――――何が起こっているのか分からない。
だが……間違い無く、これは、自分にとって大きなチャンスだ。
殺し合いと言う場では、恐怖に怯え正常な思考ができなくなる人間が出てくるだろう。
その混乱している精神につけこめば、スレの時の手順を、幾つか飛ばせるかも。
(一応、銃はありますが……まあ、誰もいないなら、これで直接、手を下すのも――――)
変に目立たないように。誰にも、怪しまれないように。
上手く、立ち回る必要がある…………特に、自分の場合は。
自分のやろうとしている事――――呪いの儀式を、他の人間に知られてはならない。
誰かに知られては困るのだ。知られれば、まず信用されなくなる。
相手によっては、その場で殺されかねない。
それだけは、避けなければならない。
死んでしまっては、元も子もないのだから。
(しかし……人っ子一人いませんね)
水門を通り抜け、この湖に辿り着いてからそれなりに経っているが、誰にも遭遇していない。
別に、困りはしないが。むしろ、遭遇しすぎても困ってしまう。
どちらにしろ、こんな湖のほとりなんて、好き好んで来るような場所でもなさそうだし。
……しかし、ここらで誰かに遭遇しないと、自分の計画が進まない……。
「……おや?」
ぼんやりと蛍光灯の明かりが、湖畔の東屋の中を照らしている。
良く見ると……誰かが、そこに座っている。
歩き疲れて休憩中なのか、それとも誰かを待っているのか。
どちらにしろ、誰かがいることには変わりない。
(……少し、接触してみますか)
スタスタッと東屋に一気に歩みより、素早く中に飛び込む。
「うわっ!?」
「……警戒しなくても大丈夫です。私は、何もしませんから」
「本当、なのか……?」
「ええ。ですから、心配しないで下さい」
……中にいたのは、普通の男だった。
特に変わった姿をしている訳でもない、いたって普通の男。
――――心はどうだろうか?
上手く言い包めて、「呪い」をかけられるなら、それでいいが。
それだけは、見ただけじゃ分からない。
何か、会話でも交わして、確かめなければ。
「ほ……本当に大丈夫なんだな……ずっと一人だったからな……」
「ええ、私も、さっきまで一人でしたから、心細くて……」
「そうなのか……それじゃあ、お互い丁度良かったな」
……どうやら、心の方はそこそこ強そうだ。
これじゃあ、下手に手を出せそうにない。
のんびり、心を責めて弱らせる余裕も、時間もない。
いきなり、計画通りに行かなかったが、これは――――やるしかないか。
「さて……こんな陰気臭い所にいるのも何だから、他に行かないか?」
「ええ、行きましょう……」
相手の男は、こちらを全く警戒せずに歩き出す。
――――こっそりと、バッグから銃を取り出して、ひっそりと構える。
距離は、おそらく5メートルもない。
この距離なら、銃を扱った事のない自分でも、仕留められる。
そう思って、引き金を引いた瞬間だった。
「そういや、まだ、名前を聴いて無か――――!!」
「――――ッ!!」
しまった、気付かれた……!
「あ、あんた、まさか……」
「……くっ!!」
慌てて、銃の引き金を引く。
パシュッ、と掠れた音がしたのとほぼ同時に、男がその場に倒れこむ。
「う……うう……」
「……悪く思わないで下さいね。これも、私の計画なんですから」
「け……けいか、く……?」
多分、腹か胸辺りに当たったのだろう。
放っておいても、じき、死ぬだろう。わざわざ、とどめを刺す必要もない。
……とにかく、これでこの男の口を封じる事が出来た。
自分の正体を知られることもない……。
(……急いで逃げなければ。こいつと一緒にいるのを、誰かに見られでもしたら……)
男の持ち物に、チラリと目をやる。
ブラシと、自分の持っているバッグと同じ物。
スッと拾い上げ、手早く中身を確認するが、大した物はない。
(……持って行く必要はなさそうですね。……そうだ、これを……)
男のバッグに、自分の支給品――――小銭入れを仕舞う。
こんな物、持っていても意味は無い。
あっても、ただ邪魔なだけだ。
それなら、このバッグに入れておけば、丁度いいゴミ処理になる。
(――――さて。どこに向かいましょうか)
【一日目・深夜/C-5:湖畔:東屋】
【いのり@オカルト】
[状態]:健康
[装備]:Mk22(8/9)@MGS3(サプレッサー劣化率10%)
[所持品]:支給品一式、予備マガジン(Mk22)
[思考・行動]
基本:ゲームに乗り、参加者に「呪い」をかける。
1:どこに向かいましょうか?
2:できるだけ、感づかれないようにしないと……。
(……あれ……俺、生きてる……?何で?確かに、撃たれたはずなのに……)
猛烈な眠気に襲われてはいるが、確かに俺は生きている。何故だろう?
弾丸の当たった辺りを探ってみると……何か、刺さっている。
抜き取って見てみるが、何だか注射器のような物が……。
眠気のせいで、良く見えないが。
(起きなきゃ……こんな所で、寝てられない、けど……目が…………)
駄目だ。
どんなに頑張っても、眠気がそれをことごとく潰して行く。
(…………せめて、人目に付かない場所に…………行きたいけど…………)
眠たくて動けない……。
このまま、睡魔にやられるしかないか。
それなら、せめて。
――――誰にも、見つかりませんように。
意識が途切れる直前まで、俺はそう祈っていた。
【おそうじマン@オカルト】
[状態]:健康、睡眠
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、スパーッツァ@MGS3、「真実の硬貨」入り小銭入れ@オカルト
[思考・行動]
基本:この殺し合いを、なんとしてでも中止する
1:(睡眠中)
2:あの人、殺し合いに乗ってたのか……
※デッキブラシ@SIREN2とバッグはおそうじマンの傍に放置してあります
≪支給品紹介≫
【Mk22@MGS3】
いのりに支給。
バーチャスミッション・スネークイーター作戦双方で使用可能な麻酔銃。
ノーキル狙いに役立つ、が連射が効かないので使いこなすには慣れが必要。
支給された物にはあらかじめサプレッサーが装着されているが、劣化率が上昇している。
【「真実の硬貨」入り小銭入れ@オカルト】
いのりに支給。
とある博物館に存在する、質問が真なら表が、偽なら裏が出る硬貨。
歴史上の多くの権力者が使用した記録が残っている、らしい。
小銭入れには、「真実の硬貨」以外に、普通の硬貨も入っている。
最終更新:2012年09月15日 22:26