よう、諸君。
キョンだ。
いや、こんな出だしは俺のキャラではまずあり得ないんだがな。
だいいち、俺の本名はキョンじゃなくて(禁則事項です☆)。
しかし登場するのが俺一人で一人称視点となると、最悪の場合読者には状態表が出るまで俺が誰だかわからないという危険性が出てくるわけだ。
そこで最初に名乗っておこうと思った次第である。
何? メタ発言が過ぎる? すまない、俺もそう思う。
まあ原作の「ハルヒちゃん」でもたまにメタ発言はあるわけだし、ここはどうか大目に見てほしい。
さて、それじゃあそろそろ本編に移ろう。
意識を失った俺が再び目を覚ましたのは、とある民家の中だった。
どうやら意識のない間に、ここまで運ばれたらしい。つまりここが、
殺し合いとやらの会場になる無人島ってわけか……。
「まったく、夢なら冷めてほしいもんだ……」
思わず俺は、口に出して呟いていた。しかし、それで何かが変わるわけではない。
ただ、俺の言葉が静まりかえっていた室内に響き渡るだけだ。
「どうしたもんかな……」
再び俺の口から、独り言が漏れた。
とにかく、俺が殺し合いに参加させられたという事実は認めよう。そうでなければ話が進まない。
では、その殺し合いの場で俺はどうするべきか。
他の参加者を殺しまくって、最後の一人を目指す? 馬鹿を言うな。
他に誰が参加しているかは知らんが、少なくとも俺が身体能力でトップクラスに入るような面子ではないはずだ。
俺はあくまで、ただの平凡な高校生なのだからな。
つまり俺より強い人間が少なからずいるはずで、そんな奴ら相手に殺し合いをしても勝ち目は薄いわけだ。
それ以前に、あいにくと平和ボケした生活を送ってきた俺には人殺しなど出来そうにない。
ならばなんとか、この無人島から脱出するしかない。しかしあくまで面白味のないただの一般人である俺に、そんなことがそうそうできるとも思えない。
となれば、話は自然と他力本願になる。今まで俺の危機を何度となく救ってくれた宇宙人・
長門有希。
彼女とコンタクトを取ることさえ出来れば……。
そういえば、あいつもこの殺し合いに参加させられているんだろうか。
いないのなら長門の側が助けに来てくれるのを待つだけでいいのだが、いるとしたらこちらからも探しに行かなければならないだろう。
そうだ、あの「ハルヒ」は名簿も渡すと言っていたな。目の前にあるカバンに入っているのか?
俺は特に警戒することなく、カバンの口を開ける。その直後、俺の額に鈍い痛みが走った。
い……今起こったことをありのままに話すぜ! 「俺はカバンを開けたと思ったら丸っこいコウモリのような物体が激突してきた」
何を言っているのかわからないと思うが(以下略)
「ちくしょう! なんだここは! 俺をどこに連れてきやがった!」
カバンから飛び出してきたコウモリもどきは、興奮した様子でわめき散らしながら部屋の中を飛び回っている。
コウモリが日本語を話すことも驚きだが、もっと驚いたのはその声が俺にそっくりだということだ。
まあそれはたいして重要ではないだろう。とにかく、コミュニケーションが取れるのなら取ってみるべきだ。
そう判断した俺は、さっそくコウモリもどきに話しかけてみることにした。
「おい。何をそんなに怒ってるのか知らないが、まずは落ち着け」
「ん? なんだお前は。あの女の仲間か? というか、俺の声真似するんじゃねえよ気持ち悪い!」
「いや、真似してねえよ。たまたまお前の声が俺に似てるだけだろうが」
「いやいや、お前の声が俺に似てるんだ」
「同じ事じゃないか」
「いーや、まったく違う。あくまで基準は俺! お前が俺に似てるんだ!」
「どうでもいい意地を張るな!」
「どうでもよくはない!」
「…………」
「…………」
「…………」
「やめよう、不毛だ」
「そうだな……」
◇ ◇ ◇
その後熱くなりかけたハートを適温に戻した我々は、とりあえずお互い自己紹介と情報交換を行うことにした。
まずこのコウモリもどきの名前は、キバットバット3世というたいそうなものらしい。
しかもファンガイアという種族の王に仕える身分だという。何だかずいぶんとえらそうだな、おい。
というか、ファンガイアってなんだ。聞いたことないぞ、そんなフレーズ。
まあその辺の追求は後回しにしておこう。
とにかくキバットは、自分の主であるワタルという人と一緒にいたところを突然何者かに拉致され、「殺し合いに参加してこい」とカバンに詰め込まれたらしい。
「で、その時に渡されたのがこの紙だ」
「どれどれ……」
キバットが差し出した紙に、俺は目を通す。
『キバットバット3世
噛んでもらうと仮面ライダーキバに変身できるよ!
本当はファンガイアしか使えないけど、色々いじったから人間じゃなければ普通に使えるよ!
人間でも使うことは出来るけど、体力が容赦なく持っていかれるよ! 下手したら死ぬかもね!』
「……なんじゃそりゃあー!!」
下手したら死ぬって、そんな危険なもの使えるわけねえだろ! そもそも仮面ライダーキバってなんだ! そこを解説しろよ!
それに「人間じゃなければ」って、人間じゃないやつが参加してるのかよ!
……いや、そういえば身近にいたな。宇宙人が一人。やっぱりあいつも参加させられてるのか?
そもそも、最初の目的は名簿の確認だったんだよな。それをすっかり忘れていた。
というわけで俺は名簿をカバンから取り出し、そこに並んだ名前を読み始めた。
あー、やっぱり長門もいるのか……。それにハルヒに古泉に朝比奈さん……。SOS団勢揃いか。
森さんや
鶴屋さんの名前まであるぞ……。
ん? ハルヒの名前二つ載ってないか? どういうことだ?
普通なら記載ミスと考えるところだが、さっき見たあいつのことを考えると……。本当にハルヒが二人いる?
まいったな……。仮にそうだとしたら、どっちが俺の知っているハルヒか区別する方法はあるのか?
「おい、俺にも見せてくれよ」
俺が思い悩んでいると、キバットが上空から声をかけてきた。特に断る理由もないので、素直に見せてやることにする。
「よかった、ワタルはいないのか……。あっ、でもユウスケが……」
「知り合いか?」
「ああ。最近ワタルの親衛隊に入ったやつだ。人間だが並のファンガイアよりよっぽど強い。
性格もいいから、間違いなく殺し合いには乗り気じゃない。
合流できれば頼りになると思うぜ」
「なるほどね……。
小野寺ユウスケか。覚えておこう。
それじゃあ当面の目標は……。俺の知り合いとそのユウスケって人を捜すことになるか」
「ああ、それでいいんじゃねえの?」
俺の提案に、キバットは体を縦に揺らして肯定の意思表示をする。
というか、いつの間にこいつは俺の相棒ポジションに収まってるんだ。
「よし、それじゃ……キバっていくぜー!」
「なんだそれは」
「気合いを入れるためのかけ声だよ。さあ、お前も一緒に」
「いや、なんで俺まで……」
「いいからやれ!」
「いててっ! わかった! わかったから頭を小突くな!」
「じゃあ改めていくぞ。声を揃えろよ?」
「わかったよ……」
『キバっていくぜー!』
【一日目・深夜/D-3・民家】
【キョン@涼宮ハルヒちゃんの憂鬱】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、キバットバット3世@仮面ライダーディケイド、不明支給品0~2
【思考】
基本:この島からの脱出
1:知り合い及びユウスケとの合流(特に長門を優先)
最終更新:2009年12月02日 17:24