ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1435 食べるだけの話
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ankoss
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※初投稿
※いじめる描写自体はありません
わたしは公園にいる。
今はベンチに座って空を見上げている。
荷物は小さいビニール袋だけ。
袋の中にはコンビニで買ったおにぎりとペットボトルのお茶。
ここの公園は自宅の近くにあり、やたらと広い。
運動場・球場・テニスコート・森林、芝生などの緑地・池・大型遊具に児童向けの模型列車までそろっている。
簡単に言ってしまえば、だいたい何でもある。
スポーツ関連の施設は最近整備されたため休日ともなると利用者が多い。
だが、その他の場所は人影もまばらだ。
わたしはこの公園をよく利用していた。
お気に入りは遊具コーナーの端のベンチだ。
子供の声があまり気にならないし、子連れの親同士の会話も聞こえてこないからだ。
あんまりうるさいのは嫌だが、さすがに女一人で森林の中にはいたくはない。
今日のわたしは気が滅入っていた。
傷心だった。
落ち込んでいた。
昨日わたしはある失敗をした。
その失敗で誰が被害を被ったわけではない。
しかし、だからこそ、それはわたしの心にしつこく残っていた。
昨日の失敗を思い起こしては、うーなどと小さくうなる。
空を見上げて心をからにしようとするけれど、空白の心に次に浮かぶのは、やはり失敗してしまったことだけだった。
そんなループをもう長いこと続けていた。
今日のわたしの心はまるで鬱か空っぽにしか切り替えれないスイッチのようだった。
何度目かもうわからないスイッチの切り替えをしたとき、ふいに下から声がした。
「おねえさん おねがいだから なにかたべものちょうだいね!」
何か聞こえたような気がする。
「おねえさん おねがいだから なにかたべものちょうだいね!」
何か聞こえた、気がしただけと思い込む。
「おねえさん おねがいだから なにかたべものちょうだいね!」
何かは知らないけれど面倒なのはいやだ。
目を合わせたら負けだ。
何も聞こえてなどいない。
もう何も聞こえないことになっている。
何かが呼びかけてくるたび、わたしは自分に言い聞かせた。
「おねえさん おねがいだから なにかたべものちょうだいね!」
………
「おねえさん おねがいだから なにかたべものちょうだいね!」
ついに、わたしは敗北した。
顔を上げたまま目線だけ下ろす。
見える範囲には誰もいない。
顔は上げたまま目線を横に振り、左右を確認したがやはり誰もいない。
どうやら気持ちの悪いガ……子供さんではなかったようだ。
しかたなく顔を下げてみると、足元に一匹のゆっくりがいた。
黒い髪に赤リボン。
ほらアレだよ、アレ、饅頭の。
名前なんか覚えてないけど。
「ゆ? ゆっくりしていってね!!!」
顔を向けてくれたのが嬉しかったのか饅頭が鳴き声を変えた。
面倒くさい。
「なんだただの饅頭か……」
本当に面倒くさい。
「どおしてそんなこというのぉぉぉ!? れいむは まんじゅうじゃないんだよ!?」
ああ、そうだ、こいつは『れいむ』だったね。
「れいむはとってもかわいいんだよ? かわいくってごめんねぇー!!」
うぜぇ。
「かわいいれいむは おなかへってるんだよ! たべものちょうだいね!」
食べ物なんてやる気はさらさらない。
わたしはこのまま無視しようとも思った。
ただ、少し心に引っかかるものがあった。
わたしは饅頭に問いかける。
「お前、自分が可愛いと思ってんの?」
「せかいでいちばんかわいい れいむだよ! かわいくってごめんねぇぇぇ!!」
「わたしより?」
「ゆ?」
「わたしよりも可愛いと?」
「とうぜんだよ!」
「お前みたいな饅頭が、人間様の、このわたしよりも可愛いと?」
「そうだよ! れいむは おねえさんなんかより とってもかわいいんだよ?」
ちくしょぉ……。
調子に乗って次々と鳴き声をあげ続ける饅頭。
「せかいがしっとするれいむだよ!」
もういい。
「おねえさんよりかわいいれいむに たべものちょうだいね!」
これ以上はやめてくれ。
「たくさんでいいよ!」
あぁ、もう、聞かなきゃよかった……。
「おねえさんよりずっとずーっとかわいくてごめんねぇぇぇ!!!」
わたしの心は折れた。
「わたしは可愛くないんだぁぁぁ!!!」
「ゆゆゆ!?」
ショックだ。
こんな饅頭よりもかわいくないなんてショックすぎる。
「わたしは駄目人間なんだぁー!!」
わたしの心のダムは決壊してしまった。
「どおしてそんなこというのぉぉぉ!?」
饅頭が理解できないのもわかるけれど……
「お前みたいなのよりかわいくないなんてショックだよ!」
もうヤダ。
お腹も減ったしお昼食べる。
わたしはビニール袋からおにぎりを取りだした。
「ゆ! おねえさん おにぎりくれるの?」
こんなくそ饅頭の相手は嫌だ。
ニヤけた表情も気に入らない。
「ゆっくりかんしゃするよ!」
無視する。
もう無視する。
元々、何も聞こえてなどいなかった。
「おねえさん そのおにぎりちょーだいね!」
聞こえてない。
「はんぶんでいいよ!」
聞こえなーい。
「は はんぶんのはんぶんでもいいよ!」
聞こえるわけがない。
「かわいいれいむにちょうだいね! かわいくってごめんねー!」
「わたしは可愛くないんだぁぁぁ!!」
「おにぎりちょうだいねぇぇぇ!!!」
………
「ひ ひとくぢでいいですから おにぎりぐだざいぃぃ……」
わたしはおにぎりを完食した。
饅頭の顔を覗き込んでみる。
饅頭から最初のニヤついた表情は完全に消えていた。
緊張感の無さは相変わらずだがニヤけ顔ではなく泣き顔だ。
あー、なんかこの表情いいな……。
思い返せば、食べている最中に饅頭の声の調子が変わっていた。
きっと途中で泣き始めたのだろう。
泣きながらおにぎりを食べていくわたしと、泣きながら食べられていく様子を見る饅頭。
そんな絵を想像すると、笑いとともに何かいけない悦びを感じてしまいそうになる。
それから、わたしは饅頭におにぎりをあげることにした。
もちろん、おにぎりは『エサ』だ。
新しくおにぎりを買ってくるので、ここで待つように饅頭に伝え、わたしは近くのコンビニへ向かう。
歩きながら、わたしの頭は、饅頭にどうやっていじわるをしてやるか、ということだけを考えていた。
そうだ、『れいむはかわいくないよ』なんて言わせてみたいな。
そんなことを考えていると、曇っていたのがうそであるかのように、わたしの心は晴れ渡っていた。
太っちゃうかな……。
[あとがき]
お読みいただきありがとうございました。
絵にするとれいむがおまけになる気がしたので、SSです。
人生初です。
『絵+短い文章』がノーカンならば、ですが。
『わたし』の『失敗』は、他人にちょっと不用意なこと言っちゃった気がする、ぐらいのものです。『わたし』が深読みしすぎなだけです。
もっと削った方がよかったか。
人間側の視点でよかったか。
なにより、読みやすさはどうか。
色々ご指摘くださるとうれしいです。
エネゆ
※いじめる描写自体はありません
わたしは公園にいる。
今はベンチに座って空を見上げている。
荷物は小さいビニール袋だけ。
袋の中にはコンビニで買ったおにぎりとペットボトルのお茶。
ここの公園は自宅の近くにあり、やたらと広い。
運動場・球場・テニスコート・森林、芝生などの緑地・池・大型遊具に児童向けの模型列車までそろっている。
簡単に言ってしまえば、だいたい何でもある。
スポーツ関連の施設は最近整備されたため休日ともなると利用者が多い。
だが、その他の場所は人影もまばらだ。
わたしはこの公園をよく利用していた。
お気に入りは遊具コーナーの端のベンチだ。
子供の声があまり気にならないし、子連れの親同士の会話も聞こえてこないからだ。
あんまりうるさいのは嫌だが、さすがに女一人で森林の中にはいたくはない。
今日のわたしは気が滅入っていた。
傷心だった。
落ち込んでいた。
昨日わたしはある失敗をした。
その失敗で誰が被害を被ったわけではない。
しかし、だからこそ、それはわたしの心にしつこく残っていた。
昨日の失敗を思い起こしては、うーなどと小さくうなる。
空を見上げて心をからにしようとするけれど、空白の心に次に浮かぶのは、やはり失敗してしまったことだけだった。
そんなループをもう長いこと続けていた。
今日のわたしの心はまるで鬱か空っぽにしか切り替えれないスイッチのようだった。
何度目かもうわからないスイッチの切り替えをしたとき、ふいに下から声がした。
「おねえさん おねがいだから なにかたべものちょうだいね!」
何か聞こえたような気がする。
「おねえさん おねがいだから なにかたべものちょうだいね!」
何か聞こえた、気がしただけと思い込む。
「おねえさん おねがいだから なにかたべものちょうだいね!」
何かは知らないけれど面倒なのはいやだ。
目を合わせたら負けだ。
何も聞こえてなどいない。
もう何も聞こえないことになっている。
何かが呼びかけてくるたび、わたしは自分に言い聞かせた。
「おねえさん おねがいだから なにかたべものちょうだいね!」
………
「おねえさん おねがいだから なにかたべものちょうだいね!」
ついに、わたしは敗北した。
顔を上げたまま目線だけ下ろす。
見える範囲には誰もいない。
顔は上げたまま目線を横に振り、左右を確認したがやはり誰もいない。
どうやら気持ちの悪いガ……子供さんではなかったようだ。
しかたなく顔を下げてみると、足元に一匹のゆっくりがいた。
黒い髪に赤リボン。
ほらアレだよ、アレ、饅頭の。
名前なんか覚えてないけど。
「ゆ? ゆっくりしていってね!!!」
顔を向けてくれたのが嬉しかったのか饅頭が鳴き声を変えた。
面倒くさい。
「なんだただの饅頭か……」
本当に面倒くさい。
「どおしてそんなこというのぉぉぉ!? れいむは まんじゅうじゃないんだよ!?」
ああ、そうだ、こいつは『れいむ』だったね。
「れいむはとってもかわいいんだよ? かわいくってごめんねぇー!!」
うぜぇ。
「かわいいれいむは おなかへってるんだよ! たべものちょうだいね!」
食べ物なんてやる気はさらさらない。
わたしはこのまま無視しようとも思った。
ただ、少し心に引っかかるものがあった。
わたしは饅頭に問いかける。
「お前、自分が可愛いと思ってんの?」
「せかいでいちばんかわいい れいむだよ! かわいくってごめんねぇぇぇ!!」
「わたしより?」
「ゆ?」
「わたしよりも可愛いと?」
「とうぜんだよ!」
「お前みたいな饅頭が、人間様の、このわたしよりも可愛いと?」
「そうだよ! れいむは おねえさんなんかより とってもかわいいんだよ?」
ちくしょぉ……。
調子に乗って次々と鳴き声をあげ続ける饅頭。
「せかいがしっとするれいむだよ!」
もういい。
「おねえさんよりかわいいれいむに たべものちょうだいね!」
これ以上はやめてくれ。
「たくさんでいいよ!」
あぁ、もう、聞かなきゃよかった……。
「おねえさんよりずっとずーっとかわいくてごめんねぇぇぇ!!!」
わたしの心は折れた。
「わたしは可愛くないんだぁぁぁ!!!」
「ゆゆゆ!?」
ショックだ。
こんな饅頭よりもかわいくないなんてショックすぎる。
「わたしは駄目人間なんだぁー!!」
わたしの心のダムは決壊してしまった。
「どおしてそんなこというのぉぉぉ!?」
饅頭が理解できないのもわかるけれど……
「お前みたいなのよりかわいくないなんてショックだよ!」
もうヤダ。
お腹も減ったしお昼食べる。
わたしはビニール袋からおにぎりを取りだした。
「ゆ! おねえさん おにぎりくれるの?」
こんなくそ饅頭の相手は嫌だ。
ニヤけた表情も気に入らない。
「ゆっくりかんしゃするよ!」
無視する。
もう無視する。
元々、何も聞こえてなどいなかった。
「おねえさん そのおにぎりちょーだいね!」
聞こえてない。
「はんぶんでいいよ!」
聞こえなーい。
「は はんぶんのはんぶんでもいいよ!」
聞こえるわけがない。
「かわいいれいむにちょうだいね! かわいくってごめんねー!」
「わたしは可愛くないんだぁぁぁ!!」
「おにぎりちょうだいねぇぇぇ!!!」
………
「ひ ひとくぢでいいですから おにぎりぐだざいぃぃ……」
わたしはおにぎりを完食した。
饅頭の顔を覗き込んでみる。
饅頭から最初のニヤついた表情は完全に消えていた。
緊張感の無さは相変わらずだがニヤけ顔ではなく泣き顔だ。
あー、なんかこの表情いいな……。
思い返せば、食べている最中に饅頭の声の調子が変わっていた。
きっと途中で泣き始めたのだろう。
泣きながらおにぎりを食べていくわたしと、泣きながら食べられていく様子を見る饅頭。
そんな絵を想像すると、笑いとともに何かいけない悦びを感じてしまいそうになる。
それから、わたしは饅頭におにぎりをあげることにした。
もちろん、おにぎりは『エサ』だ。
新しくおにぎりを買ってくるので、ここで待つように饅頭に伝え、わたしは近くのコンビニへ向かう。
歩きながら、わたしの頭は、饅頭にどうやっていじわるをしてやるか、ということだけを考えていた。
そうだ、『れいむはかわいくないよ』なんて言わせてみたいな。
そんなことを考えていると、曇っていたのがうそであるかのように、わたしの心は晴れ渡っていた。
太っちゃうかな……。
[あとがき]
お読みいただきありがとうございました。
絵にするとれいむがおまけになる気がしたので、SSです。
人生初です。
『絵+短い文章』がノーカンならば、ですが。
『わたし』の『失敗』は、他人にちょっと不用意なこと言っちゃった気がする、ぐらいのものです。『わたし』が深読みしすぎなだけです。
もっと削った方がよかったか。
人間側の視点でよかったか。
なにより、読みやすさはどうか。
色々ご指摘くださるとうれしいです。
エネゆ