25話「寂しい芭蕉は、一人ぼっち」
和服姿の冴えない風貌をした男、俳人・松尾芭蕉は、頭を抱えながら墓場の石畳で造られた道を歩いていた。
「ああ……どうしてこんな事になっちゃったんだよ……」
いつものように師匠に冷たい自分の弟子、曽良をお供に旅をしている道中、
宿屋に宿泊し、食事を取り、風呂に入り、就寝したはずだった。
だが、目覚めた時、そこは宿屋の部屋では無かった。
「
殺し合いなんて出来る訳無いよ……でも死にたくもないし……。
曽良君は今どうしてるんだろう」
自分と同じくこの殺し合いの参加者となっている弟子の名前を口にする。
師匠であるはずの自分に対して異常な程スパルタで、頻繁に暴力を振るい、時折凍り付くような殺気さえ感じる弟子、曽良。
恐らく自分の事を全く尊敬などしていないかもしれないあの鬼弟子が、
自分の事を助けてくれるかどうか。
芭蕉はちょっと想像してみる事にした。
~松尾芭蕉の想像~
「曽良君! 曽良君じゃないか!」
「芭蕉さん……無事だったんですね」
「良かったあ……怖かったよ曽良く――」
グサッ
「え……曽良、君……?」
「すみませんね芭蕉さん。この殺し合いでは一人しか生きて帰れないという事らしいですから」
「そ、そん、な……」
【松尾芭蕉@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和 死亡】
~松尾芭蕉の想像、終わり~
「あああああああああああああああああああ駄目だああああ」
あの鬼弟子が自分の事を助けてくれるはずが無い、と、芭蕉は絶望感に打ちひしがれる。
「もう駄目だ、私はここで惨めたらしく死ぬしか無いんだッ……」
まさに
どうあがいても、絶望。
首には逃げると爆発する死の首輪がはめられ逃げる事など不可能。
爆発したらどうなるか、あの開催式が行われた円形ホールでまざまざと見せつけられた。
男の首が爆発し、鮮血が飛び散る瞬間の映像が芭蕉の脳裏に再生させる。
ふと、芭蕉は周囲を見渡す。
「ここって、墓場、なのかな」
墓石の形状は自分の知るそれとは異なるが、雰囲気で何となく分かる。
夜の墓場に一人ぼっち。自分が今置かれている状況を再確認した途端、
芭蕉の心はさっきまでとは異なる恐怖心がわき起こってきた。
彼はお化けとか心霊現象とかそういった類のものが大の苦手なのだ。
「は、早くこんな場所から逃げよう。あ、でも、どっちに行けば――」
ガタンッ。
「キャ――――――――ッ!!!」
突然聞こえた物音に芭蕉は悲鳴をあげ、一気に走り出した。
墓場内の柱に立て掛けてあった板きれが風で倒れただけなのだが、芭蕉の恐怖を刺激するには十分過ぎた。
「うわあああああああああああああ」
涙と鼻水を垂れ流し錯乱状態で走り続ける芭蕉。
さあこの弱ジジイはこのバトルロワイアルでどのような道筋を辿る事になるのか。
果たして元の世界に帰り、俳聖・松尾芭蕉として後世に名を残す事が出来るのか。
「曽良君助けてえええええ!!」
【一日目/深夜/G-5墓場】
【松尾芭蕉@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和】
[状態]:健康、錯乱
[装備]:不明
[所持品]:基本支給品一式、ランダム支給品(1~2)
[思考・行動]:
0:死にたくない。
1:うわああああああ!! 出たああああああ!!
2:曽良君とは出来れば会いたくない。
[備考]:
※単行本第八巻第145幕「怪談奥の細道」より後からの参戦です。
最終更新:2010年01月09日 16:40