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ブラッド・プリンセス

28話「ブラッド・プリンセス」


「リリアパンチ!」

掛け声と共に、森の中の木々の一本が大きく揺れる。
木の根元の部分には、紺色のドレスを着た、翼を持った美しい女性、リリア・ミスティーズの姿が。
拳を固く握ったまま突き出した右手は大木に大きくめり込んでいる。

「……やっぱり」

不満気な表情を浮かべながら、リリアはめり込んだ拳を引き抜く。

「力がかなり制限されてるみたいね」

衝撃で僅かに痛みが残る右手を擦りながらリリアが言った。
本来ならば、大木を粉砕出来る程の威力を誇るリリアパンチがこの程度の威力しか出せないとは。
この分だと他のリリアナックォやリリアノキワミなども同様にかなり制限されているだろう。
いや、もしかしたらチートパラメーターである自分の身体能力も普通の人間並に弱体化されている可能性がある。
あのセイファートの仕業に違いない。

「どこまで私を虚仮にすれば気が済むのよ……!」

リリアの端正な顔が怒りに歪む。

「まあいいわ。さっさと優勝して、あいつの所へ行ってやりましょう」

リリアは背中の翼を広げ、一気に上空へと飛び立った。
会場の空へと舞い上がったリリアは、まだ夜の帳に覆われたゲーム会場の全景を確認する。
遠方に海や街の明かりが見える。それなりに広大のようだ。
もう少し高い位置で眺めてみようと、リリアが翼を羽ばたかせ更に高度を上げた、その時。
リリアの首輪から、警告音が発せられた。

『警告。禁止エリアに侵入しています。退避が確認されない場合、30秒後に首輪を爆破します』

「!!」

流石のリリアも一瞬焦ったが、少し高度を下げてみると、警告音が鳴り止んだ。

『禁止エリアからの退避を確認。カウントをリセットします』

無機質な女性の声のアナウンスが流れ、首輪は再び沈黙した。
リリアはほっと胸を撫で下ろす。高まっていた心臓の心拍数が下がっていくのを感じた。
どうやら余り高く飛び過ぎると首輪が作動するらしい。

「空も安全じゃ無いって事ね……」

高度を上げ過ぎると首輪が作動する。かと言って高度を下げ過ぎると地上からの攻撃を受けやすくなる。
上手く調節する事を必要とされる。リリアは大儀そうに溜息を付いた。
恐らく地図の外に出ても同じように首輪が作動するようになっているのだろう。
首輪で自爆、などという間抜けな死に方は彼女にとっても御免だった。

「この首輪……どうにかしたいな」

左手で首輪に触れながらリリアがぼやく。
首輪をはめられているという事自体、彼女のプライドが許さなかったし、
何より、この首輪がある状態では自由に空も飛べない上に主催に命を握られているという屈辱。
しかし自分には機械の知識など皆無。そもそもリリアの生きる世界にこのような高度な機械技術など存在しない。
だがしかし――それは優勝すれば何の問題も無いだろう、と、リリアは判断する。

「さて、どこに行こうかしら……街に向かうのもいいけど……」

優雅に空を飛びながら、会場を見渡すリリア。
満月の光が照らす草原、海、森、街並み……気になる場所はいくつもある。
夜空を吹き抜ける風がリリアの艶やかな黒髪を揺らした。


【一日目/深夜/H-6森上空】

【リリア・ミスティーズ@ムーンライトラビリンス改造版】
[状態]:健康、やや不機嫌、飛行中
[装備]:USSR PPSh41(10/71)
[所持品]:基本支給品一式、PPSh41の予備ドラムマガジン(5)
[思考・行動]:
0:主催者セイファートに鉄槌を下す。そのために優勝する。
1:目に付いた参加者から皆殺しにしていく。
2:どこへ行こうかしら。
[備考]:
※本編でガレスを倒し、監獄城から脱出し帰還した直後からの参戦です。
※彼女の身体能力及び能力には制限が掛かっているようです。



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最終更新:2010年01月09日 16:42
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