ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2106 プラント
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ankoss
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注意:
独自設定有り。
自己最長の容量なので、どこか変なところがあるかもしれないです。
独自設定有り。
自己最長の容量なので、どこか変なところがあるかもしれないです。
それは、月のきれいな夜だった。
月の光は小高い丘にたたずむ二匹のゆっくりを照らしていた。
「とってもゆっくりしたおつきさまだね、まりさ」
「ゆ、ゆん・・・とってもゆっくりしてるんだぜ、れいむ」
二匹はその後しばらくの間、言葉を発することなく、ただ黙って月を見ていた。
だが、まりさが意を決した表情でれいむに話しかけた。
「ゆ、ゆぅ・・・れ、れいむ。・・・じつは、だいじなおはなしがあるんだぜ」
「・・・なぁに?まりさ。あらたまって・・・」
これからまりさが何を言おうとしているのか雰囲気で察したのだろう。
れいむは頬を赤らめていた。
「こ、これを、うけとってほしいんだぜ!」
まりさは帽子の中から一輪の黄色い花を取り出した。
そしてその花を、口を使って器用にれいむのリボンの横につけてあげた。
「ま、まりさ・・・・・・これって、その、つまり・・・・・・?」
意中のゆっくりに花を贈る。それは二匹のゆっくりが棲む群れの中では有名な求婚の儀式だった。
「れ、れいむ!ま、ま、まりさの・・・お、およめっさんに、なってほしいんだぜぇぇ!!」
まりさは目をつぶり顔を真っ赤にして、震えながらも精一杯の大きな声で自分の想いを打ち明けた。
二匹の間に再び沈黙が流れる。
返事が無いことに不安になり、まりさはゆっくりと目を開け、れいむの姿をみた。
そこには大粒の涙を流しているれいむの姿があった。
「ゆゆっ!?ど、どうしたのぜ、れいむ!?ひょっとして、まりさじゃ・・・いや、だった・・・のぜ?」
自分の想いは通じなかったのだろうかというまりさの不安を否定するように、れいむはブンブンと身体を振るった。
「ゆうん!ちがうんだよ!・・・・・・れいむ、とってもうれしいんだよ!
・・・・・・だって、まりさのおよめさんになるのは、ちっちゃなころからのゆめだったから!!」
「れ、れいむ!」
見つめ合う二匹のゆっくり。
その瞳に、もう月は映っていなかった。
なぜなら、二匹の瞳には互いの愛するゆっくりしか映っていなかったのだから。
月の光は小高い丘にたたずむ二匹のゆっくりを照らしていた。
「とってもゆっくりしたおつきさまだね、まりさ」
「ゆ、ゆん・・・とってもゆっくりしてるんだぜ、れいむ」
二匹はその後しばらくの間、言葉を発することなく、ただ黙って月を見ていた。
だが、まりさが意を決した表情でれいむに話しかけた。
「ゆ、ゆぅ・・・れ、れいむ。・・・じつは、だいじなおはなしがあるんだぜ」
「・・・なぁに?まりさ。あらたまって・・・」
これからまりさが何を言おうとしているのか雰囲気で察したのだろう。
れいむは頬を赤らめていた。
「こ、これを、うけとってほしいんだぜ!」
まりさは帽子の中から一輪の黄色い花を取り出した。
そしてその花を、口を使って器用にれいむのリボンの横につけてあげた。
「ま、まりさ・・・・・・これって、その、つまり・・・・・・?」
意中のゆっくりに花を贈る。それは二匹のゆっくりが棲む群れの中では有名な求婚の儀式だった。
「れ、れいむ!ま、ま、まりさの・・・お、およめっさんに、なってほしいんだぜぇぇ!!」
まりさは目をつぶり顔を真っ赤にして、震えながらも精一杯の大きな声で自分の想いを打ち明けた。
二匹の間に再び沈黙が流れる。
返事が無いことに不安になり、まりさはゆっくりと目を開け、れいむの姿をみた。
そこには大粒の涙を流しているれいむの姿があった。
「ゆゆっ!?ど、どうしたのぜ、れいむ!?ひょっとして、まりさじゃ・・・いや、だった・・・のぜ?」
自分の想いは通じなかったのだろうかというまりさの不安を否定するように、れいむはブンブンと身体を振るった。
「ゆうん!ちがうんだよ!・・・・・・れいむ、とってもうれしいんだよ!
・・・・・・だって、まりさのおよめさんになるのは、ちっちゃなころからのゆめだったから!!」
「れ、れいむ!」
見つめ合う二匹のゆっくり。
その瞳に、もう月は映っていなかった。
なぜなら、二匹の瞳には互いの愛するゆっくりしか映っていなかったのだから。
―――だから、気が付かなかった。
自分たちを照らす大きな月の真ん中にポツリと浮かんだ黒い影に。
その黒い影が自分たちに近づいていることに。
自分たちを照らす大きな月の真ん中にポツリと浮かんだ黒い影に。
その黒い影が自分たちに近づいていることに。
「れいむぅ・・・・・・」
「まりさぁ・・・・・・」
二匹の距離がゆっくりと近づいていく。
そして、二匹の唇が重なりあうかというその瞬間。
「まりさぁ・・・・・・」
二匹の距離がゆっくりと近づいていく。
そして、二匹の唇が重なりあうかというその瞬間。
「うー!うー!」
突如、夜空に不気味な声が響き渡る。
「「ゆゆっ!?」」
二匹はその声の主を本能的に悟り、夜空を見上げた。
そこには、
「うー!うー!」
蝙蝠のような翼をもった笑顔のゆっくりが月夜の空に浮かんでいた。
憐れな獲物たちは畏怖の念を込めて、その名を叫ぶのだった。
「「ゆゆっ!?」」
二匹はその声の主を本能的に悟り、夜空を見上げた。
そこには、
「うー!うー!」
蝙蝠のような翼をもった笑顔のゆっくりが月夜の空に浮かんでいた。
憐れな獲物たちは畏怖の念を込めて、その名を叫ぶのだった。
「「れみりゃだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」
『プラント』
二匹はれみりゃの姿を確認するや否や脱兎の如く逃げ出した。
流石に命に関わることではゆっくりなどできない。
「ゆひぃ!ゆひぃ!に、にげるんだぜぇぇぇ!!」
「ま、まってよぉぉ!まりさぁぁぁ!!」
まりさ種とれいむ種の性能の違いにより、逃げる二匹の距離は徐々に離れて行った。
だが、まりさはそれに気がつかない。
ちゃんとれいむが自分の後をついてきていると思っているからだ。
「ゆべしっ!」
れいむがつまづき、地面に倒れこんでしまう。
その隙を見逃すれみりゃではなかった。
倒れたれいむに覆い被さり、ガブリと鋭い牙を後頭部に突き立てる。
「ゆんやぁぁぁぁぁ!!ばでぃざぁぁぁ!!だずげでぇぇぇぇぇ!!!」
まりさはれいむの悲鳴に気づき後ろを振り向くと、れみりゃに捕らわれているれいむの姿が目に飛び込んできた。
「れ、れいむぅぅぅ!?」
れみりゃは恐ろしい相手だ。逃げなければ殺される。だがしかし、れいむを見殺しになどできない!
なけなしの勇気を振り絞り、まりさは急いでUターンし、捕まったれいむを助けるべくれみりゃへと突進する。
だが一歩遅かった。
れみりゃはれいむを咥えたまま空へ舞い上がったため、まりさの突進は空振りに終わった。
「ゆわぁぁぁぁぁ!?おぞらをどんでるみだいぃぃぃぃぃ!?」
こんな時でもお決まりのセリフを吐いてしまうのはゆっくりの悲しいサガであった。
「れ、れいむをはなすんだぜぇ!」
当然だがそんな要求に従う訳もなく、れみりゃはまりさなど気にも留めず、れいむを連れて飛び去っていく。
「ま、まつんだぜぇぇぇ!」
だが、それで諦めるまりさではなかった。
愛しいれいむが連れ去られたのだ。なんとしでも助けねば!
それだけの思いで、まりさはれみりゃの後を追って走り出した。
月明かりのおかげでなんとか見失うこともなく追跡することができたのは不幸中の幸いであった。
そしてまりさは、れみりゃが森の麓にある建物の中に入っていくのを確認した。
「ゆぅ!?あれは、にんげんさんのおうち?」
だとすると、あのれみりゃは人間の飼いゆっくりである可能性が高い。
ただでさえれみりゃは恐ろしい相手だというのに、そこに人間まで加わるとなるとほとんどお手上げ状態である。
まりさは人間がいかに恐ろしい存在であるかを充分理解していたのだ。
だから、どんなにあがいたところで自分ひとりの力だけではたかがしれている。
それでも、群れの仲間たちが力を貸してくれれば、あるいは何とかなるかもしれない。
「・・・れいむ、まっててね。すぐにたすけをよんでくるんだぜ!」
そんな希望を胸に、まりさは群れへと駆けて行った。
流石に命に関わることではゆっくりなどできない。
「ゆひぃ!ゆひぃ!に、にげるんだぜぇぇぇ!!」
「ま、まってよぉぉ!まりさぁぁぁ!!」
まりさ種とれいむ種の性能の違いにより、逃げる二匹の距離は徐々に離れて行った。
だが、まりさはそれに気がつかない。
ちゃんとれいむが自分の後をついてきていると思っているからだ。
「ゆべしっ!」
れいむがつまづき、地面に倒れこんでしまう。
その隙を見逃すれみりゃではなかった。
倒れたれいむに覆い被さり、ガブリと鋭い牙を後頭部に突き立てる。
「ゆんやぁぁぁぁぁ!!ばでぃざぁぁぁ!!だずげでぇぇぇぇぇ!!!」
まりさはれいむの悲鳴に気づき後ろを振り向くと、れみりゃに捕らわれているれいむの姿が目に飛び込んできた。
「れ、れいむぅぅぅ!?」
れみりゃは恐ろしい相手だ。逃げなければ殺される。だがしかし、れいむを見殺しになどできない!
なけなしの勇気を振り絞り、まりさは急いでUターンし、捕まったれいむを助けるべくれみりゃへと突進する。
だが一歩遅かった。
れみりゃはれいむを咥えたまま空へ舞い上がったため、まりさの突進は空振りに終わった。
「ゆわぁぁぁぁぁ!?おぞらをどんでるみだいぃぃぃぃぃ!?」
こんな時でもお決まりのセリフを吐いてしまうのはゆっくりの悲しいサガであった。
「れ、れいむをはなすんだぜぇ!」
当然だがそんな要求に従う訳もなく、れみりゃはまりさなど気にも留めず、れいむを連れて飛び去っていく。
「ま、まつんだぜぇぇぇ!」
だが、それで諦めるまりさではなかった。
愛しいれいむが連れ去られたのだ。なんとしでも助けねば!
それだけの思いで、まりさはれみりゃの後を追って走り出した。
月明かりのおかげでなんとか見失うこともなく追跡することができたのは不幸中の幸いであった。
そしてまりさは、れみりゃが森の麓にある建物の中に入っていくのを確認した。
「ゆぅ!?あれは、にんげんさんのおうち?」
だとすると、あのれみりゃは人間の飼いゆっくりである可能性が高い。
ただでさえれみりゃは恐ろしい相手だというのに、そこに人間まで加わるとなるとほとんどお手上げ状態である。
まりさは人間がいかに恐ろしい存在であるかを充分理解していたのだ。
だから、どんなにあがいたところで自分ひとりの力だけではたかがしれている。
それでも、群れの仲間たちが力を貸してくれれば、あるいは何とかなるかもしれない。
「・・・れいむ、まっててね。すぐにたすけをよんでくるんだぜ!」
そんな希望を胸に、まりさは群れへと駆けて行った。
群れへと戻ったまりさは眠っていた仲間たちを叩き起こして事情を説明した。
「むきゅ、れいむが・・・」
「わかるよー、いちだいじなんだねー」
「たしかに、とかいはなじたいじゃないわね」
「ちーんぽ!」
群れの仲間たちは始め起こされたばかりの眠気眼であったが事の重大さに気付き始め次第に目が覚めていった。
「そうなんだぜ!だからみんなのちからをかしてほしいんだぜ!」
まりさは頭を下げて、れいむを助けてほしいと群れの仲間たちに訴えた。
だが・・・
「むきゅ、まりさ・・・ざんねんだけど、れいむのことはあきらめるしかないわ」
「どぼじでそんなごどいうのぉぉぉぉぉぉ!?」
群れの長であるぱちゅりーの下した決断は冷酷なものであった。
「まりさ・・・たしかにとかいはなみんなのちからをあわせれば、れみりゃをたおせるかもしれないわ」
「むきゅ、そうね。・・・でも、そのれみりゃはにんげんさんにかわれているのよね?そうなってくると・・・」
「にんげんさんにはかないっこないんだねー、わかるよー」
「ぺにす!」
群れのゆっくりたちもまた、人間が最大の敵であることを理解していた。
「ゆ、ぐぅ・・・。で、でも・・・うまくれみりゃだけをたおせれば・・・!」
それでも食いさがるまりさに長ぱちゅりーは諭すように語りかける。
「かいゆっくりにてをだせば、かならずにんげんさんのほうっふくがまっているわ。
そうなればこのむれはこんどこそおしまいよ。まりさだっておぼえているでしょう?
にんげんさんがどれほどおそろしいか」
「ゆぐ、ぐぐぐぐぐ・・・・・・」
かつてこの群れのゆっくりたちは人間の街に棲む野良ゆっくりだった。
だがある日、たった一人の人間によって街にすむ大量のゆっくりが殺されていった。
ある一匹のゆっくりが人間の飼っているゆっくりに手を出したのが原因だった。
激怒した人間は関係のないゆっくりも同じゆっくりであるというだけで虐殺していった。
そんな中、必死の思いで逃げ出し森へと生き延びた者たちがようやくたどり着いたのが今のゆっくりプレイスなのだ。
「だから、ぱちぇはむれのおさとして、みんなをきけんにさらすことはできないの。むちゅ、ゆっくりりかいしてね」
まりさは・・・・・・涙を流しながら下唇を噛むしかできなかった。
「むきゅ、みんな!れみりゃたいさくはあしたかんがえるとして、
きょうはとじまりをゆっくりしてもうやすみましょう。
・・・・・・みょん、わるいけどまりさをおうちまでおくっていってあげてね」
「でかまら!」
うなだれたまま動こうとしないまりさを見かねたぱちゅりーは群れで一番腕の立つゆっくり、みょんに後をまかせた。
今のまりさを一人で家まで帰すのは不安だったからだ。
「ちーんこ!」
まりさはみょんにうながされ、ゆっくりと帰路についた。
「・・・・・・れいむ・・・・・・れいむぅぅぅぅ・・・・・・」
まりさは悲しかった。
群れの仲間が冷たかったからじゃない。
むしろ、こうなることはある程度予想できていたことだった。
何も出来ず、無力な自分が情けなくて、今こうしている間にもれいむがどんな目にあっているのかを思うと、
悲しくて涙があふれてきた。
「・・・・・・まーら」
付き添いのみょんはそんなまりさの様子を見かねたのか、まりさの前に立ち、少し強い口調で語り出した。
「やべのどりちんくらぶ!」
「ゆっ!?」
思いがけないみょんの言葉にまりさはハッっとなった。
「どりちん!どりちん!」
「・・・・・・そうだ、そうなんだぜ・・・・・・!」
みょんの熱い叱咤激励がまりさの心を揺さぶりかけた。
まりさの脳裏にれいむの笑顔が浮かぶ。
(れいむ、とってもうれしいんだよ!)
自分の想いに涙を流して喜んでくれたれいむ。
あの笑顔が忘れられない。もう一度、あの笑顔を見たい。
そのためだったら、自分は命を賭けることなど躊躇わない!
「ぎがどりるちんぽぶれいく!」
「ありがとうなんだぜ、みょん!おかげでかくごをきめたのぜ!」
自分の心に勇気が湧いてくるのを感じる。
そうだ、自分はこんなところで涙を流している暇はなかったんだ!
「くにをわかつふといいちもつ!」
「みょん、きもちはうれしいけど・・・・・・まりさはみんなにめいわくをかけるわけにはいかないんだぜ!」
「かりくび?」
「れいむをたすけにいくのは、まりさひとりでいくんだぜ!」
「いんけい・・・・・・ぜんりつせんまっさーじ!」
「ゆん!わかってるんだぜ!それじゃあ、いってくるんだぜ!」
れいむのいる場所へと駆けていくまりさ。その足取りに迷いは無かった。
「がいじんりきしのようなちーーんぽ!」
背後から聞こえたみょんの声援が心強かった。
「むきゅ、れいむが・・・」
「わかるよー、いちだいじなんだねー」
「たしかに、とかいはなじたいじゃないわね」
「ちーんぽ!」
群れの仲間たちは始め起こされたばかりの眠気眼であったが事の重大さに気付き始め次第に目が覚めていった。
「そうなんだぜ!だからみんなのちからをかしてほしいんだぜ!」
まりさは頭を下げて、れいむを助けてほしいと群れの仲間たちに訴えた。
だが・・・
「むきゅ、まりさ・・・ざんねんだけど、れいむのことはあきらめるしかないわ」
「どぼじでそんなごどいうのぉぉぉぉぉぉ!?」
群れの長であるぱちゅりーの下した決断は冷酷なものであった。
「まりさ・・・たしかにとかいはなみんなのちからをあわせれば、れみりゃをたおせるかもしれないわ」
「むきゅ、そうね。・・・でも、そのれみりゃはにんげんさんにかわれているのよね?そうなってくると・・・」
「にんげんさんにはかないっこないんだねー、わかるよー」
「ぺにす!」
群れのゆっくりたちもまた、人間が最大の敵であることを理解していた。
「ゆ、ぐぅ・・・。で、でも・・・うまくれみりゃだけをたおせれば・・・!」
それでも食いさがるまりさに長ぱちゅりーは諭すように語りかける。
「かいゆっくりにてをだせば、かならずにんげんさんのほうっふくがまっているわ。
そうなればこのむれはこんどこそおしまいよ。まりさだっておぼえているでしょう?
にんげんさんがどれほどおそろしいか」
「ゆぐ、ぐぐぐぐぐ・・・・・・」
かつてこの群れのゆっくりたちは人間の街に棲む野良ゆっくりだった。
だがある日、たった一人の人間によって街にすむ大量のゆっくりが殺されていった。
ある一匹のゆっくりが人間の飼っているゆっくりに手を出したのが原因だった。
激怒した人間は関係のないゆっくりも同じゆっくりであるというだけで虐殺していった。
そんな中、必死の思いで逃げ出し森へと生き延びた者たちがようやくたどり着いたのが今のゆっくりプレイスなのだ。
「だから、ぱちぇはむれのおさとして、みんなをきけんにさらすことはできないの。むちゅ、ゆっくりりかいしてね」
まりさは・・・・・・涙を流しながら下唇を噛むしかできなかった。
「むきゅ、みんな!れみりゃたいさくはあしたかんがえるとして、
きょうはとじまりをゆっくりしてもうやすみましょう。
・・・・・・みょん、わるいけどまりさをおうちまでおくっていってあげてね」
「でかまら!」
うなだれたまま動こうとしないまりさを見かねたぱちゅりーは群れで一番腕の立つゆっくり、みょんに後をまかせた。
今のまりさを一人で家まで帰すのは不安だったからだ。
「ちーんこ!」
まりさはみょんにうながされ、ゆっくりと帰路についた。
「・・・・・・れいむ・・・・・・れいむぅぅぅぅ・・・・・・」
まりさは悲しかった。
群れの仲間が冷たかったからじゃない。
むしろ、こうなることはある程度予想できていたことだった。
何も出来ず、無力な自分が情けなくて、今こうしている間にもれいむがどんな目にあっているのかを思うと、
悲しくて涙があふれてきた。
「・・・・・・まーら」
付き添いのみょんはそんなまりさの様子を見かねたのか、まりさの前に立ち、少し強い口調で語り出した。
「やべのどりちんくらぶ!」
「ゆっ!?」
思いがけないみょんの言葉にまりさはハッっとなった。
「どりちん!どりちん!」
「・・・・・・そうだ、そうなんだぜ・・・・・・!」
みょんの熱い叱咤激励がまりさの心を揺さぶりかけた。
まりさの脳裏にれいむの笑顔が浮かぶ。
(れいむ、とってもうれしいんだよ!)
自分の想いに涙を流して喜んでくれたれいむ。
あの笑顔が忘れられない。もう一度、あの笑顔を見たい。
そのためだったら、自分は命を賭けることなど躊躇わない!
「ぎがどりるちんぽぶれいく!」
「ありがとうなんだぜ、みょん!おかげでかくごをきめたのぜ!」
自分の心に勇気が湧いてくるのを感じる。
そうだ、自分はこんなところで涙を流している暇はなかったんだ!
「くにをわかつふといいちもつ!」
「みょん、きもちはうれしいけど・・・・・・まりさはみんなにめいわくをかけるわけにはいかないんだぜ!」
「かりくび?」
「れいむをたすけにいくのは、まりさひとりでいくんだぜ!」
「いんけい・・・・・・ぜんりつせんまっさーじ!」
「ゆん!わかってるんだぜ!それじゃあ、いってくるんだぜ!」
れいむのいる場所へと駆けていくまりさ。その足取りに迷いは無かった。
「がいじんりきしのようなちーーんぽ!」
背後から聞こえたみょんの声援が心強かった。
まりさはれいむが連れていかれた建物にたどり着いた。
「ゆぅ・・・ゆぅ・・・やっとついたんだぜ。・・・・・・れいむ、まっててね。いまたすけにいくんだぜ」
まずは侵入口を探すため、この建物を観察する。
人間の家だとしても大きな部類だ。
だが外装は質素なものであり、馬小屋か何かと思う人もいるだろう。
少し高い場所に大きく開け放たれた窓を見つける。恐らくあそこかられみりゃが出入りしているのだろう。
「ゆぅ、あんなたかいところがあいてたって、おそらでもとべなきゃはいれないのぜ・・・・・・」
だからこそれみりゃには都合がいいのだろうが、こちらとらただの通常種だ。
空など飛べるわけでもなく、他の入り口を探すしかない。
「ゆゆ?なんだかはいれそうなスキマがあるのぜ!」
外壁をぐるりと回りながら入口を探していたまりさはほんの少し隙間のある壁を発見した。
「ゆぅ~!な、なんっとかはいれそうなのっぜ!ずーりずーり、ずーりずーり!・・・ゆはっ!はいれたのぜ!」
まりさはなんとか建物の中に侵入することに成功した。
早速れいむはどこかと辺りを探しはじめる。
「なんだかゆっくりできないかんじなのぜ・・・・・・」
天井には豆電球がいくつか吊るされており、明りがついていたので周りの様子を確認することができた。
そこは倉庫のような場所であり、いくつもの棚が所狭しと並んでいる。
その棚には透明な箱のようなものがズラリと並べられている。
「これはいったいなんなのぜ?」
まりさは身近な棚に置かれていた透明な箱の中を覗きこんだ。
中には黒い土のようなものが敷き詰められ、その周りには何か小さなものが蠢いている。
「・・・むーちゃ・・・むーちゃ・・・うー☆・・・うー☆」
「ゆひぃ!?れ、れみりゃ・・・っ!?」
ズササっと後ずさりながらも危うく叫びそうになる声を抑えた。
この箱の中ではれみりゃの赤ん坊ゆっくりが飼育されていたのだ。
他の箱の中を確認しても同じような中身だった。赤れみりゃが黒い土をむしゃむしゃと食べている。
「こ、このはこさんのなか、ぜんぶれみりゃなのぜ・・・?」
赤ん坊とはいえ、これほどの量のれみりゃが存在するなど、とてもではないがゆっくりなどできない。
こうなってくるとまりさはいてもたってもいられなくなり、人間やれみりゃに見つかることもお構いなしに
大声をあげ辺りを駆けずり回りながられいむを探し始めた。
「れいむー!どこなんだぜー!れいむー!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!・・・ゆばっ!?」
つい勢いあまって転んでしまう。
そのままコロコロと転がってゆき、一つの箱にぶつかることでようやく起き上がることができた。
「ゆたたた・・・い、いたいのぜ。でもまりさはくじけないのぜ!れいむをたすけるまでは・・・ゆあ?」
ふと、目の前の箱の中を見る。
そこには他の箱とは違い、赤れみりゃではなく一匹の成体ゆっくりが入れられていた。
「ゆぅ・・・ゆぅ・・・やっとついたんだぜ。・・・・・・れいむ、まっててね。いまたすけにいくんだぜ」
まずは侵入口を探すため、この建物を観察する。
人間の家だとしても大きな部類だ。
だが外装は質素なものであり、馬小屋か何かと思う人もいるだろう。
少し高い場所に大きく開け放たれた窓を見つける。恐らくあそこかられみりゃが出入りしているのだろう。
「ゆぅ、あんなたかいところがあいてたって、おそらでもとべなきゃはいれないのぜ・・・・・・」
だからこそれみりゃには都合がいいのだろうが、こちらとらただの通常種だ。
空など飛べるわけでもなく、他の入り口を探すしかない。
「ゆゆ?なんだかはいれそうなスキマがあるのぜ!」
外壁をぐるりと回りながら入口を探していたまりさはほんの少し隙間のある壁を発見した。
「ゆぅ~!な、なんっとかはいれそうなのっぜ!ずーりずーり、ずーりずーり!・・・ゆはっ!はいれたのぜ!」
まりさはなんとか建物の中に侵入することに成功した。
早速れいむはどこかと辺りを探しはじめる。
「なんだかゆっくりできないかんじなのぜ・・・・・・」
天井には豆電球がいくつか吊るされており、明りがついていたので周りの様子を確認することができた。
そこは倉庫のような場所であり、いくつもの棚が所狭しと並んでいる。
その棚には透明な箱のようなものがズラリと並べられている。
「これはいったいなんなのぜ?」
まりさは身近な棚に置かれていた透明な箱の中を覗きこんだ。
中には黒い土のようなものが敷き詰められ、その周りには何か小さなものが蠢いている。
「・・・むーちゃ・・・むーちゃ・・・うー☆・・・うー☆」
「ゆひぃ!?れ、れみりゃ・・・っ!?」
ズササっと後ずさりながらも危うく叫びそうになる声を抑えた。
この箱の中ではれみりゃの赤ん坊ゆっくりが飼育されていたのだ。
他の箱の中を確認しても同じような中身だった。赤れみりゃが黒い土をむしゃむしゃと食べている。
「こ、このはこさんのなか、ぜんぶれみりゃなのぜ・・・?」
赤ん坊とはいえ、これほどの量のれみりゃが存在するなど、とてもではないがゆっくりなどできない。
こうなってくるとまりさはいてもたってもいられなくなり、人間やれみりゃに見つかることもお構いなしに
大声をあげ辺りを駆けずり回りながられいむを探し始めた。
「れいむー!どこなんだぜー!れいむー!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!・・・ゆばっ!?」
つい勢いあまって転んでしまう。
そのままコロコロと転がってゆき、一つの箱にぶつかることでようやく起き上がることができた。
「ゆたたた・・・い、いたいのぜ。でもまりさはくじけないのぜ!れいむをたすけるまでは・・・ゆあ?」
ふと、目の前の箱の中を見る。
そこには他の箱とは違い、赤れみりゃではなく一匹の成体ゆっくりが入れられていた。
- といっても体中は傷だらけ、お飾りのリボンもボロボロの状態であり、とても無事な姿とは思えない。
ぐったりしているが死んではおらず、眠っているだけだと思われる。
「なんだかゆっくりしてないゆっくりなのぜ・・・」
思わずそうつぶやいてしまったが、すぐにその発言を後悔することとなる。
「ゆ?・・・ゆ、ゆっ!?そ、そのおはなさんは・・・!?ま、まさか、このゆっくりが・・・!?」
なぜなら、そのゆっくりのリボンにはまりさがれいむへプレゼントした黄色い花がつけられていたからである。
「れ、れいむぅぅぅぅ!!!」
すぐにでもれいむの傍に駆け寄りたかったが、透明な壁の存在がそれを許さなかった。
それでもまりさは諦められず、ベタっと箱に張り付きながら何度も何度もれいむへ呼びかけた。
「れいむ!れいむぅ!まりさなんだぜ!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」
まりさの声が届いたのか、れいむはゆっくりと目を覚ました。
「・・・・・・ゆぅ・・・だれ、なの?・・・・・・ひょっとして・・・まりさ?まりさなの!?」
「まりさはまりさだぜ!れいむ!ゆっくりたすけにきたのぜ!いっしょにおうちにかえるのぜ!」
絶望的だと思っていた助けがきた。
れいむの顔は一瞬パァっと明るくなったが、己の置かれた状況を思い出し、直ぐに沈んだ表情へと変化した。
「・・・ごめんね、まりさ。せっかくだけど、れいむは・・・ここからうごけないんだよ。
・・・れみりゃにやられて・・・あんよさんがうごかないんだよ」
「それならまりさがおぶっていくのぜ!こうみえてもまりさはちからもちなんだぜ!」
「でも、とうめいなはこさんにいれられてるし・・・・・・」
「こんなはこさん、まりさがなんとかしてみせるのぜ!
だからしんぱいすることはないんだぜ!ここからにげよう!そしていっしょにゆっくりしようね!」
れいむは自分を心配してここまで助けにきてくれたまりさの気持ちが嬉しかった。
だけど、その気持ちが強ければ強いほど、れいむは悲しくなった。自分はもう、まりさの想いに答えられないのだ。
「・・・やっぱり、だめだよ。れいむは・・・もうまりさとゆっくりできないよ」
「どぼじで!?」
ここまできたのに!今なら逃げられる!なのに、どうしてそんなことをいうの!?
まりさには理解できなかった。だから、何度でも「いっしょにかえろう」とれいむに救いの手を差し伸べる。
だけど、れいむはその手を取らなかった。いや、取れなかったのだ。
できればこの真実をまりさには伝えたくない。
だけど、どれだけいってもまりさが引き下がらないのなら、この残酷な事実を伝えるしかなかった。
「・・・れいむのおなかのなかにね、れみりゃの・・・あかちゃんが、いるの・・・」
「・・・ゆぇ?・・・れ、れいむ?・・・それ、どういう・・・こと、なのぜ?」
言われてみれば、れいむのお腹がポッコリと膨らんでいるように見える。
れいむは、ポツリポツリと語り始めた。自分がここに連れてこられて、何をされて、どうなってしまったのかを。
まりさはその衝撃の事実に頭の中が真っ白になり、体中の餡子が凍りつくような感覚に陥った。
「う、うそだ・・・うそなんだぜ!どぼじで、どぼじでぇぇぇ!?
ばでぃざは!でいぶをおよめざんにじで!ふぁーすとちゅっちゅさんじで!ずっぎりーいっぱいじで!
あがしゃんいっぱいいっばいつぐっで!あがしゃんとまいにち、たのじく、ゆっくりあぞんで!
じあわぜぇなゆんせいをおぐるはずだったのにぃぃぃ!それが、そでが、どぼじでぇぇぇぇぇ?!!」
「ごべんでぇぇぇ・・・ばでぃざぁぁぁ・・・ごべんでぇぇぇぇ!」
れいむはただ謝り、涙を流すしかなかった。
「でいぶぅ!れみりゃのあがじゃんなんて、どうでもいいでしょぉぉ!?
そんなゆっくりできないあがしゃんなんてポイして、ばでぃざとゆっくりしたあがしゃんつくろぉぉぉ!」
「ゆぐ、ゆぐ、だめだよ、まりさ。
れみりゃのあかちゃんでも・・・・・・あかちゃんを、ポイなんて、れいむにはできない、よ。
「ぞ、ぞんなぁぁぁ!」
れいむ種は他のゆっくりと比べて母性が強いと言われている。
例えれいぽぅされてできた子供であっても愛情を持って育てることが多いという。
だから、れいむは群れに帰れない。れみりゃの子供など群れのゆっくりたちが認めるわけがないからだ。
「まりさ」
「・・・ゆ?れいむ?」
れいむは優しい声で愛しいまりさにゆっくりと語りかける。
「まりさは・・・れいむのことをわすれてね。
そしてほかのゆっくりとけっこんして、しあわせーなかていをきずいてね」
それは悲しい離別の言葉だった。
「どぼじでぞんだごどいうどぉぉぉ!?まりさ、れいむいがいのゆっくりとなんてけっこんしたぐないよぉぉ!」
「れいむね。いまはこのあかちゃんがうまれてくるのがたのしみなの」
「ゆ!?」
「あかちゃんはね、ゆっくりできるんだよ。それがまりさのあかちゃんじゃないのはざんねんだけど・・・
でも、うまれてくるあかちゃんはわるくないんだよ。
だから、あかちゃんにはゆっくりしてほしい。いっぱい、いっぱい、ゆっくりさせてあげたい。
れいむは、そうおもってるの・・・・・・」
その言葉をきいてまりさは思った。
ああ、やっぱりれいむは優しいな。こんな目にあってなお他ゆんを思いやれる気持ちがあるなんて。
これから先のれいむのゆん生は茨の道だ。
誰にも認められない子供を抱えて生きていくことがどれだけ大変なことか。
それほど苦渋に満ちたゆん生にまりさを巻き込みたくない。だから、自分を忘れて欲しいと言ったのだろう。
それに比べて自分はどうだ?自分のことばかり考えて、それでもれいむを愛しているなんていえるのか。
(どりちん!どりちん!)
あの時のみょんの言葉を思い出す。そうだ、みょんの言うとおりだよ。
覚悟を決めていたつもりだったが、まだまだ覚悟が足りなかった。
真にれいむの幸せを願うなら何をするべきか。そんなことはわかりきったことじゃないか、まりさ!
「・・・・・・わかったんだぜ、れいむ。まりさもほんとうのかくごをきめたのぜ!」
「まりさ?」
「まりさもいっしょに、れいむのあかちゃんをそだてるんだぜ!」
それは、れいむにとって思ってもいない言葉だった。
「で、でも、れいむのあかちゃんはれみりゃなんだよ?」
「れいむのあかちゃんはまりさのあかちゃんなんだぜ!それいじょうでもそれいかでもないのぜ!」
「れいむは・・・けがされちゃったんだよ。・・・もう、じゅんっけつなゆっくりじゃ、ないんだよ?」
「そんなことないのぜ!れいむはきれいなのぜ!」
れいむの全てを受け入れよう。
世界の全てが敵になろうとも、自分だけはれいむの味方であろう。
それこそがまりさの真なる覚悟。
「れいむ、むれにかえれないならいっしょにあたらしいゆっくりぷれいすをさがすのぜ!
そこで、まりさとれいむとあかちゃんでいっしょにゆっくりくらすのぜ!」
「ゆ、ゆぐ、ゆぐ・・・まりさ、まりさぁぁぁ!」
れいむは嬉しくて涙が止まらなかった。
拒絶されることはあっても、まさか受け入れられるなんてことがあるとは思わなかった。
れみりゃに攫われた時、自分はなんて不幸なゆっくりなんだろうと悲嘆した。
でも、今は違う。ああ、自分はなんて幸せなゆっくりなんだろう。まりさを好きになって本当に良かった。
れいむは心の底からそう思ったのだった。
「なんだかゆっくりしてないゆっくりなのぜ・・・」
思わずそうつぶやいてしまったが、すぐにその発言を後悔することとなる。
「ゆ?・・・ゆ、ゆっ!?そ、そのおはなさんは・・・!?ま、まさか、このゆっくりが・・・!?」
なぜなら、そのゆっくりのリボンにはまりさがれいむへプレゼントした黄色い花がつけられていたからである。
「れ、れいむぅぅぅぅ!!!」
すぐにでもれいむの傍に駆け寄りたかったが、透明な壁の存在がそれを許さなかった。
それでもまりさは諦められず、ベタっと箱に張り付きながら何度も何度もれいむへ呼びかけた。
「れいむ!れいむぅ!まりさなんだぜ!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」
まりさの声が届いたのか、れいむはゆっくりと目を覚ました。
「・・・・・・ゆぅ・・・だれ、なの?・・・・・・ひょっとして・・・まりさ?まりさなの!?」
「まりさはまりさだぜ!れいむ!ゆっくりたすけにきたのぜ!いっしょにおうちにかえるのぜ!」
絶望的だと思っていた助けがきた。
れいむの顔は一瞬パァっと明るくなったが、己の置かれた状況を思い出し、直ぐに沈んだ表情へと変化した。
「・・・ごめんね、まりさ。せっかくだけど、れいむは・・・ここからうごけないんだよ。
・・・れみりゃにやられて・・・あんよさんがうごかないんだよ」
「それならまりさがおぶっていくのぜ!こうみえてもまりさはちからもちなんだぜ!」
「でも、とうめいなはこさんにいれられてるし・・・・・・」
「こんなはこさん、まりさがなんとかしてみせるのぜ!
だからしんぱいすることはないんだぜ!ここからにげよう!そしていっしょにゆっくりしようね!」
れいむは自分を心配してここまで助けにきてくれたまりさの気持ちが嬉しかった。
だけど、その気持ちが強ければ強いほど、れいむは悲しくなった。自分はもう、まりさの想いに答えられないのだ。
「・・・やっぱり、だめだよ。れいむは・・・もうまりさとゆっくりできないよ」
「どぼじで!?」
ここまできたのに!今なら逃げられる!なのに、どうしてそんなことをいうの!?
まりさには理解できなかった。だから、何度でも「いっしょにかえろう」とれいむに救いの手を差し伸べる。
だけど、れいむはその手を取らなかった。いや、取れなかったのだ。
できればこの真実をまりさには伝えたくない。
だけど、どれだけいってもまりさが引き下がらないのなら、この残酷な事実を伝えるしかなかった。
「・・・れいむのおなかのなかにね、れみりゃの・・・あかちゃんが、いるの・・・」
「・・・ゆぇ?・・・れ、れいむ?・・・それ、どういう・・・こと、なのぜ?」
言われてみれば、れいむのお腹がポッコリと膨らんでいるように見える。
れいむは、ポツリポツリと語り始めた。自分がここに連れてこられて、何をされて、どうなってしまったのかを。
まりさはその衝撃の事実に頭の中が真っ白になり、体中の餡子が凍りつくような感覚に陥った。
「う、うそだ・・・うそなんだぜ!どぼじで、どぼじでぇぇぇ!?
ばでぃざは!でいぶをおよめざんにじで!ふぁーすとちゅっちゅさんじで!ずっぎりーいっぱいじで!
あがしゃんいっぱいいっばいつぐっで!あがしゃんとまいにち、たのじく、ゆっくりあぞんで!
じあわぜぇなゆんせいをおぐるはずだったのにぃぃぃ!それが、そでが、どぼじでぇぇぇぇぇ?!!」
「ごべんでぇぇぇ・・・ばでぃざぁぁぁ・・・ごべんでぇぇぇぇ!」
れいむはただ謝り、涙を流すしかなかった。
「でいぶぅ!れみりゃのあがじゃんなんて、どうでもいいでしょぉぉ!?
そんなゆっくりできないあがしゃんなんてポイして、ばでぃざとゆっくりしたあがしゃんつくろぉぉぉ!」
「ゆぐ、ゆぐ、だめだよ、まりさ。
れみりゃのあかちゃんでも・・・・・・あかちゃんを、ポイなんて、れいむにはできない、よ。
「ぞ、ぞんなぁぁぁ!」
れいむ種は他のゆっくりと比べて母性が強いと言われている。
例えれいぽぅされてできた子供であっても愛情を持って育てることが多いという。
だから、れいむは群れに帰れない。れみりゃの子供など群れのゆっくりたちが認めるわけがないからだ。
「まりさ」
「・・・ゆ?れいむ?」
れいむは優しい声で愛しいまりさにゆっくりと語りかける。
「まりさは・・・れいむのことをわすれてね。
そしてほかのゆっくりとけっこんして、しあわせーなかていをきずいてね」
それは悲しい離別の言葉だった。
「どぼじでぞんだごどいうどぉぉぉ!?まりさ、れいむいがいのゆっくりとなんてけっこんしたぐないよぉぉ!」
「れいむね。いまはこのあかちゃんがうまれてくるのがたのしみなの」
「ゆ!?」
「あかちゃんはね、ゆっくりできるんだよ。それがまりさのあかちゃんじゃないのはざんねんだけど・・・
でも、うまれてくるあかちゃんはわるくないんだよ。
だから、あかちゃんにはゆっくりしてほしい。いっぱい、いっぱい、ゆっくりさせてあげたい。
れいむは、そうおもってるの・・・・・・」
その言葉をきいてまりさは思った。
ああ、やっぱりれいむは優しいな。こんな目にあってなお他ゆんを思いやれる気持ちがあるなんて。
これから先のれいむのゆん生は茨の道だ。
誰にも認められない子供を抱えて生きていくことがどれだけ大変なことか。
それほど苦渋に満ちたゆん生にまりさを巻き込みたくない。だから、自分を忘れて欲しいと言ったのだろう。
それに比べて自分はどうだ?自分のことばかり考えて、それでもれいむを愛しているなんていえるのか。
(どりちん!どりちん!)
あの時のみょんの言葉を思い出す。そうだ、みょんの言うとおりだよ。
覚悟を決めていたつもりだったが、まだまだ覚悟が足りなかった。
真にれいむの幸せを願うなら何をするべきか。そんなことはわかりきったことじゃないか、まりさ!
「・・・・・・わかったんだぜ、れいむ。まりさもほんとうのかくごをきめたのぜ!」
「まりさ?」
「まりさもいっしょに、れいむのあかちゃんをそだてるんだぜ!」
それは、れいむにとって思ってもいない言葉だった。
「で、でも、れいむのあかちゃんはれみりゃなんだよ?」
「れいむのあかちゃんはまりさのあかちゃんなんだぜ!それいじょうでもそれいかでもないのぜ!」
「れいむは・・・けがされちゃったんだよ。・・・もう、じゅんっけつなゆっくりじゃ、ないんだよ?」
「そんなことないのぜ!れいむはきれいなのぜ!」
れいむの全てを受け入れよう。
世界の全てが敵になろうとも、自分だけはれいむの味方であろう。
それこそがまりさの真なる覚悟。
「れいむ、むれにかえれないならいっしょにあたらしいゆっくりぷれいすをさがすのぜ!
そこで、まりさとれいむとあかちゃんでいっしょにゆっくりくらすのぜ!」
「ゆ、ゆぐ、ゆぐ・・・まりさ、まりさぁぁぁ!」
れいむは嬉しくて涙が止まらなかった。
拒絶されることはあっても、まさか受け入れられるなんてことがあるとは思わなかった。
れみりゃに攫われた時、自分はなんて不幸なゆっくりなんだろうと悲嘆した。
でも、今は違う。ああ、自分はなんて幸せなゆっくりなんだろう。まりさを好きになって本当に良かった。
れいむは心の底からそう思ったのだった。
(・・・ドクン)
「ゆゆっ!?いま、おなかのなかであかちゃんがうごいたよ!」
「きっとあかちゃんもよろこんでるのぜ!あかちゃん?ゆっくりしていってね!」
まりさは笑顔でれいむのお腹の中にいる赤ちゃんに話しかけた。
(・・・ドクン、ドクン)
「ゆっ!?」
(・・・・ドクン、ドクン、ドクン)
「ゆ、ゆ、ゆ・・・!」
「?どうしたのぜ?れいむ?・・・れいむ!?」
れいむは腹の中に違和感を感じていた。
お腹の中の赤ちゃんが動いている。だが動きが活発すぎる。
どうしてそんなにゆっくりしていないの?あかちゃん?ゆっくりしていってね?
れいむがお腹の赤ちゃんに話しかけようとした瞬間、
「ゆがぁぁぁぁぁぁああああああああああ!?!?」
突如、腹部に激しい痛みを感じて苦しみの声をあげはじめた。
れいむの腹の中で何かが激しく蠢いているのだ。
「れ、れいむ!?しっかりするのぜっ!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」
まりさは赤ちゃんが生まれそうなのかと、最初は思った。
だが、妹が生まれるところを見た事があるまりさにとって母の出産と今のれいむでは、
あまりにも状況が違いすぎることがわかった。
「でいぶぅぅ!どぼじだのぉぉぉ!?ゆっくりじでねぇぇぇ!?」
何が起こっているのか全く分からないまりさはただうろたえるしかなかった。
ガラスの壁に遮られ、ぺーろぺーろもすーりすーりもしてあげられないのだ。
「あ、あ、あが、じゃん!やめ、てね・・・!やめて、ねぇぇぇ!!」
「ど、どおじだのぉぉ!?でいぶぅぅぅ!!」
「ゆ、ゆゆゆあ、ああああ!お、おかあさんの、あんこさん!・・・たべないでねぇぇぇ!!」
れいむの体が後ろに大きく仰け反り、腹が異常なまでに膨らみ始める。
「ゆ、ぎぎ、ぐぐぐうっぐぐうぐうううぁあぁぁあああああ!!!!」
限界を超えた膨張に腹の皮膚が耐えられなくなりミチミチと裂け始めた。
それはまるで腹の中から何かが溢れ出そうとしているようだった。
「でいぶぅぅぅぅ!?」
「ゆ、ぐっっっばあああああぁぁぁぁぁぁっ!!」
ついにれいむの腹は真っ二つに裂け、周囲のガラス壁に真っ黒な餡子をぶちまけた。
そして、れいむは餡子を撒き散らしながらゆっくりと倒れこんだ。
ビクンビクンと体を震わせている。辛うじてだが生きているのだろう。
だが、もはや死に体だった。
「ゆ、あああああ・・・なんなのぜ!?なんなのぜぇぇ!?」
もはやガラスの壁は餡子まみれとなり、まりさに中の様子を窺い知ることはできなかった。
「・・・うー☆うー☆」
何かの声が聞こえる。
「うー☆うー☆」
これは、さっきも聞いたことがる。赤れみりゃの声だ。
赤ちゃんが生まれたの?でも、れいむは?
そんなことをまりさが考えていると、壁に付着していた餡子の一部がドロリと剥がれ落ちた。
まりさは、恐る恐るその隙間から中を覗き込んだ。そこには・・・
「ゆわあああああああっ!!!?」
生まれたばかりの無数の赤れみりゃが、母であるはずのれいむの餡子をバリバリと貪り喰う姿であった。
「むーちゃ♪むーちゃ♪うー☆うー☆」
それは、先ほど見た他の箱の中と同じ光景。
あの箱に敷き詰められていた黒い土とは、ゆっくりの餡子だったのだ。
「・・・や、めて、ねぇ・・・あがじゃぁぁん・・・」
れいむがどんなに懇願しようとも、我が子の暴食を止めることはできなかった。
そして、次第にれいむの反応はなくなっていった。
れいむは・・・我が子に腹を喰い破られ・・・体を貪り喰われて・・・死んだ。
「・・・ゆ・・・・・・あ・・・・・・ああ・・・・・・!」
まりさは、ただ呆然とその光景を眺めるしかなかった。
「ゆゆっ!?いま、おなかのなかであかちゃんがうごいたよ!」
「きっとあかちゃんもよろこんでるのぜ!あかちゃん?ゆっくりしていってね!」
まりさは笑顔でれいむのお腹の中にいる赤ちゃんに話しかけた。
(・・・ドクン、ドクン)
「ゆっ!?」
(・・・・ドクン、ドクン、ドクン)
「ゆ、ゆ、ゆ・・・!」
「?どうしたのぜ?れいむ?・・・れいむ!?」
れいむは腹の中に違和感を感じていた。
お腹の中の赤ちゃんが動いている。だが動きが活発すぎる。
どうしてそんなにゆっくりしていないの?あかちゃん?ゆっくりしていってね?
れいむがお腹の赤ちゃんに話しかけようとした瞬間、
「ゆがぁぁぁぁぁぁああああああああああ!?!?」
突如、腹部に激しい痛みを感じて苦しみの声をあげはじめた。
れいむの腹の中で何かが激しく蠢いているのだ。
「れ、れいむ!?しっかりするのぜっ!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」
まりさは赤ちゃんが生まれそうなのかと、最初は思った。
だが、妹が生まれるところを見た事があるまりさにとって母の出産と今のれいむでは、
あまりにも状況が違いすぎることがわかった。
「でいぶぅぅ!どぼじだのぉぉぉ!?ゆっくりじでねぇぇぇ!?」
何が起こっているのか全く分からないまりさはただうろたえるしかなかった。
ガラスの壁に遮られ、ぺーろぺーろもすーりすーりもしてあげられないのだ。
「あ、あ、あが、じゃん!やめ、てね・・・!やめて、ねぇぇぇ!!」
「ど、どおじだのぉぉ!?でいぶぅぅぅ!!」
「ゆ、ゆゆゆあ、ああああ!お、おかあさんの、あんこさん!・・・たべないでねぇぇぇ!!」
れいむの体が後ろに大きく仰け反り、腹が異常なまでに膨らみ始める。
「ゆ、ぎぎ、ぐぐぐうっぐぐうぐうううぁあぁぁあああああ!!!!」
限界を超えた膨張に腹の皮膚が耐えられなくなりミチミチと裂け始めた。
それはまるで腹の中から何かが溢れ出そうとしているようだった。
「でいぶぅぅぅぅ!?」
「ゆ、ぐっっっばあああああぁぁぁぁぁぁっ!!」
ついにれいむの腹は真っ二つに裂け、周囲のガラス壁に真っ黒な餡子をぶちまけた。
そして、れいむは餡子を撒き散らしながらゆっくりと倒れこんだ。
ビクンビクンと体を震わせている。辛うじてだが生きているのだろう。
だが、もはや死に体だった。
「ゆ、あああああ・・・なんなのぜ!?なんなのぜぇぇ!?」
もはやガラスの壁は餡子まみれとなり、まりさに中の様子を窺い知ることはできなかった。
「・・・うー☆うー☆」
何かの声が聞こえる。
「うー☆うー☆」
これは、さっきも聞いたことがる。赤れみりゃの声だ。
赤ちゃんが生まれたの?でも、れいむは?
そんなことをまりさが考えていると、壁に付着していた餡子の一部がドロリと剥がれ落ちた。
まりさは、恐る恐るその隙間から中を覗き込んだ。そこには・・・
「ゆわあああああああっ!!!?」
生まれたばかりの無数の赤れみりゃが、母であるはずのれいむの餡子をバリバリと貪り喰う姿であった。
「むーちゃ♪むーちゃ♪うー☆うー☆」
それは、先ほど見た他の箱の中と同じ光景。
あの箱に敷き詰められていた黒い土とは、ゆっくりの餡子だったのだ。
「・・・や、めて、ねぇ・・・あがじゃぁぁん・・・」
れいむがどんなに懇願しようとも、我が子の暴食を止めることはできなかった。
そして、次第にれいむの反応はなくなっていった。
れいむは・・・我が子に腹を喰い破られ・・・体を貪り喰われて・・・死んだ。
「・・・ゆ・・・・・・あ・・・・・・ああ・・・・・・!」
まりさは、ただ呆然とその光景を眺めるしかなかった。
「ジョワジョワジョワ~!なかなか面白い茶番劇だったぜぇ~」
突如、背後から聞こえてきた不気味な笑い声に驚き振り向くと、そこには灰色の作業服を着た一人の男が立っていた。
「に、にんげんさん!?どぼじでごごにぃぃ!?」
「そりゃあんだけ騒いでりゃ気付くっての」
男はれいむの餡子を貪る赤れみりゃの一匹を箱から取り出し、まりさの目の前に置いてやった。
「ほ~れ、れいむの赤ちゃんだぞ~。・・・どうした?可愛がってやれよ」
まりさはしばらくボーっとした顔で赤れみりゃを眺めていたが、
その能天気な笑顔と「うーうー」という鳴き声を聞いている内にピキィと顔を歪ませていった。
「ゆがぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「うぴっ!?」
まりさは怒号と共に赤れみりゃをグシャリと踏み潰した。
「じねぇぇ!でいぶをごろじだれみりゃは、ゆっぐりじだいでじねぇぇぇ!!」
何度も何度も踏み潰し、赤れみりゃは原型も留めぬほど潰されてしまった。
「ジョワジョワ!『れいむのあかちゃんはまりさのあかちゃん』じゃなかったのかねぇ?」
最愛の存在を殺されたのだ。まりさが激怒するのは無理もないことだろう。
だが、れいむとまりさのやりとりを見ていた男にとって、まりさの激情はとても滑稽なものだった。
「・・・どぼじで」
「ん?」
「どぼじでごんだごどすどぅどぉぁぁ!?ねぇぇぇ!どぼじでぇぇ!?どぼじでなのぉぉぉ!!?」
まりさは涙を流して、男の足にしがみつくように「どぼじで、どぼじで」と泣き叫んだ。
「どおして、ねぇ。・・・いいぜぇ。夜勤は割と暇だし、暇つぶしにゆっくりと説明してやろう」
ゆっくりの「どおして」なんてただの鳴き声だ。
説明してやったところで理解などできないだろうし納得することもないだろう。
だが、男は暇つぶしの一環として、このまりさと会話してみるのも一興だと考えた。
「ここはな、れみりゃやふらんといった捕食種と分類されるゆっくりの生産工場なのさ」
野生の捕食種は通常種ほど数多く存在している訳ではない。
その為、捕食種を求める加工所やペットショップに対して捕食種を生産する業者は重宝されているのだ。
「そして、その捕食種を生産する上で重要なのが餌。つまりお前らだ」
「ゆゆっ!?」
「捕食種の餌は生きのいいゆっくりが最適とされている。まさに野生のゆっくりは最高の生餌という訳だな」
ただ成長させるだけなら生きたゆっくりを与えずとも人工的に作られたゆっくりフードでも問題ない。
だが、それでは捕食能力が備わらず、対野良ゆっくり用の番犬ならぬ番ゆっくりとして機能できない。
また、食材にするにしてもあまり旨味のない食材になってしまう。魚のように天然ものと養殖ものでは味が
違うのと同じようなものだ。
飼うにしろ、食べるにしろ、捕食種の品質に必要なのは活きの良さだ。
その為、養殖といえど自然と同じような環境を用意してやれば高品質の捕食種が生産できるのだ。
「ま、ここで生まれた赤ゆの大半はそのまま加工所やペットショップに送られるんだけどな。
流石にこれだけの数を育ててたらここらの野生ゆっくりなんてあっという間に壊滅だし。
そこらへんの調整はちゃんと考えてるから安心しろ」
「ゆ、ゆぅぅぅ・・・!」
街で野良として生きていた頃に感じていた人間の脅威から逃れ、野生で自由に生きていけることに喜びと誇りを
感じていたまりさにとって、自分たちの生活が人間の手によって調整されていたという事実はショックだった。
「捕食種をどうやって生産しているか。れいむがあんなことになった事にも関係してくることだ。ジョワジョワ!」
「ゆぐぐ、い、いいからはやくおしえるのぜ・・・!」
「まあ、そうあせるなよ。ゆっくりしていってね?ジョワジョワ!」
捕食種の繁殖方法は通常種とは似て非なるものである。
「お前ら通常種は子供を作るにはどうする?」
「そ、それはゆっくりできるゆっくりとすっきりーするんだぜ。そんなのじょうっしきなのぜ・・・」
「そうだな。そこは捕食種も同じさ。他のゆっくりとすっきりーする。
だが、その『他のゆっくり』というのが通常種と意味合いが異なる」
「な、なにがちがうっていうのぜ!?」
「・・・ふむ。それを説明するのは言葉よりも身を持って体験した方が解り易いだろう」
男はまりさを掴みあげ、別の部屋へと移動しはじめた。
「や、やめるんだぜ!まりさになにするんだぜ!?」
「なにするって・・・そりゃあ『ナニ』するに決まってんだろぉ。ジョワジョワ!」
そういって男は連れてきた部屋の真ん中にまりさをポイっと放り投げた。
「ゆべっ!」
顔面を打ち付けながらも起き上がったまりさが目にしたものは、
「うーうー」「うーうー」「もげーもげー」
「ゆわぁぁぁぁぁ!?れ、れみりゃだぁぁぁぁぁ!ふらんだぁぁぁぁぁ!!」
れみりゃやふらんといった捕食種が格納されているケージの数々だった
しかも先ほどのような赤ん坊などではなく、成体の捕食種たちである。
男はケージの一つを開け、中にいたふらんを取り出した。
「捕食種がすっきりーの相手として選ぶのは同じ捕食種のゆっくりじゃあない」
そのふらんを手に乗せてゆさゆさと揺さぶり出した。
ゆっくりは振動させることによって発情するのだ。
「捕食種が選ぶすっきりー相手とは・・・お前ら、通常種なのさ!」
「う、うほぉぉぉー!もげ!もげー!」
発情したふらんはその情欲を目の前にいるまりさにぶつけるべく襲いかかる。
「ゆわぁぁぁぁ!?く、くるなぁぁ!!」
ふらんはその鋭い牙で逃げ出そうとしたまりさの背面を切り裂いた。
「ゆがぁぁぁ!いだいぃぃぃ!ま、まりさのもちもちおはなだがぁぁぁ!!」
ふらんの攻撃はまだまだ続く。
「うー!もげー!」
「いだいぃぃぃ!もう、やめでえぇぇぇぇ!!」
肌も髪も帽子も、ふらんの鋭い牙によってズタズタに切り裂かれていく。
存分にまりさを痛めつけたふらんはまりさの体から流れ出ている餡子をぺロリと舐めとった。
一見、ゆっくり同士が行う愛情表現や治療行為のように見えるかもしれないが、
ふらんにとってのそれはただの『味見』でしかなかった。
「うーうー!うまうま!」
ゆっくりは痛めつけることで餡子の旨味が増すという性質がある。
捕食種が獲物をいたぶるのはそれを本能で知っているからだ。
「捕食種にとって通常種なんざただの餌だ。それはすっきりー相手であっても同じこと。
お前らみたいに愛(笑)だの恋(笑)だのなんていう感情は存在しないのさ」
「ゆぎぃ・・・もうやだぁぁぁ、おうちかえるぅぅぅ・・・!」
「おいおい、まりさ。これからが『本番』なんだぜ?
おい、ふらん!そろそろ頃合だろ。もうまりさちゃんも辛抱たまらんって顔してるぜぇ」
「もげぇ!」
ふらんは自分のぺにぺにをまりさのまむまむへズブリと突き刺した。
「ゆぎぃぃぃぃ!ま、まりさの・・・ばーじんさん、がぁぁぁ!!」
「・・・雌雄同体の饅頭のくせにバージンとかいうなよ。まじでキモい」
「もげ!もげ!も、もげ!うーーー!」
びゅる!びゅるびゅる!
ふらんのぺにぺにから発射された精子餡がまりさのまむまむの中へと放出される。
「ゆ、ゆぐぅ・・・ぎぼじわるいぃ~。ま、まりざ、にんっじん、じじゃうよぉぉぉ・・・」
「・・・うー・・・うー・・・」
「よぉし、ご苦労さん、ふらん。疲れただろうからゆっくり休んでくれ」
すっきりーして満足したふらんを男は元のケージの中に戻してやった。
「ちなみに。ふらん種はまりさ種を、れみりゃ種はれいむ種を好んですっきりーする傾向があるらしい。
なんでなのかはよくわかってはいないがね」
そして、無理矢理すっきりーさせられ、れいぽぅ目状態のまりさを持ち上げる。
にんっしんして、ぽっこり膨れた下腹がびろ~んと伸びている様は茄子かヘチマを連想させた。
「ジョワジョワ、にんっしんしちゃったゆっくりはどんどん閉まっちゃうからねぇ」
男はまりさを透明な箱の中に入れ、先ほどのれいむがいる部屋へと連れて行き、
れいむの箱の前にまりさの箱を置いてやる。
れいむは今もなお体を赤れみりゃに貪り喰われ続けている。
「さて、これが最後の講義だぜぇ、まりさ。最後に捕食種の赤ん坊について説明しよう、ジョワジョワ」
「ゆぅぅ・・・・・・」
もはやまりさは身も心もボロボロで男の話を聞いているのかわからない状態だった。
そんなことはお構いなしに男は話を進める。
「さっきも言ったが捕食種にとって通常種はただの餌だ。これはどんな状況においても絶対だ。
例えそれが親子の関係であってもな。目の前で子供に喰われているれいむがその良い例だろ?」
「・・・どぼじで・・・あかちゃんが、おかあさんを、たべるのぜ。れいむは、おかあさんなんだぜ。
あかちゃんをゆっくりさせてあげたいっていってた、とってもゆっくりしたおかあさんだったんだぜ。
それなのに、それなのに・・・どぼじで、あがじゃんは・・・」
「それりゃお前、生まれた瞬間、大好物の餡子に囲まれてるんだぜ?普通食べるだろ」
「まりさはそんなことしなかったぜ!おかあさんのおなかのなかでとってもゆっくりしてたんだぜ!」
「だからそれはお前ら通常種の話だろ。生まれつきのハンターである捕食種にとって母体の餡子なんて餌
でしかないんだよ。だから捕食種は同じ捕食種じゃなく、捕食対象である通常種に種を植え付けるんだ
ろうな。つまり、苗床ってことだ」
すっきりーする前に相手をいたぶるのは相手の動きを封じるだけでなく、生まれてくる子供に上質な餡子
を食べさせてやるためでもあるのだ。
そういう意味で言えば、捕食種にも愛情というものは存在するのだ。ただし、同族に限る!
「そんなわけでまりさ。今お前の腹の中にはふらんの子供がいる。
そいつらが覚醒した時、お前は目の前のれいむと同じく、腹の中から餡子を喰われて死ぬんだよ。
そうだなぁ、あと一、二時間もすれば子供は目覚めるだろう。楽しみだなぁ、まりさよぉ。ジョワジョワ~」
「い、いやだよ!まりさ、まだしにたく、ないんだぜ・・・」
「だったら祈るんだなぁ。腹の中の子供がふらんじゃないことに」
「ゆ?」
「捕食種に種つけされると9割の確率で捕食種を孕む。だが1割の確率で母体と同じ通常種を孕むこともある。
そうなると普通のにんっしんと同じ。つまり子供に腹の中から喰われることはないって訳だ」
1割といっても生まれてくる子供が全て通常種になる確率ではない。
生まれてくる数匹の内の1匹程が通常種になる確率が1割程度なのだ。
「ゆぅぅ!!まりさのあかちゃん、うまれてねぇぇ!ふらんのあかちゃんはうまれないでねぇぇ!」
わずかな希望にすがり、まりさは懸命に祈り始める。
だが、1匹程度が通常種であっても残りが捕食種であれば結果は同じ。
全ての子供が通常種だったなどというケースは確認されたことはない。
それは奇跡でも起きない限り、どんなに祈ったところでまりさの運命はもう決まっているようなものだった。
「さて、そろそろ仕事に戻るとするか。じゃあな、まりさ。せいぜいゆっくりしていってくれや」
「まりさのあかちゃん!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」
もはやまりさは男の声など聞こえていなかった。ただひたすら、無駄な祈りを続けているだけだ。
そんな必死のまりさを嘲笑いながら男は部屋から出ていった。
突如、背後から聞こえてきた不気味な笑い声に驚き振り向くと、そこには灰色の作業服を着た一人の男が立っていた。
「に、にんげんさん!?どぼじでごごにぃぃ!?」
「そりゃあんだけ騒いでりゃ気付くっての」
男はれいむの餡子を貪る赤れみりゃの一匹を箱から取り出し、まりさの目の前に置いてやった。
「ほ~れ、れいむの赤ちゃんだぞ~。・・・どうした?可愛がってやれよ」
まりさはしばらくボーっとした顔で赤れみりゃを眺めていたが、
その能天気な笑顔と「うーうー」という鳴き声を聞いている内にピキィと顔を歪ませていった。
「ゆがぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「うぴっ!?」
まりさは怒号と共に赤れみりゃをグシャリと踏み潰した。
「じねぇぇ!でいぶをごろじだれみりゃは、ゆっぐりじだいでじねぇぇぇ!!」
何度も何度も踏み潰し、赤れみりゃは原型も留めぬほど潰されてしまった。
「ジョワジョワ!『れいむのあかちゃんはまりさのあかちゃん』じゃなかったのかねぇ?」
最愛の存在を殺されたのだ。まりさが激怒するのは無理もないことだろう。
だが、れいむとまりさのやりとりを見ていた男にとって、まりさの激情はとても滑稽なものだった。
「・・・どぼじで」
「ん?」
「どぼじでごんだごどすどぅどぉぁぁ!?ねぇぇぇ!どぼじでぇぇ!?どぼじでなのぉぉぉ!!?」
まりさは涙を流して、男の足にしがみつくように「どぼじで、どぼじで」と泣き叫んだ。
「どおして、ねぇ。・・・いいぜぇ。夜勤は割と暇だし、暇つぶしにゆっくりと説明してやろう」
ゆっくりの「どおして」なんてただの鳴き声だ。
説明してやったところで理解などできないだろうし納得することもないだろう。
だが、男は暇つぶしの一環として、このまりさと会話してみるのも一興だと考えた。
「ここはな、れみりゃやふらんといった捕食種と分類されるゆっくりの生産工場なのさ」
野生の捕食種は通常種ほど数多く存在している訳ではない。
その為、捕食種を求める加工所やペットショップに対して捕食種を生産する業者は重宝されているのだ。
「そして、その捕食種を生産する上で重要なのが餌。つまりお前らだ」
「ゆゆっ!?」
「捕食種の餌は生きのいいゆっくりが最適とされている。まさに野生のゆっくりは最高の生餌という訳だな」
ただ成長させるだけなら生きたゆっくりを与えずとも人工的に作られたゆっくりフードでも問題ない。
だが、それでは捕食能力が備わらず、対野良ゆっくり用の番犬ならぬ番ゆっくりとして機能できない。
また、食材にするにしてもあまり旨味のない食材になってしまう。魚のように天然ものと養殖ものでは味が
違うのと同じようなものだ。
飼うにしろ、食べるにしろ、捕食種の品質に必要なのは活きの良さだ。
その為、養殖といえど自然と同じような環境を用意してやれば高品質の捕食種が生産できるのだ。
「ま、ここで生まれた赤ゆの大半はそのまま加工所やペットショップに送られるんだけどな。
流石にこれだけの数を育ててたらここらの野生ゆっくりなんてあっという間に壊滅だし。
そこらへんの調整はちゃんと考えてるから安心しろ」
「ゆ、ゆぅぅぅ・・・!」
街で野良として生きていた頃に感じていた人間の脅威から逃れ、野生で自由に生きていけることに喜びと誇りを
感じていたまりさにとって、自分たちの生活が人間の手によって調整されていたという事実はショックだった。
「捕食種をどうやって生産しているか。れいむがあんなことになった事にも関係してくることだ。ジョワジョワ!」
「ゆぐぐ、い、いいからはやくおしえるのぜ・・・!」
「まあ、そうあせるなよ。ゆっくりしていってね?ジョワジョワ!」
捕食種の繁殖方法は通常種とは似て非なるものである。
「お前ら通常種は子供を作るにはどうする?」
「そ、それはゆっくりできるゆっくりとすっきりーするんだぜ。そんなのじょうっしきなのぜ・・・」
「そうだな。そこは捕食種も同じさ。他のゆっくりとすっきりーする。
だが、その『他のゆっくり』というのが通常種と意味合いが異なる」
「な、なにがちがうっていうのぜ!?」
「・・・ふむ。それを説明するのは言葉よりも身を持って体験した方が解り易いだろう」
男はまりさを掴みあげ、別の部屋へと移動しはじめた。
「や、やめるんだぜ!まりさになにするんだぜ!?」
「なにするって・・・そりゃあ『ナニ』するに決まってんだろぉ。ジョワジョワ!」
そういって男は連れてきた部屋の真ん中にまりさをポイっと放り投げた。
「ゆべっ!」
顔面を打ち付けながらも起き上がったまりさが目にしたものは、
「うーうー」「うーうー」「もげーもげー」
「ゆわぁぁぁぁぁ!?れ、れみりゃだぁぁぁぁぁ!ふらんだぁぁぁぁぁ!!」
れみりゃやふらんといった捕食種が格納されているケージの数々だった
しかも先ほどのような赤ん坊などではなく、成体の捕食種たちである。
男はケージの一つを開け、中にいたふらんを取り出した。
「捕食種がすっきりーの相手として選ぶのは同じ捕食種のゆっくりじゃあない」
そのふらんを手に乗せてゆさゆさと揺さぶり出した。
ゆっくりは振動させることによって発情するのだ。
「捕食種が選ぶすっきりー相手とは・・・お前ら、通常種なのさ!」
「う、うほぉぉぉー!もげ!もげー!」
発情したふらんはその情欲を目の前にいるまりさにぶつけるべく襲いかかる。
「ゆわぁぁぁぁ!?く、くるなぁぁ!!」
ふらんはその鋭い牙で逃げ出そうとしたまりさの背面を切り裂いた。
「ゆがぁぁぁ!いだいぃぃぃ!ま、まりさのもちもちおはなだがぁぁぁ!!」
ふらんの攻撃はまだまだ続く。
「うー!もげー!」
「いだいぃぃぃ!もう、やめでえぇぇぇぇ!!」
肌も髪も帽子も、ふらんの鋭い牙によってズタズタに切り裂かれていく。
存分にまりさを痛めつけたふらんはまりさの体から流れ出ている餡子をぺロリと舐めとった。
一見、ゆっくり同士が行う愛情表現や治療行為のように見えるかもしれないが、
ふらんにとってのそれはただの『味見』でしかなかった。
「うーうー!うまうま!」
ゆっくりは痛めつけることで餡子の旨味が増すという性質がある。
捕食種が獲物をいたぶるのはそれを本能で知っているからだ。
「捕食種にとって通常種なんざただの餌だ。それはすっきりー相手であっても同じこと。
お前らみたいに愛(笑)だの恋(笑)だのなんていう感情は存在しないのさ」
「ゆぎぃ・・・もうやだぁぁぁ、おうちかえるぅぅぅ・・・!」
「おいおい、まりさ。これからが『本番』なんだぜ?
おい、ふらん!そろそろ頃合だろ。もうまりさちゃんも辛抱たまらんって顔してるぜぇ」
「もげぇ!」
ふらんは自分のぺにぺにをまりさのまむまむへズブリと突き刺した。
「ゆぎぃぃぃぃ!ま、まりさの・・・ばーじんさん、がぁぁぁ!!」
「・・・雌雄同体の饅頭のくせにバージンとかいうなよ。まじでキモい」
「もげ!もげ!も、もげ!うーーー!」
びゅる!びゅるびゅる!
ふらんのぺにぺにから発射された精子餡がまりさのまむまむの中へと放出される。
「ゆ、ゆぐぅ・・・ぎぼじわるいぃ~。ま、まりざ、にんっじん、じじゃうよぉぉぉ・・・」
「・・・うー・・・うー・・・」
「よぉし、ご苦労さん、ふらん。疲れただろうからゆっくり休んでくれ」
すっきりーして満足したふらんを男は元のケージの中に戻してやった。
「ちなみに。ふらん種はまりさ種を、れみりゃ種はれいむ種を好んですっきりーする傾向があるらしい。
なんでなのかはよくわかってはいないがね」
そして、無理矢理すっきりーさせられ、れいぽぅ目状態のまりさを持ち上げる。
にんっしんして、ぽっこり膨れた下腹がびろ~んと伸びている様は茄子かヘチマを連想させた。
「ジョワジョワ、にんっしんしちゃったゆっくりはどんどん閉まっちゃうからねぇ」
男はまりさを透明な箱の中に入れ、先ほどのれいむがいる部屋へと連れて行き、
れいむの箱の前にまりさの箱を置いてやる。
れいむは今もなお体を赤れみりゃに貪り喰われ続けている。
「さて、これが最後の講義だぜぇ、まりさ。最後に捕食種の赤ん坊について説明しよう、ジョワジョワ」
「ゆぅぅ・・・・・・」
もはやまりさは身も心もボロボロで男の話を聞いているのかわからない状態だった。
そんなことはお構いなしに男は話を進める。
「さっきも言ったが捕食種にとって通常種はただの餌だ。これはどんな状況においても絶対だ。
例えそれが親子の関係であってもな。目の前で子供に喰われているれいむがその良い例だろ?」
「・・・どぼじで・・・あかちゃんが、おかあさんを、たべるのぜ。れいむは、おかあさんなんだぜ。
あかちゃんをゆっくりさせてあげたいっていってた、とってもゆっくりしたおかあさんだったんだぜ。
それなのに、それなのに・・・どぼじで、あがじゃんは・・・」
「それりゃお前、生まれた瞬間、大好物の餡子に囲まれてるんだぜ?普通食べるだろ」
「まりさはそんなことしなかったぜ!おかあさんのおなかのなかでとってもゆっくりしてたんだぜ!」
「だからそれはお前ら通常種の話だろ。生まれつきのハンターである捕食種にとって母体の餡子なんて餌
でしかないんだよ。だから捕食種は同じ捕食種じゃなく、捕食対象である通常種に種を植え付けるんだ
ろうな。つまり、苗床ってことだ」
すっきりーする前に相手をいたぶるのは相手の動きを封じるだけでなく、生まれてくる子供に上質な餡子
を食べさせてやるためでもあるのだ。
そういう意味で言えば、捕食種にも愛情というものは存在するのだ。ただし、同族に限る!
「そんなわけでまりさ。今お前の腹の中にはふらんの子供がいる。
そいつらが覚醒した時、お前は目の前のれいむと同じく、腹の中から餡子を喰われて死ぬんだよ。
そうだなぁ、あと一、二時間もすれば子供は目覚めるだろう。楽しみだなぁ、まりさよぉ。ジョワジョワ~」
「い、いやだよ!まりさ、まだしにたく、ないんだぜ・・・」
「だったら祈るんだなぁ。腹の中の子供がふらんじゃないことに」
「ゆ?」
「捕食種に種つけされると9割の確率で捕食種を孕む。だが1割の確率で母体と同じ通常種を孕むこともある。
そうなると普通のにんっしんと同じ。つまり子供に腹の中から喰われることはないって訳だ」
1割といっても生まれてくる子供が全て通常種になる確率ではない。
生まれてくる数匹の内の1匹程が通常種になる確率が1割程度なのだ。
「ゆぅぅ!!まりさのあかちゃん、うまれてねぇぇ!ふらんのあかちゃんはうまれないでねぇぇ!」
わずかな希望にすがり、まりさは懸命に祈り始める。
だが、1匹程度が通常種であっても残りが捕食種であれば結果は同じ。
全ての子供が通常種だったなどというケースは確認されたことはない。
それは奇跡でも起きない限り、どんなに祈ったところでまりさの運命はもう決まっているようなものだった。
「さて、そろそろ仕事に戻るとするか。じゃあな、まりさ。せいぜいゆっくりしていってくれや」
「まりさのあかちゃん!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」
もはやまりさは男の声など聞こえていなかった。ただひたすら、無駄な祈りを続けているだけだ。
そんな必死のまりさを嘲笑いながら男は部屋から出ていった。
「ゆ、ゆっくり・・・ゆっぐりじでいっでねぇぇ!ばでぃざのあがじゃぁぁん!」
- うー・・・うー
お腹の中から赤ちゃんの声が聞こえた。
<了>
前作:
anko2086_隠し味
anko2086_隠し味
挿絵:車田あき