22話:IMITATION
フェリックスと真海の二人は畑地帯の畦道を歩く。
見通しが非常に良いため早めに通り過ぎたかった。狙撃される可能性があったためだ。
そして少し民家が密集している場所に到達する。
「誰とも会わないな…この辺には僕らしかいないんだろうか」
「その辺に隠れてるかもよ……」
「…意外と広いな…どこかで車を調達した方が良いかもしれない」
「盗むの?」
「人聞きの悪い事言うなって、違うよ借りるだけだよ」
予想以上に、会場となっている島は広大で、歩いての移動は疲労を伴うと思ったフェリックスは、
恐縮ではあるがどこかで車を調達するべきだと判断した。
適当な民家に入り、車庫へと向かう二人。
「!」
「あっ」
しかし先客がいた。
獅子獣人の男が何やら探索しているようだった。
「……」
獅子獣人の男もまた二人に気付き、二人の方に顔を向ける。
そして無言のまま歩み寄って行く。
「あ、あの、貴方も……」
フェリックスが獅子の男に話しかけようとした。
しかし、途中で男が右手に持っている者に気付く。
それは、大ぶりの鉈。
男の目には殺気が籠っている。
フェリックスも真海もこの時点で男の考えが読め、逃げようとした。
しかし、間に合わなかった。
フェリックスの首を、鉈の斬撃が襲う。
頸動脈を断ち切られ、真っ赤な鮮血が噴き出し、獅子の男に血飛沫が掛かる。
「ま……真海、ちゃん……に、げ……――――」
「フェリックス、さん? う、わああぁああ!!?」
血を噴き出しながら倒れるフェリックスを見て、真海が素の悲鳴をあげた。
動揺している真海に、獅子の男は狙いを変え、血塗れの刃を狼の少女に向け振り上げる。
「――――!!!」
真海が大きく目を見開いた。
◆
「いてて……」
血が噴き出す鼻を押さえ、呻く獅子の男、遠矢英教。
殺そうとした狼獣人の少女に猛反撃を受け、警棒で顔を思い切り殴られ逃げられた。
もしかしたら鼻の辺りの骨がまずい事になっているかもしれない。
痛みを我慢しながら殺害した外国人と思しき青年の荷物を漁り、
ナイフと千切れた電気コードを入手する。
「鼻は痛いが動く事は出来る……気を取り直して次に行ってみよう」
ふらつきながら、英教は歩き出す。
◆
どこをどうやって来たのかは分からないが、
身体中に木の葉やら土やらが付着し衣服が乱れているので、
無我夢中で走ってきた、と言うのはおおよそ予想は出来る。
「はぁ…はぁ…はぁ……」
乱れた呼吸を整える真海。
自分の秘部を自分でまさぐって絶頂に達している時の乱れた呼吸とは全く別種である。
「フェリックスさん……」
少しの間だけだったが、行動を共にした者が目の前で落命した事実は、
真海の心に大きなショックを与える。
襲撃者の獅子の男――自分が殺されていないと言う事はあの後どうにかして撃退し逃げられたのだろう。
「…行こう」
周囲が背の高い草に囲まれた荒れたアスファルトの道路を、
真海は北方向へ歩いて行った。
【フェリックス・クレイグ 死亡】
【残り 33人】
【朝/C-6畑地帯】
【遠矢英教】
[状態]鼻を負傷、全身にダメージ
[装備]鉈
[持物]基本支給品一式、.22ショート弾(4)、ハイスタンダードデリンジャー(2/2)、コンバットナイフ、千切れた電気コード
[思考・行動]
0:生き残るために
殺し合いに乗る。
[備考]
※特に無し。
【朝/E-6荒れ地】
【藤森真海】
[状態]肉体疲労(大)、精神疲労(中)
[装備]警棒
[持物]基本支給品一式、スリングショット、鉛玉(5)
[思考・行動]
0:殺し合いはしない。発展場仲間と生きて帰りたい。
1:発展場仲間を捜す。
2:フェリックスさん……。
[備考]
※発展場仲間は御代田優太郎、皆川宏介、栗田雅博、萩野美祐、萩野直重の五人です。
※遠矢英教(名前未確認)を危険人物と認識しました。
最終更新:2012年05月20日 23:22