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少女の蒼き魂

「うう……なんでこんな事しなくちゃならないんだよう……いたら返事してよドラえも~ん……」


小学五年生の男子小学生、野比のび太は一言で言えば泣いていた。
いつもなら大声で泣き叫んでいる彼であったが、今回は違う。
あまりもの恐怖に声をあげる事すらできず、ただただすすり泣くだけであった。
野比のび太はただの子供だ。
隣に猫型ロボットがいようが、いくら不思議な道具を使えようが――
この少年は、人より少し劣っているだけのごくごく普通のありふれたなんの変哲も何もないただの子供なのだ。

そんな野比のび太がこのコロシアイゲームを目の当たりにして怯えていない訳がなかった。
その手に齎され持たされた小学生には荷が重いそのディパックは、のび太の右手にずっしりと重圧を加えていた。
目に涙を溜めながら自分の近くの大事な存在の名前を呼びながら暗闇で満たされた街の中を歩く。
月しか出ていない夜の街を一人彷徨う少年の絵図であった。

「一体どうすればいいんだよこんなの……殺し合いなんてできないよ!」

そこには――途方に暮れ、涙も枯れ、ただ声を出し歩く事しかできないのび太がいた。
そして、その影は唐突に現れた。




「……ねえ」

そこには、女性がいた。
のび太よりも年上だろうか。どう見ても小学生ではない事は一目瞭然であったが、大人の女性でもないらしい。
暗がりの中でよく見えなかったが、慣れてくるにつれ、その姿がぼんやりとだが見えていった。




のび太の目の前には――青い服を着た女性がいた。
だだ、その服は普通の服ではなく、テレビの中に出てくるような服であった。
その青き衣を纏い、剣を携えた女性。――いや少女はのび太の肩を押さえ言った。

「泣いてたみたいだけど大丈夫!? 誰かに襲われてない?」
「……え?」

のび太は少し動揺した後、静かに首を縦に振る。
その少女はほのかな安堵の呼吸をしたあと、のび太の肩から手を放し、口上を始めた。

「あたし、美樹さやかっていうんだ。君の名前は?」

美樹さやか。
そう名乗った少女は手に握った剣の先を地に向け、その身に纏っている青い衣裳を普遍的な女学生の制服に変える。
いや、戻したといったほうが正しいのだろう。

「ぼくの名前は……野比のび太です」

のび太は、さやかの口上に押され、自らの名を名乗った。








「なんなんだろうね、これ」

のび太の前に現れた少女、美樹さやかは自分が見滝原という街に住んでいる一般的な中学生らしい。
ただ、その当本人はある事をひとつ話していなかった。

自身が謎の生物との契約により、『魔法少女』という存在になった事をだ。

たとえ話したとしても、そんな御伽噺のような話を信じる人がいるとはとても思えなかったからだ。
それに自分も、今は亡き魔法少女、巴マミと出会うまでは信じていなかったのだから。

しかしそれは真実で、自分は自分の大切な人を助けるために魔法少女になった。
これは御伽噺でもなく、ただ普通の現実であり、特異的な現象――奇跡でもあった。

腕が治る事がなかったであろう想い人、上条恭介の腕を治し、自分を魔法少女という存在に変えたという事実もしっかりとその目と精神に焼き付けていたのだから、いまさらそれが夢だったなんてことは思わない。
それに――今の、いや最近の自分はとっても幸福な感情であることには間違いはない。
『後悔なんてあるわけない』と、上条の、あのバイオリンの演奏を聴いた時にしっかりとその心で感じ取れた。

だから――こんなふざけた殺し合いなんかには屈しない。
そして、皆を私が救ってみせる。
これが。自分が魔法少女になったからには、そうしなくてはならない。
自分が奇跡をその心に受けたのだから、その奇跡を無駄にしないよう、その分だけその力をみんなのために使おうと。
と、さやかは心の中でそう誓った。

だから、勿論この少年――のび太くんも助ける。

「殺し合いなんて、あたしが絶対にさせないよ。だって……」

魔法少女だから――
さやかは心の中でそう何度も呟くのだった。





しかし、実際のところ、その心は蒼の宝玉の中に内包されていて、その蒼い光は少しずつ淡くなっている事に、魔法少女美樹さやかはまだ気づいてはいなかった。




【埼玉県・エリアB/街中/00:18】
【野比のび太@ドラえもん】
[状態]:健康、精神的にやや疲労
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1~3
[思考]基本:殺し合いに乗る気はない
1:さやかさんってどんな人なんだろう
2:ドラえもんに会いたい

【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ
[状態]:健康
[装備]:ソウルジェム(穢れ1%未満)@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品、不明支給品1~3、ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ
[思考]基本:殺し合いは私が止める
1:のび太くんを保護する
2:他に怯えている人がいれば助ける
3:殺し合いに乗っている人に逢った時は……?
[備考]:5話終了時からの参戦です。まだ佐倉杏子とは面識がありません。
参加者名簿を確認していないので、鹿目まどかや巴マミなどが参加している事を把握していません。



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Characters Chapter
START 野比のび太 Next:Unknown
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最終更新:2012年12月25日 01:52
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