ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0891 南の島のまりさ
最終更新:
ankoss
-
view
初投稿です。
ゆっくりたちの自然の中での生態を書いてみたくてキーボードを叩きました。
実際に書いてみると、他のSS作者さんたちのうまさに気づかされる一方でした。
読みにくいところが多いと思いますが、読んでいただければうれしく思います。
独自設定多めです。ご注意ください。
ゆっくりたちの自然の中での生態を書いてみたくてキーボードを叩きました。
実際に書いてみると、他のSS作者さんたちのうまさに気づかされる一方でした。
読みにくいところが多いと思いますが、読んでいただければうれしく思います。
独自設定多めです。ご注意ください。
『南の島のまりさ』
断崖絶壁に囲まれた島の数少ない海への門戸、
穏やかな岩礁性の海岸に彼らのコロニーはある。
海岸にぽっかりと開いた洞窟、その中にゆっくりたちはまるでアパートのように住んでいた。
洞窟は様々な方向へ分岐し、その幾つは海岸とは反対の小高い岩場につながっている。
荒天時の波もここまで到達することはないため、ゆっくりたちはこの岩場付近のエリアに
集中して居を構えていた。
本来、水、それも塩水はゆっくりの天敵のはずなのだが、ここに棲息しているゆっくりは
通常種より硬化した皮を持ち、通常種よりも濃いしーしーをだすことで塩っ気の多いこの
環境に適応したと考えられている。その代わり、彼らの餡子量は皮が丈夫になった分減って
おり、餡子の流出に対しては極めて脆弱である。
穏やかな岩礁性の海岸に彼らのコロニーはある。
海岸にぽっかりと開いた洞窟、その中にゆっくりたちはまるでアパートのように住んでいた。
洞窟は様々な方向へ分岐し、その幾つは海岸とは反対の小高い岩場につながっている。
荒天時の波もここまで到達することはないため、ゆっくりたちはこの岩場付近のエリアに
集中して居を構えていた。
本来、水、それも塩水はゆっくりの天敵のはずなのだが、ここに棲息しているゆっくりは
通常種より硬化した皮を持ち、通常種よりも濃いしーしーをだすことで塩っ気の多いこの
環境に適応したと考えられている。その代わり、彼らの餡子量は皮が丈夫になった分減って
おり、餡子の流出に対しては極めて脆弱である。
「ゆゆ~、それじゃおとうさん、おかあさん、漁に行ってくるよ。」
「海に落っこちないよう気をつけて、ゆっくり行って来てね。」
「海に落っこちないよう気をつけて、ゆっくり行って来てね。」
まだ成体と比べるとひとまわり小さい子まりさが狩りに出かける。
「ゆ!」
掛け声と共に帽子を深く被ると、ぽよんぽよんと勇ましく跳ねながら、潮が引いた海岸へと
降りていく。
降りていく。
「あんなにちっちゃかったおちびちゃんも、すっかりゆっくりしたまりさになって…」
母れいむの顔が、凛々しい我が子の姿に自然とほころむ。
「もういつ独り立ちしても大丈夫だよ。あの子はとてもゆっくりしているよ。」
父まりさもどこか懐かしむような表情でわが子を見送る。
「ゆ!じゃあ、ぱぱは別るーとで狩りに行くよ。」
「ゆっくり行ってきてね!」
「ゆっくり行ってきてね!」
ぱぱと呼ばれた親まりさは、先程の子まりさとは反対の方向、林の方へと跳ねていく。
ヤシの実、カラフルな花を咲かせる植物やそれに集う昆虫を採りに行くつもりなのだろう。
ヤシの実、カラフルな花を咲かせる植物やそれに集う昆虫を採りに行くつもりなのだろう。
「カニさん、ヤドカリさん待っててね、今から海に行くよ!ゆ?ゆっくりしていってね!」
「ゆ、すてきなお帽子のまりさ、ゆっくりしていってね!」
「ゆ、すてきなお帽子のまりさ、ゆっくりしていってね!」
先程の子まりさが別の巣から出てきた若いまりさつむりと挨拶を交わす。
干潮を迎える時間帯を狙って他の巣からもゆっくりたちが海へと降りてきたのだ。
そのほとんどが黒い帽子を被っている。いわずと知れたまりさ種だ。
南国の太陽が厳しく照りつける初夏~秋にかけては帽子や貝殻を持つまりさ種でないと、水
分の蒸発が早く、お外での狩りはゆっくりできないことになってしまう。
そのため、このコロニーではまりさ種との番が多く、必然的にまりさ種のゆん数がれいむ種
やありす種など他のゆっくりを大きく上回っていた。
干潮を迎える時間帯を狙って他の巣からもゆっくりたちが海へと降りてきたのだ。
そのほとんどが黒い帽子を被っている。いわずと知れたまりさ種だ。
南国の太陽が厳しく照りつける初夏~秋にかけては帽子や貝殻を持つまりさ種でないと、水
分の蒸発が早く、お外での狩りはゆっくりできないことになってしまう。
そのため、このコロニーではまりさ種との番が多く、必然的にまりさ種のゆん数がれいむ種
やありす種など他のゆっくりを大きく上回っていた。
「ゆゆ!お昼の日向さんはゆっくりできないよ。」
今は盛夏、海岸のサンゴ砂や岩場は太陽に焼かれ、そこを跳ねればあんよが熱くてゆっくり
できない。そのため、ここのゆっくりたちは日陰になるルートを探し、海の近くへと降りて
いた。
夏の日差しを眩く照り返す明るい色調の海。
そこでは、既に多くのまりさたちがカニやヤドカリを追いかけ、漂着物や岩陰に潜む巻貝を
集めている。中にはあにゃるに巻貝が刺さってしまい、なんとか外そうとしてお尻?をぶん
ぶんとふりまわしているまりさもいる。しかし、子まりさは目の前を通り過ぎたヤドカリを
夢中になって追いかけ始めてしまった。
できない。そのため、ここのゆっくりたちは日陰になるルートを探し、海の近くへと降りて
いた。
夏の日差しを眩く照り返す明るい色調の海。
そこでは、既に多くのまりさたちがカニやヤドカリを追いかけ、漂着物や岩陰に潜む巻貝を
集めている。中にはあにゃるに巻貝が刺さってしまい、なんとか外そうとしてお尻?をぶん
ぶんとふりまわしているまりさもいる。しかし、子まりさは目の前を通り過ぎたヤドカリを
夢中になって追いかけ始めてしまった。
「ゆ!ゆ!待ってね!ヤドカリさん待ってね!ゆっくりまりさに捕まってね!」
それは半分欠けた巻貝を背負ったオカヤドカリだった。
「ゆゆ!これでもう逃げられないよ!」
子まりさはヤドカリに追いつくと、あんよを伸ばしてヤドカリを軽く踏みつけて動きを封じ
る。昨日、思いっきり飛び掛って、あにゃるにぶっすり刺さったことが教訓となっていた。
る。昨日、思いっきり飛び掛って、あにゃるにぶっすり刺さったことが教訓となっていた。
「のろまなのろまなヤドカリさん、あとでゆっくりまりさに食べられてね」
子まりさは舌でヤドカリをつかむとそのまま帽子の中にしまいこんだ。
帽子の中でヤドカリに動かれるのはむーずむーずしてゆっくりできないが、これで逃げられ
ることはない。
帽子の中でヤドカリに動かれるのはむーずむーずしてゆっくりできないが、これで逃げられ
ることはない。
「ゆんやあああああああ!」
さっき挨拶したまりさつむりがカニに舌をはさまれて転げまわっている。
「ゆひゃああ!びはび~!ひゃべべべ!ばびばん、ひょっふびびばいべ、はばぎべべ!」
海岸での漁において、ハサミの大きい種類のカニやヤドカリは危険である。
いくら通常種より皮が厚いといっても、所詮は饅頭、これまでも油断した個体がカニやヤド
カリによって皮を引きちぎられたり、まだ幼いゆっくりが食べられてしまったりする事例が
多発していた。
いくら通常種より皮が厚いといっても、所詮は饅頭、これまでも油断した個体がカニやヤド
カリによって皮を引きちぎられたり、まだ幼いゆっくりが食べられてしまったりする事例が
多発していた。
「ゆゆ!しっかりしてね!今助けてあげるからね!」
子まりさはすかさず、つむりの舌をはさんでいるカニを自分の舌で上手に捕また。
舌でハサミを押さえ込むようにつかんでいるので、これで子まりさの舌がはさまれることは
ない。
舌でハサミを押さえ込むようにつかんでいるので、これで子まりさの舌がはさまれることは
ない。
「ゆ!ゆ!ゆっくり引っ張るよ!カニさんはゆっくりしないでつむりのべろさん離してね!」
子まりさは必死になってカニを引っ張るが、カニはなかなかつむりの舌を離そうとはしない。
まわりにいたゆっくりたちも加わって、子まりさとつむりを引っ張り合う。
まわりにいたゆっくりたちも加わって、子まりさとつむりを引っ張り合う。
「ゆえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!びはび!べほはほぼへひゃふふ!」
舌をカニに挟まれている上、引っ張られているつむりは目を見開き、目と口全開で液体を周
囲に散布しながら泣き叫んでいる。
囲に散布しながら泣き叫んでいる。
「ゆーえす!ゆーえす!」
しかし、そんなつむりの窮状に気づくこともなく、ゆっくりたちは子まりさとつむりを引っ
張り続ける。海辺で様々な工夫をして生きている彼らも所詮、中に詰まっているのは餡子な
のだ。一度に複数のことに注意を向けることなど、天才でもなければ不可能である。
張り続ける。海辺で様々な工夫をして生きている彼らも所詮、中に詰まっているのは餡子な
のだ。一度に複数のことに注意を向けることなど、天才でもなければ不可能である。
「ゆえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!ひひへぶっふ!ひひへぶ!」
限界はもう間近だった。
ぶちゅ
結局カニは舌を離さず、まりさつむりの舌はカニが挟んでいた辺りでちぎれてしまった。
「ゆぎゃあああああああああ!ばでぃざのずでぎばべろざんがああああああ!」
舌をちぎられたつむりは転げまわって泣き叫んだ。
その隣でむしゃむしゃとつむりのべろだったものを食べるカニ。
その姿を見て、周りのゆっくりたちは激昂した。
その隣でむしゃむしゃとつむりのべろだったものを食べるカニ。
その姿を見て、周りのゆっくりたちは激昂した。
「ゆっくりできないげすなカニさんはせいさいするよ!」
「カニさんは黙って食べられていればいいんだよ!」
「しねっ!しねっ!」
「カニさんは黙って食べられていればいいんだよ!」
「しねっ!しねっ!」
経験少ないゆっくりが、大きく、ハサミも強いカニに手を出したのが悪いのだが、
エサが自分たちに手を挙げたことは許せなかった。
カニはゆっくりたちに寄ってたかって踏まれた。
何匹かゆっくりがカニにあんよをはさまれ、泣き喚いたが、最後にカニは、石を叩きつ
けられて死んだ。
エサが自分たちに手を挙げたことは許せなかった。
カニはゆっくりたちに寄ってたかって踏まれた。
何匹かゆっくりがカニにあんよをはさまれ、泣き喚いたが、最後にカニは、石を叩きつ
けられて死んだ。
「ゆぐっ!ゆふふん、これがまりさたちの本気だよ!ゆぐ…永遠にゆっくりしてね!」
そういきがるまりさは涙目だった。
「ゆゆ?つむりはゆっくり元気出してね。べろさんぺーろぺーろすれば治るよ。」
優しい子まりさは、のびたままだらんとしているつむりの舌をぺーろぺーろとなめて治そ
うとする。しかし、失ったものは元には戻りそうになかった。
うとする。しかし、失ったものは元には戻りそうになかった。
結局、つむりは洞窟の奥に住み、決して外に出ない「ちていのけんじゃ」ぱちゅりーたち
によってヤシの実とアダンの実のジュースを混ぜた液体で治療され、ある程度は舌を取り
戻すことができた。
によってヤシの実とアダンの実のジュースを混ぜた液体で治療され、ある程度は舌を取り
戻すことができた。
「しーしーするよ…」
つむりは共用のといれで用を足していた。
この群れは洞窟という限られた空間に密集して生活しているため、食料の備蓄と排泄には
神経を尖らせていた。
ただでさえ、海岸近くに生息するゆっくりは塩分を排出するために濃いしーしーをする。
それが洞窟のあちこちにぶちまかれてはたまったものではない。
そのため、しーしーやうんうんはお外か、ところどころにある細い縦穴にするのが掟だっ
た。これを破ったものは、しーしーうんうんで汚した場所を自分でぺーろぺーろしてきれ
いにしなければならない。
この群れは洞窟という限られた空間に密集して生活しているため、食料の備蓄と排泄には
神経を尖らせていた。
ただでさえ、海岸近くに生息するゆっくりは塩分を排出するために濃いしーしーをする。
それが洞窟のあちこちにぶちまかれてはたまったものではない。
そのため、しーしーやうんうんはお外か、ところどころにある細い縦穴にするのが掟だっ
た。これを破ったものは、しーしーうんうんで汚した場所を自分でぺーろぺーろしてきれ
いにしなければならない。
つむりは巣に戻り、その日は眠れずに枯れ草のベッドに横になっていた。
体が熱っぽいのは舌の傷のせいだけではない。
体が熱っぽいのは舌の傷のせいだけではない。
「…あれは…ひょっとして…ふぁーすとでぃーぷちゅっちゅ…」
翌日
子まりさは再び海岸で漁をしていた。
海面の上を帽子にのって、器用に水上を移動する。
干潮時の波のない時間帯にのみ可能な業だ。
子まりさは干潮時に顔を出している海底の岩やサンゴから、舌やオールにしている木の棒
を器用に使って、付着している二枚貝や隠れている甲殻類などを集めていった。
海面の上を帽子にのって、器用に水上を移動する。
干潮時の波のない時間帯にのみ可能な業だ。
子まりさは干潮時に顔を出している海底の岩やサンゴから、舌やオールにしている木の棒
を器用に使って、付着している二枚貝や隠れている甲殻類などを集めていった。
「これだけあれば妹たちもゆっくりできるよ!」
子まりさが一人前に成長しつつあることに安堵した両親は、昨晩すっきりをして、二匹の
新たな命を宿したのだ。今頃はおかあさんれいむが、巣の中でゆっくりしたおうたを聞か
せているころだろう。
子まりさはいくつか保存食になる海藻の破片も拾い集めると、家族の待つ巣へと戻ってい
った。
新たな命を宿したのだ。今頃はおかあさんれいむが、巣の中でゆっくりしたおうたを聞か
せているころだろう。
子まりさはいくつか保存食になる海藻の破片も拾い集めると、家族の待つ巣へと戻ってい
った。
貝類やヤドカリは貝殻を割らないと食べられないが、ゆっくりの貧弱な歯では割ることは
できない。そのため、巣の入り口にある高い岩場に登り、そこから地面の岩盤に叩きつけ
て貝殻を割るのである。
(この方法で割れないような厚い貝殻を持つエサを採ってくるのは漁の下手な個体である)
今日も夕暮れになり、暑さが和らぐと、狩りから戻ってきたまりさたちが貝やヤドカリを
地面に落とし、割れたところを留守番していた母ゆっくりや赤ゆたちがむーしゃむーしゃ
していた。
まず、母ゆっくりが舌で貝殻の破片を取り除き、赤ゆたちがケガしないようにしてやる。
それからみんなで食べるのである。
できない。そのため、巣の入り口にある高い岩場に登り、そこから地面の岩盤に叩きつけ
て貝殻を割るのである。
(この方法で割れないような厚い貝殻を持つエサを採ってくるのは漁の下手な個体である)
今日も夕暮れになり、暑さが和らぐと、狩りから戻ってきたまりさたちが貝やヤドカリを
地面に落とし、割れたところを留守番していた母ゆっくりや赤ゆたちがむーしゃむーしゃ
していた。
まず、母ゆっくりが舌で貝殻の破片を取り除き、赤ゆたちがケガしないようにしてやる。
それからみんなで食べるのである。
「さあ、おちびちゃんたちから先にむーしゃむーしゃしようね。」
おかあさんれいむが赤ゆたちに食事を許可すると、口から涎を垂れ流しながらその瞬間を
待っていた赤ゆたちが母の後ろから飛び出してくる。
待っていた赤ゆたちが母の後ろから飛び出してくる。
「ゆ!ゆ!ゆっくちごはんしゃんにちゅるよ!」
「むーしゃむーしゃ!ちあわちぇー!」
「むーしゃむーしゃ!ちあわちぇー!」
そこへ高台の上から貝を落としていた父と子まりさが降りてくる。
「ゆゆーん、おちびちゃんたちとってもゆっくりした食べっぷりだよ!お父さん嬉しくな
っちゃうよ!」
「おとうさんとまりさは、ふるーつっ☆をゆっくりさせてからごはんにしてね!」
っちゃうよ!」
「おとうさんとまりさは、ふるーつっ☆をゆっくりさせてからごはんにしてね!」
落としただけでは割れなかった貝や、赤ゆには堅いアダンの実のような果物は、道具の扱
いに長けたまりさが石や棒で軽く潰すことでみんなが食べられるようになるのだ。
このような道具の扱いの巧みさはまりさ種がだんとつであり、みょん種やありす種がそれ
に次ぐ。
れいむ種やぱちゅりー種にはできない仕事であり、この群れでまりさ種が多いのは、この
ような環境への適応した当然の結果ともいえる。
いに長けたまりさが石や棒で軽く潰すことでみんなが食べられるようになるのだ。
このような道具の扱いの巧みさはまりさ種がだんとつであり、みょん種やありす種がそれ
に次ぐ。
れいむ種やぱちゅりー種にはできない仕事であり、この群れでまりさ種が多いのは、この
ような環境への適応した当然の結果ともいえる。
「おにゃかいっぱいになっちゃっちゃよ!」
「ちあわちぇー!」
「おちびちゃんのごはんが終わったから、おかあさんもむーしゃむーしゃするよ!むー
しゃむーしゃ…うめっこれめっちゃうっめ!」
「おにゃかいっぱいになっちゃらうんうんちゅるよ…うーんうーん…うーんうーん…ちゅ
っきりー!」
「ゆゆー、じゃあおとうさんたちもごはんにするから、おちびちゃんたちはふるーつっ☆
を食べようね!」
「ちあわちぇー!」
「おちびちゃんのごはんが終わったから、おかあさんもむーしゃむーしゃするよ!むー
しゃむーしゃ…うめっこれめっちゃうっめ!」
「おにゃかいっぱいになっちゃらうんうんちゅるよ…うーんうーん…うーんうーん…ちゅ
っきりー!」
「ゆゆー、じゃあおとうさんたちもごはんにするから、おちびちゃんたちはふるーつっ☆
を食べようね!」
アダンの実はその見た目とは裏腹に、パイナップルのような強烈な甘味はない。
しかし、熟した実にはそれなりの甘さがあり、なによりこの常夏の島では、みずみずしい
果肉と穏やかな甘味は、貴重であった。
しかし、熟した実にはそれなりの甘さがあり、なによりこの常夏の島では、みずみずしい
果肉と穏やかな甘味は、貴重であった。
「あまあまさんはべちゅばらだよ!」
「あまあまさんぺーろぺーろしゅるよ」
「「ちあわちぇー!!」」
「あまあまさんぺーろぺーろしゅるよ」
「「ちあわちぇー!!」」
父まりさと子まりさはそんな赤ゆたちの幸せそうな表情に目を細めながら、赤ゆや母れい
むが残した食事を平らげていく。その目にはしっかり一家を支えているという充実感があ
ふれていた。
そのときふと、父まりさは辺りの空気が湿っていることに気がついた。
もちろん、亜熱帯気候区に位置するこの島の大気は多湿なのだが、いつもよりも重く、湿
った感じだった。
むが残した食事を平らげていく。その目にはしっかり一家を支えているという充実感があ
ふれていた。
そのときふと、父まりさは辺りの空気が湿っていることに気がついた。
もちろん、亜熱帯気候区に位置するこの島の大気は多湿なのだが、いつもよりも重く、湿
った感じだった。
「ゆゆ!これは雨さんの前触れだよ!ぱちゅりーが言っていたよ!」
「ゆ!雨さんはゆっくりできないよ!おちびちゃんたち!ゆっくりしないで巣に戻るよ!」
「ゆ!雨さんはゆっくりできないよ!おちびちゃんたち!ゆっくりしないで巣に戻るよ!」
母れいむは赤ゆとアダンの実を口の中にしまい込むと一目散に洞窟内の巣へ跳ねていく。
父まりさの警告を聞いた他のゆっくりたちも次々とそれに続く。
既に地面にはぽつりぽつりと雨粒の跡が黒く広がり、それが蒸発で消えるよりも早く次の
雨粒が落ちてくるよになった。それから雨が熱帯域特有のスコールになるのに時間はかか
らなかった。
バケツをひっくり返したかのような雨が降り注ぎ、その凄まじい雨音がゆっくりたちの声
を掻き消す。
父まりさの警告を聞いた他のゆっくりたちも次々とそれに続く。
既に地面にはぽつりぽつりと雨粒の跡が黒く広がり、それが蒸発で消えるよりも早く次の
雨粒が落ちてくるよになった。それから雨が熱帯域特有のスコールになるのに時間はかか
らなかった。
バケツをひっくり返したかのような雨が降り注ぎ、その凄まじい雨音がゆっくりたちの声
を掻き消す。
「ぴゃぴゃー!ぴゃぴゃー!ゆっくりかえってきちぇー!」
とある巣では一匹の赤ありすが泣き叫んでいた。その隣では母らしきれいむが心配そうな
表情で洞窟の外の方を眺めている。
帽子のないありす種では昼間に狩りをすることはできない。そのため、日が傾き、日光が
和らいでからでかけたのだろう。しかし、この雨では例え林の中に避難しても安全ではな
い。幸運によって、良い雨宿りの場所を見つけていなければ、ものの1、2分でゆっくり
は再起不能となり、餡子は洗い流されてしまうだろう。
外では、既にあちこちに大きな水溜りが出現し、岩場の溝は濁流によって洗われていた。
洞窟内も外から流れ込んだ水が川となり、その奥―海側へと続く斜面を滑り落ちていく。
しかし、このような状況下でもゆっくりたちの巣は安全であった。
なぜなら、複雑な地形を呈する洞窟内で、巧みに雨が流れ込まない位置に巣を作っている
ためだ。これは多くのゆっくりの犠牲によって得られた知恵である。
かつては、みな好き勝手に巣を設けていたため、スコールの度に永遠にゆっくりしてしま
う家族が続出した。ぱちゅりーやその他の頭のよい幹部ゆっくりたちは、そのような危険
な場所を記憶し、雨が流れ込んでも安全な高い位置にのみ巣を作るよう指導してきたのだ。
ゆっくりとは思えない知恵である。体内の餡子量が減少した分、高濃度に凝縮されたので
あろうか?
いずれにせよ、自分の巣にいる限りは、スコールと言えどもおそるるに足らず!であった。
表情で洞窟の外の方を眺めている。
帽子のないありす種では昼間に狩りをすることはできない。そのため、日が傾き、日光が
和らいでからでかけたのだろう。しかし、この雨では例え林の中に避難しても安全ではな
い。幸運によって、良い雨宿りの場所を見つけていなければ、ものの1、2分でゆっくり
は再起不能となり、餡子は洗い流されてしまうだろう。
外では、既にあちこちに大きな水溜りが出現し、岩場の溝は濁流によって洗われていた。
洞窟内も外から流れ込んだ水が川となり、その奥―海側へと続く斜面を滑り落ちていく。
しかし、このような状況下でもゆっくりたちの巣は安全であった。
なぜなら、複雑な地形を呈する洞窟内で、巧みに雨が流れ込まない位置に巣を作っている
ためだ。これは多くのゆっくりの犠牲によって得られた知恵である。
かつては、みな好き勝手に巣を設けていたため、スコールの度に永遠にゆっくりしてしま
う家族が続出した。ぱちゅりーやその他の頭のよい幹部ゆっくりたちは、そのような危険
な場所を記憶し、雨が流れ込んでも安全な高い位置にのみ巣を作るよう指導してきたのだ。
ゆっくりとは思えない知恵である。体内の餡子量が減少した分、高濃度に凝縮されたので
あろうか?
いずれにせよ、自分の巣にいる限りは、スコールと言えどもおそるるに足らず!であった。
「ゆー、雨さんはゆっくりできないよ。ゆっくりやんでね!」
「「ゆっくちやんでね!」」
「「ゆっくちやんでね!」」
先程の家族は無事に巣に避難し、食後のごーろごーろを楽しんでいた。
2匹の赤ゆ―赤れいむと赤まりさの姉妹は子まりさが拾ってきてくれたオレンジ色のタカ
ラガイで遊んでいる。
2匹の赤ゆ―赤れいむと赤まりさの姉妹は子まりさが拾ってきてくれたオレンジ色のタカ
ラガイで遊んでいる。
「ゆっくちきれいな貝さんだよ!これはれいみゅのたからものにしゅるよ!」
「ゆゆ!まりちゃもほしいよ!れいみゅだけじゅるいよ!」
「だめだよ!しゃきにれいみゅのだってしぇんげんちたよ!」
「ゆゆ!まりちゃもほしいよ!れいみゅだけじゅるいよ!」
「だめだよ!しゃきにれいみゅのだってしぇんげんちたよ!」
言うが早いか赤れいむはタカラガイを持って巣の奥へと逃げ込もうとする。それを慌てて
追いかける赤まりさ。
追いかける赤まりさ。
「まって!まってね!れいみゅもたからものもゆっくりちてね!」
「れいみゅの!これはれいみゅのたからものだよ!ゆっくちりかいちてにぇ!…ぶひゅ!」
「れいみゅの!これはれいみゅのたからものだよ!ゆっくちりかいちてにぇ!…ぶひゅ!」
タカラガイを持って跳ね回っていた赤れいむはバランスを崩し、顔面から地面に転んでし
まう。
まう。
「びゃあああああああ゛!れいみゅのきゃわいいおぎゃおがああああ!」
「ゆゆ!?おちびちゃん大丈夫?ぺーろぺーろしてあげるよ!」
「ゆ゛げええ!れいみゅのたからものぎゃあ!!!」
「ゆゆ!?おちびちゃん大丈夫?ぺーろぺーろしてあげるよ!」
「ゆ゛げええ!れいみゅのたからものぎゃあ!!!」
転んだ拍子に飛んでいったタカラガイは巣の外に転がりだした。
この巣は雨水をよけるため、洞窟内でも高台の上にある。タカラガイは下へ下へと転がっ
ていく。
この巣は雨水をよけるため、洞窟内でも高台の上にある。タカラガイは下へ下へと転がっ
ていく。
「まっちぇ!たからもにょしゃんまって!」
タカラガイを追いかけて巣を飛び出したのは赤まりさだった。
「ゆ!おちびちゃんあぶないよ!流されちゃうよ!ゆっくりしないで巣の中に…」
父まりさが警告を言い終わらないうちに悲劇は起こった。
「ゆ!」
湿気で濡れた岩肌であんよが滑り、赤まりさは濁流へと放り出されてしまったのである。
「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!おじびじゃあああああん!!」
母れいむと父まりさが絶叫する。しかし、このまりさの餡子は優秀だったのだろう。
赤まりさはとっさの判断で、帽子にあんよを滑り込ませ、水の上に無事着水したのである。
その動きたるやサーカスのようだった。
赤まりさはとっさの判断で、帽子にあんよを滑り込ませ、水の上に無事着水したのである。
その動きたるやサーカスのようだった。
「ゆゆ!さすがまりさとれいむのおちびちゃんだね!天才的にゆっくりしているよ!」
安堵とともに我が子の才能に惚れ惚れする父まりさ。
だが、赤まりさが着水したのはスコールによってできた濁流の上、赤まりさを乗せた帽子
はあっという間に洞窟の奥に流され、海のほうに消えていった。あの赤まりさはもう家族
と、いや死ぬまで他のゆっくりに会うことはないだろう。
だが、赤まりさが着水したのはスコールによってできた濁流の上、赤まりさを乗せた帽子
はあっという間に洞窟の奥に流され、海のほうに消えていった。あの赤まりさはもう家族
と、いや死ぬまで他のゆっくりに会うことはないだろう。
「ゆがーん!どぼじでおじびじゃんいなぐなっでるぼぉー!!!」
「ゆゆー!ばでぃざのきゃわいいいもうちょがあああああ!」
「ゆゆー!ばでぃざのきゃわいいいもうちょがあああああ!」
父まりさと子まりさが濁流に負けじと涙を流しながら絶叫する。その横で母れいむも言葉
にならない言葉を発しながら泣き叫んでいた。
子まりさは、妹のまりさとゆっくり狩りに出かけるのを楽しみにしていた。
妹の日頃の言動の中に光るものを見ていたのである。
大きくなったらおねえちゃんと海でゆっくり漁をしようね!
子まりさのその願いが届くことはなかった。
にならない言葉を発しながら泣き叫んでいた。
子まりさは、妹のまりさとゆっくり狩りに出かけるのを楽しみにしていた。
妹の日頃の言動の中に光るものを見ていたのである。
大きくなったらおねえちゃんと海でゆっくり漁をしようね!
子まりさのその願いが届くことはなかった。
「ゆえええええん!なんじぇ!なんじぇ!まりじゃのきゃわいいいもうちょいなくなっち
ゃたのおおお!どぼじでええええ!もうやじゃあう゛んう゛んするよ!じゅっぎりー!!」
ゃたのおおお!どぼじでええええ!もうやじゃあう゛んう゛んするよ!じゅっぎりー!!」
子まりさのあにゃるから勢いよく飛び出た真っ黒なうんうんも、赤まりさ同様濁流の中に
一瞬で消え去った。
一瞬で消え去った。
「ゆ゛ゆ゛ゆ゛れいみゅの、きゃわいいれいみゅのたからものが…」
彼らの声はスコールの音にかき消され、巣の中に響くことはなかった。
翌朝には赤まりさを失った悲しみも癒され、家族は備蓄しておいた肉厚の葉や海藻、昆虫
を朝ごはんにしてむーしゃむーしゃしていた。
を朝ごはんにしてむーしゃむーしゃしていた。
「それじゃあまりさたちは狩りにゆっくりいってくるね!」
「ゆ!気をつけてね!ゆっくりいってらっしゃい!」
「ゆ!気をつけてね!ゆっくりいってらっしゃい!」
母れいむに見送られ父まりさと子まりさは巣の外へとでかける。
「きゃわいいきゃわいいれいみゅに、ちゅてきなたからもにょひろってきてね!たくさん
でいいよ!」
でいいよ!」
赤れいむは昨日の一軒に懲りずに欲望丸出しで2匹を見送る。
今日海岸に漁に出るのは父まりさだが、そんな赤れいむのわがままな見送りにも笑顔で答
えた。
今日海岸に漁に出るのは父まりさだが、そんな赤れいむのわがままな見送りにも笑顔で答
えた。
「ゆっくりしていってね!」
父まりさと子まりさは水溜りの水をぺーろぺーろしてのどを潤してから、帽子を水溜りで
洗った。
洗った。
「おぼうしさんゆっくりきれいになってね!」
「ざーぶざーぶ!ゆ!まりさのおぼうしさんすごくゆっくりしているよ!」
「ざーぶざーぶ!ゆ!まりさのおぼうしさんすごくゆっくりしているよ!」
海面を移動するのに使った帽子は次第に異臭を放つようになるので、きちんと真水で洗っ
て乾かさないとゆっくりできないのだ。今洗っておけば、昼間外で動いているうちに自然
と乾くであろう。その隣ではありすが早朝海岸で集めてきたとかいはな巻貝やプラスチッ
クゴミを水瓶にして、きれいな真水を集めている。スコールは数々の悲劇を生んできたが、
彼らが海岸という真水の少ない環境に居を構えて生活できるのは、この頻繁に降り注ぐ雨
と、水をたっぷり蓄えた植物のおかげであった。
て乾かさないとゆっくりできないのだ。今洗っておけば、昼間外で動いているうちに自然
と乾くであろう。その隣ではありすが早朝海岸で集めてきたとかいはな巻貝やプラスチッ
クゴミを水瓶にして、きれいな真水を集めている。スコールは数々の悲劇を生んできたが、
彼らが海岸という真水の少ない環境に居を構えて生活できるのは、この頻繁に降り注ぐ雨
と、水をたっぷり蓄えた植物のおかげであった。
今日、子まりさは林の方へ狩りにでかけた。
海沿いに広がるヒルガオなどの海浜植物の草原で花を摘み、大きなガの幼虫を捕らる。
「ゆっくり大きなイモムシさんが採れたよ!」
子まりさは幼虫がついていた葉っぱごと取り、丸めて帽子の中に収納する。
ここは海岸に生息するゆっくりたちにとって、近くて植物の豊富なお気に入りの餌場だ。
しかし、子まりさの目的はここにはない。
海岸を縁取るアダンの小規模な林を抜け、その奥にあるヤシ林へ到達する。
ヤシの実は貴重なあまあまさんであり、全て巣の共有財産として管理されていた。
しかし、実際に狩りでヤシの実をとってきたゆっくりやその家族には、ヤシの実を食べる
際の優先ゆっくり権が
与えられることになっている。
そこでは既に何匹かのゆっくりが落ちたヤシの実を調べていた。
海沿いに広がるヒルガオなどの海浜植物の草原で花を摘み、大きなガの幼虫を捕らる。
「ゆっくり大きなイモムシさんが採れたよ!」
子まりさは幼虫がついていた葉っぱごと取り、丸めて帽子の中に収納する。
ここは海岸に生息するゆっくりたちにとって、近くて植物の豊富なお気に入りの餌場だ。
しかし、子まりさの目的はここにはない。
海岸を縁取るアダンの小規模な林を抜け、その奥にあるヤシ林へ到達する。
ヤシの実は貴重なあまあまさんであり、全て巣の共有財産として管理されていた。
しかし、実際に狩りでヤシの実をとってきたゆっくりやその家族には、ヤシの実を食べる
際の優先ゆっくり権が
与えられることになっている。
そこでは既に何匹かのゆっくりが落ちたヤシの実を調べていた。
「ゆ?このここなっつさんはゆっくりできないよ!」
「このここなっつさんはゆっくりできるよ!ぺーろぺーろ、し、しあわせー!!」
「このここなっつさんはゆっくりできるよ!ぺーろぺーろ、し、しあわせー!!」
ゆっくりの力では、ヤシの実を割ることはできない。そこで、既に割れていて、まだ乾燥、
腐敗が進んでいないものを見つけては巣に持ち帰るのである。
中には、ヤシの木に体当たりをして実を落とそうという猛者もいた。
腐敗が進んでいないものを見つけては巣に持ち帰るのである。
中には、ヤシの木に体当たりをして実を落とそうという猛者もいた。
「まりささまの真の力を見せてやるのぜ!ここなっつさんさっさと落ちてくるんだぜ!
…うがああああ!!」
…うがああああ!!」
と叫んでは、何度も体当たりをヤシの木に繰り出している。ゆっくりとはいえ成体とも言
えばそれなりも重さである。
体当たりの度にヤシの木は揺れるが、それでもなかなか落ちてくる気配はない。
えばそれなりも重さである。
体当たりの度にヤシの木は揺れるが、それでもなかなか落ちてくる気配はない。
「みんなで総攻撃するんだぜ!」
だぜまりさの呼びかけに応じて周辺にいたまりさたちが一斉に体当たりを仕掛ける。
「ゆあああああ!…ゆ?」
体当たりしたまりさの内一匹が上からヤシの実が落ちてくるのをその視界の端に捉えた。
「ゆゆ!ここなっつさんゆっぶげば!!」
「ゆべ!!」
「ゆべ!!」
そして命中した。
落ちてきた三つのヤシの実のうち二つがまりさに命中した。
落下に気づいたまりさは一撃で顔面が崩壊、中枢餡が崩れて瀕死に陥った。
落ちてきた三つのヤシの実のうち二つがまりさに命中した。
落下に気づいたまりさは一撃で顔面が崩壊、中枢餡が崩れて瀕死に陥った。
「ゆ゛ゆ゛ゆ゛」
びくんびくんと痙攣しているがまもなく死亡するだろう。
痙攣の度に餡子が吐き出され、つぶれた目からは透明な液体があふれ出ていた。
もう一つは先程のだぜまりさに命中、帽子ごと顔が縦につぶれ、片目が飛び出ている。
痙攣の度に餡子が吐き出され、つぶれた目からは透明な液体があふれ出ていた。
もう一つは先程のだぜまりさに命中、帽子ごと顔が縦につぶれ、片目が飛び出ている。
「ゆぎゃあああああああ!ばでぃざのぎでいなおがおがあああああ!ぉべべがあああああ!
たじゅげでえええええ!」
たじゅげでえええええ!」
ヤシの実は一つ2~4kgまで大きくなる。おまけの高所から落下するヤシの実は饅頭にとっ
て凶器以外の何者でもなかった。
普段は堅くて歯が立たない上に、ゆん生を終わらすこともある強敵、
しかし、一度開ければ美味しいジュースがゆっくりたちをなごませるココナッツ。
ゆっくりたちにとって、ヤシの実はまさに南洋のツンデレクイーンであった。
て凶器以外の何者でもなかった。
普段は堅くて歯が立たない上に、ゆん生を終わらすこともある強敵、
しかし、一度開ければ美味しいジュースがゆっくりたちをなごませるココナッツ。
ゆっくりたちにとって、ヤシの実はまさに南洋のツンデレクイーンであった。
「いだいいいいいい!いだいんだぜええええ!」
結局、だぜまりさは仲間たちに巣に運ばれていった。運がよければ回復するかもしれない。
一部始終を遠くから見ていた子まりさは残り一つのヤシの実に近づいた。
落下してきた三つのうち、誰にも命中しなかった一個である。よく見ると下でカニがつぶ
れている。
一部始終を遠くから見ていた子まりさは残り一つのヤシの実に近づいた。
落下してきた三つのうち、誰にも命中しなかった一個である。よく見ると下でカニがつぶ
れている。
「ゆゆ?うまくひびが入っているよ!巣に持ち帰ればきっとゆっくりできるよ!」
子まりさはつぶれているカニを口の中にしまいこむと、ヤシの実を転がすべく、あんよを
踏ん張った。
踏ん張った。
「ゆんしょ!ゆんしょ!」
しかし、このヤシの実は重く、前進はあまりにもゆっくりなものにならざるを得ない。
「ゆ!ゆっくりしていってね!あのときのまりさだね!」
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
子まりさに声をかけてきたのは、以前助けたまりさつむりであった。
「ここなっつさんを巣に運ぶんだね!ゆっくり手伝うよ!」
「ゆ?ゆっくりありがとう?」
「ゆ?ゆっくりありがとう?」
子まりさは戸惑った。このつむりとその家族にも優先ゆっくり権が与えられた場合、自分
の家族の取り分が減るのではないか?
そんな心のうちを見透かしたかのように、つむりが言い放つ。
の家族の取り分が減るのではないか?
そんな心のうちを見透かしたかのように、つむりが言い放つ。
「優先ゆっくり権はゆっくりいらないよ!まりさはこの前のおんがえしをするよ!」
「ゆ?ゆっくりりかいしたよ!つむりはとってもゆっくりしているよ!」
「ゆ?ゆっくりりかいしたよ!つむりはとってもゆっくりしているよ!」
子まりさはつむりの心のうちに、ふぁーすとでぃーぷちゅっちゅ?で生まれた恋心がある
ことなど知る由もなかった。
二匹は並んでゆーえす、ゆーえすと、ヤシの実を巣へとゆっくり転がしていく。
隣で体をこすり合わせながらヤシの実を運ぶうちに、つむりの抑えがたい思いが有頂天に
届くまでに、さほど時間は要しなかった。
ことなど知る由もなかった。
二匹は並んでゆーえす、ゆーえすと、ヤシの実を巣へとゆっくり転がしていく。
隣で体をこすり合わせながらヤシの実を運ぶうちに、つむりの抑えがたい思いが有頂天に
届くまでに、さほど時間は要しなかった。
アダンの林にたどり着いた辺りで、急につむりは動かなくなった。
「ゆ?どうしたの?つむりはゆっくりしたいの?」
「まりさ、まりさはすごおいゆっくりしているよぉ…」
「ゆゆ?ありがとう、つむりもゆっくりし…」
「だから、まりさはふぁーすとでぃーぷちゅっちゅの責任とってねええ!」
「まりさ、まりさはすごおいゆっくりしているよぉ…」
「ゆゆ?ありがとう、つむりもゆっくりし…」
「だから、まりさはふぁーすとでぃーぷちゅっちゅの責任とってねええ!」
つむりは一気に子まりさにのしかかった。既にそのぺにぺには臨戦態勢に入っている。
「まりさああああああ!まりさ同士すっきりすっきりしよおねえええええん!!愛してる
よおおおお!!!」
よおおおお!!!」
つむりの行動は性急すぎた、そして説明がまったくもって足らなかった。
「やめてね!一体どうしたの!?わけが分からないよ!ゆっくりできないよ!」
まりさはあんよをうねうねさせて、なんとかつむりから逃げようとする。
「ゆっくりへぶんじょうたいになってね!」
つむりがいよいよ狙いを定めたそのとき…
ばつん
つむりのいきり立ったぺにぺにが何者かにばっさりと切り落とされた。
「ゆ゛?ゆぎゃあああああああああああああああ゛くぁwせdrftgyふじこlp!!!」
つむりはぺにぺにの断面からぬらぬらした餡子を垂れ流し、目から砂糖水を撒き散らしな
がら悶絶して転げまわる。
がら悶絶して転げまわる。
「ゆげええ!ゆが!ばでぃざのずでぎなべにべにがああああああ!!」
つむりのぺにぺにを切り落としたのは大きなヤシガニであった。
ヤシガニは最大で30kgまで、あるいはそれ以上に成長するとも言われるヤドカリである。
動きはのろいが、そのハサミは強力で、挟まれれば人の指も切断されてしまう。
そのヤシガニは切り落としたつむりのぺにぺにを厳かに食べていた。暴れまわるつむりと
は対照的である。
ヤシガニは最大で30kgまで、あるいはそれ以上に成長するとも言われるヤドカリである。
動きはのろいが、そのハサミは強力で、挟まれれば人の指も切断されてしまう。
そのヤシガニは切り落としたつむりのぺにぺにを厳かに食べていた。暴れまわるつむりと
は対照的である。
「ゆ゛ゆ゛ゆ゛も゛う゛お゛むごに゛い゛げな゛い゛…ゆ?」
泣きながら前かがみなって、痛々しいぺにぺにの断面をみつめるつむり。
ヤシガニはぺにぺにを食べ終えると、そのハサミでつむりをがっつりとつかみ、ぺにぺに
の断面から中をほじくり、ひきちぎるように食べ始めた。
ヤシガニはぺにぺにを食べ終えると、そのハサミでつむりをがっつりとつかみ、ぺにぺに
の断面から中をほじくり、ひきちぎるように食べ始めた。
「ぎゃああああああああ゛やべべええ!ばでぃざをたべないでえええええ゛!!!」
ヤシガニはぺにぺにからあんよにかけての部分をごっそりひきちぎると、もしゃもしゃと
食べていく。
食べていく。
「ばでぃざの!ばでぃざの!あんとが!やべべ!たじゅげで!までぃざ!だじゅげで!!」
泣き喚き、先程まで力ずくで思いを遂げようとしたまりさに助けを求めるつむり。
しかし、
しかし、
「ゆああああああ!!まりさはおいしくないよ!こないでねええええ!」
子まりさはヤシの実を放り出して全力で逃げていた。
「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃ!だじゅげで!だじゅげでえ!ばでぃざぁ!!!」
このヤシガニは3kgほどの個体だが十分に成体であり、頑丈なキチン質の殻で全身を覆った
ヤシガニにゆっくり程度が太刀打ちできるわけがないのである。子まりさの行動はつむりに
とっては薄情だったかもしれないが、助けようとしたところで、ヤシガニのエサが増えるだ
けだった。
ヤシガニにゆっくり程度が太刀打ちできるわけがないのである。子まりさの行動はつむりに
とっては薄情だったかもしれないが、助けようとしたところで、ヤシガニのエサが増えるだ
けだった。
「ゆげえ…もっと…ゆっくり…ゆ゛ゆ゛ゆ゛」
もうつむりは餡子を半分以上失っており、まもなく死亡した。
雑食でアダンの実を好むヤシガニにとって、ゆっくりはご馳走だったのだろうか?
それからつむりがヤシガニに平らげられてしまうまで、大して時間はかからなかった。
雑食でアダンの実を好むヤシガニにとって、ゆっくりはご馳走だったのだろうか?
それからつむりがヤシガニに平らげられてしまうまで、大して時間はかからなかった。
途中まで運んだヤシの実は、後日まりさ父子によって回収され、ゆっくりいただきました。
私は各地に設置したカメラや音声レコーダーの記録のチェックを終え、粗末な避難小屋の簡
易ベッドに身を投げた。
易ベッドに身を投げた。
海岸に生息しているゆっくりたちのコロニーはおもしろい。
ぱちゅりー種を中心とした幹部たちの統率のもと、見事な分業と共同生活を実現している。
海岸は豊かな餌場だが、貝類やヤドカリ、カニ、海藻など、堅い殻を割ったり、塩分を抜い
たりな単純とはいえ、加工しなければ食べられないエサが多い。それらを積極的に利用でき
るのは、みなで知識や技術を共有しているからである。また、真水や一部の果物は私有分の
ほかに、共有分として群れで管理している姿も確認できた。ゆっくりがこれほどゆっくりし
た小社会を作り上げるとは、そしてそれを他人の報告としてではなく、自分の目で確かめら
れたのは大きな感動であった。
ぱちゅりー種を中心とした幹部たちの統率のもと、見事な分業と共同生活を実現している。
海岸は豊かな餌場だが、貝類やヤドカリ、カニ、海藻など、堅い殻を割ったり、塩分を抜い
たりな単純とはいえ、加工しなければ食べられないエサが多い。それらを積極的に利用でき
るのは、みなで知識や技術を共有しているからである。また、真水や一部の果物は私有分の
ほかに、共有分として群れで管理している姿も確認できた。ゆっくりがこれほどゆっくりし
た小社会を作り上げるとは、そしてそれを他人の報告としてではなく、自分の目で確かめら
れたのは大きな感動であった。
しかし、この群れはその長所の中に危険性も内包しているように思われる。
独特、いや歪な社会構造に豊富なエサでフタをしている、というべきだろうか?
まりさ種の大きな帽子は確かに、この常夏の島で狩りをする上で大きなアドバンテージであ
る。そのせいか、この群れの食料はまりさ種に依存する割合が非常に高い。そして、その依
存にまりさ種がうまく答えているからこそ、群れは幸せでいられるのだ。
る。そのせいか、この群れの食料はまりさ種に依存する割合が非常に高い。そして、その依
存にまりさ種がうまく答えているからこそ、群れは幸せでいられるのだ。
そのため、万が一、食料が不足したり、昼間に活動できるまりさ種が激減するようなことが
あれば、この群れに大きな変化が生じるのは自明の理のように思われた。
あれば、この群れに大きな変化が生じるのは自明の理のように思われた。
また、その他の疑問も生じた。
この島に捕食種はいないのだろうか?
内陸部の生態はどうなっているのだろう?
越冬する必要のないこの温暖な環境で、彼らは一年をどう過ごしているのだろう?
これらの疑問はこのゆっくりたちがわざわざ海岸に進出した謎を解明する手がかりになるの
ではないだろうか?
まだまだ観察は続けねばならないようだ。そして、その範囲を時空間的に広げる必要がある。
この島に捕食種はいないのだろうか?
内陸部の生態はどうなっているのだろう?
越冬する必要のないこの温暖な環境で、彼らは一年をどう過ごしているのだろう?
これらの疑問はこのゆっくりたちがわざわざ海岸に進出した謎を解明する手がかりになるの
ではないだろうか?
まだまだ観察は続けねばならないようだ。そして、その範囲を時空間的に広げる必要がある。
晩秋、今まで海岸付近ばかりを調査していた私は、まだあまり入ったことのない島の内陸部
へと足を向けた。
へと足を向けた。
続きたい
最後まで読んでいただきありがとうございました。
神奈子さまの一信徒として、守矢三柱を出したかったのですが、設定考えているうちに、海
ではまりさがたくましすぎる結果になってしまいました。
ではまりさがたくましすぎる結果になってしまいました。
挿絵:M1