33話:神のみぞ知る今日の意味
放送によると、僕の発展場友人である優太郎君、皆川君、美祐ちゃんが死んだらしい。
何て事だ、優太郎君と美祐ちゃんはまだ子供なのに。
皆川君も俺より若い、まだ20になったばかりじゃなかったか?
俺もまだ20代半ばだけど、自分より若い子が死ぬのは良い気分じゃないな。年寄り臭いかなこんな台詞。
秋山さんと優衣ちゃんが心配してくれている。
僕は大丈夫だけど、直重君、萩野直重君が心配だ。
放送では直重君は呼ばれなかった、と言う事は直重君はまだ生きていて、放送で自分の姉のような存在、
萩野美祐の死を聞いたと思う。気絶とか、寝ていたりでもしていない限り。
直重君にとって美祐ちゃんは本当に大切な、愛する存在だった。
以前本人からそう聞いた事がある。
だが、美祐ちゃんが死んだ事で直重君はこの
殺し合いの中どうなってしまうのだろう。
自暴自棄になって早まらなければいいのだけど。
「……そろそろ移動しようか」
僕が二人に提案する。
二人は割とあっさり承諾してくれた。
優衣ちゃんと秋山さんは首輪を調べたいと言っているけど、そのためには首輪のサンプルが必要。
それには少なくとも死体から首輪を取らないといけない、らしい。
だよな、生きている参加者の首輪をいじくろうものなら下手したら爆発するかもしれないんだし。
とにかく駐在所でじっとしていても事態は好転しないのは確かだからね。
さあて、気が引けるけどあの変態二人にも声を掛けるとしよう。
「日花里ちゃん、滝口さん……」
「おう、栗田か」
「ああ、栗田さん……」
流石に放送は真面目に聞いていたみたいだ。
服装を整えて後始末もしっかりしている。
支給品だろうか、日花里ちゃんは自動拳銃、滝口さんは短機関銃らしい物を持っている。
「移動しようと思っているんだけど、一緒に、行くか? 二人共」
「移動? どこに行くんだ?」
「島役場辺りにでも行ってみようかと思っているんだが」
「ふぅん、まあ良いか。良いぜ、一緒に行ってやる。良いよな? 日花里ちゃん」
「はい」
二人も承諾してくれた。
何だか俺、リーダーみたいになってるな。
正直、リーダーとか、そういう先頭に立って指揮を取るのは僕の柄じゃないんだけど。
誰かがまとめなきゃしょうがない。
さて……島役場に行ってみるとしよう、何事も無ければ良いけどな、あれ? フラグか? これ。
◆
町の中は静かだった。
私こと鈴木優衣は、栗田さん、秋山さん、滝口さん、青砥さんの四人の共に島役場へ向かう事になった。
のだけれど、こんなに大人数で行動して目立つんじゃないだろうか。
一応警戒しながら進んでいるけど、どこから襲われるか分かったもんじゃない。
「ねぇ、青砥さん、だったっけ?」
「はい?」
取り敢えず青砥さんと話してみよう。小声で。
「滝口さんとはどう言った経緯で出会ったんですか? その、エッチな事ばっかりやってますけど」
「酒場で会いました」
「いや、そう言う事じゃなくて何であんなエッチな事ばかり」
「エッチな事が好きなので」
「……そうですか」
「うふふ」
駄目だ、この人とまともに会話するのは難しい。
世の中には自分の性的嗜好を隠さず大っぴらにして生きている人も沢山いるとは聞くけど。
私の通う学校にもそう言う生徒や先生はいるし。
でも正直私はそう言う人達が苦手だ、差別するつもりなんて無いけど、どうも感性が違い過ぎるって言うか、
思考の仕方が普通とは一線を画していると言うか、そんな感じなんだよね。
「良い人ですよ、見かけによらず。滝口さんは」
本当に?
出会った時の言動を考えても、私はとても「良い人」とは思えないけど。
だって高校生の少女に下半身裸で歩く事を強要している人なんてどう考えても――――。
カンッ。
「ん?」
栗田さんが声を発した。
あれ、何だろう、黒いボールみたいな物が地面に落ちて……。
ドガアアン!!!
……
……
◆
放送の後、俺は町中を歩いていた。
アドレイドが死んだらしい。まあ、どうでも良いっちゃあどうでも良いけど。
そして、五人組のグループを見付け、俺は持っていたミルズ型手榴弾を使い五人を吹き飛ばした。
手榴弾の威力は本当に凄いな。
五人いたグループを一瞬で肉塊に変えてしまった。
いや、まだ辛うじて生きてはいるようだが。
それはこれから一人ずつ止めを刺して行けば良い。
俺ことコーディはスコフィールドリボルバーを手に取り地面に伏す五人の元へ歩く。
「う……あ……足、が……」
まずは足が吹き飛んでいる人間の男。
ダァン!!
頭を撃ち抜いた。これでもう苦しまなくて済むぞ。
次は太り気味の人間の男だ。
「あぁあ、目が、目があぁあ……!」
おお、目に破片が突き刺さってえらい事になってしまっているな、某大佐みてぇな台詞を吐いていやがる。
痛いだろうな、苦しいだろうな。
さあ、その苦しみから解放してやるよ。
ダァン!! ダァン!!
一発じゃ死ななかったから二発ぶち込んだ。脂肪のお陰で耐久力があったんだろうか。
まあどうでも良いけどな、次はハイエナのおっさん。
「腕があ、俺の腕が、ねぇ……!」
おお、こいつは左腕が千切れ飛んじまってるな、傷口から赤い液体が噴き出してやがる。
良くショック死しないな、安心しろおっさんすぐ楽にしてやる。
ダァン!! ダァン!!
あ、弾が切れたな、補充しておくか……。
◆
身体中が痛い、破片がお腹に突き刺さっている、これ、もう助からないかもしれない。
ぼんやりとした意識の中、人狼らしき人が滝口さんを撃ち殺しているのが見えた。
ああ滝口さん、貴方の腰遣いと舌遣い、とても上手でした。
何て言っている場合じゃない、多分もう栗田さんと秋山さんは死んだんだと思う。
何やら、銃に弾込めているみたい。私が生きている事にはまだ気付いていないんだろうか。
あ……そう言えば優衣ちゃんは、優衣ちゃんは生きているの?
分からないけど……あの人狼をどうにかしないといけないのは、朦朧とした頭でも分かるよ。
私に支給された自動拳銃、ベルグマンシンプレックス。
これで、あの人狼に一太刀浴びせよう。銃、だけど。
私の命が完全に尽きてしまう前に。
私はシンプレックスの銃口を人狼に向け、引き金を引いた。
ダァン! ダァン! ダァン! ダァン! ……
「ガアァアアアァア!?」
突然の銃撃を浴び、人狼が悲鳴を上げる。
致命傷になっただろうか、もっと撃ち込みたくてもシンプレックスは弾が切れちゃったみたい。
予備の弾倉に着け変える時間はもう残っていないだろう。
人狼が私に銃口を向ける。
ああ、そろそろ私も死ぬみたい。
でも、お腹に破片が刺さっちゃってるから、どっちにしても私はもう駄目かな。
ダァン!! ダァン!! ダァン!!
目の前が、真っ赤に染まる。
頭に、あたった、みたい。
本当は、こんなところで、しにたくなんかない。
まだいきたい、のに――――。
しにたく――――ない―――――。
◆
完全に俺の油断だった、まさかまだ銃で反撃出来る余力のある奴がいたなんて。
たった今、スコフィールドで撃ち殺してやったけど。
良く見たら可愛い美少女だった、こんな時じゃなければ性的な意味で襲ってやったんだけどな。
「ハァ、ハァ、ハァ……グウッ……」
銃弾は俺の腹と太腿、尻の所にまで当たってやがる。
畜生、金玉に当たらなかっただけ良しとしろってのか。
後一人、奥で倒れているのがいる。
あれは生きているのか? 死んでいるのか?
何にせよ確認しない事にはな。
「……」
倒れている最後の一人の少女の所にやってきた。
見た感じ目立った外傷も無くて、気絶しているだけと言った感じだ。
死んでいるのかもしれないが、完全に止めを刺しておくべきだな。
俺はスコフィールドの銃口を倒れている少女に向ける。
これで後は引き金を引けばこの少女も終わり。
引き金に掛けている指に、俺はゆっくり力を込めた。
ドスッ!
……あれ、銃声ってこんな音だったっけ。
いや、何か額の辺りに衝撃を感じたんだが?
「……!?」
て、手足の先が痺れてくる? じゅ、銃が持てな……落としちまった、ひ、拾わないと。
……? 身体が、言う事を、聞かねぇ、あ、頭が痛い……ど、どうなって……。
……! ……額に、何か、刺さっ……。
あいつ、は……! 遊園地……の時、の……!
い、意識、が……とおのい、て……嘘だろ……おい……し、死ぬ……のか俺……。
……くそったれ……が……。
◆
爆発音を聞いて駆け付けた時は、既に惨状が出来あがっていた。
滅茶苦茶になった道路、四人分の死体、気絶していると思しき少女に銃を向ける見覚えのある人狼。
そうだ、確か遊園地で優太郎君を射殺したあいつだ。
そしてそいつが目の前で少女を撃ち殺そうとしていた。
俺は考えるよりも先に、持っていた投げナイフを人狼に向け投げ付けていた。
ナイフは人狼の額に突き刺さり、しばらくふらついた後人狼は崩れ落ち、動かなくなった。
「おい、君……」
俺ことレスター・コリンソンは人狼が撃ち殺そうとしていた少女の元へ駆け寄る。
息はあるようだ。良かった。だが身体中傷だらけだ。
「放っておく訳にはいかないな……」
俺は少女を彼女の荷物ごと背負いあげ、一先ず適当な民家の中で応急処置を施す事にした。
(……セシリーの奴は死んだらしいし……たく……酷いゲームだよ)
放送では仲間のセシリーを含めて16人もの参加者の名前が呼ばれた。
たった四時間だぞ? たった四時間で16人死んだんだ。
やる気になっている奴がどれだけいるって言うんだ、全く。
それともやる気になっている奴自体は少なくて、一人で複数殺してる奴が多いんだろうか。
……いや、そんな事考えるのは後にしよう、今はこの子を安全な所に連れてってやるのが先決だ。
【滝口信方 死亡】
【青砥日花里 死亡】
【秋山隆生 死亡】
【栗田雅博 死亡】
【コーディ 死亡】
【残り 21人】
【午前/E-4駐在所周辺の市街地】
【鈴木優衣】
[状態]全身傷だらけ、気絶、レスターに背負われている
[装備]ベイダナ
[持物]基本支給品一式、工具セット
[思考・行動]
0:首輪を調べたい。殺し合う気は無い。
1:(気絶中)
[備考]
※御代田優太郎、皆川宏介、萩野美祐、萩野直重、藤森真海の情報を得ました。
【レスター・コリンソン】
[状態]健康、鈴木優衣を背負っている
[装備]グルカナイフ
[持物]基本支給品一式、投げナイフ(1)
[思考・行動]
0:殺し合いには乗らない。首輪をどうにかしたい。
1:殺し合いに乗っている奴でも女性は出来る限り殺したくないが……。
2:少女(鈴木優衣)を保護する。
[備考]
※知人はヴィヴィアン・ルーク、セシリー・バーンズの二人です。
※E-4駐在所周辺の市街地に栗田雅博、秋山隆生、青砥日花里、滝口信方、コーディの死体と、
それぞれの所持品が放置されています。
≪支給品紹介≫
【ベルグマンシンプレックス】
青砥日花里に支給。
ドイツ製の自動拳銃ベルグマンM1896の改良型で1901年に登場した。M1896と比べると全体的にコンパクトになり、
着脱式弾倉が使用可能となった。弾倉と弾倉挿入口の側面には残弾確認用の穴が設けられている。
最終更新:2012年05月22日 20:53