23話「WHITE OUT」
A-2の森の中を、とぼとぼと歩く人影。
黒のYシャツの上に淡い灰色のジャケット、カーキ色のスカートに茶色のブーツという姿の、
白い毛皮に血のように赤い瞳を持った犬獣人の若い女性。
目付きは鋭く、背も高めで、非常に大人びた、いや、威圧感たっぷりな印象を受ける。
名前を大村寿美。この殺し合いの参加者の一人だった。
「寒いなあ……」
時折吹き抜ける夜風に身体を震わせる寿美。
威圧感のある外見に似合わず、彼女はとても柔和かつ穏やかな性格だった。
しかしその外見からか、学校でクラスメイトから怖がられ、避けられたり、
ナンパしてきた不良達が謝罪して足早に逃げ去ったりと、本人にとっては不本意な出来事が何度も起こっていた。
友人と話している時、冗談で凄んでみたら、その友人は失禁してしまった、などという事も。
しかし今の彼女に取ってそれは大した問題では無い。
(名簿を見る限りじゃ、私の知り合いは誰もいないみたいだし、
最後の一人にならなきゃ帰れないのなら……やるしか、ないかな)
自分のランダム支給品である中折れ式のリボルバー拳銃、エンフィールドNo.2を握り締め、
大村寿美は殺し合いに乗る事を決意する。
人殺しに対し躊躇が無い訳では無かったが、やはり自分の命は惜しい。
(……うわ、何だかおしっこしたくなってきた)
急に尿意を催す寿美。だが、ここは木々生い茂る森の中。当然トイレなどあるはずも無く。
「木陰でするしか無いっぽい? 一応私女の子なんだけど……」
寿美は周囲を見て人影は見当たらない事を確認する。
その間にも尿意はどんどん高まっていく。我慢出来るものなら我慢したかったがどうやら無理のようだ。
やむを得ず、寿美は手近な樹木の陰で用を足す事にした。
「はあ……」
木陰でしゃがみ、一安心といった感じの溜息を漏らす寿美。
今彼女は小さい方の用を足している最中なのだが、その格好と言うのが、
当然パンツは下ろし、引っ掛からないようにするためスカートも大幅にたくし上げている。
そして深くしゃがんでいる状態なのでもし正面から覗こうものなら。
(そういえばこんな外でおしっこだなんて初めてだっけ。
うわ何この解放感。変な気分。癖になりそう)
妙な快感を覚え、尻尾を揺らし目を細め恍惚の表情を浮かべる寿美。
しかしすぐにそんな事をしている場合では無い事を思い出す。
(いやいや、いつ襲われるか分からないんだからさっさと済ませよっ)
力を込めて残っているものを絞り出し、その辺の茂みの葉をティッシュ代わりの使い、
立ち上がってパンツを上げたくし上げていたスカートを戻す。
腰のベルトに差し込んでいたエンフィールドNo.2を抜き取り、右手に装備する。
改めて寿美はそのリボルバー拳銃を観察する。月明かりが金属フレームの銃身に反射していた。
そして手に感じるずっしりとした、金属の感触。人を殺せる本物の拳銃。
「……やらなきゃ。やらなきゃ死んじゃうんだ……」
寿美は自分自身に言い聞かせるように、何度も繰り返し呟いた。
【一日目/深夜/A-2森】
【大村寿美@オリキャラ】
[状態]:健康
[装備]:エンフィールドNo.2(6/6)
[所持品]:基本支給品一式、380エンフィールド弾(30)
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗り優勝を目指す(が、まだ少し迷いがある)。
1:他参加者を探す。
≪オリキャラ紹介≫
【名前】大村寿美(おおむら・ひさみ)
【年齢】19
【性別】女
【職業】大学生
【性格】物腰柔らかく穏やか
【身体的特徴】白い毛皮の犬獣人。狼のような風貌だが犬。
赤い瞳の鋭い目、172㎝と女性としては高身長かつグラマー体型。威圧感溢れ近寄り難い雰囲気
【服装】黒のYシャツの上に淡い灰色のジャケット、カーキ色のスカートに茶色のブーツ
【趣味】廃墟探検、インターネット
【特技】筋力が強い
【経歴】5歳の時に両親が離婚し母親の手で育てられる。
その威圧的な風貌かつ筋力が強い事から怖がられ周囲から孤立しやすい(決して嫌われている訳では無いが)
友人の合コンなどでボディーガードを頼まれる事もある。当然本人は複雑な心境だとか。
やはり自分の容姿の事を若干コンプレックスに思っているようだ
【備考】キレると本当に怖い
≪支給品紹介≫
【エンフィールドNo.2】
1932年にイギリス軍制式となった中折れ式のリボルバー拳銃。
ちなみに「見ろ! 人がゴミのようだ!」でお馴染み某大佐が使用していたのも、
このエンフィールドNo.2らしい。
最終更新:2010年01月03日 11:32