48:見苦しい程腹を空かせて
「あーるーこうーあーるーこうーわたーしはーげーんきー」
氷室勝好は歩く、歌を歌いながら。
「あーるくーのーだいーすきーどーんどーんいーこーうー」
氷室勝好は歩く、手にM16A1突撃銃を携えて。
「……こーろすーのーだいーすきーどーんどーんこーろーそうー……」
目の前にあるのは学校。
裏門をくぐると職員用の駐車場と校舎の裏口が見えた。
ニヤリと笑みを浮かべ、勝好は裏口に近付く。
裏口の扉に近付くと、銃を携えた少女が中から現れた。
少女は勝好を見て驚き、そして銃を向ける。
「貴方は…もしかして…氷室勝好、さん?」
「あら、君も俺の事知ってるのー?」
見ず知らずの少女が自分の事を知っていた事に今度は勝好が驚く。
「…武器を捨てて手を上げて下さい、貴方が
殺し合いに乗っていると言う事は聞いています」
「誰から?」
「……武器を捨てるのが先です」
「……」
勝好は持っていたM16A1とデイパックを地面に置き、大人しく手を上げた。
少女は銃を向けたまま勝好に近付く。
「ねぇ君何て言う名前ー?」
「……」
「ねぇねぇー」
「……」
「名前ぐらい良いじゃん教えてよー」
「……◆meUMrrZs9o」
「……あれ? もしかして、◆VxAX.uhVsMって人、知り合いかな?」
勝好の言葉にmeの顔色が変わった。
「Vx氏を知っているんですか?」
問い質すように勝好に訊くme。
「ああ、知ってるよ…………殺しちゃったけど」
「……え?」
「だからー」
ガッ
勝好は上げていた両手をmeの細い首に回し、両手で思い切り首を絞め上げた。
突然の出来事にmeは持っていた銃を落とし勝好の手を払おうと必死でもがく。
「あっ、ガッ、ぁ…!」
「殺したよー俺が、こ・ろ・し・た、はぁと。あーでも安心してちょ♪ 君はすぐ会えるんだから、ね♪」
「ぎぃ、い、ぎ、いい……あ……」
抵抗の力はどんどん弱まっていった。
(やだ…死にたくない……いやだ………死にたく………ない…………よ…ぉ……………)
やがて、meの身体がガクリと脱力し、動かなくなる。
衣服の股間の部分に染みが出来、液体が足を伝って地面に流れた。
息絶えたmeの身体を人形を捨てるかの如く放り投げ、彼女の装備を回収する。
「…結局この子俺の事誰から聞いたんだろ、他に仲間いんのかな、まーいいや、全員ぶちころーにするだけダケドー」
地面に置いていた自分の装備と荷物も回収し勝好は裏口から校舎の中へ入った。
◆
「うーんこれがこうでこうなって」
「そうかここがこういう事でこれがこっちにああ、そうなんだな」
工作室、テーブルの上には分解された首輪の残骸。
赤い飛竜のカイテルと露出狂もとい露出多装備の少女
レイ・ブランチャードは首輪の解析に勤しんでいた。
「結論から言うと? レイちゃん」
「この首輪は解除出来る」
「うぉーい俺もそう思ったよ」
「ここをこうしてこうやってこうすれば、大丈夫だ、爆発しないはずだこの構造ならな」
「光明が見えてきたって感じだな!」
「ああ」
「よっしゃ、レイちゃん、この事他のみんなに知らせに……」
ダダダダダダダッ!! ダダダダダッ……!
「……何だ、今の」
「銃声…? 何かあったな、行こうカイテル!」
「あ、ああ!」
◆
「ぐ、お……」
身体を蜂の巣にされた髭の大男が崩れ落ちる。
横には血塗れの少女が息を切らせて膝を突いていた。
苦痛に顔を歪ませる少女、河田遥の額にM16A1の銃口を突き付けるのは銀髪の、歪んだ笑いを顔に浮かべた男。
「可愛いね君ー」
「……悪魔……貴方……悪魔……!」
「変な喋り方するねぇ、まあいいけど、悪魔? 天使のつもりだけどね俺ー、つってもー、
堕天使かなぁあはははははwwwwwwwまあいーや君可愛いし顔はやめたげるぅ」
額に突き付けていた銃口を胸元にずらし、勝好は引き金を引いた。
銃弾が心臓を撃ち抜き、遥は即座に絶命する。
M16A1の弾倉を取り換える勝好。
「何だ、何が、う、うわ!?」
曲がり角から短機関銃を携えた青年が現れた。
ダンッ! ダンッ! ダンッ!
三発の銃弾が、青年―――◆6LQfwU/9.Mの胴体を貫き服を赤く染める。
口の端から血が溢れ、6Lが大きくよろめく。
「がはっ、う、嘘、だろ……」
ダンッ!
更に一発銃弾が6Lの身体を貫き6Lは崩れ落ちた。
「弱いなー弱いぜオイ……」
予想通り学校には大勢の参加者が集っているようだが、あっさりと倒せてしまう。
勝好はもっと歯応えのある相手が欲しかった。
この殺し合いにおいて最初に戦った相手のような。
曲がり角を曲がると、今度は黒い狼と遭遇する。
「ガアァアアァアア!!!」
「!」
牙を剥き出しにし、勝好に向かって飛び掛かる黒狼、レックス。
咄嗟に勝好は左腕で顔を覆った。
鋭い牙が勝好の左腕に食い込み容易く肉を裂き血が滲む。
流石の勝好も顔を歪めた。そして床に押し倒される。
レックスは正に獣そのものの表情で、勝好の身体を爪で引き裂き左腕を食い千切ろうとした。
辺りに血が飛び散る。
勝好は右手を自分の腰の辺りに突っ込み何かを取り出す、それを、レックスの首筋辺りに突き付け。
ダァン! ダァン! ダァン!!
「………………!!」
それは先程meから奪った9mm拳銃。
9mmの銃弾がレックスの脊椎、気道、頸動脈を損傷させた。
それでもレックスは尚も勝好を殺そうとしたが、もう彼の身体は限界を迎えていた。
(は……づ……き………)
意識を喪失する直前まで、彼は愛する人の事を想った。
「ゼェ、ゼェ、ゼェ、流石にちょっとヤバかったな、だけど俺の勝ちだよ狼君」
血がダラダラと流れる左手をぶら下げながら、勝好は物言わぬ屍と化した黒狼に勝利の宣言をする。
そして、黒狼が出てきた思われる部屋に入る。
宿直室と言うプレートが掛けられていただけあり中は和室。
布団が敷かれているが、なぜか、白い液が大量に飛び散っている。
部屋の中には妙な臭いが充満し、脱ぎ捨てられた女物の衣類もあった。
何が行われていたのかは勝好にも想像がつく。
そして目が行ったのは押入。
人の気配、勝好はその押入に近付き開けた。
全裸の赤髪の女性が、震えていた。
「あ、あ」
恐怖の光を湛えた瞳で、女性――
稲垣葉月は勝好を見た。
「……あの黒い狼、あんたの彼氏?」
「! れ、レックスは、レックスは!?」
葉月が血相を変えて、相手が危険な人物である事も忘れ尋ねた。
勝好はM16A1を構え、撃った。
ダァン!
「あ」
葉月の鳩尾辺りを銃弾は貫き、葉月はそのまま倒れ、動かなくなった。
「心配しなくてももうすぐ会えるよ」
ニヤニヤと笑いながら、勝好は言った。
◆
古川正人とラトは、銃声の聞こえた方向に走り、そして発見する。
同行者達の無惨な姿を。
「何て事だ…」
ラトが悲しげな表情を浮かべる。
「誰が、誰がこんな……!」
怒りに震える正人の耳に、聞き覚えのある男の声が入る。
「やっほー! 正人くーん!」
「……!」
ダダダダダダッ!!!
無数の銃弾が二人を襲う。
正人は間一髪かわしたが、ラトは全身に穴が空き血肉が飛び散った。
ドサッ、と、小柄な身体が床に倒れると、血があっと言う間に床に広がって行く。
「氷室……氷室ォオ! テメェェェェエ!!」
目の前で仲間を殺され、正人の怒りは頂点に達した。
対照的に、勝好は再び興味を持った相手と巡り合えて心底楽しそうに笑う。
「ハハハハハハッ!! 決着、着けようかァ!? ま・さ・と・くぅぅぅぅぅん!!」
「上等だ、このゲス野郎!!!」
銃を操る狂乱殺人鬼、剣を操る少年が、再びあいまみえる。
◆
「何だよ、これ……」
「……」
ムシャと◆xR8DbSLW.wは、凄惨な光景に絶句していた。
先程まで行動を共にしていた人々が、血塗れの屍と化して横たわっている。
壁には銃弾の痕が残されており、床には血痕の他に空の薬莢が大量に転がっている。
「xR、ムシャ!」
「レイに、カイテル……」
「! 何だ、おい、これ……みんな、死んでる……!?」
レイとカイテルもやってきて同じようにショックを受けた。
「……これは……」
「静香ちゃんか……無事だったのか」
静香もまた、同じだった。
……ダダダダダダッ……
「…! 今のは…」
「体育館の方からだ! 行こう!」
xR、ムシャ、レイ、カイテル、静香の五人は体育館へ走った。
◆
左腕を失った銀髪の男が、右手に56式突撃歩鎗を持って、血塗れで体育館の床の上に立っていた。
その視線の先には、血溜まりの中に倒れる少年の姿。
まだ息はあったが全身を穴だらけにされ、もう長くない事は誰の目から見ても明らかだった。
「…はぁ…とまぁ、色々、あったけどよ…ォ、ゼェ…俺の勝ちっぽいなァ、正人君」
「……ッ……」
「あーあ、左腕無くなっちゃったよ、酷いなぁもう……」
勝好は少しふらつきながら倒れている正人に近付くと、
右手で持った56式突撃歩鎗の銃口を正人の顔に向ける。
正人は何とか動こうと思ったが、それは無理な相談だった。
身体の感覚はもはや無く、視界もほとんど利かない。
(…ここまで、か)
正人の脳裏に、ある女性との思い出が蘇る。
以前の殺し合いで、目の前で失ってしまった最愛の人。
彼女の笑顔が、視界に浮かんだ気がした。
(笑、子――――――――――――――――――――)
ダァン!!
◆
体育館に、xR、ムシャ、レイ、カイテル、静香の五人が辿り着く。
先に入ったのはレイだった。
「ここか! ここに――――」
次の瞬間、レイの頭が弾けた。
脳漿が後ろにいたxRとムシャに掛かる。
頭が破壊されたレイの身体は前のめりに崩れ落ちる。
その向こう、体育館の中央付近。
隻腕の銀髪の男が、突撃銃らしき物をこちらに向けて立っていた。
その奥には、もう生きているとは思えない様子の、血溜まりの中に倒れる見覚えのある少年の姿。
残った四人は、全てを理解する。
ここを襲い、仲間を殺したのは、あの銀髪の男だと。
男は笑っていた。
心の底から楽しそうに。
「楽しい、楽し過ぎんよこれええええええええ!!! なあ、なあ! 楽しいって! アハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
ダァン!!
一発の銃声が体育館に響いた。
銀髪の男が頭から血を噴き出し、倒れた。
「………………」
体育館の脇入口の扉が開き、眼鏡の少年が、回転式拳銃を構え立っていた。
傍には、学生服姿の狐獣人の男もいた。
その少年に、静香は見覚えがあった。
「のび太、さん……」
殺戮は終わった。一人の少年の手によって。
だが殺し合いそのものはまだ、終わっていない。
◆
「……う……」
赤髪の女性が呻く。
葉月はまだ、生きていた。
受けた銃弾は辛うじて急所を外れていた。
「……レッ……クス……」
そして葉月は、涙を流していた。
痛みによるものでは無い。
開け放たれた扉の向こうに、黒い尻尾が見えた。
だが、動く様子は無い。いつまで経っても。
葉月はもう理解した、理解したくなかったが、理解せざるを得なかった。
愛する人の、死を。
【◆meUMrrZs9o@非リレーロワスレ書き手 死亡確認】
【ゴメス@VIPツクスレ・もしもシリーズ 死亡確認】
【河田遥@◆VxAX.uhVsM氏のオリキャラ 死亡確認】
【◆6LQfwU/9.M@非リレーロワスレ書き手 死亡確認】
【レックス@オリキャラ 死亡確認】
【ラト@自作キャラでバトルロワイアル 死亡確認】
【古川正人@◆VxAX.uhVsM氏のオリキャラ 死亡確認】
【レイ・ブランチャード@オリキャラ 死亡確認】
【氷室勝好@オリキャラ 死亡確認】
【残り 7人】
最終更新:2012年02月25日 18:51