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BLACK DRAGON FLIGHT

49話「BLACK DRAGON FLIGHT」

夜明けが近付き、明るくなってきた海岸を、黒い身体の二足歩行の竜と小学生ぐらいの少年が歩いていた。

「あーったく、足の裏が砂だらけだよ……」

黒い竜、石川清憲は鋭い爪の付いた足の裏に砂浜の砂が付着するのがとても鬱陶しいようだ。
一方、少年、大沢木小鉄は靴を履いているが、こちらはこちらで砂が靴の中に入り問題らしい。

「なあなあキヨノリ」
「何だ」
「お前、羽あるんだから飛べるんじゃないのか?」
「…………あ!」

それは閃き。正に絶大なる閃きだった。
何故今の今まで思い出さなかったのだろうか。自分には立派な翼がある。
これで空を飛べばわざわざこんな足場の悪い砂浜を歩く必要など無いというのに。
清憲はその事実を自分より10歳以上年下の子供に気付かされたのだ。

「よっしゃ、それじゃあ早速……」
「あれ? キヨノリ、あそこに誰か倒れてるぜ」
「え? あ…本当だ」

清憲がいざ翼を広げようとした時、小鉄が前方に倒れている人影を発見する。
二人がその倒れている人物にやや警戒しながら近付く。

「うっ……!?」
「うわっ! の、脳ミソ出てるううう」

それは、銃か何かで頭部を撃ち抜かれて殺された人間の男の死体だった。
砂浜の砂の上に血と一緒に頭蓋骨の中身が流出している。
生まれて初めて見る惨殺死体に清憲は気分が悪くなってしまった。
それは小鉄も同じだったが、顔を背けようとする清憲とは逆に小鉄はその死体の顔を覗き込もうとした。
死体の格好や体格、全体の印象に、どこか見覚えがあったからだ。
そして、遂に死体の正体を知る。それは小鉄にとってかなり身近な人物だった。

「は、春巻……!」
「え? 春巻、って…お前の担任の? こ、この人が……」
「ああ……畜生、春巻……まさかお前が死んじまうなんて……何度も遭難したけど最後には必ず生還してたお前が……」
「……」

小鉄は涙こそ流さないが、やはり平時疎ましく思っていた事があったとは言え、
自分のクラスの担任でもあり接する時間も多かった人物。もう永遠に声を聞けないのは少し寂しかった。

「小鉄……」

落ち込む小鉄を気遣う清憲。
しばらく小鉄と清憲は春巻龍の死体に手を合わせた。
そしてその後、清憲が背中の翼を広げ、小鉄がその背中にしっかり掴まる。
清憲の翼で空を飛び、一気に移動しようというのだ。
春巻龍の死体をそのまま放置しておくのは忍び無かったが、穴を掘る道具も無いので仕方無い。

「よっし、小鉄、しっかり掴まってろ。行くぞ!」
「おっしゃー!」

黒い竜が翼を羽ばたかせ、いよいよ上空へと舞い上がる。
あっと言う間に地上が遠退き、気が付いた時には二人は会場の上空数十メートル上にいた。

「おおおおスゲエーーーー!!」
「馬鹿っ、デカい声出すな! どこからか狙われるかもしれないだろっ」

はしゃぐ小鉄を清憲が小声で叱責する。

「あーゴメンゴメン」
「まあはしゃぐ気持ちも分からなくは無いけどさ。んで、これからどうする?」
「んーそうだな。とりあえずもっと高く飛ぶ事は出来るか?」
「出来るけど……よし、どこまで高く飛べるかやってみるか。俺も最近飛んでなかったしな。
肩慣らしならぬ翼慣らしだっそれ!」

久々の空中飛行で少し気分が高揚していたのか、清憲は更に高度を上げる。
しかし、ある高さまで到達した時、二人は予期せぬ事態に見舞われた。
突如、首にはめられた首輪から警告音が発せられ、無機質な女性の機械音声で警告が発せられたのだ。

『警告。禁止エリアに侵入しています。退避が確認されない場合、30秒後に首輪を爆破します』
「な、何だって!? ちょっ、待て!」
「え!? な、何だよ!?」

慌てて清憲が高度を下げると、警告音はすぐに鳴り止んだ。

『禁止エリアからの退避を確認。カウントをリセットします』
「ふぅ…危なかった……どうやら余り高く飛んでも駄目らしいな。気を付けよう」
「い、今のかなり危なかったよな…」

思わぬ場面で死に直面した二人の脈拍数は一気に上昇し、清憲に至っては自分でも知らない内に涙目になっていた。
動揺する心を落ち着かせ、これからの目的地について二人で協議する。

「これからどこへ行くか、小鉄」
「そうだなー、向こうに街っぽいのが見えるから、街でいいんじゃね?」
「街か…でも殺し合いに乗った奴大勢いそうだな…正直嫌なんだが」

清憲の行動方針の基本は「死にたくない」の一言に尽きる。
進んで殺し合いに乗る気は無かったが、かと言って誰かと結託して殺し合いを潰そうなんて気にもなれない。
彼としてはどこか安全な場所に隠れて死ぬまで趣味の自慰に耽り、最悪自殺でもしたい気分だったが、
「大沢木小鉄」という同行者がいる以上あまり自分本位な行動を取る訳にもいかない。

(まあ、街なら身を潜められる場所もあるかもしれないしな……)

結局清憲は小鉄の言う通り市街地方面へ向かう事にした。
夜明け前の空を、小さな少年を背に乗せた黒い竜が舞う。


【一日目/黎明/C-4上空】

【石川清憲@オリキャラ】
[状態]:精神的疲労(大)、飛行中
[装備]:エグゼキューショナーズソード
[所持品]:基本支給品一式
[思考・行動]:
0:死にたくない。生き残る。
1:とりあえず小鉄を連れて街へ向かう。
[備考]:
※「西川のり子」「仁ママ」のおおよその特徴を把握しました。
※大沢木小鉄が自分とは別世界の人間だと判断しました。

【大沢木小鉄@浦安鉄筋家族】
[状態]:健康、石川清憲の背中に乗っている
[装備]:文化包丁
[所持品]:基本支給品一式、発炎筒(3)
[思考・行動]:
0:とりあえずキヨノリ(石川清憲)と一緒にいる。
1:すげー! いい眺め!
2:春巻が死ぬなんて…。
[備考]:
※本編最終話より後からの参戦です。
※バトルロワイアルのルールと性質について若干理解しました。




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最終更新:2010年02月11日 21:35
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