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使い魔の達人-10a - (2009/08/21 (金) 23:17:10) の1つ前との変更点

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#navi(使い魔の達人)  森の中の開けた場所に、ポツンと建った炭焼き小屋。その近くにルイズとカズキ。 そして、少し離れた場所に、巨大な土ゴーレムが二人を見下ろすように立っていた。 「で、出た……!」  昨夜見たときよりも、よりくっきりとその姿が視界に飛び込んできた。身の丈は三十メイルほど。巨大な土人形だ。  どうやら周辺の土を使って作ったらしい。後方数メイルから、地面がごっそりと削られたようになっている。  すると、ゴーレムがのっそりと動き出した。腰を低く構えては、腕を振り上げる。 「きゃぁああああああ!!」  ルイズの悲鳴が響いた。次いで、ゴーレムはその腕を斜めに振り下ろす。拳の先は…! 「みんな、伏せろ!」  カズキが怒鳴った。ゴーレムの腕は、小屋の屋根を大きな音を発てて吹き飛ばしてしまった。 「……ゴーレム!」  キュルケの声が聞こえた。小屋の中から、見上げているのだろう。  すると、巨大な竜巻が小屋から舞い上がった。タバサが即座に魔法を唱えたのだ。  ごう、と音を立て、小屋の破片を舞い上げながら、ゴーレムにぶつかっていく。が、土ゴーレムはびくともしなかった。 「頑丈だな…!」  カズキが唸っていると、そのゴーレムに火球が見舞われた。キュルケだろう。昨夜見たものとは違う、大きな火の玉だ。  火炎がゴーレムを包んだが、やはりゴーレムは意に介した様子はない。やがて、ゆっくりとこちらに向けて歩き出す。 「無理よこんなの!」  おそらく、めいっぱい力を込めた一撃だったのだろうか。キュルケが早々に音をあげた。 「退却」  タバサが呟く。二人は小屋から飛び出し、一目散に逃げ出した。 「ルイズ、ここはいったん退こ…あれ?」  ルイズが居ない。さっきまで、小屋の近くに居たのに。  大急ぎで辺りを見回す。その間にゴーレムはこちらに…いた! 「ルイズ!」  カズキの視線の先、ゴーレムの背後に回って、杖をゴーレムに向けるルイズの姿があった。  使い魔の達人 第十話  掌握、決意、そして咆哮  ルイズがルーンを呟くと、ゴーレムに杖を振りかざす。巨大なゴーレムの表面で、どかんと辺りに良い音が響くが、ゴーレムはやはりびくともしなかった。  するとゴーレムは、ルイズに気づいたようだ。のっそりと後ろを振り向いた。 「逃げろ、ルイズ!」  カズキは怒鳴った。しかし、ルイズは唇を噛み締めた。 「いやよ!このゴーレムを倒して、フーケを捕まえれば……今度こそ、『ゼロ』の汚名は返上できるわ! あんたの力を借りずに、わたしの魔法で、それをするの!」  その目は、真剣だった。真剣すぎて、危うく思えるほどだ。  カズキは歯噛みした。やはりルイズは、そのつもりでこの捜索隊に志願したのだろう。  ゴーレムは、近くに立ったルイズをやっつけようか、逃げ出したキュルケたちを追おうか、迷っている様子だった。 「なに言ってんだ!こんな大きなゴーレム、ルイズの魔法はぜんぜん効いちゃいないじゃないか!」 「そんなの、一発じゃだめでも、何発も当てればきっと倒せるわ!やってみなくちゃ、わかんないじゃない!」 「その前に、ルイズがやられちまう!いいから逃げろ!!」  ルイズはぐっとカズキを睨み付けた。 「なによ、あんたもやっぱり、わたしを『ゼロ』だって思ってるんじゃない!」 「はぁ!?」 「わたしが何も出来ない『ゼロ』だから、あんたは逃げろって言うんでしょ!?」 「なんだそりゃ!?そんなことないから!逃げろって!」 「ほら、また言ったじゃない!『ゼロ』だって思ってなきゃ…そうじゃなきゃ……」  ルイズの表情が、切迫したものに変わる。  わたしが『ゼロ』だから。魔法のひとつも満足に使えない、役立たずの『ゼロ』だから。この使い魔はきっと、わたしに逃げろと言うのだ。  そうでなければ、何故あの時、タバサには何も言わなかった?  タバサには『風』の魔法がある。速く飛べる、立派な使い魔も居る。  こんな『ゼロ』と比べたら、頼りになるのは一目瞭然。考えるまでもないわ。  だからあいつも……だから、わたしは…!  ルイズは頭を振った。そして、ゴーレムを睨み付ける。 「それに今…今、ここで逃げたら、それこそ『ゼロ』だから逃げた。結局カッコつけたところで、『ゼロ』は『ゼロ』なんだって、みんな言うに決まってるわ!」 「言わせときゃいいじゃんか!」 「わたしは…わたしは貴族よ!魔法が使える者を、貴族と呼ぶんじゃないわ!」  ルイズは杖を握り締めた。 「敵に後ろを見せない者を、貴族と呼ぶのよ!」  ゴーレムはやはりルイズを先に叩きのめすことに決めたらしい。ゴーレムの巨大な足が持ち上がり、ルイズを踏み潰そうとした。  ルイズは口早に魔法を詠唱し、杖を振った。しかし、やはりゴーレムにはまったく通用しない。 ゴーレムの胸が小さく爆発するのが見えたが、それだけだ。ゴーレムはびくともしない。わずかに土がこぼれただけだ。  カズキは剣を構えると飛び出した。  ルイズの視界に、迫りくるゴーレムの足が目いっぱい広がる。沸いて出た恐怖が、目を閉じさせようとする。が、歯を食いしばって堪えた。  そのとき……疾風のごとく走りこんだカズキが、ルイズの体を抱きかかえ、地面に転がる。間一髪、そのすぐ横を、ゴーレムの足がめり込んだ。 「セーフ……って、死ぬ気か!馬鹿!」  カズキは思わず、ルイズの頬を叩いた。乾いた音があたりに響く。ルイズは呆気に取られて、カズキを見つめた。 「昨日もそうだ。なんでそんな…死んだら終わりじゃないか!」  ルイズは瞳いっぱいに涙を溜めて…やがてそれは、堰を切ったようにぼろぼろと零れだした。 「なによ…なによなによなによぉっ!あんただって…あんただって、なんでわたしを助けんのよ!」  カズキをぽかぽかと駄々っ子のように殴り始めるルイズ。そんなルイズに、カズキは困惑しつつ答えた。 「な、なんだよ。そんなの、ルイズが危なかったから……!」 「なんで!なんで、わたしは駄目であんたはいいのよ!わたしは駄目で、あの子はいいのよ!なにがいけないの?わたしが『ゼロ』だから!?」  ルイズは悔しかった。自分の『ゼロ』が悔しかった。悲しかった。情けなかった。  この使い魔も。自分のために、ギーシュと決闘してくれた少年も…この『ゼロ』のせいで、結局自分を認めてはくれない。  それどころか、タバサに対してのあの態度…ルイズはカズキに、大事な何かを裏切られたような気になっていた。  だから、なんとしてでもこのゴーレムを倒し、フーケを捕まえて…『ゼロ』の汚名を返上したかったのだ。  カズキはやるせない面持ちでルイズを見つめた。 「ルイズ、オレは……」  しかしカズキはルイズに、危険なことをして欲しくなかった。  カズキにとって、ルイズもまた、守るべき人の一人なのだから。だから昨日も、あんなことを言ったのだ。  だけど、とカズキは思う。  カズキは、ルイズを助けたかった。  そしてルイズも、カズキを助けたかった。  そう、どちらも変わらない。人が人を助けようとする気持ち。  自分にとっても、何より大切な気持ちを否定するようなことを言ってしまった自分を、カズキは責めた。  そんなカズキに、上からぱらぱらと何か降り注ぐ。手にとって見ると、土くれだった。 「ん……?」  振り向くと、巨大なゴーレムが大きな拳を振り上げている。カズキはあ、と声を上げた。  そういえば、今はフーケのゴーレムに襲われていたのだ!  カズキはルイズを抱え上げ、その場をぴょんと飛び跳ねた。そこにちょうど、ゴーレムの拳がめり込んだ。 「あぁくそ!とにかく、ここは逃げよう!」  このままでは二人一緒にぺしゃんこだ。ルイズを抱えたまま、カズキは走り出した。 「……!いやよ、降ろして!」  ルイズがじたばたと暴れ出す。  ゴーレムはずしんずしんと地響きを立て、追いかけてくる。大きいだけで、動きはあまり素早くない。  ルイズが暴れるので、うまく走れないカズキはゴーレムとそれほどスピードが変わらなかった。  そしてカズキは、そんなルイズを落とさぬよう、腕に力を込めて言った。 「イヤだ!」  しかしルイズも退かない。 「降ろしなさい!」 「イヤです!」 「…っ!降ろせって言ってるでしょ!この使い魔は!」 「イヤん」 「この……っ!」  ルイズはカズキに魔法の一つも見舞おうかと思った。しかし、カズキの言葉がそれを阻んだ。 「オレ、ルイズに死んで欲しくない!死なせたくないんだ!」 「だからなによ!このまま逃げて、ずっと『ゼロ』のままでいろとでも言うの!?」 「ここで死んだら、その『ゼロ』から抜け出すこともできないじゃないか! オレはルイズに、危険を冒してでも『ゼロ』から抜け出して欲しいとは思わない!」  ルイズは力なく俯いて、唇を噛んだ。じゃあ、どうしろというのか。 もはやこのチャンスを逃して、『ゼロ』を払拭することなど、適うのだろうか。 「それにオレ、ルイズに言いたいことが…言わなきゃなんないことがあるから!」  ルイズは、はたと涙が止まった。  すると、風竜が二人の前に飛んできた。すぐ前で着陸し、タバサが顔を出した。 「乗って」  風竜に跨ったタバサが叫んだ。カズキはルイズを風竜の上に押し上げた。 「あなたも早く」  タバサが珍しく、焦った調子でカズキに言った。カズキは風竜の背を一瞥して、タバサに尋ねた。 「キュルケさんとロングビルさんは?」 「一人はあっち。もう一人はそのあたりに居るはず」 「お宝は?」 「ここに」  タバサは制服のポケットに手を添えた。魔法学院のお宝は、ポケットに収まるサイズらしい。 「よし。じゃあ、二人を先に回収してくれ。オレはあいつを引き付ける」 「カズキ!?」  風竜に跨ったルイズが怒鳴った。カズキはルイズを見つめた。 「ルイズ…それに、タバサも。昨日はあんなこと言ってゴメンな。そんで、ありがとう」  そして、ゴーレムに向き直った。 「さ、早く二人を!」  タバサは無表情にカズキを見つめていたが、追いついてきたゴーレムが拳を振り上げるのを見て、やむなく風竜を飛び上がらせた。  ゴーレムの拳がうなる。それをカズキは後ろに跳んでかわした。  できればフーケも捕まえたかったが、このゴーレム相手に、普通の戦い方では勝てない。そして、普通ではない戦い方をするつもりは、ない。  ルイズには申し訳ないけれど、これ以上危険を冒すこともない。もう取り返すものも取り返したのだ。あとは、無事に帰ることに専念するのみ。 「さぁ、お前の相手はオレだ!ゴーレム!」  剣をぐっと握り締める。すると、力が沸いてきた。  ルイズは呆けたような顔をしながら、カズキを見つめていた。 「なによ、ごめんって。今頃そんな…なんで……」  すると、風竜がゴーレムから離れる。ルイズは怒鳴った。 「カズキ!カズキを助けなきゃ!」  しかしタバサは首を振った。 「近寄れない」  タバサはゴーレムを指した。近くに居ると、やたらと拳を振り回してくるのだ。  風竜はまずキュルケを回収しようと、その場から離れだす。  ルイズは、やきもきしながら遠くなっていくカズキを見つめた。そして、先ほどの言葉を思い出す。 「そういえば、昨日って…」  ルイズはタバサに尋ねた。カズキは確か、タバサにも謝っていた。何故だろう?  タバサはルイズを一瞥した後、静かに口を開いた。 「…昨夜、あの後あなたの使い魔が言ってきた。危険なことはするな、と」  そう。昨夜、ルイズが去った後。カズキはタバサにも、ルイズと同様、苦言を呈していたのだ。  ちなみにその場にはキュルケも居たが、恋は盲目なのか。親友への叱咤も、カズキへの好感度を上げる要因となった。  ついでにタバサもタバサで、あまり気にしていなかった。他者にどう思われようと、彼女は変わらない。 「…そう」  なによあいつ。普通そういうこと、すぐに言わないといけないじゃないの。  ルイズの胸の中で、何かが溶けていく感覚が広がった。  ゴーレムの拳がうなりを上げて飛んでくる。よく見ると、拳は途中で鋼鉄の塊に変わっている。 こんなもの、まともに食らえばひとたまりもない。  カズキは拳をよけると、少しでもダメージを与えようと剣で切りかかった。  がぎんと鈍い音がして、剣が根元から折れた。 「うそん」  カズキは目を丸くして破断面を見た。確かどこかの錬金術師が鍛えた業物だという話のはずだが…。 デルフやルイズの台詞じゃないが、なまくらだったようだ。  ゴーレムの拳が更にうなる。現状、他にまともに対処できる手段を持ち合わせていないカズキは、後ろに跳んでそれをかわした。 「くそっ!まぁいいや、あとはルイズたちが二人を回収したら、お前とはおさらばだ!」  カズキは、ゴーレムの拳から逃げ回った。 「どうするの?」  風竜にキュルケが乗り込んだ。タバサはキュルケに、あとはロングビルを回収する旨を伝える。  ルイズはハラハラした様子で、逃げ回るカズキを見ていた。キュルケはカズキを指して言った。 「大丈夫よ。ダーリンなら、あんなに速く動いてるじゃない。あんな木偶の坊に、やられるわけないわ。 あんたも、一人であんなの相手に立ち向かっちゃって。良くやるわよ。見直すの通り越して、呆れそうだったけれど」  ルイズは呆気にとられたようにキュルケを見た。キュルケは口元に笑みを浮かべた。 「ま、それで死に掛けてちゃ世話ないけどね。あんたが今度の件、どれだけ真剣かってのは、よくわかったわ。 でも、ここで死んでもしょうがないし、良いじゃない。『ゼロ』なんてこれからいくらでも、返上する機会はあるわよ」  ルイズは唇を噛み締めた。仇敵ツェルプストーに言われるのは癪だが、ルイズ自身、あのゴーレムに勝つ方法は思いつかない。 冷静になった頭は、あとはロングビルを回収し、カズキを乗せて、この場を離れることを考え始めていた。  風竜を見やる。キュルケを回収したようだ。あとは…ロングビルのみ。 「ロングビルさーん!竜に乗って逃げよう!」  とにかく出てきさえすれば、あとは風竜が駆けつけてくれるはずだ。 ひょっとしたらゴーレムを恐れて出てこないのかも知れない。ゴーレムの攻撃を避けながら、カズキは叫んだ。  やがて、ゴーレムの向こう。だいぶ離れた木陰から、ロングビルが姿を現した。 「ルイズ!」  カズキは竜に向けて声をあげた。竜は自分より更にロングビルに遠い。もう少し、時間を稼ぐ必要がある。  すると、ゴーレムもまた体の向きを変え始めた。重い足取りの先は、なんとロングビルの居る方向ではないか! 「おい、まさか……」  自分より先に、ロングビルを叩きのめすことにしたらしい。 「そんなことさせるか!おい、お前の相手はオレだ!」  カズキは歩くゴーレムの足に折れた剣を打ち付け始めた。しかし土がわずかにこぼれるばかりで、ゴーレムは少しも意に介した様子はない。 「止まれ!止まれよ!!そっちじゃないって言ってんだろ!!」  すると、近づくゴーレムに怖気づいたか。ロングビルはまたも森の中に入ってしまった。あれでは、風竜がロングビルを回収することができない。 「くそっ!」  先回りした竜は飛びながらロングビルを探しているが、森は深く、上からでは見づらいのだろう。 ロングビルの逃げ込んだ周辺を旋回している。このままでは、ロングビルだけでなく竜も襲われてしまう。  どうすれば……どうすれば、みんなを助けられる?  決まっている。わかっている。このゴーレムを、止めれば良いのだ。  だから――。  ふと、竜の上のルイズに目を向けた。遠目にも、よく見える。涙の跡を拭おうともせず、今は必死になって、ロングビルを探していた。 が、時折こちらにも、目を向けてきた。焦りと不安が混ざった顔のルイズと、目が合った。 その不安を拭うため、微笑んだ。見えるかどうかは、わからないけれど。  きっと、ルイズはまた怒るんだろうな。でも、それを謝ることはできないだろうから。 「ゴメン、ルイズ。それから…」  カズキは折れた剣を捨て、そのまま手のひらを左胸にあてた。 「さよなら」  そして、ゴーレムを追い始めた。  ルイズは目を見開いた。カズキが剣を捨てて、ゴーレムに突っ込んでいくのだ。いったい何をするつもりなのだろう? 「カズキッ!?」  悲痛な叫びに、キュルケが、タバサが振り向いた。三つの視線が、カズキに注がれる。  カズキには、‘錬金術’の‘力’が‘埋め込まれている’。  『核鉄』―――‘錬金術’の粋を集めて精製された、超常の合金である。これは、人間の精神の一番深い所…‘本能’に依って作動する。 一度命を落としたカズキは、これによって‘生存本能’を揺り起こし、『核鉄』を心臓の代用品にしているのだ。  そして、もう一つ。  それは、人の‘闘争本能’に依って作動する――戦う‘力’!  その‘力’こそが、『核鉄』本来の用途。持つものが秘めたる戦う‘力’を形に変えた、唯一無二の武器の創造!    掌握!  決意!  そして咆哮!  その名称―― 「誰一人、やらせやしない!『武装錬金』!!」  光とともに、カズキの手中に、幾多のパーツから形作られた、一本の突撃槍(ランス)が現れる。  ‘龍の頭を思わせる意匠の、飾り布が付いた大振りの突撃槍’――それを見て、カズキは表情を驚愕に染めた。  『サンライトハート』!?あれ、だってオレは…!?  ほんの一月前まで自分の武器だった、ヴィクター化の影響により形態(フォルム)を変えてしまったその突撃槍。  初めて『武装錬金』を発動してから、幾多もの激戦を共に潜り抜けてきた、かつての自分の相棒である。  それが、何故今……?  が、考えている時間も余裕も、今はない。まずは、目の前のゴーレムを止めなくては…!  なのに…なんだろう。この感じ。すごく安心する。この形態だからなのか?  カズキの脳裏に、斗貴子の顔が浮かんだ。カズキの武装錬金に、名前をつけてくれた、カズキの大切な人。  まるで、斗貴子さんが後押ししてくれているようだ。迷うな、突き進めって!  カズキは突撃槍を構えた。添えられた左手のルーンが、眩いほど輝く。狙うはゴーレムの胸、飾り布が、光を帯び始める…! 「いくぞ!サンライトスラッ――」  一条の光の矢が、ゴーレムの胸を貫いた。そしてその矢はそこで止まることなく、その勢いのまま空を駆ける。  矢の穂先には、突撃槍を構えたカズキ。必死に槍の柄を掴んでいる。 突撃槍の飾り布からは、迸る生体エネルギーの本流が、凄まじい推進力を生み出していた。 「うぉおおおお!?」  なんだ!?エネルギーが思っていたよりずっと強い!  このままでは遥か彼方にすっ飛んでいってしまう。空中ですぐに姿勢を整えようとする。すると何故だろう。 力の込め具合が、自然にわかった。高出力のエネルギーの、今の扱い方も、すぐに理解できた。  カズキは飾り布を掴むと適切なエネルギー量で逆噴射を行い、その場に静止する。 そして自由落下していき、エネルギーの噴射で樹木の上に軟着陸した。森が深すぎるので、木の下に入っては、ゴーレムが見えないのだ。  よし、使い方は忘れてない。  一つ頷くと、ゴーレムを見やった。かなりの速度で突っ込んだはずだが、胸にぽつんと小さな穴が穿たれただけだ。 「なっ…!?」  それもすぐに、塞がってしまう。土でできたゴーレムは、そこいらに材料があるのだ。ちょっとやそっとのダメージは、ああして修復してしまうのだろう。 「だったら…だったら直る前に、ぶっ壊すまでだ!」  カズキは突撃槍を再度構える。そして、また光の帯を引きながら、ゴーレムへと突っ込んでいくのだった。 #navi(使い魔の達人)
#navi(使い魔の達人)  森の中の開けた場所に、ポツンと建った炭焼き小屋。その近くにルイズとカズキ。 そして、少し離れた場所に、巨大な土ゴーレムが二人を見下ろすように立っていた。 「で、出た……!」  昨夜見たときよりも、よりくっきりとその姿が視界に飛び込んできた。身の丈は三十メイルほど。巨大な土人形だ。  どうやら周辺の土を使って作ったらしい。後方数メイルから、地面がごっそりと削られたようになっている。  すると、ゴーレムがのっそりと動き出した。腰を低く構えては、腕を振り上げる。 「きゃぁああああああ!!」  ルイズの悲鳴が響いた。次いで、ゴーレムはその腕を斜めに振り下ろす。拳の先は…! 「みんな、伏せろ!」  カズキが怒鳴った。ゴーレムの腕は、小屋の屋根を大きな音を発てて吹き飛ばしてしまった。 「……ゴーレム!」  キュルケの声が聞こえた。小屋の中から、見上げているのだろう。  すると、巨大な竜巻が小屋から舞い上がった。タバサが即座に魔法を唱えたのだ。  ごう、と音を立て、小屋の破片を舞い上げながら、ゴーレムにぶつかっていく。が、土ゴーレムはびくともしなかった。 「頑丈だな…!」  カズキが唸っていると、そのゴーレムに火球が見舞われた。キュルケだろう。昨夜見たものとは違う、大きな火の玉だ。  火炎がゴーレムを包んだが、やはりゴーレムは意に介した様子はない。やがて、ゆっくりとこちらに向けて歩き出す。 「無理よこんなの!」  おそらく、めいっぱい力を込めた一撃だったのだろうか。キュルケが早々に音をあげた。 「退却」  タバサが呟く。二人は小屋から飛び出し、一目散に逃げ出した。 「ルイズ、ここはいったん退こ…あれ?」  ルイズが居ない。さっきまで、小屋の近くに居たのに。  大急ぎで辺りを見回す。その間にゴーレムはこちらに…いた! 「[[ルイズ!]]」  カズキの視線の先、ゴーレムの背後に回って、杖をゴーレムに向けるルイズの姿があった。  [[使い魔の達人]] 第十話  掌握、決意、そして咆哮  ルイズがルーンを呟くと、ゴーレムに杖を振りかざす。巨大なゴーレムの表面で、どかんと辺りに良い音が響くが、ゴーレムはやはりびくともしなかった。  するとゴーレムは、ルイズに気づいたようだ。のっそりと後ろを振り向いた。 「逃げろ、ルイズ!」  カズキは怒鳴った。しかし、ルイズは唇を噛み締めた。 「いやよ!このゴーレムを倒して、フーケを捕まえれば……今度こそ、『ゼロ』の汚名は返上できるわ! あんたの力を借りずに、わたしの魔法で、それをするの!」  その目は、真剣だった。真剣すぎて、危うく思えるほどだ。  カズキは歯噛みした。やはりルイズは、そのつもりでこの捜索隊に志願したのだろう。  ゴーレムは、近くに立ったルイズをやっつけようか、逃げ出したキュルケたちを追おうか、迷っている様子だった。 「なに言ってんだ!こんな大きなゴーレム、ルイズの魔法はぜんぜん効いちゃいないじゃないか!」 「そんなの、一発じゃだめでも、何発も当てればきっと倒せるわ!やってみなくちゃ、わかんないじゃない!」 「その前に、ルイズがやられちまう!いいから逃げろ!!」  ルイズはぐっとカズキを睨み付けた。 「なによ、あんたもやっぱり、わたしを『ゼロ』だって思ってるんじゃない!」 「はぁ!?」 「わたしが何も出来ない『ゼロ』だから、あんたは逃げろって言うんでしょ!?」 「なんだそりゃ!?そんなことないから!逃げろって!」 「ほら、また言ったじゃない!『ゼロ』だって思ってなきゃ…そうじゃなきゃ……」  ルイズの表情が、切迫したものに変わる。  わたしが『ゼロ』だから。魔法のひとつも満足に使えない、役立たずの『ゼロ』だから。この使い魔はきっと、わたしに逃げろと言うのだ。  そうでなければ、何故あの時、タバサには何も言わなかった?  タバサには『風』の魔法がある。速く飛べる、立派な使い魔も居る。  こんな『ゼロ』と比べたら、頼りになるのは一目瞭然。考えるまでもないわ。  だからあいつも……だから、わたしは…!  ルイズは頭を振った。そして、ゴーレムを睨み付ける。 「それに今…今、ここで逃げたら、それこそ『ゼロ』だから逃げた。結局カッコつけたところで、『ゼロ』は『ゼロ』なんだって、みんな言うに決まってるわ!」 「言わせときゃいいじゃんか!」 「わたしは…わたしは貴族よ!魔法が使える者を、貴族と呼ぶんじゃないわ!」  ルイズは杖を握り締めた。 「敵に後ろを見せない者を、貴族と呼ぶのよ!」  ゴーレムはやはりルイズを先に叩きのめすことに決めたらしい。ゴーレムの巨大な足が持ち上がり、ルイズを踏み潰そうとした。  ルイズは口早に魔法を詠唱し、杖を振った。しかし、やはりゴーレムにはまったく通用しない。 ゴーレムの胸が小さく爆発するのが見えたが、それだけだ。ゴーレムはびくともしない。わずかに土がこぼれただけだ。  カズキは剣を構えると飛び出した。  ルイズの視界に、迫りくるゴーレムの足が目いっぱい広がる。沸いて出た恐怖が、目を閉じさせようとする。が、歯を食いしばって堪えた。  そのとき……疾風のごとく走りこんだカズキが、ルイズの体を抱きかかえ、地面に転がる。間一髪、そのすぐ横を、ゴーレムの足がめり込んだ。 「セーフ……って、死ぬ気か!馬鹿!」  カズキは思わず、ルイズの頬を叩いた。乾いた音があたりに響く。ルイズは呆気に取られて、カズキを見つめた。 「昨日もそうだ。なんでそんな…死んだら終わりじゃないか!」  ルイズは瞳いっぱいに涙を溜めて…やがてそれは、堰を切ったようにぼろぼろと零れだした。 「なによ…なによなによなによぉっ!あんただって…あんただって、なんでわたしを助けんのよ!」  カズキをぽかぽかと駄々っ子のように殴り始めるルイズ。そんなルイズに、カズキは困惑しつつ答えた。 「な、なんだよ。そんなの、ルイズが危なかったから……!」 「なんで!なんで、わたしは駄目であんたはいいのよ!わたしは駄目で、あの子はいいのよ!なにがいけないの?わたしが『ゼロ』だから!?」  ルイズは悔しかった。自分の『ゼロ』が悔しかった。悲しかった。情けなかった。  この使い魔も。自分のために、ギーシュと決闘してくれた少年も…この『ゼロ』のせいで、結局自分を認めてはくれない。  それどころか、タバサに対してのあの態度…ルイズはカズキに、大事な何かを裏切られたような気になっていた。  だから、なんとしてでもこのゴーレムを倒し、フーケを捕まえて…『ゼロ』の汚名を返上したかったのだ。  カズキはやるせない面持ちでルイズを見つめた。 「ルイズ、オレは……」  しかしカズキはルイズに、危険なことをして欲しくなかった。  カズキにとって、ルイズもまた、守るべき人の一人なのだから。だから昨日も、あんなことを言ったのだ。  だけど、とカズキは思う。  カズキは、ルイズを助けたかった。  そしてルイズも、カズキを助けたかった。  そう、どちらも変わらない。人が人を助けようとする気持ち。  自分にとっても、何より大切な気持ちを否定するようなことを言ってしまった自分を、カズキは責めた。  そんなカズキに、上からぱらぱらと何か降り注ぐ。手にとって見ると、土くれだった。 「ん……?」  振り向くと、巨大なゴーレムが大きな拳を振り上げている。カズキはあ、と声を上げた。  そういえば、今はフーケのゴーレムに襲われていたのだ!  カズキはルイズを抱え上げ、その場をぴょんと飛び跳ねた。そこにちょうど、ゴーレムの拳がめり込んだ。 「あぁくそ!とにかく、ここは逃げよう!」  このままでは二人一緒にぺしゃんこだ。ルイズを抱えたまま、カズキは走り出した。 「……!いやよ、降ろして!」  ルイズがじたばたと暴れ出す。  ゴーレムはずしんずしんと地響きを立て、追いかけてくる。大きいだけで、動きはあまり素早くない。  ルイズが暴れるので、うまく走れないカズキはゴーレムとそれほどスピードが変わらなかった。  そしてカズキは、そんなルイズを落とさぬよう、腕に力を込めて言った。 「イヤだ!」  しかしルイズも退かない。 「降ろしなさい!」 「イヤです!」 「…っ!降ろせって言ってるでしょ!この使い魔は!」 「イヤん」 「この……っ!」  ルイズはカズキに魔法の一つも見舞おうかと思った。しかし、カズキの言葉がそれを阻んだ。 「オレ、ルイズに死んで欲しくない!死なせたくないんだ!」 「だからなによ!このまま逃げて、ずっと『ゼロ』のままでいろとでも言うの!?」 「ここで死んだら、その『ゼロ』から抜け出すこともできないじゃないか! オレはルイズに、危険を冒してでも『ゼロ』から抜け出して欲しいとは思わない!」  ルイズは力なく俯いて、唇を噛んだ。じゃあ、どうしろというのか。 もはやこのチャンスを逃して、『ゼロ』を払拭することなど、適うのだろうか。 「それにオレ、ルイズに言いたいことが…言わなきゃなんないことがあるから!」  ルイズは、はたと涙が止まった。  すると、風竜が二人の前に飛んできた。すぐ前で着陸し、タバサが顔を出した。 「乗って」  風竜に跨ったタバサが叫んだ。カズキはルイズを風竜の上に押し上げた。 「あなたも早く」  タバサが珍しく、焦った調子でカズキに言った。カズキは風竜の背を一瞥して、タバサに尋ねた。 「キュルケさんとロングビルさんは?」 「一人はあっち。もう一人はそのあたりに居るはず」 「お宝は?」 「ここに」  タバサは制服のポケットに手を添えた。魔法学院のお宝は、ポケットに収まるサイズらしい。 「よし。じゃあ、二人を先に回収してくれ。オレはあいつを引き付ける」 「カズキ!?」  風竜に跨ったルイズが怒鳴った。カズキはルイズを見つめた。 「ルイズ…それに、タバサも。昨日はあんなこと言ってゴメンな。そんで、ありがとう」  そして、ゴーレムに向き直った。 「さ、早く二人を!」  タバサは無表情にカズキを見つめていたが、追いついてきたゴーレムが拳を振り上げるのを見て、やむなく風竜を飛び上がらせた。  ゴーレムの拳がうなる。それをカズキは後ろに跳んでかわした。  できればフーケも捕まえたかったが、このゴーレム相手に、普通の戦い方では勝てない。そして、普通ではない戦い方をするつもりは、ない。  ルイズには申し訳ないけれど、これ以上危険を冒すこともない。もう取り返すものも取り返したのだ。あとは、無事に帰ることに専念するのみ。 「さぁ、お前の相手はオレだ!ゴーレム!」  剣をぐっと握り締める。すると、力が沸いてきた。  ルイズは呆けたような顔をしながら、カズキを見つめていた。 「なによ、ごめんって。今頃そんな…なんで……」  すると、風竜がゴーレムから離れる。ルイズは怒鳴った。 「カズキ!カズキを助けなきゃ!」  しかしタバサは首を振った。 「近寄れない」  タバサはゴーレムを指した。近くに居ると、やたらと拳を振り回してくるのだ。  風竜はまずキュルケを回収しようと、その場から離れだす。  ルイズは、やきもきしながら遠くなっていくカズキを見つめた。そして、先ほどの言葉を思い出す。 「そういえば、昨日って…」  ルイズはタバサに尋ねた。カズキは確か、タバサにも謝っていた。何故だろう?  タバサはルイズを一瞥した後、静かに口を開いた。 「…昨夜、あの後あなたの使い魔が言ってきた。危険なことはするな、と」  そう。昨夜、ルイズが去った後。カズキはタバサにも、ルイズと同様、苦言を呈していたのだ。  ちなみにその場にはキュルケも居たが、恋は盲目なのか。親友への叱咤も、カズキへの好感度を上げる要因となった。  ついでにタバサもタバサで、あまり気にしていなかった。他者にどう思われようと、彼女は変わらない。 「…そう」  なによあいつ。普通そういうこと、すぐに言わないといけないじゃないの。  ルイズの胸の中で、何かが溶けていく感覚が広がった。  ゴーレムの拳がうなりを上げて飛んでくる。よく見ると、拳は途中で鋼鉄の塊に変わっている。 こんなもの、まともに食らえばひとたまりもない。  カズキは拳をよけると、少しでもダメージを与えようと剣で切りかかった。  がぎんと鈍い音がして、剣が根元から折れた。 「うそん」  カズキは目を丸くして破断面を見た。確かどこかの錬金術師が鍛えた業物だという話のはずだが…。 デルフやルイズの台詞じゃないが、なまくらだったようだ。  ゴーレムの拳が更にうなる。現状、他にまともに対処できる手段を持ち合わせていないカズキは、後ろに跳んでそれをかわした。 「くそっ!まぁいいや、あとはルイズたちが二人を回収したら、お前とはおさらばだ!」  カズキは、ゴーレムの拳から逃げ回った。 「どうするの?」  風竜にキュルケが乗り込んだ。タバサはキュルケに、あとはロングビルを回収する旨を伝える。  ルイズはハラハラした様子で、逃げ回るカズキを見ていた。キュルケはカズキを指して言った。 「大丈夫よ。ダーリンなら、あんなに速く動いてるじゃない。あんな木偶の坊に、やられるわけないわ。 あんたも、一人であんなの相手に立ち向かっちゃって。良くやるわよ。見直すの通り越して、呆れそうだったけれど」  ルイズは呆気にとられたようにキュルケを見た。キュルケは口元に笑みを浮かべた。 「ま、それで死に掛けてちゃ世話ないけどね。あんたが今度の件、どれだけ真剣かってのは、よくわかったわ。 でも、ここで死んでもしょうがないし、良いじゃない。『ゼロ』なんてこれからいくらでも、返上する機会はあるわよ」  ルイズは唇を噛み締めた。仇敵ツェルプストーに言われるのは癪だが、ルイズ自身、あのゴーレムに勝つ方法は思いつかない。 冷静になった頭は、あとはロングビルを回収し、カズキを乗せて、この場を離れることを考え始めていた。  風竜を見やる。キュルケを回収したようだ。あとは…ロングビルのみ。 「ロングビルさーん!竜に乗って逃げよう!」  とにかく出てきさえすれば、あとは風竜が駆けつけてくれるはずだ。 ひょっとしたらゴーレムを恐れて出てこないのかも知れない。ゴーレムの攻撃を避けながら、カズキは叫んだ。  やがて、ゴーレムの向こう。だいぶ離れた木陰から、ロングビルが姿を現した。 「ルイズ!」  カズキは竜に向けて声をあげた。竜は自分より更にロングビルに遠い。もう少し、時間を稼ぐ必要がある。  すると、ゴーレムもまた体の向きを変え始めた。重い足取りの先は、なんとロングビルの居る方向ではないか! 「おい、まさか……」  自分より先に、ロングビルを叩きのめすことにしたらしい。 「そんなことさせるか!おい、お前の相手はオレだ!」  カズキは歩くゴーレムの足に折れた剣を打ち付け始めた。しかし土がわずかにこぼれるばかりで、ゴーレムは少しも意に介した様子はない。 「止まれ!止まれよ!!そっちじゃないって言ってんだろ!!」  すると、近づくゴーレムに怖気づいたか。ロングビルはまたも森の中に入ってしまった。あれでは、風竜がロングビルを回収することができない。 「くそっ!」  先回りした竜は飛びながらロングビルを探しているが、森は深く、上からでは見づらいのだろう。 ロングビルの逃げ込んだ周辺を旋回している。このままでは、ロングビルだけでなく竜も襲われてしまう。  どうすれば……どうすれば、みんなを助けられる?  決まっている。わかっている。このゴーレムを、止めれば良いのだ。  だから――。  ふと、竜の上のルイズに目を向けた。遠目にも、よく見える。涙の跡を拭おうともせず、今は必死になって、ロングビルを探していた。 が、時折こちらにも、目を向けてきた。焦りと不安が混ざった顔のルイズと、目が合った。 その不安を拭うため、微笑んだ。見えるかどうかは、わからないけれど。  きっと、ルイズはまた怒るんだろうな。でも、それを謝ることはできないだろうから。 「ゴメン、ルイズ。それから…」  カズキは折れた剣を捨て、そのまま手のひらを左胸にあてた。 「さよなら」  そして、ゴーレムを追い始めた。  ルイズは目を見開いた。カズキが剣を捨てて、ゴーレムに突っ込んでいくのだ。いったい何をするつもりなのだろう? 「カズキッ!?」  悲痛な叫びに、キュルケが、タバサが振り向いた。三つの視線が、カズキに注がれる。  カズキには、‘錬金術’の‘力’が‘埋め込まれている’。  『核鉄』―――‘錬金術’の粋を集めて精製された、超常の合金である。これは、人間の精神の一番深い所…‘本能’に依って作動する。 一度命を落としたカズキは、これによって‘生存本能’を揺り起こし、『核鉄』を心臓の代用品にしているのだ。  そして、もう一つ。  それは、人の‘闘争本能’に依って作動する――戦う‘力’!  その‘力’こそが、『核鉄』本来の用途。持つものが秘めたる戦う‘力’を形に変えた、唯一無二の武器の創造!    掌握!  決意!  そして咆哮!  その名称―― 「誰一人、やらせやしない!『武装錬金』!!」  光とともに、カズキの手中に、幾多のパーツから形作られた、一本の突撃槍(ランス)が現れる。  ‘龍の頭を思わせる意匠の、飾り布が付いた大振りの突撃槍’――それを見て、カズキは表情を驚愕に染めた。  『サンライトハート』!?あれ、だってオレは…!?  ほんの一月前まで自分の武器だった、ヴィクター化の影響により形態(フォルム)を変えてしまったその突撃槍。  初めて『武装錬金』を発動してから、幾多もの激戦を共に潜り抜けてきた、かつての自分の相棒である。  それが、何故今……?  が、考えている時間も余裕も、今はない。まずは、目の前のゴーレムを止めなくては…!  なのに…なんだろう。この感じ。すごく安心する。この形態だからなのか?  カズキの脳裏に、斗貴子の顔が浮かんだ。カズキの武装錬金に、名前をつけてくれた、カズキの大切な人。  まるで、斗貴子さんが後押ししてくれているようだ。迷うな、突き進めって!  カズキは突撃槍を構えた。添えられた左手のルーンが、眩いほど輝く。狙うはゴーレムの胸、飾り布が、光を帯び始める…! 「いくぞ!サンライトスラッ――」  一条の光の矢が、ゴーレムの胸を貫いた。そしてその矢はそこで止まることなく、その勢いのまま空を駆ける。  矢の穂先には、突撃槍を構えたカズキ。必死に槍の柄を掴んでいる。 突撃槍の飾り布からは、迸る生体エネルギーの本流が、凄まじい推進力を生み出していた。 「うぉおおおお!?」  なんだ!?エネルギーが思っていたよりずっと強い!  このままでは遥か彼方にすっ飛んでいってしまう。空中ですぐに姿勢を整えようとする。すると何故だろう。 力の込め具合が、自然にわかった。高出力のエネルギーの、今の扱い方も、すぐに理解できた。  カズキは飾り布を掴むと適切なエネルギー量で逆噴射を行い、その場に静止する。 そして自由落下していき、エネルギーの噴射で樹木の上に軟着陸した。森が深すぎるので、木の下に入っては、ゴーレムが見えないのだ。  よし、使い方は忘れてない。  一つ頷くと、ゴーレムを見やった。かなりの速度で突っ込んだはずだが、胸にぽつんと小さな穴が穿たれただけだ。 「なっ…!?」  それもすぐに、塞がってしまう。土でできたゴーレムは、そこいらに材料があるのだ。ちょっとやそっとのダメージは、ああして修復してしまうのだろう。 「だったら…だったら直る前に、ぶっ壊すまでだ!」  カズキは突撃槍を再度構える。そして、また光の帯を引きながら、ゴーレムへと突っ込んでいくのだった。 #navi(使い魔の達人)

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