ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2507 いのちはたいせつ 中篇
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ankoss
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『いのちはたいせつ 中篇』 35KB
虐待 日常模様 引越し 家出 共食い 番い 飼いゆ 野良ゆ 姉妹 子ゆ ゲス ペットショップ 愛護人間 虐待人間 独自設定 うんしー 続きです
中編です。 先に前編をお読みになるようお願いします
11
「どごおおおおおおおおおおおお!? がばいいでいぶのおじびじゃんどごにいっだのおおおおお!?」
朝日がようやく顔を出し、うっすらと明るくなり始めた早朝
親れいむの鳴き声でにおねーさんは飛び起きた
「ど、どうしたの? れいむちゃん落ち着いてね!?」
「なんなのれいむ・・・おちびちゃんがおきちゃ・・・ゆわああああああああ!
おちびちゃんがいなぐなっでるううううううううううううう!!!!」
「ええっ!?」
れいむの額からはおちびちゃんがたわわに実った茎がなくなっていた
昨日の夜寝る前までは確かに生えていたのに、いまは根っこから引き抜かれて跡形もなくなっている
「ゆんやあああああああ! れいむのおじびじゃああああああああああん!」
「どういうことなの!? まりさなんにもわかんないよ!! おねーさんおじえでよおおおおおおお!!!」
「私に聞かれてもわからないよぉ! ねえぱちゅりー何か知って・・・あ」
ぱちゅりーの住んでいるゆっくりハウスをみると、中にはおちびちゃんの実った茎が牛乳瓶に挿してあった
実ゆっくり達は安らかな笑みを浮かべてゆっくりと眠っている
どうやら命に別条はないようだ
「ねぇ! ぱちゅりー! これはいったいどういうことなの!?」
「むきゅわわわわぁ・・・ おねーさんゆっくりおはよう」
「欠伸なんかしてないで答えてよ! これはどういうことなの!?」
「むきゅん、そうせかさないでほしいわ。 いまからちゃんとせつめいしてあげるから・・・
おねーさんはあんこがおやからおちびちゃんにうけつがれるのはしっているかしら」
「・・・知ってる。 図書館で借りた本にそう書いてあった」
「ならはなしがはやいわ
おやからうけつがれたあんこはおやの“きおく”がはいっているの
その“きおく”をうけつぐと、おやとおなじようなせいかくのゆっくりにそだつわ
あのれいむとまりさは、もはやかんっぜん!にげすかしてしまっているわ
そんなおやからあんこをうけついだりしたら、うまれたじてんでげすになっちゃうのよ
そうなったらもうどんなにべんきょうしてもむだ・・・
じぶんかってにかんがえて、わがままばっかりいう、げすなゆっくりにしかそだたないわ
だから、おやからあんこをうけつがない“くりーん”なじょうたいでおちびちゃんをそだてるひつようがあったの」
「だからってなんで茎を引き抜いたりしたの? おちびちゃんが死んじゃったら元も子もないでしょう?」
「むきゅー。 おねえさんはべんきょうぶそくね・・・ひつようなちしきがまるでたりていないわ」
「・・・・・・ギリッ!」
「くきさんはね、べつにおやのひたいにはえてなくてもいいのよ
くきさんのねっこがあまあまにつながっていればおちびちゃんはちゃんとそだつの
おねーさんにかってきてもらったがむしろっぷさんをたっぷりすっておちびちゃんたちはごきげんよ!」
「へーそーなんだー・・・ でもお母さんから切り離されたらゆっくりできないんじゃないかなぁ!
ねぇ、そうおもわないのかなぁ!!」
「・・・おねーさん? どうかしたの? ちょっとおかしいわよ?」
おねーさんは両手の拳をギリりと握りしめて歯を食いしばっていた
両目でぱちゅりーの瞳を射抜くように見つめ、わなわなと身体が震えている
一目見ればそれは怒りを抑えているという様子だと解るだろうが、ぱちゅりーも所詮はゆっくりなのかそのことに気付いていなかった
「おなかさんがいたいの? はやくといれにいったほうがいいとおもうわぁ・・・」
「べつにトイレに行きたいわけじゃありませんから」
「ならどうしたっていうの? まさか、といれにまにあわなかったとか・・・」
「そういうわけではありません。 心配しないでも結構です」
「・・・むきゅん? おねーさん、おしゃべりのしかたがへんよ?」
「いつも通りなのでどこもおかしくありません」
「・・・そう、ならいいけど」
おねーさんは怒っていた
見下したような態度で話すぱちゅりーに論破され怒りが沸点に達してしまった
勿論ぱちゅりーには見下すとかその気はなかったが、プライドを酷く傷つけられたおねーさんにはそう思えたのだ
今まで積み重ねてきた不満がぶり返して苛立ちばかりがつのってゆく
「その子たちの世話は全部任せますのでよろしくお願いします
私がやってもどうせゲス化させてしまいますからね」
「むきゃ! さっきからなんなのかしらそのたいどは
まるでしらないひとにはなすみたいなしゃべりかたをしているわ」
「さっきも言いましたけど別に何でもないです。 気にしないでください」
「・・・もういいわ。 ぱちぇはすきにやるからごはんとうんうんのおせわだけしてちょーだい」
冷たい態度をとるおねーさんに愛想を尽かしたぱちゅりー
二人の間には深い溝ができてしまった
12
「それじゃあおちびちゃんたち! ふくっしょう!してちょうだいね!」
「「まりしゃはにんげんしゃんのいうこちょをききましゅ!」」
「「れいみゅはにんげんしゃんをゆっくちさせましゅ!」」
新たに生まれた四匹の赤ゆっくりがぱちゅりーの授業を受けている
同じ言葉を復唱させるぱちゅりー式の勉強法だ
柵を隔ててその隣では・・・
「お外に勝手に出たら人間さんのすぃーに轢かれてゆっくりできなくなるんだよぉ!
ゆっくり理解できたかなー?」
「「「「ゆっくちりかいしちゃよ!」」」」
「もういいのじぇ! そんなことよりはやきゅあみゃあみゃほしいのじぇ!」
おねーさんが自作の紙芝居で先に生まれた姉達に授業をしている
中には話を聞いていないのもいたが、おおむね上手くいっているようだ
こうして二つに分けられて教育を受ける赤ゆっくり達
どちらの授業もそれなりの効果があり、姉グループも妹グループも少しずつおねーさんの言うことを聞くようになっていた
一部を除いては・・・
「きょうはみんなじぇぼーりゅしゃんぢぇあしょぶんだじぇ! いっしょにあしょびたいこはこっちにくりゅんだじぇ!」
「ゆわーい! まりしゃも! まりしゃもぼーりゅしゃんであしょぶー!」
「れいみゅもー!! れいみゅもにゃかまにいれちぇー!」
「あ、ちょっとまってよ! 遊ぶのは勉強がおわってからでしょ!?」
いつものように授業をはじめようとすると、例の癇癪まりさが勝手にボールを持ち出して遊び始めたのだ
慌てて止めに入るがちょこまかと動きまわってなかなか捕まえられない
そのすきに他の赤ゆっくりも遊びだしてしまい、姉グループは完全に授業崩壊を起こしてしまう
「いくのじぇー! ぱしゅぱしゅ! こっちへぼーりゅをよこしゅのじぇー!」
「ゆっくちりかいしちゃよ! ゆっくちいいい!」
「ちょっと! お願いだから言うこときいて! ねぇ、ってばぁ!」
ボール遊びに夢中になっている赤ゆ達にはおねーさんの言葉は通じない
元気いっぱいに跳ねまわっている様子は本来あるべき姿を取り戻したかのようだ
なかでも癇癪まりさは生き生きとボールを蹴って他の赤ゆを先導している
「みんにゃまりしゃのかちゅやくをみちぇるのじぇ!
しょーれ! ちょりぷりゅうりゅちょらぐれーちょまぎゅなみゅしゅーぱーしゅーとっ!!!」
ぽーん
緩やかな放物線を描いて飛んでいくボール
その先には・・・
「むぎゃん! ちょっと! いまぼーるさんをきったのはどこのだれかしら!?」
ボールはぱちゅりーの顔面に直撃した
顔にはまあるくボールの後がくっきりと残っている
「ゆわーい! ぱちゅりーのくしょびゃびゃあをしぇいっしゃい!したのじぇ~!」
「ゆわぁ! まりしゃしゅごいにぇ! まりしゃもまりしゃみちゃいになりちゃいよ!」
「れいみゅも! れいみゅもびゃびゃあにしぇいっしゃいしちゃい!」
歓声を上げる姉グループのメンバーに調子に乗っておどける癇癪まりさ
ぱちゅりーがキッと睨みつけるとバカにした顔で一斉に舌を出した
「びりょびりょびりょびりょびゃ~! くやちかっちゃらここまじぇくるのじぇ~!」
「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃ! まりしゃこわ~い! ぱちゅりーしぇんしぇいがおこっちゃうよ~」
「ゆぷぷぷぷ! にぇえにぇえ、れいみゅをしぇいっしゃいすりゅにょ? やれりゅもんにゃらやっちぇみりょー!」
「さすがはまりさのおちびちゃんだね! とってもゆっくりしてるよー!」
「おちびちゃん! もっとだよ! あのばかぱちゅりーをせいっさいしてみんなをゆっくりさせてね!」
親ゆっくりが褒めるてさらに調子に乗る癇癪まりさ
ぱちゅりーの方へ歩み寄り、お尻を向けて左右に振った
「ほーりぇほりぇ! まりしゃのあんよをぺんぺんしちぇみりょー!」
にくったらしく挑発する癇癪まりさ
おねーさんが守ってくれると勘違いでもしているかのような大胆な行動だ
しかし、それが単なる妄想に過ぎなかったことに気づかされることになる
ぶすり!
「ゆぅ・・・? なにがおこっちゃのじぇ? あんよしゃんが・・・ゆぴいいいいいいいいい!
までぃじゃのっ! までぃじゃのがぼじぎゃのよぼにゃあんよじゃんがああああああああああ!!!」
「むっきゅん! これですこしははんっせい!してくれるかしら?」
痛みに耐えかねて泣きながらのた打ち回る癇癪まりさ
あんよにはつまようじが深々と刺さっている
言うまでもなく、それを突き刺したのはぱちゅりーである
おねーさんは何もしないでその光景をじっと見ていた
「おねーさん! どんなきょういくしているのかわからないけど
じゅぎょうのじゃまをするようなことはさせないでちょうだい!」
「・・・・・・ごめんなさい」
ぱちゅりーが怒鳴っても、おねーさんは無表情に謝るだけだった
13
「ゆんやあああああああ! いじゃいのじぇええええええええ!」
「だいじょうぶだよおちびちゃん! きっとよくなるからね! ぺーろぺろ!」
「ぺーろぺろ! ぺーろぺろ! ゆぎぎぎぎ・・・それにしてもあのげすぱちゅりー・・・
かわいいおちびちゃんをこんなめにあわせるなんて、れいむゆるせないよ!」
「ぺーろぺろ! まりさもだよ! いつかせいっさいしてぜんごろしにしてやる!」
「おどおおおじゃああん!? おぎゃあああじゃあああん!?
べーろべろずるんだじぇ!? まりじゃまだいぢゃいのじぇ!!」
「ご、ごめんねおちびちゃん! ぺーろぺろ!」
「ぺーろぺろ! ぺーろぺろ!」
ゆっくりハウスの中では親ゆっくりが癇癪まりさの足を治そうと必死にぺーろぺろしている
傷はさほど深くないのだが、あんまりにも痛そうに騒ぐため可哀そうに思えてしまうのだ
「いじゃいいいい・・・ いじゃいいいよおおおおおお・・・
ゆ? どぼじでべーろべろやめじゃうのおおおおおおおおおおお!?」
「ごめんねおちびちゃん・・・ もうまりさはげんっかい!だよ・・・」
「れいむもべろさんがかろうしすんっぜん!だよ・・・ ゆっくりりかいしてね」
「ゆぎぎぎぎ・・・ これもじぇんぶあのげしゅぱちゅりーのしぇいなんだじぇ!
ぜったいいちゅかふくっしゅう!してやるのじぇ!」
以前からぱちゅりーを快く思っていなかった癇癪まりさ
制裁しようにも親ゆっくりは当てにならず、おねーさんは何もしてくれなかった
抑えようのない憎しみがやり場をさがして迷走する
「じぐじょおおおおおお! どうじゅれびゃふぐじゅうでぎるのじぇえええ!」
小さな中枢餡をフル稼働して復讐する手立てを考える
考えあぐねた果てに恐ろしい結論へと達してしまった
「ゆっふっふ。 いいこちょをおもいちゅいたのじぇ・・・」
不気味に笑う癇癪まりさ
彼女が復讐のターゲットに選んだのはぱちゅりーではなくその教え子だった
砂糖水で育った妹達は両親の餡子を受け継がなかったものの
一応親であるためれいむとまりさにはよくなついたが、ぱちゅりーの息がかかった妹達を両親はどこかやっかみがっていた
これを制裁して無きものにすればぱちゅりーへの復讐が果たせるうえに、家族の中の邪魔者も始末で来て一石二鳥
両親もおねーさんもきっと褒めてくれるだろう
英雄として両親から褒められる光景を頭の中に浮かべながら爪楊枝を咥えた
「ゆぴー・・・ ゆぴー・・・」
「まりしゃ・・・ がんびゃりゅ・・・ ゆぴー」
「れいみゅにょ・・・ れいみゅにょあみゃあみゃ・・・」
「ゆぴー・・・ もうちゃべらりぇにゃいよ・・・」
安らかに寝息を立てて眠っている妹達に忍び寄る
そんなアホずらでいられるのも今のうちだ
癇癪まりさは一番近くにいた赤まりさのあんよをひと思いに突き刺した
「ゆぴぃ? ・・・ゆ、ゆんやあああああああああああああああああ!」
「みちゃか! まりしゃはちゅよいのじぇ! さいっきょうなのじぇ!」
「どびょちちゃにょ・・・? ゆ? まりしゃおねーしゃん!? なにやっちぇりゅにょおおおおおおおお!?」
「おまえもしぇいっさい!しちぇやりゅのじぇ! ぷーすぷす!」
「ゆびいいいいいいいいい! れいみゅにょあんよしゃんがああああああああああああ!」
「やめちぇえええええええええ! ぼびょじじぇごんにゃこちょすりゅにょおおおおおおおおお!?」
「まりしゃおねーしゃん! ゆっくちしてよおおおおお! ゆっくちゆっくちいいいいい!」
「ぢゃまりぇぢゃまりぇ! おまえちゃちのしぇいじぇまりしゃはいちゃいいちゃいしちゃんのじぇ!
しょのむくいはうけちぇもりゃうのじぇ! ぷーすぷす! ぷーすぷす!」
「「ゆんやああああああああああ!!」」
泣き叫びながらうねうねと蠢く妹達
何とか攻撃から逃れようと逃げ回っているが、あんよをぷーすぷすされているので這ってしか動けない
お家の中を追い立てられ逃げ場を失った妹達は角に集まって震えている
「ゆっふっふ! これぢぇもうにげりゃれないんだじぇ!」
「「「「ゆんやあああああああ!」」」」
「お、おちびちゃん!? なにやってるの!?」
「やめてあげてね! いもうとたちがこわがってるよ!」
ようやく事態に気付いた親達が慌てて止めに入る
癇癪まりさは咥えていた爪楊枝を放そうとしない
むしろ待っていたと言わんばかりに両親の方へと駆け寄ってゆき、涙を浮かべて訴えた
「こいちゅりゃはおちょーしゃんちょおきゃーしゃんをえいえんにゆっくりさせようちょしちぇちゃのじぇ!
ぱちゅりーにせんっのう!されていいなりになっちぇしまっちゃのじぇ!」
「ゆゆ!? それはほんとうなの!?」
「ほんっとう!なんだじぇ! しんっじちゅ!は、いちゅもひとちゅなのじぇ!」
「ならしかたないね! せいっさい!もやむなしだね!」
「「「「どびょじぢぇじょんにゃごじょいうにょおおおおおおおお!?」」」」
いったんは疑ったものの、自信満々に言う姉の言うことをあっさりと信じてしまう親まりさ
親れいむもそれに迎合して庇うようなことは一切しなかった
そんな両親を見て絶望する妹達
全てが癇癪まりさの計画通りに動いたというわけだ
ぱちゅりーを除いて・・・
「あなたたちいったいなにをしてるの!?」
「ゆん!? かってにひとのおうちにはいってこないでね! ふほうしんっにゅう!でこくそするよ!」
「かわいいれいむのおちびちゃんになんのよう!? ゆっくりしないででていってね!」
親ゆっくり達がぱちゅりーを中に入れまいと立ちふさがったが強引にそれを突破
目の前では今まさに癇癪まりさによって妹達の処刑が始まろうとしていた
「ばかなことはよしなさい! このゆっくりごろし!」
「ゆぴいいいいいいいいい!? いじゃいのじぇええええええええ!」
癇癪まりさをもみあげで引っ叩き、妹達から無理やり引き離す
助けられた妹達は一斉にぱちゅりーへと泣きついた
「ゆええええええん! こわかっちゃよおおおおおお!」
「しぇんしぇええええええ! ありがちょおおおおおおおお!」
「いいのよ、せんせいがまもってあげるからあんしんしてね・・・」
優しく声をかけてなだめる様子は本当の親子であるかのようだった
14
「おねーさん!? おねええええさああああん!!」
「え、なに!? どうしたの?」
「どうしたのじゃないでしょおおおおおおおおお!?」
「とりあえず落ち着いて頂戴! 落ち着いてゆっくり話してね」
興奮するぱちゅりーの背後には四匹の赤ゆが震えながら寄り添っている
ぱちゅりーが指導を担当していた妹グループの赤ゆ達だ
「おねーさんのぐるーぷのわるがきまりさがこのこのこたちをさつっがい!しようとしたのよ!」
「ええ!? それ、ほんとうなの!?」
「ほんとうかどうか、あのばかおやたちにきいてみるといいわ!」
ゆっくりハウスのでは頬を赤くはらして泣き叫ぶ癇癪まりさを両親がぺーろぺろしてあやしている
他の兄弟達は頬を膨らませてぱちゅりーに向かって威嚇行為をとっており
その場は軽くパニックを引き起こしていた
「ねぇ、あなた達・・・ ぱちゅりーの言ってることって本当なの?」
「ゆううううううううう!? なにいってるの!?
おちびちゃんはせんっのう!されてげすになったおちびちゃんから
まりさたちをまもってくれようとしたんだよ!?」
「そうだよ!!! このおちびちゃんは“えいゆん”だよ!? とくべつなおちびちゃんなんだよ!?」
「はやぎゅぞのぐじょばじゅりーをじぇいじゃいじろおおおおおおおおおおお!!
いましゅぐでいいのじぇえええええええええええええええええええええええ!!」
両親と癇癪まりさの言っていることを聞く限り、妹達を癇癪まりさが殺そうとしたのは事実のようだ
妹グループの怯えようを見れば、どちらが先に手を出したかは一目瞭然だ
「・・・むきゅん。 これでわかったでしょう わかったらはやく“ぎむ”をはたしてちょうだい・・・」
「・・・・義務?」
「そう・・・ そのげすまりさをつぶして“ぎむ”をはたすのよ」
「・・・・・・つ・・・ぶ・・・す?」
「そうよ、まさかことばのいみがりかいできないのかしら? ころすってことよ」
「・・・・・・なに言ってるの?」
ゲス化したとはいえ、おちびちゃんである癇癪まりさを潰せと、さも当たり前のようにのたまうぱちゅりー
おねーさんは眉間にしわを寄せる
「なにってるの?じゃないでしょう!? げすかしたのならとうっぜん!そのむくいはうけるべきよ!」
「報い?当然? 一体何を言ってるの?」
「ほんっとう!におねーさんはあんこのうなのね! いいわ、できないならぱちぇがやるだけよ!」
爪楊枝を口に咥えるぽちゅりー
そのまま泣き叫ぶ癇癪まりさの方を向いて、吹き矢を吹くような要領で爪楊枝を飛ばす
爪楊枝は癇癪まりさの眉間に音もなく深々と刺さった
「ゆわあああああああ! おじびじゃあああああああああん!」
「どぼじでごんなごどずるのおおおおおおおおおおおおお!?」
「ゆ? にゃんにゃのじぇこりぇ・・・?」
大騒ぎする両親とは対照的に、何が起こったか判らず落ち着いている癇癪まりさ
当たり所が良かったのか絶命するには至らなかったようだ
「なんてことするの!? 正気なの!?」
「むきゅん! ぱちぇはしょうきよ! って・・・
なにをしようとしているの!? やめなさい!!」
「ゆ・・・ゆんやああああああああああ!?
まりしゃのおかおににゃんちぇこちょしちゃのじぇえええええええええええ!?」
ぱちぇりーを無視して癇癪まりさの額に刺さった爪楊枝を引き抜く
額から異物を取り除かれた癇癪まりさは、自分が何をされたのかに気付いて喚きはじめる
「おねーさん!! そんなことしてないではやくそいつをつぶしなさい! どうなってもしらないわよ!?」
「ねぇ、ぱちゅりー。 どうしてそんなこと言うの?」
「どうしてって・・・とうぜんでしょ?
わるいことをしたらそのばつをうけるのはにんげんさんでもいっしょでしょうに・・・」
「うん、そうだよ。 でも謝って反省すれば許してあげてもいいんじゃないかなぁ?」
「あやまる?ゆるす? おねえさんはあまあますぎてへどがでるわ!
このげすちびはかぞくをころしてじぶんがゆっくりしようとしたのよ!?
あやまってゆるされるようなれべるじゃないわ! さっさとつぶすべきよ!」
「ねぇ、ぱちゅりー? どうしてそんなに簡単に殺すなんて言えるの? 同じゆっくりでしょ?
みんな一生懸命生きてるんだよ? かけがえのない命なんだよ?」
「そいつはそのかけがえのないいのちをふみにじろうとしたのよ!?
おねーさんがいくらべんごしてもそのつみはきえないわ!!!」
「ごめんね、ぱちゅりー。 私はあなたに何を言われてもその子を殺す気はないから・・・」
「・・・そう、それがおねーさんのだしたけつろんなのね
わかったわ、それならぱちぇにもかんがえがあるわ!」
ぱちゅりーはそう言って妹グループのおちびちゃんを全て頭の上に乗せると、玄関の方へと跳ねて行った
「ぱちぇはこのこたちとここをでていくわ。 あとはおすきにどうぞ、ぶりーだーのおねーさん」
「・・・ここを出て行ってご飯はどうするの? 寝る場所は? 捕食種だってでるよ?」
「どうぞくごろしをかばうおねーさんといっしょにいるよりははるかにあんぜんだわ」
「・・・・・・そう」
「ぱちぇからのさいごのおねがいよ、このとびらさんをあけてちょうだい」
「うん、これでいい?」
「ありがとう。 おねーさん、ゆっくりさようなら」
ドアを開けると、ぱちゅりーはそのまま飛び出して行ってしまった
おねーさんは姿が見えなくなるまで見送ったが、ぱちゅりーが振り返ることはなかった
15
「すみません・・・虹川というゆう医はいますか?」
「虹川先生はただいま診察中でして・・・」
「妹が訪ねてきたと伝えてもらっていもいいですか? 緊急で話したいことがあって・・・」
「・・・わかりました、おかけになってお待ちください」
おねーさんは兄が務めているゆっくりクリニックへとやって来ていた
ぱちゅりーが家出したことを伝えるためだ
兄は大学を出てゆっくり専門の医者であるゆう医になった
おねーさんと同様、彼もまたゆっくりが好きでたまらない愛で派の人間だったのだ
そんな兄が誇らしくもあり羨ましくもあった
ゆっくりに携わる仕事に就くのはおねーさんにとって夢であり、先にそれを果たしてしまった兄に少しでも早く追いつきたかった
「・・・何の用だ。 今は勤務中だ、手短にすませろ」
診察を終えた兄が診察室に顔を出した
白衣を着てメガネをかけたまじめそうな風貌
普段のふざけた態度とはかけ離れたまじめで落ち着いた雰囲気
ぱちゅりーを家に連れてきた時とは、まるで別人のようだ
「ぱちゅりーが・・・ ぱちゅりーが家出しちゃったんだ・・・」
「なんだ、そんなことか
それなら加工所に問い合わせてバッチのナンバーを照合してもらえ。 控えは一緒に渡してあっただろ?」
「そうじゃなくて・・・ぱちゅりーとは喧嘩しちゃって・・・」
「だからなんだ。 あれの飼い主はお前だ、歯向かったなら従わせろ」
「・・・できないよ。 私なんかよりずっとゆっくりのこと知ってて、プライド高くて・・・」
「できないじゃない、やるんだ
それくらいできないでブリーダーになんてなれるはず無いだろ」
「どうすればいいの? 皆言うこと聞かないし、勉強させてもすぐ忘れるし・・・
もう、何をどうすればいいかわからないよ・・・」
「都合のいい時だけ人を頼るのはやめろ
お前一人でやると言ったんだから最後まで責任を持て、義務を果たせ」
「・・・責任? ・・・義務?」
「次の診察があるからもう行く
今後、職場に私用で押し掛けるのはやめろ。 迷惑だ」
「あ、ちょっと! まってよ!まって・・・」
兄は何も答えずに行ってしまった
(なんで人前だとそんなに冷たいの? どうして他人みたいな態度をとるの?)
その背中に無言で問いかけるものの、答えは当然返って来ない
16
おねーさんの家を出て行って数日後
ぱちゅりー達は近くの公園で寝泊まりしていた
穴があいたり崩れかけたりしている野良ゆの段ボールハウスが並ぶ中、一つだけま新しいお家がある
段ボールの上に雨よけのビニールシートが被せられ、地面に枝でしっかりと固定されている
ゆっくりが作ったとは思えないような立派なつくりだ
その中から、ぱちゅりーがひょこりと顔を出す
「むきゅん、おそとにでてもだいじょうぶそうね」
そう言ってぱちゅりーがお外に出ると四匹の赤ゆっくりがずーりずりと後に続く
お家を出た当日は不安で泣きやまなかったものの、ようやく外の世界に慣れ始めてきている
厳しい授業の甲斐あってか、素直に言うことを聞いて勝手な行動をとるものは一匹もいなかった
「それじゃあ、おちびちゃんたち! きょうもごみひろいをするわよ!」
「「「「ゆっくちりかいしちゃよ!」」」」
ぱちゅりーは公園のゴミ拾いや雑草の除去などボランティア活動に精を出している
野良となった今、このおちびちゃん達を飼いゆっくりにするには人間を頼るほかない
だが、通りすがりの人間におちびちゃんを飼いゆっくりにしてほしいとせがんでも良い結果は得られないだろう
ならば人間が目を引くような行動をして注目を集めるしかない
一見賢そうな行動に思えるがそれ以外に方法が無いのだ
選択肢のないぱちゅりーのとった苦肉の策である
「おちびちゃんたち! みんなできょうりょくしてこのあきかんさんをはこんでね!」
「「「「ゆっくちりかいしちゃよ!」」」」
公園の遊歩道の脇には空き缶が何個も捨てられている
それを一つずつ運んで山積みにするのだ
非力なゆっくり、それも赤ゆっくりからしたら想像を絶する重労働である
「もうまりしゃはへちょへちょだよ・・・」
「もうぢゃめ・・・れいみゅうごけにゃい・・・」
「いったんきゅうけいにしましょう! いまぱちゅりーがごはんをよういするからまっててちょうだい!」
赤ゆ達は空き缶を運んで二~三十センチほど進むと直ぐにばててしまう
ぱちゅりーは無理をさせずにこまめに休憩をとり、その間に雑草を引っこ抜いて口に含む
何度か咀嚼して柔らかくなったものを休憩中の赤ゆ達に与えるのだ
「ぺっぺ! さあ、たんとめしあがれ!」
「「「「むーちゃむーちゃ・・・ それなりー・・・」」」」
微妙な表情で雑草を食べる赤ゆ達
雑草はそれほどおいしい物ではない、だが食べれないわけではない
残念そうに食べてはいるものの文句を言わずに完食した
「ぱちゅりー! ゆっくりしていってね!」
「むきゅん? まりさ? ゆっくりしていってね!」
この公園の群れの長であるまりさが話しかけてきた
ぱちゅりーがこの公園に住むことを快く受け入れてくれた善良なまりさだ
「きょうもせいがでるね! はやくかいぬしさんがみつかるといいね!」
「そうね・・・でもげんじつはそんなにあまくないわぁ・・・」
「だいじょうぶだよ! ぱちゅりーみたいなかしこくてゆうっかん!なゆっくりならすぐにかってもらえるよ」
「ぱちぇがかってもらってもいみがないのよ・・・ このこたちのかいぬしがみつかるまでのらをつづけるつもりよ・・・」
「ぱちゅりーはやさしいんだね・・・ さすがは“えいゆん”だよ」
「むきゃ! ぱちぇは“えいゆん”でもなんでもないわ! はずかしいからそのはなしはやめてちょうだい!」
ぱちゅりーがこの公園にやってきた初めの晩
野生のれみりゃが群れを襲撃した
泣いて逃げ惑うだけで抵抗しようともしない野良ゆ達が次々と餌食になっていく中
ぱちゅりーは全く動じずに細かい枝を口で飛ばしてれみりゃを返り討ちにしたのだ
といっても、偶々目玉に当たって驚いたれみりゃが逃げ出しただけなのだが・・・
「まりしゃもおおきくにゃっちゃら、ぱちゅりーしぇんしぇいみちゃいに“えいゆん”になりゅよ!」
「れいみゅもがんばっちぇしぇんしぇーになりゅ! しぇんしぇーになっちぇゆっくちすりゅう!」
「もう、あなたたちったら・・・」
叶いもしないような将来の夢を語りだした赤ゆ達を、ぱちゅりーは呆れながらも何処かゆっくりした表情で見ていた
「ゆふふふふ。 ぱちゅりーはおちびちゃんたちがだーいすきなんだね
まりさのかわりにむれのおさをやってほしいくらいだよ!」
「むぎゃん! またそんなことをいって・・・ ぱちぇにはにがおもすぎるわ・・・」
「ゆぎゃああああああああああああああああああああああ!!!」
「「ゆん!?」」
長まりさと話していると、公園の静寂を悲鳴が切り裂いた
その声は転んでけがをしたとか言うレベルではなく、もっと悲惨なことが起きたことを知らせている
「まりさはようすをみてくるよ! ぱちゅりーはおちびちゃんとおうちへひなんしてね!」
「ゆ、ゆっくりりかいしたわ!」
長まりさの言った通り、おちびちゃんを連れてお家に向かうぱちゅりー
お家に到着しておちびちゃんを中に入れるとすぐにまりさの元へと向かう
わざわざ助けにいく義理などないのだが、数日間とはいえ生活を共にしたことでぱちゅりーには連帯感が生まれていた
「うぎゃああああああああ! やべろおおおおおおおおおおお!
おじびじゃんぼつぶずなああああああああああああああああ!」
群れの中心部から長まりさが叫ぶ声が聞こえた
三人の人間が長まりさのお家を踏みつぶしたり蹴ったりして遊んでいる
そのうちの一人が長まりさのおさげを掴んでぶらぶらとゆすっていた
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「すみません・・・ちょっといいですか?」
「はい、なんでしょうか?」
おねーさんは近くのゆっくりショップに来ていた
手に抱えているケースの中には癇癪まりさを除く四匹の赤ゆっくり達が入っている
赤ゆっくりとはいっても子ゆっくり手前まで成長しておりテニスボールより少し小さいくらいの大きさだ
「この子たちを買い取ってほしいんですけど・・・」
「あ、はい。 もしかしてブリーダーの方ですか?」
「ええっと・・・一応・・・」
「はい! ではいまからこの子たちの評価をさせていただきますのでしばらくお待ちください!」
金髪にピアスをした店員はさわやかに微笑んで赤ゆっくりの入ったケースを持って行った
おねーさんは椅子に座って腰掛けて足をぶらぶらさせながら店内を見渡す
ケースの中には金や銀バッチをつけたゆっくりが入っていて、値札には十万・二十万と言った値が付けられている
一方柵の中に放し飼いになってる銅バッチのゆっくりには一匹あたり五千円とかなり値に開きがある
この違いはしつけの違いなのだろうか? それとも血統がいいのか?
そんなことをおねーさんんが考えていると、奥からさっきの金髪ピアスの店員と小太りでバーコード禿げの中年男性が出てきた
中年男性の付けた緑色のエプロンには店長と書かれたネームプレートが付けられている
「どーも。 わたくしがこの店で店長を務めさせていただいている山田というものです」
「あ、どうも。 私は虹川っていいます」
「虹川さん・・・結論から申し上げてあなたの育てたゆっくりをこちらで買い取ることはできません」
「・・・・・・なぜですか?」
「わかりませんかね。 まぁ、解らないから質問してるんでしょうね・・・」
「はぐらかさないではっきり言ってもらえますか? 腑に落ちません」
山田はやれやれと言った感じでかぶりを振り、おねーさんの目を見て言った
「・・・腐った生ごみの受け取りを拒否するのに理由が必要ですか?」
「生ごみ? どういうことですか!?」
「どういうこともなにもないですよ。 あんなゲス化したのを持ってこられてもこちらとしてはいい迷惑なんですよ
というより、あれは庭飼い用なのに室内で飼育してゲス化したようですがどうしてそんなことをしたんですか?」
「・・・それは」
「理由なんてありませんよね? どうせそちらの方が元気そうだからなんてどうしようもない理由で選んだんでしょう
あなたはまだスタートラインにすら立つことのできないレベルだということなんですよ」
「ブリーダーの資格ならちゃんととりましたけど!? よかったら認定証みせましょうか!?」
「必要ありません。 そもそも資格なんて適当に勉強すれば誰だって受かりますからね
あなたに足りないのは知識うんぬんではなく、ゆっくりに教育を施すだけの能力が無いということなんですよ
要は大人になり切れていない子供のままだっていうことです」
「・・・・・・・」
「私の方から言えるのはそれくらいです。 では」
そう言って山田と名乗った男は店の奥に行ってしまった
残されたおねーさんに金髪の店員が優しく声をかける
「しかたないよ、失敗は誰にでもあるからゆっくり頑張ってくださいね」
「・・・・・ありがとうございます」
「よかったら一匹当たり千円で引き取りますけどどうですか?」
「え!? いいんですか?! ええっと・・・いま領収書を用意しますね!」
「ああ、違うんです。 そう言うことじゃなくて・・・引き取るっていうのは千円で処分しますよってことなんですよ」
「しょ・・・ぶん・・・」
「うん、ゆっくりは特殊外来種生物として国から指定されているでしょ?
だから一度登録したら処分するには色々手続きが必要なんですよ
潰して生ごみとして捨てることもできなくはないんだけど、最近色々五月蠅くなってきてね・・・
それを代わりに代行する手数料ってことで本当は三千円かかるんだけどおまけして千円ってことで」
「どうして・・・どうして処分するんですか?」
「どうしてって・・・ゲス化したら飼ってても意味ないでしょ?
あ、もしかしてまだ認定受けてなかった? だったら早めに処分しておいた方がいいよ!
もし成体まで育っちゃったらバッチつけなくちゃいけないし、付けないまま飼っててもそれはそれで罰金だからね」
「・・・どうして
どうして簡単に処分なんて言えるんですか!?
ゆっくりが大好きなんですよね!? だからこういう仕事してるんですよねぇ!?
じゃあなんでそんなに簡単に処分なんて言えるんですか!? ねぇなんで!!」
おねーさんは涙を浮かべて店員に詰め寄る
店員は頭を掻いて目をそらした
「ははは、確かに処分なんて可哀そうなことできないって、そう考えていた時期が俺にもありました
でも結局それってただのエゴなんだよね。 可哀そうだからとか言ってたら商売にならないって
気持ちは分からなくもないけど、そんなこと言ってたら金バッチのゆっくりなんて育てられないよ
ブリーダーを目指すんならもっと現実を見なよ・・・」
「・・・でも、生きてるんですよ? かけがえのない命なんですよ? それを処分するなんて・・・・」
「ったくもーめんどくせーなあああああああああああああああああああ!!!!」
丁寧に受け答えしていた金髪の店員は態度を豹変させた
眉を吊り上げて威嚇するような目つきで睨みつけてくる
「なにが命だよ!? さっきから聞いてたら綺麗事ばっかりぬかしやがって!!!
大体ゲス化させてそいつらのゆん生台無しにしたのてめーだろうがよおおおおおおお!!!
自分がしたこと棚に上げて偉そうに御託並べてんじゃねーぞゴラァ!!!!!」
「・・・・・あの、その、すみません!」
「今更あやまってんじゃねーよ!!! もうそいつらには加工所で死ぬかお前に殺されるかしか選択肢がねーんだよ!!
よくもまぁぬけぬけと“かけがえのない命”だなんてぬかせるな!? っばーーーーかぁ!!!」
「・・・・・うぅぅ ごべんばばいいいいいいいい!!」
「泣いて謝るくらいなら死ね! 腹切って死ね!」
「おい、お前なんてこというんだ・・・」
山田が戻って来て金髪の店員を落ち着かせる
まだ何か言おうとしていたが、頭をひっぱたいて黙らせていた
「わるかったな、こいつは一度こうなると手がつけられないんだ。 すまん」
「ばだじごぞごべんばばいいいいいいいいいい!!」
「ああ、もう泣くな泣くな・・・ 悪かったよホントに」
「うわあああああああああああああん!!!」
おねーさんは泣いた
今までため込んでいたものを全て吐きだすかのように、泣いた
18
「やべべぐばばびいいいいいいい! どっでぼゆっぐぢぢだおぢびじゃんなんでずうううううううう!」
「ちゅぶれりゅううううううううう! じんじゃうううううううううう!」
「ぴゃぴゃああああああああ! ちゃしゅけちぇええええええ!」
顔面を涙でぐしゃぐしゃにした長まりさが必死に懇願している
番であるありすは既に潰されており、地面にはカスタードのシミができていた
人間は長まりさの子供の子まりさと子ありすを足蹴にして、今にも潰してしまいそうだ
「こんなゴミ饅頭のどこがかわいいんだよw」
「なんにもできねーくせに粋がってんなよ! 下等生物のくせに何言ってんだよ! なぁ?」
「だなだな!」
人間達は学生服をだらしなく着ていて、みすぼらしい身なりをしている
どうやら近くの学校の生徒が授業をサボっているようだ
「むきゅぅ・・・ どうしたらいいの・・・? ぱちぇにはわからないわ・・・」
ぱちゅりーは賢かったので止めに入って行っても無駄なことは理解していた
木の陰から隠れて様子を窺っていたのだが、その木は姿を隠すにはあまりにも細すぎた
「ぱちゅりいいいいいい!? までぃざどまでぃざのおじびじゃんだじぼだずげでねええええええええ!?」
「むぎゃ! よけいなことを・・・」
「おん? あそこに一匹隠れてるな」
長まりさのせいで見つかってしまったい、人間がのそのそと近寄ってくる
追い詰められたぱちゅりーは最後の手に出た
「まちなさい! このきんばっちさんがめにはいらないのかしら!?」
「あん? なんだこいつ・・・いっちょまえにバッチなんか付けてやがる」
「どうせ捨てられたんだろw 潰しちまってもだいぢょーぶw」
「むぎゃん! なんてむちなのかしら! ・・・いいわ、つぶしなさい!
そのかわり、ごじつおくられてくるせいきゅうしょにめをしろくろさせるといいわ!」
「はー・・・ 饅頭にしては頭が回るみたいだな。 こいつの言ってることほんとかもしんねーぞ」
「まじかーw じゃあ、この金髪饅頭共潰したらけーるかw」
「だなだな」
危機が回避されてホッとしたのもつかの間
長まりさが信じられないことを言った
「まっでね!? ぞのばじゅりーにはばっぢざんのづいでないおじびじゃんがいるんだよ!
までぃざのおじびじゃんじゃなぐでぞっじのおじびじゃんをつぶじでね!?」
「むぎゃあああああああああ! どぼじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおおおおお!?」
「ほ~ で、そのおちびちゃんはどこにいるんだか教えてくれよ」
「あっじのじまじまのじーどざんのやねのおうじだよ! でぎだばっがりのぎでいなおうじだよ!」
「・・・んじゃ、そっちいきますか」
「だなだな」
「むぎゃあああああああああ! ごのうらぎりぼのおおおおおおおおお!」
「わるくおもわないでね! のらのせかいはひじょうなものなんだよ!」
長まりさは人間におさげを掴まれたまま、へらへらと笑っている
既に生き残ったつもりでいるようだ
「にんげんさん! やくそくどおりおちびちゃんをたすけてあげてね! すぐでいいよ!」
「やくそくぅ? 何言ってんだてめぇ・・・」
「ゆ? だってぱちゅりーのおうちをおしえたらゆるしてくれるんでしょ? うそはよくないよ!」
「そもそもてめーとそんな取引をしたつもりはねぇ。 おい、やっちまえ」
「だなだな!」
リーダー格の人間が合図をすると、おちびちゃんを踏みつけていた人間が少しずつ体重をかけ始める
既に息絶え絶えの子まりさと子ありすは尋常ではない悲鳴をあげた
「おどうじゃあああああああああ! おどじゃ! だじゅげでええええええええええ!
まりじゃじぬ! じんじゃ!う! ぐるじ! じぬうううううううううううう! ゆぎぃ!
ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
「びゃびゃああああああああああああああ! だじゅげぢぇえええええええええええ!
あでぃじゅじにぢゃぐにゃい! もっどゆっぐぢ!もっどもっど!ゆっぐぢいいいいい!
ゆぎゃああああああああ! ぎゅごごごおご! ごべべべおげええええええええ!」
頬が張り裂けんばかりに膨れ上がり、両目は今にも飛び出しそうな勢いでせり出している
一文字に結んだ口からは中身が歯と歯の間から漏れ始めた
「おでがいでず! どっでもゆっぐぢぢだおぢびじゃんなんでず!
がげがえのないいのぢなんでず! だっだびどづのいのぢだんでずうううう!」
「でたwかけがえのない命w お前らが言うと薄っぺらく聞こえるんだよなーw」
「一ついいこと教えてやるよ。 かけがえのない命だなんてもともと人間にとっちゃぁ無意味な言葉なんだよ」
「どぼじででずがああああ!!! までぃざにばわがりばぜん!」
「それはなぁ・・・ お前らみたいなアホとバカが自己満のために使う言葉だからだよ」
「どぼいうごどでずがあああああああああああ!?」
「犬や猫が虐待されれば可哀そうって言うくせに、保健所でガス室送りにするし
花を踏みつぶしたら怒られるけど、雑草を引っこ抜きゃあ褒められる
命は大切だって言っておきながら蚊やゴキブリは平気で殺す
自殺するなって言う割には、いじめは止めねーリストラはする
ここまで矛盾してんのに“かけがえのない命”なんてキリッって言える奴はただのバカかアホだろ?
ようするにお前らみたいな奴が人間にもいるってことだ
そーゆー奴らが使うような言葉だから、薄っぺらくしか聞こえねえってわけだ」
「おおーw すげえな、ちょっと俺感動しちゃったよw」
「そうか? 適当に言っただけだぞ?」
「ぞれがばでぃざだじどがんげいあるんでずがあああああああ!?」
「いや、ねーよ。 もういいだろそいつら潰しちまえ」
「だなだな!」
「おどじゃ! おどうじゃああああああああ! までぃじゃじにだぐにゃよおおおお!
ぐるじ! ぐるじいいいい! ゆぴょおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
ゆぎゅおおおおおぎゅうおおおおゆぎょおおおおおおおおおおお『ブチぃ!』・・・」
「やぢゃやぢゃ! ありじゅばじばばぜになっぢぇ! ゆっぐぢ!じゅりゅんぢゃもん!
ゆっぐじ! ゆっぐじいいいいいい! あでぃじゅはゆっぐじいいいいいいいいい!
おごおおお! げっぇげっぇえっ! あでぃ!じゅ! ぢょがいは『ブチョ!』・・・」
破裂寸前の子まりさと子ありすはさらに圧力をかけられてあっけなく爆ぜた
地べたには餡子とカスタードの小さな花が新たに花開いた
「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!
までぃざのおじびじゃん! おじびじゃんがああああああああああああああ!!!
どっでぼゆっぐぢぢでだのにいいいい! どぼじでごろしちゃったのおおおおお!?」
「うるせーな! そいつさっさと黙らせようぜ!」
「だなだな!」
「はいよーw 死ね!このウジ虫w」
「やめでね!? までぃざをごろざないでね!?
までぃざはあだらじいおよべざんどおじびじゃんづぐっでゆっぐぢ『ベシャア!』ゆっぐ・・・じ・・・」
長まりさを掴んでいた人間は勢いよく近くの看板に叩きつけた
勢い余っておさげがちぎれてしまい長まりさの顔面がぴたりと張り付く
その身体はピクリともせずにずるずるとずり落ちていって、看板には餡子のラインが縦に引かれた
「はぁーすっきりした! じゃあ早速つぎいこーぜ!」
「だなだな!」
「むきゃん! まちなさいあなたたち!」
ぱちゅりーは人間の後を必死に追う
何もできないと知りながら
後編へ続く
虐待 日常模様 引越し 家出 共食い 番い 飼いゆ 野良ゆ 姉妹 子ゆ ゲス ペットショップ 愛護人間 虐待人間 独自設定 うんしー 続きです
中編です。 先に前編をお読みになるようお願いします
11
「どごおおおおおおおおおおおお!? がばいいでいぶのおじびじゃんどごにいっだのおおおおお!?」
朝日がようやく顔を出し、うっすらと明るくなり始めた早朝
親れいむの鳴き声でにおねーさんは飛び起きた
「ど、どうしたの? れいむちゃん落ち着いてね!?」
「なんなのれいむ・・・おちびちゃんがおきちゃ・・・ゆわああああああああ!
おちびちゃんがいなぐなっでるううううううううううううう!!!!」
「ええっ!?」
れいむの額からはおちびちゃんがたわわに実った茎がなくなっていた
昨日の夜寝る前までは確かに生えていたのに、いまは根っこから引き抜かれて跡形もなくなっている
「ゆんやあああああああ! れいむのおじびじゃああああああああああん!」
「どういうことなの!? まりさなんにもわかんないよ!! おねーさんおじえでよおおおおおおお!!!」
「私に聞かれてもわからないよぉ! ねえぱちゅりー何か知って・・・あ」
ぱちゅりーの住んでいるゆっくりハウスをみると、中にはおちびちゃんの実った茎が牛乳瓶に挿してあった
実ゆっくり達は安らかな笑みを浮かべてゆっくりと眠っている
どうやら命に別条はないようだ
「ねぇ! ぱちゅりー! これはいったいどういうことなの!?」
「むきゅわわわわぁ・・・ おねーさんゆっくりおはよう」
「欠伸なんかしてないで答えてよ! これはどういうことなの!?」
「むきゅん、そうせかさないでほしいわ。 いまからちゃんとせつめいしてあげるから・・・
おねーさんはあんこがおやからおちびちゃんにうけつがれるのはしっているかしら」
「・・・知ってる。 図書館で借りた本にそう書いてあった」
「ならはなしがはやいわ
おやからうけつがれたあんこはおやの“きおく”がはいっているの
その“きおく”をうけつぐと、おやとおなじようなせいかくのゆっくりにそだつわ
あのれいむとまりさは、もはやかんっぜん!にげすかしてしまっているわ
そんなおやからあんこをうけついだりしたら、うまれたじてんでげすになっちゃうのよ
そうなったらもうどんなにべんきょうしてもむだ・・・
じぶんかってにかんがえて、わがままばっかりいう、げすなゆっくりにしかそだたないわ
だから、おやからあんこをうけつがない“くりーん”なじょうたいでおちびちゃんをそだてるひつようがあったの」
「だからってなんで茎を引き抜いたりしたの? おちびちゃんが死んじゃったら元も子もないでしょう?」
「むきゅー。 おねえさんはべんきょうぶそくね・・・ひつようなちしきがまるでたりていないわ」
「・・・・・・ギリッ!」
「くきさんはね、べつにおやのひたいにはえてなくてもいいのよ
くきさんのねっこがあまあまにつながっていればおちびちゃんはちゃんとそだつの
おねーさんにかってきてもらったがむしろっぷさんをたっぷりすっておちびちゃんたちはごきげんよ!」
「へーそーなんだー・・・ でもお母さんから切り離されたらゆっくりできないんじゃないかなぁ!
ねぇ、そうおもわないのかなぁ!!」
「・・・おねーさん? どうかしたの? ちょっとおかしいわよ?」
おねーさんは両手の拳をギリりと握りしめて歯を食いしばっていた
両目でぱちゅりーの瞳を射抜くように見つめ、わなわなと身体が震えている
一目見ればそれは怒りを抑えているという様子だと解るだろうが、ぱちゅりーも所詮はゆっくりなのかそのことに気付いていなかった
「おなかさんがいたいの? はやくといれにいったほうがいいとおもうわぁ・・・」
「べつにトイレに行きたいわけじゃありませんから」
「ならどうしたっていうの? まさか、といれにまにあわなかったとか・・・」
「そういうわけではありません。 心配しないでも結構です」
「・・・むきゅん? おねーさん、おしゃべりのしかたがへんよ?」
「いつも通りなのでどこもおかしくありません」
「・・・そう、ならいいけど」
おねーさんは怒っていた
見下したような態度で話すぱちゅりーに論破され怒りが沸点に達してしまった
勿論ぱちゅりーには見下すとかその気はなかったが、プライドを酷く傷つけられたおねーさんにはそう思えたのだ
今まで積み重ねてきた不満がぶり返して苛立ちばかりがつのってゆく
「その子たちの世話は全部任せますのでよろしくお願いします
私がやってもどうせゲス化させてしまいますからね」
「むきゃ! さっきからなんなのかしらそのたいどは
まるでしらないひとにはなすみたいなしゃべりかたをしているわ」
「さっきも言いましたけど別に何でもないです。 気にしないでください」
「・・・もういいわ。 ぱちぇはすきにやるからごはんとうんうんのおせわだけしてちょーだい」
冷たい態度をとるおねーさんに愛想を尽かしたぱちゅりー
二人の間には深い溝ができてしまった
12
「それじゃあおちびちゃんたち! ふくっしょう!してちょうだいね!」
「「まりしゃはにんげんしゃんのいうこちょをききましゅ!」」
「「れいみゅはにんげんしゃんをゆっくちさせましゅ!」」
新たに生まれた四匹の赤ゆっくりがぱちゅりーの授業を受けている
同じ言葉を復唱させるぱちゅりー式の勉強法だ
柵を隔ててその隣では・・・
「お外に勝手に出たら人間さんのすぃーに轢かれてゆっくりできなくなるんだよぉ!
ゆっくり理解できたかなー?」
「「「「ゆっくちりかいしちゃよ!」」」」
「もういいのじぇ! そんなことよりはやきゅあみゃあみゃほしいのじぇ!」
おねーさんが自作の紙芝居で先に生まれた姉達に授業をしている
中には話を聞いていないのもいたが、おおむね上手くいっているようだ
こうして二つに分けられて教育を受ける赤ゆっくり達
どちらの授業もそれなりの効果があり、姉グループも妹グループも少しずつおねーさんの言うことを聞くようになっていた
一部を除いては・・・
「きょうはみんなじぇぼーりゅしゃんぢぇあしょぶんだじぇ! いっしょにあしょびたいこはこっちにくりゅんだじぇ!」
「ゆわーい! まりしゃも! まりしゃもぼーりゅしゃんであしょぶー!」
「れいみゅもー!! れいみゅもにゃかまにいれちぇー!」
「あ、ちょっとまってよ! 遊ぶのは勉強がおわってからでしょ!?」
いつものように授業をはじめようとすると、例の癇癪まりさが勝手にボールを持ち出して遊び始めたのだ
慌てて止めに入るがちょこまかと動きまわってなかなか捕まえられない
そのすきに他の赤ゆっくりも遊びだしてしまい、姉グループは完全に授業崩壊を起こしてしまう
「いくのじぇー! ぱしゅぱしゅ! こっちへぼーりゅをよこしゅのじぇー!」
「ゆっくちりかいしちゃよ! ゆっくちいいい!」
「ちょっと! お願いだから言うこときいて! ねぇ、ってばぁ!」
ボール遊びに夢中になっている赤ゆ達にはおねーさんの言葉は通じない
元気いっぱいに跳ねまわっている様子は本来あるべき姿を取り戻したかのようだ
なかでも癇癪まりさは生き生きとボールを蹴って他の赤ゆを先導している
「みんにゃまりしゃのかちゅやくをみちぇるのじぇ!
しょーれ! ちょりぷりゅうりゅちょらぐれーちょまぎゅなみゅしゅーぱーしゅーとっ!!!」
ぽーん
緩やかな放物線を描いて飛んでいくボール
その先には・・・
「むぎゃん! ちょっと! いまぼーるさんをきったのはどこのだれかしら!?」
ボールはぱちゅりーの顔面に直撃した
顔にはまあるくボールの後がくっきりと残っている
「ゆわーい! ぱちゅりーのくしょびゃびゃあをしぇいっしゃい!したのじぇ~!」
「ゆわぁ! まりしゃしゅごいにぇ! まりしゃもまりしゃみちゃいになりちゃいよ!」
「れいみゅも! れいみゅもびゃびゃあにしぇいっしゃいしちゃい!」
歓声を上げる姉グループのメンバーに調子に乗っておどける癇癪まりさ
ぱちゅりーがキッと睨みつけるとバカにした顔で一斉に舌を出した
「びりょびりょびりょびりょびゃ~! くやちかっちゃらここまじぇくるのじぇ~!」
「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃ! まりしゃこわ~い! ぱちゅりーしぇんしぇいがおこっちゃうよ~」
「ゆぷぷぷぷ! にぇえにぇえ、れいみゅをしぇいっしゃいすりゅにょ? やれりゅもんにゃらやっちぇみりょー!」
「さすがはまりさのおちびちゃんだね! とってもゆっくりしてるよー!」
「おちびちゃん! もっとだよ! あのばかぱちゅりーをせいっさいしてみんなをゆっくりさせてね!」
親ゆっくりが褒めるてさらに調子に乗る癇癪まりさ
ぱちゅりーの方へ歩み寄り、お尻を向けて左右に振った
「ほーりぇほりぇ! まりしゃのあんよをぺんぺんしちぇみりょー!」
にくったらしく挑発する癇癪まりさ
おねーさんが守ってくれると勘違いでもしているかのような大胆な行動だ
しかし、それが単なる妄想に過ぎなかったことに気づかされることになる
ぶすり!
「ゆぅ・・・? なにがおこっちゃのじぇ? あんよしゃんが・・・ゆぴいいいいいいいいい!
までぃじゃのっ! までぃじゃのがぼじぎゃのよぼにゃあんよじゃんがああああああああああ!!!」
「むっきゅん! これですこしははんっせい!してくれるかしら?」
痛みに耐えかねて泣きながらのた打ち回る癇癪まりさ
あんよにはつまようじが深々と刺さっている
言うまでもなく、それを突き刺したのはぱちゅりーである
おねーさんは何もしないでその光景をじっと見ていた
「おねーさん! どんなきょういくしているのかわからないけど
じゅぎょうのじゃまをするようなことはさせないでちょうだい!」
「・・・・・・ごめんなさい」
ぱちゅりーが怒鳴っても、おねーさんは無表情に謝るだけだった
13
「ゆんやあああああああ! いじゃいのじぇええええええええ!」
「だいじょうぶだよおちびちゃん! きっとよくなるからね! ぺーろぺろ!」
「ぺーろぺろ! ぺーろぺろ! ゆぎぎぎぎ・・・それにしてもあのげすぱちゅりー・・・
かわいいおちびちゃんをこんなめにあわせるなんて、れいむゆるせないよ!」
「ぺーろぺろ! まりさもだよ! いつかせいっさいしてぜんごろしにしてやる!」
「おどおおおじゃああん!? おぎゃあああじゃあああん!?
べーろべろずるんだじぇ!? まりじゃまだいぢゃいのじぇ!!」
「ご、ごめんねおちびちゃん! ぺーろぺろ!」
「ぺーろぺろ! ぺーろぺろ!」
ゆっくりハウスの中では親ゆっくりが癇癪まりさの足を治そうと必死にぺーろぺろしている
傷はさほど深くないのだが、あんまりにも痛そうに騒ぐため可哀そうに思えてしまうのだ
「いじゃいいいい・・・ いじゃいいいよおおおおおお・・・
ゆ? どぼじでべーろべろやめじゃうのおおおおおおおおおおお!?」
「ごめんねおちびちゃん・・・ もうまりさはげんっかい!だよ・・・」
「れいむもべろさんがかろうしすんっぜん!だよ・・・ ゆっくりりかいしてね」
「ゆぎぎぎぎ・・・ これもじぇんぶあのげしゅぱちゅりーのしぇいなんだじぇ!
ぜったいいちゅかふくっしゅう!してやるのじぇ!」
以前からぱちゅりーを快く思っていなかった癇癪まりさ
制裁しようにも親ゆっくりは当てにならず、おねーさんは何もしてくれなかった
抑えようのない憎しみがやり場をさがして迷走する
「じぐじょおおおおおお! どうじゅれびゃふぐじゅうでぎるのじぇえええ!」
小さな中枢餡をフル稼働して復讐する手立てを考える
考えあぐねた果てに恐ろしい結論へと達してしまった
「ゆっふっふ。 いいこちょをおもいちゅいたのじぇ・・・」
不気味に笑う癇癪まりさ
彼女が復讐のターゲットに選んだのはぱちゅりーではなくその教え子だった
砂糖水で育った妹達は両親の餡子を受け継がなかったものの
一応親であるためれいむとまりさにはよくなついたが、ぱちゅりーの息がかかった妹達を両親はどこかやっかみがっていた
これを制裁して無きものにすればぱちゅりーへの復讐が果たせるうえに、家族の中の邪魔者も始末で来て一石二鳥
両親もおねーさんもきっと褒めてくれるだろう
英雄として両親から褒められる光景を頭の中に浮かべながら爪楊枝を咥えた
「ゆぴー・・・ ゆぴー・・・」
「まりしゃ・・・ がんびゃりゅ・・・ ゆぴー」
「れいみゅにょ・・・ れいみゅにょあみゃあみゃ・・・」
「ゆぴー・・・ もうちゃべらりぇにゃいよ・・・」
安らかに寝息を立てて眠っている妹達に忍び寄る
そんなアホずらでいられるのも今のうちだ
癇癪まりさは一番近くにいた赤まりさのあんよをひと思いに突き刺した
「ゆぴぃ? ・・・ゆ、ゆんやあああああああああああああああああ!」
「みちゃか! まりしゃはちゅよいのじぇ! さいっきょうなのじぇ!」
「どびょちちゃにょ・・・? ゆ? まりしゃおねーしゃん!? なにやっちぇりゅにょおおおおおおおお!?」
「おまえもしぇいっさい!しちぇやりゅのじぇ! ぷーすぷす!」
「ゆびいいいいいいいいい! れいみゅにょあんよしゃんがああああああああああああ!」
「やめちぇえええええええええ! ぼびょじじぇごんにゃこちょすりゅにょおおおおおおおおお!?」
「まりしゃおねーしゃん! ゆっくちしてよおおおおお! ゆっくちゆっくちいいいいい!」
「ぢゃまりぇぢゃまりぇ! おまえちゃちのしぇいじぇまりしゃはいちゃいいちゃいしちゃんのじぇ!
しょのむくいはうけちぇもりゃうのじぇ! ぷーすぷす! ぷーすぷす!」
「「ゆんやああああああああああ!!」」
泣き叫びながらうねうねと蠢く妹達
何とか攻撃から逃れようと逃げ回っているが、あんよをぷーすぷすされているので這ってしか動けない
お家の中を追い立てられ逃げ場を失った妹達は角に集まって震えている
「ゆっふっふ! これぢぇもうにげりゃれないんだじぇ!」
「「「「ゆんやあああああああ!」」」」
「お、おちびちゃん!? なにやってるの!?」
「やめてあげてね! いもうとたちがこわがってるよ!」
ようやく事態に気付いた親達が慌てて止めに入る
癇癪まりさは咥えていた爪楊枝を放そうとしない
むしろ待っていたと言わんばかりに両親の方へと駆け寄ってゆき、涙を浮かべて訴えた
「こいちゅりゃはおちょーしゃんちょおきゃーしゃんをえいえんにゆっくりさせようちょしちぇちゃのじぇ!
ぱちゅりーにせんっのう!されていいなりになっちぇしまっちゃのじぇ!」
「ゆゆ!? それはほんとうなの!?」
「ほんっとう!なんだじぇ! しんっじちゅ!は、いちゅもひとちゅなのじぇ!」
「ならしかたないね! せいっさい!もやむなしだね!」
「「「「どびょじぢぇじょんにゃごじょいうにょおおおおおおおお!?」」」」
いったんは疑ったものの、自信満々に言う姉の言うことをあっさりと信じてしまう親まりさ
親れいむもそれに迎合して庇うようなことは一切しなかった
そんな両親を見て絶望する妹達
全てが癇癪まりさの計画通りに動いたというわけだ
ぱちゅりーを除いて・・・
「あなたたちいったいなにをしてるの!?」
「ゆん!? かってにひとのおうちにはいってこないでね! ふほうしんっにゅう!でこくそするよ!」
「かわいいれいむのおちびちゃんになんのよう!? ゆっくりしないででていってね!」
親ゆっくり達がぱちゅりーを中に入れまいと立ちふさがったが強引にそれを突破
目の前では今まさに癇癪まりさによって妹達の処刑が始まろうとしていた
「ばかなことはよしなさい! このゆっくりごろし!」
「ゆぴいいいいいいいいい!? いじゃいのじぇええええええええ!」
癇癪まりさをもみあげで引っ叩き、妹達から無理やり引き離す
助けられた妹達は一斉にぱちゅりーへと泣きついた
「ゆええええええん! こわかっちゃよおおおおおお!」
「しぇんしぇええええええ! ありがちょおおおおおおおお!」
「いいのよ、せんせいがまもってあげるからあんしんしてね・・・」
優しく声をかけてなだめる様子は本当の親子であるかのようだった
14
「おねーさん!? おねええええさああああん!!」
「え、なに!? どうしたの?」
「どうしたのじゃないでしょおおおおおおおおお!?」
「とりあえず落ち着いて頂戴! 落ち着いてゆっくり話してね」
興奮するぱちゅりーの背後には四匹の赤ゆが震えながら寄り添っている
ぱちゅりーが指導を担当していた妹グループの赤ゆ達だ
「おねーさんのぐるーぷのわるがきまりさがこのこのこたちをさつっがい!しようとしたのよ!」
「ええ!? それ、ほんとうなの!?」
「ほんとうかどうか、あのばかおやたちにきいてみるといいわ!」
ゆっくりハウスのでは頬を赤くはらして泣き叫ぶ癇癪まりさを両親がぺーろぺろしてあやしている
他の兄弟達は頬を膨らませてぱちゅりーに向かって威嚇行為をとっており
その場は軽くパニックを引き起こしていた
「ねぇ、あなた達・・・ ぱちゅりーの言ってることって本当なの?」
「ゆううううううううう!? なにいってるの!?
おちびちゃんはせんっのう!されてげすになったおちびちゃんから
まりさたちをまもってくれようとしたんだよ!?」
「そうだよ!!! このおちびちゃんは“えいゆん”だよ!? とくべつなおちびちゃんなんだよ!?」
「はやぎゅぞのぐじょばじゅりーをじぇいじゃいじろおおおおおおおおおおお!!
いましゅぐでいいのじぇえええええええええええええええええええええええ!!」
両親と癇癪まりさの言っていることを聞く限り、妹達を癇癪まりさが殺そうとしたのは事実のようだ
妹グループの怯えようを見れば、どちらが先に手を出したかは一目瞭然だ
「・・・むきゅん。 これでわかったでしょう わかったらはやく“ぎむ”をはたしてちょうだい・・・」
「・・・・義務?」
「そう・・・ そのげすまりさをつぶして“ぎむ”をはたすのよ」
「・・・・・・つ・・・ぶ・・・す?」
「そうよ、まさかことばのいみがりかいできないのかしら? ころすってことよ」
「・・・・・・なに言ってるの?」
ゲス化したとはいえ、おちびちゃんである癇癪まりさを潰せと、さも当たり前のようにのたまうぱちゅりー
おねーさんは眉間にしわを寄せる
「なにってるの?じゃないでしょう!? げすかしたのならとうっぜん!そのむくいはうけるべきよ!」
「報い?当然? 一体何を言ってるの?」
「ほんっとう!におねーさんはあんこのうなのね! いいわ、できないならぱちぇがやるだけよ!」
爪楊枝を口に咥えるぽちゅりー
そのまま泣き叫ぶ癇癪まりさの方を向いて、吹き矢を吹くような要領で爪楊枝を飛ばす
爪楊枝は癇癪まりさの眉間に音もなく深々と刺さった
「ゆわあああああああ! おじびじゃあああああああああん!」
「どぼじでごんなごどずるのおおおおおおおおおおおおお!?」
「ゆ? にゃんにゃのじぇこりぇ・・・?」
大騒ぎする両親とは対照的に、何が起こったか判らず落ち着いている癇癪まりさ
当たり所が良かったのか絶命するには至らなかったようだ
「なんてことするの!? 正気なの!?」
「むきゅん! ぱちぇはしょうきよ! って・・・
なにをしようとしているの!? やめなさい!!」
「ゆ・・・ゆんやああああああああああ!?
まりしゃのおかおににゃんちぇこちょしちゃのじぇえええええええええええ!?」
ぱちぇりーを無視して癇癪まりさの額に刺さった爪楊枝を引き抜く
額から異物を取り除かれた癇癪まりさは、自分が何をされたのかに気付いて喚きはじめる
「おねーさん!! そんなことしてないではやくそいつをつぶしなさい! どうなってもしらないわよ!?」
「ねぇ、ぱちゅりー。 どうしてそんなこと言うの?」
「どうしてって・・・とうぜんでしょ?
わるいことをしたらそのばつをうけるのはにんげんさんでもいっしょでしょうに・・・」
「うん、そうだよ。 でも謝って反省すれば許してあげてもいいんじゃないかなぁ?」
「あやまる?ゆるす? おねえさんはあまあますぎてへどがでるわ!
このげすちびはかぞくをころしてじぶんがゆっくりしようとしたのよ!?
あやまってゆるされるようなれべるじゃないわ! さっさとつぶすべきよ!」
「ねぇ、ぱちゅりー? どうしてそんなに簡単に殺すなんて言えるの? 同じゆっくりでしょ?
みんな一生懸命生きてるんだよ? かけがえのない命なんだよ?」
「そいつはそのかけがえのないいのちをふみにじろうとしたのよ!?
おねーさんがいくらべんごしてもそのつみはきえないわ!!!」
「ごめんね、ぱちゅりー。 私はあなたに何を言われてもその子を殺す気はないから・・・」
「・・・そう、それがおねーさんのだしたけつろんなのね
わかったわ、それならぱちぇにもかんがえがあるわ!」
ぱちゅりーはそう言って妹グループのおちびちゃんを全て頭の上に乗せると、玄関の方へと跳ねて行った
「ぱちぇはこのこたちとここをでていくわ。 あとはおすきにどうぞ、ぶりーだーのおねーさん」
「・・・ここを出て行ってご飯はどうするの? 寝る場所は? 捕食種だってでるよ?」
「どうぞくごろしをかばうおねーさんといっしょにいるよりははるかにあんぜんだわ」
「・・・・・・そう」
「ぱちぇからのさいごのおねがいよ、このとびらさんをあけてちょうだい」
「うん、これでいい?」
「ありがとう。 おねーさん、ゆっくりさようなら」
ドアを開けると、ぱちゅりーはそのまま飛び出して行ってしまった
おねーさんは姿が見えなくなるまで見送ったが、ぱちゅりーが振り返ることはなかった
15
「すみません・・・虹川というゆう医はいますか?」
「虹川先生はただいま診察中でして・・・」
「妹が訪ねてきたと伝えてもらっていもいいですか? 緊急で話したいことがあって・・・」
「・・・わかりました、おかけになってお待ちください」
おねーさんは兄が務めているゆっくりクリニックへとやって来ていた
ぱちゅりーが家出したことを伝えるためだ
兄は大学を出てゆっくり専門の医者であるゆう医になった
おねーさんと同様、彼もまたゆっくりが好きでたまらない愛で派の人間だったのだ
そんな兄が誇らしくもあり羨ましくもあった
ゆっくりに携わる仕事に就くのはおねーさんにとって夢であり、先にそれを果たしてしまった兄に少しでも早く追いつきたかった
「・・・何の用だ。 今は勤務中だ、手短にすませろ」
診察を終えた兄が診察室に顔を出した
白衣を着てメガネをかけたまじめそうな風貌
普段のふざけた態度とはかけ離れたまじめで落ち着いた雰囲気
ぱちゅりーを家に連れてきた時とは、まるで別人のようだ
「ぱちゅりーが・・・ ぱちゅりーが家出しちゃったんだ・・・」
「なんだ、そんなことか
それなら加工所に問い合わせてバッチのナンバーを照合してもらえ。 控えは一緒に渡してあっただろ?」
「そうじゃなくて・・・ぱちゅりーとは喧嘩しちゃって・・・」
「だからなんだ。 あれの飼い主はお前だ、歯向かったなら従わせろ」
「・・・できないよ。 私なんかよりずっとゆっくりのこと知ってて、プライド高くて・・・」
「できないじゃない、やるんだ
それくらいできないでブリーダーになんてなれるはず無いだろ」
「どうすればいいの? 皆言うこと聞かないし、勉強させてもすぐ忘れるし・・・
もう、何をどうすればいいかわからないよ・・・」
「都合のいい時だけ人を頼るのはやめろ
お前一人でやると言ったんだから最後まで責任を持て、義務を果たせ」
「・・・責任? ・・・義務?」
「次の診察があるからもう行く
今後、職場に私用で押し掛けるのはやめろ。 迷惑だ」
「あ、ちょっと! まってよ!まって・・・」
兄は何も答えずに行ってしまった
(なんで人前だとそんなに冷たいの? どうして他人みたいな態度をとるの?)
その背中に無言で問いかけるものの、答えは当然返って来ない
16
おねーさんの家を出て行って数日後
ぱちゅりー達は近くの公園で寝泊まりしていた
穴があいたり崩れかけたりしている野良ゆの段ボールハウスが並ぶ中、一つだけま新しいお家がある
段ボールの上に雨よけのビニールシートが被せられ、地面に枝でしっかりと固定されている
ゆっくりが作ったとは思えないような立派なつくりだ
その中から、ぱちゅりーがひょこりと顔を出す
「むきゅん、おそとにでてもだいじょうぶそうね」
そう言ってぱちゅりーがお外に出ると四匹の赤ゆっくりがずーりずりと後に続く
お家を出た当日は不安で泣きやまなかったものの、ようやく外の世界に慣れ始めてきている
厳しい授業の甲斐あってか、素直に言うことを聞いて勝手な行動をとるものは一匹もいなかった
「それじゃあ、おちびちゃんたち! きょうもごみひろいをするわよ!」
「「「「ゆっくちりかいしちゃよ!」」」」
ぱちゅりーは公園のゴミ拾いや雑草の除去などボランティア活動に精を出している
野良となった今、このおちびちゃん達を飼いゆっくりにするには人間を頼るほかない
だが、通りすがりの人間におちびちゃんを飼いゆっくりにしてほしいとせがんでも良い結果は得られないだろう
ならば人間が目を引くような行動をして注目を集めるしかない
一見賢そうな行動に思えるがそれ以外に方法が無いのだ
選択肢のないぱちゅりーのとった苦肉の策である
「おちびちゃんたち! みんなできょうりょくしてこのあきかんさんをはこんでね!」
「「「「ゆっくちりかいしちゃよ!」」」」
公園の遊歩道の脇には空き缶が何個も捨てられている
それを一つずつ運んで山積みにするのだ
非力なゆっくり、それも赤ゆっくりからしたら想像を絶する重労働である
「もうまりしゃはへちょへちょだよ・・・」
「もうぢゃめ・・・れいみゅうごけにゃい・・・」
「いったんきゅうけいにしましょう! いまぱちゅりーがごはんをよういするからまっててちょうだい!」
赤ゆ達は空き缶を運んで二~三十センチほど進むと直ぐにばててしまう
ぱちゅりーは無理をさせずにこまめに休憩をとり、その間に雑草を引っこ抜いて口に含む
何度か咀嚼して柔らかくなったものを休憩中の赤ゆ達に与えるのだ
「ぺっぺ! さあ、たんとめしあがれ!」
「「「「むーちゃむーちゃ・・・ それなりー・・・」」」」
微妙な表情で雑草を食べる赤ゆ達
雑草はそれほどおいしい物ではない、だが食べれないわけではない
残念そうに食べてはいるものの文句を言わずに完食した
「ぱちゅりー! ゆっくりしていってね!」
「むきゅん? まりさ? ゆっくりしていってね!」
この公園の群れの長であるまりさが話しかけてきた
ぱちゅりーがこの公園に住むことを快く受け入れてくれた善良なまりさだ
「きょうもせいがでるね! はやくかいぬしさんがみつかるといいね!」
「そうね・・・でもげんじつはそんなにあまくないわぁ・・・」
「だいじょうぶだよ! ぱちゅりーみたいなかしこくてゆうっかん!なゆっくりならすぐにかってもらえるよ」
「ぱちぇがかってもらってもいみがないのよ・・・ このこたちのかいぬしがみつかるまでのらをつづけるつもりよ・・・」
「ぱちゅりーはやさしいんだね・・・ さすがは“えいゆん”だよ」
「むきゃ! ぱちぇは“えいゆん”でもなんでもないわ! はずかしいからそのはなしはやめてちょうだい!」
ぱちゅりーがこの公園にやってきた初めの晩
野生のれみりゃが群れを襲撃した
泣いて逃げ惑うだけで抵抗しようともしない野良ゆ達が次々と餌食になっていく中
ぱちゅりーは全く動じずに細かい枝を口で飛ばしてれみりゃを返り討ちにしたのだ
といっても、偶々目玉に当たって驚いたれみりゃが逃げ出しただけなのだが・・・
「まりしゃもおおきくにゃっちゃら、ぱちゅりーしぇんしぇいみちゃいに“えいゆん”になりゅよ!」
「れいみゅもがんばっちぇしぇんしぇーになりゅ! しぇんしぇーになっちぇゆっくちすりゅう!」
「もう、あなたたちったら・・・」
叶いもしないような将来の夢を語りだした赤ゆ達を、ぱちゅりーは呆れながらも何処かゆっくりした表情で見ていた
「ゆふふふふ。 ぱちゅりーはおちびちゃんたちがだーいすきなんだね
まりさのかわりにむれのおさをやってほしいくらいだよ!」
「むぎゃん! またそんなことをいって・・・ ぱちぇにはにがおもすぎるわ・・・」
「ゆぎゃああああああああああああああああああああああ!!!」
「「ゆん!?」」
長まりさと話していると、公園の静寂を悲鳴が切り裂いた
その声は転んでけがをしたとか言うレベルではなく、もっと悲惨なことが起きたことを知らせている
「まりさはようすをみてくるよ! ぱちゅりーはおちびちゃんとおうちへひなんしてね!」
「ゆ、ゆっくりりかいしたわ!」
長まりさの言った通り、おちびちゃんを連れてお家に向かうぱちゅりー
お家に到着しておちびちゃんを中に入れるとすぐにまりさの元へと向かう
わざわざ助けにいく義理などないのだが、数日間とはいえ生活を共にしたことでぱちゅりーには連帯感が生まれていた
「うぎゃああああああああ! やべろおおおおおおおおおおお!
おじびじゃんぼつぶずなああああああああああああああああ!」
群れの中心部から長まりさが叫ぶ声が聞こえた
三人の人間が長まりさのお家を踏みつぶしたり蹴ったりして遊んでいる
そのうちの一人が長まりさのおさげを掴んでぶらぶらとゆすっていた
17
「すみません・・・ちょっといいですか?」
「はい、なんでしょうか?」
おねーさんは近くのゆっくりショップに来ていた
手に抱えているケースの中には癇癪まりさを除く四匹の赤ゆっくり達が入っている
赤ゆっくりとはいっても子ゆっくり手前まで成長しておりテニスボールより少し小さいくらいの大きさだ
「この子たちを買い取ってほしいんですけど・・・」
「あ、はい。 もしかしてブリーダーの方ですか?」
「ええっと・・・一応・・・」
「はい! ではいまからこの子たちの評価をさせていただきますのでしばらくお待ちください!」
金髪にピアスをした店員はさわやかに微笑んで赤ゆっくりの入ったケースを持って行った
おねーさんは椅子に座って腰掛けて足をぶらぶらさせながら店内を見渡す
ケースの中には金や銀バッチをつけたゆっくりが入っていて、値札には十万・二十万と言った値が付けられている
一方柵の中に放し飼いになってる銅バッチのゆっくりには一匹あたり五千円とかなり値に開きがある
この違いはしつけの違いなのだろうか? それとも血統がいいのか?
そんなことをおねーさんんが考えていると、奥からさっきの金髪ピアスの店員と小太りでバーコード禿げの中年男性が出てきた
中年男性の付けた緑色のエプロンには店長と書かれたネームプレートが付けられている
「どーも。 わたくしがこの店で店長を務めさせていただいている山田というものです」
「あ、どうも。 私は虹川っていいます」
「虹川さん・・・結論から申し上げてあなたの育てたゆっくりをこちらで買い取ることはできません」
「・・・・・・なぜですか?」
「わかりませんかね。 まぁ、解らないから質問してるんでしょうね・・・」
「はぐらかさないではっきり言ってもらえますか? 腑に落ちません」
山田はやれやれと言った感じでかぶりを振り、おねーさんの目を見て言った
「・・・腐った生ごみの受け取りを拒否するのに理由が必要ですか?」
「生ごみ? どういうことですか!?」
「どういうこともなにもないですよ。 あんなゲス化したのを持ってこられてもこちらとしてはいい迷惑なんですよ
というより、あれは庭飼い用なのに室内で飼育してゲス化したようですがどうしてそんなことをしたんですか?」
「・・・それは」
「理由なんてありませんよね? どうせそちらの方が元気そうだからなんてどうしようもない理由で選んだんでしょう
あなたはまだスタートラインにすら立つことのできないレベルだということなんですよ」
「ブリーダーの資格ならちゃんととりましたけど!? よかったら認定証みせましょうか!?」
「必要ありません。 そもそも資格なんて適当に勉強すれば誰だって受かりますからね
あなたに足りないのは知識うんぬんではなく、ゆっくりに教育を施すだけの能力が無いということなんですよ
要は大人になり切れていない子供のままだっていうことです」
「・・・・・・・」
「私の方から言えるのはそれくらいです。 では」
そう言って山田と名乗った男は店の奥に行ってしまった
残されたおねーさんに金髪の店員が優しく声をかける
「しかたないよ、失敗は誰にでもあるからゆっくり頑張ってくださいね」
「・・・・・ありがとうございます」
「よかったら一匹当たり千円で引き取りますけどどうですか?」
「え!? いいんですか?! ええっと・・・いま領収書を用意しますね!」
「ああ、違うんです。 そう言うことじゃなくて・・・引き取るっていうのは千円で処分しますよってことなんですよ」
「しょ・・・ぶん・・・」
「うん、ゆっくりは特殊外来種生物として国から指定されているでしょ?
だから一度登録したら処分するには色々手続きが必要なんですよ
潰して生ごみとして捨てることもできなくはないんだけど、最近色々五月蠅くなってきてね・・・
それを代わりに代行する手数料ってことで本当は三千円かかるんだけどおまけして千円ってことで」
「どうして・・・どうして処分するんですか?」
「どうしてって・・・ゲス化したら飼ってても意味ないでしょ?
あ、もしかしてまだ認定受けてなかった? だったら早めに処分しておいた方がいいよ!
もし成体まで育っちゃったらバッチつけなくちゃいけないし、付けないまま飼っててもそれはそれで罰金だからね」
「・・・どうして
どうして簡単に処分なんて言えるんですか!?
ゆっくりが大好きなんですよね!? だからこういう仕事してるんですよねぇ!?
じゃあなんでそんなに簡単に処分なんて言えるんですか!? ねぇなんで!!」
おねーさんは涙を浮かべて店員に詰め寄る
店員は頭を掻いて目をそらした
「ははは、確かに処分なんて可哀そうなことできないって、そう考えていた時期が俺にもありました
でも結局それってただのエゴなんだよね。 可哀そうだからとか言ってたら商売にならないって
気持ちは分からなくもないけど、そんなこと言ってたら金バッチのゆっくりなんて育てられないよ
ブリーダーを目指すんならもっと現実を見なよ・・・」
「・・・でも、生きてるんですよ? かけがえのない命なんですよ? それを処分するなんて・・・・」
「ったくもーめんどくせーなあああああああああああああああああああ!!!!」
丁寧に受け答えしていた金髪の店員は態度を豹変させた
眉を吊り上げて威嚇するような目つきで睨みつけてくる
「なにが命だよ!? さっきから聞いてたら綺麗事ばっかりぬかしやがって!!!
大体ゲス化させてそいつらのゆん生台無しにしたのてめーだろうがよおおおおおおお!!!
自分がしたこと棚に上げて偉そうに御託並べてんじゃねーぞゴラァ!!!!!」
「・・・・・あの、その、すみません!」
「今更あやまってんじゃねーよ!!! もうそいつらには加工所で死ぬかお前に殺されるかしか選択肢がねーんだよ!!
よくもまぁぬけぬけと“かけがえのない命”だなんてぬかせるな!? っばーーーーかぁ!!!」
「・・・・・うぅぅ ごべんばばいいいいいいいい!!」
「泣いて謝るくらいなら死ね! 腹切って死ね!」
「おい、お前なんてこというんだ・・・」
山田が戻って来て金髪の店員を落ち着かせる
まだ何か言おうとしていたが、頭をひっぱたいて黙らせていた
「わるかったな、こいつは一度こうなると手がつけられないんだ。 すまん」
「ばだじごぞごべんばばいいいいいいいいいい!!」
「ああ、もう泣くな泣くな・・・ 悪かったよホントに」
「うわあああああああああああああん!!!」
おねーさんは泣いた
今までため込んでいたものを全て吐きだすかのように、泣いた
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「やべべぐばばびいいいいいいい! どっでぼゆっぐぢぢだおぢびじゃんなんでずうううううううう!」
「ちゅぶれりゅううううううううう! じんじゃうううううううううう!」
「ぴゃぴゃああああああああ! ちゃしゅけちぇええええええ!」
顔面を涙でぐしゃぐしゃにした長まりさが必死に懇願している
番であるありすは既に潰されており、地面にはカスタードのシミができていた
人間は長まりさの子供の子まりさと子ありすを足蹴にして、今にも潰してしまいそうだ
「こんなゴミ饅頭のどこがかわいいんだよw」
「なんにもできねーくせに粋がってんなよ! 下等生物のくせに何言ってんだよ! なぁ?」
「だなだな!」
人間達は学生服をだらしなく着ていて、みすぼらしい身なりをしている
どうやら近くの学校の生徒が授業をサボっているようだ
「むきゅぅ・・・ どうしたらいいの・・・? ぱちぇにはわからないわ・・・」
ぱちゅりーは賢かったので止めに入って行っても無駄なことは理解していた
木の陰から隠れて様子を窺っていたのだが、その木は姿を隠すにはあまりにも細すぎた
「ぱちゅりいいいいいい!? までぃざどまでぃざのおじびじゃんだじぼだずげでねええええええええ!?」
「むぎゃ! よけいなことを・・・」
「おん? あそこに一匹隠れてるな」
長まりさのせいで見つかってしまったい、人間がのそのそと近寄ってくる
追い詰められたぱちゅりーは最後の手に出た
「まちなさい! このきんばっちさんがめにはいらないのかしら!?」
「あん? なんだこいつ・・・いっちょまえにバッチなんか付けてやがる」
「どうせ捨てられたんだろw 潰しちまってもだいぢょーぶw」
「むぎゃん! なんてむちなのかしら! ・・・いいわ、つぶしなさい!
そのかわり、ごじつおくられてくるせいきゅうしょにめをしろくろさせるといいわ!」
「はー・・・ 饅頭にしては頭が回るみたいだな。 こいつの言ってることほんとかもしんねーぞ」
「まじかーw じゃあ、この金髪饅頭共潰したらけーるかw」
「だなだな」
危機が回避されてホッとしたのもつかの間
長まりさが信じられないことを言った
「まっでね!? ぞのばじゅりーにはばっぢざんのづいでないおじびじゃんがいるんだよ!
までぃざのおじびじゃんじゃなぐでぞっじのおじびじゃんをつぶじでね!?」
「むぎゃあああああああああ! どぼじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおおおおお!?」
「ほ~ で、そのおちびちゃんはどこにいるんだか教えてくれよ」
「あっじのじまじまのじーどざんのやねのおうじだよ! でぎだばっがりのぎでいなおうじだよ!」
「・・・んじゃ、そっちいきますか」
「だなだな」
「むぎゃあああああああああ! ごのうらぎりぼのおおおおおおおおお!」
「わるくおもわないでね! のらのせかいはひじょうなものなんだよ!」
長まりさは人間におさげを掴まれたまま、へらへらと笑っている
既に生き残ったつもりでいるようだ
「にんげんさん! やくそくどおりおちびちゃんをたすけてあげてね! すぐでいいよ!」
「やくそくぅ? 何言ってんだてめぇ・・・」
「ゆ? だってぱちゅりーのおうちをおしえたらゆるしてくれるんでしょ? うそはよくないよ!」
「そもそもてめーとそんな取引をしたつもりはねぇ。 おい、やっちまえ」
「だなだな!」
リーダー格の人間が合図をすると、おちびちゃんを踏みつけていた人間が少しずつ体重をかけ始める
既に息絶え絶えの子まりさと子ありすは尋常ではない悲鳴をあげた
「おどうじゃあああああああああ! おどじゃ! だじゅげでええええええええええ!
まりじゃじぬ! じんじゃ!う! ぐるじ! じぬうううううううううううう! ゆぎぃ!
ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
「びゃびゃああああああああああああああ! だじゅげぢぇえええええええええええ!
あでぃじゅじにぢゃぐにゃい! もっどゆっぐぢ!もっどもっど!ゆっぐぢいいいいい!
ゆぎゃああああああああ! ぎゅごごごおご! ごべべべおげええええええええ!」
頬が張り裂けんばかりに膨れ上がり、両目は今にも飛び出しそうな勢いでせり出している
一文字に結んだ口からは中身が歯と歯の間から漏れ始めた
「おでがいでず! どっでもゆっぐぢぢだおぢびじゃんなんでず!
がげがえのないいのぢなんでず! だっだびどづのいのぢだんでずうううう!」
「でたwかけがえのない命w お前らが言うと薄っぺらく聞こえるんだよなーw」
「一ついいこと教えてやるよ。 かけがえのない命だなんてもともと人間にとっちゃぁ無意味な言葉なんだよ」
「どぼじででずがああああ!!! までぃざにばわがりばぜん!」
「それはなぁ・・・ お前らみたいなアホとバカが自己満のために使う言葉だからだよ」
「どぼいうごどでずがあああああああああああ!?」
「犬や猫が虐待されれば可哀そうって言うくせに、保健所でガス室送りにするし
花を踏みつぶしたら怒られるけど、雑草を引っこ抜きゃあ褒められる
命は大切だって言っておきながら蚊やゴキブリは平気で殺す
自殺するなって言う割には、いじめは止めねーリストラはする
ここまで矛盾してんのに“かけがえのない命”なんてキリッって言える奴はただのバカかアホだろ?
ようするにお前らみたいな奴が人間にもいるってことだ
そーゆー奴らが使うような言葉だから、薄っぺらくしか聞こえねえってわけだ」
「おおーw すげえな、ちょっと俺感動しちゃったよw」
「そうか? 適当に言っただけだぞ?」
「ぞれがばでぃざだじどがんげいあるんでずがあああああああ!?」
「いや、ねーよ。 もういいだろそいつら潰しちまえ」
「だなだな!」
「おどじゃ! おどうじゃああああああああ! までぃじゃじにだぐにゃよおおおお!
ぐるじ! ぐるじいいいい! ゆぴょおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
ゆぎゅおおおおおぎゅうおおおおゆぎょおおおおおおおおおおお『ブチぃ!』・・・」
「やぢゃやぢゃ! ありじゅばじばばぜになっぢぇ! ゆっぐぢ!じゅりゅんぢゃもん!
ゆっぐじ! ゆっぐじいいいいいい! あでぃじゅはゆっぐじいいいいいいいいい!
おごおおお! げっぇげっぇえっ! あでぃ!じゅ! ぢょがいは『ブチョ!』・・・」
破裂寸前の子まりさと子ありすはさらに圧力をかけられてあっけなく爆ぜた
地べたには餡子とカスタードの小さな花が新たに花開いた
「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!
までぃざのおじびじゃん! おじびじゃんがああああああああああああああ!!!
どっでぼゆっぐぢぢでだのにいいいい! どぼじでごろしちゃったのおおおおお!?」
「うるせーな! そいつさっさと黙らせようぜ!」
「だなだな!」
「はいよーw 死ね!このウジ虫w」
「やめでね!? までぃざをごろざないでね!?
までぃざはあだらじいおよべざんどおじびじゃんづぐっでゆっぐぢ『ベシャア!』ゆっぐ・・・じ・・・」
長まりさを掴んでいた人間は勢いよく近くの看板に叩きつけた
勢い余っておさげがちぎれてしまい長まりさの顔面がぴたりと張り付く
その身体はピクリともせずにずるずるとずり落ちていって、看板には餡子のラインが縦に引かれた
「はぁーすっきりした! じゃあ早速つぎいこーぜ!」
「だなだな!」
「むきゃん! まちなさいあなたたち!」
ぱちゅりーは人間の後を必死に追う
何もできないと知りながら
後編へ続く