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  • 魔術士オーフェン使い魔編-2一つ前との差分

「魔術士オーフェン使い魔編-2」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

魔術士オーフェン使い魔編-2 - (2007/07/25 (水) 23:29:10) の1つ前との変更点

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 目を覚ますと見知らぬ天井だった。  清潔なシーツ。部屋の中に充満する薬の臭い。  なんとなく学生の頃、よく世話になった牙の塔の保健室を連想させる。  少なくとも自分がねぐらにしていた安宿ではないことは間違いない。  なんとなく顔を横に向けてみると、自分にいきなりキスをしてきた非常識な少女の不機嫌そうな顔が飛び込んでくる。  つまり、あのできごとは夢ではない。  再び視線を天井に戻すと、オーフェンは絶望的な気分になって溜息をついた。 「……悪夢だ」 「どうして私の顔が悪夢なのよ!?」 「やっぱりある日突然召喚という名目で連れて来られて、使い魔になれ。帰る方法はないぞ、なんて言われたら悪夢としか言いようがないと思うんだが」 「だ、だからそのことについては悪かったって言ってるじゃない……。私だってまさか人間が来るだなんて思わなかったんだもの。」  あの後、ふて腐れて二度寝しようとしたオーフェンだったが、結局ルイズにシーツを剥ぎ取られ、ベットから引きずりおろされた。どうもオーフェンは夜まで気絶していたらしい。  そしてあの部屋から連れ出された後、彼女の部屋に連れてこられ、使い魔のことやこの国…というか、この世界のことについての説明を受けていると言うわけである。(ちなみにあの保健室みたいな部屋は本当に保健室だったらしい) 「でも信じられないわね。別の世界から来たなんて」 「そりゃ俺だって信じたかないさ。でもアレを見ちまうと……な」  言ってオーフェンは窓を見上げる。  正確には窓の外にある二つの月を。 「俺たちの世界には月なんて二つもない。ついでに太陽も一つだ」 「太陽だって私たちの世界でもひとつだけよ」 「それはよかった。ついでに聞くが船が空を飛んだり、馬車が海を走ってたりはしないだろうな?」 「馬車はともかく、船が空を飛ぶのは当たり前じゃない」 「当たり前なのか!?」  さすがにオーフェンは頭を抱えた。 「なんてこった。こりゃ本格的なファンタジーワールドだぞ。そのうちグリフォンとかトロルみたいな化け物まで出てきたりはしないだろうな」 「え?あんたの世界じゃいないの?グリフォンやトロル」 「いるほうがおかしいって気づけよ!そんな奇天烈な生物!!」  たまらずオーフェンは悲鳴を上げた。  もっともオーフェンの世界に存在するドラゴン種族のほうがある意味よほど奇天烈な存在ではあるのだが。  ガリガリと爪を噛みながら呟く。 「くそっ。こりゃマジにやばいぞ。せめて呼び出した奴がいつかの女魔道士みたいないろんな意味で有能で前向きな奴ってのならまだマシなんだが、どう見ても世間知らずの箱入りわがままお嬢様だし。この前の事といい、神様ってのはなんでこんな酷い仕打ちを俺をするんだ?俺はこんなにも一生懸命、清く正しく日々を生きているってのに!」 「その本人の目の前で平然と悪口を言える図太さがあれば、どんなことがあっても生きていけると思うんだけど」  なぜか半眼でこちらを睨みながらうめくようにルイズが言ってくる。 「馬鹿を言うな。ガラスのハートをもつ男だぞ俺は。ま、その辺はさておいて、もう一度聞くが、ほんとーに呼び出した使い魔を送り返す呪文ないのか?」 「ええ。ないわ」 「……普通召喚呪文なんてもんは送還呪文とセットで運用するべきだと思うが」 「そんなこと言われてもないものはないんだから仕方ないじゃない」 「じゃあ、聞くが。もし呼び出された使い魔候補が契約を嫌がったり、拒否したりしたらどうすんだよ」 「……」 「なぜそこで目をそらす」 「……知りたい?どぉぉぉしても知りたいってのなら教えてあげるけど」 「……もういい。その反応で概ね想像はできた。なら召喚呪文をもう一度俺に試すってのは?」 「それも無理。サモンサーヴァント…つまり召喚呪文は今いる使い魔が死なないと使えないの」 「実に隙のない布陣だな。聞けば聞くほど使い魔と言う単語と、奴隷と言う単語が同じ意味に思えてきた」  腕を組んで呟く。  とりあえずこの世界のことを知れば知るほど絶望的な状況だと言う事がわかってくる。錯乱してもおかしくない状況ではあるが、こうして正気を保ってられるのも彼女という話し相手がいるのと、忘れていたはずの勝手に異界に連れて行かれた挙句、妙な連中と妙な騒動に巻き込まれたあのいろんな意味で忌まわしい記憶のおかげだろう。 あの記憶のおかげで異世界という概念をあっさり信じることもできるし、パニックに陥らずに済んだわけでもある。 (何事も経験ということだな。こんな経験役になんて立てたくなかったけど。実はここはぽいものが作った新しい世界で、嘘ぴょーんとか言いながらあいつがでてくるってことはないだろうな)  そもそもなんであの記憶が蘇ったのかは不明だがどうせ意味など考えても仕方あるまい。ぽいもののすることだし。  大方元の世界にいるときだけ記憶を忘れる、みたいなアバウトな条件で記憶を封印したのだろう。  考え込んで黙りこんでしまったオーフェンの態度にイラついてきたのだろう。ルイズが桃色の髪を振り回しながら叫ぶ。 「とにかく!あんたの左手に使い魔のルーンが刻まれてる限り、あんたは私の使い魔なの!こればっかりは私にだってどうにもできないんだから!……あの禿はもう一回召喚させてって言ってもさせてくれなかったし」  オーフェンは溜息をついた。どうやら覚悟を決めなければならないらしい。 「最後にもう一度おさらいさせてくれ。ここは魔法使いと呼ばれる連中が権力を持つトリステインという国で、この建物は貴族用の魔法学校であるトリステイン魔法学園。んでお前はそこの生徒。で、進級の試験だかなんだがで使い魔とやらを召喚しようとして、俺を呼び出してしまったと」  改めてこうして口に出すとあんまりといえばあんまりな状況である。彼女は魔法使い(魔術士ではないらしい)の見習いのようなもので、使い魔召喚の呪文は本来なら犬猫等の小動物か、大きくても大型の獣や幻獣辺りを呼び出すのを目的とした呪文らしい。  学生の進級のテストで異世界から呼び出された自分がかなり情けなく思えてくる。それに加え、本来犬猫だかを呼び出す呪文で呼び出された自分は犬猫と同レベルと言外に言われてるような物である。 「そーゆーこと。まったくこんな平民がでてくるなんて冗談じゃないわよ。ドラゴン!とまではいかなくても、せめて犬とか猫とかだったらまだかわいげがあったのに」  訂正。犬猫以下だった。 「ま、この世界のことは大体わかった。俺一人じゃどうしようもないこともな。だからしばらくはお前の使い魔になってやるよ。……そのかわり二つ条件がある」  指を二本立てながら続ける。 「……何よ?」 「ひとつは俺が元の世界に戻る為に協力すること。これだけは外すことのできない絶対条件だ」 「……まあいいわよ、それぐらい。私としてもさっさとあんたを帰して新しい使い魔召喚したいしね」  オーフェンは頷いた。これでなんとか条件の一つはクリアした。 「二つ目。俺を人間として扱うこと」  これはあんまり期待してなかったが。 「よくわかんないけど、平民扱いぐらいならしてあげるわ」 「ありがたいことで」  もっともこの世界で貴族が平民に対する扱いなんてものはあまり期待できそうにないが。 「じゃ、決まりだな。これからよろしく頼むぜ、御主人様」 「これからよろしくお願いします御主人様、でしょ?まったく平民は口の利き方がなってないわね」  得意げに胸を張りながら言ってくる。  ―――このガキ、イエスと言った途端、態度がでかくなりやがったな。  実際には態度がでかくなったのではなく、彼女は彼女なりに明らかに堅気の格好ではない、というかいかにもチンピラです、といったオーフェンの風貌に少し怯えていたのだ。少し話して、彼が見た目ほど凶悪そうな人間ではないということに加え、オーフェンが使い魔になると言ったことでようやく安心し、いつもの調子が出てきたのである。 「じゃあこれから使い魔のなんたるかを説明するからよく聞きなさい。使い魔ってのはね、主人の耳となり、目となることができるのよ。つまり感覚を共有することができるわけ」 (まるでディープドラゴンの『使い魔』だな)  元の世界にいた凶悪極まりないドラゴン種族を思い出す。ちなみにあちらは魔術すら共有することができたらしいが。 「で、お前さん、俺の感覚を共有できるのか?」  聞いてみたが、彼女はあからさまに不機嫌な顔をして、 「駄目ね。やってみたけど全然できない。やっぱり平民じゃあ無理なのかしら」 「自分に問題があるとは思わないのか?」  皮肉をぶつけてみるが、あっさり彼女はそれを無視した。 「次、使い魔は主人の望む物を取ってくるの。例えば秘薬の材料なんかね」 「秘薬?」 「硫黄とか、コケとかよ!あんたの世界にはそういうのないの?」 「あるこたあるが、そんな怪しげな薬の材料にはしないな。」  ついでに元の世界のコケや硫黄が、この世界のコケや硫黄とまったく同じものだという保証はない。  ルイズは諦め混じりの吐息を吐き出すと、 「もういいわ。じゃあ次!これが使い魔の一番大事な役目なんだけど、主人を守ること!その能力で敵から主人を守るのが一番の役目!……なんだけど、無理よね。喧嘩とかはそこそこ強そうだけど、あんたチンピラだし」  オーフェンは苦笑すると、 「チンピラなのは否定はしないが……。腕っ節にはそれなりに自信はあるぞ。これでも一応戦闘訓練を受けた魔術士だからな」 「マジュツシ?なにそれ?あんた平民じゃないの?」 「そういえば言ってなかったな。俺たちの世界には魔術士って言う魔術を使う人間が存在するんだ。まあこっちで言うメイジみたいなもんだと思ってくれて構わない。もっともこっちの世界のメイジみたいに無茶苦茶な権力を持ってたりするわけじゃない。貴族だった魔術士もいないわけじゃなかったが、どちらかと言うと迫害されてたぐらいだ。ま、昔の話で、今はそんなことはあまりないがね」  そういえば彼女には自分のいた世界のことを説明するのを忘れていた。まあこちらが聞いてばかりだったのと、彼女が異世界からやってきたという説明に半信半疑だったせいもあるのだが。 「へえ~。あんた達の世界にもちゃんと魔法はあるのね」  感心したように彼女が言う。大雑把な説明のため、彼女の頭の中では魔法と魔術がイコールで結ばれてしまったようだが、オーフェンの世界において魔法と魔術はまったく別の物である。だが彼女にこの辺りの説明を一からしても、あまり意味はないだろう。専門的な話になってくるし、誤解したままでもさほど問題があるわけでもない。元の世界においても魔術のことをよく知らない一般人は魔術を魔法と呼んでいることもあるぐらいだ。 「でも変な世界ね。魔法使いが貴族じゃないなんて」 「そんなに変な話か?呪文一つで大爆発を起こせるような連中に一般人が怯えるのも無理ないし、数が少なきゃ排斥しようって動きになるってのも、仕方がないといえば仕方がないと思うんだがね」  実際にはさらに当時、人間種族を支配していた天人種族の思惑や、魔術士滅すべしとの触れを出したキムラック教会との確執もあるのだが、そこまで説明する必要はあるまい。 「でも、魔法が使えなきゃまともな生活もできないじゃないの。魔法使いを追い出した後、そいつらはどうやって生活するつもりだったのかしらね」 「……は?」  意味がわからずオーフェンは聞き返した。 「だから魔法がないとすごく不便じゃないってこと。あんたたちの世界でも土の魔法で城とか建てたり、火の魔法で金属を鍛えたり、風の魔法で船を走らせたり、水の魔法で病気や怪我を治してるんでしょ?」 「……そんな便利なことができるのか?お前らの魔法ってのは」  さすがに驚いて聞き返す。と、同時に納得もしてきた。この世界でメイジとやらが貴族と呼ばれ、権力を一手に握るのはこの世界のライフラインを掌握しているからなのだ。  オーフェンの世界でも魔術は救急や、破壊された建物の補修等、日常生活に密着しているが、この世界ほどではない。元々効果時間の短い音声魔術はどちらかといえば戦闘向きなのだ。 「当たり前じゃない。もしかして……あんたたちの世界の魔法ってレベル低い?」 「……そうなのかなぁ。」  ちょっと自信を無くしかけ、俯きながらオーフェンは答えた。 そういえばあの異世界の少女魔道士も尋常ではない威力の呪文を操っていた。あれほどの呪文など彼の世界では人間の魔術士に扱える物ではない。ドラゴン種族でもない限り、あんな威力を叩き出す事など不可能である。 「なんだか自信なくなってきたな」  自分達とはまったく異なり、それでいて便利そうな魔術――いや、魔法か――を知らされてオーフェンは少し落ち込みながらうめく。まあ戦闘に限れば構成を編み、叫ぶだけで発動可能な音声魔術もそう捨てた物ではないはずなのだが。  そんなオーフェンをなぜかルイズは得意げな、というよりは嬉しそうな表情で見つめている。最初に魔術と魔術士の事を教えたときはどこか不安げな表情だったのだが。 「まあ、大体あんたのことはわかったわ。戦闘訓練を受けたメイジ――じゃなくて魔術士だっけ。ともかく、こっちの世界でいう所の傭兵でもやってる没落貴族ぐらいの強さは持ってるってことね。これなら思ってたより悪くはないわね」 「なんでそこで没落貴族が例えにでてくるんだ」 「だってアンタいかにも落ちこぼれって感じがするんだもん」 「……」  オーフェンは不機嫌そうな表情で黙った。  自分が出会う女はどうして遠慮と言う単語を知らない奴ばかりなんだろうか。  抗議をこめた視線を送るが、当の本人はそ知らぬ様子でひとつ間の抜けた欠伸を上げると、 「色々話してもう疲れちゃった。もう今日は寝るわ。お休み」  言うが早いが服を抜き散らかし、下着姿になるとベットに潜り込む。 「おい、俺はどこで寝ればいいんだ?」 「そこに寝床を作っておいてあげたわよ」  彼女の指した方向を見ると床の上にぞんざいに藁の束が積まれてあった。 「……俺は人間らしい扱いをしてくれと要求したはずだが」 「そんなこと言われてもベットは一つしかないんだから仕方ないじゃない。ホントは床で寝かせようと思ったけど、かわいそうだからわざわざ使用人に頼んで持って来てもらったのよ?そもそも本当だったら平民は貴族と一緒に部屋で寝る事すら許されないんだから、これでも大サービスなの。」 「ありがたくて涙が出てきそうだな」 「はい、これ毛布。あ、ついでにこれもお願いね。朝になったら洗濯しといて」  言葉と一緒に毛布やら下着やらが飛んでくる。 「なんで俺が洗濯までしなくちゃならないんだ?」  呆れて聞くと、 「使い魔なんだからそれぐらい当然じゃない。掃除、洗濯とかの雑用は全部使い魔の仕事よ」 「この世界じゃ犬や猫やドラゴンやらが掃除や洗濯をしてくれるのか?」 「もう!揚げ足ばかり取らないで!とにかくちゃんと仕事しないと御飯抜きなんだからね!」 「へいへい、判りましたよ御主人様」  正直碌に食事を取ってないオーフェンにとって飯抜きはきつい。彼は溜息を吐き出しながら返事をした。 毛布を抱えて、ルイズが寝床と主張する藁山に向かっていく。その途中でなんとなく頭に浮かんだ疑問をルイズにぶつけてみる。 「ルイズ」 「なによ」 「人権って言葉聞いた事あるか?」 「なにそれ?」  即答である。  何か大事な物を一つ諦める気持ちで、オーフェンは再び溜息をついた。 「いや、知らないなら知らないでいい。たぶん俺には一生縁のない言葉のような気がするし」 「そうなの?……じゃ、おやすみ」 「ああ、おやすみ」  それっきり会話は途絶える。  しばらくしてからベットの方から規則正しい寝息が聞こえてきた。本当に疲れていたらしい。  逆にオーフェンはというとさっきまで寝ていたというか、気絶していたこともあってあまり眠気はない。空腹ではあるが。 (やれやれ、またよくわからん厄介ごとに巻き込まれちまったな)  藁山のベットの上に寝転がり、二つの月を見ながら考えにふける。  厄介事に巻き込まれるのはいつものことだが、それにしても今回のこれは厄介事というレベルではないような気がする。  唯一の救いは自分が根無し草の風来坊だったことぐらいか。いきなり消えたところで悲しむような人間は自分にはいない。  あの姉妹は少しは驚くかもしれないが、まあその程度といえばその程度だろう。宿屋の主人とその息子は、宿代を踏み倒されたと怒るかもしれない。だがどの道払う気はなかったので特に問題はない。キースに至っては、こちらの世界まで追いかけてきそうだ。そして例の地人兄弟は―――間違いなく狂喜するだろう。それを思うと腹がたってくる。何が何でも元の世界に戻らなければならない理由が一つ増えた。  そして戻らなければならない理由はそれだけでない。 (そうだ。アザリー。俺は君を必ず見つけ出す)  塔を出る原因になった姉のことを思い出す。彼女の事を思い出すのは本当に、久しぶりだった。あの変態達と戯れていた日々が、知らず知らずのうちに彼女のことを頭の隅に追いやっていたらしい。 (そのためにも絶対に元の世界に帰らなくちゃな。使い魔として生活しつつ、元の世界に帰る方法も探す。ハードだがやるしかない)  幸いここは魔法学院だ。この世界の魔法の資料がたっぷりあるはずだ。そう分の悪い勝負ではないだろう。  そんな事を考えているうちに段々と眠くなってきた。やはり疲れていたらしい。 (もう寝るか……。やれやれ、明日になったらキースがでてきて、これは嘘同盟による嘘劇場でした、みたいな展開にでもなってくれれば一番いいんだけどな)  そんなことあるはずがないのはわかっているのだが。何しろ一番でてきて欲しい時にあの執事が出てきた試しはないのだから。  ふと、左手のルーンを見る。  彼女の説明ではこれは使い魔のルーンだという。この使い魔は主人のモノであるという証。激痛が走ったのは何故かと聞いたら、そういうものだと突っぱねられた。  彼がそれを聞いて一番最初に思い浮かべたのは、奴隷の焼印だった。一度押したらもう逃げられない。 (まったくあっちの世界でもこっちの世界でも……、俺は女に呪われてんのかね)  そんなどうでもいいことを思いながらオーフェンは睡魔に身を委ねていった。
 目を覚ますと見知らぬ天井だった。  清潔なシーツ。部屋の中に充満する薬の臭い。  なんとなく学生の頃、よく世話になった牙の塔の保健室を連想させる。  少なくとも自分がねぐらにしていた安宿ではないことは間違いない。  なんとなく顔を横に向けてみると、自分にいきなりキスをしてきた非常識な少女の不機嫌そうな顔が飛び込んでくる。  つまり、あのできごとは夢ではない。  再び視線を天井に戻すと、オーフェンは絶望的な気分になって溜息をついた。 「……悪夢だ」 「どうして私の顔が悪夢なのよ!?」 「やっぱりある日突然召喚という名目で連れて来られて、使い魔になれ。帰る方法はないぞ、なんて言われたら悪夢としか言いようがないと思うんだが」 「だ、だからそのことについては悪かったって言ってるじゃない……。私だってまさか人間が来るだなんて思わなかったんだもの。」  あの後、ふて腐れて二度寝しようとしたオーフェンだったが、結局ルイズにシーツを剥ぎ取られ、ベットから引きずりおろされた。どうもオーフェンは夜まで気絶していたらしい。  そしてあの部屋から連れ出された後、彼女の部屋に連れてこられ、使い魔のことやこの国…というか、この世界のことについての説明を受けていると言うわけである。(ちなみにあの保健室みたいな部屋は本当に保健室だったらしい) 「でも信じられないわね。別の世界から来たなんて」 「そりゃ俺だって信じたかないさ。でもアレを見ちまうと……な」  言ってオーフェンは窓を見上げる。  正確には窓の外にある二つの月を。 「俺たちの世界には月なんて二つもない。ついでに太陽も一つだ」 「太陽だって私たちの世界でもひとつだけよ」 「それはよかった。ついでに聞くが船が空を飛んだり、馬車が海を走ってたりはしないだろうな?」 「馬車はともかく、船が空を飛ぶのは当たり前じゃない」 「当たり前なのか!?」  さすがにオーフェンは頭を抱えた。 「なんてこった。こりゃ本格的なファンタジーワールドだぞ。そのうちグリフォンとかトロルみたいな化け物まで出てきたりはしないだろうな」 「え?あんたの世界じゃいないの?グリフォンやトロル」 「いるほうがおかしいって気づけよ!そんな奇天烈な生物!!」  たまらずオーフェンは悲鳴を上げた。  もっともオーフェンの世界に存在するドラゴン種族のほうがある意味よほど奇天烈な存在ではあるのだが。  ガリガリと爪を噛みながら呟く。 「くそっ。こりゃマジにやばいぞ。せめて呼び出した奴がいつかの女魔道士みたいないろんな意味で有能で前向きな奴ってのならまだマシなんだが、どう見ても世間知らずの箱入りわがままお嬢様だし。この前の事といい、神様ってのはなんでこんな酷い仕打ちを俺をするんだ?俺はこんなにも一生懸命、清く正しく日々を生きているってのに!」 「その本人の目の前で平然と悪口を言える図太さがあれば、どんなことがあっても生きていけると思うんだけど」  なぜか半眼でこちらを睨みながらうめくようにルイズが言ってくる。 「馬鹿を言うな。ガラスのハートをもつ男だぞ俺は。ま、その辺はさておいて、もう一度聞くが、ほんとーに呼び出した使い魔を送り返す呪文ないのか?」 「ええ。ないわ」 「……普通召喚呪文なんてもんは送還呪文とセットで運用するべきだと思うが」 「そんなこと言われてもないものはないんだから仕方ないじゃない」 「じゃあ、聞くが。もし呼び出された使い魔候補が契約を嫌がったり、拒否したりしたらどうすんだよ」 「……」 「なぜそこで目をそらす」 「……知りたい?どぉぉぉしても知りたいってのなら教えてあげるけど」 「……もういい。その反応で概ね想像はできた。なら召喚呪文をもう一度俺に試すってのは?」 「それも無理。サモンサーヴァント…つまり召喚呪文は今いる使い魔が死なないと使えないの」 「実に隙のない布陣だな。聞けば聞くほど使い魔と言う単語と、奴隷と言う単語が同じ意味に思えてきた」  腕を組んで呟く。  とりあえずこの世界のことを知れば知るほど絶望的な状況だと言う事がわかってくる。錯乱してもおかしくない状況ではあるが、こうして正気を保ってられるのも彼女という話し相手がいるのと、忘れていたはずの勝手に異界に連れて行かれた挙句、妙な連中と妙な騒動に巻き込まれたあのいろんな意味で忌まわしい記憶のおかげだろう。 あの記憶のおかげで異世界という概念をあっさり信じることもできるし、パニックに陥らずに済んだわけでもある。 (何事も経験ということだな。こんな経験役になんて立てたくなかったけど。実はここはぽいものが作った新しい世界で、嘘ぴょーんとか言いながらあいつがでてくるってことはないだろうな)  そもそもなんであの記憶が蘇ったのかは不明だがどうせ意味など考えても仕方あるまい。ぽいもののすることだし。  大方元の世界にいるときだけ記憶を忘れる、みたいなアバウトな条件で記憶を封印したのだろう。  考え込んで黙りこんでしまったオーフェンの態度にイラついてきたのだろう。ルイズが桃色の髪を振り回しながら叫ぶ。 「とにかく!あんたの左手に使い魔のルーンが刻まれてる限り、あんたは私の使い魔なの!こればっかりは私にだってどうにもできないんだから!……あの禿はもう一回召喚させてって言ってもさせてくれなかったし」  オーフェンは溜息をついた。どうやら覚悟を決めなければならないらしい。 「最後にもう一度おさらいさせてくれ。ここは魔法使いと呼ばれる連中が権力を持つトリステインという国で、この建物は貴族用の魔法学校であるトリステイン魔法学園。んでお前はそこの生徒。で、進級の試験だかなんだがで使い魔とやらを召喚しようとして、俺を呼び出してしまったと」  改めてこうして口に出すとあんまりといえばあんまりな状況である。彼女は魔法使い(魔術士ではないらしい)の見習いのようなもので、使い魔召喚の呪文は本来なら犬猫等の小動物か、大きくても大型の獣や幻獣辺りを呼び出すのを目的とした呪文らしい。  学生の進級のテストで異世界から呼び出された自分がかなり情けなく思えてくる。それに加え、本来犬猫だかを呼び出す呪文で呼び出された自分は犬猫と同レベルと言外に言われてるような物である。 「そーゆーこと。まったくこんな平民がでてくるなんて冗談じゃないわよ。ドラゴン!とまではいかなくても、せめて犬とか猫とかだったらまだかわいげがあったのに」  訂正。犬猫以下だった。 「ま、この世界のことは大体わかった。俺一人じゃどうしようもないこともな。だからしばらくは[[お前の使い魔]]になってやるよ。……そのかわり二つ条件がある」  指を二本立てながら続ける。 「……何よ?」 「ひとつは俺が元の世界に戻る為に協力すること。これだけは外すことのできない絶対条件だ」 「……まあいいわよ、それぐらい。私としてもさっさとあんたを帰して新しい使い魔召喚したいしね」  オーフェンは頷いた。これでなんとか条件の一つはクリアした。 「二つ目。俺を人間として扱うこと」  これはあんまり期待してなかったが。 「よくわかんないけど、平民扱いぐらいならしてあげるわ」 「ありがたいことで」  もっともこの世界で貴族が平民に対する扱いなんてものはあまり期待できそうにないが。 「じゃ、決まりだな。これからよろしく頼むぜ、御主人様」 「これからよろしくお願いします御主人様、でしょ?まったく平民は口の利き方がなってないわね」  得意げに胸を張りながら言ってくる。  ―――このガキ、イエスと言った途端、態度がでかくなりやがったな。  実際には態度がでかくなったのではなく、彼女は彼女なりに明らかに堅気の格好ではない、というかいかにもチンピラです、といったオーフェンの風貌に少し怯えていたのだ。少し話して、彼が見た目ほど凶悪そうな人間ではないということに加え、オーフェンが使い魔になると言ったことでようやく安心し、いつもの調子が出てきたのである。 「じゃあこれから使い魔のなんたるかを説明するからよく聞きなさい。使い魔ってのはね、主人の耳となり、目となることができるのよ。つまり感覚を共有することができるわけ」 (まるでディープドラゴンの『使い魔』だな)  元の世界にいた凶悪極まりないドラゴン種族を思い出す。ちなみにあちらは魔術すら共有することができたらしいが。 「で、お前さん、俺の感覚を共有できるのか?」  聞いてみたが、彼女はあからさまに不機嫌な顔をして、 「駄目ね。やってみたけど全然できない。やっぱり平民じゃあ無理なのかしら」 「自分に問題があるとは思わないのか?」  皮肉をぶつけてみるが、あっさり彼女はそれを無視した。 「次、使い魔は主人の望む物を取ってくるの。例えば秘薬の材料なんかね」 「秘薬?」 「硫黄とか、コケとかよ!あんたの世界にはそういうのないの?」 「あるこたあるが、そんな怪しげな薬の材料にはしないな。」  ついでに元の世界のコケや硫黄が、この世界のコケや硫黄とまったく同じものだという保証はない。  ルイズは諦め混じりの吐息を吐き出すと、 「もういいわ。じゃあ次!これが使い魔の一番大事な役目なんだけど、主人を守ること!その能力で敵から主人を守るのが一番の役目!……なんだけど、無理よね。喧嘩とかはそこそこ強そうだけど、あんたチンピラだし」  オーフェンは苦笑すると、 「チンピラなのは否定はしないが……。腕っ節にはそれなりに自信はあるぞ。これでも一応戦闘訓練を受けた魔術士だからな」 「マジュツシ?なにそれ?あんた平民じゃないの?」 「そういえば言ってなかったな。俺たちの世界には魔術士って言う魔術を使う人間が存在するんだ。まあこっちで言うメイジみたいなもんだと思ってくれて構わない。もっともこっちの世界のメイジみたいに無茶苦茶な権力を持ってたりするわけじゃない。貴族だった魔術士もいないわけじゃなかったが、どちらかと言うと迫害されてたぐらいだ。ま、昔の話で、今はそんなことはあまりないがね」  そういえば彼女には自分のいた世界のことを説明するのを忘れていた。まあこちらが聞いてばかりだったのと、彼女が異世界からやってきたという説明に半信半疑だったせいもあるのだが。 「へえ~。あんた達の世界にもちゃんと魔法はあるのね」  感心したように彼女が言う。大雑把な説明のため、彼女の頭の中では魔法と魔術がイコールで結ばれてしまったようだが、オーフェンの世界において魔法と魔術はまったく別の物である。だが彼女にこの辺りの説明を一からしても、あまり意味はないだろう。専門的な話になってくるし、誤解したままでもさほど問題があるわけでもない。元の世界においても魔術のことをよく知らない一般人は魔術を魔法と呼んでいることもあるぐらいだ。 「でも変な世界ね。魔法使いが貴族じゃないなんて」 「そんなに変な話か?呪文一つで大爆発を起こせるような連中に一般人が怯えるのも無理ないし、数が少なきゃ排斥しようって動きになるってのも、仕方がないといえば仕方がないと思うんだがね」  実際にはさらに当時、人間種族を支配していた天人種族の思惑や、魔術士滅すべしとの触れを出したキムラック教会との確執もあるのだが、そこまで説明する必要はあるまい。 「でも、魔法が使えなきゃまともな生活もできないじゃないの。魔法使いを追い出した後、そいつらはどうやって生活するつもりだったのかしらね」 「……は?」  意味がわからずオーフェンは聞き返した。 「だから魔法がないとすごく不便じゃないってこと。あんたたちの世界でも土の魔法で城とか建てたり、火の魔法で金属を鍛えたり、風の魔法で船を走らせたり、水の魔法で病気や怪我を治してるんでしょ?」 「……そんな便利なことができるのか?お前らの魔法ってのは」  さすがに驚いて聞き返す。と、同時に納得もしてきた。この世界でメイジとやらが貴族と呼ばれ、権力を一手に握るのはこの世界のライフラインを掌握しているからなのだ。  オーフェンの世界でも魔術は救急や、破壊された建物の補修等、日常生活に密着しているが、この世界ほどではない。元々効果時間の短い音声魔術はどちらかといえば戦闘向きなのだ。 「当たり前じゃない。もしかして……あんたたちの世界の魔法ってレベル低い?」 「……そうなのかなぁ。」  ちょっと自信を無くしかけ、俯きながらオーフェンは答えた。 そういえばあの異世界の少女魔道士も尋常ではない威力の呪文を操っていた。あれほどの呪文など彼の世界では人間の魔術士に扱える物ではない。ドラゴン種族でもない限り、あんな威力を叩き出す事など不可能である。 「なんだか自信なくなってきたな」  自分達とはまったく異なり、それでいて便利そうな魔術――いや、魔法か――を知らされてオーフェンは少し落ち込みながらうめく。まあ戦闘に限れば構成を編み、叫ぶだけで発動可能な音声魔術もそう捨てた物ではないはずなのだが。  そんなオーフェンをなぜかルイズは得意げな、というよりは嬉しそうな表情で見つめている。最初に魔術と魔術士の事を教えたときはどこか不安げな表情だったのだが。 「まあ、大体あんたのことはわかったわ。戦闘訓練を受けたメイジ――じゃなくて魔術士だっけ。ともかく、こっちの世界でいう所の傭兵でもやってる没落貴族ぐらいの強さは持ってるってことね。これなら思ってたより悪くはないわね」 「なんでそこで没落貴族が例えにでてくるんだ」 「だってアンタいかにも落ちこぼれって感じがするんだもん」 「……」  オーフェンは不機嫌そうな表情で黙った。  自分が出会う女はどうして遠慮と言う単語を知らない奴ばかりなんだろうか。  抗議をこめた視線を送るが、当の本人はそ知らぬ様子でひとつ間の抜けた欠伸を上げると、 「色々話してもう疲れちゃった。もう今日は寝るわ。お休み」  言うが早いが服を抜き散らかし、下着姿になるとベットに潜り込む。 「おい、俺はどこで寝ればいいんだ?」 「そこに寝床を作っておいてあげたわよ」  彼女の指した方向を見ると床の上にぞんざいに藁の束が積まれてあった。 「……俺は人間らしい扱いをしてくれと要求したはずだが」 「そんなこと言われてもベットは一つしかないんだから仕方ないじゃない。ホントは床で寝かせようと思ったけど、かわいそうだからわざわざ使用人に頼んで持って来てもらったのよ?そもそも本当だったら平民は貴族と一緒に部屋で寝る事すら許されないんだから、これでも大サービスなの。」 「ありがたくて涙が出てきそうだな」 「はい、これ毛布。あ、ついでにこれもお願いね。朝になったら洗濯しといて」  言葉と一緒に毛布やら下着やらが飛んでくる。 「なんで俺が洗濯までしなくちゃならないんだ?」  呆れて聞くと、 「使い魔なんだからそれぐらい当然じゃない。掃除、洗濯とかの雑用は全部使い魔の仕事よ」 「この世界じゃ犬や猫やドラゴンやらが掃除や洗濯をしてくれるのか?」 「もう!揚げ足ばかり取らないで!とにかくちゃんと仕事しないと御飯抜きなんだからね!」 「へいへい、判りましたよ御主人様」  正直碌に食事を取ってないオーフェンにとって飯抜きはきつい。彼は溜息を吐き出しながら返事をした。 毛布を抱えて、ルイズが寝床と主張する藁山に向かっていく。その途中でなんとなく頭に浮かんだ疑問をルイズにぶつけてみる。 「ルイズ」 「なによ」 「人権って言葉聞いた事あるか?」 「なにそれ?」  即答である。  何か大事な物を一つ諦める気持ちで、オーフェンは再び溜息をついた。 「いや、知らないなら知らないでいい。たぶん俺には一生縁のない言葉のような気がするし」 「そうなの?……じゃ、おやすみ」 「ああ、おやすみ」  それっきり会話は途絶える。  しばらくしてからベットの方から規則正しい寝息が聞こえてきた。本当に疲れていたらしい。  逆にオーフェンはというとさっきまで寝ていたというか、気絶していたこともあってあまり眠気はない。空腹ではあるが。 (やれやれ、またよくわからん厄介ごとに巻き込まれちまったな)  藁山のベットの上に寝転がり、二つの月を見ながら考えにふける。  厄介事に巻き込まれるのはいつものことだが、それにしても今回のこれは厄介事というレベルではないような気がする。  唯一の救いは自分が根無し草の風来坊だったことぐらいか。いきなり消えたところで悲しむような人間は自分にはいない。  あの姉妹は少しは驚くかもしれないが、まあその程度といえばその程度だろう。宿屋の主人とその息子は、宿代を踏み倒されたと怒るかもしれない。だがどの道払う気はなかったので特に問題はない。キースに至っては、こちらの世界まで追いかけてきそうだ。そして例の地人兄弟は―――間違いなく狂喜するだろう。それを思うと腹がたってくる。何が何でも元の世界に戻らなければならない理由が一つ増えた。  そして戻らなければならない理由はそれだけでない。 (そうだ。アザリー。俺は君を必ず見つけ出す)  塔を出る原因になった姉のことを思い出す。彼女の事を思い出すのは本当に、久しぶりだった。あの変態達と戯れていた日々が、知らず知らずのうちに彼女のことを頭の隅に追いやっていたらしい。 (そのためにも絶対に元の世界に帰らなくちゃな。使い魔として生活しつつ、元の世界に帰る方法も探す。ハードだがやるしかない)  幸いここは魔法学院だ。この世界の魔法の資料がたっぷりあるはずだ。そう分の悪い勝負ではないだろう。  そんな事を考えているうちに段々と眠くなってきた。やはり疲れていたらしい。 (もう寝るか……。やれやれ、明日になったらキースがでてきて、これは嘘同盟による嘘劇場でした、みたいな展開にでもなってくれれば一番いいんだけどな)  そんなことあるはずがないのはわかっているのだが。何しろ一番でてきて欲しい時にあの執事が出てきた試しはないのだから。  ふと、左手のルーンを見る。  彼女の説明ではこれは使い魔のルーンだという。この使い魔は主人のモノであるという証。激痛が走ったのは何故かと聞いたら、そういうものだと突っぱねられた。  彼がそれを聞いて一番最初に思い浮かべたのは、奴隷の焼印だった。一度押したらもう逃げられない。 (まったくあっちの世界でもこっちの世界でも……、俺は女に呪われてんのかね)  そんなどうでもいいことを思いながらオーフェンは睡魔に身を委ねていった。

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