39話:何にも無いって事、それは何でも有りって事
ヴィヴィアン・ルークは放送にて、仲間(一応)のセシリー・バーンズの死を知る。
しかしそれ程心を動かす事は無く、さっさと出発の準備を始めた。
禁止エリアが書き込まれた地図を見ながら、現在参加者達がどの辺りに多くいるのか予想する。
「予想ではあるけど、みんな中央の町に来てるんじゃないかな」
殺し合いに抗い同志を募るにしても、殺し合いに乗り獲物を捜すにしても、
人が多そうな場所――この殺し合いで言うなら島の中央部の市街地――を目指すだろう。
つまり今自分がいるこの近辺に既に参加者が多数潜んでいる可能性は高かった。
「良し、適当にぶらぶらしてみよう」
主武装であるクラッグ・ヨルゲンセンM1895カービンを携え、
ヴィヴィアンは島役場の出入口へと向かった。
島役場から出てしばらく歩いていると。
ダァン! ダァン!
「うっ!?」
突然曲がり角から飛び出してきた露出の多い格好の少女により、銃撃がヴィヴィアンに放たれた。
ヴィヴィアンは一発は避ける事に成功したが、一発は腹部に食らってしまう。
苦痛に顔を歪めるが、すかさずクラッグ・ヨルゲンセン銃で反撃に出る。
ドォン!!
「おっと」
しかし、外れてしまう。
急いでボルトを操作し薬室に次弾を装填するが、それより少女――クローイが拳銃を連射する方が早かった。
弾倉に残っていた全ての弾薬を、クローイはヴィヴィアンに向けて発砲した。
「ぐあ、ああぁあ!!」
全弾当たった訳では無いが、それでも四発、胴体と腕に食らってしまい、ヴィヴィアンは流石に苦鳴をあげた。
クローイは空になった弾倉を交換し、一気に距離を詰め道路に崩れ落ちたエルフの女剣士に向け、拳銃を向ける。
小銃じゃなくて拳銃を使うべきだったか、と、ヴィヴィアンは心の中で後悔した。
全て手後れだったが。
(力及ばず、か……)
額を撃ち抜かれる直前の、最期のヴィヴィアンの思考がそれだった。
クローイはヴィヴィアンの所持品を漁り、武装を手に入れ歩き出した。
(アドレイドちゃん、必ず貴方の仇は……別に取るつもりは無いけど。
まあ天国で私の事、見守っててよ)
放送で死を知った知人の事を思いつつ、クローイは引き続き獲物捜しを始める。
クローイが立ち去った後、ヴィヴィアンの死体の元に一人の狼獣人の少女が現れた。
「ああ、酷い……」
頭を撃ち抜かれ死んだ褐色エルフの女性の死体を見てショックを受けるのは、藤森真海。
ついさっきに、サキュバスらしい少女がこのエルフの女性を殺害する現場を目撃した。
見ず知らずの人物であったが、目の前で生きていた人が殺されるのを見たためどうしても他人事には思えない。
殺されるのを見るのは二度目でもあった、だが慣れる事は無い。
「皆川さんに優太郎君、美祐ちゃんも死んじゃったらしいし……。
もうエッチな事する気も失せてきた……」
放送により知った発展場仲間の死、更に二人の人間の死を目撃。
真海の性欲も、すっかり減退してしまっていた。
【ヴィヴィアン・ルーク 死亡】
【残り 15人】
【午前/D-5島役場周辺の市街地】
【クローイ】
[状態]健康
[装備]スタームルガーMk.I(9/10)
[持物]基本支給品一式、スタームルガーMk.Iの弾倉(1)、クラッグ・ヨルゲンセンM1895カービン(1/5) 、
6.5mm×55弾(10)、ピッケル、ローバーR9(6/6)、ローバーR9の弾倉(2)
[思考・行動]
0:面白そうなので殺し合いに乗る。
1:バイロンさん、コーディ君はどこにいるんだろう?
2:古澤由樹を警戒。
[備考]
※小崎史哉を殺害したと思っています。
※藤森真海には気付いていません。
【藤森真海】
[状態]精神疲労(大)
[装備]警棒
[持物]基本支給品一式、スリングショット、鉛玉(5)
[思考・行動]
0:殺し合いはしない。発展場仲間と生きて帰りたい。
1:もう疲れた……。
[備考]
※発展場仲間は御代田優太郎、皆川宏介、栗田雅博、萩野美祐、萩野直重の五人です。
※遠矢英教、クローイ(名前未確認)を危険人物と認識しました。
最終更新:2012年05月27日 23:32