ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko4107 れいむ
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『れいむ』 18KB
愛で 制裁 愛情 飼いゆ 野良ゆ 赤ゆ 子ゆ ゲス 現代 試しに愛でてみた
愛で 制裁 愛情 飼いゆ 野良ゆ 赤ゆ 子ゆ ゲス 現代 試しに愛でてみた
・登場人物は一人と三匹だけです。
・一応愛でのつもり
・でもせいっさい!
・10KBくらいにしたかった……
れいむはついさっき生まれたばかりだった。
しかし、その表情は曇っていた。
「おちょしゃん……おきゃしゃん……」
いるはずの両親を探す。しかし、四方八方上下左右の全てを見回しても家族はいなかった。
あるのは何か黒い柱と、その上に自分がさっきまでいた茎、そして黒ずんだ姉妹がいた。
あるのは何か黒い柱と、その上に自分がさっきまでいた茎、そして黒ずんだ姉妹がいた。
「ひっぐ、ひっぐ……ゆぴゃぁぁああああああああ!!!
ゆっぐちしたいよぉぉおおおおおおおおおおお!!!!」
ゆっぐちしたいよぉぉおおおおおおおおおおお!!!!」
ついにれいむは泣き出してしまった。無理も無い事であろう。
すると、何か物音がした。
れいむが振り返るとそこにはれいむより高いところに大きな頭があった。
れいむが振り返るとそこにはれいむより高いところに大きな頭があった。
「ゆ、ゆぴゃぁ!!
きょわい……ゆ?」
きょわい……ゆ?」
高所から見下ろされる恐怖に泣き出すところだったが、暖かくて優しい何かが自らを触れた事で落ち着いた。
それは大きな頭がのっかっている台だった。
いや、台ではない。生物の身体である。
僅かだけ継承された記憶があるれいむは、それが生物の一部である事をなんとなく理解した。
それは大きな頭がのっかっている台だった。
いや、台ではない。生物の身体である。
僅かだけ継承された記憶があるれいむは、それが生物の一部である事をなんとなく理解した。
「だ、だれにゃの?
れいみゅのおきゃあしゃんは?
おとおしゃんは?」
れいみゅのおきゃあしゃんは?
おとおしゃんは?」
恐る恐る聞く。
大きな生物は困ったという顔をした。
大きな生物は困ったという顔をした。
「ごめんよ、僕にもわからないんだ。
ただ、気付いたら僕の家の前に君の成っている茎が落ちていてね」
ただ、気付いたら僕の家の前に君の成っている茎が落ちていてね」
嘘は言っていないようだった。
そして、この生物はれいむの命の恩人であるという事がわかった。
そして、この生物はれいむの命の恩人であるという事がわかった。
「れいみゅの、いもうちょたちは?」
「それもごめんよ、急いで準備はしたんだけど、君以外はもう手遅れだったんだ」
れいむが助かったのは、茎の根に一番近かったからだった。
他の姉妹は、栄養供給が間に合わなかった。れいむの一個前の姉妹も、もう少しと言うところで力尽きてしまったらしい。
他の姉妹は、栄養供給が間に合わなかった。れいむの一個前の姉妹も、もう少しと言うところで力尽きてしまったらしい。
現在、れいむは親から受け継ぐはずの記憶が極端に薄い。
知っているだろう知識もあまりなく、自分がれいむという種である事以外は動物的本能しか備わっていない。
それはおそらく、茎が出来てから間も経たぬうちに折られたせいだろう。
大きな生物……人間の男が用意した市販の餡子で代用したせいで、親から受けるべき記憶を含む餡子が継承されず、ほぼ白紙に近い状態となったらしい。
知っているだろう知識もあまりなく、自分がれいむという種である事以外は動物的本能しか備わっていない。
それはおそらく、茎が出来てから間も経たぬうちに折られたせいだろう。
大きな生物……人間の男が用意した市販の餡子で代用したせいで、親から受けるべき記憶を含む餡子が継承されず、ほぼ白紙に近い状態となったらしい。
記憶の継承がないせいで、親がどんなゆっくりかもわからない。
れいむがれいむである以上、片方はれいむであろう。
姉妹は種がわかる前に死んでしまったようで、そこから推測する事は出来ない。
れいむがれいむである以上、片方はれいむであろう。
姉妹は種がわかる前に死んでしまったようで、そこから推測する事は出来ない。
「れいむ、さしでがましいけれど、もしよければ僕の子として生活しないか?
まぁ、飼いゆっくりと飼い主という間柄にはなるけど」
まぁ、飼いゆっくりと飼い主という間柄にはなるけど」
「かいゆっくち?」
「そう。まぁ簡単に言えば家族になろう、ということなんだけど」
男は伺いを立てる。
れいむの答えは決まっている。いや、それ以外にない。
れいむの答えは決まっている。いや、それ以外にない。
「なりゅ!
れいみゅ、『かいぬし』しゃんの『かいゆっくち』になりゅ!」
れいみゅ、『かいぬし』しゃんの『かいゆっくち』になりゅ!」
それを聞いた男は笑顔になる。
「ああ、よろしくれいむ。ゆっくりしていってね」
「ゆぅ? ゆっくちちていっちぇね?」
「そう、君たちゆっくりの挨拶だよ。さ、言ってみて。ゆっくりしていってね」
「ゆっくちちていっちぇね!」
「そうだ、上手だぞーれいむ」
「ゆっくち! ゆっくち!」
はじめて聞く言葉だったが、れいむはその言葉を言い合うだけでとても気分よく……そう、ゆっくりできた。
れいむが生まれて少し経った。
飼い主は少し厳しいながらもれいむにもわかる愛情を与えてくれている。
れいむはそれに応えたくてよく無茶をするようになった。
飼い主は少し厳しいながらもれいむにもわかる愛情を与えてくれている。
れいむはそれに応えたくてよく無茶をするようになった。
「ゆぴゃあああ!!」
「ああもう、だから動き回っちゃだめだと言ったのに」
「ああもう、だから動き回っちゃだめだと言ったのに」
今回は飼い主について回って仕事を貰おうとしたら、床においてあった油や醤油のボトルにぶつかった。
「だっちぇ、かいぬししゃんのおてちゅだいが……」
「それはれいむがもっと大きくなってからな。怪我しないか心配する身にもなってくれ」
「ゆぅう、わかっちゃよ」
「それはれいむがもっと大きくなってからな。怪我しないか心配する身にもなってくれ」
「ゆぅう、わかっちゃよ」
れいむは活動的で落ち着きが少しばかり足りていなかったが、聞き分けはとてもよかった。
ほぼ白紙だったせいだろうか、難しい事でなければ教えればすぐに覚えたし、覚えれば忘れはしなかった。
ゆっくりは何か特別な事が無い限り飾りをはずすのを極端に嫌がるが、それもこのれいむは抵抗が無く、よく洗いに出している。
ほぼ白紙だったせいだろうか、難しい事でなければ教えればすぐに覚えたし、覚えれば忘れはしなかった。
ゆっくりは何か特別な事が無い限り飾りをはずすのを極端に嫌がるが、それもこのれいむは抵抗が無く、よく洗いに出している。
そんあれいむも赤子言葉が抜け、子供サイズとなったある日、飼い主の家の窓に大きめのゆっくりが二匹やってきて喚いていた。
「かいぬしさん、なんだかれいむににてるいきものさんがいるよ」
「あーなにかうるさいと思ったら野良ゆっくりか」
「のらゆっくり?」
「あーなにかうるさいと思ったら野良ゆっくりか」
「のらゆっくり?」
れいむは今の今まで自分の同族を見た事がなかった。
飼い主が言うには、野良というのは基本的に人間に良いものではないらしい。
基本的に、というからには一部は違うのだろうと思ったが、外の野良ゆっくりは多分悪い方だろうなと思う。
飼い主が言うには、野良というのは基本的に人間に良いものではないらしい。
基本的に、というからには一部は違うのだろうと思ったが、外の野良ゆっくりは多分悪い方だろうなと思う。
「野良は人の家に上がって『おうち宣言』と言ってその家をのっとろうとするのさ」
「それはゆるせないね」
「だからまぁ、いろいろ対策もあるらしいんだが」
「それはゆるせないね」
「だからまぁ、いろいろ対策もあるらしいんだが」
飼い主はとりあえず入り込まれないように板を用意してから窓を開けた。
すると大声を張り上げた。
すると大声を張り上げた。
「ここはれいむとまりさの――」
「ゆっくりしていってね!!」
「ゆっくりしていってね!」
何かを言い終わる前に飼い主はゆっくりの代名詞である台詞を言う。
これを言われるとほとんどのゆっくりは反射的に応えてしまうのだという。
これを言われるとほとんどのゆっくりは反射的に応えてしまうのだという。
「ここは僕とこのれいむのゆっくりプレイスだよ、れいむとまりさはゆっくりしないで出て行ってね」
おうち宣言される前におうち宣言をしてしまう。対策法の一種である。
「そのおちびちゃんはれいむのおちびちゃんだよ!
だからここはれいむのゆっくりぷれいすなんだよ!!」
だからここはれいむのゆっくりぷれいすなんだよ!!」
予想もしない反論だった。
飼い主も同じ面持ちだ。
飼い主も同じ面持ちだ。
「どういうことだい?」
飼い主は問いただす。
「そのこはれいむとまりさがすっきりー!してできたこなんだぜ!
だからこのいえはまりさのゆくりぷれいすなんだぜ!!」
だからこのいえはまりさのゆくりぷれいすなんだぜ!!」
飼い主は呆れた。言ってる事が何一つ変わっていないのだ。
すると、れいむが一応距離を置いた位置から質問する。
すると、れいむが一応距離を置いた位置から質問する。
「にひきがれいむのりょうしんなの?」
普通ゆっくりは同族を「人」で数えるらしいが、このれいむは飼い主から自身の数え方は「匹」と教わっている。
その程度の違いは、目の前の二匹にはあまり関係ない話だが。
その程度の違いは、目の前の二匹にはあまり関係ない話だが。
「そうなんだぜ。まりさとれいむじゃおちびちゃんをそだてられそうにないから、にんげんにそだてさせることにしたんだぜ」
ゆふん、と胸を張るように仰け反る親まりさ。
「にんげんにしてはよくやってくれたよ。おちびちゃん、こんなにんげんはさっさとせいっさいしてやって、おかあさんとゆっくりしようね!」
れいむを救った人間をコケにする親れいむ。
前にテレビで見た、別の鳥の巣に自分の巣の卵を置いて育てさせる方法と同じなんだろうとれいむは理解した。
前にテレビで見た、別の鳥の巣に自分の巣の卵を置いて育てさせる方法と同じなんだろうとれいむは理解した。
れいむは飼い主を見る。
「僕はこいつらを家に入れるつもりは無いよ。もしもれいむがこいつらと行きたいというなら無理強いはしない。
本当かどうかはどうあれ、もしもその方がゆっくりできそうだというなら、それでもいい」
本当かどうかはどうあれ、もしもその方がゆっくりできそうだというなら、それでもいい」
飼い主は冷静だ。
飼い主がこの二匹に倒されるなどと言う事は万に一つも無いだろうというのはれいむにはわかっている。
しかし、こいつらは自身を自分たちの子であるという。
たしかに、極々僅かながらにそんな気がしないでもない、という気持ちがある。
多分これは親なんだろう。
飼い主がこの二匹に倒されるなどと言う事は万に一つも無いだろうというのはれいむにはわかっている。
しかし、こいつらは自身を自分たちの子であるという。
たしかに、極々僅かながらにそんな気がしないでもない、という気持ちがある。
多分これは親なんだろう。
「ゆ? それにしてもおちびちゃんがすくないね!
かくれてないででてきてね! すぐでいいよ!」
かくれてないででてきてね! すぐでいいよ!」
れいむは他にも子供がいるんだろうと喚く。
おそらく茎に成っていた残り三匹の姉妹の事を言ってるんだろう。
おそらく茎に成っていた残り三匹の姉妹の事を言ってるんだろう。
「悪いけど、あの子たちは死んじゃったよ。栄養が足りなくてね。
せめてもう少し栄養が与えられていればね……」
せめてもう少し栄養が与えられていればね……」
飼い主は心底残念そうに事実を伝える。
すると二匹の汚い表情が更に醜悪になった。
すると二匹の汚い表情が更に醜悪になった。
「れいむのおちびちゃんをころしたなああああ!!!
なんでちゃんとせわできないのぉぉぉおおおお!!?」
なんでちゃんとせわできないのぉぉぉおおおお!!?」
「ゆるせないんだぜ、このゆっくりごろし!!!!!!」
れいむは驚いた。
言っていることの意味がわからなくて驚いた。
飼い主はそのまま放置したって構わない自分と姉妹を、律儀に世話しようとしてくれていたのだ。
結果的に姉妹は死んでしまったが、この場合罵倒されるべきは栄養もままならない我が子を、いつ来るか知れない人間に任せようとした自分たちであるだろうに。
言っていることの意味がわからなくて驚いた。
飼い主はそのまま放置したって構わない自分と姉妹を、律儀に世話しようとしてくれていたのだ。
結果的に姉妹は死んでしまったが、この場合罵倒されるべきは栄養もままならない我が子を、いつ来るか知れない人間に任せようとした自分たちであるだろうに。
「おちびちゃん、はやくこっちにきてね! このゆっくりごろしはゆっくりできないよ!」
「おいにんげん、さっさとこのじゃまなものをどかすんだぜ!
おちびちゃんははやくこんなゆっくりごろしのにんげんからはなれるんだぜ!」
おちびちゃんははやくこんなゆっくりごろしのにんげんからはなれるんだぜ!」
れいむは決心した。
「おまえたちみたいなのはれいむのおやなんかじゃないよ」
こんな礼儀も身の程も弁えない者とは一緒にいたくはない。
例え生まれた時は恋焦がれた親だとしても、こんな醜悪な存在には近付きたくは無い。
例え生まれた時は恋焦がれた親だとしても、こんな醜悪な存在には近付きたくは無い。
「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉおお!!!!」
もう見るに耐えない泣きっ面。
れいむは気持ちが悪くなった。
そんなれいむを飼い主は優しく手に包んで持ち上げていた。
れいむは気持ちが悪くなった。
そんなれいむを飼い主は優しく手に包んで持ち上げていた。
「ゆっくりわかったんだぜ!
おちびちゃんはにんげんにせんのうされたんだぜ! ゆるせないんだぜ!!」
おちびちゃんはにんげんにせんのうされたんだぜ! ゆるせないんだぜ!!」
洗脳……されてないとは言い切れないだろう。
現にれいむはゆっくりらしさが少々乏しい。
餡子が繋がって生まれたゆっくりならば、『ゆっくり』という言葉を様々な意味で使う。
たとえば『ゆっくりりかいしたよ!』や『ゆっくりいそいでね!』などだ。
これらは『よくわかった』、『はやくして』という意味になるゆっくり独特の言葉だ。
だがれいむにはそれがない。
更にれいむは飾りへの執着もまったくと言っていいほど無い。
飼い主がこっちの方がいい、といえば別の飾りを躊躇無くつけられるだろう。
現にれいむはゆっくりらしさが少々乏しい。
餡子が繋がって生まれたゆっくりならば、『ゆっくり』という言葉を様々な意味で使う。
たとえば『ゆっくりりかいしたよ!』や『ゆっくりいそいでね!』などだ。
これらは『よくわかった』、『はやくして』という意味になるゆっくり独特の言葉だ。
だがれいむにはそれがない。
更にれいむは飾りへの執着もまったくと言っていいほど無い。
飼い主がこっちの方がいい、といえば別の飾りを躊躇無くつけられるだろう。
だが、そもそもを正せばそれはこの親がしっかりと餡子の記憶を分け与えなかったからだ。
だかられいむははっきりろいう。
だかられいむははっきりろいう。
「れいむはこのかいぬしさんのかぞくだよ!
おまえたちみたいなのがおやだなんて、しんじられないよ!
いもうとたちをころしたゆっくりころし?
ばかいわないでよね! かいぬしさんがいなかったらいまごろれいむもしんでたよ!
そもそもおまえたちがあんなことしなかったら、いもうとたちだってしなずにすんだんだよ!
でも、こんなおやのもとでそだったら、おそかれはやかれしんじゃってたかもね!」
おまえたちみたいなのがおやだなんて、しんじられないよ!
いもうとたちをころしたゆっくりころし?
ばかいわないでよね! かいぬしさんがいなかったらいまごろれいむもしんでたよ!
そもそもおまえたちがあんなことしなかったら、いもうとたちだってしなずにすんだんだよ!
でも、こんなおやのもとでそだったら、おそかれはやかれしんじゃってたかもね!」
れいむは生まれて初めて他者を罵倒した。
それはとても『ゆっくりできない』ことだった。
罵倒するれいむの表情は暗い。一言言うだけでとても気分が悪い。
こんなゆっくりできない言葉を何も感じずに言い続けられる目の前の野良ゆっくりの頭の中がわからない。
それはとても『ゆっくりできない』ことだった。
罵倒するれいむの表情は暗い。一言言うだけでとても気分が悪い。
こんなゆっくりできない言葉を何も感じずに言い続けられる目の前の野良ゆっくりの頭の中がわからない。
「ゆ、ッぎぃいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
れいむが言い終えて一間空け、突然親れいむは奇声を上げた。
「ばりざあああああ! あんなのはれいぶのおじびじゃんじゃない!
あんなくずざっざどづぶぜええええええ!!!!!」
あんなくずざっざどづぶぜええええええ!!!!!」
「いわれるまでもないんだぜ!
だまってきいてればすきほうだいいってくれたんだぜ!
うんでやったおんをあだでかえすようなゆっくりできないがきはせいっさい!してやるんだぜえええ!!!」
だまってきいてればすきほうだいいってくれたんだぜ!
うんでやったおんをあだでかえすようなゆっくりできないがきはせいっさい!してやるんだぜえええ!!!」
れいむは涙を流した。
わかっていながらも、ここまで汚いものが親だとは思いたくなかった。
こんなものから産まれた自分。さっきもこいつらと同じような事を言った自分。
そんな自分を、飼い主は軽蔑してしまっただろう。
わかっていながらも、ここまで汚いものが親だとは思いたくなかった。
こんなものから産まれた自分。さっきもこいつらと同じような事を言った自分。
そんな自分を、飼い主は軽蔑してしまっただろう。
「それがお前の答えでいいんだな」
そっと、飼い主の手がれいむを包む。
生まれたばかりの頃と同じ、とても暖かくて気持ち良い……そう、これこそが親の温もりだ。
生まれたばかりの頃と同じ、とても暖かくて気持ち良い……そう、これこそが親の温もりだ。
「ぶぼぉ!?」
飼い主は飛びかかろうとしたまりさを叩き落とし、れいむともども外へ放り投げた。
「ゆぶぇ?!」
「ぶびょる!」
顔面から地面に落ちる。幸いな事に歯はほとんど折れていないようだった。
飼い主はれいむをそっとテーブルの上に乗せて外に出た。
飼い主はれいむをそっとテーブルの上に乗せて外に出た。
「このまま帰るっていうなら何もしないけど?」
飼い主は一応、れいむの親であることも考えて、出来るだけ穏便に事を済ませたい。
さすがに目の前で殺処分などできるはずもない。
こんなのでも同族、しかも親が殺されるところなど、優しいれいむは見たくないだろう。
さすがに目の前で殺処分などできるはずもない。
こんなのでも同族、しかも親が殺されるところなど、優しいれいむは見たくないだろう。
「ふざげるなぁぁぁあ……まりざがまげるはずないんだぜぇえええ……。
いままでだで、にんげんはまりざがとおるどみちをあけてにげていっでだんだぜぇぇ……!」
いままでだで、にんげんはまりざがとおるどみちをあけてにげていっでだんだぜぇぇ……!」
それはただ汚いおまえたちに近付きたくないからだろう、と言おうかと思ったがやめた。
おそらく無駄だろう。
この手のゆっくりは言葉を喋るだけで会話は通じないものだ。
相手にするだけ心身に悪い。
そもそもれいむほど会話が成り立つゆっくりはそういない。
おそらく無駄だろう。
この手のゆっくりは言葉を喋るだけで会話は通じないものだ。
相手にするだけ心身に悪い。
そもそもれいむほど会話が成り立つゆっくりはそういない。
飼い主は溜め息をついてまりさとれいむを捕まえる。
「ゆぐぃいいいい! いだいいいいい! はなぜええええええええええ!!」
「はなぜ! せいっざいじでやるがらはなぜええええ!!!」
もう聞く耳は持たない。
飼い主は別にゆっくりを痛めつける趣味は無い。だから殺生をするつもりはない。
飼い主は窓を閉める。
れいむには、こいつらをもう会えないくらい遠くに捨ててくると行って待たせる。
飼い主は別にゆっくりを痛めつける趣味は無い。だから殺生をするつもりはない。
飼い主は窓を閉める。
れいむには、こいつらをもう会えないくらい遠くに捨ててくると行って待たせる。
飼い主は三重にしたゴミ袋に二匹をぶちこみ、ダンボール詰めにした後、近くの山へ車で行って二匹を投げ捨ててきた。
二匹は最後まで悪態をついて追いかけてきたが、ゆっくりに人間が、ましてや車に追いつけるはずも無かった。
山に捨てたのは、街で人間に殺される頃の無いように、というせめてもの情けだった。
二匹は最後まで悪態をついて追いかけてきたが、ゆっくりに人間が、ましてや車に追いつけるはずも無かった。
山に捨てたのは、街で人間に殺される頃の無いように、というせめてもの情けだった。
帰ってみるとれいむは大分消沈していた。
無理も無い。あのような醜悪な存在が親だと知ったのだ。ショックも大きいだろう。
飼い主は何も言わず、ただれいむをやさしく手に乗せてゆっくりとなで続けた。
れいむも、温もりに包まれながらまどろみの中に意識を落としていった。
無理も無い。あのような醜悪な存在が親だと知ったのだ。ショックも大きいだろう。
飼い主は何も言わず、ただれいむをやさしく手に乗せてゆっくりとなで続けた。
れいむも、温もりに包まれながらまどろみの中に意識を落としていった。
暫く後、大人と呼ぶに相応しいまでに大きくなったれいむは、今日は飼い主のために庭で草むしりをしていた。
あれから公園デビューを果たして友達も得た。
飼い主との仲も良好で、今れいむは本当に『ゆっくりしている』。
あれから公園デビューを果たして友達も得た。
飼い主との仲も良好で、今れいむは本当に『ゆっくりしている』。
ふと、玄関の方で物音がした。
れいむは飼い主の言いつけどおり、いつでも逃げられるよう準備をしつつその音の正体を探りに行った。
れいむは飼い主の言いつけどおり、いつでも逃げられるよう準備をしつつその音の正体を探りに行った。
そこには――
「お、おじび、ぢゃん……」
「ゆっぐ、ゆっぐじざぜろぉ……」
いつぞやの野良ゆっくりがいた。
「なにかようでもあるの?」
「おぢびぢゃん、おがあざんを、ゆっぐりざぜで……」
みすぼらしい姿だが、これがあの日、自分の親だといったゆっくりだというのは理解できた。
なんと酷い姿だろう。髪は大分抜け落ちて禿げ上がり、片目は無くなって飾りはボロボロだ。
大分古い傷も多い。よく生きていられたと感心してしまうくらいだった。
だが、抱いた感想はそれだけ。
れいむは二匹の存在そのもには無関心だった。
なんと酷い姿だろう。髪は大分抜け落ちて禿げ上がり、片目は無くなって飾りはボロボロだ。
大分古い傷も多い。よく生きていられたと感心してしまうくらいだった。
だが、抱いた感想はそれだけ。
れいむは二匹の存在そのもには無関心だった。
「いやだよ。かいぬしさんにいわれてるよ、のらのゆっくりはきけんなばあいもあるからかいぬしさんがいるばあいいがいはちかづくなって。
だかられいむにちかよらないで、『ゆっくりしないで』さっさとどこかにいってね」
だかられいむにちかよらないで、『ゆっくりしないで』さっさとどこかにいってね」
「ご、ごのげずはぁぁぁ、うんでやっだおんもわずれでぇぇぇ……!!!」
「うんでやったおん? すてられて『ゆっくりできなく』なりかけたのはしってるけど、おんをうられたおぼえはないよ」
「ばりざどでいぶがいながっだらおばえはうばれで――」
「それをしんじゃったいもうとたちにもいえるの?
うまれるまえに、ほかでもないおまえたちのせいで『ゆっくりできずに』しんだいもうとたちに」
うまれるまえに、ほかでもないおまえたちのせいで『ゆっくりできずに』しんだいもうとたちに」
「それはあのにんげ――」
「おぼえてないんだろうからもういちどいうけど、かいぬしさんがいなかったられいむはしんでたよ。
おまえたちはかいぬしさんにおれいをいうたちばなのに、せきにんをなすりつけるなんて『ゆっくりしてない』ね」
おまえたちはかいぬしさんにおれいをいうたちばなのに、せきにんをなすりつけるなんて『ゆっくりしてない』ね」
ゆっくりできない、ゆっくりしてない、ゆっくりが最も嫌うという言葉で責め立てる。
もうれいむに目の前のゆっくりを親と思う気持ちは無い。
れいむの親は飼い主である男性だ。
彼も、れいむにそう思ってもらえることをとてもよろこんでいる。
だかられいむは、目の前のゆっくりには何も思わない。そこらに転がる石と同じにしか見ていない。
もうれいむに目の前のゆっくりを親と思う気持ちは無い。
れいむの親は飼い主である男性だ。
彼も、れいむにそう思ってもらえることをとてもよろこんでいる。
だかられいむは、目の前のゆっくりには何も思わない。そこらに転がる石と同じにしか見ていない。
二匹はれいむが自分たちを見る冷たい目に恐怖した。
その目は、人間たちが自分たちを見る目と同じなのだ。
汚らしい汚物を見るような目。邪魔だと言って蹴り飛ばしたあの目。近付いてきて唾を吐きかけたあの目。
あの『ゆっくりできない』目と同じ目で見ているのだ。
その目は、人間たちが自分たちを見る目と同じなのだ。
汚らしい汚物を見るような目。邪魔だと言って蹴り飛ばしたあの目。近付いてきて唾を吐きかけたあの目。
あの『ゆっくりできない』目と同じ目で見ているのだ。
あれだけゆっくりできない道を長い時間をかけてやってきたのも、すべてはこの家を、れいむを盾に手に入れる事。
しかし、許しを請えば子供として迎えてやろうと思っていたれいむに、遥か下の存在であると目で言われてしまった。
二匹は絶望した。
そして、もう感情の糸が切れ、れいむを襲い殺そうとしたその時――
しかし、許しを請えば子供として迎えてやろうと思っていたれいむに、遥か下の存在であると目で言われてしまった。
二匹は絶望した。
そして、もう感情の糸が切れ、れいむを襲い殺そうとしたその時――
「ゆが?!」
「おぶぅ!」
「おぶぅ!」
二匹は何かに捕まり、いつぞやのように三重に重ねた大きなゴミ袋の中に放り込まれ、更に物置前のゴミ箱に投げ込まれた。
「れいむ、大事無いか?」
「だいじょうぶだよ。ゆっくりごめんなさい、いいつけをやぶって、のらにちかづいちゃったよ……」
「気にするな、れいむがとどめておいてくれなかったら進入されてたかもしれないからな」
この家の主、れいむの飼い主が帰ってきた。
飼い主はさっきの二匹がおそらくれいむの親だというのは気付いている。
それを承知でれいむに聞いた。
飼い主はさっきの二匹がおそらくれいむの親だというのは気付いている。
それを承知でれいむに聞いた。
「あいつら、どうする?」
「かいゆっくりやにんげんさんにきがいをくわえそうなのらゆっくりは『さつしょぶん』するんだよ」
「れいむ、いいのか?」
「いいもわるいもないよ。それにれいむのおやはかいぬしさんだけだからね!」
満面の笑顔。そこに嘘はない。
れいむは本当にあの二匹を親とは思っていない。
飼い主はそれを聞いて、安心した、と言い、ゴミ箱から二匹の入ったゴミ袋を取り出す。
れいむは本当にあの二匹を親とは思っていない。
飼い主はそれを聞いて、安心した、と言い、ゴミ箱から二匹の入ったゴミ袋を取り出す。
「ゆぐ、ぐぞにんげん……ご、ごろじでやる……!」
「ぜいっ……さい、だよ……!」
飼い主を確認した二匹は、まだなお汚い言葉を吐き続ける。
飼い主はそれに一切耳を貸さずにゴミ袋の口を持ち、地面に置く。
そして足を振りかざす。
飼い主はそれに一切耳を貸さずにゴミ袋の口を持ち、地面に置く。
そして足を振りかざす。
「ゆ?! ゆあああ! やべで、やべでええええええええええ!!!!」
「やべるんだぜ! やべ、やめ、やべじぇええええ!!!!」
「やべるんだぜ! やべ、やめ、やべじぇええええ!!!!」
ただの鳴き声。そして泣き声。
もうそんなものは届いてはいない。
もうそんなものは届いてはいない。
「やめぶべ?! ばぶぉ、ぎゅが! じにだぐべ、ないびゃ!!!!」
「ぐぞにんげぶぉ! やじゃべ?! ごべんなざぶう! ゆるびゅで!!?!?」
「ぐぞにんげぶぉ! やじゃべ?! ごべんなざぶう! ゆるびゅで!!?!?」
飼い主は黙々とゴミ袋を潰していく。
さすがに大人となったゆっくりを潰すとなると袋一枚程度では敗れてしまう可能性がある。
聞くところによるとゆっくりの中身はゆっくりにしかわからない臭いがするという。
そんな臭いがついたものを近くに残してれいむにいやな思いはさせたくない。
だから家から出て踏み潰した。
さすがに大人となったゆっくりを潰すとなると袋一枚程度では敗れてしまう可能性がある。
聞くところによるとゆっくりの中身はゆっくりにしかわからない臭いがするという。
そんな臭いがついたものを近くに残してれいむにいやな思いはさせたくない。
だから家から出て踏み潰した。
一分ほど満遍なく踏み潰し、袋がピクリとも動かなくなったのを確認して飼い主はゆっくり専用のゴミ回収箱に袋を捨てた。
これでもうれいむをおびやかすものはなくなった。
正直、まさか本当に戻ってくるとは思わなかった。
正直、まさか本当に戻ってくるとは思わなかった。
飼い主はれいむを抱き抱えて庭の片隅へ行く。
そこには小さな山があった。
れいむの姉妹の墓である。
今日はこの姉妹たちの命日であり、れいむが産まれた日。
飼い主はれいむの姉妹たちを救えなかった事を謝罪し、そのかわりにれいむだけはしっかり天寿を全うするまで育てると墓前に誓った。
れいむの姉妹の墓である。
今日はこの姉妹たちの命日であり、れいむが産まれた日。
飼い主はれいむの姉妹たちを救えなかった事を謝罪し、そのかわりにれいむだけはしっかり天寿を全うするまで育てると墓前に誓った。
「かいぬしさん、『なでなで』してほしいよ!」
「ああれいむ、今日はお前の誕生日だからな。お願い事は何でも聞いてやろう。
おまえの大好きなものも今日はいっぱい――――」
おまえの大好きなものも今日はいっぱい――――」
れいむは幸せだった。
生まれはたしかに不幸だったかもしれない。
しかし、今はこうして幸せに生きている。
その事に関しては、あの親と名乗っていた野良ゆっくりに感謝の意を感じてはいた。
もしもあの時、真っ当に更正していたのならば、例えみすぼらしい姿であっても、受け入れていいとも思っていた。
飼い主はれいむを甘いと言っていたが、それだからこそれいむだ、とも言った。
生まれはたしかに不幸だったかもしれない。
しかし、今はこうして幸せに生きている。
その事に関しては、あの親と名乗っていた野良ゆっくりに感謝の意を感じてはいた。
もしもあの時、真っ当に更正していたのならば、例えみすぼらしい姿であっても、受け入れていいとも思っていた。
飼い主はれいむを甘いと言っていたが、それだからこそれいむだ、とも言った。
れいむはこの後六年の間、飼い主からの愛情をたくさん受け、とても『ゆっくりした』笑顔で天寿を全うした。
その遺骸は、亡き姉妹と同じ場所のすぐとなりに、丁重に葬られた。
終
ダメ!ぜんぜん生かせない!
オチがどうしてもしっくりきません。どうしたらいいんでしょう。
愛したいのに愛しきれない!
ボキャブラリの問題以前……なれないことしないでゆ虐してろってことなんでしょうかね。
オチがどうしてもしっくりきません。どうしたらいいんでしょう。
愛したいのに愛しきれない!
ボキャブラリの問題以前……なれないことしないでゆ虐してろってことなんでしょうかね。
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