むかーし、むかーし、あるおんなのひとがいました。
あるおんなのひとがみずうみのほとりでぶらぶらしていると、
どんぶらこどんぶらこと、しきゅうひんがながれてきました。
「ってなんでやねん!!」
しきゅうひんである、でいぱっくをあけるとそこには‥‥
そこには、おおきなおおきな、『大塚英哉語録集』がでてきました
「ってどないやねん!」
◇
『恥を知るなら、野球のルールを知ってくれッス』
『バカの俺でもわかるッス。だから、アンタはバカっスね!』
とにかく、ハチャメチャなことが書いてる、詩集のようなものだ。
もちろん武器にも、役が立ちそうにも無い。
ただの、バカの言葉を集めただけの本だから。
「期待はせぇへんだけどな‥‥。」
鎧を着た、長い髪の女性、巴御前。
精霊であるが、固有能力は武器に頼っていたものであったので、今は使えない。
今では、最弱の精霊といっても過言ではない状況である。
鎧の装甲も厚くは無い。その手前、ただのお荷物に近いが、無いとあるとでは大違いだ。
開始地点は、湖のほとり。どっかの、誰かさんが溺れて、紛失した支給品を拾ったわけである。
湖から流れてきた、支給品は『大塚英哉語録集』とお手玉。食料が手に入っただけ幸いだ。
そんな彼女が居るのは、学校。小学校、中学校、高校が同じ校舎にあるため、かなり大きい。
「運がええのか、運が悪いのか分からん。」
スタータスの幸運はB。どちらかといえば、ツイているはずだ。
二度も死ななければいかない。それは、どちらかといえば運がないかも知れない。
だが、ジャック・ザ・リッパーとの交戦中の幻影から覚めただけでも、運が良かったのかもしれない。
彼女がいる校庭から見える位置にある、校門に人影があった。
でかい。大きい。ごつい。
様々な表現が出来るが、巴御前はさすがに声が出ない。
頭二つ分、大きな体格。片手に持っている。いや、片手自体が鉄の塊となっている。
「ああ、面倒くせぇなぁ。」
「なんや?アンタも精霊か?」
「あぁ?小さくて見えねぇよ。探すのも面倒くせぇな。」
「なんやと!?デカブツ!!」
源氏の武将である、巴御前のクラスは憤怒。短気というわけである。
相手が持っている武器、体格、そして今置かれている状況。分かっていても動かざる終えない。
砂を蹴っている。野球のコートをコートを横断しながらも走る。
丸腰。彼女は素手で挑もうとする。勝ち目が無いとは分かっていても。
そんな中、一つの乾いた音が、グランドに響く。
撃たれた。
鎧が弾け、開いた穴からは赤黒い血がポツポツと流れていた。
幸い、彼女が撃たれた部位は、急所が外れている。
死ぬことは無いが、苦しみと疑問は消えない。
「面倒くせぇんだよ。いちいち戦うことがな。」
「何をやった?」
「説明しなきゃいけねぇのか?面倒くせぇな。」
死ぬ。
死ぬ。
死ぬ。
何度も、彼女は覚悟した。
「ガルルルルルウルルルル!!!ガガガアアアアア!!!!」
狼の遠吠えと共に、オールバック姿の巨体は、後ろに吹っ飛んだ。
◇
僕は狼男。
日本では最後の生き残りらしい。アジアでも十人いるか、いないかぐらいだ。
人を喰らい命を永らえる狼であり、満月じゃない日はただの人間でもある。
普段は、南雲駅前の交番でただの警察官をして、バカみたいに人を助けていた。
特に、吐き気がしたのは、道案内。人を助ける職業である手前、、絶対にしないといけない。
満月の夜は、適当に死んでいる奴の匂いを感知して、それを食うしかなかった。
最近の生きている奴を食おうとすると、絶対にいいことをしてしまう。
僕は人に対していい事をするのは、絶対に嫌だ。死んだほうがましだ。
けど‥‥死にたくはないな。
幸い、満月の夜。
生きている女の肉。そういえば、最近食ってねぇな。
僕は、美しい灰色の毛並みを乱すことなく、匂いだけで探している。
ああ、食いてぇなー食って、食って食い尽くしてやる。
そうしても、一般人にばれることなく、生きている人間の肉を食える。
パン、というデカイ音が聞こえた。
聴覚が優れているため、うるさい音は耳を塞ぎたくなる。
男と、女の匂い。後は‥‥火薬の匂いか?
とりあえず、二人とも食わせてもらうぜ。
「ガルルルルルウルルルル!!!ガガガアアアアア!!!!」
僕の狙いは的確。
相手がデカイので狙いは定めやすかった。首、頚動脈を食いちぎる。
しかしながら、失敗してしまった。首輪を噛んだため、歯が何本か持ってかれた。
一瞬。
生身の肉だった人間の手が、ライフル銃のバレルみたいに変形した。
ヤバイと感じたときには遅い。
左前足――――人間でいう左手を銃弾で射抜かれた感覚があった。
銃なんて持っていなかったはずだぜ。
「ガウウガウウウウウウウウ!!!ガアアアルルルルルル!!!」
「反応に困るんだよ。人間の言葉で話しやがれっての‥‥。」
痛ぇ!!!痛すぎる!!!生身の姿で撃たれると痛ぇ!!!
クソ‥‥ただのデカイ奴じゃねぇのかよ‥‥
あああああ‥‥何眠そうな顔で、酒飲んでんだよ!!クソ、なめた真似しやがって!!
「バウバウ!!!ガルルルルウウウウウゥゥガアアアアア!!!」
ドスッ‥‥なんだコノ音?
ってか、なんだか意識が朦朧としてきたような‥‥あれ?
女が僕の腹を殴って‥‥いる‥‥?
◇
「何や起きたんか?」
「さっきの女‥‥痛ででででででででで!!!」
香坂幹葦の腕には乱暴に、木の枝と長い草でで応急処置されている。
暗い倉庫の中。マットや、野球のバットなどが収納されている、体育倉庫と呼ばれる場所。
グレーのコンクリート覆われた屋根と床と壁はひんやりとして不気味だ。
石灰が充満し、あまり空気が良いとも言えない。
「いや、ビックリしたで。狼が、人間に代わるなんて。」
「あのデカブツは?」
「酒飲んどるだけみたいや。」
「はぁ?」
チェ・ゲバラ。クラスは怠惰。酒を飲んで怠けているデカイ男。
髭面で、オールバック。特徴はそのくらい。だが、体の一部を重火器に変える能力を持つ。
恐らく、強い精霊。戦おうとする性格でなかったのが、幸いだ。
「アンタも撃たれてみたいだが、大丈夫か?」
(何、俺様、人の心配している?あぁ、ダメだ、吐き気がしてきた。)
「大丈夫や。あんま、傷は深ないみたいや。」
(何やコイツ?自分、上半身裸なん知らんのか?)
ドンドンと、鉄で作られた体育倉庫の扉が叩かれる音がした。
誰かに気づかれた。と、二人は確信して、危険を察知する。
二人を殺すことなど、あの大男からすれば簡単であるのだから。
二人に武器は無い。相手は武器を作り出すことが出来る能力者。
香坂の人狼化は、満月の光が届くところしか使えない。
つまり、扉を開けた瞬間、コンマ数秒が勝負の決め手となる。
ガラリ、と鉄製の扉がスライドして開いた。
二メートルを越す大男が、月の光をさえぎりながらも立っている。
そして───あまりにも意外なことを言い放った。
「酒はねぇか?切らしちまったんだ。」
放たれた言葉が耳に届くと同時に二人は無意識のうちに声を揃えて言った。
「「はぁ?」」
【一日目/深夜/A-2・学校】
【巴御前(憤怒)@精霊】
[状態]健康 銃創(部位不明)
[装備]なし
[道具]基本支給品×2、戦利支給品×0~5、『大塚英哉語録集』
[思考]
基本:
殺し合いには乗らない
1:なんでやねん!!
【一日目/深夜/A-2・学校】
【香坂幹葦@一般人】
[状態] 人間 銃創(左腕)
[装備]不明
[道具]基本支給品、戦利支給品×0~3
[思考]
基本:悪いことはしたい。いいことはしたくない。
1:はぁ?
【一日目/深夜/A-2・学校】
【チェ・ゲバラ(怠惰)@精霊】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、戦利支給品×0~3 、空瓶(大量)
[思考]
基本:面倒くせぇなぁ‥‥
1:酒くれよ
《大塚英哉語録集》
※大塚英哉がロッテを退団する前に出版された語録集です。
※二千語録、全五百ページ。野球には何の役にも立ちません。
※たまに同じ言葉が書いてあります。
[オリキャラ紹介]
香坂幹葦(こうさか・みきよし)
警察官であり人狼。悪い事をしたがるが、何故か出来ない。
巴御前(憤怒 ともえ・ごぜん)
長い黒髪の女性。短気かつ関西弁で鎧姿。正体は、源氏の武将である巴御前。
武器に頼っていた固有能力であるため、使用は不可能。
チェ・ゲバラ(怠惰)
オールバックの髭面大男。怠慢で酒飲み。正体は、革命家であるチェゲバラ。
固有能力は『人間兵器』。体の一部を銃器や刃物に変形できる。
最終更新:2012年04月02日 20:26