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がんばるということ

あの町は嫌いだった。
嫌で忘れたくて、それでもどうにもならない思い出ともいえない記憶がこびりついてるから。
毎日学校に通い、授業を受け、友達とだべり、そして帰りたくもない家に帰る。
何も新しいことなど始まらないだったのに。

朋也(……………)

やたらと自然の多い場所だった。
山を迂回しての一々面倒な登校。
すべての山を切り開けば、どれだけ楽に登校できるのだろうか
直線距離を取れば、20分ぐらいは短縮できそうだった。

朋也(一日、20分……。するとそういやあの時は諦めたが一年でどのくらい、俺は時間を得することになるんだ…)

計算しながら、呆ける。

朋也(ああ、やっぱよくわかんねぇ……)

辺りに友達の姿は愚か顔見知りはいない。
本来であれば繁盛していて賑わっていてもおかしくないであろうショッピングモールがあった。
今日が休日というわけでもない。
つまりは…そんな買い物を出来るような状況ではない、ということ。
そんな閑散としたした光景を目の当たりにしても俺は焦ることなく、悠長に歩き続けた。

……。

一度、立ち尽くす。

朋也「はぁ」

ため息と共にコンクリート固めの天井を仰ぐ。そして、視線を戻す。
視線の先には、何もなかった。強いて言うなら衣服がいっぱいあった。
特に俺は意に介さず、歩き進めようとする。

声「はぁ」

別のため息。俺のよりは小さく、短かった。
発生源である背を見ている。

そこには、俺の背でゴロゴロ言ってるなんとも惨めな女生徒がいた。
聞いた話だと同じ三年生らしい。
けれど見慣れない顔だった。当然の話だ、聞き慣れない学校の生徒だというのだから。

少し長い髪が、俺の背中で踊っている。

女の子「………」

何故だか知らんが怒った顔だった。
俺は特に衣服に興味がないから素通りしたが、こいつは違うのだろう。
こんな異例な場に置いてよくもまあそんなこと思えると逆に俺はその胆っ玉に称賛するよ。

女の子「うんうん……」

何かを自分に言い聞かせるように、目を瞑って、こくこくと頷いている。

女の子「………」

そして少女は目を見開く。
じっと、目の前に広がる衣服の山を見つめた。

女の子「おにーさんはさ、服が好きかい?」

名指しで指名される。
けど、俺に訊いているのではなかった。
一人で、誰ともなしに問いているのだ。
俺だったら、どう答えるべきなのだろうか。

女の子「ぼくはとってもとっても好きだぜ」
女の子「けどさ、たとえお気に入りの服があったところで何時までをそれを着るわけにはいかない」
女の子「なにもかもさ、変わらずにはいられないんだよ」
女の子「汚れるし、解れるし、そして流行おくれになるもんね」
女の子「たとえ高くても、お気に入りでも、安くても、杜撰でも」
女の子「変わらずには、いられないんだよ。その度にぼくは、泣きそうになる」

過去捨ててきた服を思い返しているんだろうか。
なんか泣きそうな口調で、話し続ける。はっきりいってどう対処すればいいのか困る。

女の子「それでもさ、服を一々好きできるのかなあ」

…………。
俺は思い出していた。
以前、俺は長い長い、校門へとつながる坂で、似たようなことを聞いたんだった。
尤もあっちの方が言ってることは高尚だったんだがな。

あの少女は、止まっていた。立ち止まっていた。立ち竦んでいた。けれど、前に進んだ。
ならば、この少女はどうなんだろうか。
この少女は、弱いんだろうか。……俺と同じ様に。立ち止まってしまうんだろうか。

女の子「ぼくは……」
朋也「だったら、もう一回見つければいいだけだろ」
女の子「うん……?」

少女の視線が、こちらに向く。
まるで、俺の言葉を待ってたかのように、嬉しそうに言葉を返す。

朋也「何回でも見つければいいんだよ。次の可愛い服とか、お気に入りの服とか」
朋也「というよりも服じゃなくたって嬉しいこととか、楽しいこととか、あるんだろう。なければそれも探せばいい」
朋也「おまえの楽しいことや、嬉しいことはひとつだけなのか? 違うだろ」

結局は、俺もまだ弱かったのだろう。
なにが支えになって、強くなったと錯覚していたのか。
この女の子に言うと同時に、俺自身に言い聞かせているのだ。

女の子「…………アハッ」

笑う。
そう。
何も知らなかった。何もできなかった無垢な頃。
誰にでもある。


朋也「ほら、行こうぜ」


俺は女の子を背に乗せたまま、歩く。
衣服売り場を目指して、坦々と歩き始める。




 ○




岡崎朋也は超がつくほどのお人好しだった。
岡崎朋也はどのように言っても不良だった。
反する性質。
善に位置する、一つの根源。
悪に位置する、一つの肩書。
上っ面の偽悪者。

故にこの現状を受け入れ難かった。
殺し合い
生と生のもぎ合い。
生と死の奪い合い。
こんな現状が――――嫌で嫌でたまらなかった。

何も変わらない日常が、今では何故か恋しかった。
あんなに変わってほしかったのに。
あんなに終わってほしかったのに。
今では、この変わり果てた現実を前にしては、そんなのは戯言でしかなくて。

望んでいたがために、願ってしまったがために。
その激変を受け入れきれなくて。感情が溢れ出して。どうしようもなくて。

どうしようもなくて。
どうしようもなくて?

どうしようもなくて、どうしたいんだろうか。
せっかく手に入った異常をぶち壊すのか。
三年という長い月日の間、ずっと待ち望んでいたものを、もう一度手放すのか。
その通りだ。
実際、岡崎朋也はこの異常は要らなかった。
不要。不必要。
どうにも扱いきれなくて、実感する。
夢は夢でしかない。それも悪夢。
早く目を覚ましたかった。目覚めるのが、いつものあの帰りたくもない家でいい。
そしてまた行きたくもない学校に行き、ぼんやりと過ごし、親友のいる寮へと足を運ぶ。


だから。
彼は殺し合いなんか、捨てたのだ。



現実逃避に逃げ込んだのだ。



弱さ故の、行動だった。
一度、幼き身体の少女と共に掴んだ強さは、儚げに見えた。



 ○




先に言っておくと、飯島遥光という少女は精神年齢が幼い。ついでに言うと身体的成長も乏しい。
病気とかではない。ただ単に家での環境や、根本的な遺伝子レベルの話なだけであって、深く考える必要はない。
とは言っても、彼女は既に、高校三年生。

永劫学院の三年生にして、熊本潤平と恋仲。
いや、主観的にみると確かにそうなのだろう。
両者が両者とも、恋に落ちたともっているし、愛している。
しかし客観的な事実では違う。

熊本潤平は飯島遥光を保護している。

そんな共通認識ができているのだ。
しょうがないのかもしれない。どうしようもなく釣りあうわけもないのだから。
幼すぎるが故に、それはもはやいじめの対象、そこまで言わずとも所謂“浮く存在”にまで自然と伸し上がった。
だからこそ、熊本潤平と出逢う前の彼女は直ぐ様孤立するようになる。
兎にも角にも冷たい印象のクラスだったのだ。実際は明るさも併せ持つクラスだったのだが、当時の彼女には関係がない。

遥光(………面白くないなあ)

学校生活が、相変わらずつまらないものであった。
相変わらずという継続する形を取ったのも簡単な話で中学のころからだったから。
だから、彼女は学校を転々と移動していたという経歴を持つ。
そんな典型的な虐められっ子体質。

だが、彼女は何時だって学校をやめようだなんて思わなかったし、
何時だって彼女は前向きに生きてきた。いじめに屈することなんて―――無かった。


たとえ面白くなくとも、その先に希望があると信じてやまなかった。


そんな中。
彼女は巡り逢った。

同じく孤独―――孤高を自ら貼っていた彼に。
性格の殻に悩まされていた熊本潤平に中学三年生の時に出逢った。

そして彼女は命じる。
特に出逢ったことのない人間だったけど、直感めいたものを信じて幼き彼女は、ただ言った。
子供がものをねだるかのように。



遥光「変態になってよ。そしてさぁ、ぼくだけのものになってよ」
潤平「いや意味分かんねえし」


類は友を呼ぶ。
悩まされる者たちは自然と引き合い、そして何時しか惹かれあい。
ロワイアルに参加させられるということになった。


 ○



そして、岡崎朋也が飯島遥光を拾ったのは、ショッピングモールの衣服売り場。
淋しげに、怯えた感じに、隅っこで固まっていたのを見つけたのが始まりだった。




 ○



服売り場。
はあ、俺は何やってるんだろう。
早く古河や、春原と合流したいって言うのに。
なんで俺はこんな小さいガキと戯れているんだろうか。

朋也(………けど、なんか懐かしいな)

不思議だった。
今までこんなガキと遊んだ記憶なんて無かったのに。
思いとは裏腹に、懐かしかった。温かかった。

朋也(そういやさっきも………)

さっきも、名簿を見たときもなんかそういう感じになったよな。
確か伊吹風子っていたっけな。その名前を見たとき、何故だか心が、チクリとした。
さながら恋に落ちたかのような……。

朋也(……バカバカしい)

本当にバカバカしい。
ありえない、名前だけ見て恋するとか俺はどれだけ情緒不安定な人間なんだ。
そう言う役柄は春原に任せるべきだ。
あいつなら女っぽい容姿してりゃあ、男でも惚れそうな勢いだからな。

朋也(さすがにそりゃないか)

ていうかあったら困る。
俺が色々と危ない。せめてそういうのは柊勝平とかそんな名前の人に放り投げてほしい。
全国の柊勝平さんには申し訳ないが。

朋也(まあさすがにそんな都合よくいないだろうがな)

と、ここで俺は視線を、現実へと戻す。
そうだった。
ここから、生き返らないと……それすらも叶わなくなる。

朋也(…………はあ)

心の内で溜息を吐く。
そして、目の前ではしゃいでいる女の子に目をやる。
しかしどうみても高校三年生には見えないな。
よくて中学の一年生にしか見えない。精神年齢はもっと低いだろうが。まあ春原とどっこいどっこいって感じかな。

妖怪(あんた、人がいないところでなにいってるんすかねぇ?!)

なんか聞こえた気がするけど、いいや。

馬鹿(よくねえよ!)

うっさい。幻聴。
本当春原の幻聴だけあるな。

金髪(金髪を馬鹿にすんなよっ! ………もういいです)

なんか泣きながら立ち去る春原の幻影が見えた。
俺も疲れているのかな。
…………はあ。

遥光「みてください! おにーさん! 似合いますか!?」

そんなことを考えると、あの子がトテトテと可愛らしく走ってくる。
言われたのでみると、それは先ほどまでの制服から一変して、カジュアルなファッションだった。
うん、ファッションセンスはある。あとは素材の残念さがなければ完ぺきだったのに。

朋也「うん、似合ってる似合ってる」
遥光「投げやりですぅ! ―――うぅ、もっと可愛くなってやるぅ!」

というと、せっかく褒めてんのに制服をこっちに投げやって衣服売り場に逃げ込んだ。
ていうかもっと緊張感を持てないのだろうか。

朋也(…………いや)

そこで俺は気付く。
思いのほか、自分がリラックスできていることに。

朋也(…………)

開始してしばらく俺は物にあったり、色々やってしまっていたが、今は割と落ち着いている。
あり得なかった。

朋也(…………まあ)

本当に、懐かしい。
もしも□吹□□と遊んでいたら、こんな感じになったんだろうな。

…………ん? なんだ今の記憶。
なにか、元に戻ったかのような。そんな感覚

朋也「………はあ」

三度目のため息。
その色は、不思議と温かかった気がした。



 ○



その一方の飯島遥光


遥光「うぅ…。おにーさんとはお友達になれそうなのに!」

ぼくは手当たり次第に服を手に取る。
せっかく、せっかく友達が出来そうなのに……ぼくって駄目だ。
がっかりさせちゃだめじゃんか!
服装を見せて喜ばせることすらできないなんて。

遥光「せっかく慰めてくれたのに………恩返しすらできないのかなあ………」

ぼくの声は小さく響く。
うぅ。うぅ。
隅っこで固まっていたぼくにせっかく手を差し伸べてくれたのに。
こんなぼくに。嫌われ者のぼくに。
なんの同情――――まあここにいるってこと以外の同情以外なく接してくれた稀な人なのに……。
ぼくってダメダメだ……。あぅ……。

……潤ちゃんだったら、こういう時、どうするのかなあ。
あんなことやってて、退学にならないのは、やっぱり潤ちゃんの人徳故だと思うし、こういう悩み、無いんだろうな。

比べぼくは、人と関わったことがないから………。
正直言って、羨ましいなあ………。うぅぅ。

遥光「あ、そういえば………」

潤ちゃんのお部屋に前遊びに行った時、なんか本があったんだけど、
その時にあれの写真がいっぱいあったよね! きっと男の人はみんなあれが好きなんだよね。なにがいいのかよくわかんないんだけどさ……。うぅ。

けど恥ずかしがってちゃだめだよね。
ぼくは変わらなくっちゃ。

そうだよね、変わらずにはいられないんだよね。
ぼくも、何時までも潤ちゃんに頼ってはいけないんだよね。

そう、これはきっと神様のお告げだよ。
今まで甘えてきた、ずっと甘えてきたぼくに対する、罰だったんだ。
潤ちゃんに、パパに、ママに、お姉ちゃんに。

失うのは怖い。
ぼくは知っている。だからこそ怯えていた。
だけど、手に入れればいいもんね。見つければいいもんね。
おにーさんが教えてくれた。

ぼくにとっての幸せを、手に入れなきゃいけないんだよね。
自分から。積極的に。
うんうん、ぼくも理解できたね! またひとつ賢くなった! やったよ、潤ちゃん!

遥光「よーし、ぼくもがんばっろか!」

ぼくは一つの売り場に走った。


孤独はいや。―――知ってる。
孤高もいや。―――知ってる。
団欒がすき。―――知ってる。
親密がすき。―――知ってる。

ぼくは一人ぼっちはいやだ。
けど、一人ぼっちになっちゃう。理由も知ってる。努力だってしてきた。
たとえば牛乳たくさん飲んだりとか、早く寝たりとか。
それでも、一人ぼっちのげんいんは消えて無くならない。

いやだった。
いやだった。
にげたかった。
にげたかった。
こわかった。
こわかった。

それでもぼくは、にげなかった。
ぼくのゆいいつのトリエだから。
めげないのが、たったひとつのほこれるものだから。

でもひとは、ぼくのそのトリエがきらいらしい。
それは、みにくいらしい。いらだたせるらしい。がんばるすがたは、うざいらしい。

ぼくはこりつした。ここうではなくて、こりつした。
そんなときに、ぼくたちはであった、であってしまった。
ふしぎと、みとれちゃった。
なぜだか、なかまいしきがめばえた。

だからぼくはじゅんちゃんとであってから、ずっとたよりっぱなしだった。
いやだったから。ひとりはいやだったから。
あまえた。ねだった。きょうせいした。

でも、だめなんだよね。
だめだめだよね。
うん。まえにすすまなきゃね。ひとりで。ひとのてをかりずに。

ぼくはぼくは。
せいちょうしなきゃね。もうだれにも、めいわくはかけたくないから。

そう、そうなんだよ。
ぼくはまなんだから。
たたかうんだ、ひとりで。そしてみんなで。

遥光(まずは、おにーさんから! ぼくのみりょくでめろめろにしてやるー! ……あれ、なんかちがうかな?)



 ○




スクール水着をきて颯爽と登場した飯島遥光は岡崎朋也に怒られました。





【一日目/深夜/G-1 繁華街-ショッピングモール】

【岡崎朋也@CLANNAD】
[状態]健康
[装備]
[道具]KS×1、RS(1~3)
[思考]
基本:生き残る
1:みんなと合流
2:こいつ(飯島遥光)と行動
3:伊吹風子……?
[備考]
※風子ルート、結婚式直後からの参戦です


【飯島遥光@オリキャラ】
[状態]健康
[装備]
[道具]KS×1、RS(1~3)
[思考]
基本:生き残る
1:おにーさん(岡崎朋也)と行動
2:熊本潤平と合流


【飯島遥光】
[身体的特徴]よくて中学生程度にしか見えない。髪はセミロング、艶のある黒髪
[備考]
※永劫学院三年生所属
※熊本潤平と恋仲。ちなみに当人は覚えていないが桂馬悠木との面識あり。
※精神的にも幼い。一生懸命になると漢字が使えなくなる。
※親しくなるとあだ名をつけたくなる。その程度の中二病




無題――――NoTitle―――― 投下順 ばとるろわいあるのじゆーけんきゅー
GAME START 岡崎朋也 [[]]
GAME START 飯島遥光 [[]]

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最終更新:2012年01月13日 22:31
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