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  • 異世界に灯る聖なる焔の光-02の編集履歴ソース
「異世界に灯る聖なる焔の光-02」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

異世界に灯る聖なる焔の光-02 - (2008/12/22 (月) 23:49:19) のソース

#navi(異世界に灯る聖なる焔の光)
#setpagename( 第二話 鮮血とゼロ )

「……えー、とりあえず、私がお話できることはこれくらいですかな」 
頭が痛い。ローレライよ、俺の声に応えろ。俺ごと音譜帯を突き抜けろと約束した覚えはないぞ。 
現実逃避をせねばならんとは情けないにもほどがある。異次元にでも迷い込んだような、ふざけた話を聞かされればこうもなるか。 
「要するに……ここはオールドラントでない。魔法使いがいる。そいつらは貴族……」 
「はい。そこまでご理解いただければ、事の進展が望めそうですな」 
勝手に次の段階へ話を進めている。貴様らのペースに乗せられる俺の身にもなってくれ。 
「何がご理解だ。貴様の話を信じるとは言ってないぞ」 
「お言葉ですが、私の申し上げたことは全て事実ですぞ」 
男が語った内容をまとめるとこうなる。 
ハルケギニアと呼ばれる大陸があり、四つの国と一つの宗教国家によって世界が形成されている。 
この屋敷は、男によると施設、トリステインという国の領土にあるらしい。 
ハルケギニアは魔法なる特殊な力が発達していて、国家の営みや人々の生活には欠かせなくなっている。 
魔法を使う者達はメイジと呼ばれている。メイジは例外なく貴族の血筋であり、その力を持って民を導き、国を治めている。 
メイジは、戦時には戦場を駆け、軍人の先陣を切る騎士としての役目を使命とする。 
俺が運び込まれた施設は、魔法の技術が拙い貴族の子息を、メイジと呼ばれるにふさわしい使い手に教育する学校だそうだ。 
額面どおりに受け取るなら、ここはオールドラントではない。五つも国が存在する広大な大陸が未確認扱いになってるわけがない。 
俺がオールドラントのどこかで生きているとしたら、この男はとんでもない法螺吹き野郎になる。 
しかし、デマと断定するにしても話があさってのはるか先に飛びすぎだ。 
俺に何らかの用事があっての作り話だと仮定しても、こんな手の込んだ御伽話じみた妄想をぶちまける奴は皆無だ。 
この状況を論理で分析することは不可能。『ルーク』を失った七年前の事件が頭に浮かぶ。 
非常識な経験が豊富というのも、案外悪いことばかりではないらしい。 
ちょっとやそっとじゃ冷静さを失わない。ただわめくだけで、それが嫌で他人を妄信して、後手に回って振り回されることもない。 
まともに思考が働けば、有用な記憶を引っ張り出せる。おかげで、この摩訶不思議な事態に説明をつけれる現象を思い出せた。 
「信じてもらえないようでしたら、この私が学院内を案内いたします。そこで我々が真実を語っていることを証明いたしましょう」 
「ありがたい申し出だな。悪いがそいつは後にしてくれ。俺も聞きたいことがある」 
「分かりました。では、何なりとお聞きください」 
「お前らの言う、魔法とは何だ。ここで見せてみろ」 
――魔法――譜術が発達しているオールドラントで見慣れて聞き慣れない単語だ。 
オールドラントで譜術を魔法と呼ぶ人間は少ない。あっても、例え話として使われる程度だろう。 
フォニック言語の辞書に魔法は記されていない。ならば、これは未知なる力の可能性がある。 
以前、ナタリアから聴いたことがあった。今まで見たことのない、不思議な力を使うパーティと戦ったと。 
バチカルの闘技場に現れたというそいつらは、闘技場の主が別の時空から召喚したものらしい。 
ナタリアが嘘を付くことはありえない。ならば、ここはオールドラントと異なる世界である線が浮上する。 
お互いの道理がまるで通用しないのだから、その可能性が高い。 
別次元に召喚されたと仮定すると、俺を治療したのは単なる善意からか。だったら、男は嘘を付いてないこともありえる。もちろん、その逆も。 
事の発端や企みがあるかは情報が少なすぎて読めない。俺のペースで真実を明らかにするしかない。 
最初は未知なる力の拝見だ。どんな結果が待つにせよ、俺を囲む壁にヒビくらい入るはずだ。 
「魔法を使えば、私の言葉を受け入れてくださるのですか」 
「さあな。そいつは魔法に聞いてくれ」 
納得したのか、男は立ち上がって身の丈ほどもある木製の杖を掲げる。 
「では、魔法を詠唱します。その場から動かずにお待ち下さい」 


男は聞き覚えのない言葉で詠唱を始めた。魔法とやらは日常で使うのとは違う言語を使うらしい。 
男の杖の先に、小さな炎が灯った。炎は徐々に大きくなり、熱気が俺の体に伝わる。 
男の詠唱が終わるやいなや炎は爆発的な勢いを持って男の全身へと巡り、大蛇のごとくとぐろを巻いている。 
「これは……第五音素(フィフスフォニム)か!?」 
譜術なのか、これは。かすかに、音素の振動を感知できる。 
なのに、音素が集約される光を確認できないのはどういうことだ。体内のフォンスロットを開いて音素を取り込んでいないのか。 
こいつはどう表現したらいい。まるで、音素が体内から湧き出ているようだ。 
「自己紹介をしておりませんでしたな。私は『炎蛇』のコルベール。見てのとおり、炎を操るメイジでございます。我が灼熱の大蛇、あなた様のご期待に沿うてくれましたかな」 
俺に鎌首をもたげる大蛇からは何の音も響かない。 
大蛇がこんがらがって余計にややこしくなりやがった、などという本音は隠そう。 
臆面もなく俺の望みを叶えてた。少なくとも、真偽を問えば虚言が返ってくるわけではない。 
魔法をオブラートに包まずに拝見できたことは僥倖と表現してもいいだろう。能力ってのは見せるだけで多くの情報を提供してくれる。 
あちらがあっさり武器を披露したのは俺に誠意を示すフシがある。脅威を見せて俺の行動を制限する狙いもありえる。 
それはまだ憶測の域を出ない。こいつらの希望通りに魔法の解析を優先した方が良い。 
魔法の源は音素だ。これは間違いない。問題は特殊な現象を引き起こす過程にある。音を響かせぬベールの先に譜術にはない原理が眠っている。 
こいつは、男だけの特別な技法なのか、普遍性のある技術なのか、その確認さえ取れれば針の穴くらいは光が差し込みそうだ。 
「おい、貴様は魔法を使う者は例外なく貴族と言ったな。ならば、その魔法使いとやらはどれほどいる」 
「我がトリステインでは、貴族の地位にある者は皆魔法を使いこなしますぞ。あなたもメイジの魔法によって召喚されたのですから」 
「何だと……」 
「言うなれば、魔法を意のままに操る者こそ、貴族と呼ばれるに相応しい資質を備えているのです」 
魔法を扱う人間が貴族となりえるってわけか。例外はなさそうだ。 
「だったら、魔法さえ使えれば誰でも貴族になれるのか。ずいぶんとお安い御身分だな」 
「それは違いますぞ。平民にメイジは存在しません。メイジは貴族の血筋以外には生まれません」 
魔法が親から子へ継承されるだと。譜術は、厳しいとはいえ、訓練さえ積めば誰でも使えるはずだ。 
「魔法ってのは鍛錬を重ねれば誰でも使える代物じゃないのか」 
「おっしゃるとおりです。私は数々の文献を拝見いたしましたが、ただの平民が魔法を発現させたという記録はございませんな」 
譜術とはまったく異なる理だ。こいつを信じるなら、魔法は譜術と同種の能力ではないという根拠になる。 
もう、最低限の情報は手に入れたに等しい。後は俺の眼と足で突合せばいい。包帯が取れたら学院とやらの隅々まで拝見させてもらおうか。 
厄介事が一つ片付いたせいか、急激に視野が広がってゆく。そして、俺が最も優先して聞くべき問いがあることに、今さら気付いた。 
ずいぶんと間抜けをやってたようだ。俺はこいつに人生を狂わされて、そしてこいつがヴァンとの争いの中心にあったてのにな。 
「そうか……そろそろこの問答も終わりにしたい。次が最後の質問だ」 
男は視線を俺から外した。どうも窓の外を見ている。 
「そうですね。夜も更けてきました。こちらも待ち人がおりますので」 
もう夜か、と無意識に首を動かしたら、驚嘆する光景が飛び込んできた。どうやら、最後ってのは遅すぎた。 
夜空の先に月が見える。全てに決着を付けてくれる光の筋が夜空に消えてゆく。 
ここはオールドラントではない。賭けてもいい。 
なぜなら、オールドラントには二色の輝きを大地に注ぐ月はない。片方がレプリカでもない限り。 
答えは大地にあるわけじゃなかった。二つの月が、ここはハルケギニアだと俺に告げている。 


俺の胸の内にある世界を明かす必要はなくなった。これ以上話すことはない。 
視線を戻すと、ずいぶんと穏やかになった俺の心とは対照的に、男が、確かコルベールと名乗ってたか、やたら真剣な顔で睨みつけている。 
「……おそらく、私とあなたは同じことを考えていると思います」 
急に妙なことを口走り始めた。まさか、こいつは預言を知っているのか。 
「あなたが尋ねようとしているのは使い魔についてだろうと思われます。今からご説明いたしますが、お時間をいただけるでしょうか」 
お開きには早すぎた。俺が異世界で寝転がってた根本的な原因が未解明なままでいい訳がない。 
確か、召喚がどうのこうのって内容だったはずだ。異世界から戦士を呼び出すってのは、闘技場の主の専売特許ってわけでもないのか。 
俺に何の用があって時空を超えさせたのかは知らんが、残念ながら異界の人間と仲良く遊ぶ時間はない。俺はもうすぐ音素乖離を起こして消える。 
「ふん、こんな奴を召喚とは、ずいぶん物好きな貴族がいるもんだ」 
「そう言わずに……。自分を卑下するとはあまり良い態度とはいえませんぞ」 
初対面の人間相手にお説教とは、ずいぶんとお優しいことだ。何も知らない人間は楽でいらっしゃる。 
「そいつはすまない。で、その召喚ってのは何なんだ。ご教授願いたい」 
「はい。召喚とは……」 

「そうか……、メイジに一生仕える使い魔を召喚する儀式の際、俺はここに呼び出されたのか」 
「そうです。しかし、あなたを召喚した時は大騒ぎでしたよ。あなたの御召し物が真赤に染まっていましたから」 
それで良く生き延びたものだ。俺の二つ名を『鮮血』から『不死身』にでも変えてしまおうか。残り僅かな人生を不釣合いな称号で過ごすのも悪くない。 
「召喚される前は敵と切り合ってたからな」 
コルベールの瞼が僅かに動いた。直前まで殺し合いをやってた人間を召喚したんだ。プラスの印象は持たんだろう。 
「つかぬ事をお聞きしますが、あなたは軍属でしょうか」 
「俺が譜……魔法を使うからか。そう思ってくれてかまわない。だが、なぜ、俺が魔法を扱うと思った」 
「それは、あなたの枕元にある装飾品を調べたからです。中心に取り付けられた石に、魔法の詠唱を早める効果と精神力の消費を軽減する効果が確認されました」 
俺はベッドの上部を見た。枕元、というかベッドの脇にある台の上に、俺が身に付けていた、ローレライ教団の詠師を加護する譜石が置かれていた。 
あれには詠唱時間の短縮や譜術の負担を抑える効果がある。だから、俺をメイジと勘違いしたのか。そして、貴族とも。どれも正解とはなんとも気持ち悪い話だ。 
「それで、ずいぶん遅れてしまいましたが、あなたのご氏名をお教え願いたい。出身地とお父上についてお話いただけると幸いなのですが……」 
コルベールの顔がずいぶん神妙になる。俺の名前と出身地を聞くのは分からなくもない。だが、父上には何の意味がある。 
そういえば、こいつは最初に俺の召喚を「少々厄介な事態」、と言っていた。言葉尻から察するに、貴族が何かの障害になってるのか。 
「何を深刻になっている。俺が貴族だとまずいことでもあるのか?」 
コルベールが腕を組んで悩み始める。俺の顔色を窺いながら次の態度を決めかねている。 


「何を心配してるだか知らんが、俺の身分を気にする必要はないぞ」 
コルベールは困惑しながら、こっちに視線を向けてきた。 
「それは……どういう意味でしょうか」 
「そのままの意味だ。どうせ、俺は死んだことになってるからな」 
コルベールの体が大きく跳ねた。俺の格好を見れば、大体の推測も立つだろう。 
「まさか……、あなたが傷だらけで召喚されたのは……」 
「そうだ。多勢に無勢、よくもまぁ、あれだけの数を相手にしたもんだ。そこで俺は死んだはずだったんだがな」 
コルベールが苦虫を食い潰したような顔になる。内心の苦悶を吐露せぬよう、口を塞いで頭を伏せている。 
「気に病むことはない。お前らの手厚い看病のおかげで一命は取り留めた」 
俺の墓がどこになるかを確かめたら、俺はすぐにでも学院を去ったほうがいい。ご好意を無下にして逝くのは寝覚めが悪い。 
立つ鳥は跡を濁さないそうだからな。 
「ですが……」 
「もう終わったことだ。いちいち詮索するんじゃねぇよ」 
コルベールは納得いかなそうに眉を顰めている。頭抱えても埒が明かないだろうに。 
数分黙ったコルベールが大きく息を吐き出した。わだかまりを処理できんお人よしではなかったか。 
「……あなたが逝去されたという話、信用してよろしいのですか」 
「元々、瓦礫と共に朽ちてる身のはずだ。死体を上げるのも困難だろう」 
ナタリア達が勝ったのなら、動力であるローレライを失ったエルドラントは崩壊しているはずだ。 
そこから特定の人物を発見するなど、完全同位体の被験者でもない限り不可能だ。ましてや、レプリカにできる芸当じゃない。 
だからこそ、あいつらは躍起になって俺を捜索してそうだ。再会できる手段などない事を知らずに。 
そう思うと、心のどこかに痛みが走る。俺のために必死になることないんだよ。俺がオールドラントにいようと、一緒に過ごす時間はない。 
「あなたのお言葉、疑うものがないと判断しますぞ。私が問うのは名だけにとどめましょう」 
それより、今、すべきことに集中すべきだ。帰ることのない場所を心配しても意味がない。 
俺の名前か。どう応えるべきだろうか。遠い昔に捨てた名か。過去を捨てた証の名か。 
わざわざ迷うこともない。捨てたなど、俺が勝手に思い込んでいただけだ。 
こいつだけはレプリカの言うとおりだ。誰が何を言おうと、俺は俺らしい。 
「俺はルークだ。ルーク・フォン・ファブレ。お前らのご想像通り、貴族の生まれだ」 
人生は旅だと詩人は詠った。俺は帰り支度を始めている。だったら、最期くらいは自分を取り戻す時間にしても罰は当たらない。 
「やはりそうでしたか。ですが、今はこれ以上の追求もできませんので、本題に入ります」 
今は、と来た。頃合を見計らって、根掘り葉掘り追求する魂胆か。あの世まで追っかけて来ることはありえないから、気にすることもないが。 
「ミスタ・ルーク。あなたはこれから使い魔としての契約を行う儀式をお受けすることになります」 
使い魔の儀式とやらは召喚のみで成立するものではないのか。しかるべき契約が必要なら、わざわざ死に掛けの人間を従えても相手は迷惑だろう。 
俺は、かつてとはいえ、公爵家の子息。誠意なき誓いは結べない。 
「断る。誰かに縛られるのは飽き飽きだ。俺は学院の見学が終わったら、ここを退散するぞ」 
それに、拉致されて好き勝手に転がりまわされる経験は一度で十分だ。 
「申し訳ありません。一度召喚された場合、使い魔を変えることはできないのです」 
「何故だ。召喚の二度や三度ができないこともないだろう」 
「できません。使い魔召喚の儀式は、召喚の魔法『サモン・[[サーヴァント]]』を第一段階とし、契約の魔法『コントラクト・サーヴァント』を行うことで初めてメイジの使い魔となるのです。 
この二つの過程は切り離せるものではありません」 
「要するに、召喚された時点で使い魔の契約は半分終わってるのか」 
「おっしゃるとおりです。ですから、何人であろうと使い魔の契約を拒絶することは叶いません。一つの例外を除いては……」 
「例外?何だ、それは。今すぐ言ってもらおうか」 
コルベールの顔が曇る。どうやら、浮かれるような話になりそうもない。 


「例外……いや、再び『サモン・サーヴァント』を唱える条件があるのです」 
二度や三度があるらしい。もっとも、まともな方法でないとすでに伝わっている。 
「それは使い魔の消失……、つまり使い魔が亡くなった場合でございます」 
俺が驚きを感じたのは今の境遇があってこそだ。常識的に見れば、使い魔がいなくなれば新しいものを呼べるのは当然だろう。 
この際、「なら心配することはない。俺はもうすぐ死ぬ」、と告白するか。俺を救った人間の努力を踏みにじることになっても。 
それはできれば遠慮願いたい。俺が死んで悲しむ奴らは少ないほうがいい。今置かれた状況で最良の道を模索するしかない。 
「一つ提案がある」 
「何でしょう」 
「突然の申し出だからな。心を準備する時間が欲しい。契約は後日にしてくれないか」 
ここが異世界か、コルベールは真実を語っているか、それが証明されない限りは相手に合わせることはない。 
何とか時間を稼いで、俺が死ねば使い魔召喚はやり直しだ。俺の最期は看取られたくないが、もう贅沢を言える状態じゃない。 
コルベールは顎に指を触れさせ、暫し考え始めた。多少の手応えはありそうな匂いがある。 
沈黙ごと夜の静けさに溶かされそうだ。ずいぶん長いこと難しい面をしている。 
長々待たされて、やっとコルベールが考えをまとめた。伏せた目を俺に向ける。 
やけに肩の力が入っているのが気になる。無理なんてことはあって欲しくない。 
「なりません。『コントラクト・サーヴァント』は本日中に行います」 
悪い冗談なら切り掛かりたい気分だ。不愉快極まりない別れ方をご所望してくれるとは。 
「何故だ。こっちも事情は無視か。それとも、正体が掴めない人間の話など聞く耳持たないってわけか」 
「ち、違いますぞ。我々にも相応の事情があるというだけで……」 
そんなことなど承知している。だが、燃え尽きる寸前の蝋燭よりも炎を長く灯せるだろう。 
「だったら、その事情ってのはなんだ。それほど急を要することなのか」 
「はい。メイジは召喚された使い魔によって今後の属性を固定し、専門課程へと進みます。よって、使い魔がいない場合、魔法の系統が決定されないので、講義を受けることができません。 
そのまま放置するわけにも行きませんから、使い魔の契約が結ばれないままであると最悪退学の処分が下る可能性もあります」 
「講義は何時から始まる」 
「すでに始まっています。春の使い魔召喚の儀式も講義の一環です。明日からは各系統の基本講義が始まります」 
コルベールの話を鵜呑みにするなら、期限は明日の朝だ。 
俺の音素乖離による消滅の時期はジェイドがおおよそを計算したもらしい。スピノザがそう言っていた。具体的に何時頃か、実際のところ不明だ。 
今すぐかもしれない。運が良ければ数ヶ月くらい持つかもしれない。俺の鼓動が何時まで続くかは音素だけが知っている。 

いっそのこと、恥も外聞もなく窓を叩き割って彼方へと飛び出そうか。俺の体が思うように動いてくれるなら。 
目覚めた直後よりましになったとはいえ、本調子には程遠い。武器がなければ拳一個分叩き割るのがやっとだ。 
八方塞だな。俺の意思ではどうにもならない。異世界くんだりまで引っ立てられて何一つ決められないとは。結局、俺は流されるだけの存在か。 
流れに身を任せるのも案外悪い案じゃない。メイジと契約できようとそうでなかろうと即座に真相が明るみになる。 
コルベールらが何を企んでようが、これから死ぬ人間に糞の価値もない。全て奴らの手の平から滑り落ちる。 
本当に契約を結んで使い魔となったら、覚悟を決めるしかない。貴族の風上にも置けぬ屑と認める覚悟を。 
俺が原因で誰かの居場所を奪うわけもいかないからな。あんな思いをばら撒くようなら、劣化オリジナル呼ばわりされても文句が言えない。 
「いいだろう。メイジを呼んで来い。今すぐ契約してやろう」 
同意した途端、コルベールは身長が縮んだと錯覚するほど肩を落とした。ベッドのシーツまで届くため息がそれまでの鬱憤を連想させる。 
苦労したのはお互い様ってわけだ。 
「では、私はあなたを召喚したメイジを呼びに行きましょう。所用がありますので、ここに戻ることはありませんから、お聞きしたいことがあれば今が最後の機会です」 
「いらん世話だな。さっさとメイジってのを呼んで来い」 
「そうですか。では、また明日お会いしましょう。今度は教師と使い魔という立場で」 
そう言い残し、コルベールは振り返ることなく部屋を出て行った。 
使い魔と教師か。また会う機会があれば喜んでやろうか。 
苦笑していると、金属が軋む音が響く。どうやら、メイジ殿がご登場したようだ。 
聖なる焔の燃え滓を召喚した悪趣味貴族がどんな御容姿をしているか、眼に収めさせてもらおう。 
「あんた貴族なんだってね。よろしく。今日から私が主人よ」 
メイジは女だった。身長から判断するに、年は俺より下。白のブラウスを着込んで黒いマントを羽織っている。 
注視すべきは、頭髪と瞳だ。桃色がかったブロンドの髪と鳶色の瞳。ほんのりと赤みが浮き出る頬も大きな特徴だ。 
何が別次元だ。ここはあの世じゃないのか。でなければこいつがいるわけがない。 
「妖獣のアリエッタ!何故貴様がここにいる!」 
ローレライ教団の六神将の一角。ヴァンとイオンに全てを捧げた“魔物”使いと対面するとは。 
坂から転がり落ちるしかない運命には嫌気しか差さん。 


「アンリエッタ?あんた何言ってんの。私姫様じゃないわよ」 
否定された。待て。姫様とは何だ。アリエッタはライガの女王に育てられた。そこで得た魔物と会話し、従える能力を買われて六神将の一角を任された。 
魔物にとっては確かに姫様だ。しかし、人間に姫扱いはされんだろう。 
この小娘がアリエッタだというのは勘違いか。口調も態度もまるで違う。ここがオールドラントならレプリカの疑いもある。 
時空の異なる世界だったら、ずいぶんと珍しい他人の空似だ。 
「違うだと。お前はアリエッタではないの……か」 
次は誤認を確認する意味を込めて言った。アリエッタではないなら、一体誰なんだ。 
「だ・か・ら、アンリエッタは姫様の名前って言ってるでしょ!も~、何よこいつ。目が腐ってんじゃないの。私の名前はルイズよ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール。間違えないでよね」 
ア“ン”リエッタ……。どうやら本当にアリエッタではないようだ。俺の知り合いで初対面相手に、目が腐ってる、などと暴言を吐く屑はいないからな。 
「ア“リ”エッタだ。俺が目なら、貴様は耳が腐ってるようだな」 
皮肉を返してやったら、顔を真っ赤にして全身が弛緩している。恥を掻くくらいなら口を慎んだほうが得策だと知らないらしい。 
「私の耳が腐ってるですって。ふざけんじゃないわよ!あんた私を誰だと思ってるのよ。舐めた口聞くと領地取り上げられるわよ」 
随分と大層な身分のようだ。頭のほうも大層愉快でいらっしゃる。コルベールから何も聞かされてないのか。 
「悪いが、取り上げる領地はこの国に存在しない。俺は異国の人間だ。残念だったな」 
言われて急に萎縮したってことは、コルベールから俺の素性は伝わっている。 
記憶の方も劣化が激しいようだ。ハルケギニアの貴族はアホでも務まるのか。 
「う、うるさいわね。い、今のは言葉の綾よ。あや!私はあんたのご主人様。無駄口叩いたら許さないってこと!」 
俺が貴族と知ってこれだけ尊大な態度が取れるとは、たいした傲慢ぶりだ。よほど甘やかされて育てられたってことか。 
予測をはるかに上回る屑だ。地位があるだけで偉いと勘違いしてやがる。こいつの尻に敷かれるなど、本来はご遠慮願いたい。 
召喚者を逃がさない魔法の優秀さに感謝して欲しいもんだ。 
「無駄口が嫌なら、さっさと契約ってのを始めろ。俺は今日中に契約する約束しかしていないからな。日が変わったら別の奴を探してくれ」 
今度はぐちぐちと何か喋りだした。口先だけで言っていて中身は判読できない。 
少しからかっただけでこのムキになりようは親善大使殿といい勝負だ。あれと同レベルが主人とは、俺の人生は屈辱的に呪われてる。 
部屋を埋め尽くさんほど呪詛を吐いて、やっとルイズって女は落ち着いた。大股で俺の下に歩み寄る。とうとうこいつの使い魔に成り下がる時が来た。 
ルイズは右手に、コルベールの杖とは対照的に、タクトを思わせる細い杖を持っている。こいつがメイジなら、各人に合った杖を使っても不思議はない。 
「あんた、ルークって言ったわよね。これから使い魔になるんだから、それに相応しい振る舞いをしなさい。いいわね」 
口の減らない女だ。ここまで人をウザがらせる才能だけは褒めてやりたい。 
「ご主人様のご機嫌を取ればいいんだろ。貴族として至らぬ部分がないならやってやろう」 
ルイズの右手にある杖が悲鳴を上げながら震えている。堪え性はないな、こいつは。 
「あんた……、後で覚えときなさいよ。たっく、何でこんな奴にあんなことを……」 
それだけ言って、血管が浮き出て、ほのかに紅く染まる右手を掲げる。契約の魔法を唱える体勢に入ったらしい。 
忍耐力は中々ある。頭の切り替えができん愚図は犯さなかった。 


「我が名はルイズよ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。このものに祝福を与え、我の使い魔となせ」 
魔法の詠唱は特殊な言語だけではないのか。折角なので、この魔法も分析してみる。 
先ほどのコルベールの魔法と同じく、フォンスロットを開放した様子はない。音素の震動も微弱なものしか拾えない。 
二人目のメイジの出現。魔法使いは出鱈目ではなかった。譜術に似て似つかぬ魔法は異端の奇跡ではない。 
詠唱を終えたルイズは屈んで俺に顔を近づける。契約するにはその証が記される。それは俺の何処に刻まれるんだろうか。 
ルイズは、何やら熱っぽさを伝えながら、俺の両の頬に指先を添えた。そのまま俺に体を預けながらもたれかかる。 
妙だ。変だぞ、これは。機械的に主従の誓約を結ぶんじゃないのか。何か、別の方面が接近している。 
ルイズは更に俺に迫る。もう、鼻先が触れるほど、二人の距離はない。包帯を巻いているだけの体に、ルイズのブラウスがゆっくりと沈んでゆく。 
危機を感じるのが遅すぎた。これは俺の大事なものが奪われる儀式だ。俺がかけられた呪いは屈辱を味わう類じゃない。 
俺の望む未来が何一つ叶わない呪いだ! 
小刻みに震えるルイズの唇が俺のものと触れ合う。生まれて始めて、ここでない場所で、共に在りたい人との誓いの契りとなったはずの、ほのかに甘い刺激が俺の意識を溶かしていく。 
最初の接吻はナタリアだと決めていた。それが今、理不尽にも破られた。 
「な、な、何しやがる!」 
急激に湧き上がる後悔だの、恥ずかしさだの、怒りだの、膨大な感情の勢いでルイズを突き飛ばした。 
ルイズがでかい悲鳴を上げる。しかし、内からの衝撃が金切り声を吹き飛ばす。 
座っているだけなのに、全力で戦ったように動悸が激しい。頭が真っ白になりそうだ。 
冷静になろうにも全身が動かない。一つの罪悪感に支配されてどうにもならない。 
俺はどうしたい。俺は何をしたい。ともかく、最優先にやることがある。 
ナタリアに謝りたい。今すぐに。土下座でもなんでもいい。今しがた勃発した、ローレライを消すがごとく大所業を謝罪したい。 
俺は悪くねぇ。俺は悪くねぇ。何にも知らなかったんだ。そうだ、あいつが、あいつが。 
「落ち着けえぇぇぇぇぇ!」 
俺の心で暴れる暴風を全て吹っ飛ばすために、思いっきり叫んだ。でなければ、頭がどうにかなっちまいそうだ。 
「い、いきなり突き飛ばすって何様よ!私だってすっっごく恥ずかしかったんだからね!」 
「何だ!今のは何だ!答えねえとこの場で叩っ斬るぞ!」 
「使い魔の契約よ!使い魔にキキ、キ、キスしないと契約できないの!」 
「ふ、ふざけるな!誰だそんなこと決めたのは!」 
「知らないわよ!儀式に聞いてよ、そんなこと」 
何が儀式だ。契約に接吻が必要なんて何処の屑が作ればこうなるんだ。 
ハルケギニアってのは何だ。貴族も魔法も屑だらけってのか。 
「よくもまあ、舐めた事してくれたな。俺は貴様の使い魔なんぞにならん。こんな屈辱を受けて従えるか!」 
「舐めてなんかいないわよ!このド変態!私だってあんたが使い魔なんて願い下げなんだから」 
「何を想像してやがる!この淫猥女!」 
「な、なんですてぇぇぇぇ!よ、よくも言ってくれたわねぇぇ!」 
怒りで全身が沸騰しそうだ。特にありったけの力を込めて握り締めている左手は火傷しそうなほど熱い。 
こんな結果になるとは思っても見なかった。一時でも心を許した俺はオールドラント一の大馬鹿野郎だ。 
契約直後の決裂など笑い話にもならない。これほど相性が最悪とは知らなかった。 
今後の予定が決まった。さっさとこの学院を脱出して一人で果てることだ。 
こんな屑女と一緒にいるどころか主従関係を結ぶなど、ファブレ家の子息に誓って死んでも認められん。 
取っ組み合い寸前でルイズとにらみ合う。僅かな挙動だけで空気が爆発する。 
大気を焼く音が耳を焦がす。一触即発の雰囲気の中、部屋の扉が唐突に開いた。 
一つのことに集中しきった人間は別方面からのアクションに無意識に反応する。俺は条件反射で扉を開けた主を確かめた。同じく、ルイズも。 


一人の少女が立っている。カチューシャで髪を纏めて、目の下にそばかすを持つ年の近そうな少女。 
エプロンのような物を着込んでいるから、あれはメイドか。メイドがこの修羅場に何の用があるんだ。 
「え~と、お取り込み中でした……か」 
申し訳なさげに首を傾ける。作り笑顔は場を和まそうとしているのか。 
激突寸前の現場を目撃して、それだけできればたいした度胸だ。 
予想外の来訪者は焼き切れそうな空気に冷水を浴びせた。おかげで、随分と冷静さを取り戻せた。このメイドにはお礼を言うべきだろうか。 
「取り込み中もいいとこよ!あんた誰よ!」 
ルイズの煮えたぎった湯は限度を超えたらしい。メイド相手に怒鳴り散らしていいことなどないだろうに。 
案の定、メイドが萎縮した。すぐにでも逃げ出しそうなほど怯えている。 
「おいメイド。あの桃色娘は無視していい。この部屋に何か用なのか」 
「桃色娘ですってぇぇぇ。何よ、このキツ目男!」 
隣で火が激しく燃えることがこれほど鬱陶しいとは。さっさと沈黙させないと鬱陶しくてしょうがない。もう、容赦することもないだろう。 
腹に力を注いで、強敵との退治と同じ心境にもって行く。そして、その全てを放出する。 
「黙れ!」 
神託の盾騎士団の六神将が戦闘時の殺気を放てば竜でもすくむ。小娘一人の火消しには勿体無いくらいだ。 
「ひぇ、え……」 
俺の威圧感に恐怖したのだろう。ルイズは目の焦点を合わせられず、その場に座り込んだ。当然、メイドも余波を受けている。 
立ったままなのだから、会話ができないほどの影響はないはずだ 
「横槍が入った。すまない。で、何か用でもあるのか」 
「ははは、は、はい。わ、わ、私はコ、ミスタ・コルベールの命により、あなた方のお、お世話係りを勤めさせていただくシエスタとも、申します」 
怯えの色は完全には消えていない。だが、説明に支障は出ない程度だ。 
それより、メイドの発言が気になる。話の筋からするに、俺らの使用人となるようだが。 
「世話係とは何だ。説明が欲しい」 
シエスタという女はかしこまって続きを語り始める。 
「え、え~と、貴族が使い魔という前例のない事態が発生しました。そのため、本来なら人間の使い魔は下僕として扱われるらしいのですが、それができない。 
なので、普段の生活のお世話をする付き人が必要となりました。学院の使用人の中から、わたしがその任に命じられました。明日から、私がミス・ヴァリエールとミスタ・ファブレの身の回りの雑務を受け持つことになります」 
なるほど。貴族同士での主従とはいえ、貴族に生活の雑務を押し付けるわけにはいかないということか。 
俺としては、その程度がたいした負担になることはない。ヴァンに誘拐されてから、家事は何でもこなせるようになった。使用人もメイドもいない部屋に放り込まれたからな。 
俺が大丈夫だろうと、相手がそうとは限らない。貴族の扱いは難渋しやすい。 
今になって理解したことがある。俺に探りを入れた理由はこれだろう。後々、面倒事にならないよう、事前に情報を入手して、対策を講じなければならなかった。 
どうやら、俺も学院の連中も、お互いをかけらも信じていなかったってことか。まあ、当たり前のことだな。 
「事情は分かった。他に伝言はあるか?」 
「は、はい。あ、あります」 
自分が原因とはいえ、会話するたびにビクつかれるのは、あまりよろしい気分にならない。注意もできないのは少々辛いな。 
「ミスタ・ファブレがご就寝する際の寝巻きと明日以降のお召し物を預かっています。その物は、あなた方がご不在だったので、ミスタ・ヴァリエールのお部屋に置いておきました」 
「そうか。おい、桃色娘。部屋に戻るそうだ。さっさと立ったらどうだ」 
多少は手を抜いたとはいえ、ごく普通の貴族の娘にやりすぎたかもしれない。 
こっちの心配に反して以外にも軽々起き上がったのを見ると、ルイズは思ったより肝が太い。 
「あんたねぇ、勝手に段取り決めないでよ。主人は私なのよ」 
「そいつはすまない。ではご主人様のご意向に従いましょうか」 
双方、登った血が抜けた。今日は喧嘩に労力を割く体力はもうないだろう。俺も怪我人の分際で大騒ぎして大分疲れた。 
「じゃあ命じるわ。シエスタとルーク。部屋に帰るわよ」 


ルイズの部屋といっても、学院から与えられた寮だ。 
貴族が住まう部屋に見合うように家具は値踏みしなくとも高価と分かる物が揃っている。 
ファブレ家の屋敷にいた頃の俺の部屋より豪華かもしれない。下らん比較だ。 
部屋に入って、最初にした事は寝る準備だ。窓から覗く煌々とした星の輝きは夜が随分更けていることを示している。 
部屋に入って早々、着替え場所で揉めることになった。シエスタが、片方が外に出てもう片方が着替えればいい、と提案しなかったら、俺は明日、寝不足の元凶として恨まれていただろう。 
だろうじゃない。現在進行形で安眠を妨害しているのだから、断定のほうが正しい。 
そもそも、何でこんなくだらんことで紛糾しないといけないんだ。 
「俺は下で寝る。女と同じベッドで眠る趣味はない」 
「ですが、貴族を床で寝かせるわけにも……」 
「こいつと同じベッドで寝る気はないわ。危険よ、こんな暴力男。メイドのあんたと寝るほうがよっぽどましだからね」 
とまあ、こんな感じだ。俺の寝床などに心配する必要もないのに、シエスタは食い下がらない。 
この学院の上の連中は何を考えている。俺を、至れり尽くせりでないと息ができない名ばかり貴族とでも思ってるのか。 
俺のことは丁重に扱いたいようだが、丁重過ぎて逆に侮辱になっている。 
「もういい。俺は床で寝る。くだらないことで体力を食いたくない」 
有無を言わさず、俺はシーツの中へ滑り込んだ。強引に行動しないと、いつまで経っても埒が明かない。 
「使い魔は床で這い蹲るのをご所望よ。シエスタだっけ。私達も寝たほうがいいんじゃない」 
シエスタはしどろもどろでまだないか言いたそうだ。それもルイズの眼光で引っ込めさせられた。 
ルイズはイラつきながら、シエスタはおどおど申し訳なさそうに、ベッドに入って寝る体勢になる。 
数刻もしないうちに、両方とも安らかに寝息を立て始めた。 
貴族のための部屋で女二人と仲良くおねんねか。俺には随分不釣合いな光景だ。 
記憶の彼方に二人で仲良く横になったベッドがある。あの頃と比べればな。 
あれから随分経った。何もかも変わっちまった。今じゃ、同じ大地に立つこともできなくなった。これからもずっとな。 
平和そうにベッドで眠っている二人の少女を頭に浮かべる。 
仮初の主人であるルイズと使用人のシエスタ。 
俺がこいつらと一緒にいる日々はほとんどない。最悪、今夜で終わる。 
俺もルイズも第一印象はかなり酷いことになった。関係改善は難しいはずだ。 
むしろ、そっちのほうが好都合だ。俺はすぐにでも、ヴァン師匠が待つあの世へ旅立つ。 
そんな男は好かれるべきではない。他人と絆を作るべきではない。悲しみを残すべきではない。 
俺は孤独でいる。光は不要だ。どうせそこには帰れない。 
俺はルイズに、たった一つだけ、叶えて欲しい願いができた。俺が死んだ時、墓標に投げかける言葉だ。 
「死んでせいぜいした」 
立つ鳥は跡を濁そう。誰の心にも濁りを残さないために。 

#navi(異世界に灯る聖なる焔の光)
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