26話「快楽終わりて狼青年は後悔す」
「……あっ……俺……」
意識を取り戻した時、俺はシーツがくしゃくしゃになったベッドの上で、全裸の仰向けに寝ていた。
気だるい身体を上半身だけ起こし、まだ頭がボーッとした状態で自分の身体を見る。
「あ゛っ、な、何だ、コレ」
自分の身体の状態を見て俺は驚愕する。
狼族である俺の身体は茶色の毛皮で覆われているのだが、
腹部から胸元にかけて、何か、白く濁った粘液が夥しい量こびり付き、固まっている。
ベッドから下りてふらつく足取りで、壁に掛けられた鏡を覗き込むと、うはあこれはこれは。
顔から胸、腹、足にかけて、全身、白い粘液が固まった物がこびり付いてる……。
「あ、背中の方には付いてない」
背中の方には白い液体はほとんど付着していない。
この白く濁った液体は何なんだ……いや、部屋中に充満しているこの独特の臭気から正体は大体分かる。
俺も今まで数え切れない程、出してきたからな、生命の源たる、この液体を。
この液体はほぼ間違い無く、俺のものだ。俺のDNAが俺の身体の全面一杯に……。
ああでもどうしてこんな大量に……あ、そうだ、俺は確か……。
「これだ、俺はこれで……」
ベッドの上に落ちていたそれ――エネマグラを拾い上げる。
装着していた部分から抜け落ちてしまったのだろう。身体に付着した白い液体とは別種の粘液が付着している。
このエネマグラというのは、本当に物凄い快感をもたらしてくれたよ。
自分で言うのも何だけどマゾっ気もある俺は、もう本当に、死ぬと思った。
途中から完全に意識が飛んでしまった。その間、俺は狂ったようによがり続けていたのだろう。
そしてこの俺のDNAがたっぷりと含まれたこの白く濁った液体もその時に――。
「ハァ……何やってるんだろ俺。こんな大変な時に」
クラスメイトが何人も参加しているこの
殺し合いの中で、俺はなんて馬鹿な事してるんだろう。
ゲーム
スタートからそれなりに時間も経っている。きっと既に死人も出ているはずだ。
そんな時に、俺って奴は、俺って奴は……。
「……風呂入ろう」
とにかく、身体中にこびり付いたこの液体を洗い流そう。気持ち悪いし、この臭いはキツイ。
幸い小さなバスルームが設置されている。良かった。
数分後。シャワーを浴び終えた俺は、備え付けのバスタオルで身体を拭きながらバスルームから出た。
毛皮で覆われてるからな。よく拭いておかないと気持ち悪くなってしまう。
身体を拭き終えると、床に散らばっている下着や衣服を拾い集め身に着ける。
下着、ズボン、シャツまで着た時点で、ふとカーテンが閉め切られた窓の外が気になった。
隙間から覗くと、相変わらずまだ夜の暗闇が覆っているが、若干西の空から明るくなってきている。
ガラス越しにほんの僅かだが銃声らしき音も聞こえてくる。やはり戦っている奴がいるようだ。
「にしても、この臭いは……」
部屋の中に充満する濃密な雄の臭い。自分でしてしまった事とは言え、嗅覚の鋭い俺の鼻にはキツイ。
換気すればいいのだが窓を開ける訳にもいかない。誰かいる事がバレるかもしれないからだ。
「エアコンとかに、換気装置付いて無いのかな」
壁に設置されているエアコンの操作パネルを調べると「換気」と書かれたボタンが。
押してみると、ゴオーッと小さな機械音が鳴り、換気が開始された。
しばらく待てば、この雄臭さは無くなるだろう。
再びベッドに近付き、エネマグラを拾い上げ、それをクズカゴに入れようとした――が、思い止まり、
ローションと一緒にデイパックの奥の奥へ押し込んだ。
――これは二度と使うまい。うん。
さてこれからどうするべきか。
外はまだ暗いし、下手に動き回ると返って危ないな。エルフィやクラスメイトは少し心配だが。
やっぱりもう少し明るくなるまで、このホテルの部屋でおとなしくしておいた方がいいか。
部屋の唯一の出入口に鍵を掛けておけば侵入される事も無いだろう。多分。
今回は前回と違って使える武器もあるしな。
机の上に置いてある、青く塗装された大型自動拳銃に目をやった。
【一日目/深夜/D-2ホテル】
【ノーチラス@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:肉体的疲労(小)
[装備]:無し
[所持品]:基本支給品一式、コバルトアロー@
オリジナル(14/14)、
コバルトアローの予備マガジン(5)、エネマグラ(粘液付着)、ミニローション(残り48ml)
[思考・行動]:
0:殺し合いを潰す。首輪を外す方法を探す。
1:仲間を集める。
2:しばらくこのホテルに留まる、が、暇を潰せるものを見つけたい(エネマグラ以外で)。
3:クラスメイトの動向が気になる(特にエルフィ)。
4:痴漢、は……どうしようかな……。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※D-2ホテル8階802号室にいます。
※精神崩壊は治りました。正常な思考、判断が可能です。
※衣服を身に着けました。
※もうエネマグラは使わないと決めたようですが、未練があるようです。
最終更新:2010年01月03日 08:21