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『勇気』とは

「川っていいよなぁ……何でかなんて知らないけど」

あの妙にムカつく野郎が行っちまった後、行く当ても無く俺はここら辺をフラフラしていた。
で、結果的に辿り着いたのは、この河原。
消費したのは時間とちょっとの体力。
でも、得た物なんてほとんど無い。

「……我ながら、無駄な時間過ごしたな」

ベンチに寝転がり、空を見上げる。
……沢山の星が、浮かんでる。中には、自分が知っている星座もちらほら。
綺麗だなぁ……。
でも、本当はこうやって空を見てる暇なんかないんだよな。
もしかしたら……この間にも、誰かが殺されてるかもしんねぇし……。
とっとと、あのナメた男を倒して、元の日常に戻らなきゃ。
でも、今の所、名案どころかちょっとしたアイデアすら出てない。

「あー、もうどうすりゃいいんだ?」

首に巻き付いてる、ウザい首輪。
さっきは出て来たのに、今はうんともすんとも言わないあの刀。
さっきのナメた男。
訳分からんこの場所。
特に何かした訳でもないのに、こんなところにいる事。
何もかもが、ムカつく。

「あー、ウゼぇ! ムカつくっつーの!」

キレてどうにかなるなんて、思っちゃいない。
だけど、こんな状況なのにキレずにいられるほど、俺は冷静じゃない。
……そんな勝手に沸いて出た怒りは、ベンチを蹴った足の痛みで、消えてしまったが。

「あー痛ってえな…………チクショー…………」

一体、何で俺はこうもイライラしているんだ。
この期に及んで、死にたくないなんて思ってる訳でもないのになぁ。
それを踏まえて考えても、何故か分からない。
ああ、腹が立つ!
せめて、煙草でも吸えればないいのにな……。

「どうにかなんねえのかよ……んん? おい、そこのオッサン! 何やってんだ?」

目立つ格好で立ってる、目立つオッサン。
白っぽいスーツを着ているお陰で、暗闇の中で浮いている。
まぁ、浮いてなかったら声をかけられなかっただろうが……。
どっちにしろ、俺が声をかけたお陰でオッサンはこっちに近づいてきた。

「……よぉオッサン。あんたもなのか?」
「そうだ。イマイチ、状況は掴めていないがな」
「まぁ、そりゃそうだ。いきなり殺し合いなんて言われてもな。大抵そうなるって」

しかし、このオッサン……かなり、ガタイがいい。
もしかして、格闘技でもやってるのか?それとも、また別のものか?
どっちにしろ、この分だと俺より腕っ節は強そうだ。
俺も、少しくらいなら自信はあるが、これほどの相手を目にすると、どうにも。

「……立ち話も何だからよ。そこのベンチにでも座って、話しようぜ」
「ああ、いいぜ……」








「ただもんじゃないとは思ってたがよ、まさか……極道だったとはな」
「あくまで、元、だがな……今はもう、堅気になってる」
「ああ、分かってるさ。今は、沖縄で施設やってんだって? スゲーじゃん」
「そうでもねぇさ。大変な事だって沢山ある」
「でも、別に嫌じゃねーんだろ? ならいいじゃねえか。アンタスゲーよ」

そう言って、俺は何度も頷く。
俺に出来ねえ事をする人は、誰だってスゴい。
――――俺が、認めるかどうかは別だけど。あぁ、このオッサンは無問題だな。

「じゃあよ、ちっと真面目な話になるがよ……アンタさ、殺し合う気ある?」
「ある訳ないだろう」
「ならいいんだ。俺の目に狂いはなかったぜ! よし、アンタと俺は今から仲間だ!!」
「おい、勝手に決めるな……」
「まぁ、細かいことはいいじゃねぇか。それよりオッサン、名前なんて言うんだ?」
「……桐生一馬だ」
「桐生一馬、か……名前もかっけーな」

オッサン……いや、桐生さんはどこから出したのか、煙草をふかしている。
俺にも一本くれ、と言うと、すんなり渡してくれた。ありがたい。
一気に煙を吸い込んで、肺の中に煙を取り込む。
……ふーっ、と一気に煙を吐き出すと共に、ストレスも出て行く気がする。
何となくだけど。
しかし、煙草はいいもんだな。
何か、いろいろ考え言をする時に、煙草を吸うとけっこう頭の回転が良くなる気がする。
まぁ、その分体に悪いのも、分かってはいるけど……。

「桐生さん、アンタこれからどうしたい? 俺は、あの気に入らない野郎をブン殴ってやりたいけど」
「……俺も同感だ」
「そうか、なら話は早いんじゃないか? あいつをブン殴るためには、あいつのいる所に行かなきゃな。
 だから、いろんな人を集めて探し出すんだよ、あいつを」
「しかし……お前、アテはあるのか?」
「さぁ? まあ、俺達以外のヤツが、みんな敵って事は流石にないだろうし。そう言う桐生さんは?
 知り合いは……いるのか?確か、携帯に名簿とやらがあったはずだから、見てみようぜ」

そう言って、俺はバッグから携帯を取り出す。
これに「名簿」とやらが入っている……らしい。
まぁ、画面を見る限り、それらしいものがあるから、間違いじゃないだろう。
とりあえず、「名簿」のアイコンをタッチする。

「……見た限りでは、俺の知り合いはいねえや。桐生さんは?」
「…………谷村、秋山…………冴島までが、ここに…………」
「……いたんですね、知り合いが……」
「ああ……だが、こいつらは、まず殺し合いなんてしないだろう……」

と言う事は、桐生さんの話に出て来たこの3人も、また強いのだろうか?
話だけじゃ何も分からないから、ちょっと聞いてみようかな……。

「……!! 伏せろッ!!」
「えっ? うああっ!!」

いきなり地面に引き倒され、訳も分からないまま地面に伏せる。
その直後、激しい銃声が……!

「なななななな、何だよ!?」
「誰かが撃ってきたようだな……」
「マジ!? 誰だよ、こんなことするヤツは!?」
「分からねぇ。とにかく、逃げないとな」

とは言う物の、こんなどこから来るかも分からない状況で、どうやって逃げるって言うんだ。
下手に行動すれば、体中に銃弾を浴びる可能性があるって言うのに。
第一、どこから襲って来てるのかも、俺は理解してない。
だってのに、どうしてこうも冷静でいられるんだ、桐生さんは。

「……銃声が止んだぞ! 今だ、行け!!」
「……ああ!!」

無我夢中で、とにかく走り出す。
それに合わせ、桐生さんも走り出す。

「どこに逃げるんだよ!?」
「とにかく今は走るんだ」

今は、ただ従うしかない。
だが、このままじゃ一方的にやられて、尻尾巻いて逃げるのと同じだ。
それは、俺的にはくやしすぎる。
何とか、姿の見えない襲撃者にひと泡吹かせてやりたいけど……。
とにもかくにも、今は逃げるしかできない。

「うぐっ……!」
「あっ!」

そんな時に、銃声と共に、桐生さんが走っている勢いそのままに転ぶ。
――――いや、転んだと言うより、転ばされたと言うべきなのか?
……桐生さんの足から、血が出ている……。
流れ出す血が、スーツをじわじわと染めていく。

「ヤバいって! 立てるか? 桐生さん」
「…………厳しいな。とはいえ、お前に俺を背負わせる訳にもいかねぇ」
「何言ってるんだ? 桐生さんが体重どんだけあるのか知らねえけど、普通に背負えるぞ?」
「そうじゃねぇ……。ここでモタモタして、お前まで撃たれたら……マズいだろう」
「確かにそうかもしんねぇけどさ……!」
「とにかく、早く逃げろ。このままじゃ、2人ともやられちまうぞ」
「……………………」

さっきの刀が、また出て来てくれれば。
少しは、戦うことも出来るかもしれないのに!
だってのに、なんたって俺は……!

「…………本当にすまねえ!!」
「謝る暇があるなら、走って逃げろ……俺が、なんとかする……」
「……絶対に、死なないでくれよ!」

そう言うと、俺は振り返らずに、一目散に……逃げ出した。
本当なら、こんな風に情けなく逃げたくは無かった。
でも……どうしようもなかった。
俺は……負け犬だ……。


【一日目・深夜/D-4付近】
【潮田淳一@オリジナル
[状態]:健康、憤り、頬に軽い切り傷、後悔
[装備]:『勇気凛々』の指輪@四字熟語バトルロワイヤル
[所持品]:支給品一式、レーション@MGS3、チャフグレネード×4@MGS3
[思考・行動]
基本:殺し合いは……する気はないな
1:くそっ……桐生さん……!
2:……覚えてろよ!











(しかし……どうすりゃいい?さっきのハプニングで、鞄をあっちに置いてきちまった……)

武器が無くとも、素手で応戦出来ない事はない。
師匠……古牧の爺さんから教わった技、火縄封じもある。
だが、それはあくまで普通の時だけだ。
……足を怪我してしまっては、戦うどころか立ち上がることも難しい。
そんなことを考えている内に、姿の見えない襲撃者が、近づいてくる。

「お前は……何者だ……?」
「……」

何も答えない。
スッと顔を上げて、相手の顔を見る……。

(……顔が、真っ白じゃねえか。まるで、化け物だな)

そいつの持つ銃が、再度火を吹いたと同時に、銃弾が俺の体を抉る。

「うぐっ……!!」

……痛みと出血で、だんだん意識が遠のいてくる。
逃げるどころか、動くことすら出来そうに無い。
今まで、何度も死にそうな目に遭ってきた俺だが……まさか、こんな所で死ぬとはな。
俺が死んだら……アサガオは、遥は誰が守るんだ?俺は、こんなところで死ぬ訳にはいかねえ。
だが、俺の意思に反して、体は動いてくれない。
……その時だった。
今まで、俺が出会ってきた人間の顔が……次々と浮かんでくる。

(……これが、走馬灯、ってヤツか)


風間の親っさん。俺も、そっちに行くことになりそうです。
由美。お前の遺した遥を、俺はもう……守れそうにない。
力也。もう少しで、俺と会えるぜ。


皆…………すまねぇ。俺は、ここまでみてぇだ……。


(遥…………お前を残して、逝く俺を…………許してくれ…………)


最期に、1人残される遥の身を案じながら、俺の意識は闇に落ちた。


【桐生一馬@龍が如く4 死亡】








俺は、ここで何をやっているんだ。そもそも、俺は何故ここにいるんだ。
一体、何のために俺は。あの時から、こんな感覚が続いている。
この感覚は、一体何だ……あいつはどこにいるんだ。
俺は、あいつを――――永井を、探さなきゃならない。
そして。
そして。
そして……。


「久しぶりに……最高の気分だ」


ハハハ、と乾いた笑いが漏れる。
それが、純粋に楽しさから出る笑みか、それとも他のモノなのかは、俺にも分からない。
ただ、複雑な感情が、俺の中で、グルグルと渦巻いているだけだ。

(俺は……一体、何を思っているんだ?俺は、何を)

分からない。
だが、俺は行かなければならないだろう。
――――あいつの、永井のいる場所へ。


【一日目・深夜/D-4】
【三沢岳明@SIREN2】
[状態]:闇人化
[装備]:64式小銃(狙撃仕様)(17/30)@SIREN2
[所持品]:マガジン×?
[思考・行動]
基本:俺はどうすればいい?
1:…………
2:永井を、探そう

交わる正義 投下順 画餅に帰す
GAME START 桐生一馬 GAME OVER
GAME START 三沢岳明 [[]]
正々堂々 潮田淳一 [[]]

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最終更新:2012年05月21日 21:19
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