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シャア専用ヅダ

登録日:2025/07/02 Wed 09:25:19
更新日:2026/08/09 Sun 06:29:21
所要時間:約 4 分で読めます





シャア専用ヅダとは、『機動戦士ガンダム』に登場したかもしれない人型機動兵器である。


【概要】

その名の通りシャア・アズナブルの専用機となったモビルスーツ(MS)・ヅダである。

ヅダの詳細については当該項目を参照して欲しいが、特徴をまとめると以下の通り。

  • ザクⅠとジオン公国主力MSの座を争った機体。
  • スピードは抜群!他の性能もザクに引けを取らない。
  • だけどエンジン推力を一定以上まで上げると暴走してしまい際限なく機体が加速し続ける。
    • 無論そうなった場合は激しいGが掛かりパイロットも気絶ないし死亡、結果制御不能となり加速の果てに機体の耐久限界をも超え、行き着く先は空中分解。
  • 挙げ句この欠陥は、熱心なスタッフが心血を注いでも解決しなかった。(あるいは会社側が別の機体を作った方がいいと判断した。)
  • コストもザクより高い。

......このように問題だらけの機体であり、要するに乗れば死ぬカンオケと言うべき(ある意味)恐るべきMSである。
多数の兵士が扱う兵器としてこの信頼性の低さは致命的なため、主力量産機にはザクが採用される事となった…という経緯が、ヅダ初登場の『MS IGLOO』で語られている。

生産済みの試作機についても、最終的には上記の問題点を身をもって理解させられた技術試験隊の護衛に回され、そこでも割と繊細な扱いをされつつ運用された。
(高速戦闘しないように艦艇の護衛に終始したり、戦闘するにしてもエンジン出力を外部から常時モニターして貰うなど)。
オデッサから宇宙に脱出したジオン将兵の救援やその後の同隊での評価試験の支援、
そしてア・バオア・クーでの最終決戦等ではそうした細心の注意の甲斐あってか確かな活躍を見せたものの、根本的な欠陥は最後まで未解決だった。
外伝作品にもいくつか登場しているが「無理にリミッターを付けるくらいならザクⅡでいい」とか「暴走を抑えるための改修をするにしても別のMS作ったほうが手っ取り早い」とか語られたり「そもそもヅダの発展型のエンジン積んで完成したのがリック・ドムやろがい」とファンからツッコまれるなど、作中・メタ問わず信頼性への懸念が語られてきた。

そんなピーキーな機体に、高速戦闘のエキスパートであるシャアが乗ったらどうなるか。そんなことを考えたガンダムファンは多いが、大抵は「空中分解」「調子に乗って自滅」「物理的に赤い彗星になるといった結論に行き着くのであった。
谷和也の手掛けた『機動戦士ガンダムハイブリッド4コマ大戦線』でもオリヴァー・マイ*1がシャア専用のヅダを提案するが「推進力はヅダの3倍、土星エンジンの耐久性の低さも3倍、加速しようものなら即分解です」と提案したマイ本人が言って却下される*2ネタがあった。

こうしてシャア専用ヅダはガンダムファンのもしくは熱心なツィマッド社員の与太話のネタとして片付けられていった。
せいぜい、ガンプラやMSのペイント機能のあるゲームで「シャア専用」と称してヅダを赤く塗る遊びをしたファンが、SNSで偶に話題になるか上記のツッコミが入れられるぐらいだった......











…はずだった。



【まさかの実現】


以下、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の重大なネタバレがあります。


『GQ』の最終回「だから僕は…」では、同作の世界観の根幹を成す設定が開示された。
なんと、主人公・マチュ達の存在する世界は、ララァ・スンが「シャアが白いガンダムに殺されない世界」を願い、αサイコミュと自身の能力を使って作り出したものだったのである。

さらに、ララァは本編の世界(要するに「シャア本人が白いMSに乗る」世界)を生み出す前も数えきれないほどの世界を生み出し、シャアを生存させようと試みてきたことも明かされた。そして世界を生み出すごとに、シャアに様々なMSやMAを与えてきたことも明かされたのである。

上記の説明にあたり、画面には様々な世界の「シャア専用機」が並んだ。グフガルバルディビグロビグザム流石にアッガイとかゾゴジュアッジュはいなかった。また、シャア専用では割とメジャーな部類でしかも白い悪魔に殺されずに済んだ描写がされたリック・ドムは、「肝心のシャアが自分の死を乗り越えアッサリ他の女とくっついた」というララァにとって一番屈辱的な理由で没となった模様
中には思いっきり技術を加速させたのか、サザビーと思わしきMSもあった。*3
全てが角付きかつシャアのパーソナルカラーである赤い塗装に覆われ、少なくとも映像作品では見たことのないMSばかりだが、これらをもってしてもシャアは必ず白いガンダムに殺されてしまったらしい。

そんなシャア専用機たちの中にそいつはいた。
シャア専用ヅダが。

『GQ』はこの回までは富野由悠季監督が手掛けていないガンダム作品の要素は匂わせる程度*4であり、少なくともMSは数ある一年戦争前後の外伝のものは全く登場していない状況であった。
そんな中突如ガッツリ登場したヅダ。
そのMSの正体を知っている視聴者の情緒が全て持っていかれたのは間違いないだろう。
無論あちらこちらでデュバル少佐の亡霊が出現した。それにしても元々がちょっぴりマイナーなOVAなのになんでみんな知ってるんだろうね不思議。
更に言うなら「ヅダに乗せたけど失敗した」と意訳ながら明言されているので、ほとんどのファンは思っただろう。
「あ、これ空中分解したわ」と。
シュウジ白いガンダムに殺されたって言ってるのに…」

また、ヅダを知らない視聴者も『IGLOO』を見たり調べたりして「確かにこりゃダメだ」「ガンダムファンが騒ぐ理由がわかった」「コイツゲームでなんか爆発するヤツか!」という感想に至ったとか。

このピーキーな性能のMSをララァが選んだ事はファンからは大体RTA中の気の迷いのような扱いがされており、
「再走のしすぎで疲れた」「遊びを入れた」「うまくいかないのでダメ元で試してみた」「本気でいけると感じ採用したが空中分解して結果あの顔芸」「ヅダが出てきたのでこのアニメはギャグです」「シャアが勝手にヅダを選んでしまいララァは絶望した」等の散々な意見が続出した。

もちろん、空中分解した云々は視聴者の想像であり、もしかしたらこの世界のヅダは暴走の危険性を無くした完全究極体パーフェクトヅダである可能性も否定できない。ヅダらしさをなくしたそれをヅダと呼べるのかは別として
あるいは、そんなヅダがザクに代わって制式採用された世界かもしれない。正史でザク制式採用後改良を重ねザクⅡが誕生したことを考えれば、ヅダが制式採用された後「ヅダⅡ」や陸戦用ヅダ、ヅダキャノン、ヅダタンク、ヅダマリナー、ハイヅッダetc……が生み出されてもおかしくはない。
だがそうなったヅダでも勝てないほどの白いMSはどんな化け物だったのか…。制式採用された世界なら白いMSの開発参考元からして変わるので負けて当然かもしれないが
シュウジもララァも失敗した世界の内訳は語らず、シャア専用ヅダの世界は一つの風邪ひいた時に見る夢として砕け散り、露と消えたのであった。




【余談】

  • ヅダにはザクIとのコンペに提出されたEMS-04と、『IGLOO』本編でプロパガンダに使用されたEMS-10の2つが存在するが、このシャア専用ヅダはその2つを掛け合わせたような独自のデザインをしている。*5
    • 具体的には頭部や肩部、シールド等はEMS-10に、それ以外の部位は概ねEMS-04に近い。
      またザクマシンガンのデザインは『GQ』のリスペクト元たる『1st』ではなく、『IGLOO』準拠。(ドラムマガジンのディテールを見ると分かりやすい)。
    • 現状(一般流通品では)ガンプラとしてキット化されているのはEMS-10のみのため、配色を変更しただけでは「シャアカラーのEMS-10」にしかならない。(『バトルオペレーション2』『ガンダムブレイカー4』等のペイント機能においても同じ事が言える。)
      『GQ』劇中のシャア専用ヅダを作るにはオプションパーツ追加や他の機種のパーツへの変更による整形手術改造作業が必要。
      『ガンブレ4』で再現する場合、(伸縮ジャッキ機能がない腕は)ヅダ以外の腕に変更、(ほぼEMS-04なデザインの)胴体はビルダーズパーツ等で整形すればかなり『GQ』版デザインに寄せられるだろう。



  • 『1st』本編ではそのあたりの描写は省かれていたこと、『Ζ』や『逆襲のシャア』では最初から彼が使うことを前提として調整を受けているMSの受領が叶うという幸運に恵まれたことから、シャアが機体に無理をさせる描写は実は存在しない。…と言いたいが、『ORIGIN』のアニメ版にて、「各種のアラートが鳴り響く中、敵艦目指して全速力でザクをぶっ飛ばすシャア」という描写が登場。やっぱり本項でちょっと心配したように多少のアラートは気にせず全速力まで踏むタイプなのが判明しており、やはりシャアとヅダの相性は悪いのではないかとする意見も見られる。
    また漫画「ジョニー・ライデンの帰還」ではサイコフレーム発動でリミッターが解除されることを失念してフルパワーで動かしたことでシャア専用ディジェを大破させているやらかしも…

  • 上述の通り「ララァの悪ふざけ」で生まれた…と冗談で言われていたが、『GQ Beginning』再上映記念舞台挨拶によると「この機体は半分悪ふざけの悪いオタクが出てしまった」との事でガチのマジで本気じゃない扱いになっていた。
    この話自体は一瞬映った機体たちチョイス全体を指した話であるのだが、ヅダに関しては「ヅダとかもそうだけれど」とまで改めて名指しで言われており、なんというかこのMSの扱いがわかる一幕である。

  • スーパーロボット大戦シリーズで有名なプロデューサー寺田貴信はプラモデルでシャア専用ヅダを作っており、X(旧ツイッター)にて放送終了後にその画像を掲載「私には見えていたのか?(そんなことない)」とポストした。( 当該ツイート
    なお2025年7月現在スパロボシリーズに『IGLOO』は出ていない。

  • 上記に登場したシャアが乗る様々な機体だが、グフは朝日ソノラマ版テレビ絵本から、ガルバルディαは初期構想である『トミノメモ』が出典とされている。
    • また赤いガルバルディαは、実は既に立体化されている機体だったりする。20年ほど前に展開していた『ZEONOGRAPHY』というフィギュアシリーズにて、「シャア専用ゲルググ」がガルバルディαとのコンパチ仕様となっているのだ*6
    • ビグザムも1989年に発売されたゲームブック『SDガンダム ガシャポンウォーズ』で既に出ている。

  • ヅダ以外でマジで初出なのはビグロ。とはいえ、ビグ・ラング*7という先駆者は存在する。
    • ビグロも一撃離脱戦法でアムロを失神させ撃墜寸前まで追い込んだ強豪なのでシャアとの相性は良さそうだが、その性質上スピードと細やかな挙動とか正確な狙いなどを両立できないという明確な弱点もある。MS感覚で真っ向から近接白兵戦を仕掛けてしまったりしたのだろうか。
      正史でもララァに指摘されようがジオング搭乗まで頑なにノーマルスーツを着ようとしなかったことから、推力を強化した専用機にいつもの軍服で搭乗→発進時のGで失神しそのまま自滅したのでは、という冗談交じりながら妙に説得力のある考察もあったり

  • かくして、放送直後から話題になった赤いヅダであるが、出番は実の所たった数秒。数多の並行世界におけるシャア専用機群の1つとして登場→ガラスのように砕ける、というのが全てである。これだけでSNSの話題を掻っ攫うのだから、凄いのはシャアなのかヅダなのか、はたまたシリアスな笑いとして受け入れられる程にRTAネタが確立してしまったララァなのか。




追記・修正は、ヅダがゴーストファイターではない世界からお願いします。

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最終更新:2026年08月09日 06:29

*1 『MS IGLOO』の主人公である技術中尉。

*2 その後更に、大気圏突入時の落下速度が3倍=奇襲時間は1/3のシャア専用ゼーゴックだの、名前だけで即却下されたシャア専用オッゴだのも提案した

*3 いわゆる「山下いくと版サザビー」と呼ばれるもので、氏が「サイバーコミックス」9号に寄稿したピンナップイラストにてνガンダムと共に独自アレンジして描かれている機体。ただしデザインした当人は「あれか。サ◯ビーとはおっさん言ってませんからね」と発言しており、あくまで「赤いの」などと呼んでいる。少数ながら「横顔やプロポーションはハンマ・ハンマに似ている」という意見もある。

*4 例えば通貨単位の「ハイト」や、6~7話に登場した検問官の容姿はポケ戦から引用

*5 もしかするとこの機体は『ヅダがコンペで勝利した』世界線に置ける【ヅダⅡ】なのかもしれない

*6 このコンパチ仕様は元々、同シリーズの量産型ゲルググに備わっていたもの。シャア専用にリデコされた際にもそのまま引き継がれている。

*7 その機体の「深紅の塗装」と戦場の混乱から劇中の連邦軍は『シャア専用機』と勘違いした