三者三様

47話「三者三様」

私、平池千穂。普通の高校三年生の女の子。
のはずなのに、今私はバトルロワイアルという、殺し合いのゲームの真っ只中にいる。
参加者全員で殺し合って最後の一人にならなきゃ生きて帰れないという異常状況。
一体どうしてそんなものに私が参加させられているのか全く分からない。
私だけじゃない。クラスメイトの伊賀さんと中村さんも参加させられている。
二人共――伊賀さんはちょっと変態な部分を除けば――普通の女子高生。私と同じなのに。
こんな殺し合いをしなければならない理由が分からない。

でも……今そんな事をごちゃごちゃ言ってもどうにもならない事は分かってる。
今しなくちゃいけない事はこの殺し合いから脱出する手段を考える事。
勿論、伊賀さんと中村さん、今同行させてもらってる銀色の人狼、ヴォルフ、出来れば大勢の、同じ考えを持つ人達と一緒に。

それで今、私は廃墟の展望台の根元辺りにいる。
展望台最上階で出会った私とは別の学校の制服を着た森屋英太っていう人が仲間になった。
今ヴォルフが死体を埋めるための穴を掘っている。
その掘り方はまんま犬が穴を掘る時のそれ。

「凄い勢いで穴が掘れていくなー」
「そりゃあ人狼だし……それにしても、あの、残念、だったね……」
「ああ…くそっ、志村さん……」

そう言って森屋君が地面に仰向けに寝かされている二人の死体の内、
猟師っぽい格好のおじいさんの方の死体に目をやる。
聞けばあのおじいさんは「志村晃」という名前で、
森屋君がこの殺し合いの中で最初に出会って行動を共にしていた人らしい。
すぐ脇に同じような体勢で寝かされている紺色のドレスを着た翼の生えた女性にサブマシンガンで撃たれ殺されたとの事。
その女性はこの展望台に辿り着く直前、私とヴォルフの上空を飛んでいた「リリア・ミスティーズ」なる女性だった。
リリア・ミスティーズは森屋君が返り討ちにしたらしい。サブマシンガンを持った相手に鎌で勝つなんて凄いなあ。

「よし……掘れたぞ。英太、千穂。死体を運ぶのを手伝ってくれ」
「うん、分かった…」
「あ、ああ」

二人分の穴が掘れたので三人で死体を運ぶ。
ヴォルフが一人でリリア・ミスティーズの死体を、私と森屋君で志村さんの死体を穴まで運ぶ。
思えば私、本物の死体を見てるのに、さっきほど動揺していない。
何でだろう、感覚が麻痺してるのかな、これ……。

埋葬はそう時間も掛からずに終わった。墓石も何も無いけど、これは仕方無い。
代わりに二人のデイパックを墓の上に供えた。
そして墓の前で私と森屋君は目を瞑って手を合わせる。典型的な死者への弔いだと思うけど…。

あ、そう言えばヴォルフの尻尾、まだ触らせてもらってないなあ。


◆◆◆


二人の死体の埋葬が終わった後、俺と千穂、そして英太はこれからの行動方針について話し合った。
やはり、人が多く集まる所と言えば街だろう。仲間を集めるためにも、俺と千穂の探し人を探すためにも、
この首にはめられた首輪を解除する手段を探るためにも、街へ行った方が良いと思うのだが。
俺のこの提案に千穂は難なく承諾してくれたが、英太はと言うとちょっと難色を示した。
多分、と言うか十中八九行きたくないのだろう。

「ち、違う! えと、行きたくないとかそんなんじゃないんだ! ただ、その下手に動き回るより、
一ヶ所に留まった方が安全だと言いたいだけで、別に、その……」

英太はかなり苦しい弁解を必死の表情を浮かべながら言い続ける。
全く…本当にこいつ、サブマシンガン相手に鎌で勝ったのか?
その後もかなり渋った英太だったが、千穂が説得に掛かると何故かあっさり承諾した。
どこかしら顔がニヤけているような気がする。こいつ、多分女に弱いんだろうな。

翼女が装備していたというドラムマガジン式のサブマシンガンとその予備弾薬を英太に装備させ、
俺は二十二年式村田銃、千穂は金属バットと簡易レーダーを装備する。
おっとそうだ……確か千穂の奴が……。

「そうだ千穂。お前、俺の尻尾触りたいとか言ってたよな?」
「えっ? あ、うん!」

千穂の顔が明るくなるのが分かる。
そんなに俺の尻尾が触りたいのか……?

「ほれ、触れ」
「うわああい」

尻尾を揺らしながら差し出すと千穂が歓声を上げながら飛び付いてきた。

「ふさふさ~」

俺の尻尾に顔を埋めて楽しんでいる千穂。
その、まあ、何だ。妹のリーヴァイ程じゃないが、こういうのも悪く無いな。


◆◆◆


どうも、森屋英太です。
目の前で狼族のヴォルフと戯れる千穂ちゃん。二人の間に入り込む余地が無い。
折角、遥やクラスの女子に負けないぐらいの可愛い子なのに、くそー。

しかし、死んでしまった志村さんには悪いけど、期せずして俺は強力な武器を手に入れる事が出来た。
俺が殺した翼女が持っていたサブマシンガンだ。
少し重いけど、俺に支給されたバタフライナイフに比べれば遥に強力な武器。
予備のマガジンも翼女のデイパックの中に入っていた。
これでこれから敵に襲われた時、戦いが楽になるだろう。

にしても、ヴォルフは見た所、狼族の獣人で間違い無さそうだけど、
俺が知る狼族とは見た目がだいぶ異なるな。
まず毛皮がすごくふさふさで後髪が長いし、足がまるで獣のようだし、
それよりも何よりも何も着ていない。つまり完全に、裸。
獣人と言うより、二足歩行の獣。野獣に近い風貌だ。
だけど、普通に日本語話してるし、性格は冷静沈着で優しいから、十分信用は出来ると思う。
それにかなり古そうな奴だけどライフル的な物も持っているし。
そして何より千穂ちゃんがいる! 可愛い子がいる! 離れられない!

さて、ヴォルフ、千穂ちゃん、俺の三人で話し合った結果、ここから西の方角に広がる市街地へ向かう事になった。
人が集まりやすいって事はそれだけ殺し合いに乗った奴との遭遇率が高くなるから、
正直俺は嫌なんだけど、千穂ちゃんにあれだけ頼まれちゃな~流石に断れないな。
傍に俺と同年代で可愛くてしかも低姿勢の女の子がいるってだけでテンションがあがるぜ!

……いや、そんな浮かれてる場合じゃ無いってのは分かってるんだけど。




【一日目/黎明/F-7灯台付近】

【平池千穂@オリキャラ】
[状態]:健康、ヴォルフの尻尾を触っている
[装備]:金属バット
[所持品]:基本支給品一式、PSP型簡易レーダー@オリジナル
[思考・行動]:
0:殺し合いはしない。生き残る。
1:尻尾ふさふさ~♪
2:クラスメイトの二人(伊賀榛名、中村アヤ)を探す。
3:ヴォルフ、森屋英太と行動を共にする。
[備考]:
※リーヴァイのおおよその特徴を把握しました。
※森屋英太と何らかの情報を交換しました。

【ヴォルフ@オリキャラ】
[状態]:健康、尻尾を平池千穂に触らせている
[装備]:二十二年式村田銃@SIREN(8/8)
[所持品]:基本支給品一式、8㎜×53R弾(30)、ナッチの写真集@永井先生
[思考・行動]:
0:リーヴァイを探す。殺し合いをする気は無い。首輪を何とかしたい。
1:ん……(ちょっと恥ずかしい)。
2:平池千穂、森屋英太と行動を共にする。
3:襲われたら戦う。
[備考]:
※伊賀榛名、中村アヤのおおよその特徴を把握しました。
※森屋英太と何らかの情報を交換しました。

【森屋英太@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康、返り血(中)
[装備]:USSR PPSh41(71/71)
[所持品]:基本支給品一式、PPSh41の予備ドラムマガジン(4)、
バタフライナイフ、 マーフィー君@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和
[思考・行動]:
0:生き残る。
1:千穂ちゃんともっとお近づきになりたいな。
2:ヴォルフと千穂ちゃんと一緒にいる。
3:太田に今度会ったら……どうする?
4:太田以外のクラスメイトと合流したい(但し太田の仲間らしい吉良は微妙)。
5:シルヴィアの事が少し心配。
[備考]:
※本編死亡後からの参戦です。
※「宮田司郎」のおおよその外見的特徴を把握しました。
※ヴォルフ、平池千穂の二人と何らかの情報を交換しました。



※F-7廃展望台付近に志村晃とリリア・ミスティーズが埋葬されました。
また、それぞれの墓にそれぞれのデイパックが供えられています。
志村晃のデイパックの中身=基本支給品一式、鎌、チキンラーメン
リリア・ミスティーズのデイパックの中身=基本支給品一式



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最終更新:2010年02月11日 18:12
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