ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2190 ゆっくりのくびき2
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さて、戦争によって人間の奴隷が開放され、一番困ったのが奴隷商人たちや、その労働力を頼りにしていた者たちであった。
何せそれまでこき使っていた労働力や商売道具を一瞬で失ったのだ。
困り切っていたところで、人が踏みはいらない山奥でゆっくりが発見される。
人型の人ならざる存在。
人間の奴隷は禁止されたが、それ以外だったら?
商人や権力者はそれに目を付けた。
一匹一匹ではひ弱すぎて使えなかったが複数が集まれば大いに役に立った。
何せ甘い水を適度に与えれば飢え死にも睡眠も休憩も必要なく、増やそうと思えば一週間で子供が生まれる。
はじめ、胴体のない子ゆっくりは亜種と思われており殺していたが、成長すれば胴付きになると判明し、やがて大量に『生産・飼育』されている。
強度に問題はあるがコストの面では人間よりはるかに優れていたのだ。
頭が悪いので肉体的な労働でしか使えないが、人間にとって危険な物質が噴き出ることもある鉱山や危険な作業をやらせればいい(死んでも補給が簡単)。
逆らう場合は見せしめに二・三匹殺せば(その補給も簡単)いい。
そんなゆっくりの状態を説明した有名な一説を紹介しよう。
『天は人の上に人を作らず。ゆっくりの下に命を作らず』
そして、ゆっくりを奴隷として扱う産業が安定に入り始めた。
「ゆっ……ゆっ……ゆっ……」
「………………」
「…………ゆっ」
ここは山奥の鉱山。
薄暗い洞窟の中で無数のゆっくりが働いている。
スコップで地面をほじくるもの。
かごに入れた岩を複数で運ぶもの。
岩を上に運ぶための動力を動かすもの。
どのゆっくりも無駄な言葉は一言も発さず、曇りきった瞳で目の前の仕事を淡々と行っている。
共通していることはもう一つある。
ゆっくりは必ず二匹一組になっており、その二匹は首を板のようなもので固定されつながった状態になっている。
それはちょうど、畑を耕す二匹の牛の首を、並べて固定する『くびき』のようなものだった。
一匹ではほぼ役に立たないゆっくりを強制的につなぎ、二人三脚で働かせるのだ。
「ぼ、ぼうばだらげないよおおお……」
一匹のゆっくりれいむが、ダランと胴体をぶら下がらせる。
「ゆああ!やべでっ!おきてねれいむうう!!」
れいむと相方になっていたちぇんもそのまま地面に引き倒されてしまう。
「ぼうやだああああ。ゆっぐりじだい!!ゆっぐりざぜろおおお!れいむをゆっぐり!!『そうか。なら永遠にゆっくりしろ』ゆっ”!?」
いつの間にか人間が近くにいた。
「ああああああああ!!うぞでずううううううう!!ばだらぎばず!!れいぶばばだばだれげばず!!!!だがら、だがr『バンッ』」
れいむの頭にこん棒が振り下ろされた。
こん棒とくびきの板に挟まれたれいむの頭は圧力に耐えられず破裂する。
その様子を見まいと相方のちぇんはギュッと目を閉じる。
顔に餡子や目玉がふりかかるが動けない。
やがて首という引っ掛かりを失ったれいむの胴体が板から抜け地面へと倒れこんだ。
「よかったな!今日の晩飯が増えたぞ!」
作業しているゆっくりたちに向かって男が声を上げる。
「………………」
それに答えるゆっくりはいない。
「さて、かわりを、と」
男は洞窟の片隅に置いてある木製の格子に近寄る。
中には胴付きのゆっくりがたくさんおり、どれもこれもおびえた目をしている。
「おまえだ」
「ゆあああ!!やべでええ!!まりざじにだぐないいいい!!」
「まりざあああ!!」
連れていかれようとしたまりさの姉まりさが声をあげる。
「やべでぐだざいいい!!がわりにまりざがはだらぎまず!だがらいぼうどはゆっぐりざぜであげでぐだざいい!!」
男の足にすがって懇願する姉まりさ。
「ゆ!!そうだよっ!!つかうならおねえちゃんにしてねっ!!まりさはゆっくりするよっ!!」
「ゆゆっ!?まりさあぁ!?どぼじでぞんなごどいうのおおお!!」
とんでもないゲス妹である。
「あ?ゆっくりする?馬鹿かお前?」
男はそう言うと、つかんでいた妹まりさの頭を掴み直し地面に思いきり叩きつけた。
妹まりさは地面に叩きつけられ悲鳴を上げる。
「い、いだいいいいいいいいいいい!!」
「ゆっゆっ!!いいきみだよっ!おねえちゃんをうらぎるくそいもうとはゆっくりしねっ!おねえちゃんはゆっくりするよ」
美しい姉妹愛(笑)である。
「だからさあ!」
そこに男の蹴りが姉まりさに炸裂する。
「ゆべっ!!」
胴体に蹴りを食らった姉まりさは、ちょうどよく死んだれいむの所に転がる。
起き上がろうとして手を伸ばしたところにれいむの冷たくなった胴体が転がっていて、それに触れた姉まりさは悲鳴をあげる。
「ゆひぃ!!」
「奴隷ゆっくりが『ゆっくりする』なんて言葉使っていいと思ってるわけ?」
そのまま姉まりさの髪の毛を掴み、首を板にはめ込む。
「ゆうううううう!!くさいいいいい!!ゆっくりできないいいいい!!」
死んだれいむの餡子に加え、今まで殺されたゆっくりの死臭がブレンドされた『くびき』の板は、ゆっくりの死臭がこびりついていたのだ。
「いいからさっさと働け!時間までにノルマをこなさなければ二匹とも殺す」
「ゆうう!!まりさ!さっさとうごいてねっ!わがれよおおお!!」
「ゆんやあああああ!!」
やがて別の場所のゆっくりが潰された。
そしてそのくびきにはめられたのは妹まりさだったという。
人間からゆっくりに向けられる言葉といえば『おい奴隷』『殺す』『働け』ぐらいである。
動く饅頭。
生きた道具。
ゆっくりの存在価値はもはや家畜以下であった。
だが一方で問題が発生していた。
ところ変わってここは町中。
人々の賑わいがあふれる場所。
その町の片隅、建物と建物の間、奥まったうす暗闇、ゴミと濁った空気が漂う路地裏。
「ゆ……」
「おながへったよ……」
それは、あの奴隷まりさの主人れいむとまりさだった。
奴隷ゆっくりが浸透してきて一つ問題になったことがある。
それは奴隷ゆっくりの管理の仕方だ。
さまざまな場所で奴隷ゆっくりが使われ始めたが、雑な管理が問題となり『逃亡ゆっくり』となるゆっくりが町中に現れ始めたのだ。
はじめ人間は、ゆっくりの脆さを知っており、どうせ町になじめずすぐに死ぬだろうと思っていた。
だが、底辺の底辺まで落ちたゆっくりたちはしぶとかった。
人間が食べられない汚物やゴミ、虫や動物の死骸や公園の植物、さらには下水道のヘドロを食い漁り、全滅するどころか少しずつ数を増やしていったのだ。
それに対して人間は『逃亡ゆっくり狩り』をする職を設けた。
することは簡単。
町中のゆっくりを捕まえて殺す。
これだけである。
ゆっくりは人間でも動物でもない、ただの動く饅頭である。
饅頭に慈悲や哀れみをかける人間はいない。
容赦のない虐殺にゆっくりは数を減らしていったが、完全にいなくなることはなかった。
人目に触れることが滅多になくなったくらいだが、人間はそれに満足し、ゆっくりが目に入らなければ『奴隷ゆっくり狩り』に通報するようなこともなかった。
逃亡ゆっくり達はこの二匹のように、人が足を踏み入れない暗闇で細々と生きていた。
群れなどはない。
そんなに大勢いてはあっという間に捕まってしまう。
二匹の身なりはひどいもので、まりさは右腕を失っており、左目もつぶれていた。
れいむは頭がかけていびつになっており、二匹ともお飾りはぼろぼろだ。
ここに来る前にひどく殴られたせいで、二匹ともぺにまむが破壊され子供も作れない。
それはかつて、二匹がこき使っていたどれいゆっくりたちよりひどいありさまだった。
希望も、ゆっくりもない。
ただ、生存本能に従ってそこに『ある』だけだった。
「ゆっくりかりにいくよ……」
「ゆ……」
二匹はぼろ布を纏って路地裏から這い出ていく。
街頭によって明るい町中。
人々が行きかう大通り。
笑い声と談笑が聞こえる。
近くの家の窓には家族の影。
その明かりを避けるように、建物の隙間からわずかに姿を見せつつ、二匹はぼろ布を纏い座り込んでいた。
他から見ると物乞いが座り込んでいるようにみえる。
物乞いの姿を注視する物好きなどほとんどいない。
なので二匹は正体は悟られず、こうして座り込みができているのだ。
目の前には布を引き、汚い文字で「ごはんさんをください」と書かれた紙切れ。
「ゆぅ……きょうもかりがせいこうしないよ……」
「れいむ、もうちょっとがんばってみようね……」
これを物乞いといわず、『狩り』などと称するのは糞程にも役に立たないプライドがなせる業か?
なお、狩り(笑)が失敗したときは、住処近くの下水道まで行き、流れてくるゴミを狩り(笑)するのだ。
行きかう人間をぼろ布の隙間から死んだ魚のような目で見つめる二匹。
親に手を引かれ笑顔で歩く子供。
立派な洋服を着て道を歩く男。
煌びやかな洋服を纏う女。
首に金色の首輪をかけた、頭のかけたとんがり帽子をかぶった、黒いドレスに白いエプロンを纏った金髪、片三つ編みの―――
「「ゆ?」」
二匹は偶然にも同じ姿を目撃した。
思考が停止する。
目を見開いてもう一度その姿を確認する。
頭のかけたとんがり帽子は、ゆっくりだからわかるゆっくりできないゆっくりたる証拠のお飾り。
それなのに……そのゆっくりが纏っている『しろくろのおようふく』。
ゆっくりの間で語り継がれる、『とてもゆっくりしているゆっくりにしか生えてこないお洋服』(れいむだと『こうはくのおようふく』)を纏っている。
見間違えもしないあの『どれいまりさ』。
そのどれいまりさが目の前を歩いている。
きれいなきれいなおようふくをきて
おいしそうなくだものさんがはいったかごをてにもって
ゆっくりとしたえみをうかべてにんげんさんのあいだをあるいている
ゆっくりしている
どれいがゆっくりしている
なのにじぶんたちはなんだ?
ゆっくり?
ゆっくりってなんだ?
なんでどれいがゆっくりしていて、じぶんたちがゆっくりできないんだ?
……ゆるせない……
―――!!
「「どれいはゆっくりしないでしねええええええええええええええええええええ!!」」
被っていたぼろ布を跳ね除けて二匹はかつての『どれいまりさ』に向かって駆け出した。
その大声に道行く人が驚いて動きを止める。
一方で汚い何かが自分に触れるのを嫌がって体を避ける。
「逃亡ゆっくりだ」
「逃亡ゆっくり狩りのメンバー呼んで来い」
そんな声が聞こえたが関係ない。
もはや二匹の中にはどれいまりさに対するせいっさい!しか頭になかった。
一方のどれいまりさも騒ぎに気が付いた。
「?」
そして相変わらずゆっくりとした表情で二匹のほうを見た。
「「どれいのぶんざいでゆっぐりずるなああああああああああ!!!!」」
道を横切りあと少しでどれいまりさの元にたどり着こうとした時だった。
「どいれはじ『ドゴッ』ゆぶげえっ!!」
体当たりを仕掛けようとしたまりさの体に強烈な衝撃が走った。
「まりざっゆぶっ!?」
その後ろにいたれいむもそれに巻き込まれ二匹そろって地面に倒れこむ。
「ゆびいいいいい!!いだいのぜえええええええええええ!!」
まりさの頬に大きな穴が開いていた。
蹴りのつま先がめり込んだのだ。
「逃亡ゆっくりが俺の奴隷に何の用だ?」
「ゆっ!?」
二匹が目を上げると……そこには一人の男が立っていた。
ゴミを見るかのような冷たい目で二人を見下ろしている。
その男の影に隠れるようにどれいまりさがいる。
「ゆううう!!くそどれいいいいい!!さっさとまりささまをゆっくり『黙れ』ゆぶぎぃ!!」
「まりさぁぁぁ!『お前もだ』ゆぎゃああああ!!」
男のは二匹の片足を踏みつぶした。
これでもう二匹は這いずってしか移動できない。
「逃亡ゆっくりが人間の前に飛び出してくるなんていい度胸だな。まあいい。まりさ、何もされてないか?」
「はい」
「ゆぎいいいいい!!」
二匹は改めてどれいまりさを見た。
きらきらに輝く金髪とおさげ。
綻びひとつないお洋服。
お洋服から延びる手足の美しさ。
なによりも……男に話しかけられた時のゆっくりとした表情!
何もかもが許せなかった。
「どれいのくせにいいいいいいい!!どぼじでまりざざまがゆっぐりでぎないでどれいがゆっぐりじでるんだああああああああ!!」
「くそどれいいいいいいいいい!!どれいはれいむざまをゆっぐりざぜろおおおおおおおお!!いますぐゆっぐりざぜろおおおおおおお!!でなげればじねええええ!!ゆっぐりじないでぞくざにじねえええええええええええええ!!」
「奴隷?……まりさ。こいつらもしかして、昔の主人か?」
「はい……」
奴隷まりさがうなずく。
「なるほどな。まあいい。まりさ、先に帰ってろ。飯の用意をしておいてくれ」
「でも……」
「いいからいけ。それと、このことは忘れろ」
「……わかりました」
奴隷まりさは男の言葉にうなずくと、最後に一度だけ元・主人の二匹を悲しそうな目で一瞥し、その場から去って行った。
だが、二匹にはそれが自分たちを馬鹿にした表情に見えたようだ。
「ゆがあああああああああ!!どれいのぶんざいでええええええええええ!!どごにいぐぎだあああああああ!!!ゆっぐりざぜろおおおおおおお!!でなげればじねえええええええええええええ!!」
「じねえええ!!ゆっぐりじないでじねええええ!!いますぐじねええ!!ぞぐざにじねええええええええ!!!!!!!!!」
「死ぬのはお前らだ」
「「ゆっ!?」」
よく見ると黒い影が自分たちを覆っている。
そこには……白い服を羽織った『逃亡ゆっくり狩り』のメンバーがいた。
「ゆ、ゆああああああああああああああ!!!」
「み、みのがしてくだざいいいいい!!れいむはゆっぐりじだいだけなんですうううう!!」
途端に命乞いを始める二匹。
だがメンバーは無言で二匹を袋に詰める。
男が潰した足から漏れ出た餡子をきれいに掃除するのも忘れない。
「こまりますよ。町中でゴミを散らかしちゃ」
「すんません」
「何か被害はありませんか?」
「いいえ。特に」
「そうですか。では」
袋に詰め込んだ二匹を引きずってメンバーは引き上げていく。
「どぼじでごんなごどにいいいいいい!!」
「どうじでゆっぐりざぜでぐれないのおおおおおおお!!ゆっぐり!!ゆっぐりいいいいい!!」
こうして二匹は男の前から消えた。
「まったく。品のない奴隷ゆっくりは困る」
れいむとまりさは『逃亡ゆっくり狩り』の本部につれていかれた。
「ゆうううううう!!ゆっくりできないにおいがするううううううううう!!」
「いやっ!!いやっ!!!ごごはいやだああああああああああ!!」
もはや本部から漂ってくるゆっくりの死臭は隠しきれない。
袋詰にされているせいで外の様子が全く分からず、死臭にも悩まされる二匹はただひたすらに叫び続けた。
そして―――『ポチャリ』
「ゆ?なんだかつめたいよっ!!」
「ゆゆっ!?ゆかさんがうごくよつめたいっ!!」
二匹が袋ごと落とされた場所……それは浴槽の上だった。
「ゆううううう!?どぼじでみずさんがはいってぐるのおおおおおお!!!」
「ごないでええええ!!どげっ!!どげぢゃうううううう!!」
水はどんどん袋にしみこんでくる。
胴付きといえど体は饅頭成分。
長時間浸っていれば確実に溶ける。
「あああああ!!ごべんなざい!!!もうどれいをいじめだりじまぜんん!!だがらだずげでえええええええええ!!」
「れいむだぢがどれいでいいでず!!だがらだずべでぐだばいいいいいいいい!!」
二匹は自分たちが『俺の奴隷』と言っていたどれいまりさに手を出したことに腹を立てて、自分達を殺そうとしていると思っていた。
「はんぜいじばじだあああ!!ゆっぐりはんぜいじばじだあああああ!!だがらまりざをどれいにじでぐだざいいいいい!!こきつがっでぐれでがばいばぜん!!!うんうんたべばず!!!すっきりもしほうだいでずうう!!だがら、だずげでぐだざいいいいいいいい!!」
「ゆがっ!!がぼっ!ゆげぼっ!!だずっ!!ゆがっ!!」
二匹は根本的な勘違いをしている。
『奴隷』であるという『生存権』を失ったゆっくりなど、捕まった時点で死んだも同然であるということに。
奴隷ゆっくりは『所有物』という扱いになっている。
管理、維持するのは所有者の務めであり、管理ができないと罰金が科せられる。
どんな奴隷ゆっくりもそれは同じで、『商品』として市場で出回っているのだ。
とはいえ奴隷ゆっくりの扱いは本当に雑であり、死んでもすぐさま補給が効くことから、この二匹のような逃亡ゆっくりが現れたりする。
「もっど……ゆっぐり……じだがった……」
「ゆぶぶ……」
結局二匹はそのまま水に溶けた。
もはやゆっくり達は『人間の奴隷』としてしか生かされる価値のないものとなっている。
―――だが一方で、同じ奴隷でも例外があった。
まりさはご主人様のお家で夕食の準備をしていた。
カレーだ。
ご主人様はカレーが大好きなのだ。
辛い料理はゆっくりにとって毒である。
ぐつぐつと煮えるカレー鍋を覗くと、カレーの匂いや湯気が顔にあたりちくちくと痛む。
だがまりさは、そんなことは意にかえさず笑顔でカレーを作る。
森で人間に―――『ゆっくり浚い』の人間に浚われた後、まりさは黒い首輪をつけられ、さらった男と共にとある家に入った。
ひどい状態だったが、何とか回復しているのは浚いの男が振りかけた砂糖水のおかげだろう。
これからどんな目に合うのかと震えていると、一人の男が部屋に入ってくる。
「そいつか。注文通りなんだろうな?」
部屋に入ってきた男が尋ねる。
「はい。ゆっくり達の奴隷だったのでしょう。調教はしやすいかと」
「ふん。饅頭共が奴隷とは笑わせる……」
部屋に入ってきた男はまりさの前に立った。
小さいまりさは真っ黒い影に覆われてしまう。
「ゆぅ……」
その影で必死に身をちぢこませる。
男は手を伸ばしまりさの顎を掴んでこちらを見させた。
「ふむ……」
「ゆぁぁぁ……ひどいことしないでぇ……」
続いて腕や手のひら、足のほうを見ていたが、やがて立ち上がり浚いの男に言った。
「いいだろう。買おう」
「毎度」
こうしてまりさは『奴隷どれい調教師』の男に買われた。
―――適性のあるゆっくりを人間のために働かせる。
『労働奴隷ゆっくり』
『奉仕奴隷ゆっくり』
同じ奴隷であるが、使用目的は全く違う。
『労働どれいゆっくり』は鉱山などで働く使い捨ての、まさしく道具扱いのゆっくりだ。
森の群れのゆっくり達が連れ去られた時も、主人ゆっくりたちはそちらに振られた。
『奉仕奴隷ゆっくり』に求められるのは、有能さに加えて、素直さや理性、分別、何より人間に従順かであるということである。
自分勝手で本能の赴くままに生きるゆっくりが、『奉仕奴隷ゆっくり』となれる可能性は低い。
だが、ゆっくりの元でどれいとしてこき使われたゆっくりは、人間に対しても従順であるという確率が高いのだ。
群れのどれいゆっくりたちの大半はそちらにあてがわれた。
とはいえ、奴隷は奴隷。
使い捨てられて、そのまま処分されることや、使えないと判断されての処分もある。
だが使える奴隷ゆっくりは……ある種のステータスとなっていた。
それはある意味、娯楽の一部にまでなっていた。
人々は労せずに使えるゆっくりを手に入れたがった。
そこで生まれた職業が『奴隷ゆっくり調教師』である。
調教師はゆっくり浚いの人間に注文をだし、それに見合ったゆっくりを優秀な奴隷ゆっくりへと育て、それを売るのが仕事だ。
なお、群れを襲った男たちは企業に雇われたゆっくり浚いである。
数によって報酬が変動するため、おおざっぱな区分はするが質は気にしないのだ。
調教師に買われたまりさは毎日のように教育を受けた。
掃除や洗濯、料理から買い物の仕方。
働くときは帽子を脱ぐ事。
奴隷ゆっくりの在り方など。
間違ったりした時は鞭で叩かれたりしたが、以前に比べればそこまでつらいものではなかった。
月日がたち、言葉遣いも矯正されてきた頃、玄関のチャイムが鳴った。
「いま、おあけます」
まりさが玄関を開けると一人の男が立っていた。
「……は、いるか?」
客人は調教師の男の所在を尋ねてくる。
「ただいまおよびします。こちらでゆっくりおまちください」
客人を居間へと案内し男を呼ぶ。
やがて男がやってきて、客人となにやら話を始めた。
「それで、注文のものは?」
客人が尋ねる。
「ああ。これだ」
男はまりさを見る。
「?」
「これか?大丈夫なのか?」
「ああ。注文どおりだ。料理や洗濯、家事の一通りをこなせるぞ」
「ん」
「ごしゅじんさま?」
まりさは男に尋ねる。
「まりさ。今日からお前のご主人様は彼だ」
そして男はまりさの首から黒い首輪を外し、客人に金色の首輪を渡す。
「よし。じゃあ、コレをお前がつけてくれ」
男が客人に他の新しい首輪を渡す。
首輪を受け取った男は椅子から立ち上がりまりさに近づく。
まりさは男を見上げる。
無表情で、何を考えているかわからない。
だが、恐い感じはしなかった。
「じゃあ頼むぞ。まりさ」
カチリ
男によって金色の首輪がはめられた。
その瞬間、まりさは客人の男の奴隷となった。
男の家での奴隷としての生活は、調教師の男の家の生活とほとんど変わらなかった。
今まで教えてもらってきた事を、男に言われる前にこなして行くのがまりさの仕事だった。
男は朝家を出て、夜に帰ってくるという生活だった。
何をしているかはよくわからなかった。
たまに家にいるときは常に机と向き合っているばかりだ。
男はまりさに必要以上に接触してこなかったし、まりさも奴隷として、ご主人様である男に自ら話しかけることはなかった。
ある日、男が珍しく早めに帰宅した。
「まりさ、飯の用意はしてあるか?」
「はい。してあります」
男はカレーが好きだった。
まりさは調教師にカレーの作り方を徹底的に教えられていた。
辛いものが毒となるゆっくりが、辛い料理を作るのは中々骨が折れることだったが、まりさはカレーの作り方をしっかりと身に着けていた。
隠し味のはちみちとりんご、一晩寝かせた辛口カレー。
まりさはここに来て初めて男に料理をだした。
ちゃんと出来ているかとまりさは内心ドキドキしながら男の傍らに立っていた。
男がカレーに口をつける。
男は黙々とカレーを食べ続け、ついにお皿は空になった。
「まりさ」
「はいっ!」
「おいしかった。たいしたものだな」
「……」
まりさは答えない。
「まりさ?」
「……! は、はい!」
「どうした?」
「あの……ごしゅじんさま……。ほんとうにおいしかったですか?」
「ん?ああ、おいしかった。店のカレーよりおいしかったぞ。ん……そうか、確か褒めるときはこう言うのだったな
『まりさ。ゆっくりしていってね』」
男は微笑みながらまりさの頭をポンポンとした。
その日の夜、まりさは与えられた屋根裏部屋の自分の部屋で泣いていた。
「ゆぅぅぅぅ……ゆぅぅぅぅぅ~」
『奴隷』になって、初めて『ゆっくりしていってね』といわれた。
その瞬間、とてもゆっくりした気持ちになった。
ゆっくりしたのだ。
奴隷であり、もう二度とゆっくりできないと諦めていた。
なのに、また、ゆっくりできたのだ。
「ゆっくりできるよぉ~ゆっくりしていいんだよぉ~ゆぅぅぅぅぅ!!」
その日から男は帰宅が早くなった。
食べるのは決まってまりさのカレー。
まりさは毎回、微妙に味を変えたりして男が飽きないようにした。
まれにお気に召さないときがあったが、むしろ男はそれを楽しんでいる節もあった。
男がゆっくりとした表情でカレーを食べる。
それを見てまりさもゆっくりできた。
やがてまりさ気づいた。
男といるとゆっくり出来ている自分に。
奴隷の自分に『ゆっくりしていってね』と言ってくれた男。
なんだか日々が明るくなった気がした。
そして、ある日、服が生えた。
起きたら服を身に着けていたのだ。
「ごしゅじんさま。ふくがはえました」
「ん?そうか。まりさはゆっくりしていたのか。似合ってるじゃないか。その調子でゆっくりしていってくれ」
ある時、大勢の人が集まるパーティーに連れ添った。
生えてきた服と外出時にかぶる欠けた帽子を被って。
そこには人間とその元に仕える奴隷ゆっくりが多数いた。
その奴隷ゆっくりのほとんどが服をはやしたゆっくりだった。
「なんと。お宅のまりさは服が生えたのですか。よく管理なさっているのですな」
「いえ。別に私は何もしていません」
男は目の前にいる人間と違って、しっかりと働ける奴隷ゆっくりを求めていただけだった。
だが、その男の何気ない優しさが、今までゆっくりを知らなかったまりさをゆっくりさせていたのだ。
「何をおっしゃいます。飾りが欠けているのに生えるとは中々ありませんよ」
「そうですか。まあ、それでもまりさはゆっくりできたのでしょう」
人間が褒めるの男のまりさに対する行き届いた管理についてだったが、まりさは男が褒められると嬉しかった。
そして月日は流れ……今に至る。
まりさは昔の事を思い出す。
森にいた時のことを考えるとゆっくり出来ない気持ちになる。
でも今はとてもゆっくり出来る。
主人れいむやまりさのことは……特に恨んでいない。
だって、今では自分と同じ奴隷なのだ。
人間の奴隷。
この首輪がその証。
ゆっくり出来ないはずの奴隷。
でも、自分はゆっくりできる。
そう思うと、この証さえ、ゆっくり出来るもののように思える。
まりさはこの証を大事にしようと思った。
自分とご主人様をつなぐ―――『くびき』であるこの証を。
「帰ったぞ」
「おかえりなさいませ。ごしゅじんさま!」
長い……ここまで読んでくださった方がいましたら、本当にありがとうございました。
長すぎていろいろと矛盾や誤字脱字がありそう。集中力の低下が著しい。
そして書いている途中でほかの作家さんが書いたネタと微妙に被っているのがわかり、非常に出しづらかったのは内緒w
読んでくださりありがとうございました。
ご感想やご意見がございましたら感想掲示板までお願いいたします。
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1278666289/
anko 433 ゆっくり親子 とクズ人間 ~Another~
anko 496 あるドスのゆっくり
anko 530 絶対的虐待意思
anko 650 絶対的虐待意思 0
anko 684 ドス以外いらん
anko 733 あるドスの最後
anko 745 絶対的虐待意思 ~せめてゆっくりらしく~
anko 815 おかねさんとゆっくり
anko 901 原材料
anko 935 底辺ゆっくり
anko1438 どぼじでごんな”ごどずるの”おおおぉぉ
anko1449 ゆっくりの境界線
anko1469 ゆっくりの崩壊
anko1945 まりさ駆除
anko2031 元・虐待鬼威惨の憂鬱
何せそれまでこき使っていた労働力や商売道具を一瞬で失ったのだ。
困り切っていたところで、人が踏みはいらない山奥でゆっくりが発見される。
人型の人ならざる存在。
人間の奴隷は禁止されたが、それ以外だったら?
商人や権力者はそれに目を付けた。
一匹一匹ではひ弱すぎて使えなかったが複数が集まれば大いに役に立った。
何せ甘い水を適度に与えれば飢え死にも睡眠も休憩も必要なく、増やそうと思えば一週間で子供が生まれる。
はじめ、胴体のない子ゆっくりは亜種と思われており殺していたが、成長すれば胴付きになると判明し、やがて大量に『生産・飼育』されている。
強度に問題はあるがコストの面では人間よりはるかに優れていたのだ。
頭が悪いので肉体的な労働でしか使えないが、人間にとって危険な物質が噴き出ることもある鉱山や危険な作業をやらせればいい(死んでも補給が簡単)。
逆らう場合は見せしめに二・三匹殺せば(その補給も簡単)いい。
そんなゆっくりの状態を説明した有名な一説を紹介しよう。
『天は人の上に人を作らず。ゆっくりの下に命を作らず』
そして、ゆっくりを奴隷として扱う産業が安定に入り始めた。
「ゆっ……ゆっ……ゆっ……」
「………………」
「…………ゆっ」
ここは山奥の鉱山。
薄暗い洞窟の中で無数のゆっくりが働いている。
スコップで地面をほじくるもの。
かごに入れた岩を複数で運ぶもの。
岩を上に運ぶための動力を動かすもの。
どのゆっくりも無駄な言葉は一言も発さず、曇りきった瞳で目の前の仕事を淡々と行っている。
共通していることはもう一つある。
ゆっくりは必ず二匹一組になっており、その二匹は首を板のようなもので固定されつながった状態になっている。
それはちょうど、畑を耕す二匹の牛の首を、並べて固定する『くびき』のようなものだった。
一匹ではほぼ役に立たないゆっくりを強制的につなぎ、二人三脚で働かせるのだ。
「ぼ、ぼうばだらげないよおおお……」
一匹のゆっくりれいむが、ダランと胴体をぶら下がらせる。
「ゆああ!やべでっ!おきてねれいむうう!!」
れいむと相方になっていたちぇんもそのまま地面に引き倒されてしまう。
「ぼうやだああああ。ゆっぐりじだい!!ゆっぐりざぜろおおお!れいむをゆっぐり!!『そうか。なら永遠にゆっくりしろ』ゆっ”!?」
いつの間にか人間が近くにいた。
「ああああああああ!!うぞでずううううううう!!ばだらぎばず!!れいぶばばだばだれげばず!!!!だがら、だがr『バンッ』」
れいむの頭にこん棒が振り下ろされた。
こん棒とくびきの板に挟まれたれいむの頭は圧力に耐えられず破裂する。
その様子を見まいと相方のちぇんはギュッと目を閉じる。
顔に餡子や目玉がふりかかるが動けない。
やがて首という引っ掛かりを失ったれいむの胴体が板から抜け地面へと倒れこんだ。
「よかったな!今日の晩飯が増えたぞ!」
作業しているゆっくりたちに向かって男が声を上げる。
「………………」
それに答えるゆっくりはいない。
「さて、かわりを、と」
男は洞窟の片隅に置いてある木製の格子に近寄る。
中には胴付きのゆっくりがたくさんおり、どれもこれもおびえた目をしている。
「おまえだ」
「ゆあああ!!やべでええ!!まりざじにだぐないいいい!!」
「まりざあああ!!」
連れていかれようとしたまりさの姉まりさが声をあげる。
「やべでぐだざいいい!!がわりにまりざがはだらぎまず!だがらいぼうどはゆっぐりざぜであげでぐだざいい!!」
男の足にすがって懇願する姉まりさ。
「ゆ!!そうだよっ!!つかうならおねえちゃんにしてねっ!!まりさはゆっくりするよっ!!」
「ゆゆっ!?まりさあぁ!?どぼじでぞんなごどいうのおおお!!」
とんでもないゲス妹である。
「あ?ゆっくりする?馬鹿かお前?」
男はそう言うと、つかんでいた妹まりさの頭を掴み直し地面に思いきり叩きつけた。
妹まりさは地面に叩きつけられ悲鳴を上げる。
「い、いだいいいいいいいいいいい!!」
「ゆっゆっ!!いいきみだよっ!おねえちゃんをうらぎるくそいもうとはゆっくりしねっ!おねえちゃんはゆっくりするよ」
美しい姉妹愛(笑)である。
「だからさあ!」
そこに男の蹴りが姉まりさに炸裂する。
「ゆべっ!!」
胴体に蹴りを食らった姉まりさは、ちょうどよく死んだれいむの所に転がる。
起き上がろうとして手を伸ばしたところにれいむの冷たくなった胴体が転がっていて、それに触れた姉まりさは悲鳴をあげる。
「ゆひぃ!!」
「奴隷ゆっくりが『ゆっくりする』なんて言葉使っていいと思ってるわけ?」
そのまま姉まりさの髪の毛を掴み、首を板にはめ込む。
「ゆうううううう!!くさいいいいい!!ゆっくりできないいいいい!!」
死んだれいむの餡子に加え、今まで殺されたゆっくりの死臭がブレンドされた『くびき』の板は、ゆっくりの死臭がこびりついていたのだ。
「いいからさっさと働け!時間までにノルマをこなさなければ二匹とも殺す」
「ゆうう!!まりさ!さっさとうごいてねっ!わがれよおおお!!」
「ゆんやあああああ!!」
やがて別の場所のゆっくりが潰された。
そしてそのくびきにはめられたのは妹まりさだったという。
人間からゆっくりに向けられる言葉といえば『おい奴隷』『殺す』『働け』ぐらいである。
動く饅頭。
生きた道具。
ゆっくりの存在価値はもはや家畜以下であった。
だが一方で問題が発生していた。
ところ変わってここは町中。
人々の賑わいがあふれる場所。
その町の片隅、建物と建物の間、奥まったうす暗闇、ゴミと濁った空気が漂う路地裏。
「ゆ……」
「おながへったよ……」
それは、あの奴隷まりさの主人れいむとまりさだった。
奴隷ゆっくりが浸透してきて一つ問題になったことがある。
それは奴隷ゆっくりの管理の仕方だ。
さまざまな場所で奴隷ゆっくりが使われ始めたが、雑な管理が問題となり『逃亡ゆっくり』となるゆっくりが町中に現れ始めたのだ。
はじめ人間は、ゆっくりの脆さを知っており、どうせ町になじめずすぐに死ぬだろうと思っていた。
だが、底辺の底辺まで落ちたゆっくりたちはしぶとかった。
人間が食べられない汚物やゴミ、虫や動物の死骸や公園の植物、さらには下水道のヘドロを食い漁り、全滅するどころか少しずつ数を増やしていったのだ。
それに対して人間は『逃亡ゆっくり狩り』をする職を設けた。
することは簡単。
町中のゆっくりを捕まえて殺す。
これだけである。
ゆっくりは人間でも動物でもない、ただの動く饅頭である。
饅頭に慈悲や哀れみをかける人間はいない。
容赦のない虐殺にゆっくりは数を減らしていったが、完全にいなくなることはなかった。
人目に触れることが滅多になくなったくらいだが、人間はそれに満足し、ゆっくりが目に入らなければ『奴隷ゆっくり狩り』に通報するようなこともなかった。
逃亡ゆっくり達はこの二匹のように、人が足を踏み入れない暗闇で細々と生きていた。
群れなどはない。
そんなに大勢いてはあっという間に捕まってしまう。
二匹の身なりはひどいもので、まりさは右腕を失っており、左目もつぶれていた。
れいむは頭がかけていびつになっており、二匹ともお飾りはぼろぼろだ。
ここに来る前にひどく殴られたせいで、二匹ともぺにまむが破壊され子供も作れない。
それはかつて、二匹がこき使っていたどれいゆっくりたちよりひどいありさまだった。
希望も、ゆっくりもない。
ただ、生存本能に従ってそこに『ある』だけだった。
「ゆっくりかりにいくよ……」
「ゆ……」
二匹はぼろ布を纏って路地裏から這い出ていく。
街頭によって明るい町中。
人々が行きかう大通り。
笑い声と談笑が聞こえる。
近くの家の窓には家族の影。
その明かりを避けるように、建物の隙間からわずかに姿を見せつつ、二匹はぼろ布を纏い座り込んでいた。
他から見ると物乞いが座り込んでいるようにみえる。
物乞いの姿を注視する物好きなどほとんどいない。
なので二匹は正体は悟られず、こうして座り込みができているのだ。
目の前には布を引き、汚い文字で「ごはんさんをください」と書かれた紙切れ。
「ゆぅ……きょうもかりがせいこうしないよ……」
「れいむ、もうちょっとがんばってみようね……」
これを物乞いといわず、『狩り』などと称するのは糞程にも役に立たないプライドがなせる業か?
なお、狩り(笑)が失敗したときは、住処近くの下水道まで行き、流れてくるゴミを狩り(笑)するのだ。
行きかう人間をぼろ布の隙間から死んだ魚のような目で見つめる二匹。
親に手を引かれ笑顔で歩く子供。
立派な洋服を着て道を歩く男。
煌びやかな洋服を纏う女。
首に金色の首輪をかけた、頭のかけたとんがり帽子をかぶった、黒いドレスに白いエプロンを纏った金髪、片三つ編みの―――
「「ゆ?」」
二匹は偶然にも同じ姿を目撃した。
思考が停止する。
目を見開いてもう一度その姿を確認する。
頭のかけたとんがり帽子は、ゆっくりだからわかるゆっくりできないゆっくりたる証拠のお飾り。
それなのに……そのゆっくりが纏っている『しろくろのおようふく』。
ゆっくりの間で語り継がれる、『とてもゆっくりしているゆっくりにしか生えてこないお洋服』(れいむだと『こうはくのおようふく』)を纏っている。
見間違えもしないあの『どれいまりさ』。
そのどれいまりさが目の前を歩いている。
きれいなきれいなおようふくをきて
おいしそうなくだものさんがはいったかごをてにもって
ゆっくりとしたえみをうかべてにんげんさんのあいだをあるいている
ゆっくりしている
どれいがゆっくりしている
なのにじぶんたちはなんだ?
ゆっくり?
ゆっくりってなんだ?
なんでどれいがゆっくりしていて、じぶんたちがゆっくりできないんだ?
……ゆるせない……
―――!!
「「どれいはゆっくりしないでしねええええええええええええええええええええ!!」」
被っていたぼろ布を跳ね除けて二匹はかつての『どれいまりさ』に向かって駆け出した。
その大声に道行く人が驚いて動きを止める。
一方で汚い何かが自分に触れるのを嫌がって体を避ける。
「逃亡ゆっくりだ」
「逃亡ゆっくり狩りのメンバー呼んで来い」
そんな声が聞こえたが関係ない。
もはや二匹の中にはどれいまりさに対するせいっさい!しか頭になかった。
一方のどれいまりさも騒ぎに気が付いた。
「?」
そして相変わらずゆっくりとした表情で二匹のほうを見た。
「「どれいのぶんざいでゆっぐりずるなああああああああああ!!!!」」
道を横切りあと少しでどれいまりさの元にたどり着こうとした時だった。
「どいれはじ『ドゴッ』ゆぶげえっ!!」
体当たりを仕掛けようとしたまりさの体に強烈な衝撃が走った。
「まりざっゆぶっ!?」
その後ろにいたれいむもそれに巻き込まれ二匹そろって地面に倒れこむ。
「ゆびいいいいい!!いだいのぜえええええええええええ!!」
まりさの頬に大きな穴が開いていた。
蹴りのつま先がめり込んだのだ。
「逃亡ゆっくりが俺の奴隷に何の用だ?」
「ゆっ!?」
二匹が目を上げると……そこには一人の男が立っていた。
ゴミを見るかのような冷たい目で二人を見下ろしている。
その男の影に隠れるようにどれいまりさがいる。
「ゆううう!!くそどれいいいいい!!さっさとまりささまをゆっくり『黙れ』ゆぶぎぃ!!」
「まりさぁぁぁ!『お前もだ』ゆぎゃああああ!!」
男のは二匹の片足を踏みつぶした。
これでもう二匹は這いずってしか移動できない。
「逃亡ゆっくりが人間の前に飛び出してくるなんていい度胸だな。まあいい。まりさ、何もされてないか?」
「はい」
「ゆぎいいいいい!!」
二匹は改めてどれいまりさを見た。
きらきらに輝く金髪とおさげ。
綻びひとつないお洋服。
お洋服から延びる手足の美しさ。
なによりも……男に話しかけられた時のゆっくりとした表情!
何もかもが許せなかった。
「どれいのくせにいいいいいいい!!どぼじでまりざざまがゆっぐりでぎないでどれいがゆっぐりじでるんだああああああああ!!」
「くそどれいいいいいいいいい!!どれいはれいむざまをゆっぐりざぜろおおおおおおおお!!いますぐゆっぐりざぜろおおおおおおお!!でなげればじねええええ!!ゆっぐりじないでぞくざにじねえええええええええええええ!!」
「奴隷?……まりさ。こいつらもしかして、昔の主人か?」
「はい……」
奴隷まりさがうなずく。
「なるほどな。まあいい。まりさ、先に帰ってろ。飯の用意をしておいてくれ」
「でも……」
「いいからいけ。それと、このことは忘れろ」
「……わかりました」
奴隷まりさは男の言葉にうなずくと、最後に一度だけ元・主人の二匹を悲しそうな目で一瞥し、その場から去って行った。
だが、二匹にはそれが自分たちを馬鹿にした表情に見えたようだ。
「ゆがあああああああああ!!どれいのぶんざいでええええええええええ!!どごにいぐぎだあああああああ!!!ゆっぐりざぜろおおおおおおお!!でなげればじねえええええええええええええ!!」
「じねえええ!!ゆっぐりじないでじねええええ!!いますぐじねええ!!ぞぐざにじねええええええええ!!!!!!!!!」
「死ぬのはお前らだ」
「「ゆっ!?」」
よく見ると黒い影が自分たちを覆っている。
そこには……白い服を羽織った『逃亡ゆっくり狩り』のメンバーがいた。
「ゆ、ゆああああああああああああああ!!!」
「み、みのがしてくだざいいいいい!!れいむはゆっぐりじだいだけなんですうううう!!」
途端に命乞いを始める二匹。
だがメンバーは無言で二匹を袋に詰める。
男が潰した足から漏れ出た餡子をきれいに掃除するのも忘れない。
「こまりますよ。町中でゴミを散らかしちゃ」
「すんません」
「何か被害はありませんか?」
「いいえ。特に」
「そうですか。では」
袋に詰め込んだ二匹を引きずってメンバーは引き上げていく。
「どぼじでごんなごどにいいいいいい!!」
「どうじでゆっぐりざぜでぐれないのおおおおおおお!!ゆっぐり!!ゆっぐりいいいいい!!」
こうして二匹は男の前から消えた。
「まったく。品のない奴隷ゆっくりは困る」
れいむとまりさは『逃亡ゆっくり狩り』の本部につれていかれた。
「ゆうううううう!!ゆっくりできないにおいがするううううううううう!!」
「いやっ!!いやっ!!!ごごはいやだああああああああああ!!」
もはや本部から漂ってくるゆっくりの死臭は隠しきれない。
袋詰にされているせいで外の様子が全く分からず、死臭にも悩まされる二匹はただひたすらに叫び続けた。
そして―――『ポチャリ』
「ゆ?なんだかつめたいよっ!!」
「ゆゆっ!?ゆかさんがうごくよつめたいっ!!」
二匹が袋ごと落とされた場所……それは浴槽の上だった。
「ゆううううう!?どぼじでみずさんがはいってぐるのおおおおおお!!!」
「ごないでええええ!!どげっ!!どげぢゃうううううう!!」
水はどんどん袋にしみこんでくる。
胴付きといえど体は饅頭成分。
長時間浸っていれば確実に溶ける。
「あああああ!!ごべんなざい!!!もうどれいをいじめだりじまぜんん!!だがらだずげでえええええええええ!!」
「れいむだぢがどれいでいいでず!!だがらだずべでぐだばいいいいいいいい!!」
二匹は自分たちが『俺の奴隷』と言っていたどれいまりさに手を出したことに腹を立てて、自分達を殺そうとしていると思っていた。
「はんぜいじばじだあああ!!ゆっぐりはんぜいじばじだあああああ!!だがらまりざをどれいにじでぐだざいいいいい!!こきつがっでぐれでがばいばぜん!!!うんうんたべばず!!!すっきりもしほうだいでずうう!!だがら、だずげでぐだざいいいいいいいい!!」
「ゆがっ!!がぼっ!ゆげぼっ!!だずっ!!ゆがっ!!」
二匹は根本的な勘違いをしている。
『奴隷』であるという『生存権』を失ったゆっくりなど、捕まった時点で死んだも同然であるということに。
奴隷ゆっくりは『所有物』という扱いになっている。
管理、維持するのは所有者の務めであり、管理ができないと罰金が科せられる。
どんな奴隷ゆっくりもそれは同じで、『商品』として市場で出回っているのだ。
とはいえ奴隷ゆっくりの扱いは本当に雑であり、死んでもすぐさま補給が効くことから、この二匹のような逃亡ゆっくりが現れたりする。
「もっど……ゆっぐり……じだがった……」
「ゆぶぶ……」
結局二匹はそのまま水に溶けた。
もはやゆっくり達は『人間の奴隷』としてしか生かされる価値のないものとなっている。
―――だが一方で、同じ奴隷でも例外があった。
まりさはご主人様のお家で夕食の準備をしていた。
カレーだ。
ご主人様はカレーが大好きなのだ。
辛い料理はゆっくりにとって毒である。
ぐつぐつと煮えるカレー鍋を覗くと、カレーの匂いや湯気が顔にあたりちくちくと痛む。
だがまりさは、そんなことは意にかえさず笑顔でカレーを作る。
森で人間に―――『ゆっくり浚い』の人間に浚われた後、まりさは黒い首輪をつけられ、さらった男と共にとある家に入った。
ひどい状態だったが、何とか回復しているのは浚いの男が振りかけた砂糖水のおかげだろう。
これからどんな目に合うのかと震えていると、一人の男が部屋に入ってくる。
「そいつか。注文通りなんだろうな?」
部屋に入ってきた男が尋ねる。
「はい。ゆっくり達の奴隷だったのでしょう。調教はしやすいかと」
「ふん。饅頭共が奴隷とは笑わせる……」
部屋に入ってきた男はまりさの前に立った。
小さいまりさは真っ黒い影に覆われてしまう。
「ゆぅ……」
その影で必死に身をちぢこませる。
男は手を伸ばしまりさの顎を掴んでこちらを見させた。
「ふむ……」
「ゆぁぁぁ……ひどいことしないでぇ……」
続いて腕や手のひら、足のほうを見ていたが、やがて立ち上がり浚いの男に言った。
「いいだろう。買おう」
「毎度」
こうしてまりさは『奴隷どれい調教師』の男に買われた。
―――適性のあるゆっくりを人間のために働かせる。
『労働奴隷ゆっくり』
『奉仕奴隷ゆっくり』
同じ奴隷であるが、使用目的は全く違う。
『労働どれいゆっくり』は鉱山などで働く使い捨ての、まさしく道具扱いのゆっくりだ。
森の群れのゆっくり達が連れ去られた時も、主人ゆっくりたちはそちらに振られた。
『奉仕奴隷ゆっくり』に求められるのは、有能さに加えて、素直さや理性、分別、何より人間に従順かであるということである。
自分勝手で本能の赴くままに生きるゆっくりが、『奉仕奴隷ゆっくり』となれる可能性は低い。
だが、ゆっくりの元でどれいとしてこき使われたゆっくりは、人間に対しても従順であるという確率が高いのだ。
群れのどれいゆっくりたちの大半はそちらにあてがわれた。
とはいえ、奴隷は奴隷。
使い捨てられて、そのまま処分されることや、使えないと判断されての処分もある。
だが使える奴隷ゆっくりは……ある種のステータスとなっていた。
それはある意味、娯楽の一部にまでなっていた。
人々は労せずに使えるゆっくりを手に入れたがった。
そこで生まれた職業が『奴隷ゆっくり調教師』である。
調教師はゆっくり浚いの人間に注文をだし、それに見合ったゆっくりを優秀な奴隷ゆっくりへと育て、それを売るのが仕事だ。
なお、群れを襲った男たちは企業に雇われたゆっくり浚いである。
数によって報酬が変動するため、おおざっぱな区分はするが質は気にしないのだ。
調教師に買われたまりさは毎日のように教育を受けた。
掃除や洗濯、料理から買い物の仕方。
働くときは帽子を脱ぐ事。
奴隷ゆっくりの在り方など。
間違ったりした時は鞭で叩かれたりしたが、以前に比べればそこまでつらいものではなかった。
月日がたち、言葉遣いも矯正されてきた頃、玄関のチャイムが鳴った。
「いま、おあけます」
まりさが玄関を開けると一人の男が立っていた。
「……は、いるか?」
客人は調教師の男の所在を尋ねてくる。
「ただいまおよびします。こちらでゆっくりおまちください」
客人を居間へと案内し男を呼ぶ。
やがて男がやってきて、客人となにやら話を始めた。
「それで、注文のものは?」
客人が尋ねる。
「ああ。これだ」
男はまりさを見る。
「?」
「これか?大丈夫なのか?」
「ああ。注文どおりだ。料理や洗濯、家事の一通りをこなせるぞ」
「ん」
「ごしゅじんさま?」
まりさは男に尋ねる。
「まりさ。今日からお前のご主人様は彼だ」
そして男はまりさの首から黒い首輪を外し、客人に金色の首輪を渡す。
「よし。じゃあ、コレをお前がつけてくれ」
男が客人に他の新しい首輪を渡す。
首輪を受け取った男は椅子から立ち上がりまりさに近づく。
まりさは男を見上げる。
無表情で、何を考えているかわからない。
だが、恐い感じはしなかった。
「じゃあ頼むぞ。まりさ」
カチリ
男によって金色の首輪がはめられた。
その瞬間、まりさは客人の男の奴隷となった。
男の家での奴隷としての生活は、調教師の男の家の生活とほとんど変わらなかった。
今まで教えてもらってきた事を、男に言われる前にこなして行くのがまりさの仕事だった。
男は朝家を出て、夜に帰ってくるという生活だった。
何をしているかはよくわからなかった。
たまに家にいるときは常に机と向き合っているばかりだ。
男はまりさに必要以上に接触してこなかったし、まりさも奴隷として、ご主人様である男に自ら話しかけることはなかった。
ある日、男が珍しく早めに帰宅した。
「まりさ、飯の用意はしてあるか?」
「はい。してあります」
男はカレーが好きだった。
まりさは調教師にカレーの作り方を徹底的に教えられていた。
辛いものが毒となるゆっくりが、辛い料理を作るのは中々骨が折れることだったが、まりさはカレーの作り方をしっかりと身に着けていた。
隠し味のはちみちとりんご、一晩寝かせた辛口カレー。
まりさはここに来て初めて男に料理をだした。
ちゃんと出来ているかとまりさは内心ドキドキしながら男の傍らに立っていた。
男がカレーに口をつける。
男は黙々とカレーを食べ続け、ついにお皿は空になった。
「まりさ」
「はいっ!」
「おいしかった。たいしたものだな」
「……」
まりさは答えない。
「まりさ?」
「……! は、はい!」
「どうした?」
「あの……ごしゅじんさま……。ほんとうにおいしかったですか?」
「ん?ああ、おいしかった。店のカレーよりおいしかったぞ。ん……そうか、確か褒めるときはこう言うのだったな
『まりさ。ゆっくりしていってね』」
男は微笑みながらまりさの頭をポンポンとした。
その日の夜、まりさは与えられた屋根裏部屋の自分の部屋で泣いていた。
「ゆぅぅぅぅ……ゆぅぅぅぅぅ~」
『奴隷』になって、初めて『ゆっくりしていってね』といわれた。
その瞬間、とてもゆっくりした気持ちになった。
ゆっくりしたのだ。
奴隷であり、もう二度とゆっくりできないと諦めていた。
なのに、また、ゆっくりできたのだ。
「ゆっくりできるよぉ~ゆっくりしていいんだよぉ~ゆぅぅぅぅぅ!!」
その日から男は帰宅が早くなった。
食べるのは決まってまりさのカレー。
まりさは毎回、微妙に味を変えたりして男が飽きないようにした。
まれにお気に召さないときがあったが、むしろ男はそれを楽しんでいる節もあった。
男がゆっくりとした表情でカレーを食べる。
それを見てまりさもゆっくりできた。
やがてまりさ気づいた。
男といるとゆっくり出来ている自分に。
奴隷の自分に『ゆっくりしていってね』と言ってくれた男。
なんだか日々が明るくなった気がした。
そして、ある日、服が生えた。
起きたら服を身に着けていたのだ。
「ごしゅじんさま。ふくがはえました」
「ん?そうか。まりさはゆっくりしていたのか。似合ってるじゃないか。その調子でゆっくりしていってくれ」
ある時、大勢の人が集まるパーティーに連れ添った。
生えてきた服と外出時にかぶる欠けた帽子を被って。
そこには人間とその元に仕える奴隷ゆっくりが多数いた。
その奴隷ゆっくりのほとんどが服をはやしたゆっくりだった。
「なんと。お宅のまりさは服が生えたのですか。よく管理なさっているのですな」
「いえ。別に私は何もしていません」
男は目の前にいる人間と違って、しっかりと働ける奴隷ゆっくりを求めていただけだった。
だが、その男の何気ない優しさが、今までゆっくりを知らなかったまりさをゆっくりさせていたのだ。
「何をおっしゃいます。飾りが欠けているのに生えるとは中々ありませんよ」
「そうですか。まあ、それでもまりさはゆっくりできたのでしょう」
人間が褒めるの男のまりさに対する行き届いた管理についてだったが、まりさは男が褒められると嬉しかった。
そして月日は流れ……今に至る。
まりさは昔の事を思い出す。
森にいた時のことを考えるとゆっくり出来ない気持ちになる。
でも今はとてもゆっくり出来る。
主人れいむやまりさのことは……特に恨んでいない。
だって、今では自分と同じ奴隷なのだ。
人間の奴隷。
この首輪がその証。
ゆっくり出来ないはずの奴隷。
でも、自分はゆっくりできる。
そう思うと、この証さえ、ゆっくり出来るもののように思える。
まりさはこの証を大事にしようと思った。
自分とご主人様をつなぐ―――『くびき』であるこの証を。
「帰ったぞ」
「おかえりなさいませ。ごしゅじんさま!」
長い……ここまで読んでくださった方がいましたら、本当にありがとうございました。
長すぎていろいろと矛盾や誤字脱字がありそう。集中力の低下が著しい。
そして書いている途中でほかの作家さんが書いたネタと微妙に被っているのがわかり、非常に出しづらかったのは内緒w
読んでくださりありがとうございました。
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