「……落ち着いた?」
「何とかな……まだ、ちょっと怪しいが……」
結局、落ち着くまで結構かかった。
あの後、「この店には何も無い」と言うことで、喫茶店に移動した。
と言うか、何も無いのは俺が確認したんだけどなぁ。まあいいけど……。
まぁ、ここの方が飲み物とかありそうだから、結果オーライだが。
「……さて。アンタが何者なのか、聞かせてくれ」
「俺は……
ジョニーだ。冷戦が始まる前は、アメリカに住んでたんだが……ここに来る前はソ連にいたよ」
「冷戦? 何言ってるんだ……冷戦が終わってから、ウン十年と経つぞ……それに、もうソ連なんてない」
「何だって?」
「いや、だから…………まあ、そのことについては、また後で。それで、他に何か無いか?」
「ああ……俺は、ソ連で独房の看守をやっててな……そこで、スネークって奴と出会ってさ……。
いい奴だったよ。あいつにあげた食料をくれたこともあったしな……」
……釈然としない部分もあるが……まぁ、これくらいか。
相手に聞いた以上、俺も答えるのが筋だろう。
「俺は……高橋純一、28歳。まあ、ただの土木作業員さ。特に変わったこと知ってる訳じゃないし、
まぁ俺はこんくらいってことで……」
「……なぁ」
「何だ?」
「……未来じゃ、ソ連とアメリカの関係はどうなってるんだ?」
「冷戦のころに比べりゃ、平和も良いところさ……」
「そうか……良かった」
ふっ、と男の顔に笑顔が浮かぶ。
――――やっぱ、平和が一番だよなあ。そりゃそうだ……。
「……さあて、どうしようか? コーヒーでも飲みながら考えようか」
「そうだな。でも、お前コーヒー淹れられるのか?」
「それくらいできらぁ。ちょっくら淹れてくる」
……とは言ったものの、呑気にコーヒーなんか飲んでいられないよなあ。
とりあえず、喫茶店の厨房に入ってみる。
辺りを見回してみると、色んな物が目に映る。
コーヒー豆の入っている袋、豆を挽くのに使うと思われる物、棚に仕舞われているコーヒーカップ……。
しかし、こんな本格的にやってる暇も無いし、技術もない。
結局、冷蔵庫からミネラルウォーターを持って行くくらいしかできなかった。
「改めて考えよう。これからどうしようか?」
「どうするもこうするも……どうにかして、ここから脱出する必要があるな」
「どうすりゃいいんだろうなぁ、それ……もうちっと、考えてみっか」
◆
「でかい建物だな……地図通りなら、ここがショッピングモールに当たるらしいが」
「そうだねー……これだけおっきかったら、間違い無く誰かいそうだね!」
「そうかもしれないな……でも、あまり期待しすぎるのも良くないぞ? さっきもそうだったし。
結局、水門には大した物も大した仕掛けもなかったしな」
「ぶー、それを言っちゃおしまいだよー……」
そう言って、4号は頬を膨らませる。
「ま、行ってみれば分かることだ。それはそうと、先に言っておく事がある」
「何ー?」
「……お前は、俺の後ろについて歩いて来い。いくら武器があるとは言え、子供には戦わせられない。
俺は……一応、この銃があるお陰で、少しなら応戦できる」
「心配しすぎだよぅ……」
「……万が一、ってこともあるからな。用心するに越した事はないよ」
再度、4号がぷくっと頬を膨らませるが、気にしない。
……しかし、何故こんな小さい子まで参加させなければならないのか。
ちょっと変わってはいるが、それでも。
あいつの意図が掴めない。
ただ適当に人を集め、殺し合う様を見て楽しみたいのか、それとも他に何か……。
どんな考えがあるにせよ、こんなこと許せないし、許される訳がない……。
「どーしたの?早く行こうよー」
「あ……あぁ、ごめん」
とりあえず、最大限の注意を払いながら。
自動ドアが、静かに開く。
明かりは灯っているのに、人気のない、だだっ広い店内。
どこに、誰が隠れていてもおかしくない。
もしかしたら、あの角に。
観葉植物の影に。
ベンチの裏に。
誰かが、潜んでいてもおかしくない。
そして、その『誰か』は、もう俺達に気がついていて、虎視眈眈と命を……。
……疑い出せばキリが無いのは分かっている。
だが、それでも疑ってしまう。
スッ、と物陰から人が出て来て、俺達を――――。なんて、考えてしまう。
(……考えても仕方無い。進むしかないんだ)
◆
「……拍子抜けするくらい、普通に行けたな」
「もー、だから心配しすぎだって言ったじゃん」
「悪かったよ。……でも、まだ1階の一部分を見ただけだ。上の階に誰かいるかもしれない。
……まぁ、それは別に後からでもいい。とりあえず、この辺りに誰かいるか探そうか」
「うん!」
……とは言え、ここの内部構造を自分は知らない。
案内板のような物があればいいんだけど。
そう思っていた時。どこかから、声が……。
「……改めて…………どうしようか?」
「どうするも……どうにかして……必要があるな」
「どうすりゃ……もうちっと、考えて……」
声から察するに、男だろうか?一体、どこからだろう?
何となく、あの喫茶店から聞こえて来た気がするような。
とりあえず、4号にも聞こえたか確認を取ってみる。
(……どう思う?俺は、あっちから聞こえて来た気がするんだけど)
(……良く分かんない)
(まぁそうだよな……ちょっと調べてみる。ここで待ってろ)
(うん)
自分はただの一般人。
気配を消したりできるわけじゃない。
それでも、もし声の主が危険な人間であったなら……。
「……あんた、コソコソして何やってるんだ」
「……あ」
◆
「……で、あんたらはここに誰かいるかもと睨んで来たんだな?まぁ、その予想は当たってたけど」
「ああ。まさか、気づかれてたなんてな」
あれから数分後。
俺と4号の二人は、遭遇した男2人組と、適当に情報を交換しあった。
……と言っても、そこまで情報を持っている訳じゃ無かったので、そんなに時間は掛からなかった。
そこまでは別に良かったのだが、その後俺達の名前の説明に苦労した。
……普通に考えれば、有り得ないような名前だ。理解不能なのも無理はない。
それでも、最終的には……何とか分かってくれた。ありがたい。
「……さて。4号と507……言い辛いけどいいか。お前ら、持ち物ってそれだけか?」
「まだある。4号は支給品をあと1つ持ってるが、武器じゃない。俺も1つあるが、武器じゃない。
と言うか……もの凄く奇妙な物なんだ」
「奇妙……?ちょっと見せてくれよ」
「……これだ。この鏡。見た所何の変哲も無い鏡だろ?」
「ああ。特に変わった仕掛けも無さそうだ。で、これの何処がひっかかるんだ」
「良く見ててくれ……」
そう言って、俺は鏡を床に置く。
それに、俺は銃口を向けて――――撃つ。
「――――えっ?」
「そんな馬鹿な……」
「……だから奇妙なんだよ。これは」
本当なら、粉々に砕けるはずの鏡。
だが、この鏡は――――割れるどころか、傷一つ付いていない。
……この鏡には、2枚の紙切れが添えられていた。
表面に、1と記されていた紙に印刷されていた文字、『決して正しく映らない鏡』。
これだけでは、意味が分からなかっただろう。
しかし、2枚目の紙に記されている文章が、俺にヒントをくれた。
……『鏡に害を与える物は映らない鏡。信じようと、信じまいと』。
これをストレートに解釈するなら、「鏡を割ろうとする物は、鏡に映らない」と言った所だろう。
だが、それは違った。
水門に立ち寄った際に、こっそり試してみたのだ。
4号にも気づかれないように、鏡に石を投げてみた。
(石は、鏡の前で忽然と消失した。つまり、鏡を割ろうとした物を消す力が、この鏡にはあるんだ。
一体どんなからくりなのかは知らないが、とんでもない物だ、これは)
「……おい、どうしたんだ。急に黙り込んで」
「あ?あぁ、すまない。……おそらく、こいつは……」
とりあえず、こいつについて分かったことを、説明しておこう。
得体の知れない物だが、もしかしたら役に立つかも知れない……。
◆
にわかには信じられない。
まさか、割ろうとすると、その「割ろうとした物」を消す鏡があるなんて。
だが、こいつは使い方によっては心強い盾になる。
例えば、誰かが銃を撃ってきた時。
こいつを盾にすれば、無傷で済む。
そうすれば、「鏡を割ろうとする物=銃弾」になるから、鏡が銃弾を消してくれる。
……問題は、これを誰が持つかだ。俺は、この機関銃があるからいいけど。
「……とりあえず、これは誰が持つ?見た目からすると……4号、お前が持った方がいいんじゃないか」
「もー、馬鹿にしないでよー。私だって戦えるよ!危ない人が来たら、3枚に下ろしてやるんだから!」
「そりゃあ頼もしいこった。……んじゃあ、今の所武器が無いジョニー、アンタが持った方が良い」
「そうか。だが、まだ俺はバッグを確認してないんだ。武器があるかもしれない」
そう言うと、ジョニーはバッグを探り出す……が、顔色が見る見るうちに変わって行く。
……大体想像は付く。
多分、武器になる物はなかったんだろう。
半ば諦めた表情で、ジョニーが奇妙な鏡を受け取る。
(…………ま、なんとかなるだろ。まかりなりにも軍人なんだし)
【一日目・深夜/D-6:ショッピングモール1F:喫茶店】
【高橋純一@
オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:イングラムM10(32/32)
[所持品]:支給品一式、マガジン×3、薬セット(睡眠薬×3、下剤×3、ビタミン剤×6、毒薬×1)
ミネラルウォーター×1
[思考・行動]
基本:
殺し合いに乗る気はない。この現状をなんとかしたい
1:ジョニーが心配だけど、まあ大丈夫だろ
2:とりあえず、俺を含めたこの4人で行ってみるか
3:ジョニーの話が気になるな
【ジョニー@メタルギアソリッド3】
[状態]:健康?
[装備]:決して正しく映らない鏡@オカルト
[所持品]:支給品一式、不明支給品×3(確認済み、武器無し)
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。何とかして妻と子供の元に戻りたい
1:……武器がないなんて
2:俺を含めた4人で行動する。
【507@オカルト】
[状態]:健康
[装備]:モスバーグM500(5/6)
[所持品]:支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いする気は無い。生きて帰りたい
1:とりあえず、この4人で行くか
2:あの鏡の謎……きちんと調べたいが……
【被験体04号@オリジナル】
[状態]:健康
[装備]:焔薙@SIREN2
[所持品]:支給品一式、水の入ったコップ@オカルト
[思考・行動]
基本:殺し合いたくないよー
1:507、それとこの2人といっしょにいく。
≪支給品紹介≫
【決して正しく映らない鏡@オカルト】
507に支給。
「信じようと、信じまいと――」より。
大体縦30センチ、横25センチ程度の大きさ。
(話の中に、鏡自身の大きさは出てこなかったので、あくまでサイズは推測)
最終更新:2012年08月19日 22:07