5話「Policeman and nymph fencer」
「危ない危ない危ないもう! 女の子がそんな物騒な物振り回すもんじゃ無いっつの!」
「うっさいわね! さっさと死んでよ!」
「断る! 死んでたまるか! 生きる!」
「ちぃっ! 避けるのだけは上手いわね!」
月明かりが照らすD-4市街地の路上で、二人の参加者が今まさに交戦中だった。
いや、一方の参加者の攻撃をもう一方の参加者が必死で避けているだけなので、
「交戦中」という言い方はあまり正しく無いかもしれないが。
「おとなしくこのエイミス様の剣の錆になりなさい!」
長剣を振り回して攻勢を掛けているのは、桃色の艶やかな長髪を持った少女。
白いマントの下は本当に必要最低限の部分しか隠されていないビキニ鎧で、
年相応の若々しい肌をあられも無く晒している。
「だからっ、て、うおおおお帽子! 俺の帽子が横に切れたぁぁ!」
そして守勢、もとい避けに徹しているのは、たった今被っていた帽子を切り裂かれた、
青い警官の制服を身に着けた若い男。
勿論少女の高露出度の衣装に鼻の下を伸ばす余裕など無い。
何しろこのエイミスと名乗る少女剣士(?)の繰り出す斬撃を紙一重でかわさなければ、
確実にあの世行きという状況である。
「避けてばかりじゃなくて反撃してきたら? 無駄でしょうけど!」
エイミスが警官の男に向かって挑発的な言葉を吐く。
男の顔が屈辱と怒りに歪む。
「畜生!」
警官の男が装備していたポンプアクション式の散弾銃、ウィンチェスターM1897を、
エイミスに向けて引き金を引いた。
銃口から放たれたバックショットの粒弾が少女に襲い掛かる――はずなのだが。
粒弾は少女には届かず、何か見えない壁のようなものに阻まれ、地面に落ちた。
エイミスの周囲には、見えないバリアのようなものが張られているのだ。
「無駄無駄無駄ァ!!」
「ったくよお……ショットガン効かねぇとかチートにも程があんだろ!
何なんだよそのバリアみてぇのは!?」
「アンタが知る必要は無いわ。ここで死ぬんだから!」
「畜生! こうなったら逃げるが勝ちだ! さいならー!」
警官の男は脇目も振らず全速力で逃げ出した。
散弾銃の鹿撃ち用散弾、バックショットが効かない少女など相手にしていられない。
ましてや完全にこちらを殺す気で襲って来ているのだ。
「待ちなさい!」
当然、男が逃げれば少女――エイミスも追跡する。
その手に、刀身に炎を纏わせた長剣を握り締めながら。
「しつこいな! お前、しつこい女は嫌われるって言われた事無ぇのかよ!」
「うるさい!」
夜の市街地に、少女の怒声と男の叫び声が響いた。
数分後、市街地の裏路地、古びた室外機の陰に座り込みながら、
呼吸を整える警官の男――
朝倉清幸の姿があった。
どうにか美少女剣士、エイミスを振り切ったようだ。
「あのエイミスとか言うガキは振り切ったか。ったく……他にもあんな奴がいるのか?」
清幸はこの
殺し合いが始まってから、自分のランダム支給品である、
ウィンチェスターM1897を装備し、
スタート位置付近である市街地を歩いていた。
警官である清幸は殺し合いに乗る気など毛頭無い。
志を同じくする仲間を集め、首にはめられた首輪を何とかして外し、この殺し合いから脱出する。
それが彼の最終目標であり、市街地を歩いていたのも仲間を探すためである。
しかし、運悪く最初に出遭ったのが、殺し合いに乗る気満々の、
白いマントを羽織った危険な程露出度が高い衣装の少女だった。
何やら装飾の施された長剣で、問答無用で斬り掛かってきたのだ。
しかも、
エイミス・フロリッヒャーと名乗ったその少女は能力者か何からしく、
長剣に炎やら氷やらを纏わせて斬り掛かってきたり、
バリアのようなものを張って清幸が持つ散弾銃のバックショットを無効化したりと、
清幸が知る常識の範囲内では考えられないような攻撃と防御を展開してきた。
「あのエイミスって奴には
もう二度と会いたく無ぇな……。
ともかく、逃げられたみたいで良かった。帽子無くなったのは痛ぇけど」
黒髪の頭を擦りながら、清幸は安堵の溜息を漏らした。
【一日目/深夜/D-4市街地裏路地】
【朝倉清幸@オリキャラ】
[状態]:肉体的疲労(中)
[装備]:ウィンチェスターM1897(0/5)
[所持品]:基本支給品一式、12Gバックショット弾(30)
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。仲間を集めて脱出手段を探す。
1:首輪を解除する方法も探す。
2:襲われたらそれなりに対処はする。
[備考]:
※エイミス・フロリッヒャーの名前と容姿を把握しました。
◆◆◆
そして清幸がいる裏路地からやや離れた場所の路上。
清幸と同じく息を荒げ呼吸を整えているビキニ鎧の少女剣士、エイミス・フロリッヒャーの姿があった。
「逃げられたか、くそぉ……」
標的を取り逃がした事で、エイミスの顔に悔しさが滲む。
エイミスは殺し合いに特に躊躇する事も無く、乗った。
名簿に自分の知り合いはおらず、彼女は見ず知らずの他人が死んで、
心が動かされるような人物では無かった。
この殺し合いに優勝しなければ帰れないと言うのであれば、ルールに則り、殺し合う。
エイミスが出した結論である。
「ふう、それにしても」
エイミスは朝倉清幸と名乗った警官の男に襲い掛かっている時から抱えていた疑問を口に出す。
「何だか随分、力の消費が激しくなってるわね……あの
セイファートとかいう、
狼女の仕業かしら」
彼女は剣術に魔法の力を合わせて戦う、いわゆる魔法剣士である。
炎や氷などの力を剣の刀身に宿らせ、斬撃と共に炎なら大火傷、氷なら氷結、
雷なら感電、風なら威力向上など、中々強力な付加効果を与える事が出来る。
更に刀剣や銃弾などの物理攻撃を無効化出来る特殊なバリアも使える。
いずれも彼女自身の体力を消費するのだが、この殺し合いが始まってからと言うもの、
体力の消費がいつも以上に激しいのだ。
バリアもいつもならば最低でも5時間は発動していられるはずだが、
今現在では一回に30分程度、それも体力がフルの状態での話なので、
疲労している時だと10分ももたないかもしれない。
セイファートと名乗ったあの主催者による工作だろうか。
「まあ、一応魔法を使わなくても、戦える事は戦えるけど、ね」
エイミスは自分のランダム支給品である長剣の刀身を眺めながら言う。
自分の愛用している剣を没収されたのは痛かったが、この剣は十分代用が効く。
「でもバリアが使用困難となると、私も飛び道具あった方がいいかな。
ガンナーじゃないからキツいかもだけど」
銃弾をも無効化出来る使い勝手の良いバリアが発動が難しくなっている事を知り、
エイミスは銃器の必要性を考え始める。
それにしても、自分の露出度が高く防御力も低い格好を何とかしよう、
とは思い付かないようだ。
「持ってる奴を殺して、奪えばいいわね。よし……行こうか」
デイパックを背負い、マントを翻し、長剣を携えた桃髪の少女は、
次の標的を探して夜の路上を歩き始めた。
【一日目/深夜/D-4市街地表通り】
【エイミス・フロリッヒャー@オリキャラ】
[状態]:肉体的疲労(中)
[装備]:ヤマトの剣@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和
[所持品]:基本支給品一式
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗る。積極的に他参加者を狙う。
1:念のため銃器が欲しい。
[備考]:
※朝倉清幸の名前と容姿を把握しました。
※能力には制限が掛かっています。
※D-4一帯に銃声と朝倉清幸、エイミス・フロリッヒャーの二人の声が響きました。
≪オリキャラ紹介≫
【名前】朝倉清幸(あさくら・きよゆき)
【年齢】25
【性別】男
【職業】警察官
【性格】常識人で、ツッコミ癖がある
【身体的特徴】端麗と言えなくもない整った顔立ち、黒髪で体格は平均的
【服装】濃い青色の警察官の制服
【趣味】TVゲーム、映画観賞
【特技】射撃能力が高い
【経歴】所属する署内で行われた射撃大会に何度か優勝している
【備考】それなりに有能な警官
【名前】エイミス・フロリッヒャー
【年齢】17
【性別】女
【職業】魔法剣士
【性格】自己中心的、勝気、執念深い
【身体的特徴】桃色長髪の美少女。スタイルは抜群
【服装】非常に露出度の高いビキニ鎧の上に白いマントを羽織っている
【趣味】剣術の稽古、性に関する事を調べる事
【特技】炎、雷、氷、風の魔法剣術を使いこなす。また、
物理攻撃を無効化するバリアを張れる。いずれも本人の体力を消費する。
元々の剣術の腕も中々のもの。身のこなしも良い。
※各魔法剣術の効果は以下の通り。
■炎……斬撃+大火傷
■雷……斬撃+感電
■氷……斬撃+凍結
■風……斬撃の威力向上
これらは刀剣でなくともナイフや槍の穂先など、刃の付いたものであれば発動出来る。
本ロワでは制限により、体力の消費が激しくなるようになっている
【経歴】14歳の時に家を出て世界中を旅している。旅費や生活費は野良モンスターを倒して稼いでいる。
最近性に目覚め始めてきた(いささか遅いような気がするが)
【備考】一応銃器も扱えるが腕は悪い
≪支給品紹介≫
【ヤマトの剣@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和】
夢野カケラ原作のファンタジー物漫画「ソードマスターヤマト」の主人公、ヤマトが愛用する長剣。
原作最終話でヤマトはこの剣で敵の四天王四人を一気に串刺しにして倒していた。
【ウィンチェスターM1897】
1897年に米軍制式となったポンプアクション式散弾銃。
第一次世界大戦の塹壕戦において活躍し「塹壕銃(トレンチガン)」の異名を得た。
引き金を引いたまま先台を前後させる事により連射が可能。
最終更新:2010年01月14日 22:03