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  • とある魔術の使い魔と主-54の編集履歴ソース
「とある魔術の使い魔と主-54」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

とある魔術の使い魔と主-54 - (2009/10/11 (日) 16:05:54) のソース

#navi(とある魔術の使い魔と主)

「もうすぐ着く」
 上条当麻は短いタバサの言葉によって、閉じていた目を開く事になった。
 実際に眠っていたわけではない。たまには、という意味も含まれてのんびりと過ごしていただけだ。
 正直、ここに来てから落ち着いた試しがない。いや、記憶を失ってからもなんだかんだいって毎回のようにトラブルに出くわして、これも一環の流れのように感じられる。
 学院襲撃事件、皇太子暗殺、タルブ村での開戦、アンリエッタ女王誘拐未遂。こうも短い間にいくつものトラブルにあうのは、自分の不幸体質からなのであろうか。
 が、別にそれが苦にはなっていない。ただ、一人の人間として少しはゆっくりとできる休暇が欲しいという願望はもちろんある。
 というか、いつもルイズの行動に付き合わされている状態から解放されたのは、今回を含めて数える程度。
 貴重な時間を過ごしたなーと思いながら、当麻は上半身だけを起こし、周りを見渡す。相変わらずタバサは本を読んでいるし、周りの景色も目を閉じる前と同じような光景だ。
 どうやら自分らは田舎の方へと向かっているようだ。
 以前シエスタの故郷、タルブ村に赴いた時と似たようなイメージが沸いたので、当麻はその答えに至るまで時間はかからなかった。
 もっとも、異世界の住人である当麻は、ここの地名を言われてもさっぱりである。なので目的地を聞いた所で特に変わるような事はない。
 と、当麻達が乗っているシルフィードが降下をし始めた。
 もとからそこまで高くは飛行していなかったためか、あっという間に大地へと降り立つ。
 パタンと読んでいた本を閉じ、タバサは「来て」の一言を残してシルフィードから降りた。
 そんなタバサの対応に当麻は戸惑う。否、それもあるが、どちらかというと目の前のそびえ立つ建物に対しての方であった。
 貧乏人で、学生の寮で普段暮らしている当麻でもわかる。

 どう考えても豪邸だ。

 ヨーロッパの観光パンフレットに出てくるような、古風なイメージが纏まっている感じだ。
 普通、このような屋敷に赴いて、誰の屋敷かと尋ねたら一人しか浮かばない。
「なあ」
 それを確認すべく、当麻はタバサに声をかける。
 すたすたと歩いていたタバサはピタッと止まり、こちらへと振り返る。当麻から視線を離さないその目が、用件を早く言うよう訴えかけていた。
「ここ、タバサん家だよな?」
 なにを今更、といった表情でコクリと頷く。そして、再び門へと歩きだす。
 当麻は呆然と立ち尽くしていた。
 確かに貴族=金持ちという方程式をこの世界の常識として学んだのだが、
(これほどまでとはなぁ……)
 いかに自分がちっぽけな存在かとあらためて認識される。自分が想像していたそれよりもはるかに立派であった。
 本当は、タバサがガリア王家の王弟家だからという理由があるのだが、当の当麻に知る由がない。
 瞬間、
「こないの」
「うおっ!?」
 今まで動かなかったのが不思議に思えたのか、タバサが近寄って来た。が、その近さが半端ない。
 後もう少し互いの唇がくっつくような距離に、当麻は後ずさり、尻餅をつく。
 タバサは当麻の行動が理解できなかったのか、首を傾げる。どうやら彼女にはそのような感情は存在していないらしい。
「あー、いや、なんでもないですはい」
 後頭部に手をまわし、ごまかすように苦笑いしながらも立ち上がる。
 これ以上無駄な雑談を省きたいのか、タバサは再び口を閉じ歩き始める。もうこれ以上は構ってやらないと思える態度に、慌てて当麻も後を追いかけた。
 門から敷地内に入った時、当麻はあることに気付いた。
 門に刻まれている交差した二本の杖、おそらく紋章だと判断する。しかし、そこには傷がついていた。
 それぞれの杖に一本の傷。それは、特に意識せずともバッテンという風に見えてしまう。
 なにかあったのだろうかと思い、当麻は前を歩くタバサに尋ねようとした。
 しかし、後一歩の所でそれを喉へと飲み込んだ。
(あまり気にしない方がいいだろうな)
 どう考えてもこれは喜ばしい事ではない。
 過去タバサの身に何があったか個人的には知りたいが、あからさまに負の感情しか残らない昔話を本人に聞くのは失礼だ。
 結局、最後の最後までその紋章が気になり、他に目を向ける事はなかった。
 門を越え、玄関までたどり着くと、一人の老執事が迎えにでてきた。
「お嬢さま、お帰りなさいませ」
 畏まったように頭を下げる。タバサは普段通りなのだが、当麻は慣れていないせいか、思わず頭を下げ返す。
 どうやらこの執事しか出迎える者はいない様子。もっとメイドさんとかがずらりと並んでいるような光景を思い浮かべていたが、どうやらこちらの世界では違うようだ。
 当麻の姿に、執事は僅かばかし驚いた表情を浮かべる。どうやら予想外の客人であったようだ。
 しかし、それは一瞬の出来事であり、すぐに後ろへと振り返った。
 どうやら客間に招くようだ。二人は執事の後につき、その場所へと案内される。
 そこは広々としていた。以前自分が寮で暮らしていたよりも何倍も広く、またきちんと手入れがされており、綺麗である。
 が、人がいない。辺りはしーんと静まっており、なんとも感想がつけがたい場所だ。
「人は……いないのか?」
 コクリと頷くタバサ。
「俺らだけ、しかいないのか?」
 もう一人いる、と今度は否定した。そして、当麻の腕をガシッと掴んだ。
 ドバァ! と当麻の心臓が跳ね上がり、顔を真っ赤に染めるが、タバサは全く気にすることなくそのまま引っ張っていく。
 女の子に腕を掴まれる、というのに対しての抵抗力が皆無である純情少年は、なんとか理性を保つ事ができた。
「えとー、タバサさん? なにをしたいのでしょうか?」
「ついてきて」
「と言われてもやっぱりこうやって手を繋いでいくのは恥ずかしいと思うのですが!? えぇい、話を聞く気はないのですかターバーサーさーんー」
 耳元で多少音量を抑えてシャウトするが、タバサは臆する事なく、しかも心なしか力がさらにこめられた。
 ズルズルと引っ張られてく当麻の姿を見て、おや? と執事は怪訝な表情を浮かべた。


「ここ」
 それは、とある部屋の扉の前であった。扉、だけをいうのであれは普通の一室を想像できるシンプルな造り。
 が、それでも古くから使われてきたイメージがあり、ぼろいという言葉はなんだか失礼に値するものだと思えてしまう程だ。
「……ここで俺はなにをすればいいんだ?」
 腕を思いきり握られていた為、痛がっている当麻は少し涙目で同じ内容を尋ねた。
 目的地にまで連れてこられたというのに肝心の部分は教えてくれない。
 タバサが困っているなら喜んで助けになるが、内容を知っておきたいという気持ちもある。
 その意図にようやく気付いてくれたのか、タバサはこちらを見ずに告げた。
「助けて欲しい人がいるの」
 そう言い、ドアを開ける。そこに、助けて欲しい人物がいた。
 なにもない、シンプルな一室であった。
 机と椅子、そしてベッド。以前訪ねた事のあるウェールズの部屋と似たようなイメージを浮かべる。
 タバサが助けて欲しいといった人物は、目の前にいる女性の事だろう。他に誰もいないし、実は部屋を間違えましたというオチもないはず。
(身内……母親か?)
 顔を伏せているので容姿はわからない。しかし、その髪の色に加え、ここがタバサの家である事から大体は想像がつく。
 なのに不思議だ。
 いくら当麻であっても、ここが魔法学院から遠く離れている事ぐらいはわかる。ならば、自分の娘ないし身内が家に戻ってくるのならば歓迎するのが普通だ。
 なのに、女性はうんともすんともしない。
 なにか理由があるのだろうか? と思いながら、当麻はタバサに視線を移す。
 瞬間、
「誰?」
 声がした。
 タバサでも自分でもない。ようやく女性は自分らの存在に気付いたのだろう。
 タバサは返答として一歩前へと踏み出す。
 同時、女性が顔をあげる。
 それは、お世辞にも美しいとは言い難い姿。いや、確実に美人という枠組みに入ると思うのだが、
 老けている。
 しわが多々あり、当麻の第一印象は五十代ぐらいのおばさんだ。なのに美人だと思わせる不思議な感覚を当麻は覚えた。
 見た目は五十代なのだが、無理矢理なってしまったという説明が一番わかりやすいのかもしれない。
「ただいま帰りました。母さま」
 当麻の予想通り、彼女はタバサの母親であった。タバサは近づくと、深々と頭を下げた。
 しかし、
「下がりなさい無礼者。王家の回し者ね? わたしからシャルロットを奪おうというのね。誰があなたがたに、可愛いシャルロットを渡すものですか」
 返答は拒絶であった。母親の声は冷静ではあったものの、後なにか加えたら爆発しそうな程怒りが感じられる。
 しかし、タバサはそれに臆する事なくただじっと頭を下げたまま。
「おそろしやこの子がいずれ王位を狙うなどと誰が申したのでありましょうか。
薄汚い宮廷のすずめたちにはもううんざり、わたしたちは静かに暮らしたいだけなのに、下がりなさい! 下がれ!」
 離れようとしないタバサに苛立ちを感じたのか、母親は近くにあったグラスを投げつけた。
 それは確認してからでも避ける事ができるゆったりとしたスピードであったが、タバサは動かなかった。
 いくらスピードがなくてもそれはガラスでできた物。ゴン! と鈍い音を発してタバサの額に直撃した。
「タバサ!?」
 突然のできごとに当麻は駆け寄る。どうして避けようとしなかったのだろうか。
 一方の母親は抱きしめていた人形に頬ずりをした。余程その人形を気に入っているのだろうか、その頭は擦り切れて綿がはみ出ている。
「あなたの右手で触って欲しい」

 こうなってしまったのは、どうやら魔法の影響であった。
 当麻も疑問を抱かなかった。
 以前にも同じような体験をした事がある。とある呪いにかけられた女性を幻想殺しという名の右手が救った。
 おそらく、今回はそれと似たようなタイプだ。
 故に行動は早かった。当麻は黙って頷くと、未だに「下がれ!」と怒鳴る母親に近づき、なんの躊躇いもなくその右手で肩に触った。
 …………、
 …………。
「…………あれ?」
 しばらく触ったままでいたが、幻想殺しが発動する特有の感覚が現れない。
 その間にも、
「下賎な手で私に触るな!」
 ドンッ! とタバサの母親は当麻の胸倉辺りを思いきり押した。
 一応反撃が来るのもある程度は予測していた為、当麻は後退したものの倒される事はなかった。
「っと……ってうわっ!?」
 バランスをとるため一度足元へと移した視線を戻した瞬間、再びグラスが飛んでくる。
 視界が一瞬によって物が全体を覆う。タバサみたく当たりたくはないので、咄嗟に身を伏せた。
 おかしい。
 当麻は右手を使ってタバサの母親に触れた。ならば幻想殺しが発動してもおかしくないはず。
 しかし、タバサの母親の様子は変わらない。早く出てけと訴えるかのように怒鳴り散らしてくる。
 タバサが嘘をついているとは思えない。ならば幻想殺しが不発のまま終わったと考えるのが妥当だ。
 そうなると不発した理由は一つしかない。
 当麻はちらりとタバサを見る。
 未だに無表情。しかし、どこと無く当麻を心配している感じがする。あくまで感じに過ぎないが。
「タバサ、一体その魔法はどこに影響してるんだ?」
 当麻は、タバサの母親に影響している箇所を触らなければならないと推測を立てた。
 脳に影響しているなら頭、憑いているとしたら背中のように。
「心」
「…………………………あー」
 どうやら予想通りの展開となっとしまったようだ。
 心――といえば胸と言われている。となると、当麻が触らなければならない場所は……
 もちろんあそこだ。
 カァーっと真っ赤に染まった顔をブンブンと勢いよく何度も横に振る。
(不可抗力ですから! つーか、これって不幸だよな……?)
 心の中の自分に言い訳をする当麻。見方によっては幸福なのかもしれないが、彼の思考ではやはり不幸な事だと感じているようだ。
 老いた――と言っても特に変わることはない。確かに彼女のは(失礼だが)よれよれとしているが、「それ」になんら変わりはない。
 つまり――、
(えぇい、何を考えているんだ俺!)
 それ以上の思考を理性が止めた。というか、このままでは埒があかない。
 当麻は何回もごめんなさいと心の中で繰り返しながらも、再び近づき、

 タバサの母親の胸を触った。

 当麻の手の大きさ程の膨らみに、うまく重なった。
 いらぬ誤解を与えぬようただそれを置いたように優しく触れたのだが、恥ずかしいものは恥ずかしい。
 パシュッ、となにかが抜けてしまったような感触を当麻は右手に感じた。
 多分これで魔法は去った。なのだが、
「………………」
「………………」
「………………」
 とてつもなく気まずい。
 三者沈黙に加え、タバサとその母親は場の空気のと同じくらい凍っている。
「あはは……はは?」
 耐え切れなくなった当麻がスバッと手をそれから放して、苦笑いを浮かべる。
 しかし、被害者であるはず母親は呆然としている。まるで今自分が何をしているのかわからないような。
「……ッ」
 その対応にほうけていたタバサはハッとした表情を浮かべた。
 先程までとは当麻に対しての対応が違う。ならば、先程と違ってしまった理由など一つではないか。
 一人の娘として、
 安否を気遣う娘として、
 ずっと願っていた娘として

 少女は、母親に駆け寄る。

 しかし、

 母親の目は以前と同じ、死人のような目であった。


「心を狂わす魔法、か」
「さようでございます」
 客間に戻った当麻は執事から事情を聞いた。
 タバサが継承争いの犠牲者である事。父親を暗殺され、母親には心を狂わす魔法薬を飲まされ独りぼっちになってしまった事。彼女が解決困難な仕事をやらされている事全て。
(くそったれが……)
 ふざけるなと思う。
 この世界ルールなど当麻は知らない。継承者争いが過酷であるのなんてどうでもよい。
 ただ、タバサがこんな辛い目にあうのが許せなかった。
 たった一人の女の子に対してそこまでするのが、当麻には絶対許せなかった。
 そして、少し離れたところに居座るタバサとその母親に視線を移した。

 魔法で心を病まれた婦人。それを幻想殺しで打ち消しハッピーエンドという程現実は甘くはなかった。

 確かに魔法は消え去った。今までの幻想殺しの威力を目の当たりにしてきた当麻ならはっきりと断言できる。
 しかし、それはあくまで魔法だけ。今まで培ってきた心へのダメージは残ったままであるのだ。そして、幻想殺しには回復効果がない。
 信じたくない。だが、そうでなければ今の母親の状態を説明するなどできない。
 悔しいが、これが現実。紛れも無い、現実。
 よくなった部分もある。以前のように暴れる事はなくなり、外に出るようにもなった。今もこうして客間にくつろいでいる。
 しかしその代償として、呼吸という最低動作しか行おうとしない。感情もない。一言でその状態を表すとするなら人形が一番だ。
 一方のタバサはつきっきりで母親の手を握っている。
 これが望んでいた結末と言えば全然違う。しかし、母を苦しめる魔法が消えただけでも十分だ。
 そう言い聞かせるかのようにタバサは小さく笑う。
 久しぶりだ。
 いつまでも感情を表に出さなかったタバサが、笑ったのだ。
 それは本当に小さく、一瞬であった。しかし、十分過ぎる一歩、大きすぎる一歩だ。
 その姿に執事は目を丸くしていた。
「まさかお嬢さまが……」
 おそらく今まではありえなかったのだろう。言葉と感情を失ったあの日から、きっと執事は見た試しがなかったのだ。
 と、その時だ。

 タバサの母親も、また小さく笑ったのだ。

 その瞬間をタバサは見逃さなかった。
「母さま」
 もしかしたら、なにか起きたのかもしれない。
 淡い期待を抱いて声をかける。奇跡がここで起きたらどれだけ素晴らしい事なのだろう。しかし返事はない。
 すでに無表情に戻っており、再び人形と変わらない状態になっている。
 それでも、それでもだ。確かに笑ったのだ。タバサと同じようにとても小さかったが、疑いの余地はない。
 ならばどうして笑ったのだろうか? 心はもう壊れているはず。ならば感情を出すのは不可能なはずなのに。
――心はまだ生きている?
 ドクン、とタバサの鼓動が一瞬だけ大きくなる。
 まさか、と思う。そんな事は理論上ありえない。魔法は確実に心を壊したはずなのに。
 しかし、
 一度思った疑問(げんそう)は離れない。
 そうでなければ先の体験を説明できる術がない。そうでなければきっと自分は納得しない。
 そこまで考えてタバサは結論に至った。
――まだ、母親の心は生きている

奇跡(げんそう)は、起きたのかもしれない。

 その日の夜、眠りにつこうとした当麻はタバサに呼び出された。

「どうした……? こんな夜に」
 当麻の指摘はもっともだ。辺りは寝静まっており、起きているのはこの場にいる二人だけであろう。
 時刻はおそらく深夜をまわっている。時計がないため確認はできないが、窓から見える月の高さで何となく判断した。
 当麻は一回あくびをし、未だに眠たそうな表情を浮かべる。
 一方のタバサは平気な様子。むしろ、今までずっと起きていたのかもしれない。
「あなたに感謝をしたくて」
 ありがとう、と付け加える。
 いつもと同じく、簡潔に締める。そして沈黙。どうやらこれで終わりのようだ。
「……あのー、それだけですか?」
 当麻の質問に、タバサはこくりと頷く。
 わかりやすくて有り難いのだが、話がこれで終わってしまうのはどうかと思う。
(まぁ仕方ないか……)
 当麻はタバサの過去を聞かされた。そして、それがどれだけ辛い出来事かなんてわかるはずがない。

 ただ、それは一人の少女に感情と言葉を失わせる代物であるとだけはわかった。

 そこまで考えて、当麻はある結論に至る。
 失ったのならば、再び手に入れさせればいい。それぐらいなら、今の自分でもできる。
「なぁタバサ」
なに? と聞き返したタバサに当麻は続ける。
「どうせ寝れないんだろ? 話し相手にでもなろうか?」
 タバサはもう感情と言葉を失う必要がないのだ。いや、違う。
 今のタバサには感謝と言葉が必要なのだ。
 母親にお手本を見せるために、
 母親の心を取り戻すために、
 今まで失っていた時間を取り戻すために、
 きっと、それは必要になっていくものだ。
 最初、タバサは当麻の言葉が理解出来なかったようだった。
 口をポカンと開けて呆然と眺める。そして、しばらく経ったのち、ぽつりと呟いた。
「そこまでやらなくても――」
「おいおい、いまさら途中退場とか特別ゲスト扱いしないでくれよ」
 タバサの内容は当麻のそれによってかき消された。どうやらやる気満々であるらしい。

 再びなにかを言ったところできっとこの少年の意思は変わらない。
 それだけこの少年には心強いなにかがある。それだけこの少年には頼れる部分がある。
 特別な力はその右手にしかないのに、
 それ以外は普通の人間となんら代わりがないのに、
 でも、『強い』と思えてしまう。
 そう思う自分がいる。そう思う感情がある。
 悔しい。
 こうすることが最善だと思っていた。誰にも頼らず、己だけですべてを解決しようとしたらいつの間にかこうなっていた。
 自分が間違っているとは思えない。しかし、
 この少年の行動が羨ましいと感じてしまう。
 自分はこのような行動を求めていたのだろうか?
 違う。少女はその問いを即座に否定した。
 自分は求めていた。少年のような行動を取ってくれる人物を。
 自分は求めていた。そのようなヒーローに守られるヒロイン(自分)を。
 だから、悔しい。この少年はとあるメイジの使い魔なのだ。
 そこに、自分の場所はない。
「あなたにはルイズが……守るべき主がいるから」
 だからそこまでする必要はない。たとえ少年が首を縦に振ろうとも、少女は立ち去るつもりであった。
 本当は悪い事をしたのだと思っている。勝手に他人の使い魔を連れ去るなんてとんでもない事だ。
 それでも、その時は救いたい一心だった。
 目の前には自分の母親を治す事ができるかもしれない能力者がいる。それを見過ごせる事などできるわけがない。
 だから、もうこれだけで十分であった。これ以上自分のわがままに付き合う必要などないのだ。
 自分の感情と言葉など、一人でなんとかなる。誰かの助けが必要とか、そういった要素もない。
 しかし、
「何いってるんだ?」
 少年は疑問を浮かべる。否定ではなく疑問。
 少女は目を丸くする。なにか自分は間違った事を言ったのであろうかと。
「たしかにルイズとは使い魔と主の関係だけどさ、だからってお前を助けない理由にはなんねーだろ?」
 え? と思わず聞き返した少女に、何をいまさらと言った表情で少年は答える。

「だって俺たち友達だろ? 困っていたら助ける、当然の事じゃねーか」

 少女の時間が、止まった。

「ってお前が俺と友達じゃないっていうのなら、アンリエッタを救うときに最後まで付き合ってくれたんだ。こっちも最後まで付き合わせてくれよ」
 少年は少女の状態など気にせずに続ける。
「あー……、それともあれか。一人でこっそりと努力したい奴とか? それなら、しゃあないけど……」
 勝手に納得し、勝手に唸る少年の姿は少女の視線に入っていない。
 まず最初に浮かんだ言葉が『おかしい』であった。
 何年振りであろうか。この気持ち、この感情。
 それは、もう二度と味わう事ができる物だと思っていなかった。
 それは、あまりにも懐かしくて一体何であったか思い出すのに時間がかかってしまった。
 その感情が久しぶりに現れてくれたのが嬉しいのか、少女の体が小刻みに震える。
 居場所が、ある。
 自分は、一人じゃない。
 そう感じた瞬間、
 少女の頬に透明な雫が伝った。
「って泣いとる!? 待って、俺なんかまずいこと言った!?」
 女性に涙を流すなど死刑ものだと思っている少年は慌てる。しかし、少年の姿を見て、少女はさらにポタポタと涙が零れていく。

 彼女の視界には少年以外の姿が写っていた。

 それは幻想だろう。なぜならこの場にいるはずがない面子なのだ。
 少年の主に少年を慕うメイド、少年に決闘を挑んだ貴族にその幼なじみ、そして、
 かけがえのない親友。
 いたのだ。
 今まで一人で生きてきたと思っていた。今まで一人で戦ってきたと思っていた。
 だけど、それは違う。
 一人なんかじゃない。
 仲間が、友達がいるのだ。
 大切な、大切な仲間が。
 手を差し出せば届くような距離に、
 ずっと、ずっと待っていたのだ。
「あなたは幻想殺しなんかじゃない……」
 そこまで思って、浮かんだ言葉を少女は口にする。
「だって、こんな素晴らしい幻想をわたしに与えたのだから」
 涙でぐしゃぐしゃの顔であるが、無理矢理笑おうとする。それは不器用で、不細工で、不恰好で、しかも口元が僅かに緩んだ程度の物。
 しかし、少年ははっきりとそれが笑っているのだと理解する事ができた。
 なぜなら、今の少女は、

 とても幸せそうに感じられたから。

#navi(とある魔術の使い魔と主)
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