第13話 脱出
四人の男たちがいた。
一人は胸の部分を大きく肌蹴たシャツを着た若者。
一人は寺の住職のような恰好の鋭い目つきの爺さん。
一人は仮面にマントと非常に怪しい格好の男。
そして、もう一人は特に特徴が無い学生服の男。
「ったく、米国(アメリカ)行きの飛行機に乗っていたと思ったらなんでこんなことに……」
「それは災難じゃったのう、南次郎殿」
「ところで、アメリカには仕事か何かで行くのか?」
「おうよ、あっちにゃ、でけぇ夢が待ってるんだ」
若者の名は『越前南次郎』。
後のテニス界を震撼させる―――『サムライ南次郎』である。
「それでタクアンの爺さんは本当に戦国時代の人間なのか?」
「……そうじゃ」
「主催者には時を超える力でも持っているのか?」
寺の住職のような恰好の名は『タクアン和尚』。
彼は銃を用いた総合武術―――そう、GUN道を極めた武術の達人である。
「それで、アンタは何者だ、普通の人間には見えないが?」
「こう見えても、ビッグバンオーガニゼーションの総帥をしている」
「聞いたことない組織だ」
「具体的にはなにしてんだよ?」
「『世界征服』を狙っている」
「……何!?」
この仮面にマントの男の名は『天野河大輝』。
またの名を『ビッグバン』。
日本トップクラスの実力を持つボーグバトラーだ。
「ほう、そいつはでけぇ夢だな」
「男はロマンを求めるものだ……君とはいい酒が呑めそうだ」
「では、景気づけに一杯呑むか?」
「いいだろう!」
そして、南次郎とビッグバンはデイバックの中の酒を取り出し飲み始めた。
……まるで昔からの友人であるかのように。
「それで……え~と……『キミ』は普通の高校生なのか?」
「(キ……キミ……!?)いや、こう見えても不良だ」
「ほう『主』は不良なのか?」
「(ぬ……主……!?)ああ、筋金入りのワルだ」
「と、なると『坊主』は……」
「おい、ちょっとまて!!」
「なんだ?」
「さっきからキミとか主とか坊主とか……俺にはちゃんと名前があるんだよ!!」
この学生服の男の名は……。
「『北斗の子分』と名簿に書かれてるじゃろ?」
「確かにそう名簿にはそう書かれてるけどよ!
俺にはちゃんと本名があってだな、いいかよく聞け、俺の名前はな……」
「そんなことよりも、ボーグバトルやろうぜ! ヒック……」
「なんでだよ!!」
「もし、私に勝つことが出来たら、その名前とやらを聞いてやろう!!」
「分かった……やればいいんだろ!!」
理不尽な要求を突きつけるビッグバン。
だって、彼はボーグバトラーであると同時にあのリュウセイさんの親父さんだから。
流石、外道ボーグバトラーの親も外道ボーグバトラーと言った所である。
それでも北斗の子分はその要求を飲み込んだ。
「ルールはチャージ三回、フリーエントリー、ノーオプションバトルだ!」
「……その前にボーグバトルってなんだよ?」
「知らないのであれば、私の不戦勝だな!!」
「おう、ビッグバンの旦那の勝ちだな」
「理不尽だな、おい!」
だが、残念なことに北斗の子分はボーグバトルを知らなかった。
近くにチャージ台とボーグフィールドがあったのに非常に残念だ。
「じゃあ、俺とここはテニスをだな、ヒック……」
「いつまでも酒呑んでるんじゃねぇ!!」
「ちょうど、ラケット二本あるしな!!」
そう言って、南次郎が取り出しのはラケットと言って南次郎が取り出したのは……。
二本の木の棒だった。(支給品)
「ただの木の棒じゃねぇかよ!!」
「んっ……ボールはどうするか? タクアンの爺さんとオッサン何かそれらしいものないか?」
「話聞けよ!!」
「少し待たれよ……」
そういうとタクアン和尚とビッグバンはデイバックの中を漁り始めた。
「んっ、これは……」
「タクアンさん、どうした?」
「わしのデイバックの中にUFOが入ってたぞ!!」
「よし、乗り込むぞ、ヒック……」
「おうよ、ヒック……」
「……………(もう突っ込む気が起きねぇ……いや、待てよ)」
タクアン和尚はデイバックの中からUFO(アダムスキー型)を取り出し、傍に置いた。
そして、タクアン和尚、ビッグバン、南次郎の三人はUFOに乗り込んだ。
ここで北斗の子分は一つの考えが浮かんだ。
(UFOの中だったら、ちゃんと話聞いて貰えるんじゃねぇか?
よし、乗り込んでから俺の名前を聞いてもらおうじゃねえの!!)
意を決して、北斗の子分がUFOに乗り込んだ!
その瞬間であった!!
『ブー!!』
「えっ?」
『残念デスガ重量オーバーデス』←UFO内のアナウンス。
「「「だ、そうだ」」」
「……そうか」
そして、三人を乗せたUFOは亜光速を超え、この狂った
殺し合いの開場から脱出した。
………なお、三人の首輪はタクアンが首輪の制御装置を破壊したために、起爆しなかったとさ。
「……そ、そりゃねぇよ」
【タクアン和尚@MUSASHI -GUN道- 脱出】
【天野河大輝@人造昆虫カブトボーグ V×V 脱出】
【越前南次郎@テニスの王子様 脱出】
※UFO@魁!!クロマティ高校に乗って会場の外に行きました。
【北斗の子分@魁!!クロマティ高校】
【状態】茫然
【服装】クロマティ高校の学ラン
【装備】木の棒@テニスの王子様
【道具】支給品一式、ランダム支給品(0~3)
【思考】
基本:主催者にヤキを入れる
1:主催者に名簿の名前を変えてもらう
2:ちなみに俺の名前は―――
………
………………
………………………
――――ザクッ。
肉が切れる音がした。
「えっ?」
北斗の子分が気付いた時にはもう遅かった。
自身の心臓のあたりに赤いオーラのようなものを纏った日本刀が突き刺さっていた。
切り口から赤い血が流れていく。
そこで北斗の子分のあまりにも短い人生は幕を閉じたのであった。
【北斗の子分@魁!!クロマティ高校 死亡】
「……気に入らんな」
そう呟くと、漆黒のヴェールの老人が日本刀を子分の遺体から引き抜いた。
いや、その老人は老人と例えるには語弊があるだろう。
放たれる邪悪な威圧感。その姿、まさしく『冥王』。
「余が支配し、余が作り出した生物が全てを満たす……」
子分が持っていたデイバックから支給品を取り出して、自信のデイバックに詰める。
「故に他の支配者などいらぬ!!
後悔するがいい、余にこのような振る舞いをした者たちよ!!!」
『冥王グランドマスター』は一人、歩き出す。
夜明けは近い。
【D―2 黎明】
【冥王グランドマスター@ストライダー飛竜シリーズ】
【状態】激昂
【服装】漆黒のヴェール
【装備】念剣・メイレツ@MUSASHI -GUN道-
【道具】支給品一式×2、ランダム支給品(0~5)
【思考】
基本:主催者及び全ての参加者を殺す
【備考】
※参戦時期はストライダー飛竜本編後です。
※参加者名簿をまだ見ていません。
【支給品紹介】
UFO@魁!!クロマティ高校
一般的なアダムスキー型UFO。タクアン和尚に支給。
木の棒@テニスの王子様
一般的な木の棒。使いこなせれば石ころを使ってイノシシを撃退できるようになる。
なお、二本セット。越前南次郎に支給。
念剣・メイレツ@MUSASHI -GUN道-
剣の達人、ロウニンの愛刀。冥王グランドマスターに支給。
最終更新:2014年08月23日 19:19