆然と。
今、どこか遠いところで銃声が鳴った。
いやー、夢じゃないんすよねー。
まあどっちでもいいんだけど。
ところでひとつ。
わたしは今までにがむしゃらになってまで頑張ったことなんて一度もなかった。
たとえばこの狼煙ヶ丘学園の受験だってそう。
妥協に妥協を重ね、怠惰と怠惰を掛け合わせ。
結果的に勉強しなくとも入れるような中級の高校を喜んで志望した。
その応報からなんかよくもわかんねー無茶苦茶な騒ぎに巻き込まれたんだけど。
閑話の休題。
つまるところわたしは無気力な人間なんだ。
なにをするにも、一度挫折し。
どうしようにも、一回頓挫し。
生きてるのすら、つらいときも多々ある。
現に今わたしはつらい。
息をするのさえおっこうとなっちゃって。
だからわたしの目には希望なんてなく、ただただ絶望―――もしくは。
まあいいや。
考えるもだるさの極みだ。
うん、そうよね。
どうせ生きてたっていいことないし。
受験だって面倒くさいし。
願いすらもつのも一手間だし。
うん、いつも通りにいきましょう。
「うっし、覚悟は決まったわ」
そして、
一本のサバイバルナイフを握り直し。
一つの目標に突きつける。
さすがに、汗ばむ。
油断していると、ナイフが落ちてしまいそう。
「はあ」
ため息をつく。
わたしは今頃なにやってんだ。
さっさと殺せばいいのに。
そしたらきっと楽になるんだから。
さあ、やりましょうか。
躊躇わず、ひとおもいに。
ふ。
これで、すべてが終わるから。
そしてわたしは、自分の喉を深く――深く斬りさいた。
【黒岩鉄子:死亡】
○
驚いた。
さすがの俺も驚いた。
女子更衣室から悠々と抜け出してみたら、あらま不思議。
元同級生の黒岩鉄子さんが喉を掻っ切って死んでいるではございませんか。
「こりゃあひでぇ」
思わず感嘆の声を漏らしてしまう。
普通人ってもんは自殺なんて簡単に出来やしない。
だからこそ昔、武士の時代に切腹をしようと考えりゃあ、死にきれなかった人間の為に始末人がいるんだ。
そもそも腹に刀を刺した時点で、相当の激痛で横に切り裂くなど難関も難関に違いない。
「まっ、ご愁傷さまってことで」
と言う訳で俺は、鉄子んとこにいって、黒色のディパックを拾い上げる。
ついでにこいつのもってるナイフもな。
俺の支給品はメダル。ゲーム用メダル、何に使えってんだ。
というわけでさておいて。
俺もいっけん悲しんでいない様に視えるがそれは大きな間違えである。
違うんだ、俺の話を聞いてくれ。
俺は――――慣れたんだ、人の死に。
たった一回―――いや二回か。
ともあれ俺は、貴則の死を以て死になれた。
いっつも俺はそうだった。
どんなときでも、どんなことでも。
一回やればできちまう。
たとえば、スポーツ。
たとえば、芸術創作。
たとえば、勉強。
まあ数え上げたらきりが無い。
慣れて、やれる。
そんな単純なこと。
ただそれだけともいえる。
所謂、適応能力がずば抜けて高いのが俺。
つまり今、俺が女子更衣室から出てきたのにだって理由があってだな。
…………。
まあ、んな感じで。
俺は良く分からないが、
殺し合いと言うものに参加させられた。
だが乗るつもりもない。
逆に言えば乗らないつもりもない。
攻撃されたら、殺しちゃうかもしれないし。
勧誘されたら、仲間になるのかもしれないし。
それは周りの環境次第だけど。
ま、何はともあれだ。
そんなわけで俺の語り部タイムは終了終了。
最後、鉄子に一瞥してから、俺はその場を立ち去った。
最終更新:2011年11月27日 12:25