ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2224 ヴェール
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ankoss
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小ネタ 気持ちの悪い描写注意 ゆっくりホラー ほんのり黒二行作
ゆっくりしていってね!!! という余りにもお決まりのセリフ。テンプレでなかったのは、その声が私の脇腹から聞こえてきたことだ。
慌ててシャツをめくる。
左脇腹の一部だけが小さな山のようになっていて、盛り上がった皮膚の下、何かが蠢いている。
山の両端が不規則に脈動していた、まるで線虫のようなものが皮下で走り回っている。
理解せざるを得ない。小さなれいむが私の脇腹の皮膚と肉の間にいる。
私は恐ろしかった。グロデスクな生きたデキモノが、ではない。それに何の痛みも感じないことの方がよっぽど不気味だった。
両手で腫物をぎゅっと押える。そこにいてはいけない生き物を圧死させようと力む。意外にもあっさりと肉と皮に挟まれて闖入者は潰れてくれた。
額の汗を拭う。右手が左端から右のこめかみにまで到ろうとする寸前、尖ったように突き出た腫物が手の平に触れた。
柔らかいデキモノは生命線をなぞるように小刻みに震え、またあの言葉を発そうとする。
ゆっくりしてい
言い終えられる前に、瘤の中のまりさを握り潰す。
そして、今度ははっきりとした違和感が襲った。両頬が同時に重くなる。
指先が触れると、ただ丸い手触りが伝わる。ありすだろうか、みょんだろうか、それともぱちゅりーだろうか、分からない。
頭頂に乗られた気がした。最早触る気にもなれなかったが、何の種がいるのかは分かる。長い2本の尻尾が私の中をなぞっているからだ。
重い、重い、頭が重い。叩いても叩いてもゆっくりが頭蓋を覆う肉と皮の間に生えてきて、重い、重い、頭が重い。
私はたまらず頭で頭を振り払った。
デバイスが床に叩きつけられた音で我に帰る。
まるで水中散歩に使われるような、大きな管付きのヘルメット。それはつい今しがたまで私が被っていた体感型のモニターだった。
いつもは楽しい物語を体験できるのだが、今日に限って随分酷い作品を選んでしまったようだ。人間がゆっくりに取り憑かれるなんて。
あのおぞましい時間を思い出してしまって、私は思わず頬を掻き、首を掻き、脇腹を掻いた。
そしてもう一度頬を強く掻き毟ると、剥がれるような感触が頬に広がり、滲むような痛みと共に、血がたらりと唇の方へ伝わっていく。
それが、甘い。
「おい、3号! 娯楽室の利用時間は過ぎている! 聞こえているのか!」
ドアが激しく打ち鳴らされている。今度は手の平を傷にべったりと寄せ、付いたものをゆっくりと舐めとった。
ああ、甘い。
濡れた手を眺める。そこに五指はなく、まるで何かの底のように柔らかく広がっていて。
そうだ、わたしは、にんげんではなかったのだ。
(終)
感想板:http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1274852937/
過去作:http://www26.atwiki.jp/ankoss/pages/392.html
小ネタ 気持ちの悪い描写注意 ゆっくりホラー ほんのり黒二行作
ゆっくりしていってね!!! という余りにもお決まりのセリフ。テンプレでなかったのは、その声が私の脇腹から聞こえてきたことだ。
慌ててシャツをめくる。
左脇腹の一部だけが小さな山のようになっていて、盛り上がった皮膚の下、何かが蠢いている。
山の両端が不規則に脈動していた、まるで線虫のようなものが皮下で走り回っている。
理解せざるを得ない。小さなれいむが私の脇腹の皮膚と肉の間にいる。
私は恐ろしかった。グロデスクな生きたデキモノが、ではない。それに何の痛みも感じないことの方がよっぽど不気味だった。
両手で腫物をぎゅっと押える。そこにいてはいけない生き物を圧死させようと力む。意外にもあっさりと肉と皮に挟まれて闖入者は潰れてくれた。
額の汗を拭う。右手が左端から右のこめかみにまで到ろうとする寸前、尖ったように突き出た腫物が手の平に触れた。
柔らかいデキモノは生命線をなぞるように小刻みに震え、またあの言葉を発そうとする。
ゆっくりしてい
言い終えられる前に、瘤の中のまりさを握り潰す。
そして、今度ははっきりとした違和感が襲った。両頬が同時に重くなる。
指先が触れると、ただ丸い手触りが伝わる。ありすだろうか、みょんだろうか、それともぱちゅりーだろうか、分からない。
頭頂に乗られた気がした。最早触る気にもなれなかったが、何の種がいるのかは分かる。長い2本の尻尾が私の中をなぞっているからだ。
重い、重い、頭が重い。叩いても叩いてもゆっくりが頭蓋を覆う肉と皮の間に生えてきて、重い、重い、頭が重い。
私はたまらず頭で頭を振り払った。
デバイスが床に叩きつけられた音で我に帰る。
まるで水中散歩に使われるような、大きな管付きのヘルメット。それはつい今しがたまで私が被っていた体感型のモニターだった。
いつもは楽しい物語を体験できるのだが、今日に限って随分酷い作品を選んでしまったようだ。人間がゆっくりに取り憑かれるなんて。
あのおぞましい時間を思い出してしまって、私は思わず頬を掻き、首を掻き、脇腹を掻いた。
そしてもう一度頬を強く掻き毟ると、剥がれるような感触が頬に広がり、滲むような痛みと共に、血がたらりと唇の方へ伝わっていく。
それが、甘い。
「おい、3号! 娯楽室の利用時間は過ぎている! 聞こえているのか!」
ドアが激しく打ち鳴らされている。今度は手の平を傷にべったりと寄せ、付いたものをゆっくりと舐めとった。
ああ、甘い。
濡れた手を眺める。そこに五指はなく、まるで何かの底のように柔らかく広がっていて。
そうだ、わたしは、にんげんではなかったのだ。
(終)
感想板:http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1274852937/
過去作:http://www26.atwiki.jp/ankoss/pages/392.html