22話 目醒めた力体を駆け巡る
【1】
「……仕方ない、少し探索するか」
◆xzYb/YHTdIの頭に包帯を巻いて、クルトは立ち上がった。
ここに置いておくのは得策ではないので、隠しておくことにしておく。
「しかし、こんな場所見たことないな…外国の物か?」
彼の国では工場と言う物は無い。
あるにはあるが、現代のような場所ではない。
これが世代の違いというものだろうか。
「……部屋が大量にある、か…一部屋づつ調べていくのが良いか…?」
クルトは控え室、というより裏部屋に入り込んだ。
データ管理室、医務室、といった色々な場所がある。
一番近くの部屋に入る。
給湯室、ただコンロと机があるだけだ。
正直言って何もないだろうが探索する。
コンロの下にある棚にも何もなく、結局収穫は無かった。
他、仮眠室やら会議室、事務所、ロッカー室、食堂など…。
探索しても武器など見つからず。
結局発見したのは食料、水、雑誌などなど。
四角の箱に何かが並んでいるものやら…。
彼にとっては新鮮なものだった。
そして、彼はいま一つの扉の前にいる。
「……医務室か…ここならきっと」
医療用具、その中でも鎮痛剤と言った物もあるだろう。
そういうものはこういう場所では必須であろう。
彼はドアに手をかける。
扉が少し開く。
少しづつ開いて、中が見える。
「…ッ―――ハァ!」
空気を切り裂いた。
クルトの目の前を足が通った。
少しでも反応が遅かったら喰らっていただろう。
だが、来るとも圧倒的不利を切り抜けてきた軍人だ。
一瞬で視界にその蹴って来た人間を入れる。
紅いコートを着た女性、特徴はそれのみ。
武器は右手に持っている拳銃のみ。
この相手は近距離戦の方が良い。
それを一瞬で判断して、一気に近づく。
もう一度繰り出される蹴りを右手で受け止める。
そして、右手で持っているガリアン-1を突き付ける。
向こうもこちらに拳銃を突きつけて、膠着状態になった。
「………」
「………」
二人とも黙ってしまう。
一瞬でも気を緩めれば、撃たれるだろう。
クルトはふと部屋の奥を見た。
そこには横になっている女性が一人。
「……そこの女性は、貴方が治療したのか?」
「そうよ…」
「じゃあ一つ頼みがある…実は一人怪我した人間がいる…連れてきていいか?」
「……ご自由に」
クルトは銃を構えるのをやめて後ろを向いた。
咲夜はホッとして銃をしまった。
彼はきっと、
殺し合いに乗っていない。
目が人を殺すような人間ではなかった。
とはいっても、小学生の自分がどうこう言えないのだが。
「……え?」
咲夜はふと外を見て、ある『物』を見てしまった。
緑色の肌をした化物を。
【2】
「…あれ」
◆xzYb/YHTdIが目を覚ました時、辺りは暗かった。
頭に違和感があり、何かが巻かれているような感じがする。
彼はふと思った。
ああ、これはきっと天国か地獄に行ったんだな。
だって頭打たれたんだぜ?
って、言うかなんか記憶が戻ってきた。
頭を殴られて…そうだ。
「……僕、死んでないじゃん」
てっきり死んだかと思った。
だってそうじゃん、僕前回もこんな目に遭ってるじゃん。
っていうか、ここはどこだよ。
「………ベルトコンベアに運ばれた先みたいな場所か…って危ないな!あ祝する奴で誤作動したら死んでたよ!」
ミンチエンドなんて嫌だよ!
元の遺体も残っていないじゃん!
人生はベルトコンベアのように流れる。
そして僕も流れてミンチになりました。
めでたしめでたし。
「ってめでたくねえよ!」
「ああ、起きていたか…大丈夫か?」
すると僕は見知らぬ人に声を掛けられていた。
「えーっと、だれでしょうか」
「No.7だ」
「セブン……?偽名ですか?」
「……仕方ないが、これは軍規だからな…」
「えーっと、話は変わりますが…僕を助けてくれたのはあなたですか?」
「…そういうことだな」
「じゃあ、名前を教えてもらえませんか?命の恩人の名前くらい知りたいので」
「………クルト・アーウィングだ」
「クルトさん…ですね、改めて言います。感謝します」
「…ああ、気にするな」
クルトはその会話を止めて話を切り出した。
「実は…信頼できそうな人間を見つけたから行くんだが…来るか?」
「…そうですね、よければ…ついて行きます」
「そうか、じゃあ来てくれ」
その時二人は気付いてなかった。
近付いている『化物』に。
【3】
「…!8n氏!」
◆xzYb/YHTdIは医務室に来てすぐに反応した。
そこには倒れている◆8nn53GQqtYの姿があったからだ。
「…感動の再会の中でしょうけど、ちょっと緊急事態よ」
「?」
「外を見れば分かるわ」
◆xzYb/YHTdIは外を見た。
そして一瞬で顔を青くした。
先ほど咲夜が見た『物』がそこにあった。
「…なんですか、アレ」
「貴方は隠れてて…えーっと、名前は?」
「クルト…だ」
「結局普通に名乗るんですね」
「気にするな、この場ではその方が得策だと思っただけだ」
「分かったわ…クルトさん、あれを倒すのを手伝って」
「……何故だ?殺す必要はないと見受けるが」
「あなたは見てないでしょうが、炎を出していたわ…しかも、何もない所に」
「……つまり、どういうことだってばよ?」
「結果的に言えば、異能力を使っていて…暴れているという所でしょうね」
「そうだな…敵は始末するしかないのか…説得はするべきだが、聞く書くるつはほぼ無いしな」
クルトは武器を持った。
咲夜もFNハイパワーを構える。
「お前は隠れていろ」
◆xzYb/YHTdIも動き出そうとするが、止められた。
それに納得のいかない顔を見せる。
彼はなぜだ…と聞こうとする。
「何故、とでも言いたそうな顔だな、残念ながらこの場に一般人を巻き込むわけにはいかない。
この人は先ほど戦ったときに分かったが、只者ではない、だから協力する。
お前はここに隠れてこの女の人を見ていてくれ」
◆xzYb/YHTdIは納得のいかない顔をしながら座った。
そして、最後に一言だけ言い放つ。
「絶対に生きて帰ってきてください」
「……勿論だ」
クルトは部屋から出て行き、◆xzYb/YHTdIは黙りこんだ。
ただ二人の無事のみを祈って。
【4】
「………」
クルトは陰から相手を見ていた。
炎を繰り出すという不可思議な能力。
ヴァルキュリアの力というものを目の当たりにした時ももんな感じだったかもしれない。
「サクヤ、俺が引きつける間に撃ってくれ」
「いいの?炎を出すような危険な奴よ」
「こんなことで恐れるようじゃ軍人失格なのでな、では行くぞ」
クルトはガリアンを化物に発砲する。
しかし遠距離では当たらず気付かれるだけとなる。
クルトは走り出す。
接近すれば炎が容赦なく自分を襲うだろう。
それを感知してか敵と距離を取っている。
「…動くなら今か」
一気に化物に近づく。
それを見て化物は焦りもせずに炎の弾幕を張る。
クルトはそれを転びながらかわす。
パァン――気味のいい音が響く。
クルトが化物の足を撃ったからだ。
それを確認したクルトは距離を取る。
これで動きは鈍るだろう。
これでこちらが圧倒的有利になる。
血が流れ出している点から攻撃は通じているはずだ。
しかし、そんな常識は通じない。
化物は鈍って動かなくなるどころかこちらに迫ってくる。
足から流れる血は炎となる。
「何故だ……足を撃ったはずだ、それに…血が、炎に――?」
これほどの衝撃は初めてだ。
ヴァルキュリアを見た時よりも驚きだ。
まさか攻撃すればするほど追い込まれるなど誰が思うか。
相手は不死身なのか…?
いや、あり得ない…そんな事があるはずが無い。
攻撃が通らないのではなく、当たってもなかった事にするのか?
「危ない!」
横から声が聞こえる。
それを聞いてやっと我に返った。
だが、それは彼にとって幸か不幸か。
目の前に迫る炎。
地面をそってこちらに向かっていた。
避けれない、反応が間に合わない。
クルトは、始めて死と言う物を覚悟した。
「はああああああああああああああああああ!!」
だが、横から衝撃が襲う。
その勢いに任せて吹き飛ばされる。
普段なら怒るべき所だが感謝しなくてはいけない。
だが、この状況は違う。
そして、クルトは気付いた。
自分の代わりに燃やされている少女の存在に。
「う、があああああああああああああ!」
彼女は炎の中から脱出するが、そのまま動いていない。
死んだのか、気絶しているのかは分からなかった。
だが、そんなことを考えている余裕はなかった。
怒りにまかせてはいけない。
そうは思いながらも、怒りがおさまらない。
「うおおおおおおおおおおおおお!」
体当たりして、倒れこませる。
それはただの馬鹿な行為にすぎなかった。
もしこの状況で炎を出されたら、クルトは死ぬ。
だが、もう他に策は無い。
「喰らえ!」
ガリアン-1を額に押し付ける。
もし攻撃が通るなら、これしか方法が無い。
それが無理なら、もう死しかないのだろう。
だが、今までだってどうにでもなった。
右手の人差指に力が入る。
それとともに伝わる感触。
確かに発砲した。
だが、決着はつかなかった。
その化物は起き上がり、炎を出す構えを取る。
ああ、もうここまでか。
数々の作戦を切り抜けてきた彼でも、この状況は切り抜けられなかった。
もし相手が常人レベルなら余裕の勝利だっただろう。
もし相手が強敵程度なら普通の勝利だっただろう。
もし相手が常識的な化物なら辛勝だっただろう。
だが、相手は化物だ。
人外だ。
人害だ。
尽害だ。
もう手のつけようが無い。
彼の尽くせる手は尽くした。
万策尽きる、まさにその言葉が似合っていた。
彼にはもう策は無い、もし何かが起きない限り。
その何かが起きる確率なんて何百回のうちの数回だろう。
パスッ―――
気の抜ける音とともに、目の前の化物が苦しみ始めた。
何か分からなかったが、好機と考えたクルトは弾切れのガリアンを捨ててFNハイパワーを拾い、撃った。
肺に当たって、今までで一番出血の量が多い事に気付いた。
「クルトさん!援護します!」
工場の中から声が聞こえる。
拳銃を持った◆xzYb/YHTdIだった。
「おい!なんでお前が持っている!あと、なぜこいつがこうなっている!」
「この銃弾には何かを抑制する力があるっぽいんです!
しかも反動が全然ないから当てれたし撃てたんですよ!」
「良く分からないが感謝する!後何発残っている!」
「29発です!」
「よし、じゃあこいつに止めを刺す!こいつに撃て!」
クルトはFNハイパワーを撃つ。
これも普通の人間と同じ出血量だ。
再び◆xzYb/YHTdIの援護が来るが、今度は外れる。
初心者なので仕方ないが、当ててほしいものだ。
「仕方ないじゃないですか!俺撃ったことなんてないんですから!」
「仕方ないがと補足してある!」
しかしなぜ心の声が聞こえるのか。
そう少し思ったころに◆xzYb/YHTdIが撃った弾は化物に当たった。
「ッ!今だ!」
パァン、パァン、パァン
弾丸は全て化物の顔に当たる。
「……ウ、ォオオ、のびた…さ…」
決着はついた。
あれほど苦戦した戦いは、一つの転機により圧倒的有利に変わった。
化物だった彼女…源静香は泣いていた。
それは悲しみの涙か、苦しみの涙か。
分かる唯一の人物は今この場で逝ったのである。
【源静香@ドラえもんのび太のBIOHAZARD G2版 死亡】
【残り 74人】
【5】
「……く、ここ…は?」
「8n氏、大丈夫ですか?」
「ッ…!xz氏?なんでここに」
「咲夜さんが…と、言っても分かるのかな?8n氏を助けた人と会って…看病していた」
「そう…ありがと、xz氏…で、ここは?」
「工場だそうだ…もうすぐクルトさんと咲夜さんが…」
◆xzYb/YHTdIが話していると丁度扉が開いた。
気絶している咲夜を背負って、クルトが帰って来た。
「あの…咲夜さんは…」
「大丈夫だ、気絶しているだけだ」
「良かった…」
「む、起きたのか…体に違和感などは無いか?」
「え、あ…はい、大丈夫です」
自分に振られるとは思っていなかったのか、◆8nn53GQqtYは詰まりながら答えていた。
二人は気付いていないが…彼女は殺し合いに乗っている。
◆xzYb/YHTdIは特に気付かないだろう。
信頼できる人物が乗るという事が。
「とりあえず、彼女が起きるまでは俺はここについている…
君たち二人はこの工場を探索してほしい」
「はい、分かりました…行きましょう、8n氏」
「ああ、うん」
二人とも部屋から出ていった。
そして、一人と気絶した彼女だけ残った部屋で呟いた。
「……何故、あの炎に焼かれて死んでいないんだ?
いや、死なないのはまだあり得る…だが、何故……」
クルトはかみしめながら行った。
その奇想天外、奇々怪々な出来事を。
「火傷が、治っているんだ」
【真昼/C-4工場】
【◆8nn53GQqtY@非リレー書き手】
[状態]健康
[装備]
[所持品]基本支給品、不明支給品(1~2)
[思考・行動]
基本:他人を利用して優勝する
1:とりあえず使える物を探す
2:書き手さんでも容赦しない
[備考]
※DOL3rd死亡後からの参戦です。
※二次元の知識は覚えている部分と忘れている部分があります。
【◆xzYb/YHTdI@非リレー書き手】
[状態]頭に治療痕、他はいたって健康
[装備]アンプル・シューター(1/1)@のびハザG2
[所持品]基本支給品、デイライト(25)
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない
1:とりあえず使える物を探す
2:書き手さんを見つけたい
[備考]
※DOL3rd死亡後からの参戦です。
※二次元の知識は覚えている部分と忘れている部分があります。
【真昼/C-4工場医務室】
【クルト・アーウィング@戦場のヴァルキュリア3】
[状態]健康
[装備]ガリアン-1@戦場のヴァルキュリア3(5/5)
[所持品]基本支給品、ガリアン-1の弾(5)、食料、水、雑誌(種類不明)
[思考・行動]
基本:このバトルロワイアルを止める。
1:…何故だ?
2:リアラとイムカと合流…グスルグとダハウは?
3:呪いをどうにかして解きたい。
[備考]
※17章「軍法会議」終了後からの参戦です。
【6】
これは後日譚ではないけれど今回の締め。
彼女にはとある特徴があった。
『Gウイルスの適合者』
あの街からの脱出で、彼女はウイルスを体に潜ませていた。
そのウイルスを彼女は解放した。
彼女は正真正銘の化物になった。
それは幸か不幸か。
それは誰にも分からない。
【真昼/C-4工場医務室】
【桜井咲夜@ドラえもんのび太のBIO HAZARD G2版】
[状態]気絶中、Gウイルス覚醒
[装備]FNハイパワー@現実(9/13)
[所持品]基本支給品、FNハイパワーのマガジン(2)、不明支給品(0~1)
[思考・行動]
基本:殺し合いの阻止。
1:この人が起きるまで待つ。
2:のび太君達と合流する。
[備考]
※本編開始前、飛行機に乗る前からの参戦です。
※Gウイルスが目覚めました。以下の状態となります。
○怪我の治りが早くなる
○筋肉量の増加
他にも増える可能性があります。
最終更新:2011年11月27日 17:00