「一体、どうなってるんだ、こりゃ」
ポリポリと頭をかきながら、見たことも無い場所を進む。
何か、映画にでも出てきそうな光景だ。
良く分からない広い工場のような場所、何やら図面のような物が置かれている部屋……。
何たって、こんな物が。
第一、所々に書かれている文字……これはどこの国の字だ?
どっかで見たような、そうじゃないような……。
どっちにしろ、分からないんじゃどうしようもないけどねぇ。
(困ったね…………)
こんな馬鹿げたゲームに乗るつもりはない。
だが、今の所どうすればいいのか、いまいちいい案が浮かばない。
知り合いがいるのか。
この近くに、人がいるのか。
何で、こんなことに巻き込まれてるのか。
何一つ、分かりゃしない。
「手厳しいねぇ。ゆっくり、腰を下ろして考えてみようか」
いろいろ、調べなきゃならない。
確か、自分の持つバッグに、名簿とやらがあったはずだ。
近くのソファーに腰かけて、バッグを探る。
…………あった。これが、おそらくそうだろう。
「知り合いはいるのかね…………!?」
――――いた。3人も、いた。
まさか、この3人が連れてこられているなんて……。
それぞれ、会話をかわした時間はそんなに長くはないが、それでも。
やはり、全員が全員、自分の因縁にケリをつけたあの時。
あの場所に、一緒にいたと言うだけでも。
(谷村さんに冴島さん、桐生さんも。こりゃ、非常事態だ……)
しかし、これで確実に分かる事が1つ出来た。
……間違い無く、この3人は
殺し合いなんてしないだろう。
それに、腕っ節も立つから、そうそう殺されもしなさそうだ。
「……とりあえず、誰かと合流しないとな。俺一人じゃ、ね」
となると、間違い無くそこらを歩き回ることになる。
そうすれば、知り合い以外に出会う事だって有り得る。
もしそいつが、殺し合う気があったらどうだ?
……ナイフ程度なら、蹴り倒すことも出来なくはないだろうが。
もし銃でも持ってたなら、かなり危険だ。
(……武器はそこまで強くなくたっていい。身を守れる物があるといいんだがね)
このバッグの中に、俺の望むものがあるだろうか。
それは分からないが、今はこれに賭けるしかない。
「……スモークグレネード?何だろう、これ」
言葉通りに受け取るなら、煙を出す手榴弾と言うことになるが……。
こんな屋内で、試す訳にもいかない。
実際は、どんな効果があるかは分からない。
一応用心の為に、上着の両ポケットに1つづつ突っ込んでおく。
(さて……行きますか)
◆
「カロリーメイト手に入れたぜ……。小腹がすいてたからな、ありがてぇ」
あの後、ちょこっとこの辺りを見て回って見た。
見つかったのは、今俺が喰ってるカロリーメイト1箱と、TNTとか言う物だ。
後者が何なのかは良く分からないが、とりあえず役に立ちそうだから持ってきた。
ま、いつか役に立つだろう。
持っていても、損はない。
……にしても、めぼしいモノがこれくらいしか無いなんて。
もっと、何かあると思っていたんだが。主に、外見的な意味で。
「まぁ、まだ建物の中があるからな。こん中なら、何かあるかもしんねぇ」
とんでもないモノが、建物の中に置いてある可能性も。
まぁ、本当に何かあると、まだ決まった訳じゃないけれど……。
どっちにしろ、調べるのには変わり無い。
「……しかし、本当に中になんかあるんかな」
さっき探索している内に、入り口らしき物を見つけた事は見つけたが。
その時は、まだ屋外の探索中だったこともあり、中には入らなかったが。
「……ん?」
今、誰かが上の渡り廊下を通った。
勘違いや見間違いじゃなく、誰かが通った……。
これはラッキーだ。
屋内なら、上手く追い詰めて殺すことも可能だ。
そうとなれば、早く中に入らなければ。
「急げ急げ……!」
全力疾走で、入り口まで突っ走る。
途中にある門も、何とか乗り越えつつ、ついに、入り口まで辿り着いた。
だが、いきなり踏みこんでは危険だ。
何があるか分からん以上、注意深く行かなければ。
もし罠でもあって、怪我でもしたら大変だ。
(……『聴力』上昇)
じわり、と辺りの音が耳に入ってくる。
……まだ、この程度じゃ中の音は聞こえない。
もう少し、待たなければ……具体的には、4分くらい。
……って、これじゃダメじゃないか。
「ちっ、こんなんだったらさっきの段階でやってりゃよかったな」
さっき見かけたアイツが、この中を探し回らないとも限らない。
もし、中にいい物があったら、先に取られてしまう。
モノによっちゃ、奪うこともできるだろうが……銃でもあったら大変だ。
素早さを上げていればかわせるだろうが、能力の性質上ちょっと厳しい。
(……仕方無い、いつ出て来ても攻撃できるように待ち伏せすっか)
すぐ近くのコンテナの影に身を潜める。
この間にも、聴力は上昇し続けている。多分、60メートル範囲の音をハッキリ聞き取れるはずだ。
今の所、建物内以外に誰かがいるよう音はしない。ありがたいことだ。
こんな時に、誰かが来ちゃ面倒だ。
そいつが俺と同様に殺し合う気があれば、当然俺を狙うだろう。
となると、当然闘いになる。
そのどさくさに紛れて、建物の中の野郎に逃げられちゃ、何のためにここで待ってたか分からん。
(……出てこねぇな……どうする?やっぱり踏みこむか、まだ待つか……)
その時。
プシュン、と扉の開く音が小さく響く。
――――やっと出て来たか。
とりあえず、このまま隠れて、様子を見てみるか。
…………何だ、ヒョロ長くて今一つパッとしない野郎じゃねえか。
こんなのの為に、俺は待ってたってのか。
……まあ、いい。こういう奴から、先に倒しておくのが得策だ。
こんな奴、殺すのに強化は必要無いか。
「よぉ……いい天気だな……えぇ?」
「ん?……あんた、誰だ?」
「誰でもいいさ……どうせ、今から死んじまうんだから、なぁ!!」
一瞬の内に、俺の持つハンマーが、頭を叩き潰す――はずだった。
「!?……とんでもない馬鹿力だね」
(かわしやがっただと……!?)
しかし……男は以外にもそれを何とかかわし、俺と距離を取る。
……まさか、かわすとはな。間違い無く、仕留めたと思ったんだが。
人は見かけによらないとか言うが、まさにその通りだ。
「……こうなった以上、黙って見逃してくれる……訳、無いよねぇ」
「当然だ。今度は、その頭潰してやるぜ」
「おぉ怖い。これは、逃げた方がよさそうだね……そういや、さっきの……」
「何ブツブツ言ってやがる。死ぬのが怖いか?なら問題ねぇ。即死させてやるからよ」
「だから、死ぬ気はないって。こいつで、何とかなる……かなっ!」
そう言うと、男は何かを取り出し上に放り投げた。
こんなもんで、注意を引こうってのか?だったら甘いな。
上に投げた『何か』には気も留めず、一直線に男に向かう。
しかし……爆音と共に、俺の周りにいきなりもやのような物がたちこめる……。
これじゃ、辺りを確認できない。たちまち、男の足音も離れて行く。
仕方無く、たちこめるもやの中を走って抜ける。
……が、男の姿は既に無く、音も聞こえない。
そろそろ、『聴力』の下降が始まるころだ。
……もう、追跡できない。力の下降が、思ってるより早い。
多分、上昇に掛けた時間の半分……そんくらいで元に戻る。
――――この俺ですら、自身の能力の全てを網羅してる訳じゃないんだ。
「諦めるしか……ねぇか……」
【一日目・深夜/B-7】
【被験体03号@
オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:ハンマー@SIREN2、ピュア・ゴールド・王将@SIREN2
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:皆殺しにして金でも貰うか
1:くそっ、逃げられた……
◆
(……どうやら、撒いたようだ)
息を切らしながら、壁にもたれかかる。
何とか……逃げ切れた、ようだ。
一応、耳を済ましてみるが……足音は、しない。
(あの煙で、追いかけるのを諦めたか?だとしたら、ありがたい)
だが、ゆっくり休んでいる暇は無い。
さっきのヤツ以外が、来る可能性もある。
「……ここを離れないとね。近くに何があるんだ」
地図を見てみる。
……このまま真っすぐ行けば、街に出るようだ。
反対に進んで、森を抜けると大きなショッピングモールがあるらしい。
どっちにしろ、少しは休める場所があるはずだ。
ならば、近い街に向かってみよう。何か、収穫もあるかもしれない。
……もちろん、危険と隣り合わせになるのは知っている。
「……早いとこ、行きますか」
【一日目・深夜/B-6】
【秋山駿@龍が如く4】
[状態]:健康、疲労(中)
[装備]:スモークグレネード@MGS3
[所持品]:支給品一式、スモークグレネード×3、不明支給品×2
[思考・行動]
基本:死ぬ気は無いが、人を殺す気もない。戦闘は避けたい
1:今は、ここから離れなきゃね。とりあえず、街に行こう
2:知り合い(桐生、谷村、冴島)を探したい
≪支給品紹介≫
【スモークグレネード@MGS3】
秋山駿に支給。
投げると、爆発後一定時間その場にとどまる煙幕を張ることができる。
上手く利用すれば、追跡してくる敵兵の視界を遮る事も出来る。
最終更新:2012年06月22日 00:37