ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3998 望みは叶ったはず
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ankoss
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『望みは叶ったはず』 30KB
虐待 野良ゆ 現代 もっと早く書けるようになりたいものです
虐待 野良ゆ 現代 もっと早く書けるようになりたいものです
望みは叶ったはず
「にんげんさんんんんっ! おねがいですううううっ! おちびちゃんおおおおおおっ! れいむのおちびちゃ
んをたすけてえええええっ!」
んをたすけてえええええっ!」
月のない夜、と言い切ってしまうにはまだためらわれる宵闇の頃だった。思い出したかのようにポツンポツン
と灯る街灯。コンビニ袋をぶら下げた帰り道の、まさにその街灯の光の下で、野良れいむは俺を認めるなり大声
で助けを求めてきた。
と灯る街灯。コンビニ袋をぶら下げた帰り道の、まさにその街灯の光の下で、野良れいむは俺を認めるなり大声
で助けを求めてきた。
髪も体も全体的に薄汚れて…いや、汚れていて、赤かったはずのリボンは乾いた血反吐の跡のような汚れた赤
褐色。鉤裂きだらけのフリルに至っては元の色が白だと知らなければ、元からそういう泥水色なのだと納得せざ
るをえないほどだ。
ただでさえ土埃と泥汚れにまみれた体の、右の目の下あたりからほっぺた全体には何だかよく分からない油染
みがべっとりこびりつき、砂利道にできた水たまりに10万キロ走った車のエンジンオイルをこぼしてかき混ぜ
たみたいな、不快な色とテカり方をしている。陰になって見えないが、おそらく尻はろくにふき取れていない排
泄物がこびりついて、夢精した翌朝の中学生のパンツの中よろしくデロデロのガビガビになっているのだろう。
髪はさらにひどい。美容師が悪意を持って失敗したドレッドヘアのケツ毛さながらに泥と油で束になってゴワ
ゴワと固まり、脂性の中年男のスダレハゲのごとく異様な臭いとギラつきを放っている。左のもみあげを束ねて
いたはずのフリルは破れてほどけ、どうやったのか引き延ばしたチューインガムでぐるぐる巻きにしてあった。
褐色。鉤裂きだらけのフリルに至っては元の色が白だと知らなければ、元からそういう泥水色なのだと納得せざ
るをえないほどだ。
ただでさえ土埃と泥汚れにまみれた体の、右の目の下あたりからほっぺた全体には何だかよく分からない油染
みがべっとりこびりつき、砂利道にできた水たまりに10万キロ走った車のエンジンオイルをこぼしてかき混ぜ
たみたいな、不快な色とテカり方をしている。陰になって見えないが、おそらく尻はろくにふき取れていない排
泄物がこびりついて、夢精した翌朝の中学生のパンツの中よろしくデロデロのガビガビになっているのだろう。
髪はさらにひどい。美容師が悪意を持って失敗したドレッドヘアのケツ毛さながらに泥と油で束になってゴワ
ゴワと固まり、脂性の中年男のスダレハゲのごとく異様な臭いとギラつきを放っている。左のもみあげを束ねて
いたはずのフリルは破れてほどけ、どうやったのか引き延ばしたチューインガムでぐるぐる巻きにしてあった。
それはもう汚い汚い、野良のレベルで見てもあきれるほど汚い、ありふれた野良ゆっくりだった。そいつが涙
を流しヨダレを跳ばし、全身から汗とも鼻汁ともつかない気持ちの悪い汁を流しながらにじりよってくる。
を流しヨダレを跳ばし、全身から汗とも鼻汁ともつかない気持ちの悪い汁を流しながらにじりよってくる。
そのナリを見るに、鈍くさく要領悪く、だが幸か不幸か駆除されることもなく今まで生きて…死なないままで
やってこれたのだろう。だがその幸運だか不運だか悪運だかは、ようやく『品切れ、再販予定なし』の札を掲げ
たと見える。
やってこれたのだろう。だがその幸運だか不運だか悪運だかは、ようやく『品切れ、再販予定なし』の札を掲げ
たと見える。
れいむがその汚い頭の上にのせている仔ゆっくりは、野良の仔ゆっくりとしては髪もそれなりに整い、体もま
あほどほどに白く、お飾りも目立った染みや汚れもなく整えられて…いたのだろう。
あほどほどに白く、お飾りも目立った染みや汚れもなく整えられて…いたのだろう。
見開いた目は黒目がまぶたの裏に隠れるほど裏返り、眼球の下側には何本もの細い餡子の筋が干からびたイト
ミミズのごとく浮いている。アヘ顔ダブルピースの目玉と言えば分かりやすいだろうか。引き攣ったようにいび
つな形にゆがんだ口からは、ひび割れ欠けるほど食いしばった歯列がのぞき、すすり上げることすらできないま
まヨダレが垂れ流しになっていた。ときおり小さく痙攣するように身震いしては、食いしばった歯の隙間から
「ゆっ」なのか「ぎゅ」なのか「ぢゅ」なのか何とも表記のしようのない声を漏らしている。
ミミズのごとく浮いている。アヘ顔ダブルピースの目玉と言えば分かりやすいだろうか。引き攣ったようにいび
つな形にゆがんだ口からは、ひび割れ欠けるほど食いしばった歯列がのぞき、すすり上げることすらできないま
まヨダレが垂れ流しになっていた。ときおり小さく痙攣するように身震いしては、食いしばった歯の隙間から
「ゆっ」なのか「ぎゅ」なのか「ぢゅ」なのか何とも表記のしようのない声を漏らしている。
非ゆっくり症の末期症状だ。おそらく朝を迎えることはないだろう。
れいむの姿を見るに、おそらくは水場の確保すらろくにできてはいないのだろう。それなのに仔ゆっくりの身
なりが野良としては珍しいほどにまだマシなのは、このれいむが仔ゆっくりを存分に甘やかしていた証拠に他な
らない。体表に付着したホコリ、ゴミ、泥汚れ、食い散らかした食べかすに、ところかまわずひり出される排泄
物。それらのすべてを、このれいむは舐めとっていたはずだ。
そうでなければこの仔ゆっくりが、今はややしなびてはいるものの、まだまともなナリをしていられるわけが
ない。
なりが野良としては珍しいほどにまだマシなのは、このれいむが仔ゆっくりを存分に甘やかしていた証拠に他な
らない。体表に付着したホコリ、ゴミ、泥汚れ、食い散らかした食べかすに、ところかまわずひり出される排泄
物。それらのすべてを、このれいむは舐めとっていたはずだ。
そうでなければこの仔ゆっくりが、今はややしなびてはいるものの、まだまともなナリをしていられるわけが
ない。
現に今、仔ゆっくりがあごの下あたりから垂れ流しはじめた薄黄色の液体が、れいむの脂ぎった前髪を濡らし
て顔面に滴り落ち、涙と混じり合いながら細い筋を作って口腔に流れ込んでも、特に気にする様子は見られない。
て顔面に滴り落ち、涙と混じり合いながら細い筋を作って口腔に流れ込んでも、特に気にする様子は見られない。
「れいむはあああ! れいむはだめなおかあさんですううううっ! おちびちゃんをゆっくりさせてあげられな
くてえええええ! おちびちゃんがゆっくりできなくなってええええええ! ゆっくりしてたのにいいいいいい
っ! みんなみんなしあわせいっぱいでゆっくりしてたのにいいいいいいっ!」
くてえええええ! おちびちゃんがゆっくりできなくなってええええええ! ゆっくりしてたのにいいいいいい
っ! みんなみんなしあわせいっぱいでゆっくりしてたのにいいいいいいっ!」
野良ゆっくりの分際でゆっくりが希求するレベルのゆっくりをやっていたら遅かれ早かれそのゆっくりはゆっ
くりできなくなるだろうよ。などとゆっくりがゲシュタルト崩壊しかねない愚考がチラリと浮かぶ。
その言とそのナリから想像するに、番を失ったのだろう。番を失ってからまだ日は浅いはずだ。仔ゆっくりが
干し柿よろしくしなびきっているわけではないことから、それはおそらく間違いない。で、日が浅いにもかかわ
らず既に非ゆっくり症の末期症状を呈していることから分かるのは、番は相当程度に優秀で、れいむも仔も文句
なくゆっくりできていたということ。このれいむは紛う事なき母性特化型生活無能力種であること。仔ゆっくり
もそれに乗っかった無制限増長怠惰型泣きわめく専門種であろう、ということ。
くりできなくなるだろうよ。などとゆっくりがゲシュタルト崩壊しかねない愚考がチラリと浮かぶ。
その言とそのナリから想像するに、番を失ったのだろう。番を失ってからまだ日は浅いはずだ。仔ゆっくりが
干し柿よろしくしなびきっているわけではないことから、それはおそらく間違いない。で、日が浅いにもかかわ
らず既に非ゆっくり症の末期症状を呈していることから分かるのは、番は相当程度に優秀で、れいむも仔も文句
なくゆっくりできていたということ。このれいむは紛う事なき母性特化型生活無能力種であること。仔ゆっくり
もそれに乗っかった無制限増長怠惰型泣きわめく専門種であろう、ということ。
何らかの理由で番を失い日々の食餌に困窮したれいむ種という生活能力のないゆっくりの終着としては、珍し
くも何ともないじつにありふれた詰み方だ。
くも何ともないじつにありふれた詰み方だ。
「おとなりのぱちゅりーはあきらめろってっ! おちびちゃんはこんなにかわいいのにっ! そんなのできるわ
けないよおおおおっ! なのにっ! なのにもうなんとかできるのはにんげんさんしかいないからむりだって!
だからにんげんさんになんとかしてもらうしかないのおおおおっ! たすけてよおおおおおっ! れいむのお
ちびちゃんをたすけてえええええっ! こんなにおねがいしてるのにどうしてだれもたすけてくれないのおおお
おおおっ!」
けないよおおおおっ! なのにっ! なのにもうなんとかできるのはにんげんさんしかいないからむりだって!
だからにんげんさんになんとかしてもらうしかないのおおおおっ! たすけてよおおおおおっ! れいむのお
ちびちゃんをたすけてえええええっ! こんなにおねがいしてるのにどうしてだれもたすけてくれないのおおお
おおおっ!」
こんな、夏休みのあいだじゅうボウフラのわく防火バケツに突っ込まれていた雑巾の方がまだましなレベル、
の汚い野良ゆっくりを助けようという酔狂を起こす人間はいないだろう。というか、いなかったのだろう。さら
に言えば、その饅頭皮をこすりつけられた靴が微速度撮影でも見るようにみるみる腐り落ちてゆく幻影すら見か
ねない汚い野良ゆっくり、を潰そうという奇特な人物もまた、いなかったのだろう。
言うまでもなく俺もその一人である。本来ならば。
の汚い野良ゆっくりを助けようという酔狂を起こす人間はいないだろう。というか、いなかったのだろう。さら
に言えば、その饅頭皮をこすりつけられた靴が微速度撮影でも見るようにみるみる腐り落ちてゆく幻影すら見か
ねない汚い野良ゆっくり、を潰そうという奇特な人物もまた、いなかったのだろう。
言うまでもなく俺もその一人である。本来ならば。
時間がすでに宵闇の迫る時間であり、普通のゆっくりならば同じ状況であっても巣に戻って悲劇のヒロインぶ
りながらゆんゆん泣いているのが関の山であるはずの時間にもかかわらず、このれいむは必死に仔の命乞いをし
ていること。
れいむが自身の身繕いを放棄してまで身綺麗にしてやっていた仔ゆっくりが、れいむではなくまりさであるこ
と。
ちょっとしたいたずらを思いついたこと。
りながらゆんゆん泣いているのが関の山であるはずの時間にもかかわらず、このれいむは必死に仔の命乞いをし
ていること。
れいむが自身の身繕いを放棄してまで身綺麗にしてやっていた仔ゆっくりが、れいむではなくまりさであるこ
と。
ちょっとしたいたずらを思いついたこと。
その三つが揃わなかったのならば、もろともに側溝に蹴りこんであらゆる意味で終わらせていただろう。
「ゆっ…ゆっくりもういちどせつめいしてほしいよ」
「何度でも説明してやるが、お前の大事なこのチビはお前が説明を聞いているあいだに死ぬかもな。それが嫌な
らそろそろ理解して覚悟しろ。いいか…」
「だって、だってそんなのゆっくりできないいいいいっ!」
「説明が欲しいなら黙って聞けこの阿呆」
「何度でも説明してやるが、お前の大事なこのチビはお前が説明を聞いているあいだに死ぬかもな。それが嫌な
らそろそろ理解して覚悟しろ。いいか…」
「だって、だってそんなのゆっくりできないいいいいっ!」
「説明が欲しいなら黙って聞けこの阿呆」
近くの市民公園の噴水のそばに来ている。
ガキを助けて欲しいのか、と。そのためなら何でもするか、と。俺の問いに対するこのれいむの返答はむろん
然りだった。小賢しくも、れいむにできることならなんでもするよ、という限定条件を付けてきたこのゆっくり
に、お前にしかできないことだと俺は請け負ってやった。
ガキを助けて欲しいのか、と。そのためなら何でもするか、と。俺の問いに対するこのれいむの返答はむろん
然りだった。小賢しくも、れいむにできることならなんでもするよ、という限定条件を付けてきたこのゆっくり
に、お前にしかできないことだと俺は請け負ってやった。
この公園は街の中にあるが、植樹が多く野鳥も多い。どこから移住したのか不明だが、シマリスやモモンガが
営巣しているという話も聞く。
一般に、噴水と聞いてまず思い浮かべる形状はおそらく、巨大なコンクリートの子供用プールの真ん中から水
が噴き出す、というものだろう。だが、小動物が水場として利用できるように、ここの噴水は一般的なイメージ
の噴水とは少し異なっている。
周囲の石畳からごく低い段差で階段状に下って低まったところに、直径10メートルはあろうかという大きさ
で丸くコンクリートが敷設されている。その上を中央部分から湧き出して外周へと静かに流れる水は、せいぜい
水深1センチといったところ。一定時間ごとに中央の円錐状のオブジェから噴き出すのは水柱ではなく、スノー
マシンのような濃密なミストだ。
周囲に柵に類するものはなにもなく、立ち入りは自由。というか真夏には公園内屈指の人気スポットである。
もっとも、今は時間的にも季節的にも水遊びには少々厳しい頃合いで、この人っ子一人いない状況は俺にとっ
ては好都合だ。
営巣しているという話も聞く。
一般に、噴水と聞いてまず思い浮かべる形状はおそらく、巨大なコンクリートの子供用プールの真ん中から水
が噴き出す、というものだろう。だが、小動物が水場として利用できるように、ここの噴水は一般的なイメージ
の噴水とは少し異なっている。
周囲の石畳からごく低い段差で階段状に下って低まったところに、直径10メートルはあろうかという大きさ
で丸くコンクリートが敷設されている。その上を中央部分から湧き出して外周へと静かに流れる水は、せいぜい
水深1センチといったところ。一定時間ごとに中央の円錐状のオブジェから噴き出すのは水柱ではなく、スノー
マシンのような濃密なミストだ。
周囲に柵に類するものはなにもなく、立ち入りは自由。というか真夏には公園内屈指の人気スポットである。
もっとも、今は時間的にも季節的にも水遊びには少々厳しい頃合いで、この人っ子一人いない状況は俺にとっ
ては好都合だ。
噴水の外周部に腰を下ろし、仔まりさを足の間に置く。れいむがトチ狂って取り返そうとしても、その瞬間に
踏みつぶせる位置だ。
もっとも、水際にいるれいむの注意はもっぱら目の前に注がれているが。
相変わらずゆっぐゆっぐとしゃくりあげながら、水の中に無い足を踏み出そうとしてはためらい、また踏みだ
そうとしては後ずさる。まったくもってらちがあかない。
踏みつぶせる位置だ。
もっとも、水際にいるれいむの注意はもっぱら目の前に注がれているが。
相変わらずゆっぐゆっぐとしゃくりあげながら、水の中に無い足を踏み出そうとしてはためらい、また踏みだ
そうとしては後ずさる。まったくもってらちがあかない。
「もう一度言うぞ。お前のガキを助けて欲しいなら、お前しかできないことをやって見せろ。それを見届けたら
ガキを治す。
ただし、お前は助けてと言ってはならない。死にたくないと言ってはならない。生きていたいとか死ぬのは嫌
とかもだめだ。おたべなさいもするな。
お前はその水に入って、死ぬまでそこにいろ。お前が死んだら、ガキは助かる」
ガキを治す。
ただし、お前は助けてと言ってはならない。死にたくないと言ってはならない。生きていたいとか死ぬのは嫌
とかもだめだ。おたべなさいもするな。
お前はその水に入って、死ぬまでそこにいろ。お前が死んだら、ガキは助かる」
「ゆあああああああああああ! ゆっぐりでぎないいいいいいい!」
「なに言ってんだお前」
「なに言ってんだお前」
自分にできることなら何でもするというこの母れいむへの要求は、我が子のために自ら死ねというシンプルな
ものだ。
我が子のために死ぬのは、今のこのみすぼらしく汚れて無力なゆっくりにできる最大のものだろう。そしてお
そらく、俺が思うに
ものだ。
我が子のために死ぬのは、今のこのみすぼらしく汚れて無力なゆっくりにできる最大のものだろう。そしてお
そらく、俺が思うに
「かわいい子供のために死ねるならそれで十分しあわせーだろ?」
ゆっくりが常日ごろ主張してやまぬ建前からすれば、それは親の特権であるはずだ。
「でぼぉ! でぼぉ! れいぶがいなぐなっだらおぢびぢゃんはだれがぞだでるのっ! おぢびぢゃんがひどり
ぼっぢになるのはゆっぐりでぎないよっ!」
「そしてお前はガキを助けられずにひとりぼっちになるわけだ。ガキを見捨てたゆっくりできないダメなゆっく
りとして是非この先も後ろ指を指されていってくれ」
「れ、れいぶはおぢびぢゃんをみすでだりなんがじないよおおおおっ!」
「そうかそうかお前の決意はよく分かった」
ぼっぢになるのはゆっぐりでぎないよっ!」
「そしてお前はガキを助けられずにひとりぼっちになるわけだ。ガキを見捨てたゆっくりできないダメなゆっく
りとして是非この先も後ろ指を指されていってくれ」
「れ、れいぶはおぢびぢゃんをみすでだりなんがじないよおおおおっ!」
「そうかそうかお前の決意はよく分かった」
というかもう何度も聞いた。
「そろそろおしゃべりの時間は終わりだ。お前がしゃべればしゃべるほど、ガキに残された時間はどんどん少な
くなっていくからな」
「ゆあああああっ! おちびちゃんゆっくりしてね! ゆっくりだよっ! ゆっぐり! ゆっぐ、ゆぐぅ、ゆぐ
うううううう」
くなっていくからな」
「ゆあああああっ! おちびちゃんゆっくりしてね! ゆっくりだよっ! ゆっぐり! ゆっぐ、ゆぐぅ、ゆぐ
うううううう」
仔まりさを見る。水面を見る。そうやって汚れの染みついた体をぐねぐねとよじりながら、また泣く。
本当にれいむというゆっくりは汁気が多い。
本当にれいむというゆっくりは汁気が多い。
「ゆあ、あああああああああああああっ!」
一瞬体をたわませ、目を閉じたまま絶叫とともにジャンプ。15センチほど飛んで、ばしゃん、という水音と
ともに、れいむは着水した。
ともに、れいむは着水した。
「ゆああああ……ゆっぐり……ゆっぐりぃぃぃ……」
自分の体の周りを流れる水を見ては、もみあげをわさわさと上下に振り、際限なく泣くれいむ。どぼぢでどぼ
ぢでと繰り返すだけになっているあたり、水に浸かっているという現実を認識するだけでいっぱいいっぱいにな
っていて、大事なことを忘れていると思われる。
確認。
ぢでと繰り返すだけになっているあたり、水に浸かっているという現実を認識するだけでいっぱいいっぱいにな
っていて、大事なことを忘れていると思われる。
確認。
「久しぶりの水浴びはどんな気持ちだ?」
「ゆう…つべたいよ。それにおみずさんがいっぱいはゆっくりできないよ…」
「ゆう…つべたいよ。それにおみずさんがいっぱいはゆっくりできないよ…」
俺が今『水浴び』と言った瞬間に他のいろんな要素の一切合切を忘れて水浴びしている気分になったらしい。
ゆっくりの思考回路は究極のシングルタスクと言われる所以だ。
ゆっくりの思考回路は究極のシングルタスクと言われる所以だ。
思い出させてやることにする。
「おいれいむ、いいかよく聞け。もう一度言うぞ」
「ゆう?」
「ゆう?」
体をよじってこっちを向いたれいむが、俺の足下で痙攣を繰り返す仔まりさを視界に留めて硬直する。
「おっ、おぢびぢゃあああああああん! ゆっぐりだよっ! ゆっぐりっ!」
「お前が、死んだら、まりさを、治す」
「ゆっ!」
「お前が、死ぬまで、まりさは、治さない」
「ゆうううううっ!」
「お前が、死ねば、まりさは、助かる」
「ゆぐうううううっ!」
「お前が、死ななければ、まりさは、助からない」
「ゆんやあああああああああっ!」
「お前が、死んだら、まりさを、治す」
「ゆっ!」
「お前が、死ぬまで、まりさは、治さない」
「ゆうううううっ!」
「お前が、死ねば、まりさは、助かる」
「ゆぐうううううっ!」
「お前が、死ななければ、まりさは、助からない」
「ゆんやあああああああああっ!」
文節を区切って、一言一言を強調しながられいむに告げる。
「お前が、生きていたら、まりさが、死ぬ」
「おぢびぢゃああああああああんっ!」
「ゆっくり、しないで、急いで、死ね」
「ゆあ、ゆああ…れいぶ、れいぶ――」
「助けてと言うな。死にたくないと言うな。おたべなさいをするな。忘れたか?」
「――! れいぶ…ゆっぐり、りがいじだ、よ……」
「おぢびぢゃああああああああんっ!」
「ゆっくり、しないで、急いで、死ね」
「ゆあ、ゆああ…れいぶ、れいぶ――」
「助けてと言うな。死にたくないと言うな。おたべなさいをするな。忘れたか?」
「――! れいぶ…ゆっぐり、りがいじだ、よ……」
恐らくは『死にたくない』だろう。危うくNGワードを言いそうになったれいむを、先回りして黙らせる。言
いかけた言葉を途中で止めるという、ゆっくりにしてはかなりの神回避を見せたれいむが、目の幅ほどの涙を滂
沱と流した。
いかけた言葉を途中で止めるという、ゆっくりにしてはかなりの神回避を見せたれいむが、目の幅ほどの涙を滂
沱と流した。
何がどうあろうと自分は死ぬ以外の道がないことをようやく現実として認識した絶望と、自分が死にさえすれ
ば子供は救われる――十中八九、ゆっくりの幸せ餡子脳変換フィルター経由では飼われて不自由なく暮らすとこ
ろまで確定事項――という希望に満ちあふれた未来絵図。そのつたない思考のモザイクを、ゆっくりの鳴き声表
情行動動作から推測し想像して悦に浸るのが良いのであって、そのためにはここで早々とゲームオーバーしても
らっては俺が困る。
ば子供は救われる――十中八九、ゆっくりの幸せ餡子脳変換フィルター経由では飼われて不自由なく暮らすとこ
ろまで確定事項――という希望に満ちあふれた未来絵図。そのつたない思考のモザイクを、ゆっくりの鳴き声表
情行動動作から推測し想像して悦に浸るのが良いのであって、そのためにはここで早々とゲームオーバーしても
らっては俺が困る。
「ゆあぁぁぁ……ゆんやぁ、ゆんやああっ……ゆぐっ……ゆっぐりぃぃぃっ!」
かといってただひたすら泣くだけのれいむをこのまま放置していたのでは、どう見ても仔まりさの方が先に死
ぬ。それはそれでつまらない。そう、それはつまらない。子供思いのれいむの死出の旅路は成り行き任せではな
く、ちゃんとしたプロデュースを。
ぬ。それはそれでつまらない。そう、それはつまらない。子供思いのれいむの死出の旅路は成り行き任せではな
く、ちゃんとしたプロデュースを。
「ヒントを少し出してやるから感謝しろよ。ひとつめ、水は真ん中の方がたくさんある。ふたつめ、じっとして
いるよりたくさん動いた方が、たくさん水に濡れる。みっつめ、水をたくさん飲めば、体の中も濡れる。
……どうしたそんなににらんで? かわいいかわいいおちびちゃんを助けてくれる人間相手にそんな顔してい
いのか? ん?」
いるよりたくさん動いた方が、たくさん水に濡れる。みっつめ、水をたくさん飲めば、体の中も濡れる。
……どうしたそんなににらんで? かわいいかわいいおちびちゃんを助けてくれる人間相手にそんな顔してい
いのか? ん?」
「……にんげんざんは……げすだよっ! おぢびちゃんを…なおじでぐでるのはゆっぐじあぢがどうだげど……
でぼやっばじにんげんざんは、げすだよっ!」
「助けてと言わない。死にたくないと言わない。おたべなさいをしない。このルールを守っている限り、暴れて
もいいし泣き叫んでもいいぞ。幸いこの公園は広くて、近所迷惑にもならないからな」
「うぶあああああああああああああああああああああっ!」
でぼやっばじにんげんざんは、げすだよっ!」
「助けてと言わない。死にたくないと言わない。おたべなさいをしない。このルールを守っている限り、暴れて
もいいし泣き叫んでもいいぞ。幸いこの公園は広くて、近所迷惑にもならないからな」
「うぶあああああああああああああああああああああっ!」
「ゆっぐぢじないで…びょんびょんずるよ」
こんな時でも宣言するんだなと、今更ながらに呆れると言うべきか感心すると言うべきか判然としない感覚を
抱きながら噴水の中央に向かって跳ねるれいむを眺め、傍らのコンビニ袋から喉飴の袋を取り出す。個別包装さ
れた小袋を破いて飴玉を取り出し、踏み砕いた。
いい感じに細く砕けた飴玉の破片を選びつまみ取る。空いた手で足もとの仔まりさから帽子を取り、その頭頂
部やや後方に飴の欠片を突き刺した。
抱きながら噴水の中央に向かって跳ねるれいむを眺め、傍らのコンビニ袋から喉飴の袋を取り出す。個別包装さ
れた小袋を破いて飴玉を取り出し、踏み砕いた。
いい感じに細く砕けた飴玉の破片を選びつまみ取る。空いた手で足もとの仔まりさから帽子を取り、その頭頂
部やや後方に飴の欠片を突き刺した。
ぴっ、と仔まりさが鳴く。ちろちろと垂れ流されていた小便が、その一瞬だけほんの少し勢いをつけて吹き出
した。
ちょうどれいむが泣きながら「ごーぐごーぐずるよ!」などと宣言しては湧き出る水に顔面しかない顔面を突
っ込んでいたときのことだ。聞こえてはいまい。
した。
ちょうどれいむが泣きながら「ごーぐごーぐずるよ!」などと宣言しては湧き出る水に顔面しかない顔面を突
っ込んでいたときのことだ。聞こえてはいまい。
れいむを追いつめるために仔まりさがもう死ぬぞ、すぐ死ぬぞ、ほら死ぬぞとばかりに脅してはいるが、実の
ところこの仔まりさを早々に死なせるつもりは毛頭無い。
少なくともこのれいむが終わりを迎える寸前までは保たせてやるつもりでいる。ゲスと呼ばれる程度は気にも
ならないが、事実も真実も現実すらもまともに認識できず、息をするように嘘をつき、排泄するように記憶を捏
造するゆっくりごときに嘘つき呼ばわりされるのは、まあさすがに不本意だろう。
ところこの仔まりさを早々に死なせるつもりは毛頭無い。
少なくともこのれいむが終わりを迎える寸前までは保たせてやるつもりでいる。ゲスと呼ばれる程度は気にも
ならないが、事実も真実も現実すらもまともに認識できず、息をするように嘘をつき、排泄するように記憶を捏
造するゆっくりごときに嘘つき呼ばわりされるのは、まあさすがに不本意だろう。
仔まりさの処置を終えて、れいむはと見ると。
「ゆううっ! ゆんゆんゆんゆんっ! ごーくごーくごーく、うぶっ! ゆぎぃぃぃっ!」
汚らしい汚饅頭が汚らしく転げ回っていた。
前後左右に転がっては水をかぶり、水底に油まみれの顔をこすりつけるようにしながら吐き戻しそうになるま
で水を飲む。ごわついたもみあげを振り回し、小さく上下に体を揺すったかと思うと大きく延びをしながらぐね
ぐねと体をひねる。仰向けに寝転がり後頭部と尻を水面にべちべちと叩きつけ、ひっくり返ってうつ伏せになり
排泄物のこびりついた尻をぶりぶりと左右に振りたてる。
前後左右に転がっては水をかぶり、水底に油まみれの顔をこすりつけるようにしながら吐き戻しそうになるま
で水を飲む。ごわついたもみあげを振り回し、小さく上下に体を揺すったかと思うと大きく延びをしながらぐね
ぐねと体をひねる。仰向けに寝転がり後頭部と尻を水面にべちべちと叩きつけ、ひっくり返ってうつ伏せになり
排泄物のこびりついた尻をぶりぶりと左右に振りたてる。
「――あああああああああああっ! ゆんやああああああああああああっ! ゆっぐり! ゆっぐりぃぃぃぃい
いぃっ!
どぼぢでっ! どぼぢでごんなごどにいいぃぃぃいっ! おぢびぢゃんっ! まりざっ! おぢびぢゃんんん
っ! ばでぃざああああああっ! うわああああああああああああっ!」
いぃっ!
どぼぢでっ! どぼぢでごんなごどにいいぃぃぃいっ! おぢびぢゃんっ! まりざっ! おぢびぢゃんんん
っ! ばでぃざああああああっ! うわああああああああああああっ!」
そのあいだひっきりなしに実にいい声で鳴き声をあげていた。言ってはならない言葉があるという制約がある
以上、悲鳴のバリエーションが少ないのはこの際目をつむり、しばしレティクルの主の気分を味わう。
以上、悲鳴のバリエーションが少ないのはこの際目をつむり、しばしレティクルの主の気分を味わう。
れいむの悲鳴はおのずとただ一つの言葉に集約されていた。ゆっくりがゆっくりと呼ばれるゆえんとなり、ゆ
っくり自らが己たちを指して称する例の言葉。
っくり自らが己たちを指して称する例の言葉。
「ゆっぐりぃっ! ゆっぐり! ゆぐりいいっ! ゆぐう、りぃぃぃっ! ゆっ! ぐりぃっ! ゆっぐぅぅう
りぃぃいぃいぃぃぃいいぃっ!」
りぃぃいぃいぃぃぃいいぃっ!」
仰向けになり、ゆっくりゆっくりと叫びながら、水面を尻でたたく。目はきつく閉ざしたままだ。ガムで留め
ていた左のもみあげは、いつの間にかざんばらにほどけている。
ていた左のもみあげは、いつの間にかざんばらにほどけている。
と――
ぽびゅう、と。間抜けな音を立てて小便のかわりに汁粉みたいな餡子が吹き出した。ほぼ同時に熟しすぎた柿
が落ちて潰れたときのような音。一瞬遅れてほぼ真上に吹き上がった小便汁粉がれいむの顔にたぱたぱと降りか
かる。
が落ちて潰れたときのような音。一瞬遅れてほぼ真上に吹き上がった小便汁粉がれいむの顔にたぱたぱと降りか
かる。
ただでさえ無駄に丸い目玉をさらに丸く見開いた惚けた顔をして、れいむはしばらく動きを止めた。ぶるぶる
と震える舌をそうっと伸ばし、己の腹あたりをおそるおそる探ろうとしている。
見つけたときから涙を流しっぱなしの目に、新たな涙が盛り上がる。
と震える舌をそうっと伸ばし、己の腹あたりをおそるおそる探ろうとしている。
見つけたときから涙を流しっぱなしの目に、新たな涙が盛り上がる。
恐ろしくてグロテスクで絶対に見たくはないのにどうしても見てしまわざるを得ないものでも見るように、れ
いむは目を背けながらガクガクと半身を持ち上げた。
じりじりと視線が下がってゆく。白玉の目玉が一瞬、見ることを拒否するようにぎゅるぎゅるとでたらめに動
いた。
いむは目を背けながらガクガクと半身を持ち上げた。
じりじりと視線が下がってゆく。白玉の目玉が一瞬、見ることを拒否するようにぎゅるぎゅるとでたらめに動
いた。
「ゆあ……あ…ああ……あっあっあっ……」
堰を切ったように涙があふれ出る。たらふく水を飲んでいただろうから貯蔵は十分だ。
「…まむまむ……れいむの…まむまむ……」
れいむの腹、というか足、というか尻、というか下半身、なのか。何となくその辺りの部分は、最後に振り上
げたときに噴出した小便汁粉によって内側から張り裂け、落ちた衝撃でひしゃげて潰れていた。
水の過剰摂取でゆるいゲル状になった中身の餡子がでろりと漏れ出し、流水に洗われて崩れ流れていく。薄め
た汁粉をシンクに流したときのように。
げたときに噴出した小便汁粉によって内側から張り裂け、落ちた衝撃でひしゃげて潰れていた。
水の過剰摂取でゆるいゲル状になった中身の餡子がでろりと漏れ出し、流水に洗われて崩れ流れていく。薄め
た汁粉をシンクに流したときのように。
「いだい…いだいよぉ……どぼぢで? れいぶ……まむまむ…なぐなっぢゃっだ……。まりざが…きゅーどだっ
て……ほめでぐれだ……れいぶの…かばいいかばいいまむまむ……。
いだいよ…いだいよ……あんよさん…うごがないよ……ぴごぴござんもっ…ばらばらだよっ。ゆんやぁ…ゆん
やぁぁぁ! いぢゃいぃぃぃ、いぢゃいよぉぉぉぉぉ!」
て……ほめでぐれだ……れいぶの…かばいいかばいいまむまむ……。
いだいよ…いだいよ……あんよさん…うごがないよ……ぴごぴござんもっ…ばらばらだよっ。ゆんやぁ…ゆん
やぁぁぁ! いぢゃいぃぃぃ、いぢゃいよぉぉぉぉぉ!」
足に当たる部分が破壊されたからだろう、先ほどまでのように転がり回ることもせず、急速に夜の領域へと切
り替わりつつある空を見上げたまま泣きわめく。
り替わりつつある空を見上げたまま泣きわめく。
「良かったな。おまえもうすぐ死ねるぞ」
「――れいぶ、れいぶなんにもわるいごどじでないのにぃぃぃ……」
「ああ、そういえば何があったか聞いてなかったな。なぜあんなところにいた?」
「――れいぶ、れいぶなんにもわるいごどじでないのにぃぃぃ……」
「ああ、そういえば何があったか聞いてなかったな。なぜあんなところにいた?」
れいむはゆっくりと話し始めた。
「……れいぶなんにもわるいごどじでないのにどぼぢでごんなめにあうの? れいぶだけじゃないよ? まりざ
だっでづよぐでやざじぐでかっごよぐでゆっぐぢじでだのに…
だっでづよぐでやざじぐでかっごよぐでゆっぐぢじでだのに…
れいぶににだおっぎなおぢびぢゃんどまりざににだおっぎなおぢびぢゃんもどっでぼおぎょうぎがよぐでおり
ごうでとっでぼゆっぐじじだいいごだったのに。かげっごじであぞんでただげのおぢびぢゃんだぢをにんげんざ
んはえいえんにゆっぐじざぜだんだよ。
おぢびぢゃんだぢがなにをじだっでいうの? なんにもわるいごどじでないよ? にんげんざんにめいわぐが
げでないよ? あまあまほじいなんでいっでないよ?
ごうでとっでぼゆっぐじじだいいごだったのに。かげっごじであぞんでただげのおぢびぢゃんだぢをにんげんざ
んはえいえんにゆっぐじざぜだんだよ。
おぢびぢゃんだぢがなにをじだっでいうの? なんにもわるいごどじでないよ? にんげんざんにめいわぐが
げでないよ? あまあまほじいなんでいっでないよ?
――ゆっぐりあぞんでだだげだよ? ちいざいおぢびぢゃんはおねえぢゃんだぢどまだいっじょにあぞべない
がら…まりざとゆっぐりわらっでみでいただげだよ? れいぶといっじょにゆっぐりみでいだだげだよ?
まりざも…まりざはにんげんざんにあやまっだんだよ? めいわぐがげでたらごべんなざいっで…
がら…まりざとゆっぐりわらっでみでいただげだよ? れいぶといっじょにゆっぐりみでいだだげだよ?
まりざも…まりざはにんげんざんにあやまっだんだよ? めいわぐがげでたらごべんなざいっで…
まりざはどっでぼおごっでだよ。だっでにんげんざんはおぢびぢゃんをえいえんにゆっぐいざぜだんだよ?
おごっでとうっぜんっでじょお!
でもまりざはちゃんどあやばっだよ? がなじぐでごわぐでぐやじぐでゆっぐじできないでもあやばっだんだ
よっ! がまんじであやばっだんだよっ!
まりざは…でぼまりざはゆっくりあやまっでねっでいっだだげだよ?
おごっでとうっぜんっでじょお!
でもまりざはちゃんどあやばっだよ? がなじぐでごわぐでぐやじぐでゆっぐじできないでもあやばっだんだ
よっ! がまんじであやばっだんだよっ!
まりざは…でぼまりざはゆっくりあやまっでねっでいっだだげだよ?
まりざゆっぐりじないであやばっだよ!
にんげんざんもあやばっでね? おあいごっ!でじょお?
ごべんなざいとごべんなざいはゆっぐりでぎるでじょおっ!
にんげんざんもあやばっでね? おあいごっ!でじょお?
ごべんなざいとごべんなざいはゆっぐりでぎるでじょおっ!
なのにどぼぢでにんげんざんはまりざをえいえんにゆっぐりざぜぢゃっだの?
れいぶもおごっだよ。でぼにんげんざんはごわぐでゆっぐりじでないがられいぶはごわぐでよぐわがらなぐで
なんにぼうごげながっだよ。
ぞじだらにんげんざんは…ぐぞまんじゅうっで! ぐぞまじゅうっでいっでどごがにいっぢゃっだ…
れいぶもおごっだよ。でぼにんげんざんはごわぐでゆっぐりじでないがられいぶはごわぐでよぐわがらなぐで
なんにぼうごげながっだよ。
ぞじだらにんげんざんは…ぐぞまんじゅうっで! ぐぞまじゅうっでいっでどごがにいっぢゃっだ…
ひどいよ! ひどいよ! ひどいよ! ひどすぎるよっ!
れいぶはごわぐでぐやじぐでゆっぐじできなぐで…まいにぢだぐざんだぐざんないだよ。
れいぶはごわぐでぐやじぐでゆっぐじできなぐで…まいにぢだぐざんだぐざんないだよ。
――きがづいだらぢっぢゃなおぢびぢゃんがゆっぐりでぎなぐなっでだんだよ…」
少々作業をしながら聞いていたので正確に聞き取れているか自信はないが、まあずいぶん長くしゃべったもの
だ。赤ゆっくりや仔ゆっくりほどではないにしろテンパったゆっくりのしゃべりほど聞き取りにくいものはない。
だ。赤ゆっくりや仔ゆっくりほどではないにしろテンパったゆっくりのしゃべりほど聞き取りにくいものはない。
要するに、やかましく騒いでいた仔れいむと仔まりさが誰かに潰されたので父まりさが何だか知らんが謝った
がそこで止めりゃいいものを愚かにもこっちが謝ったんだからお前も謝れと人間相手に言ってのけたら父まりさ
も潰された、と。仔が潰されたことに反応できた比較的――そう比較的――餡子の出来のいい父まりさは潰され
て、フリーズしていたこのれいむと甘ったれ末っ子まりさは生き残ったものの目の前で潰される親姉妹を見たこ
の仔まりさがれいむの適切なケアがなかったせいで急性の非ゆっくり症を発症した、と。
がそこで止めりゃいいものを愚かにもこっちが謝ったんだからお前も謝れと人間相手に言ってのけたら父まりさ
も潰された、と。仔が潰されたことに反応できた比較的――そう比較的――餡子の出来のいい父まりさは潰され
て、フリーズしていたこのれいむと甘ったれ末っ子まりさは生き残ったものの目の前で潰される親姉妹を見たこ
の仔まりさがれいむの適切なケアがなかったせいで急性の非ゆっくり症を発症した、と。
正直、仔まりさが比較的状態の良いまま発症していたので気にはなっていた。豆腐メンタルなどと言われるこ
との多いまりさ種だが、実際のところは程々のストレスの連続にはみょん種に次ぐ耐性があると聞く。
との多いまりさ種だが、実際のところは程々のストレスの連続にはみょん種に次ぐ耐性があると聞く。
まあ恐らくそうなのだろう。でなければ日々の餌集めなどできたものではない。
ところが、ごく短時間で処理能力を超える激しいストレスにさらされた場合には、耐性の欠片もなく発症する
そうだ。
ちなみにれいむはこの逆。多大なストレスに対しては現実を認識しなかったりすり替えたりという逃避をする
ことで対処できるが、軽いストレスの連続にはまるでダメだとか。
真偽のほどは知らないが、そういった傾向は確かにある気はする。
そうだ。
ちなみにれいむはこの逆。多大なストレスに対しては現実を認識しなかったりすり替えたりという逃避をする
ことで対処できるが、軽いストレスの連続にはまるでダメだとか。
真偽のほどは知らないが、そういった傾向は確かにある気はする。
それはさておき、しゃべらせたのは理由が少しだけある。なにしろゆっくりという代物は呆れるほど簡単に傷
つき、傷ついたことに周章狼狽してばかばかしいほど容易に致命傷にまで傷を広げては死に瀕する。
だが死に瀕してからは疎ましくも微笑ましいくらいにしぶとい。
オレンジジュースでいくらでも――というと語弊があるが――治療延命が効くのもそうだし、死病のはずの非
ゆっくり症でさえ甘味があれば回復する。
つき、傷ついたことに周章狼狽してばかばかしいほど容易に致命傷にまで傷を広げては死に瀕する。
だが死に瀕してからは疎ましくも微笑ましいくらいにしぶとい。
オレンジジュースでいくらでも――というと語弊があるが――治療延命が効くのもそうだし、死病のはずの非
ゆっくり症でさえ甘味があれば回復する。
ゆっくりが口を利くうちは死なないのだ。
当のれいむは悲劇のヒロインよろしく自分の惨状に酔いしれて、弱々しさのアピールに余念が無いのだが、こ
れだけ綿々としゃべりまくるゆっくりはまだまだ保つ。
つまりれいむがしゃべっているうちは、れいむを放置していても問題ない。
当のれいむは悲劇のヒロインよろしく自分の惨状に酔いしれて、弱々しさのアピールに余念が無いのだが、こ
れだけ綿々としゃべりまくるゆっくりはまだまだ保つ。
つまりれいむがしゃべっているうちは、れいむを放置していても問題ない。
「ゅっ……ゅっ……ゅぅ………」
上々だ。
見ての通り痙攣するだけのきもちわるい白黒饅頭が、痙攣しながら口を利くよりいっそうきもちわるい白黒饅
頭へと変化しつつある。
見ての通り痙攣するだけのきもちわるい白黒饅頭が、痙攣しながら口を利くよりいっそうきもちわるい白黒饅
頭へと変化しつつある。
先ほどから俺のやっている作業は、早い話が仔まりさの治療――あるいは修復――だ。飴玉を靴底で踏み割り、
出来た欠片を仔まりさの体に突き刺し中身の餡子にまでいくつも埋め込む。併せて食いしばりすぎて欠けた歯の
隙間から口腔内に押し込んでやる。全身にオレンジジュースを振りかけて飴の欠片の吸収を促進させ、さらに追
加の飴の欠片を押し込んでいく。
出来た欠片を仔まりさの体に突き刺し中身の餡子にまでいくつも埋め込む。併せて食いしばりすぎて欠けた歯の
隙間から口腔内に押し込んでやる。全身にオレンジジュースを振りかけて飴の欠片の吸収を促進させ、さらに追
加の飴の欠片を押し込んでいく。
これでもかという過剰かつ執拗なオーバードーズ。
回復したとしても味覚は破壊され、もはやこの先何を口にしたとて満ち足りることはないだろう。何かを口に
することがあるかどうかは知らないが。
することがあるかどうかは知らないが。
「ゅぅ……ゆくち……」
俺が見かけてから初めて、仔まりさがまともな声を上げた。
「――んやあぁぁぁぁぁぁっ! ……ゆっ!? お、おぢびぢゃんのごえがじだよっ! おぢびぢゃん! おぢ
びぢゃんどごっ! おへんじじでねっ! ゆっぐりじでねっ! おぢびぢゃあああああああっ!」
びぢゃんどごっ! おへんじじでねっ! ゆっぐりじでねっ! おぢびぢゃあああああああっ!」
その声を耳ざとく――いや耳はないが、言葉の綾だ――甘美な絶望に染まる悲鳴を上げ続けていたれいむが聞
きつけた。
きつけた。
「おぢびぢゃん! おぢびぢゃん! おぢびぢゃああああああんっ!! よがっだあぁぁぁぁっ! よだっがよ
おおおぉぉぉっ! げんぎになっだんだねええええぇぇぇぇっ!」
おおおぉぉぉっ! げんぎになっだんだねええええぇぇぇぇっ!」
全身を苛んでいるであろう痛みを押し、ふやけて溶け崩れかけた動かせないはずの体をよじり、れいむは顔を
上げてこちらに向き直ろうとした。
ふやけて張りを失い破れて体内餡を失った体ではそれも果たせず、斜めに傾いだ姿で、それでもなんとか顔を
向けようとする。
上げてこちらに向き直ろうとした。
ふやけて張りを失い破れて体内餡を失った体ではそれも果たせず、斜めに傾いだ姿で、それでもなんとか顔を
向けようとする。
そこでれいむは見ただろうか。ついさっきまで苦悶の表情で引き攣り続けていた仔まりさが、つらそうにはし
ているものの寝ぼけたような半眼で自分を見るのを。
ているものの寝ぼけたような半眼で自分を見るのを。
「ゆあああああああああっ!! あじがどございばずにんげんざん! あじがどございばずうううううっ! お
ぢびぢゃんをだずげでぐれでええええぇぇぇあでぃがどおおごぶばっ!」
ぢびぢゃんをだずげでぐれでええええぇぇぇあでぃがどおおごぶばっ!」
たとえその相手がゆっくりだとしても感謝をされるというのは良いものだ。たとえそれが、起き上がろうとし
たがうまくいかずに口が水面に接してうまくしゃべれなくなったゆっくりだとしても。
たがうまくいかずに口が水面に接してうまくしゃべれなくなったゆっくりだとしても。
「いやまあ、俺が言うのも何だが、お前は実によくやった。本当ならお前が死んでから治す約束だったが、前倒
しして文句言う奴はいないだろ」
しして文句言う奴はいないだろ」
手を休めずに俺は言う。
ここまできたなら、せめてこのれいむと仔まりさに最後の会話をさせてやらねば。
……我ながらひどいそら言である。
ここまできたなら、せめてこのれいむと仔まりさに最後の会話をさせてやらねば。
……我ながらひどいそら言である。
仔まりさの口に踏み砕いた飴を押し込み、オレンジジュースを注ぐ。反射的に飲み込むのを確認して、さらに
飴を丸ごと口に放り込んでから仔まりさを噴水外周の水際に置き、帽子を外してからオレンジジュースをかける。
元通り帽子をかぶらせてしばし……
飴を丸ごと口に放り込んでから仔まりさを噴水外周の水際に置き、帽子を外してからオレンジジュースをかける。
元通り帽子をかぶらせてしばし……
「……ぺーりょ…ぺーりょ……ちあわちぇー……ちあわちぇーっ!」
「ぼっでぃびぢゃがぱっ!」
「ぼっでぃびぢゃがぱっ!」
れいむは相も変わらず涙を流しているうえ、先ほどのセルフ顔射で自分にひっかけた小便汁粉が涙と混じって
流れ、薄黒い筋が何本も顔面を彩っている。左のもみあげはほどけてばらばらになり、体もふやけてぶよぶよに
なり、醜悪と言うほかはない惨状を晒している。
流れ、薄黒い筋が何本も顔面を彩っている。左のもみあげはほどけてばらばらになり、体もふやけてぶよぶよに
なり、醜悪と言うほかはない惨状を晒している。
だが、れいむは笑っていた。
破けた体と、刻々と流れ出ていく体と、水に晒される体と、そのすべての痛みを忘れて、れいむは微笑んでい
た。
破けた体と、刻々と流れ出ていく体と、水に晒される体と、そのすべての痛みを忘れて、れいむは微笑んでい
た。
仔を殺され番を殺され最後に残った仔さえも死病の顎門に囚われ果てはその仔の救命に自殺を強要されまさに
今死の淵に居る地獄の刻の中、最早二度と聞けぬものと半ば諦めていた我が仔の声は、それはそれは心地よく響
いたことだろう。それはまさに忘れていた、失っていた、諦めていた『ゆっくり』であるはずだ。
そしてれいむの残念な餡子脳の中では、もう既にこの一瞬で俺のことを「なんだかんだ言って結局はれいむ
『たち』をちゃんと助けてくれる優しいお兄さん」あたりのレベルまで甘ったるすぎる妄想的希望的観測で過剰
評価している可能性が無きにしも非ずといったところ。
今死の淵に居る地獄の刻の中、最早二度と聞けぬものと半ば諦めていた我が仔の声は、それはそれは心地よく響
いたことだろう。それはまさに忘れていた、失っていた、諦めていた『ゆっくり』であるはずだ。
そしてれいむの残念な餡子脳の中では、もう既にこの一瞬で俺のことを「なんだかんだ言って結局はれいむ
『たち』をちゃんと助けてくれる優しいお兄さん」あたりのレベルまで甘ったるすぎる妄想的希望的観測で過剰
評価している可能性が無きにしも非ずといったところ。
にんげんさんがおちびちゃんを助けてくれたのはおちびちゃんがすごくゆっくりしてるから。おちびちゃんを
助けてくれたにんげんさんはゆっくりしてる。ゆっくりしたにんげんさんはれいむを助けてくれる。なぜなられ
いむはとってもゆっくりしてるから。とか。
助けてくれたにんげんさんはゆっくりしてる。ゆっくりしたにんげんさんはれいむを助けてくれる。なぜなられ
いむはとってもゆっくりしてるから。とか。
まさか。
さて。
残り時間も少ない。仕上げにかかろう。
残り時間も少ない。仕上げにかかろう。
まりさを水際に置いて、背後から声をかける。
「おはようまりさ、ゆっくりしていってね」
「――んゆっ? ゆゆっ? ゆっくちしちぇいっちぇにぇ?
……ゆううっ! ここはどこなんだじぇ? まりしゃ、どうちてこんなところにいるんだじぇ?」
「――んゆっ? ゆゆっ? ゆっくちしちぇいっちぇにぇ?
……ゆううっ! ここはどこなんだじぇ? まりしゃ、どうちてこんなところにいるんだじぇ?」
まだ上手く体を動かせないのだろうか、仔まりさはふらふらと体を左右に振りながら、辺りを見回しているよ
うだった。
そして当然ながら、それに気づく。
うだった。
そして当然ながら、それに気づく。
「ゆぐぶっ! ごっ! どぃびゃっ! ごぱっ!」
「ゆ? ゆゆゆゆゆゆっ? ゆ……ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! おきゃぁしゃぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!」
「ゆ? ゆゆゆゆゆゆっ? ゆ……ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! おきゃぁしゃぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!」
母と仔の感動の再会だ。
「大変だまりさ! お前を助けるためにお母さんが大怪我をしてしまったぞ! 治してやるからここまで連れて
くるんだ!
大丈夫、まりさならできる! 最強のまりさなら簡単にできる! さあ行くんだまりさ!」
「ゆううううっ! ゆっゆっおーっ!」
くるんだ!
大丈夫、まりさならできる! 最強のまりさなら簡単にできる! さあ行くんだまりさ!」
「ゆううううっ! ゆっゆっおーっ!」
まりさ種は他種のゆっくりよりも水に対する恐怖心が少ない。
おそらくは帽子を利用しての水上への対応能力により。そしておそらくはその種としての無謀な性質により。
そして煽てて動かしやすい。悪意というものに接する機会の少ない仔ゆっくりならなおさらだ。
おそらくは帽子を利用しての水上への対応能力により。そしておそらくはその種としての無謀な性質により。
そして煽てて動かしやすい。悪意というものに接する機会の少ない仔ゆっくりならなおさらだ。
まりさは、恐らくは何の考えもなしに、帽子を投げると飛び込んだ。
命を賭した母の献身で命を繋いだ仔が、今度はその母のために身命を捧げる。いやはやまったくチープな感動
に言葉もない。
に言葉もない。
「まっちぇてにぇおきゃあしゃんっ! まりしゃがいまいくのじぇっ!」
オーバードーズと、先ほど述べた。
まさにその通りで、過剰な糖分とオレンジジュースにより、まりさは水の冷たさ水への恐怖を物ともせず、愛
しい母の元へ向かう。
まさにその通りで、過剰な糖分とオレンジジュースにより、まりさは水の冷たさ水への恐怖を物ともせず、愛
しい母の元へ向かう。
れいむの目が驚愕に見開かれる。
やめろ馬鹿なんてことをさせるんだお願いおちびちゃん来ないで戻ってやめて帰って引き返してだめだめだめ
だめやめてやめてやめてやめて!
やめろ馬鹿なんてことをさせるんだお願いおちびちゃん来ないで戻ってやめて帰って引き返してだめだめだめ
だめやめてやめてやめてやめて!
言えるものなら言いたかったに違いない。
「ごぱっ! がぱっ! ゅげぶゎばっ!」
れいむの口から吹き上がったのは、溺死寸前みたいな叫びと、汁粉状の餡子だった。
こちらに向き直るということはつまり、上流に背を向けるということだ。破れた穴から水は遠慮会釈もなしに
れいむの体内に流れ込み、体内の餡子を攪拌しながらついに口からあふれ出た。
びくんびくんと震えながら残ったもみあげで力なく水面をぺちぺち叩くが、もとよりゆっくりのもみあげなど、
ただ意味もなくわさわさぴこぴこ動くだけのものでしかないわけで、それで体の向きを変えることも起き上がる
ことも不可能だ。
こちらに向き直るということはつまり、上流に背を向けるということだ。破れた穴から水は遠慮会釈もなしに
れいむの体内に流れ込み、体内の餡子を攪拌しながらついに口からあふれ出た。
びくんびくんと震えながら残ったもみあげで力なく水面をぺちぺち叩くが、もとよりゆっくりのもみあげなど、
ただ意味もなくわさわさぴこぴこ動くだけのものでしかないわけで、それで体の向きを変えることも起き上がる
ことも不可能だ。
さて、我らがまりさは母の死の瞬間に間に合うかなと思いつつ、仔まりさに目を遣ると、早くも電池切れのご
様子。
様子。
「ゆひぃぃぃぃ! おみずしゃんいじわりゅしにゃいでねぇぇぇっ! まりしゃきょわいのじぇぇぇぇぇっ!」
1センチの水深では帽子で浮かぶことも叶わないし、なによりこの仔まりさはオール代わりの木の枝すら持っ
ていない。母の元へ向かう、と言ったところで、向かってるのは気ばかりというていたらく。
現実には流水に押しやられ、噴水の外周下の排水溝に引っかかっている。
ていない。母の元へ向かう、と言ったところで、向かってるのは気ばかりというていたらく。
現実には流水に押しやられ、噴水の外周下の排水溝に引っかかっている。
「ゆっぴぃぃぃぃぃぃぃっ! ちゅべちゃいぃぃぃぃぃぃっ! ゆわわわわわわわっ! おみずしゃんこにゃい
でにぇ! こにゃいでにぇ! まりしゃのおぼうちにはいっちぇきちゃらだめなのじぇぇぇぇ!」
でにぇ! こにゃいでにぇ! まりしゃのおぼうちにはいっちぇきちゃらだめなのじぇぇぇぇ!」
帽子の縁から水が流れ込み、仔まりさを直接洗う。こうなってはもはや仔まりさに為す術はない――わけでも
ない。
いったん水の中に入り、そこからジャンプすればいいだけなのだが、日が落ちてさらに冷たさを増した水に生
身で飛び込むことができれば、の話になるわけで。蝶よ花よと甘やかされていたと見るこの仔まりさに、その判
断と決断ができるかどうかとなると、もうほとんど期待できない。
せっかく助けてやったのにあっさりリタイヤされてしまいそうだが、しかたあるまい。まあそもそもこの場合、
仔まりさはれいむより先に退場しなくては、それこそ話にならない。
ない。
いったん水の中に入り、そこからジャンプすればいいだけなのだが、日が落ちてさらに冷たさを増した水に生
身で飛び込むことができれば、の話になるわけで。蝶よ花よと甘やかされていたと見るこの仔まりさに、その判
断と決断ができるかどうかとなると、もうほとんど期待できない。
せっかく助けてやったのにあっさりリタイヤされてしまいそうだが、しかたあるまい。まあそもそもこの場合、
仔まりさはれいむより先に退場しなくては、それこそ話にならない。
「ゆっぷ! ゆぴぃ! こぱっ! ゆげぱっ!」
口に流れ込んでくる水に、しているはずのない呼吸を邪魔されたまりさが悲鳴を上げる。そして悲鳴を上げ、
鳴き叫ぶたびにさらに余分に水を飲んでむせ返る。むせ返りながら汁粉状になった餡子を吐いた。
鳴き叫ぶたびにさらに余分に水を飲んでむせ返る。むせ返りながら汁粉状になった餡子を吐いた。
「おごっ! ぷばっ! がぼぼぼぼばばっ!」
れいむが何か必死に百面相をしながら何事かを訴えかけている気がするが、言いたいことがあるならはっきり
言ってもらわねば分からないから困る。普通の犬や猫と違い、人間がダイレクトに理解できる言葉を話すのがゆ
っくりなのだから。
言ってもらわねば分からないから困る。普通の犬や猫と違い、人間がダイレクトに理解できる言葉を話すのがゆ
っくりなのだから。
「まりしゃのあんよぎゃあああああああああああ!」
ひときわ高い仔まりさの悲鳴。見ると仔まりさは、帽子を捨て、その身一つで脱出しようとしたらしく、水の
中に直接その身をさらしていた。正しい判断であり、果敢な決断である。惜しむらくはその時期が遅すぎたこと
だろうか、跳ねようとした際にすでに充分水を吸ってふやけていたまりさの足は、込められた力に耐えられなか
った。
仰向けにひっくり返ったまりさの底一面がぺろりとめくり返っていて、無防備な体内餡を直接水が洗っている。
ミカン大の仔ゆっくりの餡子の量など多寡がしれているわけで、見る間に中枢餡が露出するまで中身を浚われて
いた。
中に直接その身をさらしていた。正しい判断であり、果敢な決断である。惜しむらくはその時期が遅すぎたこと
だろうか、跳ねようとした際にすでに充分水を吸ってふやけていたまりさの足は、込められた力に耐えられなか
った。
仰向けにひっくり返ったまりさの底一面がぺろりとめくり返っていて、無防備な体内餡を直接水が洗っている。
ミカン大の仔ゆっくりの餡子の量など多寡がしれているわけで、見る間に中枢餡が露出するまで中身を浚われて
いた。
「いじゃああああああああああああああっ! いじゃいいいいいいいいいいいいいいいいいっ! ごべんなし
ゃ! ごべなしゃっ! おびずじゃんゆるぢでっ! まりしゃあやばりまじゅがらっ! まりじゃのだいじなあ
んごじゃんにいだいいだいじにゃいでええええええっ!」
「おぶぶべえばばぼおぼおおぼぼおおおおおっ!」
ゃ! ごべなしゃっ! おびずじゃんゆるぢでっ! まりしゃあやばりまじゅがらっ! まりじゃのだいじなあ
んごじゃんにいだいいだいじにゃいでええええええっ!」
「おぶぶべえばばぼおぼおおぼぼおおおおおっ!」
悲痛なまりさの絶叫にれいむの解読不能の叫びが唱和する。実に息の合った母と仔と言えよう。
「だじゅげでっ! だじゅげでぇぇぇぇっ! まりじゃじにだぐ――――」
仔まりさの叫びがもぎ取られるように消えた。違う。もぎ取られたのは叫びではなく、仔まりさの中枢餡だ。
ころころと転がりながら水に洗われ小さくなり、排水溝に届く前に見えなくなった。
ころころと転がりながら水に洗われ小さくなり、排水溝に届く前に見えなくなった。
「………………………………っぼ」
ああ、れいむが目に絶望を貼り付けた。
たしかにそろそろこいつもお仕舞いだ。
たしかにそろそろこいつもお仕舞いだ。
「れいむ、おちびちゃんは残念だったな。俺としてもせっかく助けた『とうといとうといかけがえのないいの
ち』が、虚しく散るところを見るなんてとても辛い。
だがまあそう気を落とすな。確かおまえらゆっくりは、こんなときこう言うんだろ?
ち』が、虚しく散るところを見るなんてとても辛い。
だがまあそう気を落とすな。確かおまえらゆっくりは、こんなときこう言うんだろ?
おちびちゃんはまた作ればいいよ!
って」
俺がそう声をかけた直後、れいむは餡子を――まだこれほどの量が残っていたのかと感心するほどの量を――
吐いた。
吐いた。
水はれいむの餡子を溶かして流し、皮を溶かして流す。れいむのリボンが流されてきて、排水溝に引っかかっ
たままの仔まりさの帽子に寄り添った。
たままの仔まりさの帽子に寄り添った。
俺はリボンと帽子をつまみ上げ、一つにぐしゃぐしゃと丸めると、公園の備え付けのゴミ箱に捨てた。
さすがにそろそろ水際は冷える。帰ったらまず温かい風呂にしよう。
さすがにそろそろ水際は冷える。帰ったらまず温かい風呂にしよう。
作中の季節感がずれてるのは書き始めた時期のせい
書いたモノ
anko3400 自販機
anko3403 WP
anko3459 自販機 The day before yesterday
anko3496 かいっだんっ
anko3746 かいっだん・貮燭目
anko3995 かいっだんっ・參燭目
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