ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1752 冷たい穴と白い棒
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ankoss
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群青の冴えわたる大空のもと、広々とした草原が横たわっている。
草を主食とする野生ゆっくりには、ごちそうが群れているようにしかみえない。
かくして、ちびのれいむは茂みから原っぱに踊りでて、青々と茂る草をあさりはじめた。
「ゆゅ~~。……みゅーちゃっ、みゅーちゃっ」
背丈の低い草は、朝露に濡れていて爽やかな味わいをふくんでいた。
ほどよく歯ごたえもあり、しゃきしゃきとした食感がたまらない。
「ちあわちぇぇぇぇっ」
朝の涼気に包まれた野山のふもとで、赤ゆのれいむは生いしげる草を堪能した。
あまりにもたっぷりと食べものがある。
食べては出し、食べては出し、草むらにはぽつりぽつりと黒い斑点が生まれるにいたった。
ところが、である。
「……ゆゆっ!?」
食事に夢中になっていていたがあまりに、足もとで口を開けている穴に気付かなかった。
赤ゆは穴の淵で前のめりになってしまった。
「ゆゆ~~っ!」
そこで踏みとどまろうとした。
しかしすでに重心はかたむいており、あえなく穴に吸いこまれた。
「おそらゆべっ」
お空を飛んでいるみたいと叫ぼうとしたらしい。
しかし滞空時間はきわめてみじかく、それは許されなかった。
穴の深さは十センチほどでしかなかった。
打撲になるべき深度ではなく、れいむはすぐに起きあがった。
少々、体内餡子がゆさぶられてしまったが、
かぶりを振るとわずかな気持ち悪さも朝霧が光に払われるように霧散した。
「ゆゅ……ゆゅ~~~っ!?」
赤ゆはのけぞってしまった。
穴のなかは、壁も床も鈍色の光沢でおおわれていた。
宝石箱のなかに迷いこんでしまったようだ。
「たかりゃみょの~~~」
赤ゆがひとしく憧れてやまない『たからもの』が、ここでは建材と化していた。
「しゅごい……」
円筒形の穴の底で、れいむは空を見上げた。
ふしぎな光景だった。
銀色の空に、一点の淀みもない簡潔きわまる青い穴が開いている。
いや、視界の端に異物がみえる。
白い線が走っていた。
「ゆゅ~?」
れいむは視線を下げて、その白い線の正体をさぐった。
穴底から白い棒が生えていた。
たいへんに細い。
しかし長くて先が見えない。
それに、かたむいている。
そのために、白い棒は穴のふちと接しているのだった。
こんな樹は見たことがなかった。
「たべりゃれりゅ~? ……ゆっ」
噛んでみた。
かたかった。
何よりも、おいしくなかった。
「ゆゅ~~、おいちくにゃいっ! ゆっきゅり できにゃいっ」
そう吐き捨てた。
とりあえずここを出て、食事を続けようと思った。
そこで赤ゆは脱獄をこころみた。
「ゆんっ」
まずは跳躍して地表に躍り出ようとした。
が、跳躍力が足らず、壁にぶつかってしまった。
その反動で、れいむは床にべったりと叩きつけられた。
「ゆんっ。ちゅめたいっ」
床はひんやりとしていた。
しかし凍えるほどではない。
むしろ、ほどよい冷たさが心地よかった。
「ゆゅ~、ゆっ」
壁に頬を押しあててみた。
「ちゅめたいっ」
床と同じように爽快な冷気が伝わってきた。
さっと飛びのく。
れいむは、この穴が気に入った。
ほんのりとした寒気が心地いい。どこを見てもきらびやかで、贅沢なふんいきを味わえる。
それに、目と鼻の先に草むらがあって、食べものには事欠かない。
「ゆゆ~~……しょーだっ」
冷気が赤ゆに素晴らしいひらめきをもたらしてくれた。
「きょきょを れーみゅの ゆっきゅり ぷれいしゅに しゅるよっ!」
光りかがやく笑顔でもって、いわゆる「お家宣言」をしたのだった。
こうして銀の部屋はれいむのゆっくりプレイスとなった。
そうと決まれば、両親と姉妹を連れてきて、寝床をこしらえ、トイレを設置し……。
やることは多い。
「ぴゃぴゃと みゃみゃを つれてくりゅよ!」
屋根のない小部屋に、ほがらかな声が鳴りひびく。
かくして、れいむは両親を連れてくるべく円筒から出ようとするのだが。
「……ゆんっ」
ジャンプした。
だが、とどかなかった。
「ゆんっ」
もういちど、こんどは助走をつけて跳躍した。
ところが出口は高かった。
「ゆんっ、ゆんっ、ゆんっ!」
何度やっても高みの出口はれいむを拒絶する。
ついにれいむは怒りだしてしまった。
「……でぐちしゃんっ、ゆっきゅりしてにゃいで おりてきちぇにぇ!」
無機質な穴ぐらに赤ゆの不機嫌が反響する。
「れーみゅ おこりゅよっ」
語気を荒げてみても、結論はおなじだった。
円形の穴は澄ました顔をして高嶺に浮くばかりで、取りつくしまもない。
「どーちて おりてこにゃいにょ? ばきゃにゃの? ちぬの?」
朝の燦然たるきらめきを満身に浴びながら、蒼穹に叫ぶ赤ゆの姿は、どこか高貴で滑稽だった。
「でぐちしゃんっ! きーちぇりゅのっ!?」
これまたなしのつぶてである。
「でぐちしゃんっ! きょきょは れーみゅの ゆっきゅり ぷれいしゅだよっ。
どーちて れーみゅの いうこちょを きけにゃいの?
しゃっしゃと しちぇにぇっ!
おりてきちぇにぇっ!」
下僕は無反応をつらぬいた。
いよいよれいむは激昂した。
「ぷきゅぅぅぅ! れーみゅ おこっちゃよ!
きゃわいい れーみゅを ばきゃにしゅる げしゅは『せいっしゃいっ』しゅるよっ!」
主人の怒りは本物だった。
情けも憐れみもかけず、制裁を実行する。
「ゆんっ、ゆんっ!」
壁に突撃を繰りかえした。
だが、そのたびに跳ねかえされた。
いくたびか体当たりを重ねた。
そして、肩で息をしながら、れいむは勝ち誇った。
「どう!? いちゃかったでしょ! れーみゅ ちゅよいっ!
とっても ちゅよいっ! れーみゅ さいっきょうっ!
ゆゆ~んっ、ちゅよい れーみゅは とっちぇも ゆっきゅり しちぇいるよ~~。
ゆ~、ゆ~、ゆ~♪
ゆっくち~♪
ゆっくち~♪
れーみゅの、れ~♪ れーみゅの、れ~♪ れーみゅの、れ~は~♪
ゆっくちの、ま~♪ れーみゅの、れ~は~♪ まったりの、れ~♪」
やがて歌声がやんだ。
どこかでキジが啼いていた。
「……」
れいむはしばらく穴底の中央にたたずんでいた。
俄然、ぶるぶると首を横にふる。
「ちぎゃうもんっ! れーみゅ しゃびしくにゃんか にゃいもんっ」
とにかく動いてないと不安になってきた。
そこで、
「しゅーぴゃーしーしーちゃいむっ」
なんの脈絡もなく、排泄を宣告した。
ちょろちょろと、赤ゆの腹から透明な液体が弾道をなぞった。
「しゅっきりー」
放尿はすぐに止まった。
「どう!? きょれでも れーみゅは さびちい!?」
だれにでもなくいきがってみせる。
「ゆゆ!?」
すぐに、れいむの鼻孔を尿臭が襲った。
見れば一室の隅に水たまりができている。
「ゆゆ!? しーしーしゃん! なんで いりゅの!?」
赤ゆが背後に飛び退いた。
が、すぐ後ろに壁が待ちかまえていたために、逆に前方に転んでしまった。
顔を上げると、目のまえにしーしーが迫ってきていた。
驚くべき反射速度で起きあがる。
「こっちこにゃいでにぇ! あっちいっちぇにぇ!」
れいむの通告も虚しく、水は音もなくれいむに這っていく。
「しーしーしゃん! こっちこにゃいでにぇ! こっち……こにゃ……ゆぴっ!」
鋭く悲鳴を発した。
水がれいむのあんよに触れたのだ。
饅頭皮に浸透してゆく。
「……ゆぐぅ……」
あんよに沁みこむ汚物を、恨みがましい目で見つめるしかなかった。
「……ゆぅ。……れいみゅ しゅーやしゅーや しゅりゅよ!」
徹底的に忙しない。
れいむは睡眠宣言から数秒も経たずして、睡魔に意識を預けてしまった。
「すぅ……すぅ……」
穴底から安らかな吐息が発せられる。
金属の底から生えている白い樹幹に身を寄せていた。
「ゅぅ……?」
突然、白い木がすっと抜かれた。
これに身を預けていたれいむは、ころんと転がって目が覚めた。
「……ゆぅ……」
しかし、まだ夢見心地だった。
「ゅぅ~~。きょきょ どきょ だっけ?」
自分が穴の中にいることを忘却していた。
まわりを見ても、冷たい壁があるばかり。
そのとき、急に穴が暗闇に閉ざされた。
「ゆ?」
不思議になって空を見上げた。
円形に切りとられた青空のなかに、さらに黒い穴が開いていた。
その穴は急速に大きくなり、
「ゆべぇっ!」
空を仰いでいたれいむの顔面に激突した。
衝撃のために、かすかに餡子を吐いてしまった。
「……ゅ゛……ゅ゛……ゆ゛っ」
しばらく激痛に震えてしまった。
ぴゅっぴゅと肛門から尿が垂れる。
だが、れいむ種特有の生命力でもって打撲から回復した。
ゆるゆると起きあがる。
そしてあたりを見回した。じぶんを打ちすえた何かを探したのだ。
だが、殴った悪魔はどこにもいなかった。
おそるおそる空を見上げても、そこには丸い空があるだけだ。
「ゆゆ~~?」
不思議でならなかった。
しかしながら、判明した事実があった。
「……きょ……きょきょは ゆっきゅり できにゃいよ!」
ということで、赤ゆのれいむは脱出をはかった。
しかし、あいかわらず天井は高みにあるばかりで脱獄できなかった。
そうこうするうちに、ふたたび空に影がやどった。
「ゆ!?」
思わず、れいむは目を閉じた。
からんと冷たい音がする。
まぶたを開けると、白い木が戻されていた。
れいむは首をかしげるばかりだ。
だが、不思議がる観察眼が、赤ゆに知恵を吹きいれた。
「れいみゅ あたみゃ いい!」
今度ばかりは本物の知恵といえた。
この傾斜のついた木をつたって、外に出ればいいのだ。
ただ、いまのいままで気付かなかったことは、赤ゆであった。
「ゆっ」
れいむは跳びはねて、
「ゆんっ!」
白く細い木を口でくわえ、これにぶらさがった。
「ゆゆんっ」
口を支点にして体を回転させ、棒の上部に体を持ってきた。
鋭いながらも傾斜がついているから登ることができた。
体勢を保ちながら、少しずつ上昇する。
「ゆっ、ゆっ」
器用にも、口を操作しながら登ってゆく。
「ゆっ♪ ゆっ♪」
木のぼりの楽しさに似た軽快さがあった。
やがて、赤ゆのれいむの視線は、地下から地上に踊りでた。
あと一息で、地上に出られる。
れいむは自分の正しさを知り、愉快になった。
よし、地上に降りよう。
と、おもったときだった。
蒼天を切りさく白い影があった。
それは白い隕石だった。
隕石は放物線をえがいて、棒を登っていたれいむめがけて落下をし、
ぐしゃり。
と、れいむを直撃した。
脳漿が飛び出た。
眼球もずるりとこぼれた。
白い隕石は一個の命を刈り取ると、穴のなかに滑りこんだ。
れいむの亡骸があとにつづく。
遠くから、歓声が風に乗って流れてきた。
「おみごと! ホールインワン!」
れいむが忍びこんだ草むらとはゴルフ場のグリーン。
見つけた「お家」はカップ。
穴の底から生えていた細い樹はピン。
赤ゆを即死にいたらしめた白い隕石は、ゴルフボールだった。
(おわり)
草を主食とする野生ゆっくりには、ごちそうが群れているようにしかみえない。
かくして、ちびのれいむは茂みから原っぱに踊りでて、青々と茂る草をあさりはじめた。
「ゆゅ~~。……みゅーちゃっ、みゅーちゃっ」
背丈の低い草は、朝露に濡れていて爽やかな味わいをふくんでいた。
ほどよく歯ごたえもあり、しゃきしゃきとした食感がたまらない。
「ちあわちぇぇぇぇっ」
朝の涼気に包まれた野山のふもとで、赤ゆのれいむは生いしげる草を堪能した。
あまりにもたっぷりと食べものがある。
食べては出し、食べては出し、草むらにはぽつりぽつりと黒い斑点が生まれるにいたった。
ところが、である。
「……ゆゆっ!?」
食事に夢中になっていていたがあまりに、足もとで口を開けている穴に気付かなかった。
赤ゆは穴の淵で前のめりになってしまった。
「ゆゆ~~っ!」
そこで踏みとどまろうとした。
しかしすでに重心はかたむいており、あえなく穴に吸いこまれた。
「おそらゆべっ」
お空を飛んでいるみたいと叫ぼうとしたらしい。
しかし滞空時間はきわめてみじかく、それは許されなかった。
穴の深さは十センチほどでしかなかった。
打撲になるべき深度ではなく、れいむはすぐに起きあがった。
少々、体内餡子がゆさぶられてしまったが、
かぶりを振るとわずかな気持ち悪さも朝霧が光に払われるように霧散した。
「ゆゅ……ゆゅ~~~っ!?」
赤ゆはのけぞってしまった。
穴のなかは、壁も床も鈍色の光沢でおおわれていた。
宝石箱のなかに迷いこんでしまったようだ。
「たかりゃみょの~~~」
赤ゆがひとしく憧れてやまない『たからもの』が、ここでは建材と化していた。
「しゅごい……」
円筒形の穴の底で、れいむは空を見上げた。
ふしぎな光景だった。
銀色の空に、一点の淀みもない簡潔きわまる青い穴が開いている。
いや、視界の端に異物がみえる。
白い線が走っていた。
「ゆゅ~?」
れいむは視線を下げて、その白い線の正体をさぐった。
穴底から白い棒が生えていた。
たいへんに細い。
しかし長くて先が見えない。
それに、かたむいている。
そのために、白い棒は穴のふちと接しているのだった。
こんな樹は見たことがなかった。
「たべりゃれりゅ~? ……ゆっ」
噛んでみた。
かたかった。
何よりも、おいしくなかった。
「ゆゅ~~、おいちくにゃいっ! ゆっきゅり できにゃいっ」
そう吐き捨てた。
とりあえずここを出て、食事を続けようと思った。
そこで赤ゆは脱獄をこころみた。
「ゆんっ」
まずは跳躍して地表に躍り出ようとした。
が、跳躍力が足らず、壁にぶつかってしまった。
その反動で、れいむは床にべったりと叩きつけられた。
「ゆんっ。ちゅめたいっ」
床はひんやりとしていた。
しかし凍えるほどではない。
むしろ、ほどよい冷たさが心地よかった。
「ゆゅ~、ゆっ」
壁に頬を押しあててみた。
「ちゅめたいっ」
床と同じように爽快な冷気が伝わってきた。
さっと飛びのく。
れいむは、この穴が気に入った。
ほんのりとした寒気が心地いい。どこを見てもきらびやかで、贅沢なふんいきを味わえる。
それに、目と鼻の先に草むらがあって、食べものには事欠かない。
「ゆゆ~~……しょーだっ」
冷気が赤ゆに素晴らしいひらめきをもたらしてくれた。
「きょきょを れーみゅの ゆっきゅり ぷれいしゅに しゅるよっ!」
光りかがやく笑顔でもって、いわゆる「お家宣言」をしたのだった。
こうして銀の部屋はれいむのゆっくりプレイスとなった。
そうと決まれば、両親と姉妹を連れてきて、寝床をこしらえ、トイレを設置し……。
やることは多い。
「ぴゃぴゃと みゃみゃを つれてくりゅよ!」
屋根のない小部屋に、ほがらかな声が鳴りひびく。
かくして、れいむは両親を連れてくるべく円筒から出ようとするのだが。
「……ゆんっ」
ジャンプした。
だが、とどかなかった。
「ゆんっ」
もういちど、こんどは助走をつけて跳躍した。
ところが出口は高かった。
「ゆんっ、ゆんっ、ゆんっ!」
何度やっても高みの出口はれいむを拒絶する。
ついにれいむは怒りだしてしまった。
「……でぐちしゃんっ、ゆっきゅりしてにゃいで おりてきちぇにぇ!」
無機質な穴ぐらに赤ゆの不機嫌が反響する。
「れーみゅ おこりゅよっ」
語気を荒げてみても、結論はおなじだった。
円形の穴は澄ました顔をして高嶺に浮くばかりで、取りつくしまもない。
「どーちて おりてこにゃいにょ? ばきゃにゃの? ちぬの?」
朝の燦然たるきらめきを満身に浴びながら、蒼穹に叫ぶ赤ゆの姿は、どこか高貴で滑稽だった。
「でぐちしゃんっ! きーちぇりゅのっ!?」
これまたなしのつぶてである。
「でぐちしゃんっ! きょきょは れーみゅの ゆっきゅり ぷれいしゅだよっ。
どーちて れーみゅの いうこちょを きけにゃいの?
しゃっしゃと しちぇにぇっ!
おりてきちぇにぇっ!」
下僕は無反応をつらぬいた。
いよいよれいむは激昂した。
「ぷきゅぅぅぅ! れーみゅ おこっちゃよ!
きゃわいい れーみゅを ばきゃにしゅる げしゅは『せいっしゃいっ』しゅるよっ!」
主人の怒りは本物だった。
情けも憐れみもかけず、制裁を実行する。
「ゆんっ、ゆんっ!」
壁に突撃を繰りかえした。
だが、そのたびに跳ねかえされた。
いくたびか体当たりを重ねた。
そして、肩で息をしながら、れいむは勝ち誇った。
「どう!? いちゃかったでしょ! れーみゅ ちゅよいっ!
とっても ちゅよいっ! れーみゅ さいっきょうっ!
ゆゆ~んっ、ちゅよい れーみゅは とっちぇも ゆっきゅり しちぇいるよ~~。
ゆ~、ゆ~、ゆ~♪
ゆっくち~♪
ゆっくち~♪
れーみゅの、れ~♪ れーみゅの、れ~♪ れーみゅの、れ~は~♪
ゆっくちの、ま~♪ れーみゅの、れ~は~♪ まったりの、れ~♪」
やがて歌声がやんだ。
どこかでキジが啼いていた。
「……」
れいむはしばらく穴底の中央にたたずんでいた。
俄然、ぶるぶると首を横にふる。
「ちぎゃうもんっ! れーみゅ しゃびしくにゃんか にゃいもんっ」
とにかく動いてないと不安になってきた。
そこで、
「しゅーぴゃーしーしーちゃいむっ」
なんの脈絡もなく、排泄を宣告した。
ちょろちょろと、赤ゆの腹から透明な液体が弾道をなぞった。
「しゅっきりー」
放尿はすぐに止まった。
「どう!? きょれでも れーみゅは さびちい!?」
だれにでもなくいきがってみせる。
「ゆゆ!?」
すぐに、れいむの鼻孔を尿臭が襲った。
見れば一室の隅に水たまりができている。
「ゆゆ!? しーしーしゃん! なんで いりゅの!?」
赤ゆが背後に飛び退いた。
が、すぐ後ろに壁が待ちかまえていたために、逆に前方に転んでしまった。
顔を上げると、目のまえにしーしーが迫ってきていた。
驚くべき反射速度で起きあがる。
「こっちこにゃいでにぇ! あっちいっちぇにぇ!」
れいむの通告も虚しく、水は音もなくれいむに這っていく。
「しーしーしゃん! こっちこにゃいでにぇ! こっち……こにゃ……ゆぴっ!」
鋭く悲鳴を発した。
水がれいむのあんよに触れたのだ。
饅頭皮に浸透してゆく。
「……ゆぐぅ……」
あんよに沁みこむ汚物を、恨みがましい目で見つめるしかなかった。
「……ゆぅ。……れいみゅ しゅーやしゅーや しゅりゅよ!」
徹底的に忙しない。
れいむは睡眠宣言から数秒も経たずして、睡魔に意識を預けてしまった。
「すぅ……すぅ……」
穴底から安らかな吐息が発せられる。
金属の底から生えている白い樹幹に身を寄せていた。
「ゅぅ……?」
突然、白い木がすっと抜かれた。
これに身を預けていたれいむは、ころんと転がって目が覚めた。
「……ゆぅ……」
しかし、まだ夢見心地だった。
「ゅぅ~~。きょきょ どきょ だっけ?」
自分が穴の中にいることを忘却していた。
まわりを見ても、冷たい壁があるばかり。
そのとき、急に穴が暗闇に閉ざされた。
「ゆ?」
不思議になって空を見上げた。
円形に切りとられた青空のなかに、さらに黒い穴が開いていた。
その穴は急速に大きくなり、
「ゆべぇっ!」
空を仰いでいたれいむの顔面に激突した。
衝撃のために、かすかに餡子を吐いてしまった。
「……ゅ゛……ゅ゛……ゆ゛っ」
しばらく激痛に震えてしまった。
ぴゅっぴゅと肛門から尿が垂れる。
だが、れいむ種特有の生命力でもって打撲から回復した。
ゆるゆると起きあがる。
そしてあたりを見回した。じぶんを打ちすえた何かを探したのだ。
だが、殴った悪魔はどこにもいなかった。
おそるおそる空を見上げても、そこには丸い空があるだけだ。
「ゆゆ~~?」
不思議でならなかった。
しかしながら、判明した事実があった。
「……きょ……きょきょは ゆっきゅり できにゃいよ!」
ということで、赤ゆのれいむは脱出をはかった。
しかし、あいかわらず天井は高みにあるばかりで脱獄できなかった。
そうこうするうちに、ふたたび空に影がやどった。
「ゆ!?」
思わず、れいむは目を閉じた。
からんと冷たい音がする。
まぶたを開けると、白い木が戻されていた。
れいむは首をかしげるばかりだ。
だが、不思議がる観察眼が、赤ゆに知恵を吹きいれた。
「れいみゅ あたみゃ いい!」
今度ばかりは本物の知恵といえた。
この傾斜のついた木をつたって、外に出ればいいのだ。
ただ、いまのいままで気付かなかったことは、赤ゆであった。
「ゆっ」
れいむは跳びはねて、
「ゆんっ!」
白く細い木を口でくわえ、これにぶらさがった。
「ゆゆんっ」
口を支点にして体を回転させ、棒の上部に体を持ってきた。
鋭いながらも傾斜がついているから登ることができた。
体勢を保ちながら、少しずつ上昇する。
「ゆっ、ゆっ」
器用にも、口を操作しながら登ってゆく。
「ゆっ♪ ゆっ♪」
木のぼりの楽しさに似た軽快さがあった。
やがて、赤ゆのれいむの視線は、地下から地上に踊りでた。
あと一息で、地上に出られる。
れいむは自分の正しさを知り、愉快になった。
よし、地上に降りよう。
と、おもったときだった。
蒼天を切りさく白い影があった。
それは白い隕石だった。
隕石は放物線をえがいて、棒を登っていたれいむめがけて落下をし、
ぐしゃり。
と、れいむを直撃した。
脳漿が飛び出た。
眼球もずるりとこぼれた。
白い隕石は一個の命を刈り取ると、穴のなかに滑りこんだ。
れいむの亡骸があとにつづく。
遠くから、歓声が風に乗って流れてきた。
「おみごと! ホールインワン!」
れいむが忍びこんだ草むらとはゴルフ場のグリーン。
見つけた「お家」はカップ。
穴の底から生えていた細い樹はピン。
赤ゆを即死にいたらしめた白い隕石は、ゴルフボールだった。
(おわり)