48話「敗者復活、心機一転」
路地裏で、右足を引きずりながら歩く一人の少女がいた。
艶やかな桃色の髪を持ったその少女――
エイミス・フロリッヒャーは、
首にはめられた首輪、そして背負ったデイパック、そして手に持った鞘入りの長剣以外は何も持っていないし身に着けていない。
一言で言うなら「生まれたての姿」だった。
勿論、彼女とて好きでこの姿でいる訳では無い。その証拠にエイミスは、泣いていた。
「うっ……うっ……」
この
殺し合いにおいて殺し合いに乗る事を決意したにも関わらず、
今まで二回程他参加者と遭遇していながら一人も殺せていない上、二人目の参加者に気絶させられた上、
身ぐるみ剥がされ路地裏のゴミ捨て場に飽きた人形のように捨てられた。
しかもその剥がされた身ぐるみ――自身のお気に入りであったビキニ鎧とマント、靴は、ズタズタに切り裂かれてしまっていた。
更に、武器である長剣は無事だったが水と食糧も持ち去られてしまった。
完全なる敗者の要素が満載である。エイミスは悔しさ、情けなさ、自分への怒りで落涙していたのだ。
「あの狐女……次に会ったら絶対殺す……!
でもその前に、着る物探さないと……これじゃロクに外歩けないよ………」
何よりまずは自分の着る服を調達しなければならない。
エイミスはとりあえず適当な建物の裏口の扉を開け、中に入った。
運が良い事に、エイミスが入った建物の一階は洋服店だった。
下着、普段着は勿論、安売りではあるが靴も置いてある。
「良かった……鎧とかは流石に無いみたいだけど、この際普通の服でもいいや」
足の痛みを我慢しながらエイミスは自分が着れそうな衣類を探し始めた。
そして数分後、服を着終えたエイミスが試着室から出てきた。
長袖の白いカッターシャツの上に茶色のジャケット、黒っぽいスカートに白い靴下と濃い茶色の紐靴。
かなりカジュアルな服装になっていた。
右足の太腿にある掠り傷には店内に陳列されていた手拭いを巻いて応急処置とした。
衣類を入手し、傷の応急手当も済ませたエイミスはホッと胸を撫で下ろす。
人心地着いたエイミスは店舗奥の事務室で休息を取る。
とは言っても気絶していたおかげで皮肉な事に体力も魔力もそれなりに回復しているのだが。
そして考えるのはなぜ自分が未だ一人も殺せていない上に先程のような無様な醜態を晒す事になったかという事。
(要するに……私は無策、だったって事ね。ただ目の前の敵に対して突撃するだけ。
この殺し合い、それじゃ駄目なんだわ。もう少し冷静に立ち回らないと……。
物理攻撃を無効化するバリアーも魔法剣も、もっと上手く使えられれば……)
椅子に座りながら頭の中で色々とこれからの戦い方を考えるエイミス。
今回は助かったが、次も命を助けて貰えるとは限らない。
出会った参加者は確実に仕留めていきたい所であった。
「そう言えば、お腹空いたな……食糧奪われちゃったし、何か無いかなー」
空腹を感じたエイミスだったが、食糧(と言っても味気無いコッペパン4個だったが)と水を奪われてしまっていたので、
仕方無く事務所内を探してみる事にした。
【一日目/黎明/D-4市街地洋服店事務室】
【エイミス・フロリッヒャー@オリキャラ】
[状態]:肉体的疲労(小)、腹部にダメージ(中)、右太腿に掠り傷(応急処置済)
[装備]:ヤマトの剣@増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和
[所持品]:基本支給品一式(水と食糧無し)
[思考・行動]:
0:殺し合いに乗る。
1:食べ物が欲しい所。
2:銃器も欲しい。
3:狐女(ドーラ・システィール)は今度会ったら絶対に殺す。
[備考]:
※
朝倉清幸の名前と容姿を把握しました。
※能力には制限が掛かっています。
※服を着ました。
最終更新:2010年02月20日 22:46