ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2240 トモダチ
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トモダチ 8KB
観察 思いやり 越冬 希少種 自然界 人間なし 初投稿です。よろしくお願いします
初投稿です。よろしくお願いします。
季節は秋の終わり。
豊穣をつかさどる姉妹が去り冬を告げる妖怪があらわれる頃。
「ゆっゆっゆっ」
一匹のゆっくりが来るべき冬籠りに向けて巣の入り口を補強している。それだけならばどこでも見られる普通の光景なのだが・・・
「これでけっかいっはかんぺきね!あたいったらさいきょーね!」
けっかいっを作り冬籠りの準備をしているのはゆっくりちるのだった。
本来ちるの種はれてぃ種と同じように冬籠りなどしない、むしろ冬は積極的に野外で活動する。中身がアイスでできているチルノ種は寒ければ寒いほどすごしやすいのだ。
では、そのちるのがなぜ冬籠りの準備をしているのかというと、
「ちるのちゃーん、けっかいさんはできたー?」
「かんっぺきだよ、だいちゃん。」
このちるのには同居人がいるのだ。なぜ冬籠りなど必要ないちるのがゆっくりだいようせいと共に暮らしているのか、事の始まりは今年の春まで遡る。
春、それは長く過酷な冬をのりこえたゆっくりにのみ与えられ、文字通りのゆっくりを心行くまで謳歌する事ができる最高の季節。
つらかった冬の記憶を忘れようとするかのように、あるものは春の恵みを堪能し、またあるものは日向ぼっこを楽しむ。そして、つがいで冬を乗り切ったものは待望のすっきりーをし、生き残った子どもたちは巣立ちをむかえ、あらたなつがいを得る。
春はゆっくりにとってあらたな家族を得る季節でもあるのだ。
だがその中で、
「さいきょーのあたいとゆっくりしていってね。」
「さむくてゆっくりできないちるのはあっちにいってね!れいむはこのまりさとゆっくりするよ!」
「そうなんだぜ。はやくむこうにいくんだぜ。とっとといかないとせいっさいしてやるんだぜ?」
「ゆぅー」
ちるのはつがいを見つけるどころかまともに相手をしてさえもらえなかった。
こうなった理由として、ゆっくりは寒さに弱い生物であるということがある。
ちるのは飛行能力を持っておりゆっくりにしては破格な身体能力を持っているが、常に微量な冷気を発しておりそのせいで一般のゆっくりには嫌われている。
その為ちるの種はちるの種同士でつがいになるのが一般的である。
ところがこのちるのは、冬の最中に家族が雪崩に巻き込まれてしまったのに加えて近くにほかのちるの種は住んでおらず、天涯孤独の身となっていた。
寂しさのあまり通常種のゆっくり達に声をかけて回っているがまったく成果はなく、仲良くなるどころか話さえさせてもらえず、ひどい時は暴力をふるわれることもあった。
そんな日々がしばらく続いたある日、いつものように他のゆっくりをさがして森の中を歩き回っていたちるのは、あいかわらずあがらない成果のためかつい熱中してしまい、いつもならこないような場所にまできてしまった。
そこは日当たりも良くなく鬱葱としており、気味が悪くなったちるのはさっさとおうちに帰ろうとしたのだが、そこでなにかを集めているゆっくりを見つけた。
今度こそはと思い、ちるのはさっそく近寄ってお決まりのあいさつをする。
「ゆっくりしていってね!」
するとそのゆっくりはとても驚いた様子だったが一呼吸置いた後、ゆっくりならば当たり前の、だが久しく聞いていなかった言葉が返ってきた。
「ゆっ、ゆっくりしていってね。」
「あたいはちるのだよ。」
「わたしはだいようせいだよ。」
「だいちゃん、あたいとゆっくりしようよ。」
「うん、ゆっくりしていってね、ちるのちゃん。」
今まであいさつさえ満足に返してもらえなかったちるのはうれしくなり
「ゆっくり、ゆっくり、あたいったらさいきょーね」
元気にその場ではね始めた。
それ以来二匹は常に一緒にいることになったのだ。
そして現在、そのような理由から、ちるのはだいようせいに合わせて冬籠りの準備をしていた。
巣の入り口を塞いだちるのは奥の居住スペースまで戻ってきた。更にその奥の貯蔵庫には食料がうずたかく積まれている。これは秋の間にちるのがその飛行能力を生かして食べ物を集めた結果であり、これはゆっくり二匹が冬を越すには十分すぎるほどの量である。
その間だいようせいは巣の補強や枯れ葉や鳥の羽根で作ったお布団作りなどに勤しんでおり、ゆっくりが作ったにしては丈夫で立派すぎる家を作ることができた。
「これでかんっぺきだねだいちゃん!」
「そうだね。いっしょにゆっくりしようね、ちるのちゃん。」
こうして二匹の冬籠りはスタートした。
開始当初は順風満帆かと思われた冬籠りであったが、一か月ほどたったころから、だいようせいの様子がおかしくなりはじめる。動くこともつらくなり、寝床からも出てこれなくなったのだ。
「だいちゃんだいじょうぶ?きょうはだいちゃんがすきないもむしさんをたべようよ。」
「ごめんね、ちるのちゃん。あまりおなかがすかないの。」
「だめだよ、しっかりたべないとゆっくりできなくなっちゃうよ!」
ちるのの献身的な看護も効果はなく、だいようせいは日に日に弱っていった。
「ゆぅーこのままじゃ。そうだっ!だいちゃん。あたい、おそとにいってあまあまをさがしてくるね!!」
「だめだよ、おそとはさむいしあぶないよ、ちるのちゃん。」
「さいきょーのあたいならだいじょうぶよ。だいちゃんはゆっくりやすんでいてね!」
「あっ、ちるのちゃんまって・・・」
だいようせいが止めるのも聴かずちるのは外に飛び出したのだが季節は冬、野生のあまあまである野苺などは既に枯れ果てており、一日中飛び回ってはみたものの、何の収穫も得ることはできなかった。
次の日、また次の日とちるのはあまあまを探し回るも収穫などはあるはずもなく、そのまま一週間が過ぎてしまったのだが、その間にだいようせいの体調はだんだんと回復しなんとか動き回れるほどにはなっていた。
「ちるのちゃんががんばってくれたおかげでげんきがでてきたよ。ゆっくりありがとう。」
「さいきょーのあたいにかかればらくしょーね!!」
実際にはなんの役にも立ってはいないのだが、だいようせいに元気が出てきた事がうれしかったちるのは無邪気に喜んでいた。
そしてだいようせいにもっと元気になってもらう為にも今日こそは、とあまあまを見つけようとしたちるのだったが、この日の天気はあいにくと猛吹雪
寒さに強いちるの種とはいえ、流石にこの吹雪の中外に出ていては永遠にゆっくりしてしまう可能性が高い。故にこの日の狩りはあきらめざるをえなかった。
「しょうがないよちるのちゃん、きょうはおうちでいっしょにゆっくりしようね。」
正直なところそれでもちるのは狩りに未練があったのだが、だいようせいの言葉を聞くとそっちの方がゆっくりできそうだと思いなおし今日一日は久しぶりにだいようせいとゆっくりすることにした。
「だったらまずはいっぱいごはんをむーしゃむーしゃしようね。だいちゃんはとくにいっぱいたべないとだめだからね。」
「ゆふふ、わかったよ、ちるのちゃん。」
その日は一日中だいようせいのお歌をきいたりおしゃべりをしたりして、ちるのは満足いくまでゆっくりすることができた。
しかし、次の日からだいようせいの体調がまた悪化し始めた。
ちるのは外に狩りに出かけるつもりだったが吹雪は昨日から弱まるどころかさらに強くなっておりとても出かけられる状態ではなく、結局その日もだいようせいを励ましながらやきもきしながら吹雪が止むのを待つしかなかった。
次の日もその次の日も吹雪は止むことはなく、ますます元気がなくなっていくだいようせいを見てちるのは遂にいてもたってもいられなくなり外へ飛び出そうとするが
「まって、ちるのちゃん・・・、おねがい、いっしょにいて・・・。」
そこでだいようせいの声が掛かりあんよを止めた。
「だいちゃん、だいちゃん、だいじょうぶなの?ぺーろぺーろするよ。ゆっくりよくなってね。」
「ちるのちゃんあのね、おねがいがあるの。すーりすーりをしてほしいな?」
「ゆっ!」
意外かもしれないが、この二人はいまだすーりすーりをしたことがなかった。
自分の冷気が原因で他のゆっくりから疎まれていたちるのは、自分の体の冷たさによってだいようせいにも嫌われてしまうのではないかと思い、今まで一度もゆっくりとって最高の親愛の情であるすーりすーりをしようしなかったのだ。
だいようせいもそれとなく察し、いままですーりすーりを求めるようなことはしなかった
「おねがい、ちるのちゃん・・・」
普段主張をしないだいようせいのお願いに珍しく少し悩んだ様子のちるのだったが意を決したように
「ゆっ、だいちゃん、すーりすーりするよ!すーりすーり。」
と、すーりすーりを始めた。
「ゆぅ、ちるのちゃんのすーりすーりはあったかいね。」
だいようせいは今にも消え入りそうな声でちるのに話しかける。
「ごめんね、ちるのちゃん。わたし、もうずっとゆっくりしちゃうみたい・・・。」
「だめだよだいちゃん!ほら、すーりすーりだよ、すーりすーり。」
「ちるのちゃん、だいすきだよ。だから、これからも・・・ゆっくりしていってね・・・」
「だいちゃん!だいちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん。」
ちるのがいくら泣き叫んでも二度とだいようせいが目をあけることはなかった・・・・・・
聡明な皆様はお気づきかもしれないがだいようせいが死んだ原因それは他ならぬ
ちるの自身が発する冷気のせいであった。
だが、なぜだいようせいはちるのから離れる事もせず死んでいったのか?
その説明のために、ここでゆっくりだいようせいという種族について話をしよう。
ゆっくりだいようせいは希少種に分類されてはいるが、他の希少種のように生まれにくいということはない。
他の希少種のように特殊な能力を持っていたりするわけでもなく、ぱちゅりー種のように賢かったりするわけでもなく、むしろ身体能力的には通常種に比べても劣っていた。
これらの事から必然的に善良で、食糧的に余裕のある群れでもない限りだいようせいは足手まといとして他のゆっくりから疎まれてしまうのだ。
その為このだいようせいは群れから追い出され、離れたところで孤独な生活をしていた
2匹の境遇はまったく同じであったのだ、故に唯一の友人を失うことをなによりも恐れた。
このまま行けばちるのは無事に越冬を成功させるであろう。巣には大量の食糧が残っているしなによりちるの種は本来冬籠り等必要ないのだから。しかしちるのは何故だいようせいを失ってしまったのかには気づかない、だいようせい自身の発した言葉のために。
来年、また同じ悲劇が繰り返されるかもしれないが、それは神のみぞ知るところである。
よろしければこちらの方まで感想をお願いします。
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/13854/
観察 思いやり 越冬 希少種 自然界 人間なし 初投稿です。よろしくお願いします
初投稿です。よろしくお願いします。
季節は秋の終わり。
豊穣をつかさどる姉妹が去り冬を告げる妖怪があらわれる頃。
「ゆっゆっゆっ」
一匹のゆっくりが来るべき冬籠りに向けて巣の入り口を補強している。それだけならばどこでも見られる普通の光景なのだが・・・
「これでけっかいっはかんぺきね!あたいったらさいきょーね!」
けっかいっを作り冬籠りの準備をしているのはゆっくりちるのだった。
本来ちるの種はれてぃ種と同じように冬籠りなどしない、むしろ冬は積極的に野外で活動する。中身がアイスでできているチルノ種は寒ければ寒いほどすごしやすいのだ。
では、そのちるのがなぜ冬籠りの準備をしているのかというと、
「ちるのちゃーん、けっかいさんはできたー?」
「かんっぺきだよ、だいちゃん。」
このちるのには同居人がいるのだ。なぜ冬籠りなど必要ないちるのがゆっくりだいようせいと共に暮らしているのか、事の始まりは今年の春まで遡る。
春、それは長く過酷な冬をのりこえたゆっくりにのみ与えられ、文字通りのゆっくりを心行くまで謳歌する事ができる最高の季節。
つらかった冬の記憶を忘れようとするかのように、あるものは春の恵みを堪能し、またあるものは日向ぼっこを楽しむ。そして、つがいで冬を乗り切ったものは待望のすっきりーをし、生き残った子どもたちは巣立ちをむかえ、あらたなつがいを得る。
春はゆっくりにとってあらたな家族を得る季節でもあるのだ。
だがその中で、
「さいきょーのあたいとゆっくりしていってね。」
「さむくてゆっくりできないちるのはあっちにいってね!れいむはこのまりさとゆっくりするよ!」
「そうなんだぜ。はやくむこうにいくんだぜ。とっとといかないとせいっさいしてやるんだぜ?」
「ゆぅー」
ちるのはつがいを見つけるどころかまともに相手をしてさえもらえなかった。
こうなった理由として、ゆっくりは寒さに弱い生物であるということがある。
ちるのは飛行能力を持っておりゆっくりにしては破格な身体能力を持っているが、常に微量な冷気を発しておりそのせいで一般のゆっくりには嫌われている。
その為ちるの種はちるの種同士でつがいになるのが一般的である。
ところがこのちるのは、冬の最中に家族が雪崩に巻き込まれてしまったのに加えて近くにほかのちるの種は住んでおらず、天涯孤独の身となっていた。
寂しさのあまり通常種のゆっくり達に声をかけて回っているがまったく成果はなく、仲良くなるどころか話さえさせてもらえず、ひどい時は暴力をふるわれることもあった。
そんな日々がしばらく続いたある日、いつものように他のゆっくりをさがして森の中を歩き回っていたちるのは、あいかわらずあがらない成果のためかつい熱中してしまい、いつもならこないような場所にまできてしまった。
そこは日当たりも良くなく鬱葱としており、気味が悪くなったちるのはさっさとおうちに帰ろうとしたのだが、そこでなにかを集めているゆっくりを見つけた。
今度こそはと思い、ちるのはさっそく近寄ってお決まりのあいさつをする。
「ゆっくりしていってね!」
するとそのゆっくりはとても驚いた様子だったが一呼吸置いた後、ゆっくりならば当たり前の、だが久しく聞いていなかった言葉が返ってきた。
「ゆっ、ゆっくりしていってね。」
「あたいはちるのだよ。」
「わたしはだいようせいだよ。」
「だいちゃん、あたいとゆっくりしようよ。」
「うん、ゆっくりしていってね、ちるのちゃん。」
今まであいさつさえ満足に返してもらえなかったちるのはうれしくなり
「ゆっくり、ゆっくり、あたいったらさいきょーね」
元気にその場ではね始めた。
それ以来二匹は常に一緒にいることになったのだ。
そして現在、そのような理由から、ちるのはだいようせいに合わせて冬籠りの準備をしていた。
巣の入り口を塞いだちるのは奥の居住スペースまで戻ってきた。更にその奥の貯蔵庫には食料がうずたかく積まれている。これは秋の間にちるのがその飛行能力を生かして食べ物を集めた結果であり、これはゆっくり二匹が冬を越すには十分すぎるほどの量である。
その間だいようせいは巣の補強や枯れ葉や鳥の羽根で作ったお布団作りなどに勤しんでおり、ゆっくりが作ったにしては丈夫で立派すぎる家を作ることができた。
「これでかんっぺきだねだいちゃん!」
「そうだね。いっしょにゆっくりしようね、ちるのちゃん。」
こうして二匹の冬籠りはスタートした。
開始当初は順風満帆かと思われた冬籠りであったが、一か月ほどたったころから、だいようせいの様子がおかしくなりはじめる。動くこともつらくなり、寝床からも出てこれなくなったのだ。
「だいちゃんだいじょうぶ?きょうはだいちゃんがすきないもむしさんをたべようよ。」
「ごめんね、ちるのちゃん。あまりおなかがすかないの。」
「だめだよ、しっかりたべないとゆっくりできなくなっちゃうよ!」
ちるのの献身的な看護も効果はなく、だいようせいは日に日に弱っていった。
「ゆぅーこのままじゃ。そうだっ!だいちゃん。あたい、おそとにいってあまあまをさがしてくるね!!」
「だめだよ、おそとはさむいしあぶないよ、ちるのちゃん。」
「さいきょーのあたいならだいじょうぶよ。だいちゃんはゆっくりやすんでいてね!」
「あっ、ちるのちゃんまって・・・」
だいようせいが止めるのも聴かずちるのは外に飛び出したのだが季節は冬、野生のあまあまである野苺などは既に枯れ果てており、一日中飛び回ってはみたものの、何の収穫も得ることはできなかった。
次の日、また次の日とちるのはあまあまを探し回るも収穫などはあるはずもなく、そのまま一週間が過ぎてしまったのだが、その間にだいようせいの体調はだんだんと回復しなんとか動き回れるほどにはなっていた。
「ちるのちゃんががんばってくれたおかげでげんきがでてきたよ。ゆっくりありがとう。」
「さいきょーのあたいにかかればらくしょーね!!」
実際にはなんの役にも立ってはいないのだが、だいようせいに元気が出てきた事がうれしかったちるのは無邪気に喜んでいた。
そしてだいようせいにもっと元気になってもらう為にも今日こそは、とあまあまを見つけようとしたちるのだったが、この日の天気はあいにくと猛吹雪
寒さに強いちるの種とはいえ、流石にこの吹雪の中外に出ていては永遠にゆっくりしてしまう可能性が高い。故にこの日の狩りはあきらめざるをえなかった。
「しょうがないよちるのちゃん、きょうはおうちでいっしょにゆっくりしようね。」
正直なところそれでもちるのは狩りに未練があったのだが、だいようせいの言葉を聞くとそっちの方がゆっくりできそうだと思いなおし今日一日は久しぶりにだいようせいとゆっくりすることにした。
「だったらまずはいっぱいごはんをむーしゃむーしゃしようね。だいちゃんはとくにいっぱいたべないとだめだからね。」
「ゆふふ、わかったよ、ちるのちゃん。」
その日は一日中だいようせいのお歌をきいたりおしゃべりをしたりして、ちるのは満足いくまでゆっくりすることができた。
しかし、次の日からだいようせいの体調がまた悪化し始めた。
ちるのは外に狩りに出かけるつもりだったが吹雪は昨日から弱まるどころかさらに強くなっておりとても出かけられる状態ではなく、結局その日もだいようせいを励ましながらやきもきしながら吹雪が止むのを待つしかなかった。
次の日もその次の日も吹雪は止むことはなく、ますます元気がなくなっていくだいようせいを見てちるのは遂にいてもたってもいられなくなり外へ飛び出そうとするが
「まって、ちるのちゃん・・・、おねがい、いっしょにいて・・・。」
そこでだいようせいの声が掛かりあんよを止めた。
「だいちゃん、だいちゃん、だいじょうぶなの?ぺーろぺーろするよ。ゆっくりよくなってね。」
「ちるのちゃんあのね、おねがいがあるの。すーりすーりをしてほしいな?」
「ゆっ!」
意外かもしれないが、この二人はいまだすーりすーりをしたことがなかった。
自分の冷気が原因で他のゆっくりから疎まれていたちるのは、自分の体の冷たさによってだいようせいにも嫌われてしまうのではないかと思い、今まで一度もゆっくりとって最高の親愛の情であるすーりすーりをしようしなかったのだ。
だいようせいもそれとなく察し、いままですーりすーりを求めるようなことはしなかった
「おねがい、ちるのちゃん・・・」
普段主張をしないだいようせいのお願いに珍しく少し悩んだ様子のちるのだったが意を決したように
「ゆっ、だいちゃん、すーりすーりするよ!すーりすーり。」
と、すーりすーりを始めた。
「ゆぅ、ちるのちゃんのすーりすーりはあったかいね。」
だいようせいは今にも消え入りそうな声でちるのに話しかける。
「ごめんね、ちるのちゃん。わたし、もうずっとゆっくりしちゃうみたい・・・。」
「だめだよだいちゃん!ほら、すーりすーりだよ、すーりすーり。」
「ちるのちゃん、だいすきだよ。だから、これからも・・・ゆっくりしていってね・・・」
「だいちゃん!だいちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん。」
ちるのがいくら泣き叫んでも二度とだいようせいが目をあけることはなかった・・・・・・
聡明な皆様はお気づきかもしれないがだいようせいが死んだ原因それは他ならぬ
ちるの自身が発する冷気のせいであった。
だが、なぜだいようせいはちるのから離れる事もせず死んでいったのか?
その説明のために、ここでゆっくりだいようせいという種族について話をしよう。
ゆっくりだいようせいは希少種に分類されてはいるが、他の希少種のように生まれにくいということはない。
他の希少種のように特殊な能力を持っていたりするわけでもなく、ぱちゅりー種のように賢かったりするわけでもなく、むしろ身体能力的には通常種に比べても劣っていた。
これらの事から必然的に善良で、食糧的に余裕のある群れでもない限りだいようせいは足手まといとして他のゆっくりから疎まれてしまうのだ。
その為このだいようせいは群れから追い出され、離れたところで孤独な生活をしていた
2匹の境遇はまったく同じであったのだ、故に唯一の友人を失うことをなによりも恐れた。
このまま行けばちるのは無事に越冬を成功させるであろう。巣には大量の食糧が残っているしなによりちるの種は本来冬籠り等必要ないのだから。しかしちるのは何故だいようせいを失ってしまったのかには気づかない、だいようせい自身の発した言葉のために。
来年、また同じ悲劇が繰り返されるかもしれないが、それは神のみぞ知るところである。
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