ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2098 ゆれいん・ボイル
最終更新:
ankoss
-
view
・39℃の熱で書き上げるって新鮮だね。
・ドスまりさは漢字を使えるという設定
・元ネタはSTALKER shadow of chernobyl」というゲームの作中に登場する「Brain boil(brain scorcher?)」というもの。
・「やる夫ブイリ」という分かり易い、やる夫SSがあるのでそちらをご覧になるとニヤッとできるかもしれない。
・舞台は下記のような正方形の不自然な森で、正方形より外は住宅街という事を了承してほしい。
? ←
__
住宅 | | 住宅
住宅 | | 住宅
 ̄ ̄
住宅
「ゆゆ!きょうもかりにいってくるよ!れいむはおちびちゃんたちをよろしくね!」
「ゆっくりわかったよ!いってらっしゃいまりさ!きをつけてね!」
「「ゆっくりいってらっしゃい!おとーさん!」」
まりさは森の木の根元に穴を掘って棲んでいる。この森にはドスまりさ率いる群れが存在しており、まりさもその一員である。
まりさには番のれいむと、子まりさ、子れいむという家族を抱えている。一家を養う為に狩りに行くが、全てを一家の為に納める訳ではない。
ドスまりさがやってきたのは、ゆっくり自身が大昔としか認識できない2ヶ月前のことである。
どこから来たのかはさっぱり分からなかったが、ドスまりさはその力と知識を用いて群れを徐々にまとめ上げていった。
ドスまりさは弱者救済、群れの存続の為に狩りをして得た食料の内の2割程度をドスまりさに上納する制度を作り上げた。
最初の内は反発も大きかったが、これが狩りができなくなったゆっくりや病弱なぱちゅりー、シングルマザーを救う為の保険制度と知るとゆっくり達は納得した。
その内、いわゆるでいぶと呼ばれる存在が出てきた。
「れいむはしんぐるまざーなんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!かわいそうなんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
だからごはんさんもらってとうぜんでしょおおおおおおおおおおおお!!!はたらかなくてとうぜんでしょおおおおおおおおおおおおお!!!!」
ドスまりさはこれを不正受給と見なして、群れから追放する処分を下した。
「ゆぅ…残念だけどれいむはゲスだよ。自分さえ良ければ他のゆっくりがゆっくりできなくても構わないと思うクズだよ。
そんなれいむはゆっくりしないで早く出て行ってね。群れから追放だよ。これはドスの命令だからね。」
「どぼぢでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!?
でいぶはじんぐるまざーさんなんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!いじわるしちゃだめでじょおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「わかるよー、れいむはこどもをたてにすきほうだいやるげすなんだねー」
「まったくいなかもののれいむね…はじをしるべきだわ!」
「ゆぅ…れいむはあんなげすになりたくないよ…」
「それ以前に赤ちゃん達は何処にいるの?ドスはれいむの赤ちゃんを見かけたことが無いよ。凄く変な事だよ。」
「どぼぢでみんなじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?
ゆっぐじじないでぜんいんじねえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」
激昂したれいむがありすに向かって、その大きい図体で体当たりをする。
「ゆああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「ゆべぼっ!!…い、いだいいいいいいいいいいいい…とかいはじゃないわああああああああああああああああああああああ!!!」
「ゆっ!ゆっくりを殺そうとするれいむを追放するのは止めたよ!」
「ゆゆ!さすがどすだね!れいむがかわいそうなしんぐるまざーなのをようやくりかいしたんだね!じゃあごはんとあまあまちょうだいね!たくさんでいいよ!ゆっへん!」
「わからないよー!どうしてついほうしないのー!?」
「どす!ありすにひどいことをしたんだよ!れいむはれいむのことをゆるせないよ!」
「いだだ…どすはどうしてあんないなかもののかたをもつのよおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「みんな、ゆっくり落ち着いてね。れいむの追放処分は撤回するよ。代わりに死刑にするよ。」
「ゆ゙っ!?」
「「「ゆっ!!!」」」
「ど、どぼぢででいぶがじななぐぢゃいげないのおおおおおおおおおおおおおおおおお!?でいぶはがわいぞうなじんぐるまざ「今更遅いよ。れいむに子供がいないのはもう分かってるんだよ。」」
ドスまりさは2mはある巨体で、でいぶにのし掛かり潰した。
「ゆぶべっ!!!……」
「ゆふぅ…ゲスが死んでよかったよ。あのご飯さんは動けないゆっくり達を養うためなんだよ。ズルい事したらドスは容赦しないよ。皆はゆっくり理解してね。」
「「「ゆっくりりかいしたよ!!!」」」
「どすはやっぱりとかいはだわぁ~!」
「わかるよー!げすをせいさいしたどすはいだいなんだよー!」
「れいむはどすみたいなゆっくりとけっこんしたいよ!」
「ゆふふ…て、照れるからやめてねみんな…」
結局、でいぶに子供はいなかった。正確にはいたが、まともに世話をしなかった為に黒ずんで死んでいた。死体はれいむの巣の奥にあったが、行方不明となった番のまりさの死体も発見された。
ドスまりさははゲスを制裁してまわった。その殆どが群れから離れる事を拒む為に、主に潰し殺していた。それからは平穏が続いた。
そして現在。
「ゆ!ちょうちょさんまってね!…がーじがーじ…ゆっくりげっとだよ!ごちそうだよ!」
冒頭のまりさは森の中で狩りを続けていた。
「ゆゆ!きのみさんもげっとだよ!おはなさんもげっとだよ!いもむしさんも!…ゆぅ…でもすくないよ…」
ドスまりさの群れは森で暮らす内に、草花や虫を乱獲したことによって食糧難に陥っていた。
『草花は勝手に生えてきて、虫はどこからかゆっくり達に食べられに来るもの。』と考えていた事が原因だった。残念な事にドスまりさも、その考えを持っていた。
まりさはしばらく森を走りまわったが、木の実や花も虫もあまり捕れなかった。しかも、その内の2割をドスまりさに上納しなくてはいけない。
そうなると家族を養うにはかなり苦しくなる。しかし、ドスが作った制度は絶対で収穫物を誤魔化せば、いつか必ずバレて制裁を受ける事になる。
それは実にゆっくりしていないし、まりさ自身もこの群れの一員である事を誇りに思っていた。だから破る訳にはいかない。それは他のゆっくり達も同じである。
「ゆぅ…どすにそうだんしないといけないよ…」
狩りを終えたまりさは、ドスまりさの元へと向かった。上納ついでに収穫物が著しく減少していることを相談するつもりなのだ。
まりさは『ゆっ!ゆっ!』と間抜けな掛け声を出しながら跳ねた。そしてドスまりさがいる丸太を積み上げた、小屋のような巣に到着する。
この小屋はドスまりさが、自身の大きな体と舌で自作した巣である。ドスが棲むに最適でないこの森に来た理由も分からなかった。
何故ドスまりさがこの森に棲む事にしたのか、まりさは食糧事情の相談ついでに尋ねてみることにした。
「ゆっ!ゆっ!…どす!しょくりょうをおさめにきたよ!」
「ゆ!いつもありがとう!まりさのお陰で群れのみんながゆっくりできるよ!」
「ゆぅ…そのことについておはなしがあるんだけど…」
「何?どんなお話か聞かせてね。」
「ゆぅ…むしさんがさいきんになってぜんぜんとれなくなったよ…おはなさんもきのみさんもまえよりすっごくすくなくなっちゃったよ…」
「ゆ…続けてね…」
「ごはんさんがへったらゆっくりできなくなっちゃうよ…れいむもおちびちゃんもなにもいわないけど、まえよりすごくやせたきがするよ…
おちびちゃんもぜんぜんおおきくならなくなってきたし…このままじゃえいえんにゆっくりしちゃうことになるよ…」
「…よく理解できるよ。実はちぇんもありす達からも同じ事を言われたよ。ドスはそれについて今考えてるよ。少し待って欲しいよ…」
「ゆっくりりかいしたよ…ところで、どすはどうしてここにきたの?みんなふしぎがってるよ?」
「それは…実はドスもよく分からないんだよ。前も森に棲んでいたんだけど、ある日人間さん達がやってきてドスに何かしたよ。
ドスは段々眠くなってきて、気付いたらこの森にいたんだよ。それで何となくこの森でゆっくりしていこうって思ったんだよ。
どうしてドスがここに来たのか、それはドス自身もよく分かってないんだよ。きっと運命なのかもね。」
「うんめい?うんめいってなあに?」
「ゆーん…説明が難しいけど、決められたものってことかな。ドスがここに来るのは最初から決まってたってことだよ。」
「ゆゆ!ろまんてぃっくさんだね!」
「そうだね!とってもロマンティックさんだね!」
「「ゆはは!」」
ドスまりさとまりさが笑っていると、そこにれいむが走ってやってきた。
「ゆぅぅぅぅぅ!どすぅぅぅぅ!!きいてきいてええええええええ!!!」
「ゆゆ!?どうしたのれいむ!?」
「れいむ!ゆっくり落ち着いて話してね!」
「ゆはぁ…ゆはぁ…ご、ごはんさんがぜんぜんないんだよ!ぱちゅりーたちも、けがしたみょんもごはんなくてとってもよわってるよ!」
「ゆ…みんなのご飯さんが少ないから、動けないゆっくりとかのご飯はますます少なくなっちゃってるんだね…」
「どすうううううううううううううううう!!なんとかしてよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!このままぱちゅりーたちがしんじゃうなんていやだよおおおおおおおおお!!!」
「ゆゆ!どす!まりさからもおねがいだよ!どうにかしてごはんさんふやさないと、まりさたちもよわっちゃうよ!まりさたちまでうごけなくなったら、むれのみんながしんじゃうよ!」
「ゆーん…ゆーん…ドスはもう少し時間が欲しいよ。明日の朝までに考えておくから、二人とも待っててね!必ず答えを出すよ!」
「「…ゆっくりりかいしたよ!」」
ドスまりさは眉間に皺を寄せながら、ずっと『ゆーん』と唸っていた。まりさとれいむはそれぞれの巣へと戻っていった。
「…ゆっくりただいまだよ!」
「おかえりなさいまりさ!」
「「おかえりなさいおとーさん!」」
「きょうはちょうちょさんときのみさんと、おはなさんだよ!ゆっくりたべてね!」
「ゆ!きょうはごちそうだね!おちびちゃんたちはおとーさんに、ゆっくりおれいをいおうね!」
「「ゆっくりありがとうおとーさん!!」」
「ゆふふ…じゃあ、ゆっくりいただきますをしようね!」
「「「「ゆっくりいただきます!!」」」」
「むーしゃむーしゃ…しあわせー!…おちびちゃんはちょうちょさんをもっとたべてね!」
「むーしゃむーしゃ…しあわせー!ゆ…でもおとーさんががんばってとってきたんだよ…れいむはおはなさんだけでもゆっくりできるよ?」
「むーしゃむーしゃ…しあわせー!まりさもきのみさんでゆっくりできるよ!おとーさんはちょうちょさんたべてゆっくりしてね!」
「むーしゃむーしゃ…しあわせー!…おとーさんがそういってるんだから、おちびちゃんたちはえんりょしないでたべてね!」
「「ゆ…でも…」」
「おちびちゃんたちよくきいてね!おとーさんもおかあさんも、おちびちゃんたちにはゆっくりおおきくそだってほしいんだよ!
おちびちゃんたちがゆっくりしてると、おとーさんもおかあさんもとてもゆっくりできるんだよ!だからえんりょしないでたべてね!」
「まりさ…おとーさんのいうとおりだよ!おちびちゃんたちはえんりょしないでたべてね!」
「ゆ……ありがとうおとーさんおかあさん…ゆっくりむーしゃむーしゃするよ…」
「ゆ!まりさおおきくなったら、おとーさんみたいにかりのめいじんになるよ!そしたらおとーさんとおかあさんをいっぱい、おなかいっぱいにさせてあげるよ!」
「ゆっくりきたいしてるよ!だからえんりょしないでたべてね!」
「「ゆっくりいただきます!むーしゃむーしゃ…し、しあわせー!!!」」
「「「「ゆっくりごちそうさまでした!!!」
「ゆゆ…まりさこっちにきてね!」
一家が少ない食事を終えると、れいむがまりさを外へと引き連れて何やら話し始める。
「ゆ?どうしたのれいむ?」
「ゆぅ…さいきんごはんさんがすくないよ…れいむはかりをしないからわからないけど、なにかあったの?」
「ゆ…さいきんになってごはんさんとれなくなっちゃったんだよ…でもどすにそうだんしたからだいじょうぶだよ!」
「どすはなんていってたの?」
「まだかんがえてるさいちゅうだけど、あしたのあさにどうするかこたえをだすっていってたよ!」
「ゆ…ほんとうにだいじょうぶかな…れいむなんだかしんぱいだよ…」
「どすがついてるんだからだいじょうぶだよ!…それにどすのかんがえをきかないうちは、まりさたちじゃどうしようもないよ…」
「たしかにそうだね…じゃあゆっくりあしたまでまつよ…」
「ごめんね…まりさがもっとしっかりしてればよかったんだけど…」
「ううん、まりさのせいじゃないよ。れいむよくわかってるよ。これはしかたないことなんだよきっと。」
まりさとれいむは今後に不安を抱きつつ、ドスまりさの答えを聞く翌日の朝を迎えた。
「ゆゆ!じゃあいってくるよ!」
「いってらっしゃいまりさ!」
「「いってらっしゃいおとーさん!」」
家族に見送られながら、まりさはドスまりさの巣へと『ゆっ!ゆっ!』と跳ねていった。既に巣の周りには多数のゆっくりが居て、何やら騒がしい。
「ゆっ!ゆっ!ゆっ!…なんだかきょうはゆっくりがいっぱいだね…」
「ゆゆ!まりさおはよう!」
「おはようれいむ。きょうはなんだかゆっくりがいっぱいだね。」
「どすがごはんさんがへっちゃったもんだいにこたえをだすっていったのが、みんなにもれたらしいよ。」
「もうどすはこたえをだしたの?」
「ううん、これからだよ。」
まりさとれいむが喧騒をBGMにやり取りしていると、ドスまりさが巣からついに出てきた。ガヤガヤと騒ぐゆっくり達を一蹴する。
「みんなゆっくり聞いてね!ご飯さんが少なくなってる問題をどうにかする為にドスは沢山考えたよ!」
「わからないよー!はやくおしえてよー!」
「はやくいうみょん!もうせっぱつまってるみょん!」
「むきゅぅ…ぱちゅはおなかすきすぎてしにそうよ…はやくかいけつしてちょうだい…げほっげほっ…」
「はやくするんだぜ!まりささまはなんでもしてやるのぜ!えんりょしないでいうのぜ!」
「みんな落ち着いてね!この森のご飯さんは…もう殆ど無いよ!」
「そんなのしってるみょん!」
「ゆっがああああああああああああああ!!まりさはむれのやくにたちたいのぜ!どうすればいいのかはやくいうのぜ!」
「お願いだからゆっくり落ち着いてね!ドスは問題解決の為に、森の外に出て食料を調達してくることを決めたよ!」
「ゆゆ!?」
「も、もりのそと!?」
「もりからでたことなんていちどもないみょん…みんなもでたことないみょん…」
「ま、まりささまはべつにこわくないのぜ!」
「みんな森の外に出た事がないのは知ってるよ!怖いのも分かるよ!でも外に出てご飯さんを掻き集めなくちゃ、みんな死んじゃうよ!」
ドスまりさの言葉に、ゆっくり達の喧騒は再度止んだ。ドスまりさが言葉を続ける。
「ドスは…この群れから離れる訳にはいかないよ!ドスがいなくなったら群れは崩壊しちゃうよ…とても危険だけど、誰か外に行って食料を調達して欲しいよ…」
「ゆ…でも…ゆ…わかったみょん!みょんがいくみょん!」
「あ、ありすもいってあげてもいいわよ!べつにむれのためじゃないからね!」
「ゆっへっへ!まりささまにかかればごはんさんなんて、あっというまにあつまるのぜ!まかせるのぜ!」
「わかるよー!ちぇんもいくよ!ぱちゅりーたちをたすけたいよ!」
「むきょぉ…ありがとう…みんな…」
勇敢な者が何匹か現れ、森の外に出ると言った。まりさは少し考えてから言った。
「ゆぅ…まりさは…まりさは…まりさもいくよ!れいむをゆっくりさせたいよ!おちびちゃんたちもゆっくりさせたいよ!みんなよろしくね!」
「ゆっへっへ!よろしくなのぜまりさ!」
「ありすとゆっくりごはんさんあつめましょうね!よろしくね!」
「よろしくだみょーん!」
「わかるよー!かぞくあいなんだよー!よろしくねー!」
「ゆっ!取りあえずこれで十分だと思うよ!みんなはバラバラにならないよう、ゆっくり気を付けて行ってね!危ないと思ったらすぐに戻ってきてね!」
「「「「「ゆっくりりかいしたよ(みょん)!」」」」」
「むきゅぅ…みんな…みんなほんとにありたいわ…ゆぐっ…ゆぐっ…」
「わからないよー、ぱちゅりーなかないでねー」
「ちぇんはいなかものね…うれしなきしてるのよ…そっとしておいてあげるのがとかいはよ!」
「わかるよー、ちょっとしんぱいになっちゃったんだよー」
結局、群れの大半は沈黙したまま残った。未知に対する恐怖からである。
しかし、恐怖に打ち勝ち5匹のゆっくりが名乗りを挙げた。内訳はみょん、ありす、だぜまりさ、ちぇん、まりさである。
5匹が外に出るべく、森の中を跳ねてまわりあと少しで森から出られる部分に辿り着いた。
「ゆはぁ…ゆはぁ…ちょ、ちょっときゅうけいするみょん…」
「そ、そうね…さすがにあるきすぎたわ…」
「わ、わかるよー…そ、そとはとおいんだね…」
「ゆへぇ…ゆへぇ…まりささまもきゅうけいするのぜ…」
「ゆふぅ…そうだね…ここまでとおいとつかれるね…」
ゆっくり達は呼吸を荒くし、砂糖水の汗を流している。ここでありすが何か異常を訴えた。
「ゆぅ?ゆぐぐ…な、なんだかあたまがいたくなってきたわ…ゆぎぎ…」
「だいじょうぶかみょん?きっとつかれちゃった…ゆぐっ!?…な、なんだみょん!?みょんのあたまもいたくなってきたみょん!」
「わぎゃぎゃ!…ちぇ、ちぇんもいたくなってきたよー…いたいよー…」
「ゆぎぎ…まりささまもなんだかいたくなってきたのぜ…がまんできるけどいたいのぜ…」
「まりさもなんだかくらくらしてきたよ…ねむねむのときみたいだよ…」
皆が頭痛に苛まれていると、最初に頭痛を訴えたありすが突然叫び始めた。
「ゆぎぎ…ゆゆ!?れ、れみりゃだあああああああああああああああああああああああああ!!!」
「れみりゃいやだみょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!」
「わがらないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!れびりゃどごおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
「お、おちつくんだぜ!れれ、れ、れみりゃなんてままま、まりささまがやっつけてややや、やるのぜ…!」
「れ、れみりゃああああああああああああああああああああ!?…ゆ!?み、みんなゆっくりおちついてね!れみりゃなんてどこにもいないよ!」
まりさが指摘すると、皆は辺り一面を見回した。
「…ゆゆ?ど、どうしてれみりゃいないのよ…」
「みょ、みょーん!へんなじょうだんはやめるみょん!びっくりしたみょん!」
「わかるよー!ちぇんはすごくこわかったんだよー!」
「ゆふぅ…まりささまにかかればれみりゃなんていちころなんだぜ!いてもいなくてもかわらないのぜ!」
「…ありすどうしちゃったの?つかれちゃったの?」
「ち、ちがうわよ!…ほんとうにいたのよ…おかしいわ…」
「おかしいのはありすだみょん!」
「ゆがーん!…そ、そんなあああああああああああああああ!!」
「わからないよー!ふたりともやめてねー!」
れみりゃの件で揉め始めたありすとみょんを、ちぇんが止めに掛かった。二匹の仲裁をしていると、ちぇんが突如苦しみ始めた。
「わかるよー、ふたりともおとなげない…わぎゃぎ!?わぎゃ!わぎゃぎゃ!!」
「ちぇ、ちぇん!?ど、どうしたのよおおおおおおおおおおおおお!!?」
「ちぇええええええええええん!ゆっくりするんだみょん!」
「わぎゃ!わぎゃぎゃあああああああああああああああああああああ!!…わぎゃ…わ…」
「ど、どうしたのぜ!?」
「ちぇんになにがおきたの!?まりさしんぱいだよ!」
「……」
「へ、へんなじょうだんはやめなさいよ!とかいはじゃないわ!」
「……」
「ちぇんおきるんだみょん!よだれもふくんだみょん!…ちぇえええええええええん!!」
「……」
「あ、ありすがわるかったわよ!だからおきてちょうだい!…おねがいだがらおぎでえええええええええええええええええええええええええええええ!!」
「ちぇんおきるんだみょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!」
「どうしたのぜええええええええええええええ!!ちぇんおきるのぜえええええええええええええええ!!」
「ゆわわ…ゆわ…ちぇ、ちぇんどうしたの…おねがいだからおきようよ…ありすもあやまってるよ…みんなしんぱいしてるよ…」
「…」
ちぇんは白目を剥き、舌をダランと口から涎と共に出して死んでいた。ありす達は薄々ながら死んでいる事を理解していたが、完全に受け入れようとまではしなかった。
ちぇん以外のゆっくり達が慌てていると、ちぇんはブルブルと震えだし言葉を発した。
「ワギャグ…ユグリ…」
「ちぇ、ちぇん!?よかったわあああああああああああああああ!!ありすがわるかったからもうあんなじょうだんはやめてねええええええええええええ!!!」
「しんぱいしたみょん!おどろかさないでほしいみょん」
「じょ、じょうだんなのはまりささまはさいしょからしってたのぜ!のっかってやっただけなのぜ!」
「ゆふぅ…ちぇんがなにもなくてよかったよ…」
「ユグリ……ユヒャヒャヒャヒャ!!ユグリ~~~!!!」
「ちぇんどこいくみょん!」
「なんだかちぇんのようすがおかしかったよ…」
「きっとおじけづいたのぜ…?」
「…ありすはなにかちがうきがするわ…」
「ちぇんはいなくなったけど、まりささまたちはすすまなきゃいけないのぜ!すすむのぜ!」
ちぇんは不気味な笑い声を出しながら、森へと戻っていった。
まりさ達は後を追う事をせずに、そのまま外を目指して歩みを再開した。食糧事情を解決する為に…全ては群れの為である。
4匹はちぇんを追う事もなくひたすら進み、ついに外へと到着する事が出来た。4匹は住宅街を目の前に、道路の上で驚いていた。
「ゆわああああああああああ!!そとのせかいがこんなにとかいはだなんてありすしらなかったわああああ!」
「すごいんだみょん…もりがごみみたいにみえてくるみょん…」
「すごいのぜ…そとがこんなにひろいだなんて…おもってもみなかったのぜ…」
「…なんだかまりさたちがちっぽけにおもえてきたよ…」
道路に立ち尽くしていると、だぜまりさが苦しみ始めた。
「ゆぎぎぎゃあああああああああ!!?な、なんなのぜ!?あ、あんこさんがかきまわされるような…のぜえええええええええええええええええええ!?」
「ど、どうしたのよまりさ!?とかいはじゃないわ!ゆっくりして…ゆっく…ぎぎゃああああああああああああああああああああああああ!!」
「みょおおおおおん!?ふたりともどうしみょぎゅぎゃあああああああああああああああああああああ!!!」
「ど、どうしたの!?み、みんなおちついて!ま、まりさどうすればいいの…どうすればいいのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?」
「ゆぎぎゃああああああああああああああああああ!!………ぐぎ…ユグヒヒヒヒ…ユグリ!ユッグ!ユヒヒヒヒヒ!」
「お、おねがいだからまりさどうすればいいのかおしえてね…まりさ…まりさ…どうすれば……あたま…ふらふら…ねむ………」
ありすが涎と舌を垂らし、目を有り得ない方向にギョロギョロと動かしながら森へと戻っていった。
まりさは意識が薄れゆくなかで、皆が苦しむその光景と音を黙って聞いているしかできなかった。
「ユハハハハハハハ!!ユグーリ!ユグリィ!!ユヘヘヘヘヘヘ!!ユッヘー!」
「ぎぎぎ………グヒャヒャヒャヒャヒャ!!グヒャ!グヒャヒャ!ユッグヒ!ユッグヒィ!」
「(みんな…どうしちゃったの…まりさもなんかへんだよ…もう…もう…おきてられ…な…い…)」
だぜまりさとみょんが、ありすと同じように涎と舌を垂らし、目をチグハグに動かしながら森へと帰っていくのをまりさはじっと見ていた。
まりさの意識はそこで途絶えた。まりさが意識を取り戻すと、辺りにみょん達はおらず。いつの間にか夜になっていた。
「ゆぅ…よくねたよ……ゆ!?み、みんな!?ど、どこいっちゃったの!?…ゆゆ!?も、もりにもどっちゃったの!?」
まりさは原因不明の強い不安を、焦燥感を感じた。このまま外に行くべきか森に戻るべきかと、まりさは悩んだ。
「どうすればいいの…まりさは…まりさは……」
『危ないと思ったらすぐに戻ってきてね!』
ドスまりさの言葉を思い出し、まりさは森に戻る事を決断する。
「まりさは…まりさは…まりさはもりにもどるよ!」
森へと戻る為、まりさはひたすら跳ねた。森の入口から少し過ぎた辺りで悲鳴が聞こえた。
「ゆんやあああああああああああああああああああああああ!!たちゅけちぇええええええええええええええええええええええええ!!」
「ユグーリ!ユグーリ!ユヒャヒャ!」
「あ、あれは…みょんと…あかちゃんまりさ?」
「たちゅけちぇええええええええええええええええええ!!だれきゃああああああああああああああああ!!」
「ユグリイイイイイイイイイイイ!!イヒヒハハハハハハハ!!ガージガージ!グーシャグーシャ!」
「いちゃいいいいいいいいいいいいいいいいい!!やめちぇええええええええええええええええ!!おきゃあしゃんたべにゃいぢぇええええええええええええええ!!!」
「ガージガージ!グーチャグーチャ!!」
「ゆぎいいいいいいいいいいいい!!…ゆっ…ゆっ…どうちちぇ…こんにゃひぢょいこちょ…しゅるにょ…おきゃあ…しゃん…ゅ…」
「ユヒ…ユヒヒハハハハハハハハハハ!!!!ユッグー!ユッグイー!」
「ど、どうなってるの…?なにがおこってるの…?」
まりさ達と道を共にしたのとは別のみょんが、赤まりさを食い殺したのだ。
頭皮を食い剥がし、歯をノコギリのように横に滑らせながら背中を切断し、後は手当たり次第に赤まりさを噛み千切った。
しかも話しを聞いている限り親子の様だ。結局、みょんはまりさに気付く事もなく森の何処かへと消え去っていった。
「どうして……ゆゆ!?れ、れいむたちがしんぱいだよ!ゆっくりしないでいそぐよ!」
まりさは家族が待っているであろう巣へと跳ね出した。『ゆっ!ゆっ!』と間抜けな声も、この時ばかりは焦りの声にしか聞こえない。
まりさは家族達の待つ、巣の前まで来て呆然とした。枝葉を集めた結界と呼ばれる偽装が破壊されていたのだ。まりさは慌てて巣の中に駆け込む。
「れいむううううううううううううううう!!れいむううううううううううううううううううううう!!」
「ゆゆ!まりさあああああああああああああああああ!!!」
「「おとーさあああああああああああああん!!」」
「れいむぅ…ぶじでよかったよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「まりさがぶじでよかったあああああああああああああああああああああ!!」
「「おとーさんこわかったよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「まりさどこいってたのおおおおお…れいむたちしんぱいしたんだよおおおおおおおおおおおおおお!!」
「ゆ!ごめんね!おそとにごはんさんあつめにいってたんだよ!れいむにいうのうっかりわすれてたよ…」
「そういうことははやくいってほしかったよ…れいむとってもしんぱいしたんだよ…」
「ゆっくりごめんね…ところでれいむ!なにがあったの!?けっかいさんがこわされてるよ!なんだかもりのようすがおかしいよ!」
「わからないよ…ちぇんがいきなりけっかいさんをこわしたんだよ…ようすもおかしかったよ…よだれもだらだらしてて、いえのなかにはいろうとしたんだよ!」
「だ、だいじょうぶだったの!?」
「だいじょうぶだったけど…ちかくをとおったぱちゅりーにちぇんがかみついたんだよ…れいむはおちびちゃんたちとしずかにおうちさんにいたら、ちぇんはどこかにいっちゃったよ…」
「ぱ、ぱちゅりーはどうしたの!?」
「…しんでたよ…くりーむさんがいっぱいちらばってたよ…」
「そ、そんな…」
「まりさ!れいむたちこれからどうすればいいの!?」
「ゆぅ……そうだ!どすのところにいってみるよ!きっとどすがなんとかしてくれるよ!」
「で、でもおちびちゃんたちをつれてそとをあるけないよ…」
「おとーさん、まりさおそとでるの?」
「やだ…やだよ…れいむおそとでたくないよ…おかーさんといっしょにいたいよ…こわいよ…」
「ゆ…じゃあれいむたちはここにかくれててね!どすのところにはまりさだけでいってくるよ!」
「そんなことより、まりさはれいむたちといっしょにかくれようよ…おそとはあぶないよ…」
「だめだよ…このことを、どすにつたえないと…だめだよ…」
「…ゆっくりりかいしたよ…れいむたちはここでまってるよ…だから…だからかならずむかえにきてね!」
「「れいむ(まりさ)たち、おとーさんのことまってるよ!」」
「…ゆ!それじゃあいってくるよ!」
「「「…ゆっくりいってらっしゃい!!!」」」
まりさは巣に家族を残して、ドスの元へと跳ねていった。向かう途中に家族とは別のれいむと出会った。目をチグハグに動かし、舌と涎を垂らしている…あれと同じだった。
「ユグリィ!ユグリィ!」
「れ、れいむ?ゆ、ゆっくりこんばんわ…ま、まりさはいまどすのところにいくとちゅうだから…ま、またこんどね!」
「ユグリイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!」
「ゆああああああああああああああああああ!!やめてええええええええええええええ!!おっかけないでええええええええええええええええええ!!!」
下手な言い訳が通じる訳もなく、れいむはまりさに突進してきた。まりさはそれから逃れるようにして、ドスまりさの元へと跳ねていく。
ドスまりさの巣へと到着して異様な光景を、まりさは目の当たりにした。ドスまりさが所々から餡子を漏らしつつ、向かってくるゆっくりを踏み潰してまわってるのだ。
「ど、どうなってるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
「ユグリイイイイイイイイイイイ!ユグリヒャヒャヒャヒャ!!!」
「死ねええええええええええええ!!ゆっくりしないで死ねえええええええええええええええええ!!!」
「ち、ちがううううううううううううううう!まりさはまりさだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
ドスまりさが、まりさに向かって突進してきたのだ。そして飛び跳ねた。まりさはそこで目を瞑り、自らの死を覚悟して家族に戻れないことを心の中で詫びた。
グシャッという音が辺りに響いた。まりさは自らを死んだと思いつつ、うっすらと目を開けた。そこにはドスまりさによって潰されたゆっくり達がいた。背後からドスまりさに声を掛けられる。
「まりさ!まりさはまりさなの!?本当にまりさなの!?」
「ゆ…ゆううううううううう!?ま、まりさいきてるうううううううううううう!…ゆゆ!まりさはまりさだよ!いったいどうなってるの!?」
「分からないよ…外に行ったありすとみょんとまりさが帰ってきたんだけど、様子が変で気がついたら他のゆっくりに噛みついて殺してたよ…」
「ど、どうしてそんなことに!?ほ、ほかのゆっくりは!?」
「どずうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!」
「あ、ありす!!」
「ありす落ち着いてね!ゆっくりしてね!」
どうしてとドスまりさに尋ねたとき、酷く慌てたありすがやってきた。このありすは探索隊とは別のありすである。
「ゆはぁ!ゆはぁ!…もりが、もりがこんなになってるから、ありすはぱちゅりーとそとににげようとしたの!
そしたら…さきにそとにいってたれいむたちが…ぱちゅりーを…ゆぐっ…ゆんやああああああああああああああああああああああああ!!!」
「お、おちついてね…ありす!」
「外に…外に何かあるんだよ…きっと…確かめなくちゃ…」
「どす!?そ、そとはあぶないよ!ちぇんもみょんも、まりさもありすもみんなおかしくなっちゃったよ!」
「それでも…ドスはドスとしての責任を取るために確かめなくちゃいけない気がするよ…」
ありすが泣き喚いている裏で、まりさとドスまりさが会話をしていた。その時に何処からか別の『声』が聞こえてきた。
『我が元へ来い。お前の望みは分かっている。』
「ゆ!?な、なにこれ…あたまのなかからきこえるよ…」
「…ドスも聞こえたよ…行かなくちゃ……ドスは何処に行くべきか…なんとなく分かるよ…」
「…まりさもいくよ!どすひとりにあぶないことはさせないよ!けがもいっぱいしてるし!」
「危ないからダメだよ!ドスはドス一人で行くよ!」
「だったらなおさらひとりでいかすことなんてできないよ!まりさはれいむとおちびちゃんたちと、やくそくしたんだよ!ぜったいにかえってくるって!」
「…それじゃあ残るべきでしょ!」
「できないよ!てぶらでかえってくるなんてできないよ!まりさはかりのめいじんなんだよ!みんながおかしくなったげんいんを、とめてからじゃないとかえれないよ!!」
「…ゆ………分かったよ…まりさはドスの帽子に乗ってね。」
「ど、どこいくの!?あ、ありすはいやよ!どこにもいかないわ!おそとはあぶないってさっきいったでしょお!くるっちゃうのよ!!」
「それでもドスは行くよ。ありすはドスのお家さんに隠れててね…必ずドスが迎えに行くから…」
「まりさもいっしょにむかえにいくよ…だからまっててね…」
「ゆぐううううううううううううう…ぜったいきてちょうだいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!やくそくよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
『我が元へ来るのだ。お前の望みを叶えよう。我が元へ来い。』
「ゆ…どす!しゅっぱつだよ!」
「分かってるよ!しっかり掴まっててね!」
ドスまりさは大きく跳ねて地面を揺らしながら、南へと向かった。なぜ南なのかはドスまりさにも、まりさにも分からなかった。
やがて森を抜けて道路に出ると目の前に4階建てはあるだろう、屋上に大きなスピーカー、1階部分に大きなシャッターの付いた建物が目に付いた。
「…まりさ、外に出たゆっくりは皆おかしくなったんだよね?」
「ちぇんもありすもそうだったし…さっきのありすもそういってたよ…」
「今気付いたんだけど、どうしてドスとまりさだけは何ともないの?」
「…ゆ!?……どうしてだろう…ぜんぜんわからないよ…」
『我が元へ来い。お前の望みはもう少しで叶うぞ。』
シャッターが開き、導かれるようにしてドスまりさと帽子の上のまりさは中へと入っていった。中の床一帯が、大型リフトで出来ている。
リフトはそのままドスまりさ達を載せて上へと動き出した。リフトの駆動音が辺りに響く。
「ゆゆ!?なにこれ?おそらとんでるみたい!」
「…なんだかゆっくり出来ない気がしてきたよ…まりさは気を付けてね…」
「ゆ…ゆっくりりかいしたよ…」
リフトが『3F』と大きく刻印された鋼鉄の扉の前で止まった。何かのロックが外れるように、扉は引き戸のように開いていった。
ドスまりさは意を決して入り込む。その際、まりさもドスまりさの帽子からようやく降りる。二匹は開いた扉に吸い寄せられるようにして部屋に入っていった。
部屋の中には白髪の白衣を着た初老の男が、だだっ広い部屋にポツンと居た。男は口を開き、息を吸い込み言葉を発した。
「ようこそ、ゆれいん・ボイルへ。」
「…おじさんはにんげんさん…だよね?」
「おや、どうしてまりさがここに居るのかな?」
「そんな事はどうでもいいよ!おじさん何か知ってるでしょ!」
「何か…というよりは、全てを知っているぞ。」
「おしえてね!まりさしりたいよ!」
「それはまりさ君が使う言葉じゃないよ。」
「ゆ…」
「じゃあドスが代わりに質問するよ!おじさんはどうして外に出たゆっくりが、みんなおかしくなったか知ってるね!」
「ああ、知っているよ。」
「どうしておかしくなったか、ちゃんと答えてね!」
「ドスまりさ君、それは君の群れが外に出ようとしたからだ。」
「それじゃ答えになってないでしょ!ちゃんと答えてね!群れが大変な事になってるんだよ!」
「…ゆれいん・ボイルというのを知っているか?」
「ゆれいん…何のことだかさっぱりだよ!」
「ゆれいん・ボイルとはゆっくりの精神を汚染し、狂気に駆り立てる音波発出装置の事だ。機械の中に47匹分のドスの中枢餡が詰まっている。」
「「ゆ゙っ!?」」
「ど、どうしてそんな物があるの!?」
「我々が研究に研究を重ねて開発したんだ。ゆくゆくは、ゆっくりが民家に不法侵入しないように調整を加える。ゆっくり避けといった物に利用するつもりだ。」
「どうして…どぼぢでごんなひどいごどずるのお…」
「君達はすぐそれを言う。何か不都合があると、どうして酷い事をするんだと憤怒する。私はそれが大嫌いだ。
…ゆれいん・ボイルに当てられたゆっくりには、キラーマシーンとなってもらいイナゴのようなゆっくりの群れを殺戮する。
なぜならば食糧難に陥るような群れは、最早群れとして機能していないも同然だからだ。その群れは他所に移れば、同じようにして食料を食い荒らすだろう。
それを阻止する為の、群れを壊滅させる為のゆれいん・ボイルだ。イナゴのように荒らして回るゆっくりは、この世界には不要だ。
食料が必要になり外に出ようとするならば、問答無用でキラーマシーンになる。食料が無いのに外が危ない事を知れば、共食いが始まる。
もっとも逃げる為に森から外へと逃げ出すという行為は予測してなかったがね。私とした事がうっかりしていたよ。すまんね。」
「そんな…ドスはそんな事しようと…」
「しようとしただろう?外に出て行って食料を掻き集めてこようと提案したのは誰だ?言っておくが、それについて我々は細工をしていないよ。」
「ゆっ…」
「ど、どす?どうしてだまっちゃうの…まりさたちゆっくりしたかっただけなのに…」
「ところでドスまりさ君は、どうやってこの森に来たか覚えているかね?」
「ゆっ!?ドスは…違う森で人間さんに何かされて…」
「気付いたらここにいたという訳だな。君はその時にガスで眠らされ、装置を中枢餡近くに埋め込まれたのだよ。
その装置は君の潜在意識をコントロールするものだ。ここの場所を知っているのも、群れから離れようともしなかったのも、
逆に君が群れから離れたがらなかったのも、全て君に埋め込まれている装置から発せられた音波によるものだよ。」
「ど、どうして知ってるの!?」
「装置はレコーダーと発信器の役割も果たしている。君が何を食べ、何を見聞きしたかまで分かるようになっている。」
「じゃあどうじで乱獲を禁止ざぜながっだのおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?おじざんがやっでぐれでだらドズの群れはゆっぐりじでだよおおおおおおおおおおおおお!!!」
「これは実験段階に過ぎないからだ。装置は完璧ではなく、いくつか機能しなかったり不具合を有していたりする。
我々はデータを集めて、それを一つ一つ手直ししていく。地道な作業だがこうするしかない。
それとドスまりさ君。君があの森に来る前…違う森にいたときも、君は我々の実験に協力してくれたよ。」
「ゆ゙っ!?ど、どういう事なの!?」
「あの時は惨憺たる結果だった。群れを纏め上げたと思ったら、君は何を思ったか群れのゆっくりを殺し始めたんだ。
群れは全滅し、実験は中止になった。結局は装置に不具合が見つかってね、手直しした物を君に埋め込んだんだ。」
「そ…そんな…」
「ゆっ!まりさからもしつもんがあるよ!ほかのゆっくりは…ざんねんなことになっちゃったのに、どうしてどすとまりさだけはだいじょうぶなの?」
「ゆれいん・ボイルはドスまりさには効かないようにしている。
ドスまりさを集めるのは非常に大変な手間と金が掛かるから、できるだけ再利用の方向で動いている。
…まりさ君の場合は将来、ドスまりさになる素質があるからだろうね。だから効かなかったんだと思うよ。」
「群れは…群れはどうなるの…」
「今の群れは一匹残らず死ぬよ。まりさ君の家族もね。運良く生き残っても、あの森には越冬できるだけの食料も無いだろうから、死ぬ。」
「ゆええええええええええええええええええええ!?そ、そんなああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「質問は以上でよろしいかね?それでは、ドスまりさ君には実験の手伝いを続行してもらおう。」
「ふざけるな…ふざけるなあああああああああああああああああああああああああああ!!殺す!殺してやるうううううううううううううううううううううううう!!!」
「ど、どすうううううううううううううううううううううううううう!?」
男の目の前まで、ドスまりさは迫った。その姿はまりさが見た狂気のゆっくりと瓜二つだ。
「…何をする気かね?」
「お前を…殺じでやるううううううううううううううううううううううううう!!ゆっぐりじないで死ねええええええええええええええええええええ!!!」
「どすううううううううううううううううううう!!どうしたのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?」
「…愚かだ。君は本当に愚かだよ。君に埋め込まれた装置によって、君は私を含む人間を殺す事はおろか、かすり傷一つ負わすことも出来ないんだ。」
「そんな訳あるがあああああああああああああああああああああ!!…ゆううううううううううううううううううう!?どうして体が動かないのおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
「ドスまりさ君。次は上手くやりなさい。君がここに来た経緯も忘れて上手くやりなさい。最初の君が食糧難で人里に降りて、協定を結ぶよう言った事も忘れなさい。
それによって人間に最初の群れを全滅させられたのも忘れなさい。二度目に群れのゆっくりを自ら殺した事も忘れなさい。三度目の今回も忘れなさい。
何度も言うようだが、次こそ上手くやりなさい。装置の不具合があっても、君がしっかり考えていれば群れは死なずに済む。しかし、残念ながら今言った事も忘れてしまうんだ君は。」
ガスがどこからか流れ込み始め、部屋中に充満していく。
「やべろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!ドズを放ぜええええええええええええええええええ!!!!」
「それは無理な相談だ。君は装置に影響されて動かないようになっている。ここに不具合が出たら、流石に私も焦るがね。」
「ゆぅ…れいむ…ごめんね…おちびちゃん…ごめんね……もっとゆっくりさせてあげたかったよ…」
「まりさ君。家族の事を想っているんだね、辛いだろうね。」
「つらい…よ…ねむ…い…よ…」
「しかし安心してくれて大丈夫だ。君の記憶はすぐに消し飛び、どこか見知らぬ森へと放たれるだろう。
そこでドスとなるまでゆっくりしていなさい。我々が君を回収してドスまりさ君のように実験に協力して貰うからね。」
「いや…だ…まりさ…れいむたち…わす…れ…たくない…よ…………」
「放ぜええええええええええええええええ!!放ぜえええええええええええええええええええええ!!放ぜええ…放……………」
「作業班!対象は眠りに落ちた!急いで装置の解析を行おう!」
「「「「はい!」」」」
二匹は寝息を立てる事もなく、深い眠りに落ちた。男が言葉を発すると4人の白衣を着た男女が現れて、何やら物々しい機械を準備し始めた。
「げほっ…私はラムネは好きだが、ラムネのガスというのは苦手だねぇ…」
「それ以外だと人間に影響出ちゃうんで…すいません。」
「しかし…我々のスポンサーが、ゆっくり愛護団体と環境保護団体というのも奇妙なものだな…」
「…作り物でもいいから、幸せが欲しいんでしょう。彼等は得てして成功に至る過程が、失敗以外の何者でもない事を知りません。いいえ、知ろうとしません。」
「まぁ、いいじゃないか。ゆっくりによる生態系の破壊も止められるんだから。」
ドスまりさが解体され、装置が外されると不具合部分を調整して、ドスまりさに埋め戻された。
まりさとドスまりさは別々のトラックに乗せられると、どこか見知らぬ地へと旅立っていった。
…
「ゆ………ゆー?…ここは何処なんだろう…なんだかゆっくりできそうなきがするよ…」
「ゆわああああああああああああ!!どすだあああああああああああああああああああああああああ!!」
「ゆ?ドスはドスだよよろしくね!」
「ゆ、ゆ、ゆわあああああああああああああああい!どすがきてくれたよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「(ゆ…なんだかこの群れの長にならなくちゃいけない気がしてきたよ!ドス頑張るよ!)」
「ゆゆーん!どすさえよかったら、れいむたちのむれのおさになってほしいよ!」
「ゆ!今度は上手くやるよ!ゆっくりよろしくね!れいむ!」
「ゆぅ?こんどはって?」
「ゆ?…何だろうドスにも、よく分からないよ…」
FIN
後書
・感想、批判、指摘コメントはヘコむが役に立つのでどんどんしてほしい。
・てs◆iFtPUQz3VI という者ですが、何か命名してくれると嬉しい(ロシア的な感じだと尚嬉しい!)。
今まで浪人や思い込み、SUMOUなど書いたが個人的にはどれもイマイチだと感じている。
やりたい事を表現できない感じで、ストーリーとして作れないことにもんどり打っている。
これからも図々しいようですが頑張って書かせて頂きます。
推敲しろという声が多いように思えたので、投稿時間はかなり延びますができるだけ質の良い作品を創れるように頑張ります。
ありがとうございました。
>579 :ゆっくりななし種:2010/07/16(金) 20:11:53 ID:0P7JB56k
> anko1970 浪人
> オーソドックスなゆ虐が好きなんでゆっくりできた
> お礼にこいつを持っていってくれStalker
> っパン・缶詰・ダイエットソーセージ・ウォッカ・VinterVC
スパシーバブロー!アイラブヴィンター!
でも、後ろにサっちゃんがいるのはどうしてだい?
>761 :ゆっくりななし種:2010/07/31(土) 16:43:27 ID:0iysKK8o
> anko2082 思い込み
> てことは、金や宝石にも変化させられるわけか?糞袋が砂金袋に見えてきたぞw
> …もし自由自在にゆっくりの中身を変質させる方法が開発されて、その技術が行き渡ったらどんな社会になるのやら。そういう話も読んでみたい。
ちょっと考えてみます。完成するかどうかは分かりませんが、構成を練って考えてみます。
>762 :ゆっくりななし種:2010/07/31(土) 17:25:53 ID:wMyVVmgg
> anko2082 思い込み
> 博士の喋りと切り口が独特で面白かった
> 漆原教授でイメージしちゃって台無し(自爆)になったのは秘密だ
博士の口調は書いてる途中で、自分でも何言ってんだか意味不明になってたのは秘密です。
というか、名前書いてないせいで10作品未満扱いされてたのね。無理もないですね、名前なきゃ分からないし…すいませんでした。
・ドスまりさは漢字を使えるという設定
・元ネタはSTALKER shadow of chernobyl」というゲームの作中に登場する「Brain boil(brain scorcher?)」というもの。
・「やる夫ブイリ」という分かり易い、やる夫SSがあるのでそちらをご覧になるとニヤッとできるかもしれない。
・舞台は下記のような正方形の不自然な森で、正方形より外は住宅街という事を了承してほしい。
? ←
__
住宅 | | 住宅
住宅 | | 住宅
 ̄ ̄
住宅
「ゆゆ!きょうもかりにいってくるよ!れいむはおちびちゃんたちをよろしくね!」
「ゆっくりわかったよ!いってらっしゃいまりさ!きをつけてね!」
「「ゆっくりいってらっしゃい!おとーさん!」」
まりさは森の木の根元に穴を掘って棲んでいる。この森にはドスまりさ率いる群れが存在しており、まりさもその一員である。
まりさには番のれいむと、子まりさ、子れいむという家族を抱えている。一家を養う為に狩りに行くが、全てを一家の為に納める訳ではない。
ドスまりさがやってきたのは、ゆっくり自身が大昔としか認識できない2ヶ月前のことである。
どこから来たのかはさっぱり分からなかったが、ドスまりさはその力と知識を用いて群れを徐々にまとめ上げていった。
ドスまりさは弱者救済、群れの存続の為に狩りをして得た食料の内の2割程度をドスまりさに上納する制度を作り上げた。
最初の内は反発も大きかったが、これが狩りができなくなったゆっくりや病弱なぱちゅりー、シングルマザーを救う為の保険制度と知るとゆっくり達は納得した。
その内、いわゆるでいぶと呼ばれる存在が出てきた。
「れいむはしんぐるまざーなんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!かわいそうなんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
だからごはんさんもらってとうぜんでしょおおおおおおおおおおおお!!!はたらかなくてとうぜんでしょおおおおおおおおおおおおお!!!!」
ドスまりさはこれを不正受給と見なして、群れから追放する処分を下した。
「ゆぅ…残念だけどれいむはゲスだよ。自分さえ良ければ他のゆっくりがゆっくりできなくても構わないと思うクズだよ。
そんなれいむはゆっくりしないで早く出て行ってね。群れから追放だよ。これはドスの命令だからね。」
「どぼぢでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!?
でいぶはじんぐるまざーさんなんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!いじわるしちゃだめでじょおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「わかるよー、れいむはこどもをたてにすきほうだいやるげすなんだねー」
「まったくいなかもののれいむね…はじをしるべきだわ!」
「ゆぅ…れいむはあんなげすになりたくないよ…」
「それ以前に赤ちゃん達は何処にいるの?ドスはれいむの赤ちゃんを見かけたことが無いよ。凄く変な事だよ。」
「どぼぢでみんなじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?
ゆっぐじじないでぜんいんじねえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」
激昂したれいむがありすに向かって、その大きい図体で体当たりをする。
「ゆああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「ゆべぼっ!!…い、いだいいいいいいいいいいいい…とかいはじゃないわああああああああああああああああああああああ!!!」
「ゆっ!ゆっくりを殺そうとするれいむを追放するのは止めたよ!」
「ゆゆ!さすがどすだね!れいむがかわいそうなしんぐるまざーなのをようやくりかいしたんだね!じゃあごはんとあまあまちょうだいね!たくさんでいいよ!ゆっへん!」
「わからないよー!どうしてついほうしないのー!?」
「どす!ありすにひどいことをしたんだよ!れいむはれいむのことをゆるせないよ!」
「いだだ…どすはどうしてあんないなかもののかたをもつのよおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「みんな、ゆっくり落ち着いてね。れいむの追放処分は撤回するよ。代わりに死刑にするよ。」
「ゆ゙っ!?」
「「「ゆっ!!!」」」
「ど、どぼぢででいぶがじななぐぢゃいげないのおおおおおおおおおおおおおおおおお!?でいぶはがわいぞうなじんぐるまざ「今更遅いよ。れいむに子供がいないのはもう分かってるんだよ。」」
ドスまりさは2mはある巨体で、でいぶにのし掛かり潰した。
「ゆぶべっ!!!……」
「ゆふぅ…ゲスが死んでよかったよ。あのご飯さんは動けないゆっくり達を養うためなんだよ。ズルい事したらドスは容赦しないよ。皆はゆっくり理解してね。」
「「「ゆっくりりかいしたよ!!!」」」
「どすはやっぱりとかいはだわぁ~!」
「わかるよー!げすをせいさいしたどすはいだいなんだよー!」
「れいむはどすみたいなゆっくりとけっこんしたいよ!」
「ゆふふ…て、照れるからやめてねみんな…」
結局、でいぶに子供はいなかった。正確にはいたが、まともに世話をしなかった為に黒ずんで死んでいた。死体はれいむの巣の奥にあったが、行方不明となった番のまりさの死体も発見された。
ドスまりさははゲスを制裁してまわった。その殆どが群れから離れる事を拒む為に、主に潰し殺していた。それからは平穏が続いた。
そして現在。
「ゆ!ちょうちょさんまってね!…がーじがーじ…ゆっくりげっとだよ!ごちそうだよ!」
冒頭のまりさは森の中で狩りを続けていた。
「ゆゆ!きのみさんもげっとだよ!おはなさんもげっとだよ!いもむしさんも!…ゆぅ…でもすくないよ…」
ドスまりさの群れは森で暮らす内に、草花や虫を乱獲したことによって食糧難に陥っていた。
『草花は勝手に生えてきて、虫はどこからかゆっくり達に食べられに来るもの。』と考えていた事が原因だった。残念な事にドスまりさも、その考えを持っていた。
まりさはしばらく森を走りまわったが、木の実や花も虫もあまり捕れなかった。しかも、その内の2割をドスまりさに上納しなくてはいけない。
そうなると家族を養うにはかなり苦しくなる。しかし、ドスが作った制度は絶対で収穫物を誤魔化せば、いつか必ずバレて制裁を受ける事になる。
それは実にゆっくりしていないし、まりさ自身もこの群れの一員である事を誇りに思っていた。だから破る訳にはいかない。それは他のゆっくり達も同じである。
「ゆぅ…どすにそうだんしないといけないよ…」
狩りを終えたまりさは、ドスまりさの元へと向かった。上納ついでに収穫物が著しく減少していることを相談するつもりなのだ。
まりさは『ゆっ!ゆっ!』と間抜けな掛け声を出しながら跳ねた。そしてドスまりさがいる丸太を積み上げた、小屋のような巣に到着する。
この小屋はドスまりさが、自身の大きな体と舌で自作した巣である。ドスが棲むに最適でないこの森に来た理由も分からなかった。
何故ドスまりさがこの森に棲む事にしたのか、まりさは食糧事情の相談ついでに尋ねてみることにした。
「ゆっ!ゆっ!…どす!しょくりょうをおさめにきたよ!」
「ゆ!いつもありがとう!まりさのお陰で群れのみんながゆっくりできるよ!」
「ゆぅ…そのことについておはなしがあるんだけど…」
「何?どんなお話か聞かせてね。」
「ゆぅ…むしさんがさいきんになってぜんぜんとれなくなったよ…おはなさんもきのみさんもまえよりすっごくすくなくなっちゃったよ…」
「ゆ…続けてね…」
「ごはんさんがへったらゆっくりできなくなっちゃうよ…れいむもおちびちゃんもなにもいわないけど、まえよりすごくやせたきがするよ…
おちびちゃんもぜんぜんおおきくならなくなってきたし…このままじゃえいえんにゆっくりしちゃうことになるよ…」
「…よく理解できるよ。実はちぇんもありす達からも同じ事を言われたよ。ドスはそれについて今考えてるよ。少し待って欲しいよ…」
「ゆっくりりかいしたよ…ところで、どすはどうしてここにきたの?みんなふしぎがってるよ?」
「それは…実はドスもよく分からないんだよ。前も森に棲んでいたんだけど、ある日人間さん達がやってきてドスに何かしたよ。
ドスは段々眠くなってきて、気付いたらこの森にいたんだよ。それで何となくこの森でゆっくりしていこうって思ったんだよ。
どうしてドスがここに来たのか、それはドス自身もよく分かってないんだよ。きっと運命なのかもね。」
「うんめい?うんめいってなあに?」
「ゆーん…説明が難しいけど、決められたものってことかな。ドスがここに来るのは最初から決まってたってことだよ。」
「ゆゆ!ろまんてぃっくさんだね!」
「そうだね!とってもロマンティックさんだね!」
「「ゆはは!」」
ドスまりさとまりさが笑っていると、そこにれいむが走ってやってきた。
「ゆぅぅぅぅぅ!どすぅぅぅぅ!!きいてきいてええええええええ!!!」
「ゆゆ!?どうしたのれいむ!?」
「れいむ!ゆっくり落ち着いて話してね!」
「ゆはぁ…ゆはぁ…ご、ごはんさんがぜんぜんないんだよ!ぱちゅりーたちも、けがしたみょんもごはんなくてとってもよわってるよ!」
「ゆ…みんなのご飯さんが少ないから、動けないゆっくりとかのご飯はますます少なくなっちゃってるんだね…」
「どすうううううううううううううううう!!なんとかしてよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!このままぱちゅりーたちがしんじゃうなんていやだよおおおおおおおおお!!!」
「ゆゆ!どす!まりさからもおねがいだよ!どうにかしてごはんさんふやさないと、まりさたちもよわっちゃうよ!まりさたちまでうごけなくなったら、むれのみんながしんじゃうよ!」
「ゆーん…ゆーん…ドスはもう少し時間が欲しいよ。明日の朝までに考えておくから、二人とも待っててね!必ず答えを出すよ!」
「「…ゆっくりりかいしたよ!」」
ドスまりさは眉間に皺を寄せながら、ずっと『ゆーん』と唸っていた。まりさとれいむはそれぞれの巣へと戻っていった。
「…ゆっくりただいまだよ!」
「おかえりなさいまりさ!」
「「おかえりなさいおとーさん!」」
「きょうはちょうちょさんときのみさんと、おはなさんだよ!ゆっくりたべてね!」
「ゆ!きょうはごちそうだね!おちびちゃんたちはおとーさんに、ゆっくりおれいをいおうね!」
「「ゆっくりありがとうおとーさん!!」」
「ゆふふ…じゃあ、ゆっくりいただきますをしようね!」
「「「「ゆっくりいただきます!!」」」」
「むーしゃむーしゃ…しあわせー!…おちびちゃんはちょうちょさんをもっとたべてね!」
「むーしゃむーしゃ…しあわせー!ゆ…でもおとーさんががんばってとってきたんだよ…れいむはおはなさんだけでもゆっくりできるよ?」
「むーしゃむーしゃ…しあわせー!まりさもきのみさんでゆっくりできるよ!おとーさんはちょうちょさんたべてゆっくりしてね!」
「むーしゃむーしゃ…しあわせー!…おとーさんがそういってるんだから、おちびちゃんたちはえんりょしないでたべてね!」
「「ゆ…でも…」」
「おちびちゃんたちよくきいてね!おとーさんもおかあさんも、おちびちゃんたちにはゆっくりおおきくそだってほしいんだよ!
おちびちゃんたちがゆっくりしてると、おとーさんもおかあさんもとてもゆっくりできるんだよ!だからえんりょしないでたべてね!」
「まりさ…おとーさんのいうとおりだよ!おちびちゃんたちはえんりょしないでたべてね!」
「ゆ……ありがとうおとーさんおかあさん…ゆっくりむーしゃむーしゃするよ…」
「ゆ!まりさおおきくなったら、おとーさんみたいにかりのめいじんになるよ!そしたらおとーさんとおかあさんをいっぱい、おなかいっぱいにさせてあげるよ!」
「ゆっくりきたいしてるよ!だからえんりょしないでたべてね!」
「「ゆっくりいただきます!むーしゃむーしゃ…し、しあわせー!!!」」
「「「「ゆっくりごちそうさまでした!!!」
「ゆゆ…まりさこっちにきてね!」
一家が少ない食事を終えると、れいむがまりさを外へと引き連れて何やら話し始める。
「ゆ?どうしたのれいむ?」
「ゆぅ…さいきんごはんさんがすくないよ…れいむはかりをしないからわからないけど、なにかあったの?」
「ゆ…さいきんになってごはんさんとれなくなっちゃったんだよ…でもどすにそうだんしたからだいじょうぶだよ!」
「どすはなんていってたの?」
「まだかんがえてるさいちゅうだけど、あしたのあさにどうするかこたえをだすっていってたよ!」
「ゆ…ほんとうにだいじょうぶかな…れいむなんだかしんぱいだよ…」
「どすがついてるんだからだいじょうぶだよ!…それにどすのかんがえをきかないうちは、まりさたちじゃどうしようもないよ…」
「たしかにそうだね…じゃあゆっくりあしたまでまつよ…」
「ごめんね…まりさがもっとしっかりしてればよかったんだけど…」
「ううん、まりさのせいじゃないよ。れいむよくわかってるよ。これはしかたないことなんだよきっと。」
まりさとれいむは今後に不安を抱きつつ、ドスまりさの答えを聞く翌日の朝を迎えた。
「ゆゆ!じゃあいってくるよ!」
「いってらっしゃいまりさ!」
「「いってらっしゃいおとーさん!」」
家族に見送られながら、まりさはドスまりさの巣へと『ゆっ!ゆっ!』と跳ねていった。既に巣の周りには多数のゆっくりが居て、何やら騒がしい。
「ゆっ!ゆっ!ゆっ!…なんだかきょうはゆっくりがいっぱいだね…」
「ゆゆ!まりさおはよう!」
「おはようれいむ。きょうはなんだかゆっくりがいっぱいだね。」
「どすがごはんさんがへっちゃったもんだいにこたえをだすっていったのが、みんなにもれたらしいよ。」
「もうどすはこたえをだしたの?」
「ううん、これからだよ。」
まりさとれいむが喧騒をBGMにやり取りしていると、ドスまりさが巣からついに出てきた。ガヤガヤと騒ぐゆっくり達を一蹴する。
「みんなゆっくり聞いてね!ご飯さんが少なくなってる問題をどうにかする為にドスは沢山考えたよ!」
「わからないよー!はやくおしえてよー!」
「はやくいうみょん!もうせっぱつまってるみょん!」
「むきゅぅ…ぱちゅはおなかすきすぎてしにそうよ…はやくかいけつしてちょうだい…げほっげほっ…」
「はやくするんだぜ!まりささまはなんでもしてやるのぜ!えんりょしないでいうのぜ!」
「みんな落ち着いてね!この森のご飯さんは…もう殆ど無いよ!」
「そんなのしってるみょん!」
「ゆっがああああああああああああああ!!まりさはむれのやくにたちたいのぜ!どうすればいいのかはやくいうのぜ!」
「お願いだからゆっくり落ち着いてね!ドスは問題解決の為に、森の外に出て食料を調達してくることを決めたよ!」
「ゆゆ!?」
「も、もりのそと!?」
「もりからでたことなんていちどもないみょん…みんなもでたことないみょん…」
「ま、まりささまはべつにこわくないのぜ!」
「みんな森の外に出た事がないのは知ってるよ!怖いのも分かるよ!でも外に出てご飯さんを掻き集めなくちゃ、みんな死んじゃうよ!」
ドスまりさの言葉に、ゆっくり達の喧騒は再度止んだ。ドスまりさが言葉を続ける。
「ドスは…この群れから離れる訳にはいかないよ!ドスがいなくなったら群れは崩壊しちゃうよ…とても危険だけど、誰か外に行って食料を調達して欲しいよ…」
「ゆ…でも…ゆ…わかったみょん!みょんがいくみょん!」
「あ、ありすもいってあげてもいいわよ!べつにむれのためじゃないからね!」
「ゆっへっへ!まりささまにかかればごはんさんなんて、あっというまにあつまるのぜ!まかせるのぜ!」
「わかるよー!ちぇんもいくよ!ぱちゅりーたちをたすけたいよ!」
「むきょぉ…ありがとう…みんな…」
勇敢な者が何匹か現れ、森の外に出ると言った。まりさは少し考えてから言った。
「ゆぅ…まりさは…まりさは…まりさもいくよ!れいむをゆっくりさせたいよ!おちびちゃんたちもゆっくりさせたいよ!みんなよろしくね!」
「ゆっへっへ!よろしくなのぜまりさ!」
「ありすとゆっくりごはんさんあつめましょうね!よろしくね!」
「よろしくだみょーん!」
「わかるよー!かぞくあいなんだよー!よろしくねー!」
「ゆっ!取りあえずこれで十分だと思うよ!みんなはバラバラにならないよう、ゆっくり気を付けて行ってね!危ないと思ったらすぐに戻ってきてね!」
「「「「「ゆっくりりかいしたよ(みょん)!」」」」」
「むきゅぅ…みんな…みんなほんとにありたいわ…ゆぐっ…ゆぐっ…」
「わからないよー、ぱちゅりーなかないでねー」
「ちぇんはいなかものね…うれしなきしてるのよ…そっとしておいてあげるのがとかいはよ!」
「わかるよー、ちょっとしんぱいになっちゃったんだよー」
結局、群れの大半は沈黙したまま残った。未知に対する恐怖からである。
しかし、恐怖に打ち勝ち5匹のゆっくりが名乗りを挙げた。内訳はみょん、ありす、だぜまりさ、ちぇん、まりさである。
5匹が外に出るべく、森の中を跳ねてまわりあと少しで森から出られる部分に辿り着いた。
「ゆはぁ…ゆはぁ…ちょ、ちょっときゅうけいするみょん…」
「そ、そうね…さすがにあるきすぎたわ…」
「わ、わかるよー…そ、そとはとおいんだね…」
「ゆへぇ…ゆへぇ…まりささまもきゅうけいするのぜ…」
「ゆふぅ…そうだね…ここまでとおいとつかれるね…」
ゆっくり達は呼吸を荒くし、砂糖水の汗を流している。ここでありすが何か異常を訴えた。
「ゆぅ?ゆぐぐ…な、なんだかあたまがいたくなってきたわ…ゆぎぎ…」
「だいじょうぶかみょん?きっとつかれちゃった…ゆぐっ!?…な、なんだみょん!?みょんのあたまもいたくなってきたみょん!」
「わぎゃぎゃ!…ちぇ、ちぇんもいたくなってきたよー…いたいよー…」
「ゆぎぎ…まりささまもなんだかいたくなってきたのぜ…がまんできるけどいたいのぜ…」
「まりさもなんだかくらくらしてきたよ…ねむねむのときみたいだよ…」
皆が頭痛に苛まれていると、最初に頭痛を訴えたありすが突然叫び始めた。
「ゆぎぎ…ゆゆ!?れ、れみりゃだあああああああああああああああああああああああああ!!!」
「れみりゃいやだみょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!」
「わがらないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!れびりゃどごおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
「お、おちつくんだぜ!れれ、れ、れみりゃなんてままま、まりささまがやっつけてややや、やるのぜ…!」
「れ、れみりゃああああああああああああああああああああ!?…ゆ!?み、みんなゆっくりおちついてね!れみりゃなんてどこにもいないよ!」
まりさが指摘すると、皆は辺り一面を見回した。
「…ゆゆ?ど、どうしてれみりゃいないのよ…」
「みょ、みょーん!へんなじょうだんはやめるみょん!びっくりしたみょん!」
「わかるよー!ちぇんはすごくこわかったんだよー!」
「ゆふぅ…まりささまにかかればれみりゃなんていちころなんだぜ!いてもいなくてもかわらないのぜ!」
「…ありすどうしちゃったの?つかれちゃったの?」
「ち、ちがうわよ!…ほんとうにいたのよ…おかしいわ…」
「おかしいのはありすだみょん!」
「ゆがーん!…そ、そんなあああああああああああああああ!!」
「わからないよー!ふたりともやめてねー!」
れみりゃの件で揉め始めたありすとみょんを、ちぇんが止めに掛かった。二匹の仲裁をしていると、ちぇんが突如苦しみ始めた。
「わかるよー、ふたりともおとなげない…わぎゃぎ!?わぎゃ!わぎゃぎゃ!!」
「ちぇ、ちぇん!?ど、どうしたのよおおおおおおおおおおおおお!!?」
「ちぇええええええええええん!ゆっくりするんだみょん!」
「わぎゃ!わぎゃぎゃあああああああああああああああああああああ!!…わぎゃ…わ…」
「ど、どうしたのぜ!?」
「ちぇんになにがおきたの!?まりさしんぱいだよ!」
「……」
「へ、へんなじょうだんはやめなさいよ!とかいはじゃないわ!」
「……」
「ちぇんおきるんだみょん!よだれもふくんだみょん!…ちぇえええええええええん!!」
「……」
「あ、ありすがわるかったわよ!だからおきてちょうだい!…おねがいだがらおぎでえええええええええええええええええええええええええええええ!!」
「ちぇんおきるんだみょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!」
「どうしたのぜええええええええええええええ!!ちぇんおきるのぜえええええええええええええええ!!」
「ゆわわ…ゆわ…ちぇ、ちぇんどうしたの…おねがいだからおきようよ…ありすもあやまってるよ…みんなしんぱいしてるよ…」
「…」
ちぇんは白目を剥き、舌をダランと口から涎と共に出して死んでいた。ありす達は薄々ながら死んでいる事を理解していたが、完全に受け入れようとまではしなかった。
ちぇん以外のゆっくり達が慌てていると、ちぇんはブルブルと震えだし言葉を発した。
「ワギャグ…ユグリ…」
「ちぇ、ちぇん!?よかったわあああああああああああああああ!!ありすがわるかったからもうあんなじょうだんはやめてねええええええええええええ!!!」
「しんぱいしたみょん!おどろかさないでほしいみょん」
「じょ、じょうだんなのはまりささまはさいしょからしってたのぜ!のっかってやっただけなのぜ!」
「ゆふぅ…ちぇんがなにもなくてよかったよ…」
「ユグリ……ユヒャヒャヒャヒャ!!ユグリ~~~!!!」
「ちぇんどこいくみょん!」
「なんだかちぇんのようすがおかしかったよ…」
「きっとおじけづいたのぜ…?」
「…ありすはなにかちがうきがするわ…」
「ちぇんはいなくなったけど、まりささまたちはすすまなきゃいけないのぜ!すすむのぜ!」
ちぇんは不気味な笑い声を出しながら、森へと戻っていった。
まりさ達は後を追う事をせずに、そのまま外を目指して歩みを再開した。食糧事情を解決する為に…全ては群れの為である。
4匹はちぇんを追う事もなくひたすら進み、ついに外へと到着する事が出来た。4匹は住宅街を目の前に、道路の上で驚いていた。
「ゆわああああああああああ!!そとのせかいがこんなにとかいはだなんてありすしらなかったわああああ!」
「すごいんだみょん…もりがごみみたいにみえてくるみょん…」
「すごいのぜ…そとがこんなにひろいだなんて…おもってもみなかったのぜ…」
「…なんだかまりさたちがちっぽけにおもえてきたよ…」
道路に立ち尽くしていると、だぜまりさが苦しみ始めた。
「ゆぎぎぎゃあああああああああ!!?な、なんなのぜ!?あ、あんこさんがかきまわされるような…のぜえええええええええええええええええええ!?」
「ど、どうしたのよまりさ!?とかいはじゃないわ!ゆっくりして…ゆっく…ぎぎゃああああああああああああああああああああああああ!!」
「みょおおおおおん!?ふたりともどうしみょぎゅぎゃあああああああああああああああああああああ!!!」
「ど、どうしたの!?み、みんなおちついて!ま、まりさどうすればいいの…どうすればいいのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?」
「ゆぎぎゃああああああああああああああああああ!!………ぐぎ…ユグヒヒヒヒ…ユグリ!ユッグ!ユヒヒヒヒヒ!」
「お、おねがいだからまりさどうすればいいのかおしえてね…まりさ…まりさ…どうすれば……あたま…ふらふら…ねむ………」
ありすが涎と舌を垂らし、目を有り得ない方向にギョロギョロと動かしながら森へと戻っていった。
まりさは意識が薄れゆくなかで、皆が苦しむその光景と音を黙って聞いているしかできなかった。
「ユハハハハハハハ!!ユグーリ!ユグリィ!!ユヘヘヘヘヘヘ!!ユッヘー!」
「ぎぎぎ………グヒャヒャヒャヒャヒャ!!グヒャ!グヒャヒャ!ユッグヒ!ユッグヒィ!」
「(みんな…どうしちゃったの…まりさもなんかへんだよ…もう…もう…おきてられ…な…い…)」
だぜまりさとみょんが、ありすと同じように涎と舌を垂らし、目をチグハグに動かしながら森へと帰っていくのをまりさはじっと見ていた。
まりさの意識はそこで途絶えた。まりさが意識を取り戻すと、辺りにみょん達はおらず。いつの間にか夜になっていた。
「ゆぅ…よくねたよ……ゆ!?み、みんな!?ど、どこいっちゃったの!?…ゆゆ!?も、もりにもどっちゃったの!?」
まりさは原因不明の強い不安を、焦燥感を感じた。このまま外に行くべきか森に戻るべきかと、まりさは悩んだ。
「どうすればいいの…まりさは…まりさは……」
『危ないと思ったらすぐに戻ってきてね!』
ドスまりさの言葉を思い出し、まりさは森に戻る事を決断する。
「まりさは…まりさは…まりさはもりにもどるよ!」
森へと戻る為、まりさはひたすら跳ねた。森の入口から少し過ぎた辺りで悲鳴が聞こえた。
「ゆんやあああああああああああああああああああああああ!!たちゅけちぇええええええええええええええええええええええええ!!」
「ユグーリ!ユグーリ!ユヒャヒャ!」
「あ、あれは…みょんと…あかちゃんまりさ?」
「たちゅけちぇええええええええええええええええええ!!だれきゃああああああああああああああああ!!」
「ユグリイイイイイイイイイイイ!!イヒヒハハハハハハハ!!ガージガージ!グーシャグーシャ!」
「いちゃいいいいいいいいいいいいいいいいい!!やめちぇええええええええええええええええ!!おきゃあしゃんたべにゃいぢぇええええええええええええええ!!!」
「ガージガージ!グーチャグーチャ!!」
「ゆぎいいいいいいいいいいいい!!…ゆっ…ゆっ…どうちちぇ…こんにゃひぢょいこちょ…しゅるにょ…おきゃあ…しゃん…ゅ…」
「ユヒ…ユヒヒハハハハハハハハハハ!!!!ユッグー!ユッグイー!」
「ど、どうなってるの…?なにがおこってるの…?」
まりさ達と道を共にしたのとは別のみょんが、赤まりさを食い殺したのだ。
頭皮を食い剥がし、歯をノコギリのように横に滑らせながら背中を切断し、後は手当たり次第に赤まりさを噛み千切った。
しかも話しを聞いている限り親子の様だ。結局、みょんはまりさに気付く事もなく森の何処かへと消え去っていった。
「どうして……ゆゆ!?れ、れいむたちがしんぱいだよ!ゆっくりしないでいそぐよ!」
まりさは家族が待っているであろう巣へと跳ね出した。『ゆっ!ゆっ!』と間抜けな声も、この時ばかりは焦りの声にしか聞こえない。
まりさは家族達の待つ、巣の前まで来て呆然とした。枝葉を集めた結界と呼ばれる偽装が破壊されていたのだ。まりさは慌てて巣の中に駆け込む。
「れいむううううううううううううううう!!れいむううううううううううううううううううううう!!」
「ゆゆ!まりさあああああああああああああああああ!!!」
「「おとーさあああああああああああああん!!」」
「れいむぅ…ぶじでよかったよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「まりさがぶじでよかったあああああああああああああああああああああ!!」
「「おとーさんこわかったよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「まりさどこいってたのおおおおお…れいむたちしんぱいしたんだよおおおおおおおおおおおおおお!!」
「ゆ!ごめんね!おそとにごはんさんあつめにいってたんだよ!れいむにいうのうっかりわすれてたよ…」
「そういうことははやくいってほしかったよ…れいむとってもしんぱいしたんだよ…」
「ゆっくりごめんね…ところでれいむ!なにがあったの!?けっかいさんがこわされてるよ!なんだかもりのようすがおかしいよ!」
「わからないよ…ちぇんがいきなりけっかいさんをこわしたんだよ…ようすもおかしかったよ…よだれもだらだらしてて、いえのなかにはいろうとしたんだよ!」
「だ、だいじょうぶだったの!?」
「だいじょうぶだったけど…ちかくをとおったぱちゅりーにちぇんがかみついたんだよ…れいむはおちびちゃんたちとしずかにおうちさんにいたら、ちぇんはどこかにいっちゃったよ…」
「ぱ、ぱちゅりーはどうしたの!?」
「…しんでたよ…くりーむさんがいっぱいちらばってたよ…」
「そ、そんな…」
「まりさ!れいむたちこれからどうすればいいの!?」
「ゆぅ……そうだ!どすのところにいってみるよ!きっとどすがなんとかしてくれるよ!」
「で、でもおちびちゃんたちをつれてそとをあるけないよ…」
「おとーさん、まりさおそとでるの?」
「やだ…やだよ…れいむおそとでたくないよ…おかーさんといっしょにいたいよ…こわいよ…」
「ゆ…じゃあれいむたちはここにかくれててね!どすのところにはまりさだけでいってくるよ!」
「そんなことより、まりさはれいむたちといっしょにかくれようよ…おそとはあぶないよ…」
「だめだよ…このことを、どすにつたえないと…だめだよ…」
「…ゆっくりりかいしたよ…れいむたちはここでまってるよ…だから…だからかならずむかえにきてね!」
「「れいむ(まりさ)たち、おとーさんのことまってるよ!」」
「…ゆ!それじゃあいってくるよ!」
「「「…ゆっくりいってらっしゃい!!!」」」
まりさは巣に家族を残して、ドスの元へと跳ねていった。向かう途中に家族とは別のれいむと出会った。目をチグハグに動かし、舌と涎を垂らしている…あれと同じだった。
「ユグリィ!ユグリィ!」
「れ、れいむ?ゆ、ゆっくりこんばんわ…ま、まりさはいまどすのところにいくとちゅうだから…ま、またこんどね!」
「ユグリイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!」
「ゆああああああああああああああああああ!!やめてええええええええええええええ!!おっかけないでええええええええええええええええええ!!!」
下手な言い訳が通じる訳もなく、れいむはまりさに突進してきた。まりさはそれから逃れるようにして、ドスまりさの元へと跳ねていく。
ドスまりさの巣へと到着して異様な光景を、まりさは目の当たりにした。ドスまりさが所々から餡子を漏らしつつ、向かってくるゆっくりを踏み潰してまわってるのだ。
「ど、どうなってるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
「ユグリイイイイイイイイイイイ!ユグリヒャヒャヒャヒャ!!!」
「死ねええええええええええええ!!ゆっくりしないで死ねえええええええええええええええええ!!!」
「ち、ちがううううううううううううううう!まりさはまりさだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
ドスまりさが、まりさに向かって突進してきたのだ。そして飛び跳ねた。まりさはそこで目を瞑り、自らの死を覚悟して家族に戻れないことを心の中で詫びた。
グシャッという音が辺りに響いた。まりさは自らを死んだと思いつつ、うっすらと目を開けた。そこにはドスまりさによって潰されたゆっくり達がいた。背後からドスまりさに声を掛けられる。
「まりさ!まりさはまりさなの!?本当にまりさなの!?」
「ゆ…ゆううううううううう!?ま、まりさいきてるうううううううううううう!…ゆゆ!まりさはまりさだよ!いったいどうなってるの!?」
「分からないよ…外に行ったありすとみょんとまりさが帰ってきたんだけど、様子が変で気がついたら他のゆっくりに噛みついて殺してたよ…」
「ど、どうしてそんなことに!?ほ、ほかのゆっくりは!?」
「どずうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!」
「あ、ありす!!」
「ありす落ち着いてね!ゆっくりしてね!」
どうしてとドスまりさに尋ねたとき、酷く慌てたありすがやってきた。このありすは探索隊とは別のありすである。
「ゆはぁ!ゆはぁ!…もりが、もりがこんなになってるから、ありすはぱちゅりーとそとににげようとしたの!
そしたら…さきにそとにいってたれいむたちが…ぱちゅりーを…ゆぐっ…ゆんやああああああああああああああああああああああああ!!!」
「お、おちついてね…ありす!」
「外に…外に何かあるんだよ…きっと…確かめなくちゃ…」
「どす!?そ、そとはあぶないよ!ちぇんもみょんも、まりさもありすもみんなおかしくなっちゃったよ!」
「それでも…ドスはドスとしての責任を取るために確かめなくちゃいけない気がするよ…」
ありすが泣き喚いている裏で、まりさとドスまりさが会話をしていた。その時に何処からか別の『声』が聞こえてきた。
『我が元へ来い。お前の望みは分かっている。』
「ゆ!?な、なにこれ…あたまのなかからきこえるよ…」
「…ドスも聞こえたよ…行かなくちゃ……ドスは何処に行くべきか…なんとなく分かるよ…」
「…まりさもいくよ!どすひとりにあぶないことはさせないよ!けがもいっぱいしてるし!」
「危ないからダメだよ!ドスはドス一人で行くよ!」
「だったらなおさらひとりでいかすことなんてできないよ!まりさはれいむとおちびちゃんたちと、やくそくしたんだよ!ぜったいにかえってくるって!」
「…それじゃあ残るべきでしょ!」
「できないよ!てぶらでかえってくるなんてできないよ!まりさはかりのめいじんなんだよ!みんながおかしくなったげんいんを、とめてからじゃないとかえれないよ!!」
「…ゆ………分かったよ…まりさはドスの帽子に乗ってね。」
「ど、どこいくの!?あ、ありすはいやよ!どこにもいかないわ!おそとはあぶないってさっきいったでしょお!くるっちゃうのよ!!」
「それでもドスは行くよ。ありすはドスのお家さんに隠れててね…必ずドスが迎えに行くから…」
「まりさもいっしょにむかえにいくよ…だからまっててね…」
「ゆぐううううううううううううう…ぜったいきてちょうだいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!やくそくよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
『我が元へ来るのだ。お前の望みを叶えよう。我が元へ来い。』
「ゆ…どす!しゅっぱつだよ!」
「分かってるよ!しっかり掴まっててね!」
ドスまりさは大きく跳ねて地面を揺らしながら、南へと向かった。なぜ南なのかはドスまりさにも、まりさにも分からなかった。
やがて森を抜けて道路に出ると目の前に4階建てはあるだろう、屋上に大きなスピーカー、1階部分に大きなシャッターの付いた建物が目に付いた。
「…まりさ、外に出たゆっくりは皆おかしくなったんだよね?」
「ちぇんもありすもそうだったし…さっきのありすもそういってたよ…」
「今気付いたんだけど、どうしてドスとまりさだけは何ともないの?」
「…ゆ!?……どうしてだろう…ぜんぜんわからないよ…」
『我が元へ来い。お前の望みはもう少しで叶うぞ。』
シャッターが開き、導かれるようにしてドスまりさと帽子の上のまりさは中へと入っていった。中の床一帯が、大型リフトで出来ている。
リフトはそのままドスまりさ達を載せて上へと動き出した。リフトの駆動音が辺りに響く。
「ゆゆ!?なにこれ?おそらとんでるみたい!」
「…なんだかゆっくり出来ない気がしてきたよ…まりさは気を付けてね…」
「ゆ…ゆっくりりかいしたよ…」
リフトが『3F』と大きく刻印された鋼鉄の扉の前で止まった。何かのロックが外れるように、扉は引き戸のように開いていった。
ドスまりさは意を決して入り込む。その際、まりさもドスまりさの帽子からようやく降りる。二匹は開いた扉に吸い寄せられるようにして部屋に入っていった。
部屋の中には白髪の白衣を着た初老の男が、だだっ広い部屋にポツンと居た。男は口を開き、息を吸い込み言葉を発した。
「ようこそ、ゆれいん・ボイルへ。」
「…おじさんはにんげんさん…だよね?」
「おや、どうしてまりさがここに居るのかな?」
「そんな事はどうでもいいよ!おじさん何か知ってるでしょ!」
「何か…というよりは、全てを知っているぞ。」
「おしえてね!まりさしりたいよ!」
「それはまりさ君が使う言葉じゃないよ。」
「ゆ…」
「じゃあドスが代わりに質問するよ!おじさんはどうして外に出たゆっくりが、みんなおかしくなったか知ってるね!」
「ああ、知っているよ。」
「どうしておかしくなったか、ちゃんと答えてね!」
「ドスまりさ君、それは君の群れが外に出ようとしたからだ。」
「それじゃ答えになってないでしょ!ちゃんと答えてね!群れが大変な事になってるんだよ!」
「…ゆれいん・ボイルというのを知っているか?」
「ゆれいん…何のことだかさっぱりだよ!」
「ゆれいん・ボイルとはゆっくりの精神を汚染し、狂気に駆り立てる音波発出装置の事だ。機械の中に47匹分のドスの中枢餡が詰まっている。」
「「ゆ゙っ!?」」
「ど、どうしてそんな物があるの!?」
「我々が研究に研究を重ねて開発したんだ。ゆくゆくは、ゆっくりが民家に不法侵入しないように調整を加える。ゆっくり避けといった物に利用するつもりだ。」
「どうして…どぼぢでごんなひどいごどずるのお…」
「君達はすぐそれを言う。何か不都合があると、どうして酷い事をするんだと憤怒する。私はそれが大嫌いだ。
…ゆれいん・ボイルに当てられたゆっくりには、キラーマシーンとなってもらいイナゴのようなゆっくりの群れを殺戮する。
なぜならば食糧難に陥るような群れは、最早群れとして機能していないも同然だからだ。その群れは他所に移れば、同じようにして食料を食い荒らすだろう。
それを阻止する為の、群れを壊滅させる為のゆれいん・ボイルだ。イナゴのように荒らして回るゆっくりは、この世界には不要だ。
食料が必要になり外に出ようとするならば、問答無用でキラーマシーンになる。食料が無いのに外が危ない事を知れば、共食いが始まる。
もっとも逃げる為に森から外へと逃げ出すという行為は予測してなかったがね。私とした事がうっかりしていたよ。すまんね。」
「そんな…ドスはそんな事しようと…」
「しようとしただろう?外に出て行って食料を掻き集めてこようと提案したのは誰だ?言っておくが、それについて我々は細工をしていないよ。」
「ゆっ…」
「ど、どす?どうしてだまっちゃうの…まりさたちゆっくりしたかっただけなのに…」
「ところでドスまりさ君は、どうやってこの森に来たか覚えているかね?」
「ゆっ!?ドスは…違う森で人間さんに何かされて…」
「気付いたらここにいたという訳だな。君はその時にガスで眠らされ、装置を中枢餡近くに埋め込まれたのだよ。
その装置は君の潜在意識をコントロールするものだ。ここの場所を知っているのも、群れから離れようともしなかったのも、
逆に君が群れから離れたがらなかったのも、全て君に埋め込まれている装置から発せられた音波によるものだよ。」
「ど、どうして知ってるの!?」
「装置はレコーダーと発信器の役割も果たしている。君が何を食べ、何を見聞きしたかまで分かるようになっている。」
「じゃあどうじで乱獲を禁止ざぜながっだのおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?おじざんがやっでぐれでだらドズの群れはゆっぐりじでだよおおおおおおおおおおおおお!!!」
「これは実験段階に過ぎないからだ。装置は完璧ではなく、いくつか機能しなかったり不具合を有していたりする。
我々はデータを集めて、それを一つ一つ手直ししていく。地道な作業だがこうするしかない。
それとドスまりさ君。君があの森に来る前…違う森にいたときも、君は我々の実験に協力してくれたよ。」
「ゆ゙っ!?ど、どういう事なの!?」
「あの時は惨憺たる結果だった。群れを纏め上げたと思ったら、君は何を思ったか群れのゆっくりを殺し始めたんだ。
群れは全滅し、実験は中止になった。結局は装置に不具合が見つかってね、手直しした物を君に埋め込んだんだ。」
「そ…そんな…」
「ゆっ!まりさからもしつもんがあるよ!ほかのゆっくりは…ざんねんなことになっちゃったのに、どうしてどすとまりさだけはだいじょうぶなの?」
「ゆれいん・ボイルはドスまりさには効かないようにしている。
ドスまりさを集めるのは非常に大変な手間と金が掛かるから、できるだけ再利用の方向で動いている。
…まりさ君の場合は将来、ドスまりさになる素質があるからだろうね。だから効かなかったんだと思うよ。」
「群れは…群れはどうなるの…」
「今の群れは一匹残らず死ぬよ。まりさ君の家族もね。運良く生き残っても、あの森には越冬できるだけの食料も無いだろうから、死ぬ。」
「ゆええええええええええええええええええええ!?そ、そんなああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「質問は以上でよろしいかね?それでは、ドスまりさ君には実験の手伝いを続行してもらおう。」
「ふざけるな…ふざけるなあああああああああああああああああああああああああああ!!殺す!殺してやるうううううううううううううううううううううううう!!!」
「ど、どすうううううううううううううううううううううううううう!?」
男の目の前まで、ドスまりさは迫った。その姿はまりさが見た狂気のゆっくりと瓜二つだ。
「…何をする気かね?」
「お前を…殺じでやるううううううううううううううううううううううううう!!ゆっぐりじないで死ねええええええええええええええええええええ!!!」
「どすううううううううううううううううううう!!どうしたのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?」
「…愚かだ。君は本当に愚かだよ。君に埋め込まれた装置によって、君は私を含む人間を殺す事はおろか、かすり傷一つ負わすことも出来ないんだ。」
「そんな訳あるがあああああああああああああああああああああ!!…ゆううううううううううううううううううう!?どうして体が動かないのおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
「ドスまりさ君。次は上手くやりなさい。君がここに来た経緯も忘れて上手くやりなさい。最初の君が食糧難で人里に降りて、協定を結ぶよう言った事も忘れなさい。
それによって人間に最初の群れを全滅させられたのも忘れなさい。二度目に群れのゆっくりを自ら殺した事も忘れなさい。三度目の今回も忘れなさい。
何度も言うようだが、次こそ上手くやりなさい。装置の不具合があっても、君がしっかり考えていれば群れは死なずに済む。しかし、残念ながら今言った事も忘れてしまうんだ君は。」
ガスがどこからか流れ込み始め、部屋中に充満していく。
「やべろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!ドズを放ぜええええええええええええええええええ!!!!」
「それは無理な相談だ。君は装置に影響されて動かないようになっている。ここに不具合が出たら、流石に私も焦るがね。」
「ゆぅ…れいむ…ごめんね…おちびちゃん…ごめんね……もっとゆっくりさせてあげたかったよ…」
「まりさ君。家族の事を想っているんだね、辛いだろうね。」
「つらい…よ…ねむ…い…よ…」
「しかし安心してくれて大丈夫だ。君の記憶はすぐに消し飛び、どこか見知らぬ森へと放たれるだろう。
そこでドスとなるまでゆっくりしていなさい。我々が君を回収してドスまりさ君のように実験に協力して貰うからね。」
「いや…だ…まりさ…れいむたち…わす…れ…たくない…よ…………」
「放ぜええええええええええええええええ!!放ぜえええええええええええええええええええええ!!放ぜええ…放……………」
「作業班!対象は眠りに落ちた!急いで装置の解析を行おう!」
「「「「はい!」」」」
二匹は寝息を立てる事もなく、深い眠りに落ちた。男が言葉を発すると4人の白衣を着た男女が現れて、何やら物々しい機械を準備し始めた。
「げほっ…私はラムネは好きだが、ラムネのガスというのは苦手だねぇ…」
「それ以外だと人間に影響出ちゃうんで…すいません。」
「しかし…我々のスポンサーが、ゆっくり愛護団体と環境保護団体というのも奇妙なものだな…」
「…作り物でもいいから、幸せが欲しいんでしょう。彼等は得てして成功に至る過程が、失敗以外の何者でもない事を知りません。いいえ、知ろうとしません。」
「まぁ、いいじゃないか。ゆっくりによる生態系の破壊も止められるんだから。」
ドスまりさが解体され、装置が外されると不具合部分を調整して、ドスまりさに埋め戻された。
まりさとドスまりさは別々のトラックに乗せられると、どこか見知らぬ地へと旅立っていった。
…
「ゆ………ゆー?…ここは何処なんだろう…なんだかゆっくりできそうなきがするよ…」
「ゆわああああああああああああ!!どすだあああああああああああああああああああああああああ!!」
「ゆ?ドスはドスだよよろしくね!」
「ゆ、ゆ、ゆわあああああああああああああああい!どすがきてくれたよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「(ゆ…なんだかこの群れの長にならなくちゃいけない気がしてきたよ!ドス頑張るよ!)」
「ゆゆーん!どすさえよかったら、れいむたちのむれのおさになってほしいよ!」
「ゆ!今度は上手くやるよ!ゆっくりよろしくね!れいむ!」
「ゆぅ?こんどはって?」
「ゆ?…何だろうドスにも、よく分からないよ…」
FIN
後書
・感想、批判、指摘コメントはヘコむが役に立つのでどんどんしてほしい。
・てs◆iFtPUQz3VI という者ですが、何か命名してくれると嬉しい(ロシア的な感じだと尚嬉しい!)。
今まで浪人や思い込み、SUMOUなど書いたが個人的にはどれもイマイチだと感じている。
やりたい事を表現できない感じで、ストーリーとして作れないことにもんどり打っている。
これからも図々しいようですが頑張って書かせて頂きます。
推敲しろという声が多いように思えたので、投稿時間はかなり延びますができるだけ質の良い作品を創れるように頑張ります。
ありがとうございました。
>579 :ゆっくりななし種:2010/07/16(金) 20:11:53 ID:0P7JB56k
> anko1970 浪人
> オーソドックスなゆ虐が好きなんでゆっくりできた
> お礼にこいつを持っていってくれStalker
> っパン・缶詰・ダイエットソーセージ・ウォッカ・VinterVC
スパシーバブロー!アイラブヴィンター!
でも、後ろにサっちゃんがいるのはどうしてだい?
>761 :ゆっくりななし種:2010/07/31(土) 16:43:27 ID:0iysKK8o
> anko2082 思い込み
> てことは、金や宝石にも変化させられるわけか?糞袋が砂金袋に見えてきたぞw
> …もし自由自在にゆっくりの中身を変質させる方法が開発されて、その技術が行き渡ったらどんな社会になるのやら。そういう話も読んでみたい。
ちょっと考えてみます。完成するかどうかは分かりませんが、構成を練って考えてみます。
>762 :ゆっくりななし種:2010/07/31(土) 17:25:53 ID:wMyVVmgg
> anko2082 思い込み
> 博士の喋りと切り口が独特で面白かった
> 漆原教授でイメージしちゃって台無し(自爆)になったのは秘密だ
博士の口調は書いてる途中で、自分でも何言ってんだか意味不明になってたのは秘密です。
というか、名前書いてないせいで10作品未満扱いされてたのね。無理もないですね、名前なきゃ分からないし…すいませんでした。