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無題――――NoTitle――――

先に言っておこう。
おれは変態である。逃げも隠れもしない。おれは変態である。
どこぞの熊は言い逃れとして変態という名の紳士だとかほざいてやがったが、おれはあんな見苦しい真似はしない。
おれは言うなれば変態という名の変質者だ。
女子を見れば普通に欲情する至って健全な高校生。
小学生女子を見れば紺のスク水を着せてみたくなる。
中学生女子を見れば初ブラジャーを初々しく着用する姿を想像して悶える。
高校生女子を見ればぴっちりとした瑞々しい太ももを惜しげなく晒すブルマを履かせてみたくなる。
大学生女子を見れば普段ありのままの姿で慣れない大人の色気を放とうと努力している姿を観察してみたくなる。
それ以降も勿論見れば見るほど欲情の対象だ。
どんな後期高年齢者な老人のおばあさんであろうとおれは尊重する。

おれが性に興味を持ったのはなんのことはない。
当時中学生たるおれたちの義務を全うしたまでだ。
まあ、他の男子はそういうことを表沙汰にしたがらないけどおれはそういうことはしない。
おれは正面切って斬りこんでいく。
高校生たる他の女子の反応も楽しくて仕方がない。
おれはぶつのも好きだが、ぶたれるのも好ましい。脚色はあらず。快感さ。
いやー高一のときは真っ赤になりながら罵ってくれたものだが、最近は半分の人間は冷えた笑顔で「死んでくれ」って言ってくれる。
溜まらないよ、まったく。あの学校はおれのハーレムだ。元女子高からの共学ということもあり男子に比率も低い。
わざわざ苦労して頑張って勉強した甲斐があったというものだ。ん? ああ勿論大学の志望校はできるだけ女子の多い所に行こうかな、って。
で、だ。
そんな事はどうでもいい。
ていうかおれもその大学いけるかどうかが危うくなってきた。
別に成績な意味ではないさ。
違う、そうじゃない。
じゃあなにか。決まっている。

運命の仕業だ。

運命論、宿命論。
特別信じている訳ではないが時には肯定もする。まあ相対的に否定もするが。
殺し合い、表向きは共同生活。
何故ここで共同生活という設定を引っ張りだしたのかはおれには分からないが、そこはいいだろう。
問題は前者だよな。
殺し合い。まごうことなき殺し合い。
意味が分からなければ辞書をやる。今はないけど。

いや。
もっと正しく言うとそこまではいい。
それ以上に問題なのが―――――女の人までも参加しているって言うことだ。
したくもないが、最低限男を殺すことならやってやる。正当防衛。
繰り返すがおれは女性が大好きだ。愛している。詐欺にだって掛かってやろう。
女性であれば問答無用でおれの嫁だ。
おれは女性であれば無償の愛を捧げよう。無駄な恋に溺れよう。
女性が望むならおれはここにいる男を撲滅しよう。
女性が望むならおれはこの物語の頭を滅殺しよう。

宣言、及び義務だ。もしくは枷だ。
おれは女の味方でいよう。
正義の味方でも悪の味方でもなく。
善人を目指すわけでも悪人を志すわけでもなく。
偽善者になるわけでも偽悪者になるわけでもなく。
むろんペット、奴隷としては動かない。
おれがおれとして、自己証明のために、自分の心を支える為に。
女性に縋る形で、おれはおれの在り方を。
探し、求め、手に入れる。

おれがおれを決めたらそれはきっとおれじゃない。
きっと狂いに狂った、「おれ」を名乗る誰かなのだろう。

女好きの情けないヘタレがおれなんだ。
女好きの頼れるヒーローがおれなんだ。
騎士のように女に忠誠を尽くすのがおれなんだ。
戦士のように欲の為に薙ぎ倒すのがおれだから。


そんな。
変哲もない女性が大好きな人間の物語である。



 ♂♀



おれが目覚めたのは、海だった。
真夜中の海。
月日が差し込み煌く海面がおれの視界を奪う。

「…………はあ」

まず出たのが嘆息だった。
深い深い、だらけきった情けない溜息だ。
両手をを腰に当て、やれやれと格好つけた感じで首を振る。
おれのツンツンとした髪が少し揺れる。

「どうなってやがってんだか」

どうやらおれは言葉を出すことによって自意識を保っているらしい。
―――――言葉を切らせたら、何かが終わってしまう。そんな悪しき予感がして。
少しとはもったいぶらず、豪快におれは混乱しているらしい。誰かエスナを唱えてはくれないものかな。

「殺し合い―――ねえ」

言葉に出しても実感がわかない。
殺し合い、死ぬ。
どう思い描いたところでおれが死ぬ場面など想像が出来ない。
いや、こういうとなにやら自信家のように聞こえてしまうがただ単におれが平和ボケをしている、そう言う意味だ。
まあ平和ボケも何も、平和が崩れることなんて誰も想像だにしてなかっただろうが。違うな、この考え方が平和ボケか。
やれやれだぜ。……心境が心境だけにあまり格好も決まらないが。

と、おれは砂浜に座り込み、ディパックという支給されたバックを弄る。
なにやら中身が乱雑してたので、一先ず適当に紙の束を取り出した。
そこには「参加者名簿」と表紙に簡単に書かれて、あとは箇条書きで恐らくはあいうえお順で名前が並んである。
………ていうか並びすぎだろ。何だこの数。アホか? アホなのか?
なんでもっと小分けにしないの? 馬鹿なの? 馬鹿でしたか、そうでしたか、すいません。
……ともあれだ。
とりあえず、といった具合にお気楽におれは名簿を上から追う。
しかし、先が長い。一人目の名前ですでに挫折気味だ。なんだこれ、地獄か?
おれは文字が大っ嫌いなんだよ。あー、頭が痛くなってきやがった。

「とはいえな」

見なきゃ始まんないだろう。
もしかしたら、幾数億の確率でおれの知り合いがいると適わんし。
はいはい、見りゃいいんだろう。見りゃ。
誰とも知れず語るおれ格好いい、さすがそこに痺れる憧れるぅぅ! まあ自分に憧れてどうすんだ、って感じだが。

「で、だ。………えっと」

と、おれは読み進みていき、眠気も襲うイの塊に突入(無駄にアの塊が多かった気がする)。
えーと、次は飯島遥光。いいじまようこう。いいじま………ようこう。
……エート、ツギハ。

「って、まてまてまて」

思わず声を出して無心の境地に踏み入ったおれを止める。
飯島遥光?
いや、アホか。アホなんだな。
主催はアホなのか? 馬鹿なのか? 死にたいのか?


そいつは、おれの彼女だろ。
永遠を誓った、永久の朋。盟友。そして恋人。


浮気性どころではないおれを支えてくれる。
無言のうちに支えてくれる、そんな女の子。見守ってくれる女の子。
それが!
それが、それが。
それが、それが、それが。
なんで、なんで、なんで。
なんで、なんで。
なんで!
ここに―――――いるんだっ!


「ふ、ざ、け、ん、なあああああああああああああああっっ!」


怒号。
迸り溢れかえる感情がこの身を支配する。
どうしようもなくリミッターは解除され、爆弾のように心情を破裂させる。
意味が分からない意味が分からない意味が分からない。
どうしてこうなったどうしてこうなったどうしてこうなった。

いやはや、この感情の起伏についていけない人もいるかもしれないが、おれはそう言う人間だ。
本能には逆らわない人間だから。
本能には逆らわない。
だから、このどうしようもなさをどう解消すればいいのか。
おれにはわかっている。

「………ぜってえ、殺す。あの二人を殺す。」

煮えたぎって殺してやる。
切り刻んで殺してやる。
見るに堪えなく殺してやる。

おれは血眼になり、名簿を乱暴に上から下へと走らせる。
イ、ウ、エ、オ、カ、キ、ク、ケと読み進めて(ちなみにおれの名前ももちろんあったが)、コの塊で、また手を止める。
そこに映るのは、一つの名前。


「国分……哲也………?」


いやいや。
いやいやいや。
ないない。
ないないない。

それだけはない。
確実に確定的に、おれは言える。

こいつだけは、ない。ありえない。

だってこいつ。
死んでるんだぜ? おれが三歳ぐらいの時に。
それまで仲良くやっていたと聞いたが、死んだのは事実だ。
どう足掻いたところで、それはない。
…………いや。

「………いや、まてよ」

そうだ。そうだよ。
一番可能性が高かった可能性を見落としてたわ。
同姓同名の別人なんだよ。いやー、おれとしたことが参ったね。
流石に恋人が載ってた直後だからかな。いやはや早とちりご苦労様ですってか。

ま、まあ。
うん、そういうことなんだよきっと。
だって死人が生き返るとか、おれの性格が真面目ちゃんになるのと同じだよ。

とりあえず、だ。
おれの当面の目標は、飯島遥光を探すことだ。
そして、女の子を守ることだ。

そして、そして。
女の子に、ここでのおれの動き方を指示してもらうんだ。
いや、そうでもしないと、おれは―――――おれは―――――。


おれでなくなる。




 ♂♀



その女の子。
勇気凛々と出遭ったのはそれから間もなくのことだった。


「こんばんわ、熊本潤平です」
「こんばんは、勇気凛々です」


至って平和的に、平和すぎて逆に何かあるんじゃないかと疑わせるぐらい、その出会いには悪意が無かった。
むろんのこと、おれは女の子を傷つけることはしない。それがたとえ殺し合いであっても。
だが、この少女は違うんじゃないか?
怯えるなり、竦むなり、疑ったり、妬んだり。
普通はそういうことをするもんじゃないのか?

この少女にはそれがない。
まるで、この世には慈愛しか満ちていない。
その揺るぎない信頼―――――いや押しつけを彼女は放っていた。
言わずもがな、まるでそう言ってるかのような錯覚すら覚える。

そんな姿を見て。
おれは―――――――。


「素敵過ぎるぜっっ! なんだこの愛おしい女神っ! なんだこれ、本当にこの世の生き物なのか!?」


途轍もなく愛でたくなった。
やっべぇぜ! やっべぇぜ! やっべぇぜ! テンション上がってきたぁぁぁあああああああああああああああっ!
んだよこん畜生、バトルロワイアルも捨てたもんじゃねえよ!
なんだこの可愛い生物、むぎゅうううううううううってしたい。
ていうかする! 決めたぜ。おれこの子についてくよ!

「むぎゅうううう、むぎゅううう、むぎゅううううううううううううううう!!」

柔らかい。この感触はきっと中学生だな。ふむ発育が良くて結構だ。
まあ発育無かったところでおれのまえでは些細な問題に過ぎないがな。
対し凛々ちゃんは。心地の良いの声で叫ぶ。

「い、いやっ、止めてくださいっ! くすぐったいですっ! おにいさん」

おにいさん。 ――――おにいさん!!
いいねいいねいいね。とことんこの子はおれのありまくるツボをおさえてくれるぜ。
ああもう、もうもうもう。この鈴みたいなおさげがキュート過ぎて泣けてくる。
え、彼女? ああ遥光なら大丈夫だよ、あっちもあっちて大概な奴なんだから。許しだってもらってるね。


「っていうかお、落ち着いてくださいおにいさん」
「おにいちゃんって呼んだらね」

無駄に凄む。
これがおれ。格好いいね。

「………はあ、おにいちゃん離してください、くすぐったいです」
「ベリーグッ!」

で、おれは約束通り凛々ちゃんを離す。そして爽やかな笑み。
約束を守らない男はどうかと思うぜ。男としてはやっぱ失格かな。
……あぁ、けど温もりが………。
っておよおよ心なしか凛々ちゃんの姿が若干遠くへ……。なにから遠ざかっているんだろう。おかしな子だなあ。

そんな事を思っていると凛々ちゃんの方から話を振ってきた。
どうやら最低限の威厳は消えていないらしい。幼女って素晴らしい。
しかしながら声色は若干疲れている様子で。
ぼくはなにもわるいことはしてないよ?

「はあ、まったくおにいさん……いえおにいちゃんは変態ですか」
「ああ、変態だ。またの名も変態だ」
「そこまで堂々と言われると対応に困りますね」

と、いいつつ溜息を吐いた。
いやはや苦労人って感じがまた可愛らしい。しかし何に苦労してるんだろうな。


そんな中。
おれは何かの予感を――――直感した。


「さて、おにいちゃんに問います」


予感は的中するもんだ。
凛々ちゃんの手には《剣》が握られている。
汗一つ。
おれは額からようやく流した。


興奮の汗だった。



 ♂♀



満月がおれを照らす。
だが、それは同時に彼女、勇気凛々ちゃんを照らすものでもある。
懐中電灯なんて、「無粋」なものとっとと降ろしたさ。

なんだこりゃ。
なんなんだよ、こりゃ。

「…………すげぇや」

思わず感嘆の声を漏らす。
この戦乙女は―――――――すごい。
《剣》だとか、《可愛い》だとか。
そんな事がどうでもよくなってくる。

この揺るぎない

「もう一度問いますよ。答えなければ、わかるはずです。おにいちゃん。
 ですから賢そうなおにいちゃんだからこそ、問いているんです。
 おにいちゃん。あなたにとっての《正義》はなんなんですか。わたしはそう問いています」

《正義》が心地悪い。
おれの前には正義なんて意味を成さない。
女性を前にしたらおれにとって正義なんてカスも同然だ。
だから、新鮮なのだ。
まだ、こんな生物がいたのか。

「このわたしにとっての《正義》は弱きを助け悪を挫く。善人は守りますが、悪人は斬らなければなりません。
 わたしの《正義》が直結して平和です。それがわたしの英雄論。英傑です」

それはまた高尚なモットーなことだ。
ただ、――――――――――それは、


「そりゃあ、また低俗なこった」


あんまりだ。
どこまでも杜撰でヒーローとは程遠い。

「それはまた酷い言いぶりを受けてしまいました。
 ………では、おにいちゃんの《正義》はなんなんですか?」

凛々ちゃんは、眉間に皺を寄せる。
声色は興味半分、怪訝さ半分。
それでもまだ剣を振るうことはない。おれはまだこの子の言うとこの《悪》ではないって証だろう。

「きみの英雄論は安っぽい。中学生らし過ぎるんだよ、きみの論は」
「もう一度言います、ならばあなたの《正義》とはなんなんですか」
「違うね、全然違う。そもそも《正義》なんて語っている時点でダメなんだよ。
 《正義》何て捨てちまえ。それは縛りにしかならない。不自由な生活をして何が楽しい」

言葉は返ってこない。
剣を地に突き刺しているまんまだ。

「《正義感》が救えるのは、自分だけだ。ごちゃごちゃ御託を並べるのは雑魚のすることさ」
「……つまりは何がいいたいのですか」

静かに言葉は返ってくる。だからおれは返す。

「きみの正義はきみの《正義》でしかないってことだよ。女性に運命を任せると決めたおれだが、
 きみの《正義》では間違っても動いていない。おれはおれの《目的》で動いている。
 そもそも《正義》と《目的》をまとめてる時点でそこで失敗してるんだよ、凛凛ちゃんの指針は」
「つまりは、わたしに対してなにをしろと」
「慌てるなよ、今はおれにスポットライトが当たってるんだぜ。横やりは無粋以外なにものでもない。
 きみはようするに善人を救いたいのだろう? だがそれはきみでいうところの善人だ。
 おれでいうところの善人とは違うかもしれない。たとえばおれみたいなのがいい例だろう。
 おれはおれを良しとしている。そして少なくともそれを良しとしている人を数人知ってる。だがきみにとってはどうなんだい」
「善人だとは―――思えませんね」

当然の答えが返ってきた。
だからおれも当然の答えを返す。

「だろうね。だがおれは無論ながらそれを由として動いている。
 当然これが《正義》だとは言わないさ。自覚している。だが、《悪》だとも思ってねぇよ。
 悪人になった覚えもねえし、人としては欲に生きて当たり前だろう」
「ですが、その欲に生きる為に犯罪者――――所謂悪人は絶えません。
 おにいちゃんだってそうです、あなたはいつか性犯罪でも起こしそうです」
「せ、性犯罪!? おいおい凛々ちゃん! おれはそんなことをしないよ!?
 肉体関係なんてもってのほかだよ! あんなの人間のすることじゃない。まったくどうしてこう人間ってのはあんな生殖しかねえんだろう」
「中途半端な変態さんですね」

呆れた口調で返す。
仕方ないじゃん。それをおれはしたくないんだから。

「いや、だってよう。犯すってことは少なからずそいつの領域に踏み入ってしまうんだよ。
 おれは怖いんだ。誰か一人に固執するなんて俺にはできないし、おれはすべての女性を愛したいんだぜ?」
「………まあ、そんな事はいいんです。話を戻しましょう。
 ですが、人は本能に任せれば、目一杯に狂うんですよ、おにいちゃん。
 誰もが本質的には善人では無かれ、「いい人」、わたしをそう考え、そして信じる。そう言う愚者のつもりではあります。
 ――――だからこそ、わたしはここにいる狂った人たちを正さなければならないんです。それが《目的》じゃ駄目なんですか」
「それはきみの《正義》ありきだろう。だが考えろって。
 きみの善人は、おれにとっての悪人でもあるかもしれない。きみとっての悪人は、おれの悪人かもしれない。
 そんな中、きみは誰が、間違っている、なんて言うんだよ。そもそも実を言うとおれは凛々ちゃんのことを割と悪人ってみてるんだぜ」
「わたしが―――――悪人?」

今まで微動だにしなかった眉間が動く。
だが、この女神をおれは―――――受け入られない。

「押しつけがましいんだよ。凛凛ちゃんの考えは。
 善人であることを強要するなんてそれは一つのいじめだよ。人には人がある。人には特色がある。人には個性がある。
 必ずしも善である必要なんて無い。人類補完計画じゃあるまいし、全人類をおなじにしてどうするんだよ。
 馬鹿馬鹿しい。そんなのだったらきみが忌み嫌う「人間などくだらないから全滅させる」とかほざく悪人と大差ないんだよ」

どの口が言うんだか。
おれは静かにそう思うが、口は止まらない。

「ですが、平和であることがいいことに変わりはありません」
「きみの平和はどうせあれだろう。争い事がない、とかそんな感じだろう」
「そうです。わたしは幼き頃から争い事が無くなるといいな、と夢を見ていたらしいです」
「だろうね。だったら一つ聞くよ。
 たとえば悪人が人類を全滅させたとしたら、そこには争い事なんて無いんだよ。これは平和なんじゃないのか」
「屁理屈です」
「よくいうじゃないか。屁理屈も理屈。スモモも桃ってな。
 それに地球にとっては救われたとさえ言ってもいい。有害なガスだのなんだのそういったものがなくなるんだからな」
「…………つまりは、わたしの《正義》は間違ってると」
「正義としては間違ってないよ。それを行動としての《正義》としては間違ってんだよ、って言いたいんだよ」

よく言うよ。
おれは――――おれは――――。

「ならおにいちゃんはわたしになにを望んでいるのですか?」
「なにも望んでいないんだよ。きみの《目的》が間違っていると意趣返しの意味合いも兼ねて言ってるだけなんだから」
「そう、ですか」

なんでおれはまた。
なんでおれはまたこうしてこうしてこうして。

「凛々ちゃんの《正義》をおれは正してほしいんだよ。
 自惚れるな、きみは女の子だ。背負い過ぎちゃいけないんよ。争い事などもってのほかだ。肌が傷ついたらどうするんだよ」

人の個性を壊して。
人の長所を滅して。

「はあ」

彼女の溜息に介さず、おれは言った。
否、言ってしまった、そんな描写が正しいのだが、ともかく声に出していってしまうのだった。


「女の子は女の子らしく可愛らしく、そして凛々しくそれでいてくれたら、何よりの至高なんだよ」



「きみの《正義》なんてどこにも無いんだ」



―――――また、やっちまった。
凛々ちゃんの手からは、《剣》が粒子状になって消える。



 ♂♀



飯島遥光が以前俺に対してこう名付けた。
「流星(ブレイカー)」と。元々中二病のように人を名付けるのが好きだった彼女であるが、おれは何故だか納得してしまった。
時に煌く、裏で何かを壊してゆく姿はまさしくおれであるからだ。

人格を壊してゆく男。
それがおれの全貌である。
人を受け入れられない。
人を拒み続ける。人の性格を拒絶する。

王者性質。
人に左右されたくない。そう言う男なのだ。

故におれは気にいらない人間を壊す。自分好みに改革する。
時には暴力を。時には知力を。時には詭弁でおれは破壊の旋律を奏でる。
しかし徹底的な、というわけではなくあくまで最低限の個性は残してだ。
王者でありども、暴君ではない。
それでも、おれは「人間」を壊し続けてきた。

だがおれはそんなおれが嫌いだった。
人は生まれながらに美しい。そう言う観点から見たらおれは確かに勇気凛々ちゃんと似通っていたのだろう。
そのような思想を持つおれは、人間が壊れてゆくのが耐えれなかった。

そうしておれは改心しようと頑張った。
最初は抑制しようという気持ちを保ち続けようと、耐え忍んだ。
それでも長くは続かず、そこでおれは考えた。


『そうだよ、おれ自身から、そういうキャラクターを消せばいいんじゃないのか?』


と。
おれの王者気質に上回る何かしらのキャラクター。

思い立ったら吉日。
直ぐ様おれはなんのキャラクターを演じようかと画策した。


そんな時に接触したのが、飯島遥光。その人だった。
そして彼女からの一言で、おれは全てを決めたのである。




 ♂♀



ここで、おれの鍍金が剥がれた理由を考察するのであれば、すごく簡単だった。
混乱していたのだろう。
おれがここにいること。遥光がここにいること。
その二つで混乱していたのだろう。

だから後は簡単。
落ち着けばいい。落ち着いて対応すれば――――おれはただの変態になることが出来る。

変態というキャラクターを身につけることで。
おれはおれという人間を束縛する。――――――まったく、凛々ちゃんに言う立場がないよな。おれは。
詭弁師、詐欺師。
王者とは程遠い。まあ遠くておれは安心ものなのだが。

さて、ここからの後処理はなにをすべきなのか。
まあ極めて単純な話で、セクハラ……じゃなくて交友を深めながら、彼女の指針をたてなおすことだろう。
今更、おれが考え直すってのも変だしな。

ってなわけで。

「潤平おにいちゃん。なにがしたいんですか」
「潤平お兄ちゃんは凛々ちゃんに膝枕をされてみたい」
「はあ、それは何になるのでしょうか」
「おれの心が救われる」
「いや、割とわたしは潤平おにいちゃんに対して快くは思ってないんですよ?」
「いやー、救われない人がここにいるんだけどなー! 誰か助けてくれないかな―!」
「…………おにいちゃんはそれでも、大人ですか」
「いーや、おれは子供だよ。いつまでも子供さ。ピーターパンだよ」

おれは、この子について行こうと思う。
責任であり、キャラクターを創る上で大切であろうから。

そう。


おれは変態である。逃げも隠れもしない。おれは変態である。
どこぞの熊は言い逃れとして変態という名の紳士だとかほざいてやがったが、おれはあんな見苦しい真似はしない。
おれは言うなれば変態という名の変質者だ。
女子を見れば普通に欲情する至って健全な高校生。
小学生女子を見れば紺のスク水を着せてみたくなる。
中学生女子を見れば初ブラジャーを初々しく着用する姿を想像して悶える。
高校生女子を見ればぴっちりとした瑞々しい太ももを惜しげなく晒すブルマを履かせてみたくなる。
大学生女子を見れば普段ありのままの姿で慣れない大人の色気を放とうと努力している姿を観察してみたくなる。
それ以降も勿論見れば見るほど欲情の対象だ。
どんな後期高年齢者な老人のおばあさんであろうとおれは尊重する。

おれが性に興味を持ったのはなんのことはない。
当時中学生たるおれたちの義務を全うしたまでだ。
まあ、他の男子はそういうことを表沙汰にしたがらないけどおれはそういうことはしない。
おれは正面切って斬りこんでいく。
高校生たる他の女子の反応も楽しくて仕方がない。
おれはぶつのも好きだが、ぶたれるのも好ましい。脚色はあらず。快感さ。
いやー高一のときは真っ赤になりながら罵ってくれたものだが、最近は半分の人間は冷えた笑顔で「死んでくれ」って言ってくれる。
溜まらないよ、まったく。あの学校はおれのハーレムだ。元女子高からの共学ということもあり男子に比率も低い。
わざわざ苦労して頑張って勉強した甲斐があったというものだ。ん? ああ勿論大学の志望校はできるだけ女子の多い所に行こうかな、って。


自分に言い聞かせる。
そう言う人間であろうと、自らに罰する


宣言、及び義務だ。もしくは枷だ。
おれは女の味方でいよう。
正義の味方でも悪の味方でもなく。
善人を目指すわけでも悪人を志すわけでもなく。
偽善者になるわけでも偽悪者になるわけでもなく。
むろんペット、奴隷としては動かない。
おれがおれとして、自己証明のために、自分の心を支える為に。
女性に縋る形で、おれはおれの在り方を。
探し、求め、手に入れる。

おれがおれを決めたらそれはきっとおれじゃない。
きっと狂いに狂った、「おれ」を名乗る誰かなのだろう。

女好きの情けないヘタレがおれなんだ。
女好きの頼れるヒーローがおれなんだ。
騎士のように女に忠誠を尽くすのがおれなんだ。
戦士のように欲の為に薙ぎ倒すのがおれだから。




そんな。



そんな。
変哲もない女性が大好きな人間の物語である。




【一日目/深夜/B-2 砂浜】

【熊本潤平@オリキャラ】
[状態]変態、健康
[装備]勇気凛凛(膝枕中)
[道具]KS×1、RS(1~3)
[思考]
基本:女性を守る
1:勇気凛凛ちゃんと行動
2:飯島遥光と合流、国分哲也に関しては保留
3:女を守る


【勇気凛凛@他の書き手様のオリキャラ】
[状態]悩み、健康
[装備]
[道具]KS×1、RS(1~3)
[思考]
基本:……………?
1:……………?


【熊本潤平】
[身体的特徴]ツンツン頭、黒髪
[備考]
※永劫学院三年所属
※飯島遥光と恋仲。国分哲也とは幼き頃友達だった
※性格破壊者。しかしそれを偽るため変態となる




crime(暗い無) 投下順 がんばるということ
GAME START 熊本潤平 [[]]
GAME START 勇気凛凛 [[]]

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最終更新:2012年01月07日 17:01
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