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山姥の貧乏脱出大作戦

4話「山姥の貧乏脱出大作戦」

私は仁ママ。本名は――まあ、言っても分かんないでしょうから仁ママでいいでしょ。
昨日は仁ちゃんと一緒に寝たはずなのに、気がついたら変な黒い服着た狼女に、
「殺し合えって」言われたのよねー。
当然みんな反対したんだけど、そしたら首輪をはめられて、一人の男が首輪を爆破されて死んじゃった。
正直、驚いたし凄く怖かったわよ。その首輪は私の首にもはめられてるんだから。
それで今私は遠くの方に街の明かりが見えて海も見える草原にいるんだ。
デバイスとかいう機械と地図で確認したら、どうもここら辺はD-5らしい。

「それにしても、殺し合いね……」

あのセイファートとか名乗った狼女は「優勝したら元の世界へ帰れるし、一つだけ、何でも褒美をあげる」みたいな事を言っていたわ。
……それってつまり、私と仁ちゃんが貧乏生活から抜け出す事も出来るって事?
何の前触れも無く人を拉致したり、明らかに人知を超えたトリックとも思えない力を、
あのセイファートは使っていた。なら、もしかしたら……。

「……こんな機会、滅多に無いわよね。どっちにしても最後の一人にならなきゃ、
家には帰れないって言うし。いいわよ……やってやろうじゃない」

私は「貧乏生活から抜け出せる」という希望から、殺し合いに乗る事に決めた。
名簿には仁ちゃんの友達の名前、大沢木小鉄と西川のり子の二人の名前と、
その二人の担任である馬鹿教師、春巻龍の名前も載っていた。
優勝するっていう事は、この三人も殺さなきゃならないって事よね。
馬鹿教師はまだいいとして、仁ちゃんのお友達二人を殺すのは忍びないけど……背に腹は代えられないわ。
ごめんね仁ちゃん……。

「ん……早速見付けたわ」

前方50メートル程に歩く人影を発見。耳と尻尾……飾りじゃ無さそう。猫女かしら?
服装からして学生っぽいわね。どうもこっちには気付いてないみたい。チャンスだわ。
私はデイパックから自分のランダム支給品である蕎麦切包丁を取り出し、
姿勢を低くしながら、音を立てないようにして前方の猫女へと向かって行った。


◆◆◆


私――サーシャは、月明かりが照らす草原地帯を歩いていた。
でも、どうして私は――確か私は、貝町さんにショットガンで撃たれて死んだはずなのに。
この殺し合いには私の他にも放送で死者発表の時に名前が呼ばれたはずのノーチラスとシルヴィア、
呼ばれてはいなかったけど生きているかどうか不明瞭だった森屋英太、北沢樹里、吉良邑子、
太田太郎丸忠信、フラウ、エルフィの名前もあった。
あのセイファートとか言う狼族の女性の仕業だろうか。
だけど……また殺し合いをさせられる事になるなんて……最悪だよ……。

デイパックの中に入っていたランダム支給品はバールだった。
前回の発煙筒に比べればマシだけど、だからって戦う気になんてなれない。
どうしようか……とりあえず、クラスメイトを探そうかな。特にシルビー。

その時だった。私は背後に異様な殺気を感じた。

振り向いた時には、もう遅かった。

「うけけけけけけけけけけ!!」

まるで山姥のような強烈な顔つきの女性が、奇怪な笑い声をあげながら、
何やら見た事も無い刃物を私に向かって振り上げていた。
バールでガードする事も出来たと思うけど、そんな暇も無く。

ザシュッ!!

女性の刃物が、私の頸動脈と気管を断ち切った。
あっという間に視界が真っ赤に染まり、息が出来なくなり、声が出せなくなった。
身体中の力が一瞬で抜け、喉元を押さえながら私はその場に崩れ落ちる。
ああ、私はまた、死ぬんだ。まさか二回も死ぬ事に、なるなんて。

ひゅー、ひゅーという空気の音がはっきり聞き取れた。

でも、段々そんな音も聞こえなくなって。目の前が暗くなって。心地良い眠気が襲ってきて――。

……ラト……シルビー……。


◆◆◆


「はぁ……はぁ……やってしまったわ……」

ついに私は人を殺した。いや、まるで猫みたいな外見だから人なのかどうか怪しいけど、
とにかく参加者の一人を、この手で殺した。
さっきあげた笑い声は癖みたいなものね。興奮するとついあんな笑い声を出しちゃうのよ。

「もう、後戻りは出来ないわ……このまま、優勝まで突き進むしか無い!」

私は猫女の衣服で蕎麦切包丁の刃に付いた猫女の血液を拭き取り、
彼女のバールとデイパックの中の食糧(って言っても水とパンだけだけど)を頂戴した。
バールを自分のデイパックの中に押し込み、私は深く深呼吸をする。
これから私は他参加者を殺していく。全員殺して、優勝する。
優勝して、長い間の私と仁ちゃんの悲願だった貧乏生活からの脱却を成し遂げるのよ。
そのために、仁ちゃんの友達も、その担任教諭も手に掛ける。
たった今殺したこの名も分からない猫女のように。

「仁ちゃん……ママは頑張るわよ。うふふふ、うけけけけけ……!」


かくして一人の母親は修羅と化す。
全ては息子と自分の生活、人生のために。
いかなる犠牲を払おうとも、彼女は止まらない。



【サーシャ@自作キャラでバトルロワイアル  死亡】
【残り  47人】



【一日目/深夜/D-5草原】

【仁ママ@浦安鉄筋家族】
[状態]:健康、返り血(多)、狂気
[装備]:蕎麦切包丁
[所持品]:基本支給品一式、バール、サーシャの水と食糧
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗り、優勝し、貧乏生活から抜け出す。
1:他参加者を片っ端から殺していく。
2:息子の友達(大沢木小鉄、西川のり子)とその担任(春巻龍)も容赦無く殺す。
[備考]:
※原作最終話の前後の時期からの参戦です。


※D-5草原にサーシャの死体とデイパックが放置されています。
サーシャのデイパックの中身=水と食料無しの基本支給品


≪支給品紹介≫
【蕎麦切包丁】
蕎麦を切って麺状にする時に使う包丁。かなり広い刃を持つ。

【バール】
梃子の原理を利用する金属製の棒状の工具。
本ロワに登場する物は長さ約1M程の物。何かをこじ開けるのに使える。





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GAME START サーシャ GAME OVER

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最終更新:2010年01月14日 22:03
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